財団法人ニューメディア開発協会 研究成果レポート ·...

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財団法人ニューメディア開発協会� 研究成果レポート� 2000.11 財団法人ニューメディア開発協会� 研究成果レポート� における 技術開発研究報告 ●新世代ICカード共通システムの開発 ……………2~5 ●インターネットによる 汎用電子申請システムの開発 ……………………6~9 地域情報化報告 ●情報化フェスタ 2000 (全国地域情報化推進会議)……………………10~15 ●地域生活空間創造情報システム整備事業 ……16~35 関連技術の研究報告 ●両津市なんでも情報館と自然言語検索エンジン 株式会社 東芝 ……………………………………36~37 関連団体の活動報告 ●ENC(ENCコンファレンス2000、オンライン ソフトウエア大賞)……………………………………38 ●APADIC (阪神、茨城、那須3研究会活動状況)……40 ●MELLOW (SNC2000報告)…………………………41 協会からのお知らせ/編集後記 ●平成11年度報告書一覧、平成12年度公募による 採択事業一覧 …………………………………………42

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財団法人ニューメディア開発協会�

研究成果レポート�

2000.11

財団法人ニューメディア開発協会�

研究成果レポート�公的分野における情報化�

技術開発研究報告●新世代ICカード共通システムの開発 ……………2~5●インターネットによる汎用電子申請システムの開発 ……………………6~9

地域情報化報告●情報化フェスタ 2000(全国地域情報化推進会議)……………………10~15●地域生活空間創造情報システム整備事業 ……16~35

関連技術の研究報告●両津市なんでも情報館と自然言語検索エンジン株式会社東芝……………………………………36~37

関連団体の活動報告●ENC(ENCコンファレンス2000、オンラインソフトウエア大賞)……………………………………38●APADIC (阪神、茨城、那須3研究会活動状況)……40●MELLOW (SNC2000報告)…………………………41

協会からのお知らせ/編集後記●平成11年度報告書一覧、平成12年度公募による採択事業一覧 …………………………………………42

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ICカードは、内部(ICチップ内)にパスワードや「鍵」等のセキュリティに関する情報が記録されることから安全性が非常に高く、電子商取引における「認証」手続き等に際して不可欠なものとして、昨今特に注目されてきています。我が国の行政機関においても、住民カードや健康

保険証、郵便貯金カード等公的サービスへの利用構想が進められており、多機能で高度なセキュリティデバイスとしての期待が急速に高まっています。しかし、これまでICカードシステムは、業界や製

造会社毎に異なる仕様が存在し、カード間の互換性に乏しく、ICカードの本来持つ有効性や利便性がうまく発揮されないという状況にありました。「新世代ICカード共通システム」では、現状の諸

課題を解決し、国際標準や国内規格に準拠しつつ、新たな機能要求や多様なセキュリティレベルに対応することができる先駆的アーキテクチャに基づく新世代のICカード共通システムの開発を進め、その具体像を提示するとともに、技術的な可能性の検証を行いました。本稿では、産業・社会情報化基盤整備(平成10年

度第三次補正)事業で実施した「新世代ICカード共通システム」の内容について報告するものです。

「新世代ICカード共通システム」では、以下のような基本目標を定め、開発を進めました。

(1)新世代のICカードシステムの具体像の提示ユーザが安心して便利に継続的にICカードを利用

出来る、情報インフラとしてのICカードシステムの具体像を提示する。

―効果的なICカード相互利用を実現するためのシステムアーキテクチャの提示―ICカードシステムに関わる互換性を損なう様々な課題の解決―特定ベンダに依存しないオープンな各種標準仕様の提示―ハイセキュリティ、マルチアプリケーション対応―先進的な非接触インタフェースの採用

(2)新世代のICカードシステムの技術的な可能性の検証

新世代のICカードシステムの具体像を具現化するとともに、ICカード、リーダライタ、及び共通基盤システムを開発し、その技術的な可能性を具体的に検証する。次に、開発の着眼点を図1に示します。

「新世代ICカード共通システム」の開発は、汎用性・互換性の高いカードプラットフォームの開発ICカード、リーダライタ、端末などのICカードシステムの開発共通プラットフォームに基づく非接触ICカードの開発

の3つの大項目から構成しています。以下にその概要を示します。

(1)汎用性・互換性の高いカードプラットフォームの開発

カードプラットフォームの開発は、製造会社等により異なるカードOSやハードウェアチップ等の個別

3.開発の概要

2.プロジェクトの基本目標と着眼点

1.はじめに

2

財団法人ニューメディア開発協会では、高度情報化社会の円滑な実現を図るため、時代の要請に応

えうる先進的な情報システムの開発を行っています。平成11年度に実施した事業の中から、「新世代ICカー

ド共通システムの開発」と「インターネットによる汎用電子申請システムの開発」を取り上げ、その概要

を報告します。

開発本部システム開発部担当部長山崎 正1

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仕様に依存することなく、他のカードとの汎用性、互換性を確保することをねらいとして、・カード発行時あるいはカード発行後に機能追加が可能であること・特定の実行環境に依存しないオープンなカードプラットフォームであること・高度なセキュリティ機能を具備すること・既存ICカードのファイル構造、コマンドとの互換性、継承性を確保すること・互換性の向上を図るための各種ツールを整備すること

等を目指し開発を進めました。本開発において策定した、カードプラットフォームの機能論理モデルを図2に示します。

カードプラットフォームの開発では、カードプラットフォーム仕様書を策定し、パソコン上で動作するカードプラットフォーム参照実装(リファレンス・インプリメンテーション)を開発し、それをベースに、カードOS、ICチップ性能の異なる2種類のICカード(標準、ミニカード)に実装し、ファミリー構成を実現しています。カードプラットフォームの開発の

流れを図3に示します。

今後、新規に同様のカードプラットフォームの開発を行う企業に対して、仕様開示したカードプラットフォーム仕様書に加え、パソコン上で動作する参照実装を活用することで、コーディング・レベルでの相互運用性を高めることが出来るように工夫をしています。

(2)ICカード、リーダライタ、端末等のICカードシステムの開発

ICカードシステムの開発では、複数のカード発行者や、サービス提供者が存在し、1枚のカードに複数のサービスが搭載され広域的に配布利用される世界を想定し、ICカードシ 図3 カードプラットフォームの開発の流れ

アドバンスドICカードシステムの開発成果を活用�

カードプラットフォーム参照実装�

カードプラット�フォーム仕様書�

カード�マネージャ�機能�

基本�ユーティリティ�機能�

共通コマンド�ライブラリ機能�

(PC上で動作)�

実装�

標準カードプラットフォーム�

標準用カード�マネージャ�機能�

標準用基本�ユーティリティ�機能�

標準用共通�コマンド�ライブラリ�機能�

拡張�ライブラリ�機能�

カードOS(メーカ固有)� カードOS(メーカ固有)�

ICチップ(32ビットCPU、64K不揮発メモリ)� ICチップ(16ビットCPU、32K不揮発メモリ)�

ミニカードプラットフォーム�

ミニ用�カード�マネージャ�機能�

ミニ用基本�ユーティリティ�機能�

ミニ用共通�コマンド�ライブラリ�機能�

拡張�ライブラリ�機能�

図2 カードプラットフォームの機能論理モデル

カードOS(COS)�

���カード�マネージャ� �

共通コマンド�ライブラリ�

��共通ライブラリ�

�個別拡張�ライブラリ�

カード�A P 1

カード�A P 2

カードプラットフォームの機能論理モデル�

カードマネージャ:�カードAPや各種ライブラリのダウンロード、カード内の各種リソース等の管理を行います。特にカードAPの実行環境が仮想マシン(Java VM)、ネイティブマシン等の違いを吸収し制御を行います。�

共通コマンド  :�ライブラリ�

カードAPから起動され業務処理を共通的に支援するコマンドライブラリで、既存の国際標準、業界標準準拠カードとの互換性を確保します。�

共通ライブラリ :�カードAPおよび他のライブラリから共通的に使用出来るライブラリ(例としては各種暗号ライブラリ等)です。�

個別拡張    :�ライブラリ�

特定の業務に対応して機能を提供するライブラリであり、必要の都度ダウンロードして使用します(例としてはCAM等)�

…�

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技術開発研究報告

図1 開発の着眼点

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ステム間の連携によるサービスの相互運用性を、オープンかつ安全に行うためのモデル・システム(図4参照)を策定しました。モデルは当協会が先に実施した先進事例である岐阜県益田郡における「広域・多目的利用ICカードシステムの開発」実績をベースに検討を進めました。

システム化対象モデルの策定は、ICカードシステムで共通的に必要となる枠組み、カード発行者とサービス提供者の分離、サービスの相互運用性に必要な役割分担の明確化、カード発行者およびサービス提供者の認定(正当性、本人性保証)を行う「管理者」を新たに設ける等の観点で整理しました。また、パソコン上にカードプラットフォームの擬

似環境を構築し、その擬似環境上でカードAPの開発工程におけるテストやデバッグを支援するアプリケーション開発ツールについても開発しました。

(3)共通プラットフォームに基づく非接触ICカードの開発

共通プラットフォームに基づく非接触ICカードの開発では、メーカ間の製品の互換性の確保を図るために、国際標準化が進むISO/IEC14443で提案された非接触インタフェースに準拠し、国際標準だけでは不足する仕様を近接型通信インタフェース実装規約書で補完し、ICカード、リーダライタの試作開発を行うとともに、その互換性の検証を行いました。表1、表2にその概要を示します。

本プロジェクトでは、近接型通信インタフェース実装規約に基づき互換性検証機(測定ツール)を開発し、互換性検証機による検証を実施するとともに、

近接型ICカード(標準、ミニ)およびリーダライタ間のクロステストを行い、相互の互換性の検証を行なっています。

本プロジェクトでは、報告したとおり、多彩な機能を備えた汎用性の高いカードプラットフォームの開発や、異なるカード発行者や多数のサービス提供者が存在する中でセキュリティを確保しつつ広域的に相互に利用していくためのスキームの提示、さらにはカードプラットフォームを搭載した先駆的な非接触インタフェースに基づくICカードやリーダライタの開発と互換性の検証等、現状を一歩進めた、時代に先駆けた開発を行いました。カードプラットフォームの開発では、カードAPおよびライブラリのダウンロード、実行、削除など、機能拡張が可能なカードの運用に関わる機能要件を整理し、カードプラットフォーム仕様を策定す

4.開発の成果

表2 互換性検証対象機能と検証方法分類

検証ポイント 互換性検証機 クロステスト

対象機能 による検証 による検証

電力伝送 ●

リーダライタから●

近接型ICカードへの信号伝送

近接型ICカードから●

リーダライタへの信号伝送

ポーリング ●

衝突防止 ●

伝送プロトコル ●

外部通信プロトコル ●

表1 今回試作したICカードの主な諸元

項   目 標準カード ミニカード

通信インタフェース ISO/IEC 14443準拠 ISO/IEC 14443準拠

(非接触)タイプB (非接触)タイプB

CPU 32ビットCPU 16ビットCPU

公開鍵暗号用 公開鍵暗号用

コプロセッサ コプロセッサ

搭載 搭載

RAM 12Kバイト 4Kバイト

ROM 128Kバイト 50Kバイト

不揮発性メモリ 64Kバイト 32Kバイト

4

図4 システム化対象モデルの策定

管理者�

カード発行者�

カードサプライヤ�

カード認定機関�

サービス提供�

カードAP�ダウンロード�

サービス提供者�

新世代ICカード�

カード発行�

・カード発行者認定�(ID、証明書付与)�

・サービス提供者認定�(ID、証明書付与)�

・カード運用状態通知�

・カードAP発行状況通知�

・カード運用管理� ・カードAP� 運用管理�

システム化対象モデル�

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るとともに、サービス提供者が用途に応じてセキュリティレベルの設定を可能とするためにサービスドメインという概念も導入しました。2種類(標準、ミニ)のカードプラットフォームの開発により、高い汎用性、互換性、安全性を確保するように規定したカードプラットフォーム仕様が、開発企業、チップ性能の異なるICカード上のソフトウェアとして実現可能であることが実証出来ました。ISO標準と、JICSAP仕様、EMV仕様等の既存の業界標準仕様との互換性を確保するためのICカードのコマンド仕様については、先進的情報システム開発実証事業(アドバンスドICカードシステムの開発)の成果を活用し、共通コマンドライブラリとして実現しました。従来のICカードシステムは、特定の団体、企業が提供するサービスに依存した閉鎖的なシステムとなっていました。今後は、カードやICカードシステムのコストシェアの観点から、カード発行者が発行する1枚のカードに複数のサービス提供者がカードAPをダウンロードし、ICカードを複数のサービス提供者が共用する方向に進むものと想定されます。新世代のICカードシステムにおいては、管理者、カード発行者、サービス提供者の構成による、安全性を確保し相互運用性を図るための、役割、責任分担などを含めた新しいスキームを提示しています。非接触ICカードの開発では、操作性、保守性に優れ、今後普及拡大が期待される、ISO/IEC14443準拠の近接型ICカードを開発しました。開発では、ISO/IEC14443の規定だけでは異なるメーカ間での互換性確保が困難であることから、アンテナ特性や共振特性等の実装レベルの規約を盛り込んだ実装規約を策定し、近接型インタフェース実装規約書としてとりまとめました。今回の開発では、ICカードをリーダライタに置くあるいはスロット内に挿入して使用する、既存のICカードで使用される条件に近い密着用途に限定した実装規約としています。以上、本開発では、新世代のICカードシステムの

あるべき姿を展望し、具体像の提示を行うとともに、先進的な技術によるその実現の可能性を検証することが出来ました。

本プロジェクトの開発は、既存のICカードでは具備していない高機能を追求したものであり、ソフト、ハードともに先進的で新規性に富む開発となりました。特に、世の中から一歩進んだICカードの世界を想

定し開発したものであることから、その成果は、現

状普及しているカードとは当然のことながら乖離があり、今後の成果の普及、拡大には、既存カードとの道筋が大きな課題と考えています。今回の開発は、前述した通り技術先導的な開発であり、多くの成果を得ることが出来ましたが、今後の普及、展開を図っていくためには、実証実験や、実際のサービスアプリケーションを想定した実システム上での評価を加え、より使い易いものに改善していくことが重要と考えています。策定した仕様は、高機能を満載したものとなっており、試作したICチップも最先端の非接触、大容量のものであり、先進的な技術の可能性を追求しています。今回提示した機能追加が可能な1枚で高機能なICカードシステムの普及、拡大には、利用面での考察を加えた改善が重要だと思われます。その上で、多機能型のサービス利用を前提とした具体的な先進事例を牽引車として、実証実験等の実際の場を通して普及、促進を図っていくことが重要と考えています。今後は、実装時にその時のユーザ条件やハードウェア環境等に合わせて選択的に搭載(プラグイン、プラグアウト)し利用出来る、より小回りの効く仕様にブラシュアップしていくことも重要と考えられます。そのためには、相互運用性を確保するための最低条件を見極め、必須機能、選択機能等を整理することが必要と思われます。また、セキュリティを向上させるための認証スキームについても同様であり、基本機能をどこまで標準として持たせるか、利用面での考察を加え、オープン性と対比した安全なカードとしての見極めが重要と思われます。セキュリティの評価に関しては外部機関(電子商取引安全技術研究組合等)との連携による評価も、今後検討が必要と思われます。互換性の確保に関しては、今後も実装規約を充実させていくとともに、第三者による継続的に保証していくためのスキーム(管理機構、認定制度、互換性評価基準等)が必要となってくるものと思われます。近づく21世紀の初頭には、公的分野においても統

一されたICカードが社会のインフラとして活用されていくものと想定され、本開発の成果が技術開示され、新しい時代の幕開けとして様々な場面で広く普及、活用されていくことが期待されます。

精力的に仕様検討や開発にあたっていただいた参加各企業のみなさま、適時、適切な助言や指導をいただいた次世代ICカードシステム研究会(会長:大山東工大教授)のみなさま、及び関係者の皆様に深く感謝いたします。

6.おわりに5.今後の課題と展望

5

技術開発研究報告

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政府における電子申請の実現への取り組みは「行政情報化推進基本計画」(平成6年12月閣議決定)以降、順次具体的な作業指針が示されております。しかしながら、関連省庁のみでも7千種類以上に

及ぶ申請等の手続きを個々に電子化することは、時間的、予算的に相当な困難が予想されます。このような状況の下、関連省庁における電子申請を導入促進するために、共通して必要とされる汎用的な電子申請システムの開発が、電子申請の基盤確立と発展につながるものと期待されています。財団法人ニューメディア開発協会では、通商産業

省からの出資を受けて情報処理振興事業協会が実施した平成8年度補正予算の一環として、我が国初の「XML文書対応インターネット電子申請システム」を開発しております。同事業では、インターネット経由の電子申請で共通的に必要となる基本的な機能を抽出し、通商産業省における申請業務において、同システムを利用する実証試験を実施して、その有効性を確認しています。

(めでいあ52号(1999.7)にて報告済)

今回さらに、平成10年度補正予算の一環として、前記「XML文書対応インターネット電子申請システム」で開発した機能をベースとして、個々の電子申

請において共通して必要とされるコンポーネント(申請に必要な個々の機能からなる部品に相当)の開発と、このコンポーネントから構成される汎用電子申請システムの開発を行いました。また、既存のフロッピーディスク(FD)による電

子申請やFAX、専用回線など、多用な電子的手段による従来の申請システムを組み入れた利便性の高い汎用電子申請システムとして構築しました。汎用電子申請システムの実用性、運用性等については、通商産業省などにおける実際の審査業務システム等と連携した形で実地検証を実施しました。

電子申請の普及・拡大のためには、関連省庁の各業務で導入される電子申請システムの相互運用性の確保が重要なポイントとなります。本システムの導入により、申請者である企業・国民などならびに受付者である中央省庁・自治体などにおいて、経済的、人的負担の軽減が実現されるものと期待されます。

電子申請で取り扱う申請文書は、法律等で規定された様式書類や添付文書など、複数のデータから構成される電子文書です。また、インターネットによる電子申請では、申請内容の真正性の確認や証拠性の確保のために『社印』に相当する「デジタル署名」

2.システムの概要

1.はじめに

図1 インターネットによる汎用電子申請システム

http://www.nmda.or.jp/nmda/soc/ 開発本部システム開発部次長足立和夫2

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が必要となります。本事業では、各種申請手続きに利用できるよう、

カスタマイズが容易な、汎用的な電子申請手続きに使用することができる汎用電子申請システムを開発します。そのために、まず「電子申請業務モデル」「電子申

請文書モデル」「電子申請通信プロトコル」の実装規約を策定し、次に策定した実装規約に基づき、必要となる各機能に対応したコンポーネント(部品)を開発しました。電子申請文書のデータ形式としては、XML

(eXtensible Markup Language)文書を採用しています。そのため、行政機関側が配布する申請用紙のひな型となる申請書テンプレートの作成機能を開発しました。また、申請者の申請書作成支援機能、『電子印紙』

による手数料支払証明書機能、添付文書の過不足を確認する形式審査機能なども開発しました。さらに、形式審査を行った文書について、内容審

査を行う審査システムとのデータ連携機能、申請内容にコメントを記入し申請者に通知する付箋(ふせん)通知機能、審査完了を通知する機能、申請文書の原本性保証電子保存機能なども提供します。XMLを採用することにより、申請者の負担軽減お

よび申請受付業務の効率化・迅速化が可能となります。申請書内データと行政側の審査システムとのデータ連携、審査途中における申請側と行政側との様々なやりとりについても効率化を図ることが可能となります。この他、電子申請システムの運用を支援するコン

ポーネント(部品)として、暗号ライブラリやPKI(Public Key Infrastructure)を利用した暗号化・署名処理に必要な鍵や認証書の管理機能等を提供します。これにより、個別申請システム開発者やシステム運用担当者の負担を軽減することが可能となります。以上のコンポーネント(部品)と既存の電子申請

手段をサポートするサブシステム等を組み合わせることにより、汎用的な申請手続きに対応可能な汎用電子申請システムを構築しています。これにより、申請業務の実情に応じて、機能構成を選択でき、運用性が高くカスタマイズが容易な、統一化された標準インタフェースを有する汎用システムが構築可能となっています。

(1)実装規約策定電子申請のフレームワークとなる「電子申請業務

モデル」(図2参照)や「電子申請文書モデル」を定めました。また、インターネット上で申請文書を確実に送付するために、電子申請に適した「電子申請通信プロトコル」の実装規約を策定しました。

申請業務を電子化するにあたり、共通的な機能を抽出するために、実地検証対象業務を含む5業務について調査を実施しています。なお、本実装規約の策定にあたっては、総務庁共

通課題研究会による中間報告も考慮しています。

(2)コンポーネント開発今回開発したシステムは、民側で申請書の記入と

発送を行なう申請者端末、官側で申請書の受付処理を行う官側サーバ及び官側での審査処理を行なう審査官端末から構成されています。本システムが提供する要素機能には、大きく分け

て、以下の三つがあります。

●電子申請文書処理機能申請書式や添付書類などの構造化された複数の文書(電子申請文書)を、RDF(Resource DescriptionFramework)に基づく管理情報と共に、XMLを用いて記述、処理するための基本的な機能、および、官側、民側で各々必要となる、申請書の管理、文書取扱者(申請者、審査官など)の管理、などの機能を提供します。●電子申請通信管理機能インターネットを利用した電子申請業務において、官民間のセキュアな通信を実現するため、電子申請通信プロトコルの実装規約に基づき、実用性、運用性の高い通信プロトコルを実装しています。機密性保持機能、到着時刻通知機能、分割送信/再送制御機能やセキュリティレベル設定機能などを提供します。●電子申請運用支援管理機能高度なセキュリティ機能を容易な操作で実現し、円滑な運用、管理を支援するために、可搬性媒体による鍵と認証書保管の運用の安全性保証機能、PKIからの認証書の取得機能などを提供します。

なお、本システムでは官側に送付された申請書を審査する審査上位システムに対し高度な接続性を保証するアプリケーションインタフェースを提供することにより、個別の申請手続きを審査するシステムとのデータ連携が可能です。また、本システムの外側には、民側及び官側にお

いて本人認証を行なうためのセキュアライブラリ及び認証局、官側において受付けた申請書を保管する原本性保証電子保存装置が存在することを前提としています。

(3)インターネット汎用電子申請システムの開発上記の(2)で開発を行なったコンポーネントを

活用し、汎用的な申請手続きに対応可能なインターネット汎用電子申請システムを構築しました。

3.開発システムの内容

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技術開発研究報告

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標準的な申請手続きに対応可能な汎用電子申請システムと、これを利用した審査業務の連携による電子的な申請・届出業務の有効性や確実性を検証するため、通商産業省、労働省の申請業務に基づき、汎用電子申請システム、審査業務としての備蓄法システム、化審法システム、助成金等申請審査システムの各業務システムを開発しました。また、個人による申請業務の電子化の有効性や確

実性を検証するため、横須賀市の協力により図書館および自治体の申請業務に基づいて、市民の個人認証を必要とする電子申請システムの開発を行いました。実地検証作業は、平成12年3月から7月にかけて

行いました。検証作業では、実際に申請・届出業務を行っている企業や、行政機関に申請を行う個人にモニタとして参加してもらい、申請書作成から受付結果の受信に至る一連の業務の流れに基づいて作業を行ってもらいました。また、参加者にはアンケート調査を実施し、その結果を基にして、分析・評価を行いました。ここでは、それぞれの業務システムの代表的な検

証内容と、その評価について述べ、さらに課題や、今後の展望等について考察することとします。

(1)備蓄法システム備蓄法システムを用いた検証では、主に汎用電子

申請システムと、備蓄法システムとの連携機能の確実性、申請書送受信の確実性についての検証を行いました。汎用電子申請システムと備蓄法システムの連携機

能については、すべての申請書データが取り込まれ、その結果、備蓄法システムにおける集計機能もすべて正しく集計されていることを確認できました。また、送受信については、申請書の送信と、受付結果の受信が確実に行えたことをアンケートの結果から確認できました。これらのことから、汎用電子申請システムと備蓄法システムの連携は確実に機能したことがわかります。

(2)化審法システム化審法システムでは、汎用電子申請システムを基

盤としてこれと連携することで少量新規化学物質製造輸入申出業務について、その確実性、実現性を検証しました。汎用電子申請システムを用いた申請書の確実性の

検証においては、申請書データが送信でき、到達確認番号が発番されたことを確認することにより、確実に処理されたことが確認できました。また、官側での審査処理の実現性の検証においては、申請書データの内容をもとに特定有害官能基の有無確認および制限数量以下に抑えるための確認を行い、その結果のログデータの解析から、審査処理の実現性に関して問題のないことがわかりました。

4.実地検証の結果

図2 電子申請業務モデルにおける概略業務フロー

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技術開発研究報告

(3)助成金等申請審査システム助成金等申請審査システムでは、育児/介護休業

者職場復帰プログラム基本計画認定申請の業務を基に、インターネットを介して電子申請業務を実施するにあたり、汎用電子申請システムを基盤として構築した同システムが有効であるかどうかについて検証しました。特に「インターネット通信サブシステム」という

セキュアな通信機能基盤として使うということに着目して検証を行いましたが、その結果、電子申請送受信において必要とされる申請者と官公署間の相互認証、改竄防止、漏洩防止などの機能を実装することが可能となり、これらはSSLの暗号化と比較すると利点があり、その仕様に対して申請関係者からは肯定的な評価がなされました。結果として、当業務において汎用電子申請システムを基盤として構築した電子申請の仕組みは有効であったとの評価が得られました。

(4)図書蔵書等申請システム個人がインターネットを通じて行政機関に申請を

行うというインターネット申請の有効性について、図書の予約購入申請と公文書の公開に関する申請を、実際に個人モニタに行ってもらい、アンケート調査の結果を基に検証を行いました。また、当システムにおいては、インターネット上で申請する際の申請者個人認証の有効性も同時に検証しました。その結果わかったことは、近年のインターネットの普及に伴い、利用者にセキュリティに対する感覚が備わってきたということです。利用者がインターネットにおける電子申請に多大な期待を抱いているということも判り、このことから、今後の個人認証方式を検

討するに際しては、安全性と利便性の両立ということが重要であるということがわかりました。図書の予約にICカードは必須ではないという意見もありましたが、申請者の本人確認と公開すべき公文書の管理を厳密に行うことが求められる公文書公開電子申請においては、本システムは、安全性や利便性について考察する上で有効に機能したと思われます。

最後に、行政サービスを享受するために、企業や個人が行政機関に対して申請を行うことが必要になることが多く、申請の簡素化並びに行政側の効率化を図る電子申請システムの構築は必須です。特にこれからはインターネットを利用して、安全且つ簡便に、申請・届出ができる環境が必須であると思われます。今回の実地検証では、多様な観点から電子申請業務について検証を行いました。今後は、この汎用電子申請システムが、各省庁における電子申請の基盤確立と発展に資することが出来るよう更に検討を加えながら、普及に努めていくことが重要であると思われます。

本システムは、平成12年度以降、通商産業省における電子申請業務一般における汎用システムとして採用される方向にあります。また、他省庁の業務においても、本システムの採用が検討されています。当協会では、開発した汎用コンポーネントを無償

ライセンス契約により配布予定です。また、それらを用いた電子申請システムの構築に際して必要となる、電子申請業務モデル、実装規約、構築ガイド、マニュアルなどのドキュメントも公開予定です。

5.おわりに

図3 申請書式の入力画面例

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私は、20世紀と21世紀の日本は何が違うかといいますと、20世紀は枠組みが主役であった時代、21世紀は個が主役になる時代と考えております。現在はその産みの苦しみといいますか、大転換してる時期だと思います。日本は戦後、大変なスピードで高度成長をしてまいりました。それはなぜできたのかというと、日本の中にある賢いひとつのやり方があったと思います。個は枠組みの中でその役割を果たすことにより、それなりに上昇することが出来ました。枠組みが果たすエネルギー、それが日本の高度成長だったと思います。ところが、今その枠組みがだんだん壊れております。個が大変豊かになり、枠組みを破るエネルギーを蓄積し始めたためです。規制緩和もその一つです。個人が過去の枠を破り自己責任を負って、自由にさせて欲しいと主張しています。例えば、女性は弱いものだということで保護していた労働基準法でさえ、女性の深夜労働を認めています。これからの日本は、おそらく枠組みがずーっと後ろに

薄くなっていき、枠組みは、個が活躍する舞台でしかなく、個がその上で自由に活躍することになる、こういうのが枠組みが主役から個が主役への時代の大きな社会変革です。そしてネット化・情報化が、この個が主役という時代

を加速しています。そこでは、多様化とか、ボーダレスとか、時間・空間の制約からの自由とか、競争社会とか、

フラット化とか、いろいろなキーワードが出てきます。これらは個が主役へ移って行く社会の大変重要なキーワードですし、それを情報化・ネット化が支援・加速しているという点を最初にお話しさせていただきます。

地域の自立の意味することは、1つ目は地域の主体性の確立ということです。それは経済的に独立するということではなく、責任をもって自分の目や耳や手や足、そして心で情報をとらえ、自分で考え、判断して、迷って、選択して、決めて、それを主張するというのが主体性の確立です。選択する意志と能力のないところに、正しい選択はできません。で、今やそれができる時代となりました。どんな僻地であっても情報は取れますし、その情報の判断能力、知的水準があれば、的確な判断ができるわけです。2つ目は、差別化による競争力ということです。地域は量・規模の大小で優れているとかいないとかいう時代ではないと思います。地域の特色を出し、差別化して競争していかなければいけないと思うのです。3つ目は、時代先取りによる社会への貢献ということです。地域に差別化するような強力な何かがない、資源がない、ではどうするかというと、時間軸で違いを出したらどうかと考えます。時代を先取りをして、常に何かについて時代の新しいことをやっていくことで、自分の地域をパイオニアとして情報発信源にできないかと思います。それから4つ目は、個が主役のボーダレスなネットワ

ーク社会になると、全てのことを行政区域で考えるというのは、本当に不自由です。これはある種の規制のようなものになってきます。したがって、行政地区を一緒にするとか、広域運営するとか、ある政策意図を一つの道とか州で一緒にして、地域をネット化することが必要

講 師セゾン総合研究所 理事長 坂本春生氏

テーマ「21世紀のネットワ-ク社会における地域づくり」

1.基調講演(部分)

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平成12年6月27日~28日札幌市において開催された「情報化フェスタ2000」のプログラムの

中から、基調講演とパネルディスカッションを取り上げ、その一部をご紹介します。

「情報化フェスタ2000(全国地域情報化推進会議)」1

地域の自立の意味「個」が主役の時代に

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となります。地域が相互に情報化・ネット化されてくると国は一目置かざるを得ませんので、堂 と々、ある地域と国とがディスカッション、ディベートして、そして必要なら予算をつけるというようになってくると思います。そうなってこなければ自立にならないと思います。最後の5つ目は、世界とのネットワークということです。

強いものに対抗するには、自分も強いパワーをもつ、それには視野を広くするということが重要なのです。どんどん世界とネット化していく、自分は東京だけ、中央だけを見ているのではない、世界とつながってるんだという意識でしょうか。これは大変大きな対抗力になると思います。

第1点は、人材集め、人材の活用ということです。地域にとっては、お金も必要、工場誘致も必要ですけれど、もっと必要なのは良い人材、いい住民なのです。特に優秀な人材をいかに集めるかということが大切です。日本の大学は、たとえ東大といえども世界の中では高い評価を得ていません。それはなぜかというと、スタッフや教授を世界中から募集していないからなのです。諸外国では世界中から募集して、優秀な人材を集めてます。ですから、情報化・ネット化を使って、もっと即戦力になる人を、地域は集めなければいけません。ただ人集めするときに、地域が閉鎖的だと人は来ません。特に外国人は来ませんし、都会人も来ません。そういう意味で、地域をオープンな雰囲気にしなければいけません。第2点は、情報リテラシー、情報教育です。この分野

は、東京ですら遅れています。情報の洪水に埋もれないで、必要な情報を選択して生かしていくという情報リテラシー教育です。それからコミュニケーション・リテラシー教育があります。世界とのコミュニケーションには英語が必要不可欠です。英語ができないということは、圧倒的に情報化・ネット社会では不利です。ですから、自分たちの地域は県民市民、全員が簡単な通信会話の英語ぐらいはできるようにするという執念で、教育することが求められます。今から初めても成功するのは10

年後ですからね。それからディベート能力、そういうものをきっちり教育するということです。田舎と都会の交流を図り、都会と田舎の授業を交換し、都会を知りながら田舎の良いところを成長させていく。都会の人には、自然の良さを知りながら都会で生きて行くという、視野の広い教育をしていく必要があると思います。第3点は、快適な生活環境の整備ということです。地

域の方が大都会よりも、自然が豊富という点でいえば快適に決まっています。便利さという点ではちょっと不自由ですけど、情報化・ネット化でかなり解決できます。後は心の快適さが大切で、これはなかなかネット化で

は対応出来ません。ベンチャーとかSOHO(スモールオフィス、ホームオフィス)と呼ばれるものは、森の中、川辺にオフィスがあってもかまわないわけです。成果はどんどんオンラインで、インターネットで都会にも世界にも発信出来ますから、生活環境というものをどんどん良くして、「ほらご覧なさい、こっちに住んだほうがものすごく知的生産効率が上がるでしょう」と。そして「家族も、幸せな感性豊かな生活ができるでしょう」と。地域は比較的第1次産業のウエイトが高いと思いますが、例えば農業も情報化を推進しないとこれからの農業経営は難しいと思います。株式会社の良さを取入れて、第1次産業の情報化を推進していくことです。次は、地域物産・特産の販売ネットワーク化です。新鮮なものを幅広く廉価で販売するためにも、情報化・ネットワーク化が必要です。それから、観光産業のビジネス化も大切です。観光情報をきちんと整備することは、地域にとって大変重要なことです。その次は、感性ビジネスです。地域の伝統を生かしたイベントとか音楽とか演劇とか、そういったビジネスは、地方では比較的やりやすいイベントです。高い土地や高い建物も必要ありません。面白いと思う人がたとえ10万人日本中に散らばっていても、なにかあれば数万人が地域に集まってくるのです。大事なのは、公共事業依存策の転換ということです。いつまでも、道路とか橋とかだけではなく、情報システムにもっとお金をかけるようにしていくべきではないかと思います。地域ができるひとつとして、ぜひアジアの留学生を沢山呼んでほしいと思います。地方大学こそがアジアの留学生の懐かしくて有意義な母校になれると思います。お話のようなことを1つ1つ実行出来れば、ネット化・

情報化の地域づくりというのは、まだいっぱいできる芽が残っているのではないかと思われます。

(文責:情報化フェスタ事務局)

今日は「21世紀地域新時代」と題し、情報化による地域の自立を探るという目的でパネリストの皆さんに伊藤

テーマ「21世紀地域新時代~情報化による地域の自立を探る~」

コーディネータ山梨大学工学部長 工学博士 伊藤 洋 氏

パネリスト(発言順)会津大学学長 工学博士 野口正一 氏インターネットショッピング 「逸品.com」社長 森本繁生 氏札幌市経済局長 小川敏雄 氏セゾン総合研究所 理事長 坂本春生 氏

2.パネルディスカッション(部分)

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地域情報化報告

情報化・ネット化の地域作り

セゾン総合研究所理事長坂本春生氏

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お話を伺います。ところで、新しい技

術が出現しますと、最初にこれに飛びつくのはイノベーターです。スタンフォード大学のロジャース教授によると、大体3%ぐらいのイノベーターがいるといいます。彼らがやってい

ることを良いと言って、それに支援して彼らにエネルギーをつぎ込むのが、およそ13%のオピニオンリーダーです。やがてアーリーマジョリティーと呼ばれる時代の流行に敏感な約30%の人たちが後からついてくるのだそうです。こうなると世の中の半数の人が新しい技術を享受してマジョリティ化することとなります。すると、私も参加しなきゃというので、30%ぐらいの遅れて参加するレイトマジョリティーという人々が参入してくるというのですね。つねに時代に乗り遅れる人が20%程度いるということなのだそうです。今インターネット利用者は、日本ではほぼ2,000万人と

言われてますので、人口の16%程度です。つまりイノベーターとオピニオンリーダーが出揃って、IT技術の発展のための準備がようやくできたということが今日の状況だろうと思います。

最初に理解していただきたいことは、基本的にネットワークおよびITの世界の基盤技術はアングロアメリカンの技術であり、それを引っ張ったのは、DOD(アメリカ国防省)ということです。これがすべての原点だということを理解しないと21世紀の本格的な技術開発はできない。例えばこれからの社会はEコマースの世界が中心になるでしょう。それを作っている考え方の基本を決めるのは、残念ながら日本ではなく、アングロアメリカンのカルチャーです。その意味で、国際人としてビジネスを中央でも地方からでも発信しようと思ったら英語というのは不可欠です。さて、インターネットの歴史を見たときに3つの局面が

あります。最初のインターネットの世界は研究者の世界で、閉じていたんですね。それが一般大衆化したのがこの1990年代の中頃であります。これですごいビジネスが生まれ始めました。21世紀はどうかというと、これは実はiモードに代表される移動体によるインターネットの活用です。次のインターネットをベースとしたビジネスの重要なタ

ーゲットは、ファイナンスとロジスティックです。これにインターネットをどうやって活用できるかということですね

「逸品.com」という電子商店街を運営しています合資会社逸品の森本です。3年前にサラリーマンを辞めまして、その後、特に物販、オンラインショッッピングの分野でインターネットビジネスに取り組んできました。メインの仕事は「逸品.com」の運営です。現在、「逸

品.com」は23店舗しかありません。1997年当初は9店舗から始めました。30名以上のお客様の推薦があり、23店舗の方全員の同意を得なければ出店できないというシステムを採っています。私の仕事はこれらの加盟店さんの発展が、まず1つ

あります。テナント料というのは月1万円ぐらいしかいただいておりません。ではどこで儲けてるかというと、このような方々からいただいた、日本一のインターネットで売るノウハウをまとめて、出版事業だとかセミナー事業、あるいは有料の電子メールマガジンで配信して、収入を得ています。一見異業種の商店が集まっている土壌ですが、ネット

ワークですから横のつながりが強く、23店舗さんが全員顔見知りで、どのように発展していくかを日夜議論しています。オンラインショップ大学とか、オンラインショップ協同組合というところにこういった集まりを持っていきたいと思っているのが、私の仕事です。

札幌市では2000年の今年をスタートに長期計画を出発させたところで、「市民とのパートナーシップ」が事業執行の大きな柱になっています。ここへきて情報技術がネットワークを中心として飛躍的に市民生活の中へ入ってきてますが、それによって地域のいろんな団体との接触が持ちやすくなるということがこれからのパートナーシップに欠かせません。それから地域の企業活動ですが、今までは企業団体を通じて産業振興というものを計っていましたが、情報化によって、それぞれの企業のご要望に応じた形が可能になってきました。北海道の役割について言えば、今後ネットワークを中心とした情報技術の活用というものを地域作りの中にどう生かしていくかというのが大きな問題だと考えています。北海道の中での札幌の役割については、産業振興で

あれ、NPO活動であれ、北海道の中心としての札幌のフィールドをうまく使い、一種の広告塔の役割を担えればと思っています。それからインターネット関係では、「ウェブシティー札

幌」が、役所関係の行事説明、観光情報、電子商取引の実験台になっている窓口的役割を果たしているところです。札幌市内の埋もれていた活動をどんどんネットで出していく中で、やはり地域の潜在力というものをもっとより広い方々に認識をしていただきたいと思ってますし、これがおそらく産業振興につながると思っております。

インターネットというのはアングロサクソンが基盤にあると。確かに今英語は国際語になっていますが、文化とかおそらくロジカルということも含まれていると思うんです。日

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会津大学学長工学博士野口正一氏

山梨大学工学部長工学博士伊藤 洋氏

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本がロジカルじゃないのか、インターネットにそもそもそぐわないのかというのには疑問がありました。それから森本さんの

お話で、確かにインターネットのショップ、大変面白いですね。ただ、インターネットショッピ

ングが盛んになれば、店舗を持った店はだめになるかと言うとむしろ、ますます差別化してものすごく面白い店が残るようになっていくだろうというふうに思います。それから、小川局長が札幌の話をされて、北海道で

は札幌集中というのがある面で批判的に言われていますが、私は大いに結構だと思っております。東京集中を止めるためには、まず北海道は札幌集中に移って、それからまた次に少し移ってというふうにしないと、みんなが対抗力がなくなり、東京に向いてしまうようになると思っています。

このIT技術は、つまり分散ということなんですね。集中から分散へというこれは大きな時代の変化だと思います。21世紀はおそらく分散をキーワードにする時代に入ってくる。そういう中で、どう個が確立されていくかが問題になるわけです。これから本論に入りますが、「地域の活性化」と言っ

たときに、ネットワークをどういうふうに張り巡らしていくのか、そのときに地域に中心になる人材をどう確保できるかがテーマになろうかと思うんですね。このパートではそれぞれのパネリストの先生方から、それぞれの専門領域で、地域でどういうふうに人材をまとめていくかをお話いただきます。

産学官連携には、幻想があります。どこでも、大体うまく行ってない。そういうことを考えてみますと、2つの新しい発想が

必要になる。1つは、民からの発想をどうやって取り込んでいくかということです。第2は、従来型の産学官連携のスキームを全く変えなきゃだめなんです。大学の先生はマーケットニーズに合わせることができない。確かに技術としてはいいが、マーケットニーズに合わない。そういう意味で、産学官の新しい連携のスキームを作り変えない限り、絶対地域の情報化とか新しい産業は興らないんですね。問題は何かというと、基本的に今われわれが一番ほしいのは技術じゃなくて、マーケット戦略が組める、ビジネスモデルが作れる人間なんです。それから、民の力を使う一番いい方法はNPOです。NPOは1人のリーダーがいますと、その先にいろんな協力者がぶら下がり、具体的に数千、数万の部隊ができます。そういうものが産業に転化したらすごい話になるんですね。もう1つは新しい産学官の体制の作り方の問題で、21

世紀型ベンチャーの育成に対してどういうふうに地方が取り組んだらいいかという話です。会津の話を少ししましょう。会津はお酒と漆器という大きい産業が2つあるんですが、どちらもこのところ産業として減少してきて、100億円以下の産業規模になっています。そこで大学が頑張って、100億円産業をターゲットに2005年から9年の間に新しい21世紀型のソフトウェア産業の会社を20作ろうじゃないかということを言い出したわけです。結果的に、6つの会社が最近できたんです。あと14作らなきゃだめだ。問題は社長です。その社長というのは技術はあるレベルでわかる必要はあるけども問題は2つ、ファイナンシングとマーケッティングの能力をもつことなんです。この能力のある人が社長にならなかったら、地域のベンチャーは絶対に成功しない。そして会津の場合、NPOの活動が最初にあったんです。青年会議所のグループが大学と一緒になって、中学生・高校生対象のコンピューターサイエンスサマーキャンプを3年間やってきました。東北通産局が理解してくれ、これを情報処理振興事業協会のプロジェクトにつながりました。それで、トライネットというベンチャーライクの企業ができました。つまり基盤技術の開発は、あるレベルで、国のプロジェクトでカバーできた。地方の10万20万の都市で、新しい仕事をするときに開発資金をどうするか、これはまさに大学と地域が頑張って、国のプロジェクトを持ってくるというのも1つの方法だと思いますね。これがその例なんです。

私は一消費者としてインターネットで買うことが好きな人間でした。そこには、感動があったと思います。インターネットに最も足りない部分が感動と信頼と思います。私の夢に描く世界はその中に血を通わすといいますか、商売のきちんとした基本を守るショップをインターネットの世界に作っていきたいということです。その中で大切なことは、プラスの口コミの活用を目指すことです。逆に、マイナスの口コミが伝わってしまうことは大きなリスクとなります。インターネットの特性を十分理解して、きちんと対処できた企業(ショップ)というのは、人気を博していくと考えてます。繁盛するウェブページ作りは、専門店化というところに集約されていくと思います。参加している各ショップは、それぞれが多くの商品を取り扱っていますが、インターネットだからこそ得意商品を凝縮して専門店に仕上られたわけです。こういうお店作りができますと、必然的にコアユーザー、ファン層ができてきます。ファンは商品について口コミをしていただけますし、商店主に会いたいと実際に足を運んでくれます。われわれ

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地域情報化報告

札幌市経済局長小川敏雄氏

インターネットショッピング「逸品.com」社長 森本繁生氏

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そういったお客さんを大事にしていきたいと思います。札幌市に限定をしますと、10年位前にオロパス

(SAPPOROを逆さ読み)と言う名のホームページを開いたのが最初です。当時は北海道の行政という意味ではなく、北海道内の地域情報を発信しようということで始めました。確か道内で500人くらいの方が合作をして開いたホームページが一番速いホームページです。その後継続してやっていく方たちが一種の自主団体みたいなものを組織して、自分達の興味で活動を始めたわけです。道内の有志が、わざわざ札幌に出張してきながらやってたということで、札幌市内にこだわらない発展形態がとられてきています。札幌市の市役所側の動きを紹介しますと、長期計画

の中では、新札幌型産業の育成と集客産業の振興という2本柱を掲げています。新札幌産業というのは、札幌市という地域特性を生かそうという意味で、その1つに情報産業の振興をあげています。情報産業の振興は取り組みが早かったせいもあって一定の成果を上げてきてます。私どもの政策も、企業が活動しやすいような環境づくりということから、あまり市域に固執しない形でおこなっています。

人にその地域をいかに好きにならせるかということ、森本さんの言われたファンを作るということが地域の振興につながると思います。地域が住民をファンにして、これだけの選択の豊かさの中で、自分はここを選んで住んでいるのだということです。そういう意味で、住環境をよくすること、行政サービスをよくすること、痒いところに手がとどくようなところに行政の選択肢があると思います。企業を引っ張ってくるのではなくて、そこに住みたいという人を引っ張ってくるというところにもっと力を入れたらいいと思います。それから、野口先生が先ほど産学官連携はうまくい

かない、それは上からの発想だからというお話をなさいました。私もそう思います。産学官連携の官がついているのは日本だけなんでしょうか。アメリカは産学協同のような気がするのですね。私は、上からの押し付けで、官が出てくることは良くないと思います。さらにいえば、産学の共同というのが学者の価値として認められないことです。私は学問の世界で、教え上手、論文上手ということのほかに、コミュニティー貢献上手ということをもうちょっと考えないといけないんじゃないかなと思うんですけど。

坂本先生のおっしゃるとおり、日本の大学というのは、学問の輸入と翻訳をすることが使命だったんですね。それではだめよと言われ始めたのはこの10年間なんです。アメリカの大学が産業界に門戸を開いていったという歴史もそう古いものではなく、1970年代くらいからスタートしています。

アメリカは官が関与してないのかという話ですが、これはあるんですよ、ものすごく。スキームは日本と違います。例えば、ゴア副大統領が提案しているネクス

トジェネレーションインターネットプロジェクトはまさに国がトップダウンでやっています。その中で実は多くのプロジェクトが生まれてます。残念ながら日本でもずいぶんお金使いました。日本は政治のトップに情報化に関する本質的な理解者がいないんです。それが最大の問題でしょうね。第2の大学はどうか。21世紀において最も改革をす

べきことは、実は官の中の大学なんです。残念ながら、日本における情報系大学を作る基本的コンセプトはコンピューターサイエンスがベースで、インフォメーションテクノロジーではないんですね。もっと大きい問題は大学の中の制度的問題があります。1つは先生方が助教授になり、教授になるときの評価の問題ですが、これは論文が中心ですね。もちろん論文は大事です。しかしながら、評価の対象として、どれだけすばらしいソフトウェアのプロダクトを作ったか、あるいはインターナショナルな標準化に対して、どれだけの貢献をやったかというようなことが評価されていきますと変わっていくんですね。先生の兼業問題が最近変わりました。でも国は変わ

りましたが県等はまだ変わらないんですよ。アメリカの場合はまさに産学の連携がきわめてうまい仕組みになっているのです。具体的にある先生がある会社の社長になれる。日本ではありえないでしょ。それから、つい最近まで企業とコンサルテーションをしてそこからリワードを取るというのは、罪悪と言うような雰囲気がありました。これでは大学の先生は働かないですよね。いろんな問題がありますが、大学改革こそが実は日本の21世紀の新しい先端分野を開くために変えなきゃならない問題です。つまり、日本の大学、日本の国研もそうですが、研究の中心はサイエンスオリエンティッドの基礎研究と称する分野に特化しています。いわゆる実用化研究は企業の研究所が頑張ってやっています。そこを産学の細い線がつないでるんですね。アメリカの場合は、基礎研究から実用化研究にいたるいろんなフィールドでそれぞれの大学が寄与しています。こういうような状況を日本がこれから作っていかなかったら、とてもアメリカに勝つチャンスは少ない。いずれにしても、日本は21世紀型の大学を作っていかなければなりません。一つの問題は国際化です。ITにおける人材は日本人だけでは絶対に足らないのです。世界的なレベルで人を集め、インターナショナルな意味で国際的に機能できる大学を作らなければなりません。

今年の4月から、人事院規則17・18・19というのが変わりまして、技術移転機関(TLO:TechnologyLicensing Organization)であれば、国立大学の教官も企業の役員の兼業ができます。それから、監査役でしたら条件なしにできます。さらに、大学内で自分が開発した研究成果について、企業に持っていって実用化をするという場合には、その技術担当として、役員として兼業することができるようになっています。ぜひ皆さんの

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地域で、地域の大学の教官を巻き込むという場合には、これを使っていただいたらよろしいかと思います。

あらゆるところにビジネスチャンスがある、こんなにいい時代はないと思うのです。ただし、国際的なリーディングビジネスを作るのは重要であるが難しい。今、ビジネスを起こすときに一番簡単な方法は、日本とアメリカのITギャップを探すことです。これを見つけたらいいビジネスになります。いろんなニーズがある、ならばどういう技術をどこで持ってくればいいかというのが戦略になるのでしょう。今、東京一極集中の話がありますけど、大学に関する限り、かなり地方に分散しています。問題は卒業後の地域の受け皿がないから、ほとんどの学生が東京に行ってしまう。その受け皿をどうやってつくるかというのは地域が考えなければいけません。今の学生さんたちの中にも「寄らば大樹の陰」的な考え方は残ってますが、面白い仕事ができたら、どこでもいいよという学生もいるのですね。大学とともに先端的な面白い仕事を地域が作ってあげれば、いい学生が集まります。地域の良い人材をいかにキープするかという戦略を、地域がぜひ作っていただきたいと思います。

われわれの一番心がけている言葉というものがありまして、これはダーウィンの進化論というもんですが、「強いものが生き残るとは限らない。賢いものが生き残るとは限らない。変化に対応できるものだけが生き残る。」ということを念頭においてやっています。時代の流れが非常に速いです。いかに変化していくか、その組織作りというのが重要になってくると考えています。つまり、いかに柔軟な組織を作っていくかです。情報産業、ITを活用するためにはまずここをやっておかねばなりません。そういう意味で小回りの効く中小企業のほうが、決定に時間のかかる大企業よりも、IT産業における主導権を握れると思います。ですからまず、変化に対応する組織が重要であるということ、そういった認識を経営者自ら持っていただいて、全社に浸透するという部分が非常に重要なんであろうと思います。本当に流れが速いインターネット業界ですので、最初に言ったようにノウハウの隠し事をしないというのがノウハウになっております。つまり私の経験を皆さん方に公表することによって、さらにそれよりもすばらしいノウハウが掲示板やメーリングリスト等で手に入ります。このようなしのぎ合いがあるからこそ、最先端のノウハウができていきます。何か隠し立てをした企業というのは、残念ながら今のところついてきてはいません。自分が何も与えないのに与えてくれる人はいないということです。インターネットの世界というのはまだ成熟しておりませんので、はっきり言ってまだ隠し立てするようなことは何もないと思います。

札幌市の地域情報化構想を、4年位前に作りました。その中で、地域コミュニケーションの推進をキーワードに、地域の情報化を進めるということを作ってい

ったわけです。地域サービスの向上を行政が図って行くため、ITを活用することが市民サービスの向上に役立ちます。行政としてはできるだけ新しい実験やっていこうという意識で取り組んでます。一方で、企業なり市民活動が主体となり、ひとつのものをできあがらせるフィールドが札幌の中にたくさん生まれると良いと思っています。もうひとつ、だんだん突き詰めていきますと、情報化の推進は人材そのものです。幸いにして、新しい企業が来たときに人材の層の厚さに関しては評価していただいております。ですから、そういったものをもう少し、バイリンガルな人材の育成も含めてやっていければいいなあと思ってます。最後に、坂本先生がおっしゃった内容ですが、札幌

に住み続けたいという市民が、市民意識調査で95%くらいあります。札幌の四季であるとか自然であるとか、そこそこの便利性であるとか、市民の解放性というか、そういったベースの中で都市の魅力をもう少し将来的に維持しながら、そこによい人材を集めたいという感じでこの5年間はやっていきたいと今は思っています。先ほどのコアユーザーという話についても、札幌ファンのコアユーザーについてこれを契機にじっくり勉強させていただきまして、1人でも2人でも増やしていきたいと思っております。

インターネットがこの国の民間に開放されましたのは、1995年ですが、以来インターネットの普及は急速に広がりました。おそらく21世紀が始まってみると爆発的に世界に展開していくんだろうと思います。近代という世界は集中を基本的な理念としてできあがっていた社会ですけれども、情報化社会というのは集中から分散へというふうに変わっていく世界だと思います。その意味でアメリカは1970年代、ベトナム戦争に負けた後、これからはまさに集中から分散へという世界を認識し、日本人もようやくその都市型の集中から分散へ移ろうとしているのではないかと思うのです。その分散していく受け止め方、これがこれからの地域間のパワーの違いを示していくのであろうと思います。その意味で、ネットワークインフラをどう構築していくかということが21

世紀の地域発展の基本的条件になっていくだろうと思います。行政としてそういう環境を大急ぎで整備しておいていただければ、21世紀への展望というのは必ずしも暗いものではないと思います。今われわれ日本人にとってはこの世紀末はいささか暗い世紀末になっておりますけれど、あと半年して21世紀を迎えた頃には人々の気分も変わっていくのだろうと思います。この変わっていく気分を促進させていくのが、ITなんだと思います。そのITの先行きをガイドしているのが、今日お集まりの皆さんでしょう。皆さんのご健闘をぜひ期待してこのシンポジウムをお開きとさせていただきます。

(文責:情報化フェスタ事務局)

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地域情報化報告

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我が国の明るい未来を造り上げていくためには、国民が将来にわたって夢と希望がもてるような社会をつくることが不可欠です。そのためには、国民の多様化した価値観を活かし

た、また、住民が誇りをもてる個性豊かな地域づくりを目指した、ゆとりと潤いのある生活や活動を実現することが重要になります。一方、インターネットやマルチメディアに象徴さ

れるように、急速に進展するデジタル技術が活用されることによって、物理的制約に関わりなく、労働、就学、消費、余暇等の生活空間を大幅に広げることが可能になります。こうした中で、地域の創意工夫を活かした社会空

間の創造や拡大を図れるような社会システムを構築

することの意義は大きく、その成果を普及させる必要が生じています。これを推進するため、通商産業省は、平成10年度

の補正予算の一環として、生活空間倍増計画の趣旨を踏まえ「生活空間情報化システム開発事業」を実施するため、情報処理振興事業協会(IPA)に出資し、「地域生活空間創造情報システム整備事業」については、財団法人ニューメディア開発協会がIPAから受託して開発事業を実施しました。「地域生活空間創造情報システム整備事業」は、生活空間の質的向上と拡大、地域の創意工夫を活かした生活空間の創造に資する情報システムの開発を行い、我が国経済の活性化を図るとともに、豊かな生活空間の実現を図ることを目的としています。

地域生活空間創造情報システム整備事業2

1.事業の目的

事業一覧表分類

生活空間

創造共通

基盤整備

部門

地域ニーズ型生活空間創造部門

広域的情報化

南空知いきいき生活情報空間の創造要請者:北海道栗山町/由仁町/栗沢町/南幌町/長沼町 開発者:富士通株式会社

中部西関東地域における広域生活情報ネットワークシステム要請者:山梨県白根町/櫛形町/若草町/八田村 開発者:株式会社前田麻名デザイン事務所

アイウェイ電子共和国~三原広域市町村連携住民サービスシステム~要請者:広島県三原広域市町村圏事務組合 開発者:株式会社三原システムエンジニアリング

美瑛町生活空間の実距離を短縮する双方向情報通信システムの開発要請者:北海道美瑛町 開発者:株式会社マイクロフィッシュ

山形県白鷹町生活空間創造情報システム開発要請者:山形県白鷹町 開発者:日本電気株式会社

福島県川俣町の総合福祉・コミュニティ・防災情報システム要請者:福島県川俣町 開発者:株式会社日立製作所

両津市(佐渡)の行政サービスエリア格差是正システム開発事業要請者:新潟県両津市 開発者:株式会社東芝

鳥羽市離島等におけるデジタル生活空間創造情報システム要請者:三重県鳥羽市 開発者:アプリケーション・リサーチ株式会社

鳥取県智頭町ひまわり生活空間創造情報システム要請者:鳥取県智頭町 開発者:株式会社日立情報システムズ

座間味村バーチャルアイランズコミュニティシステム開発要請者:沖縄県座間味村 開発者:アイオニクス沖縄株式会社

大和市電子情報交流システム「どこでもコミュニティ」の開発要請者:神奈川県大和市 開発者:エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社

「知りあい、ふれあい、支えあい」地域ネットワークシステム要請者:東京都世田谷区 開発者:三菱電機株式会社

地域のトータルパワーを発揮する環境共生まちづくり支援システム要請者:神奈川県藤沢市 開発者:松下電器産業株式会社

富山県山田村地域情報化ネットワークシステム開発・実験要請者:富山県山田村 開発者:株式会社シナジー

次世代通信基盤を活用した地域コミュニティシステム要請者:京都府精華町 開発者:松下電器産業株式会社

読谷バーチャル平和資料館整備事業要請者:沖縄県読谷村 開発者:有限会社琉球出版社

SOHOビジネスのための協業化支援システム開発普及事業開発者:熊本ソフトウェア株式会社

在宅ワークマネジメントシステム構築による在宅ワーク市場の創出開発者:株式会社ザ・アール

離島・中山間

地域コミュニティ

事業名・要請者・開発者

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地域情報化報告

この事業は、提案公募方式によりシステム開発を公募し、採択案件を選定しました。応募に際しては、ニーズのある自治体等が要請を行い、開発者が申請をおこなった「地域ニーズ型生活空間創造部門」と

開発要請者との関係は問わない「生活空間創造共通基盤整備部門」の2部門があり、財団法人ニューメディア開発協会が開発者と請負契約を締結し、システム開発を実施しました。

2.事業内容および方法

(モデルケースの場合)�

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南空知いきいき生活情報空間の創造

行政と消防分野において、従来のFAX・電話・紙ベ-スのコミュニケ-ションに代わるものとして構築する情報共有、業務連絡の電子化、テレビ会議などのネットワ-クを活用し、拠点連携業務の効率化・迅速化を図る。また、子供、中学生、専門学校の生徒、主婦、一般住民、高齢者、行政職員、さらに、北海道立太陽の園の医師、東京医科歯科大学の教官も遠隔から参加するネットワークシステムを構築し、単に南空知地域のふるさと市町村圏計画を促進させるのみならず、広域情報連携による住民へのサービスの充実を実現する。

事業計画

開発の背景・目的南空知地域は、平成10年度「第2次南空知ふるさと市町村圏計画」を策定し推進している。この重点プロジェクトとして南空知情報交流ネットワークの構築が位置付けられている。このような状況の中、子供から高齢者まで誰でも容易に利用できるネットワークを構築することが強く求められており、同時にそれらを活用した地域住民も恩恵を受ける生活情報空間を創造することも求められている。本事業は、これらの課題を解決するネットワークシステムの開発に取り組んだ。

システム検証●各センター毎の操作容易性の検証●運用管理の妥当性の検証●住民のサービス利用に係る妥当性の検証●広域ネットワーク環境の検証

今後の展開/普及計画システムの有効性、問題点を踏まえて運用強化を推進する。具体的には、サ-ビスセンタ-用パソコンや家庭用端末の規模の拡大を図りつつ、運用に係る問題点を掘り下げる。また、開発したネットワ-クシステムの利便性について広くPRし、本地域と類似した他の地域への普及を進める。

システム開発システムの特徴子供から高齢者まで、地域住民の誰もが参加できるような、双方向動画像通信を機軸とした広域マルチメディアネットワークシステムである。一元管理されたデータベースで福祉、医療、消防、教育のそれぞれの運用に合った情報と使いやすい操作性を提供する。開発内容●多地点テレビ会議関連システム機能●データベースサーバ機能●センターシステム機能●広域消防連携システム機能

本システムは地域住民のニーズを行政、消防、

福祉、医療および教育の分野から捉えた7個のアプリケーションを含む多面的なシステムである。南空知地域の内、栗山町を中核とする南々地域5町(栗山町、由仁町、栗沢町、南幌町、長沼町)の各施設および住民の家庭、さらに伊達市および東京都の施設をISDN回線で結び、双方向動画像通信を機軸とした、子供から高齢者まで誰でも容易に利用できるネットワークシステムを構築した。7つのアプリケーションは、広域福祉連携基盤ネットワーク、広域消防連携ネットワーク、高齢者支援テレケア、子供の心の教育支援、遠隔テレケア教育、遠隔子育て支援、住民健康増進支援である。

南空知いきいき生活情報空間システムの創造事業システム

概要

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地域情報化報告

中部西関東地域における広域生活情報ネットワークシステム

地域住民の多様化した価値観を活かし、住民が誇りをもてる個性豊かな地域づくりを目指した、ゆとりと潤いのある生活や活動を実現することが国の施策である。一方、急速に進展するデジタル技術、情報技術を活用することにより、物理的制約に関わりなく、生活空間を大幅に広げることが可能となった。本システムは、4町村連名で地域の創意工夫を活かした社会空間の創造や拡大を図り、共有できる情報システムを実現すべく計画された。

事業計画

開発の背景・目的対象地域の山梨県八田村、若草町、櫛形町、白根町は、「中部西関東市町村地域連携軸協議会」で中核的な役割を担っている。広域的な連携を可能にする情報インフラの整備、情報通信システムの開発、携わる人材の教育と地域連携が必要不可欠の条件となる。公共施設利用、災害対策、広報・観光・商品情報活用、リサイクル・ボランティア、生涯学習の各分野で先進的なシステムを構築し、豊かな生活空間の拡大に寄与することを目的とする。

システム検証●公共情報提供・施設予約機能の効果に関する検証●地域間広報・観光・商品情報提供機能の効果に関する検証●双方向リサイクル・ボランティア情報検索機能の効果に関する検証●インタラクティブ型生涯学習支援機能の効果に関する検証

今後の展開/普及計画平成12年2月にHaWKS運営協議会を設立し、4町村が幹事会員となり、学校・団体が協力会員となり運用にあたる。当面の課題として、1.運営管理の人材の育成。2.現在の構成員をもとに地域住民・専門家・企業の参加を得て、当初の目標である情報化を広域で拡充して行くためのNPOの設立がある。インターネットを基盤としているので、4町村の運営と併行して、将来的には限られた地域ばかりでなく、全国展開できることが期待される。

システム開発システムの特徴広域生活情報ネットワーク「HaWKS」はWeb技術を駆使し、「広域型地域情報受発信システム」を目指し、全国的なデータベースの一部を形成し、全国のデータベースと相互乗り入れが可能になるように構築されている。また、オブジェクトデータベースを活用することにより、複雑な関係を持つデータ間の処理を従来のものより高速に実現できる。また、データの自動生成ができることもオブジェクトデータベースの特徴である。開発内容●公共情報提供・施設予約機能●地域間広報・観光・商品情報提供機能●双方向リサイクル・ボランティア情報検索機能●インタラクティブ型生涯学習支援機能

中部西関東地域における広域生活情報ネットワークシステム「中部西関東地域における広域生活情報ネッ

トワークシステム」は、インターネットを基盤として、サーバおよびオブジェクト・データベース管理システムで構成されている。対象地域の山梨県中巨摩郡八田村、若草町、櫛形町、白根町の4町村における豊かな生活空間実現のための「広域生活情報ネットワークシステム」を構築し、頭文字をとって「HaWKS」と呼んでいる。データベース用・フロントエンド用・FAX用サーバならびにシステム管理用パソコンは、システムセンターに設置されていて、4町村のユーザは、インターネット・電話回線を介して、それぞれのパソコンから情報を共有活用し、地域の交流・連携を可能にする先進的なネットワークシステムである。

システム概要

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アイウェイ電子共和国~三原広域市町村連携住民サービスシステム

平成3年度に策定された「三原広域ふるさと市町村圏計画」をうけ、市町村連携による地域情報化の取り組みが開始された。この計画に基づき、本システムの開発に着手し、ハード整備を平成12年3月に完了し、ソフトウェア開発・検証を経て、平成12年8月から本稼動となる。

事業計画

開発の背景・目的広島県三原市、豊田郡本郷町、御調郡久井町、世羅郡甲山町、世羅町、世羅西町の1市5町で構成する三原広域市町村圏事務組合は、「三原広域ふるさと市町村圏計画」を平成3年度に策定し、市町村連携による生涯学習施設や情報化施設の充実にはげんできた。しかしながら市民意識調査より、行政サービスの情報がリアルタイムに伝わらない、実生活における住民レベルでの地域間交流がほとんどないなどの問題点が浮かび上がった。このような要望に対し、家庭内のテレビや電話/FAX、パソコン、及び三原広域市町村公共施設に設置された街頭端末から利用が可能なアイウェイ電子共和国という名前の仮想自治空間を作成し、これまで実現されなかった住民レベルでの情報の広域化・共有化を実現し、住民生活の向上と地域の活性化を図ることを目的とする。

システム検証●システム連携機能に関する検証●電子共和国ご意見箱機能及び電子共和国掲示板機能に関する検証●電子共和国防災センター機能に関する検証●施設予約連携機能及び図書館情報連携機能に関する検証

今後の展開/普及計画一般住民を対象としたサービスへ向けて、利用者の満足度をさらに向上させる研究・開発を進めて行きたい。他自治体での利用も可能であることから、今後検証ユーザや職員などの意見を反映させながら、他地域への展開を図る予定である。

システム開発システムの特徴家庭内のTVや電話/FAX、パソコン、及び三原広域市町村公共施設に設置された街頭端末から利用が可能な仮想自治空間を構築し、これまで実現されなかった住民レベルでの情報の広域化・共有化を実現し、住民生活の向上と地域の活性化をはかるために、以下の開発を行う。開発内容●システム連携機能 ●電子共和国ご意見箱機能●電子共和国掲示板機能 ●電子共和国防災センター機能●施設予約連携機能 ●図書館情報連携機能

三原広域市町村圏の1市5町を広域ネットワ

ーク上で統合した、アイウェイ電子共和国という名前の仮想自治空間をWWW(World Wide Web)上に作成し、複数の市町村が参加し、活用する情報処理システムを提供する。このシステムは、家庭内のテレビや電話/FAX、パソコン、及び三原広域市町村公共施設に設置された街頭端末から利用が可能で、この仮想自治空間を通じてこれまで実現されなかった住民レベルでの情報の広域化・共有化を実現し、住民生活の向上と地域の活性化を図ることを目的としている。

三原広域市町村連携住民サービスシステムシステム

概要

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地域情報化報告

美瑛町生活空間の実距離を短縮する双方向情報通信システムの開発

本事業は、普及率が高く高齢者でも利用できる電話の活用をベースとした住民側、行政側の双方が「教育」「医療・福祉」「行政」「地域産業育成」において有効な行政サービス情報システムを構築することにより、町の基幹産業である農林業、観光業の振興、福祉社会の創造、情報化の進展など生活の充実と地域の発展を図ること目指している。

事業計画

開発の背景・目的美瑛町は北海道の中央に位置しており、東京都23区と同規模の広大な面積を有する農業と観光の中山間地域である。さらにその地理的な特徴から、特に冬場は極寒で積雪が多いため町役場・病院・図書館などの公共施設を訪れる足の便に大きなハンディキャップがある。また、地域的な特徴として、人口の25%が65歳以上の高齢者が多い過疎地域でもある。このような状況の中、高齢者や住民が自宅に居ながらにして、手軽に利用できる行政サービス情報システムの構築が目的となった。

システム検証●電話での操作性と担当部署への受付データの自動配信機能の検証●受付データ確認画面の操作性の検証●観光アドバイザー運用管理の操作性の検証●システム維持の検証

今後の展開/普及計画本システムによって、美瑛町内の生活空間の質的向上を図ると共に、更により以上の質の向上を目指し町内だけでなく隣接する町、あるいはインターネットを利用し日本全国の自治体との連携が図れるようなシステムの拡張・拡充に努め、他の自治体に対し、本システムの普及を働きかける。

システム開発システムの特徴本システムは4つのアプリケーション(サブシステム)から構成され、「情報の収集」「情報の管理」「情報の提供」「情報の保守」の流れを構築するものである。開発内容●移動図書館運用支援システム●福祉巡回サービス支援システム●住民サービス支援システム●観光アドバイザー運用管理システム

美瑛町生活空間の実距離を短縮する双方向情報通信シス テム本システムは、普及率が高く高齢者でも簡単

に利用できる電話の活用をベースとした住民側、行政側の双方が「教育」「医療・福祉」「行政」「地域産業育成」において、下記のサブシステムを導入後すぐにサービスを提供することができる24時間対応の行政サービス情報システムである。●教育(移動図書館運用支援システム)●医療・福祉(福祉巡回サービス支援システム)●行政(住民サービス支援システム)●地域産業育成(観光アドバイザー運用管理システム)

システム概要

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山形県白鷹町生活空間創造情報システム

システム検証により明らかになった地域住民の新たなニーズについて、山形県白鷹町に対するサービスの設計、情報コンテンツの企画、設計等の提案と実施支援を行うことにより、同町における本プロジェクトの成果である情報システムの一層の普及を図る。更に、公共施設及び行政サービス部門におけるクライアント用パソコンの増設、情報サーバ類の強化、高速ネットワーク構築の提案とその実現推進により、快適な情報サービス環境の構築を計画している。

事業計画

開発の背景・目的典型的な中山間地域である山形県白鷹町では、地域振興、高齢化対策、産業振興、コミュニティの再形成等の課題を解決する地域情報システムの実現が望まれている。本事業では、「コミュニティ掲示板システム」、「遠隔行政システム」、「パソコン救急システム」、「産直農業支援システム」を開発し、地域住民、学校教諭、地元企業、パソコンクラブ等の新しいコミュニティの形成に寄与し、豊かな生活空間の実現を図ることを目的としている。

システム検証●利用目的達成の検証●地域活性化の検証

今後の展開/普及計画ハード面においては、学校や公民館等の公共施設におけるクライアント用パソコンの増設、及び行政サービス部門におけるクライアント用パソコンの増設により、一層の普及を図ると共に、情報サーバ類の強化、及び高速ネットワーク構築により快適な情報サービス環境の実現を図っていく。また、運用面においては、本システムの有効活用と会員数の拡大を図るため、行政側の運用体制を整備し、町民へのPRに努めていく。

システム開発システムの特徴本システムでは、地域住民及び自治体職員が利用しやすいことを目的とし、ワープロ感覚で操作でき、初心者の方でも親しみやすいユーザインターフェースを提供した。また、CTI(コンピュータ・テレホニー・インテグレーション)技術を取り入れて、FAXでの情報発信を実現するなど、最新のHTML・WWWサーバ・CGI・RDBMS・セキュリティ・マルチメディア関連の先進的な情報処理技術を採用している。開発内容●コミュニティ掲示板機能●遠隔行政機能●パソコン救急機能●産直産業支援機能

本システムは、中山間地域である山形県白鷹

町において、身近な公共施設で行政サービスが受けられること、遠隔地においても様々な情報活動に参加できること、住民と行政職員とが双方向のコミュニケーション情報サービスを受けられることを目指して開発した。地域住民に対しては「コミュニティ掲示板システム」による情報共有サービスと「遠隔行政システム」による行政相談サービスを、学校や事業所等に対しては「パソコン救急システム」によるQ&Aサービスを、生産農家に対しては「産直農業支援システム」によるWeb直販サービスを提供する。

市町村の枠を超えた地方自治の輪で福祉の街づくりシステム

概要

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地域情報化報告

福島県川俣町の総合福祉・コミュニティ・防災情報システム

本事業では、福祉システム、川俣コミュニティシステム、防災システムの川俣町への適用及び役場職員、住民モニタによるシステム検証により、本システムの生活空間拡大効果に関する検証を行うとともに、システム稼働率の確保、システムの維持及びメンテナンス等の実用上の課題を明らかにすることを成果目標とする。これにより、川俣町における本システム本格適用へのスムーズな移行、及び、住民への普及促進という効果、更には同様の特性を持つ他の地方自治体への普及を図る。

事業計画

開発の背景・目的川俣町は福島市から南東約20Kmに位置し、町を阿武隈川支流広瀬川が貫通する。人口は19,000人(昭和30年比30%減)高齢化率22%の典型的な中山間地域である。町は国内では横浜、海外では毎年アルゼンチンと交流し進取独立の気風が高い。災害面では、広瀬川の氾濫、土砂崩れによって交通、通信路が分断され孤立した事例があり、これらの問題を考慮した高齢者に対する福祉施策の充実、地域コミュニティの更なる活性化、防災システムの導入を目的とする。

システム検証●福祉システム機能の検証●川俣コミュニティシステム機能の検証●防災システム機能の検証

今後の展開/普及計画本プロジェクトの成果及び抽出された問題点の検討を踏まえ改善を行うとともに、定期的な防災訓練、情報教育の啓蒙等により川俣町への普及を図り、全国のモデルとなる社会基盤システムを目指す。他の地方自治体に対しても本システムの導入を働きかけ、情報化による豊かで安心できるライフスタイルを提案する。その後、川俣町と、本システムを導入した他の自治体との間でシステム連携を図り、新たな広域連携情報ネットワークの構築を目指す。

システム開発システムの特徴本システムは、平常時は福祉システム、川俣コミュニティシステム、災害時は防災システムとしてシステム資源を共用し、投資効率の向上及び設置スペースの削減を図ることができる。さらに、平常時からの活用により、システムの稼働率を向上することができ、災害時に生きたシステムとして活用できる。開発内容●福祉システム機能●川俣コミュニティシステム機能●防災システム機能

福島県川俣町の総合福祉・コミュニティ・防災情報システム本システムは、保健センターと福田公民館、

山木屋公民館、道の駅「川俣」をネットワークで接続し、また現場情報収集端末は、モバイル端末として携帯電話等により接続し、住民に対し福祉サービス(保健指導、高齢者訪問指導)、川俣コミュニティサービス(川俣お知らせ情報、川俣生活便利帳、及び、川俣ビデオレター等の提供)、防災サービス(災害対策ナビゲーション、避難所・災害情報早期把握、災害現場情報の迅速な収集)を提供する。

システム概要

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両津市(佐渡)の行政サービスエリア格差是正システム開発事業

システム開発、システム検証は平成11年7月より平成12年3月までの期間で実施。平成12年4月より本格運用を開始し、両津市総務課が中心となり行政情報の充実を図っていく他、公的団体(佐渡農業協同組合、両津市社会福祉協議会、両津市観光協会、両津商工会など)の情報登録を行い、行政分野以外についても情報提供を開始。メニュー/コンテンツをより充実したものとしていく。

事業計画

開発の背景・目的佐渡島の両津市では、立地的条件や地形的特徴(約100kmに及ぶ海岸線、島の行政・経済・教育機関が市内中心部に集中)などから、全ての住民へ均一な行政サービスを行うことが困難な場合があった。このような状況において、住民が手軽に利用できる行政各分野の情報提供システムを構築し、複合的に利用できる環境を構築することで、特に遠隔地住民に対する行政サービスの向上・学習機会の拡充を図り、生活空間の質的向上・拡大という効果をもたらすことを目的としている。

システム検証●住民向けサービス向上の検証●職員負荷軽減の検証

今後の展開/普及計画●今回の検証では行政情報の提供を中心に情報の登録を行ったが、今後本運用に向け、農協、観光協会など、他団体への展開を図る。●街頭端末については、よりPRを行い端末の増設を図る。また、高齢者でも容易に操作できるよう、質問文の音声認識インターフェースなどを検討していく。

システム開発システムの特徴1.KIDS&WWWサーバーに搭載している自然言語検索エンジンにより、日常会話と同じように話し言葉による質問文にて行政情報の検索が行える。

2.イベント・講座に関する詳細画面より、これらの申し込みが行える。3.MPEG-4対応のVOD(ビデオ・オン・デマンド)サーバにより、インターネット上にも動画像(MPEG-4画像)配信が行える。

開発内容●知的検索機能●知識情報登録機能●メンテナンス機能

本事業では、両津市役所にKIDS&WWWサ

ーバ、MAIL&DNSサーバ、VODサーバ、Firewallのサーバ群とコンテンツ作成システム、職員端末を、公共施設・公的団体に職員端末、市内各所に街頭端末を設置し、市役所内はLANを介し、市役所と各施設間はISDNを用いて接続を行った。また、緊急時情報の登録、検索用として現場情報収集端末の整備を行った(公衆回線を介し市役所と接続)。これらを利用し以下の機能を提供する。●知的検索機能(自然言語検索エンジンを利用した、話し言葉による検索機能。また、本機能についてはインターネットからのアクセスが可能)●知識情報登録機能(自然言語検索エンジンを介したノウハウデータベースへの登録機能)●メンテナンス機能(質問文ログの確認などの各種メンテナンス機能)

両津市(佐渡)の行政サービスエリア格差是正システム開発事業システム

概要

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地域情報化報告

鳥羽市離島等におけるデジタル生活空間創造情報システム

今回の開発・検証事業により開発されたシステムを発展させていくため、鳥羽市とアプリケーション・リサーチ株式会社が共同で、本検証を通して得た成果や問題点を踏まえ、本システムのコンテンツの充実化を図っていく。

事業計画

開発の背景・目的三重県鳥羽市は山地が海岸部まで迫り平地に乏しく、また海岸部はリアス式海岸で出入りの変化に富み、有人離島を4島保有している。そのような中で、過疎化、高齢化、少子化など社会生活の多様化が進み、離島中山間地域では児童生徒数が減少し、同一学年の仲間とのコミュニケーション不足を顕著に作り出している。また、地理的、自然的条件から本土との情報格差が発生している。このような背景の元に、本システムでは、離島間あるいは離島と本土間の情報交流を活発にし、地理的ハンディキャップの克服を目指した。

システム検証●ネットワーク・エデュケーションシステムの検証●双方向防災情報システムの検証●行政情報の双方向性をもった伝達・意見交換に関する検証●管理作業に関する検証

今後の展開/普及計画今後は、ビデオコンテンツの登録、メニュー体系の整理とコンテンツ品揃えの拡充およびコンテンツ作成計画の立案と実施計画の策定をしていく予定である。これによって、教育、行政、防災の面だけでなく、地域の生涯教育、地域産業の分野でも本システムの活用が見込まれ、地域の活性化に大いに貢献できると考える。また、防災システムとの連携も協議していく。防災、広報への活用に関して

は、設備の充実や設置場所等を考慮することによって、今後、活用の幅が広がっていくことになる。以上のように、いろいろな課題を乗り越えながら、さらに本システムの導入

校および導入地区の拡張を目指す。

システム開発システムの特徴高速回線の準備されていない地域にあっても、ビデオオンデマンド送信を可能とするため、従来のビデオオンデマンドサーバ機能に、新たに、テレビ会議システムとの連携機能を付加し、ISDN回線での送受信を可能とした。開発内容●ビデオ配信管理機能●VODインターフェース機能●テレビ会議インターフェース機能●ユーザ管理機能

公衆回線を使った動画通信で離島・本土間の一体的街づくりの実現離島あるいは中山間地域にあっては、高速回

線を敷設し使用するコストは膨大となり、実際的ではない。本システムは、高速回線を必要としないビデオオンデマンド送信を基本機能に、デジタル生活空間の創造を目指すものである。公衆回線で行うビデオオンデマンドシステムと、多地点での同時双方向のコミュニケーションシステムであるテレビ会議システムを連携させ、ローコストに地域のデジタルコミュニティを形成する。

システム概要

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鳥取県智頭町ひまわり生活空間創造情報システム

鳥取県智頭町は、240平方キロの広大な面積を持ち千代川、土師川、新見川がつくる谷間に沿って90近い集落が点在する自然豊かな杉のまちである。本システムの開発・導入によって、智頭町発祥の、人と人による福祉「ひまわりシステム(独居の高齢者への声かけと御用聞き)」を拡大(対象者の拡大、サービス者の拡大、サービス内容の拡大)し、中山間地域の距離と時間のハンデを克服し、自然と共生したまちづくりを目指す。

事業計画

開発の背景・目的中山間の集落に分散して生活する独居老人世帯を、役場・郵便局・協力機関が一致協力して支援する、人から人への福祉サービス「ひまわりシステム」の精神を引き継ぎ、郵便局員に加え地域住民の相互扶助による福祉の拡大と時間短縮とによって、中山間地域のハンデを克服し自然と共生した世界に誇れるまちづくりを目指すものである。

システム検証●町役場における生活空間拡大効果に関する検証●福祉機関及び公共機関における生活空間拡大効果に関する検証●商店における生活空間拡大効果に関する検証●集落における生活空間拡大効果に関する検証●災害現場における生活空間拡大効果に関する検証●地域における相乗的な生活空間拡大効果に関する検証

今後の展開/普及計画●要請者他のまちづくり事業と本システムとの融合を図り、普及・運用していく。●開発者商品化を行い、他の地域に展開・普及を図っていく。

システム開発システムの特徴参加者のパソコンを一般公衆回線で結び、電話やFAXのような手軽さで、手書きのメッセージや画像による情報交換、文書ファイルの添付、行政サービス・商品の申込ができ、受信者は、送り手の位置を地図で確認することができる。また、災害現場の状況を画像と時間と地図で把握することができる。そして、訪問予定の情報を共有して高齢者への声かけや御用聞きを支援するものである。開発内容●ひまわり集落支援機能 ●ひまわりサービス支援機能●ひまわり声かけ支援機能 ●ひまわり販売支援機能●ひまわり防災支援機能 ●ひまわり共用アプリケーション機能●ひまわりソフト基盤機能

本システムは、中山間地域に点在する集落、

町役場、商店、福祉機関、小学校、病院、災害現場を一般公衆回線で結び、送り手の画像とともに手書きのメッセージ発信や行政サービス・商品の申込ができる。また、遠隔地の災害現場や環境クレームの状況を画像、日時及び地図上の位置で把握することができる。そして、訪問予定の情報を共有して高齢者への声かけや御用聞きを支援する。本システムのコンセプト:●人と人とによる福祉サービス「ひまわりシステム」を拡大する。●情報の発受信によって、住民参加のまちづくりに役立つ。●地図データなどの情報を、地域で共有化する。●サーバーレスでコンパクトなため地域情報ネットワークの構築が容易。●メッセージや注文書の発受信が電話やFAXのように手軽である。

人から人への福祉サービスを拡大して世界に誇れるまちづくりシステム

概要

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地域情報化報告

座間味村バーチャルアイランズコミュニティシステム開発

座間味村では、離島であるがゆえに抱えている幾つかの課題を解決する為、主要な情報インフラとして本システムの開発をアイオニクス沖縄㈱に要請し、平成12年3月に開発を完了した。更に、同年4月から本システムの導入効果に関するシステム検証を行い、9月からの運用開始に向けて追加機能や改善点の抽出、運用体制の確立等、準備を進めているところである。

事業計画

開発の背景・目的沖縄本島の洋上約40㎞に位置する座間味村は、3つの有人島とその他の無人島からなり、約1000人の住民が居住している。主な産業は豊富な自然資源を主体とした観光産業であり、産業不足の解消、行政サービスの向上、観光客へのサービス拡大とオフシーズン時の観光需要の拡大を図る為、更に村内外から座間味村の活性化についての建設的な提言を募る為の情報インフラ構築が求められていた。

システム検証●予約機能の検証●施設管理の利便性向上に関する検証●災害緊急時連絡に関する検証●住民サービスの向上に関する検証

今後の展開/普及計画村民等(特に老人や子供等の社会的弱者)に対しては、システムの概要説明会やパソコン操作講習会等を行うなど、システムを容易に利用できうるための施策を講じ、本村への普及を図る。また、長期的には他の地方自治体に対しても本システムの導入を働きかけ、複数の地方自治体に導入後、これらのシステム間の連携を図り、相乗効果によってより多くの住民や観光客がシステムの恩恵を受けうる体制を整備し、地域全体の活性化を図る。

システム開発システムの特徴Webとデータベースとのリアルタイムな連携技術により、宿泊施設やスキューバダイビング及び船舶の予約や空き状況の照会が24時間対応可能となる。更に電話や窓口で受け付けた予約との一元管理が可能となり、自動乗船券発券機能との連携により業務効率化を実現する。また、CTIの採用によりコンピューターを利用できない会員も電話からの予約システム利用が可能となる。開発内容●Web予約申込機能 ●コミュニティ推進機能●自動乗船券発券機能 ●防災緊急連絡機能●CTI予約申込機能 ●遠隔証明書発行機能

座間味村VICS概念図座間味村バーチャルアイランズコミュニティ

システム(略称:座間味村VICS)は、地方自治体(役場出張所等)と第三セクター(㈱21・ざまみ)、システムセンター(アイオニクス沖縄㈱)、ダイビングショップ、民宿、会員ユーザ及び一般ユーザの自宅や勤務先を専用回線や公衆回線またはインターネットで接続し、主に観光客に、防災緊急連絡のサービス、WebやCTIを活用した宿泊施設・スキューバダイビング・乗船券の予約サービス、自動乗船発券等のサービス、更に座間味村の観光情報等を提供し、住民には、遠隔証明書発行のサービスを提供する離島振興の未来型システムである。

システム概要

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大和市電子情報交流システム「どこでもコミュニティ」の開発

本事業では、衰退していく地域コミュニティを活発にするため、一般的に普及している電話やFAXからでも利用可能な電子情報交流システムの開発・システム検証を平成11年7月から平成12年8月まで実施。今後、他自治体への普及を促すとともに、自治体以外のネットワーク上の電子情報コミュニティを形成しようとする企業、団体等への適応を検討する。また、コンテンツの拡張によって様々なサービスを送出し、普及させていく。

事業計画

開発の背景・目的大和市では、昼間に半数を超える市民が就労、就学のために市外に移動しており、地域のコミュニティ活動への参加が困難である。このような地域特性では、地域コミュニティが衰退してしまう。この問題を解決するため、時間的、空間的制約にとらわれない電子コミュニティの構築が求められている。本事業では、『どこでもコミュニティ』システムを構築し、市民相互、市民と行政との地域コミュニティを活性化することを目的とする。

システム検証●操作性の検証●安全性の検証●運用性の検証●安定性の検証●性能の検証●「どこでもコミュニティ」システムの有用性の検証

今後の展開/普及計画本システム検証の成果を踏まえ、大和市と同様な問題をかかえている他の地方自治体に対し普及を図る。また、現在普及しているメディア(電話/FAX)からでもインターネットを利用できる特性(利便性、低コストでの運用)をアピールし、市民団体に対しても水平展開していく。

システム開発システムの特徴パソコンでインターネットにアクセスできる人だけでなく、パソコンが苦手な人でも電話やFAXを利用して容易に電子情報コミュニティに参加できる機能や、画像リンク、電子投票、リアルタイムチャットの開催支援等の充実したコミュニケーション機能を装備した新しい電子情報コミュニティシステムである。開発内容●市民会議室コミュニケーション機能●電話/FAX利用機能

『どこでもコミュニティ』システムとは、電子情

報コミュニティの垣根を低くするため、パソコンの他に電話やFAXからも参加できる仕組を装備した電子情報コミュニティである。本システムは、大和市役所に設置した市民会議室サーバ、FAX音声サーバ、Web変換装置から構成され、電子情報コミュニティを提供している。本システムにより、市民相互、市民対行政の双方向の情報交流が可能となる。

いつでもだれでもどこでも参加できる電子情報コミュニティの形成システム

概要

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地域情報化報告

「知りあい、ふれあい、支えあい」地域ネットワークシステム

「世田谷区情報化推進計画」にて情報化推進施策の目標を、行政の情報化・地域の情報化と位置付け推進している。関連する計画は、「新たな地域コミュニティ・文化の創造」分野の区民による交流活用支援、「保健・医療・福祉サービスの充実」分野の相談体制の強化と情報提供の充実、「情報化による街づくり」分野の情報提供、情報共有環境の構築の三分野にまたがり、これらを連携する仕組みとして当事業を位置付けている。

事業計画

開発の背景・目的近年、核家族化、少子化等により、近隣の付き合いや町内会活動の低下等、地域の結びつきが希薄化してきている。一方、高齢化社会や環境への問題意識の高まりを背景に、「共に支え共に生きる」を合い言葉に、区民の社会参加によるボランティア活動は活発化している。区民・事業者・行政一体の推進体制があることで、行政の情報ネットワークや公共施設等の社会資源を活用し、豊かな地域社会のための地域情報を提供し、その情報を活用して区民自身の手によるまちづくりに貢献することを目的とするものである。

システム検証●まちづくり地域情報蓄積・提供システム機能における操作性・保守性の検証●まちづくり住民相談支援システム機能における操作性・効果性・容易性の検証

今後の展開/普及計画世田谷区と類似の自治体に対して、パッケージのレパートリの1つとして位置付け、導入効果の定性的・定量的情報をPRする。導入いただけた自治体から、業務効率化や高度化に関する情報提供をいただき、効果測定の充実・機能の拡充を図る。また、成果発表会、各種フェアやイベント等で効果およびシステムの紹介をする等により、他の自治体への普及を働きかける。

システム開発システムの特徴区民・地域団体等の利用者が、まち情報の登録・検索・紹介を、GISを用いた形で、インターネット経由で容易に行える。また、地域で発生する情報を収集・蓄積し、行政窓口業務における運営向上のための共同環境を構築し、業務状況の客観的分析を支援する。開発内容●まちづくり地域情報蓄積・提供システム機能●まちづくり住民相談支援システム機能

「知りあい、ふれあい、支えあい」地域ネットワークシステム本システムは、世田谷区本庁、まちづくりセ

ンター、まちづくり相談広場(在宅介護支援センター)、さらにインターネットを通じて区民の端末とを結ぶ広範なネットワークを構築し、地図情報や住民の相談情報等の情報提供・蓄積・共有化を図るものである。まちづくりセンターを通じて、インターネットによる地図情報の提供、区民からの情報の登録、蓄積された情報の提供を行う。また、相談や苦情といった区民のニーズ情報の蓄積等を通して、行政サービスの向上に寄与するものである。

システム概要

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地域のトータルパワーを発揮する環境共生まちづくり支援システム

今後の展開としては、既に実績をあげている、新しい市民参加とコミュニティの形成を目指した「市民電子会議室」との連携も図っていく。また、新たに構築予定の統合生涯学習システムとの連携も図り、コミュニティにより地域課題を解決する「コミュニティ・ソリューション」の実現を目指していく。

事業計画

開発の背景・目的本システムは「藤沢市総合計画 基本構想」による21世紀を展望した、「環境と共生」できる環境調和・循環型のまちづくりを地域全体のトータルパワーを発揮することで実現するために、以下の3つの事業を支援するシステムとして構築した。(1)リーダ育成事業(2)交流・連携促進事業(3)参加促進事業

システム検証●システム有用性の検証●システム運用性の検証●環境団体・自治体間連携の検証

今後の展開/普及計画(1)機能拡張計画システム検証での問題点を優先度の面からチェックし、機能改善の計画を立案する。その後、必要に応じてソフトウェアの機能の改修、追加、統合を実施する。(2)普及計画本システムの利用者拡大に向け、環境団体、及び藤沢市民に対し、広報活動を行うことで利用促進を図る。具体的な方法として、藤沢市ホームページからの本システムへのリンク、藤沢市ホームページでの本システム稼動のお知らせを掲載することが挙げられる。

システム開発システムの特徴本システムは、行政と市民が一体となって環境問題に取り組むための情報交流を支援するシステムであり、誰にでも使える入出力インターフェースとマルチメディアコンテンツの作成・編集を簡単に行う仕組みを構築することで、環境問題の取組み活動を行政が支援し、地域環境の向上を住民へ広く浸透させるものである。開発内容本システムは以下の3つのサブシステムから構成される。●人材育成支援サブシステム機能●交流・連携支援サブシステム機能●参加促進支援サブシステム機能

本システムは、地域の全ての構成員が主体者と

して積極的に参画できる社会基盤を構築し、「環境と共生」する環境調和・循環型のまちを創造するための、インターネットを活用したシステムである。市民がそれぞれの創意工夫の中で、「環境」に主体的に取り組むために必要な情報をいつでも、どこでも簡単に入手、発信できるための情報交流基盤を創るもので、これにより、地域全体が高度で先進的なコミュニケーションを行うことを通して、地域全体のトータルパワーの発揮を目指すもので、次の3つのサブシステムから構成される。(1)人材育成支援サブシステム(リーダ育成事業)環境問題についてトータルに考える人材の育成を時間、場所の制約なく行える仕組みを提供する。

(2)交流・連携支援サブシステム(交流・連携促進事業)環境問題に関する団体の活動状況や、個人情報についての管理を行う。これにより環境関連の取り組み情報をシステム内で一括管理し、市民間の交流・連携を実現する。

(3)参加促進支援サブシステム(参加促進事業)掲示板を通じた住民の活発な意見交換を行わせ、環境問題に取り組む参加者の拡大促進を支援する。

地域のトータルパワーを発揮する環境共生まちづくり支援システムシステム

概要

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地域情報化報告

富山県山田村地域情報化ネットワークシステム開発・実験

山田村における地域情報化推進事業は、「地域情報交流拠点施設整備モデル事業」から開始され、村民へのパソコンの普及、利用促進に取り組んできた。本事業により、地域情報化ネットワークが構築でき、村内では“心おこし(挑戦への意欲向上)”ということで、パソコンリーダや、ボランティアを活発化させる活動を進めている。また、村外に対しては、バーチャル電脳山田村を通じた、まちづくり塾やバーチャル住民の募集など、バーチャルおよびリアル(実際)の交流を促進するとともに、情報センターの体制づくり、関係機関との連携を図り、地域ネットワークから広域ネットワークへの事業の拡充を進めている。

事業計画

開発の背景・目的山田村は、パソコン導入によるまちおこしにより、県支援の「電脳山田村塾」やNPO、6万人を超える山田村ファンの支援を得ている。しかしながら、パソコンの操作性の難しさに加え、支援者との交流の場も少なく、資源活用への課題を抱えている。全国に先駆けたサイバーコミュニティー創出の可能性を拡大させ波及させるためにも、「人と地域にやさしい生活空間創造型交流ネットワーク」の創出が必要とされている。

システム検証●地域コミュニティーネットワーク機能導入効果の検証●電脳まちおこし山田村機能導入効果の検証●クライアント/サーバ管理監視機能導入効果の検証

今後の展開/普及計画本システム開発における広域交流型エクストラネットシステム「電脳まちおこし山田村」は、Webアプリケーションの開発技術をベースとして用いるため、特定のOSやプラットフォームに依存せず、基本的にWeb環境があればどこでも実現できるため、その利用範囲は幅広い。また操作性においても従来であれば、パソコンリテラシーの低い人々の間では、使いこなすことが難しかったものも、ユーザーフレンドリーなGUIを用いることにより、充分に使いこなすことが可能であると考えられる。このことは、高齢者の比率が高い中山間や過疎地での運用を考える上で非常に重要である。クライアント/サーバ管理監視システムについては、学校側等の協力も得て、クラブ活動担任者と普及のためのカリキュラムを作成し実行するための支援を行う。

システム開発システムの特徴本システムは、「地域で作り上げ」「拡張性が高く」「ハードメーカに左右されない」ことが大きな特徴である。このことは、周辺隣接市町村への拡大の可能性や、その他の自治体における固有のニーズに対応する各種ネットワーク(産業、教育、ボランティア、健康福祉、防災等)を組み合わせられるなど、商品化可能な汎用性や商品価値を十分有すると思われる。開発内容●地域コミュニティーネットワーク機能●電脳まちおこし山田村機能●クライアント/サーバ管理監視機能

富山県山田村地域情報化ネットワークシステムイメージ図「地域コミュニティーネットワーク」のポイントは、

Web上でパソコン弱者が自分のスキルに合った3段階の操作イメージで簡単に使用できるGUI(グラフィックユーザインターフェース)の開発である。これにより誰にでも自在に、自分のスキルの中で効率的な情報の作成・受発信・情報収集などのネットワークコミュニケーションが活用できる。「電脳まちおこし山田村」は山田村と全国の都市と農村地域を結ぶ全国初の人材交流型のまちおこし(エクストラネット)である。「サイバーまちおこし」をテーマに、人材育成と地域を越えた人と地域の交流、まちおこし村の構築を目標とする。「クライアント/サーバ管理監視システム」は、従来情報システムの知識保有もしくは、システムエンジニアの派遣が前提となっていた、ネットワーク運用に伴うサーバ管理を、村民及び村の学生自身で運用可能なものとするため、運用管理技能習得に有用なクライアント/サーバ管理監視システムの開発を行い、新しい情報化時代への人材育成と村民としてのアイデンティティの確立を目指す。

システム概要

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次世代通信基盤を活用した地域コミュニティシステム

今後の少子高齢化に対応し豊かさを実感できる都市生活の創造をめざし、行政や各種団体との地域一体となった推進体制で、専門スタッフによる健康指導相談システムをベースに、各種健康づくり教室や自主サークルへ住民が気軽に楽しみながら参加促進できるシステムを構築することにより、地域コミュニティの活性化を支援する。

事業計画

開発の背景・目的精華町のまちづくりを進める上で、地域コミュニティ基盤の形成が大きなテーマであり、点在する地域コミュニティ団体の横のつながりを強化するとともに、住民が気軽に参加したくなるような、双方向の情報交流を進めて住民間のふれあいを高めることが急務である。そこで今回、「健康づくり」という住民が気軽に楽しく参加できるテーマで、「地域コミュニティの形成」、「健康福祉施設の利用活性化」、「住民の健康づくりの加速」の3点を成果目標に、開発・検証を行った。

システム検証●健康促進ラリーシステム機能の検証●健康仲間づくり支援システム機能の検証●健康福祉施設予約システム機能の検証●専門スタッフ指導相談システム機能の検証

今後の展開/普及計画精華町のホームページより、各サブシステムをリンクさせ、精華町住民の更なる利用促進を図る。さらに、紹介ビデオ、カタログ等の作成を行い、全国自治体への提案活動を行う。また、地域住民の健康福祉施設の利用管理業務を行う類似自治体に対しては、本システムをパッケージ化し、積極的に普及を働きかける。

システム開発システムの特徴簡易Web端末で各サービス毎にICカードを活用した個人認証を行い、個人ごとのデータ等の管理を行うことにより、利用者に最適な利用環境を提供する。また、24時間オンデマンドで利用されるFAQデータベースにおいて、内容表示の優先度を利用のアクセス頻度から学習して動的に変更する。開発内容●個人メニュー機能●健康促進ラリーシステム機能●健康仲間づくり支援システム機能●健康福祉施設予約システム機能●専門スタッフ指導相談システム機能

本システムは、「健康づくり」という身近な

テーマで、地域コミュニティの形成を目的とし、4つのサブシステムで構成される。「健康促進ラリーシステム」で住民のコミュニティ参加意欲を高め、「健康仲間づくり支援システム」で地域の活性化支援を図り、「健康福祉施設予約システム」で自主活動の場の提供を行う。また、「専門スタッフ指導相談システム」は各システムを横断的に支援する。これらのサービスを、役場内の

ギガビットネットワークを基幹に、家庭や地域の公共施設に公衆網及びCATV網、専用線を活用して提供する。また、各拠点の設置端末は、テレビモニターに接続できる簡易型Web端末(STB)で、リモコンでも、ワイヤレスキーボードでも簡単に操作できる。また、ICカードによる個人の認証機能を活用し、住民がシームレスに、必要とする情報の照会を行える。

次世代通信基盤を活用した地域コミュニティシステムシステム

概要

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地域情報化報告

読谷バーチャル平和資料館整備事業

読谷村が策定した「バーチャルヴィレッジ・よみたん21」プロジェクトにもとづいて、同村が戦後50余年にわたって推進してきた平和創造行政の多くの成果を発展的に継承し、行政と村民ボランティアが一体となって、平和コンテンツの集成とその利用の促進を目的としたコンテンツの充実、システムの拡充による平和情報・観光関連情報・行政情報の提供サービスの向上を図っていく。

事業計画

開発の背景・目的太平洋戦争において沖縄県は、国内でも唯一住民を巻き込んだ地上戦の場となり、読谷村は米軍の本島上陸地点として多くの尊い生命や文化遺産が失われた。戦後、村の95%が米軍占領地となり、今日でも45%は返還されていない。本システムによって、インターネットを活用した平和学習教育の環境を整備することにより、従来の村民および来訪者はもとより遠隔地の学校・団体をも対象として、広く全国・世界に平和学習の場を提供することを目的としたプロジェクトである。

システム検証●平和学習管理機能の検証●平和学習支援機能の検証●住民参加型情報交流支援機能の検証

今後の展開/普及計画読谷村では、「バーチャルヴィレッジ・よみたん21」プロジェクトのもとに「読谷村情報化推進協議会(仮称)」を発足させ、今後、地域の総合的な情報通信環境の整備を村ぐるみで推進していく。また、平和についての問題関心を有する自治体・団体・個人に対しての働きかけをすすめ、グローバルな平和情報のネットワークづくりを進めていく。

システム開発システムの特徴「読谷バーチャル平和資料館」は、Webサーバ・データベースサーバ・コンテンツ編集端末との連動により、多様なリクエストに応じた平和情報を収集・自動表示することで、随時更新されるコンテンツを、インターネット上でリアルタイムに提供する機能、複雑なコンテンツの登録を支援する入力作業環境、住民の交流支援機能から構成される。また、データベース上の地図情報から、ユーザが必要な旅行情報を検索し、オリジナルな旅行コースを作成する機能も搭載している。開発内容●平和学習管理機能●平和学習支援機能●住民参加型情報交流支援機能

読谷バーチャル平和資料館が広げる地域に根ざした、平和のためのネットワークコミュニケーション

村役場電算室内にWebサーバ、データベース

サーバ、コンテンツ用編集端末、運用管理PC、同役場ホール内にKIOSK端末、システム検証エリア内に無線LANアンテナおよびケーブルを設置・敷設し、移動式の携帯端末ツールとしてPDA端末を用意して、LAN環境ならびにインターネット環境において、以下の機能による平和学習サービスを提供する。(1)Webサーバとデータベースサ

ーバの連携により自動構成される平和学習展示室

(2)データベースサーバ上の地図情報と施設情報の連携による旅行見学コース案内

(3)データベースサーバ上の平和学習コンテンツと連動したクイズ式の学習ラリー

(4)インターネットによる地域住民参加型の交流支援システム

(5)入力支援機能を活用した地域ボランティアによるコンテンツの入力と編集

システム概要

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SOHOビジネスのための協業化支援システム開発普及事業

SOHO等を直接支援するため、全国に立地し多年にわたって情報化人材育成の実績や地域の情報化に寄与している政府出資の地域ソフトウェアセンター間にサポートネットワークを開設し本事業の全国的展開を図る。

事業計画

開発の背景・目的SOHOなどの新事業創出企業は、その事業を単独で実施できるものは少なく、しかも限定されたものとなりがちであり、収益面、発展性を考えることが競争力の向上、タイムリーな商品・サービスを効率的・低コストで提供するために不可欠となる。そこで本事業は情報の共有及び活用の視点からSOHOの協業化を支援し、個々のSOHOの事業、経営活動をも含めたトータルのマネージメントシステムを開発する。

システム検証●システムの有効性の検証●支援ネットワーク環境の有効性の検証●SOHOビジネス体験型研修機能の有効性の検証

今後の展開/普及計画当社は、新事業創出促進法に基づく産業支援機関で地域の中小企業・SOHO等の支援を一つの事業目的にしており、地域での普及を図る。当社と同様な主旨で設立された地域ソフトウェアセンターも同様で、これらのセンターを中心として事業展開、普及を図る計画である。その第1ステップとして地域ソフトウェアセンターである熊本ソフトウェア㈱及び㈱宮崎県ソフトウェアセンターにサポートセンターを開設し、九州からの事業展開・普及を図る計画である。

システム開発システムの特徴将来の発展・拡張性、操作の容易性、開発の容易さ、及び低コストでのシステム構築をねらいとしてオープンなネットワークコンピューティング技術をベースとして開発し、ツール、プラットフォームに依存しないWebの新規格でアプリケーション仕様記述能力のあるXMLに基づきアプリケーションを開発する。開発内容●運営支援機能 ●経営管理機能●運営評価機能 ●コンサルティング機能●SOHOビジネス体験型研修機能 ●情報共有機能●データベース機能

本事業は、SOHOビジネスに不可欠となる事

業運営、経営管理等の情報を次世代の業務アプリケーション開発に期待されるXMLで統合された文書として情報の共有及び活用を図り 、 さ ら に OBM(Open BookManagement)、ISOマネジメントシステムなどによる先進経営手法を取り入れ、参加意欲を向上させ参加意識の一体化を図り、SOHO等のマネジメントを行う協業化支援システムを開発し、その普及を図るものである。

SOHOビジネスのための協業化支援システムシステム

概要

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地域情報化報告

在宅ワークマネジメントシステム構築による在宅ワーク市場の創出

限られた個人と限られた企業との間に止まっている在宅ワークを、本システムの開発により課題を解決し、多様なワーカーと発注者との間での流通を実現して勤労空間の拡大を図れるよう、さまざまな立場の在宅ワーカー組織体、在宅ワーカー、発注企業の参加を得て、システムの開発とシステム検証を行う。

事業計画

開発の背景・目的在宅ワークの現状は、企業においては発注歴のある人との間に限定されている。取引き歴のない新規のワーカーには、トラブルを恐れて発注できない状況があり、他方、在宅ワーカーは地理的、時間的制約から営業、プレゼンテーションを数多くこなせず、受注につながる計画的マーケティング活動が展開しにくいという状況にある。このため、企業に対しては、ニーズにあった信頼性のあるワーカー情報を検索・参照できるオープンな場を提供すること、ワーカーに対しては、営業、マーケティングを自分に代わって行ってくれ、さらに受注から納品、代金の回収までの業務をサポートしてくれるマネジメント業務を集約的、効率的に行ってくれるシステムを提供いくことをシステム開発の目的とした。

システム検証●受注から納品までのワークベンチによる業務支援機能に関する検証●スキル評価に関する検証●最適マッチングに関する検証●業務支援作業に関する検証●システム管理・運営管理作業に関する検証

今後の展開/普及計画システム検証の結果をもとに、下記の改善を実施し、在宅ワーク市場拡大のために広報活動を強化していきたい。(1)マニュアルの改訂(2)小規模なセミナーの開催(3)教育機能の充実教育(4)より多くのワーカーと発注者を生み出すための広報・宣伝活動の充実(5)複数の組織体がより連係して利用できるシステムへの改造(6)「キラーコンテンツ」を創造

システム開発システムの特徴在宅ワーカー、在宅ワーカー組織体、発注企業のどの会員端末も日常使用しているPCを利用することが可能である。また、インターネットを介してパソコンスキルの高い低いに関係なく、受発注およびその管理業務、納品機能を利用することができる操作性の良さをもっている。発注企業にとってはワーカーの仕事の実績を反映した信頼性の高いデータとシステムを利用することで得ることができる。開発内容●マッチング機能●業務支援機能●システム管理機能

在宅ワークマネジメントシステム構築による在宅ワーク市場の創出本システムでは在宅ワーカー、在宅ワーカー

組織体、発注企業のそれぞれが信頼できる在宅ワーク情報を提供する機能とそれぞれがより効率的に業務を行えるように業務管理を支援する機能を開発した。在宅ワークマネジメントサービスを提供する本システムは、上記三者が日常使用しているPCからインターネットを介してアクセスし、作業できるよう、センターにはコミュニケーションサーバと各会員の情報を格納し、検索やマッチングなど在宅ワークの業務処理や管理機能を提供するデータベースサーバ、両サーバを管理する管理コンソールを設置している。

システム概要

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(1)システム化の背景佐渡島の両津市は離島であり、立地的条件や地形

的特徴(約100Kmに及ぶ海岸線、市の行政・経済・教育機関が市内中心部に集中)などから、特に遠隔地に居住する住民に対して市内中心部に住む住民と同様の行政サービスを提供することが困難な場合があった。しかし近年、デジタル技術や情報技術、インター

ネットの普及に伴い、情報機器やネットワークインフラを組みあわせて利用することで、容易に情報提供システムの構築が可能となった他、住民が低廉な価格で情報の受発信や多様な情報通信サービスを享受することが可能となってきている。このような状況において、街頭端末や家庭のパソ

コンなどから、行政分野をはじめとする各種サービスを受けられるような各分野の情報提供システムの構築を行い、市の活性化を図るとともに、市民生活の質的向上が求められた。今回、【自然言語検索エンジン】を利用することで、

行政をはじめとする各分野の情報をノウハウデータベースとして蓄積し、ノウハウの共有を行うことができた。これにより、市民が必要とする情報を、自然言語(口語体=話し言葉)による質問文(例:引

っ越しをするのですが、どのような手続きが必要ですか?)で入力、【自然言語検索エンジン】により検索を行うことで、該当するノウハウデータを提供するという、いわば役所の担当職員の代理機能の開発を行った。さらに、利用者に少しでも理解を深めてもらうた

め、マルチメディアデータを活用し、MPEG(注)-4によるビデオ・オン・デマンドシステムの構築もあわせて行った。

(2)システム構成システムの構成を図1に示す。本システムは両津

市役所に、行政情報を蓄積し提供するためのサーバ群と情報登録を行うための職員端末を設置した。佐渡農業協同組合をはじめとした公的団体や、両津市役所の出先機関にも情報登録を行うための職員端末を、また市内各所に市民が自由に情報検索を行うための街頭端末を設置した。サーバ群は、【KIDS(注)&WWW(注)サーバ】、【VOD(注)

サーバ】などにより構成され、【KIDS&WWWサーバ】にて質問文を解析し、該当するノウハウ情報をノウハウデータベースより端末に提供を行う他、職員が入力した行政等のノウハウ文書を解析ルール、解析辞書に従いノウハウデータベースに登録する機能を提供する。また、【VODサーバ】にて端末にオン・デ

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両津市なんでも情報館と自然言語検索エンジン株式会社東芝

1.両津市なんでも情報館の概要

知識情報構造化�

ノウハウの例�入力�

形態素解析�

文脈推定�+�

構造抽出�

印鑑登録証明書が必要な場合、市役所市民課または�各支所へ印鑑登録証を持参して…�

文脈推定�知識�

キーワード�辞書�

ノウハウ�DB�

白 キーワード�黒 文脈推定知識にマッチした単語��状 況:印鑑登録証明書が必要な場合、�

手続き:市役所市民課または各支所へ印鑑登録証を持参して…�

図1 図2

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マンドでMPEG-4動画像の提供を行う。

(3)自然言語検索エンジンの概要ノウハウデータベースを構築する方法として、今

回東芝製の自然言語検索エンジンを利用している。自然言語検索エンジンを利用することで、利用者はキーワードや文型を意識することなく、テキスト文書をそのまま入力・登録し、ノウハウデータベースの構築が行える。自然言語検索エンジンは、情報構造化処理により、

入力された文書(ノウハウ)を形態素解析し、意味単位に分割、文脈推定・構造抽出を行ない、構造情報(文脈情報とキーワードのセット)をノウハウデータベースに登録する。例えば、『印鑑登録証明書が必要な場合、市役所市

民課または各支所へ印鑑登録証を持参して…』というノウハウについて、前半の文節は、形態素パターンに合致する『場合』という単語により、文脈が「状況」であると解析し、「文脈=状況、キーワード=印鑑登録証明書」という構造情報を付加する。同様に、後半の文節は『持参』という単語により、文脈が「手続き」であると解析し、「文脈=手続き、キーワード=市役所市民課、各支所、印鑑登録証」という構造情報を付加する(図2参照)。情報検索時には、登録時と同様に質問文に対して

情報構造化処理を行ない、ノウハウデータの構造情報とのマッチングにより情報を検索する。検索結果には類似度を表すスコアがついており、質問文との類似度が高いノウハウから順に表示される。

(4)MPEG-4を利用した情報提供今回、動画情報を蓄積・配信するために、MPEG-4

準拠の東芝製MobileMotionを採用した。MPEG-4は低ビットレート(注)を対象に、主に移動通信での利用を想定した符号化方式であり、イントラネットはもちろん、インターネットなどの低帯域でのネットワーク上でも動画の配信を可能としている。ただし、以後に記述しているシステム検証の際の、両津市役所とプロバイダ間の専用線の帯域が128Kbpsであったこともあり、長時間のコンテンツ(圧縮レートを64Kbpsにて作成)を作成することは、その帯域の多

くを長時間占有してしまうため、数十秒程度のコンテンツを目安に作成することとした。

(1)システム検証の内容システム検証では、両津市をはじめ佐渡農業協同

組合や両津市観光協会などの公的機関、両津市民に協力をいただき、アンケート方式(モニタが直接記入・聞き取り調査)にて実施した。住民への行政サービスがいかに向上されるかの検

証については、・担当職員代理機能の実現(「聞きにくい質問も自由に検索できる」などのアンケート回答)・時間・場所にとらわれず検索できる・容易に操作できるなどの評価が得られ、住民サービス向上に大きな役割が果たせることが確認できた。

また、窓口や電話での住民からの問い合わせに対し両津市職員にも本システムを利用いただいた。検証用のデータ登録期間が短かったこともあり、約8割程度のヒット率にとどまったが、住民からの問い合わせに対する確認(調査)方法の9割が別の担当者への問い合わせであったこともあり、知識共有データベースを構築することによる、その有効性が確認された。

(2)今後の展開本システムは、行政分野以外の各種団体(佐渡農

業協同組合、両津市観光協会など)からの情報提供も同様の仕組みで実現可能なため、より幅広い分野での活用が期待される。今後の課題としては、情報機器に接したことのな

い高齢者などでも容易に操作できるよう、文字やボタンの配置や大きさを適宜見直しを図る他、街頭端末操作の簡易化を意識し、音声認識による質問文入力、音声合成による情報の読み上げなど、より人にやさしいインターフェースの検討を進めていきたい。

著者:高野 智幸氏(たかのともゆき)株式会社東芝 情報・社会システム社

官公情報システム事業部

官公情報システム技術第三部

公益システム技術担当

平成4年4月(株)東芝入社

(注)言葉の意味ビットレート:単位時間あたりの情報伝達量。

(注)言葉の意味形態素解析:形態素間の接続関係に注目した解析。日本語の場

合、ベタ書きされた文からの単語の切り出し、品詞の同定、辞書に登録されていない語の発見などを行う。

(注)略語の意味KIDS :Knowledge and Information on Demand SystemWWW:World Wide WebVOD :Video On DemandMPEG:Moving Picture coding Experts Group

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関連技術の研究報告

2.両津市でのシステム検証

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■ENCコンファレンス2000

「インターネットコンテンツに関するホットライン」

http://www.enc.or.jp/enc/seminars/conference00.html

1.日時:

2000年6月21日�午後1時30分~午後5時

2.会場:

霞ヶ関ビル「プラザホール」

3.内容:

インターネットの普及が進むにつれて、いろいろ

な社会的問題が発生しています。電子ネットワーク

協議会は、そのような問題を解決するために、普及

の初期から、インターネットプロバイダ向けの倫理

綱領、ユーザ向けのルールとマナー集の作成などの

活動を行う他に、1997年からインターネット上の有

害情報/非合法情報の氾濫から子供を守るための技

術的な解決策としての、W3Cの技術標準PICSに準拠

したフィルタリングソフト開発および無料配布、ラ

ベルデータベース運用サービスなどのイニシアティ

ブを取ってきました。

今回、新たな問題解決へのアプローチを探るた

めに、インターネット上の非合法/有害コンテン

ツなどに関して利用者からの通報を受け付けて、

内容を確認評価して、国内外の発信者、プロバイ

ダ、法執行機関などへの適切な連絡を行うサービ

ス「インターネットコンテンツに関するホットラ

イン」に関するシンポジウムを開催しました。こ

のようなサービスは、英国では民間主導で行われ

ていますが、オーストラリアは法律に基づき政府

主導で行われているなど、官民の役割分担につい

てさまざまな考え方があります。

シンポジウムでは、欧州インターネットホット

ラインプロバイダ連合事務局長のNigelWilliams氏、

英国インターネットウォッチ財団副主執行役員

RuthDixon氏、オーストラリア放送行政局コンテン

ツ規制ディレクタAndreeWright氏をお招きし、海外

でのホットラインの活動状況の報告と、国内の官

民からの専門家を交えて、わが国においてインタ

ーネットコンテンツのホットラインと対応処理メ

カニズムを実現しようと考える場合の課題を検討

しました。

4.主なプログラム:

●「インターネットホットラインと対応処理メカニ

ズムの全体像」

国分明男(電子ネットワーク協議会専務理事)

●「欧州インターネットホットラインプロバイダ連

合INHOPEの活動」

NigelWilliams氏(チャイルドネット・インター

ナショナル代表)

●「英国インターネットウォッチ財団IWFの活動」

RuthDixon氏(インターネットウォッチ財団副主

執行役員)

●「オーストラリア放送行政局ABAの活動」

AndreeWright氏(オーストラリア放送行政局コ

ンテンツ規制ディレクタ)

●「パネル討論:インターネットホットラインと対

応処理メカニズム実現の課題」

座長:

NigelWilliams氏(チャイルドネット・インター

ナショナル代表)国分明男(電子ネットワーク協

議会専務理事)

パネラー:

牧野二郎氏(インターネット弁護士協議会代表)

丸橋 透氏(ニフティ株式会社法務・海外部部長代

理)

諌山 親氏(郵政省電気通信利用環境整備室長)

田中法昌氏(警察庁生活安全局セキュリティシス

テム対策室長)

RuthDixon氏(英国インターネットウォッチ財団

副主執行役員)

AndreeWright氏(オーストラリア放送行政局コ

ンテンツ規制ディレクタ)

■オンラインソフトウェア大賞(OSP)2000受賞

作品の発表

http://www.nmda.or.jp/enc/fsp/sjis/osp2000.html

昨年から今年にかけて発表されたソフトを対象

として、オンラインソフトウェア大賞2000受賞作

品を選定しました。多くの優秀なフリーソフトや

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「ENCコンファレンス2000」の開催と「オンラインソフトウェア大賞2000」受賞作品の発表

ENC 電子ネットワーク協議会の活動報告ENC 電子ネットワーク協議会の活動報告

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シェアソフトに加えて、“オープン”が求められる

時代の新発想ワードプロセッサとして登場した㈱

ジャストシステムの「一太郎Ark」にプロダクトソ

フト大賞、本年5月に発生し世界中を騒がせたラブ

レターウイルス発生時に、無償ウイルスチェック

サービス「オンラインスキャン」をWeb上で広く

提供したトレンドマイクロ㈱のウイルス対策チー

ムに特別賞が贈られました。

1.フリーソフト大賞

●午後のこ~だ~光成滋生、成田剛氏~

LAMEを元に高度に最適化されたmp3エンコーダ

2.プロダクトソフト大賞

●一太郎Ark~㈱ジャストシステム~

“オープン”が求められる時代の新発想ワードプ

ロセッサ

3.入賞

●解凍レンジ~白川泰洋氏~

Windows95/98/DLLいらずの一発解凍ツール

●DigitalClay~StudioPON~

粘土細工感覚で直感的に操作できる三次元CGソフト

●Pixia~丸岡勇夫氏~

フルカラー画像専用のグラフィックツール

●M E I M I ( M u l t i E f f e c t I n t e r a c t i v e -

MovieInterface)~東京理科大学パソコン相談

室・電気工学研究会有志団体[S.E.E.R.A]森谷文裕

/矢崎浩平/大泉和人/吉崎圭祐/矢野譲/鈴木由宇也

/冨田祐輔/武田貴文氏~

エフェクトをかける特殊再生にある程度こだわっ

た動画再生プレイヤー

●親戚まっぷ~㈱石川コンピュータ・センター~

世にも珍しい「家系図」作成ソフト

●クターシリーズ~ギガ連射~クターのナワトビ:無

表情キャラ「クター」のナワトビゲーム

~クターのリフト:クリック一発!とにかく高速リフ

トに乗りまくれ!

~クターの一気ノミ:風呂上りの牛乳をクリック連

射でゴクゴク飲み干すミニゲームなどw3m~伊藤

彰則氏~

●ページャ/テキストベースWWWブラウザiText~

山下道明氏~

iMac’sテキストエディタ

4.特別賞

●ウイルスバスターオンラインスキャン~

TrendeDoctorJapan~

ActiveXコントロールにより、WWWブラウザか

らウイルスチェックができるサービス

●J-OS~山田達司氏~

英語版のPalmOSを搭載するハンドヘルドデバイ

ス上で日本語を扱うソフト

ENCコンファレンス2000

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ENC 電子ネットワーク協議会の活動報告

当協議会の本年度の研究会活動の状況をご紹介

します。

研究会活動は、広域の都市間交流・連携によるま

ちづくりと情報化の推進に重点取り組みを行ってい

ます。前年度に引き続き「首都機能移転候補地域

那須地域情報化未来都市研究会」と「茨城県南広域

都市圏情報化未来都市研究会」を継続実施するととも

に、新規に「阪神広域都市圏情報化未来都市研究会」

を発足させ、3つの研究会を推進しています。

各研究会の活動状況は下記の通りです。

1.阪神広域都市圏情報化未来都市研究会

「阪神地域」をモデルとして取り上げ、圏域内の施

設配置やインフラ・サービスの検討などを通して都市

型広域連携のあり方や、その実現の為の課題や解決

方法について、民間の立場から提言する事を目標と

している。

兵庫県南東部に位置する尼崎市、西宮

市、芦屋市、伊丹市、宝塚市、川西市、

三田市、猪名川町の7市1町で、人口約

168万人の圏域

大阪大学大学院国際公共政策研究科

教授 林 敏彦 氏

協議会会員企業21社の約40名

近畿通商産業局、近畿電気通信監理局、

兵庫県及び主要各市

7月18日の午後、尼崎市のホテルニューアルカイッ

クにおいて第1回委員会を開催してスタートし、作業

部会活動に入っている。本圏域のコンセプトを「ゆと

りある日常生活空間を共用できる都市」と設定し、作

業部会を①住民サービスの向上、②地域情報の発

信・集客、③地域産業の振興の3グループに分けて、

それぞれの視点から具体的な検討を行っている。

2.茨城県南広域都市圏情報化未来都市研究会

前年度の研究会で、本圏域の現状と課題を整理し、

圏域の基本コンセプトと目指すべき広域都市像の提

言や都市拠点機能の配置などについて提案した。本

年度は、広域都市圏形成に資すると考えられる重点

プロジェクトの検討、特に先行プロジェクトとして着手

すべきものにつき、具体的な検討を行い提言する。

業務核都市である土浦市、つくば市、

牛久市の3市を中心として、周辺の市

町村を合わせて5市7町2村で構成す

る人口約77万人の圏域

茨城大学工学部都市システム工学科

教授 山形耕一 氏

協議会会員企業22社の約45名

関東通産局、茨城県、土浦市、つくば

市、牛久市など

7月24日の午後土浦市の土浦第1ホテルで本年度

第1回目の委員会を開催した後、作業部会活動に入

っている。作業部会に①地域プロジェクト部会、②IT

プロジェクト部会の2つの部会を設けて具体的な検

討作業を行っている。

3.首都機能移転候補地域 那須地域情報化未来

都市研究会

前年度の研究会で、首都機能移転が実現した場合

を想定し、新都市整備パターンの検討やインフラ需

要の推計などを行い、新都市那須の目指すべき将来

像を描きその実現に向けての検討課題を整理した。

本年度は、戦略プロジェクトの検討や次世代都市像

の検討に重点取り組みを行い、情報化未来都市構想

実現についての提言として取り纏める。

西那須野町、黒磯市を中心とする栃木

県北部の首都機能移転候補地域

東京大学先端科学技術研究センター

教授 大西 隆 氏

協議会会員企業26社の約50名

関東通産局、栃木県

8月4日の午後宇都宮市の関東チサンホテルにおい

て本年度第1回委員会を開催した。その後、作業部

会活動に入っており①戦略プロジェクト部会、②次世

代都市部会の2つの部会を新規に編成して具体的な

検討を進めている。

●オブザーバー:

●委 員 :

●委員長:

●対象地域:

●オブザーバー:

●委 員 :

●委員長:

●対象地域:

●オブザーバー:

●委 員 :

●委員長:

●対象地域:

平成12年度研究会活動の状況

APADIC 情報化未来都市構想推進協議会の活動報告

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APADIC 情報化未来都市構想推進協議会の活動報告

シニアネットワーカーズ・カンファレンス(SNC)は今回で3回目となりました。参加者は、120名を越え大きな成果を上げることができました。参加者全員は、五つのワークショップに分かれ、それぞれのテーマについて事例発表(全体で9件)があり、参加者による活発な討議が行われました。

シニアネットワーカーズ・カンファレンス2000(SNC2000)

■開催日平成12年10月4日(木)~5(金)

■場所新横浜プリンスホテル(神奈川県横浜市)

■主なプログラム・主催者挨拶鈴木 健 メロウ・ソサエティ・フォーラム代表幹事

・来賓挨拶菅原 忠氏 通商産業省機械情報産業局情報処理システム開発課課長補佐・講演Ⅰ佐藤一志氏 マイクロソフト株式会社執行役員社長室「マイクロソフトの新戦略『次世代インターネットへの展開』

・講演Ⅱ吉田 敦也氏 京都工芸繊維大学助教授学術博士「カリフォルニアシニアとインターネット」・ワークショップ1 地域ネットの組織強化を考える~仲間を増やす

2 地域ネットの組織強化を考える~組織を強化する

3 ネットワーカーズの活動促進を考える

~コミュニティを創る4 ネットワーカーズの活動促進を考える~インターネットでビジネスを創出する

5 ネットワーカーズ間の交流促進を考える~全国の地域ネットをもっと知りもっと交流を図る

佐藤一志氏の講演では、IT革命の進行とともに新しく掲げられたマイクロソフト株式会社のビジョン、「時や場所、機器を問わず優れたソフトウェアで人々の可能性を広げる」についての紹介がありました。次世代のインターネットの進化と、これにともなうPCの発展により、ビジネスだけではなく、家庭での環境に大きな変化、例えば、情報機器と家電製品との連携といったことにも現実性を帯びてくるようになります。マイクロソフトは、そのようなニーズに合ったソフトウェア製品を提供しています。

吉田敦也氏の講演では、スタンフォード大学客員研究員として滞在し、カリフォルニア・シニアネットワーカーへの生活レベルインタビューを開始されたとのことです。シリコンバレーでのシニアネットワークのシステム作りの現状、定年後シニアの定例行動と一般市民行動とを複合した形で展開されているモデルについての紹介がありました。さらに、日本に適したシニアネットワーク、シニアベンチャーの支援システムの開発を目指し、その活動基盤として「テックサラダ」プロジェクト(http://www.techsalad.org)を立ちあげました。

シニアネットワーカーズ・カンファレンス2000を開催

MELLOW メロウ・ソサエティ・フォーラムの活動報告

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情報化未来都市関連(電話03-3457-0671)

情報化未来都市システムの調査・開発に関する調

査報告書概要

宍道湖・中海広域都市圏に関する調査研究

首都機能移転候補地域 那須地域に関する調査研究

茨城県南広域都市圏に関する調査研究

開発本部関連(電話03-3457-0672)

インターネットにおけるXMLプラットフォームの

調査研究

情報サービスネットワークの環境整備 運営技術

の整理と解決手段の検討

インターネット上のフリーソフト/シェアソフト等

に関する調査

電子ネットワーキング応用調査

電子ネットワーキング・コンファレンス2000 記

録集

次世代ICカードシステムの利用環境に関する調

査研究

電子ネットワーク協議会月例セミナー記録集

電源地域における広域・多目的利用ICカードシ

ステム導入可能性調査

推進本部関連(電話03-3457-0673)

情報化セミナ-(中国地区)報告書 

共通アプリケ-ションに関する調査研究報告書

街づくり情報化調査研究報告書

全国地域情報化推進会議「情報化フェスタ」報告書

先進的情報システム導入のための調査報告書

(1)田野畑・銀河情報ネットワ-クに関する

調査

(2)浜松地域ソフトウェア産業支援情報ネッ

トワ-クシステム調査

(3)京都府八幡市に関する調査

(4)海南市周辺地域ケアマネジメント支援情

報化調査

(5)ホスピタリティ演出石垣観光情報システ

ム調査

●下記2件のお問い合わせは(電話03-3454-9721)

広域連携システムに関する事業化に係わる調

査研究報告書

情報化街づくり推進事業 概要編 開発シス

テム集

メロウ・ソサエティ構想関連(電話03-3454-8541)

情報システム活用型シニアベンチャー支援事業

第7回メロウ・グランプリ審査結果

メロウ・シンポジウム2000

異世代交流インターフェイスの開発

シニア情報生活アドバイザーに関する調査

平成11年度報告書一覧

平成12年度公募による採択事業一覧

帯広市十勝テレホンネットワーク(株)

奈良県橿原市

京都府相楽郡木津町

福岡県北九州市黒崎ターミナルビル(株)

地 域 名

十勝圏観光情報システムの構築に関する調査

歴史文化活用ネットワーク構築に関する調査

住民相互支援システムの構築に関する調査

黒崎ターミナルを核とした地域情報システムに関する調査

事 業 名

地 域 名 事 業 名

1.地域情報化のための調査事業

美唄市(株)美唄未来開発センター

岩手県田野畑村

浜松市(財)浜松地域テクノポリス推進機構

沖縄県石垣市

OneStop統合型行政GISの開発

田野畑・銀河図書情報システムの開発

地域ものづくり産業支援情報システムの開発

ホスピタリティ型石垣観光情報システムの開発

2.地域情報システム開発事業

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【編集後記】

ある国では、公共の場でたばこを吸うことが、禁止されている

とのことでした。小生、駅前で帰宅のバスを待っている短い時間

に、風上でたばこを吸う方が見受けられます。風が弱くても大い

に迷惑な行為です。吸った後はぽい捨て。吸い殻が、自分から歩

いてゴミ箱に入るのかも。罰金刑を厳しく適用し、積極的にわが

街の財務改善に貢献(?)していただこうではありませんか。(T.I)

人生のハッピーエンド(自分の最期の旅立ち)に向けた葬送サポート事業シルバーメディア放送局園芸療法による健康増進・交流促進・環境美化活動と全国普及ネットワークづくり地元学がつくる西和賀エコワーク創造事業

シニアNPOのための事業化支援ワンドアシステム構築事業バリアフリー国体応援サイト構築事業シニアによる子育て等支援事業もばいるでっ!アクション・シニア・タンク

Web上で行う経営支援ビジネスの仲介事業NPO介護情報ネットの構築とヘルパーリーダー育成プログラムの開発高齢者の居住に関する情報及びサポートシステムの提供シニアラーニングセンター「インターネット年輪塾」事業「飯田街道ハイパーウォーク」事業わがやハートフル事業オンデマンド福祉情報ネットワーク事業治験ボランティア情報ネットワーク障害者による地域生活密着型コンテンツ情報デリバリー事業障害者共同作業所間のネットワーク構築と製品通信販売システムの開発事業THE KAGURAオーダーシステムGOODWILLボランティアネット展示案内ボランティア情報発信・ITリテラシー修得事業シニアボランティアネットワーク支援事業NPOオーガニックサポートセンター石垣メロウ観光ガイドサービス事業OKINAWASENIORNET熱帯果樹倶楽部

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事 業 名No

葬送を考える市民の会(北海道札幌市)

シニアメディア放送局(北海道帯広市)花連・ノスタルジア旭川ミレニアム(北海道旭川市)

特定非営利活動法人西和賀文化遺産伝承協会(岩手県和賀郡沢内村)あきたNPOネットワークシニア・NPOのための事業化支援プロジェクトチーム(秋田県秋田市)バリアフリー国体を応援する会(宮城県仙台市)たすけあい横須賀(神奈川県横須賀市)浜松NPOコンソーシアム「アクション・シニア・タンク」(静岡県浜松市)キャリア・コンサルタント協同組合(東京都千代田区)特定非営利活動法人NPO事業サポートセンター(東京都港区)高齢者住居問題研究会(東京都港区)

生涯現役塾(富山県富山市)

しんあいち歴史研究会(名古屋市千種区)わがやネットハートフル事業部(名古屋市中川区)情報共同作業所i-コラボレーション(滋賀県草津市)医療サポート機構(大阪府茨木市)障害者ミシュラン編集委員会設立準備室(大阪府大阪市)

心身障害者共同作業所ピー・ター・パン(島根県松江市)

社会福祉法人いわみ福祉会(島根県那賀郡金城町)特定非営利活動法人GOODWILL(愛媛県新居浜市)北九州市立考古博物館展示案内ボランティア(福岡県北九州市)シニアネット久留米(福岡県久留米市)特定非営利活動法人オーガニック認証協会(熊本県熊本市)八重山観光ガイドボランティアの会(沖縄県石垣市)沖縄官公庁労働者共済会熱帯果樹プロジェクト(沖縄県那覇市)

事業主体名(所在地)

3.シニアベンチャ-等育成事業

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財団法人 ニューメディア開発協会�(NMDA:New Media Development Association)

〒108-0073 東京都港区三田1丁目4番28号 三田国際ビル23階����������

ホームページ http://www.nmda.or.jp/

●JR:山手線・京浜東北線 田町駅 徒歩15分�●地下鉄:都営三田線 芝公園駅 徒歩10分 �

・総務部 ・広報企画部 ・情報化未来都市推進部 TEL 03-3457-0671 FAX 03-3451-9604�・開発本部 開発管理部 システム開発部 TEL 03-3457-0672 FAX 03-3451-9604�      電子ネットワーク部 �・推進本部 推進管理室 企画部 振興部 TEL 03-3457-0673 FAX 03-3451-9604�      メロウ・ソサエティ構想推進部 TEL 03-3454-8541 FAX 03-3454-8477�      情報化街づくり推進部 TEL 03-3454-9721 FAX 03-5444-3368�      広域システム部�・ニューメディア総合研究所 TEL 03-3457-0673 FAX 03-3451-9604

赤羽橋交差点�

桜田通り�

日比谷通り�

至東京�

芝公園駅�

三田国際ビル�

都営三田線�

都営浅草線�三田駅�

至品川�

第一京浜�

慶応大学�

JR田町駅�

首 都 高 速 道 路�

【交 通】�

研究成果レポート No.2号 発行所 財団法人ニューメディア開発協会  発行人 鈴木健  発行日 平成12年11月10日