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表面プラズモン共鳴イメージング センサによるアレルギー...
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表面プラズモン共鳴イメージングセンサによるアレルギー・がん診断法の開発
広島大学大学院医系科学研究科皮膚科学教授 秀 道広
令和2年10月1日
研究背景
表面プラズモン共鳴(SPR;Surface Plasmon
Resonance)は、金属薄膜の光の反射で反対界面
面の屈折率をリアルタイムで高感度に検出できる
ことから、細胞機能を解析するバイオ研究支援装
置及び臨床診断装置への応用が期待される。
(赤色の波長:約600nm)
金の薄膜(50nm)入射光
600 nm金板の反対側に浸みだした光エネルギー(エバネッセント)
ある入射角で共鳴が起こると反射光の強さと波長が変化
研究の目的
・個々の生細胞の刺激応答を、無標識・リアル
タイムに検出できる技術の開発
・微量の血液から迅速に責任原因抗原を特定
できるアレルギー診断法と、正常・腫瘍細胞の
刺激応答や屈折率の違いを利用したがん診断
法の確立
表面プラズモン共鳴(SPR)センサの原理
プリズム
YY
入射光反射光q
YY YYYY金薄膜 検出範囲数百nm
(a) 結合前
入射光角度
(b) 結合後
⊿θ
時間
屈折率変化の測定例
屈折率変化量(結合量)
共鳴角
フォトダイオード
反射光が最も減衰する入射角度(共鳴角)変化からセンサ上の屈折率変化を検出できる
入射光 反射光
プラズモン波
エバネッセント波
金薄膜
波数の一致により共鳴(入射角度・屈折率に依存)
従来のSPRセンサによる抗原-抗体反応検出例
溶液中の特定物質の濃度、結合の強さ等を測定することができる
Biacore
Living-Cell SPR (LCSPR)(生細胞応答測定用SPR)
1.生きた細胞の刺激応答を検出できる(生体に近い)2.無標識でよい(細胞を痛めない・本来の状態を損わない)3.迅速(リアルタイム)・高感度4.従来の方法とは全く異なる細胞機能測定原理に基づく(細胞膜近傍の屈折率変化(ヒスタミン遊離とは無関係))
特徴
DNP-HSA抗原
YY抗DNP-HSA
IgE抗体細胞高数μm 検出範囲
数百nm
入射光反射光
q 時間(Hide M, et al. Anal Biochem 302: 28-37, 2002)
抗原の結合よりも大きな変化
刺激による膜近傍屈折率変化を検出
RBL細胞
金膜
細胞
Plasmamembrane 10 nm
5 nm
20 nm
Actin cytoskeleton
Focal adhesion
核
1~10 μm
SPR検出深さ(<400nm)
細胞とSPR検出深さの関係
タンパク、細胞小器官
細胞膜(脂質二重膜)
細胞活性化時の細胞内外の変化
1. 細胞接着状態
3. タンパク質構造
4. タンパク質の移動
細胞内
細胞外
- --- --
+++++ +
2. 膜電位(membrane potential)
検出エリア(< 400 nm)
金膜
接着分子
細胞膜:5-10 nmProtein: ~10 nm検出エリア:~300 nm
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従来技術とその問題点
1細胞応答解析用SPRイメージング(SPRI)を開発
・1細胞の変化を検出することはできない(細胞機能解析、試料の微量化に適さない)
・マルチチャンネル化が困難(スクリーニング装置に適さない)
・異なる細胞を個別に測定できない(シグナルが平均化され小さな反応が見逃されてしまう)
CMOS カメラLED光源
偏光板プリズム(RI=1.72)
対物レンズ金薄膜(50 nm)蒸着ガラス基板
刺激物投与 フローチャンバ
生細胞 恒温装置 (37℃)
56°
56°
(a) (c)(b)
共鳴曲線(a) 緩衝液(b) 生細胞(無刺激)(c) 生細胞(刺激)
入射光角度
細胞と緩衝液の屈折率の違いによる反射光強度差
⊿Intensity
(反射光強度変化)
細胞応答可視化用SPRイメージング(SPRI)
RBL-2H3細胞のSPRイメージ生細胞屈折率可視化原理
20 mm
アクロマティックレンズ
1細胞応答の可視化 細胞内局所観察
多チャンネル同時解析
異なる変化を同視野内で観察
屈折率
SPRIセンサを利用すれば、個々の細胞の刺激応答を標識することなく可視化することができる
臨床診断、細胞品質評価、薬剤スクリーニング等への応用が期待できる
I型アレルギー診断法としての応用例
抗原に対する好塩基球の応答を利用したアレルギー診断
SPRイメージ
S N
②標識細胞をトラップ
患者由来好塩基球
③好塩基球回収
①好塩基球以外の細胞を磁気標識 好塩基球
磁気ビーズ
非好塩基球
1. 末梢血からの好塩基球分離
SPRIによる好塩基球活性化テストの流れ
AutoMACS™
患者血液 YYYYYY
抗好塩基球抗体(BA312)
2. SPRIによる好塩基球活性化モニタリング
Magnetically trapped
ヒト末梢血由来好塩基球
500 basophils from 100 μl of peripheral blood
各種アレルゲン
健常人、アトピー性皮膚炎患者の好塩基球を汗抗原刺激したときの細胞屈折率変化
数個の好塩基球の応答から患者のアレルゲンに対する過敏性を調べることができる
**
陽性
陰性
光強度変化
健常人 アトピー
磁性粒子含有チップ(細胞分離能付)
PDMS樹脂性のマイクロ流体チップ
刺激前
刺激後
ベッドサイドで迅速・低侵襲・高信頼性な即時型アレルギー診断が可能
1チップ上で細胞分離・搬送・刺激応答観察が可能
がん診断法としての応用
同じ組織中に異常細胞(腫瘍細胞)が混ざっていても、成長因子に対する反応性の違いを利用してがん細胞を発見できるかもしれない
-3
-2.5
-2
-1.5
-1
-0.5
0
0.5
1
1.5
0 500 1000 1500 2000
Huvec
2uM io
50ng/ml VEGF
medium-5
-4
-3
-2
-1
0
1
2
3
4
5
0 500 1000 1500 2000
Hamon
2uM io
50ng/ml VEGF
medium
Huvec
Hamon
Dintensity
Dintensity
Time (sec)Time (sec)
成長因子に対する正常・異常細胞のSPRシグナルの違い
正常細胞
腫瘍細胞
正常細胞腫瘍細胞
0
20
40
60
80
100
120
53 58 63
Huvec
Hamon
・組織中の腫瘍細胞(生検組織から細胞を分離)・末梢血を流れる腫瘍細胞(circulating tumor cells; CTC) の検出等に応用
正常
腫瘍
正常細胞・腫瘍細胞の共鳴曲線の違い
正常細胞腫瘍細胞
入射角度
反射光強度
刺激応答の違いや屈折率そのものの違いを利用して正常と腫瘍細胞の違いを見分けられる
正常
正常
正常
正常正常
正常
腫瘍細胞の方が屈折率が高い
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新技術の特徴・従来技術との比較
• 生細胞の状態・刺激応答を、無標識で経時的に一細胞レベルで検出することに成功した
• 個々の好塩基球のアレルゲン刺激応答に基づく、迅速・正確なアレルギー診断が可能であることが示された
• 成長因子に対する応答の違いや、無刺激時の屈折率の違いから、がん診断に応用できる可能性が示された
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想定される用途
• 基礎生物学研究分野:細胞膜近傍の屈折率を可視化することで、従来の手法では検出できなかった細胞の機能と微小構造の変化を経時的に解析
• 臨床診断分野:アレルギーを起こす細胞の刺激応答や、悪性腫瘍細胞に特有の反応パターンを検出できた。
→アレルギー診断やがんの診断装置としての応用
• 再生医療分野:細胞に手を加えること無く細胞膜近傍の挙動を評価することによる、細胞治療、再生医療商品の品質管理(細胞の分化度や、健全さ等)など
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実用化に向けた課題
• 研究に従事する人員と研究費が不足している
• 装置開発力の不足
(実用性を高めるための改良)
• 利益を生む製品としての利用方法についての検討が不十分
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企業への期待
• 基礎研究分野・臨床分野の各々で用途に応じた製品の製造と販売を行うことができる企業との共同研究を進めたい。
新技術説明会で説明することによって、具体的に企業へ何を期待するか・求めているかを明確に記載してください。
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本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :生細胞の分析システム
• 登録番号 :特許第5946082号
• 出願人 :国立大学法人広島大学
• 発明者 :秀道広、平郡隆明、柳瀬雄輝
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本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :細胞分離チップ
• 登録番号 :特許第5812469号
• 出願人 :国立大学法人広島大学
• 発明者 :坂本 憲児、柳瀬 雄輝、
三宅 亮、秀 道広
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本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :細胞分離チップの製造方法
及び細胞分離チップ
• 登録番号 :特許第5950278号
• 出願人 :国立大学法人広島大学
• 発明者 :柳瀬雄輝、秀 道広、
三宅 亮、杉本うらら、
有留克洋、坂本憲児
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本技術に関する知的財産権• 発明の名称 :I型アレルギーの診断装置
およびI型アレルギーの診断方法
• 登録番号 :特許第6226534号
• 出願人 :国立大学法人広島大学
• 発明者 :柳瀬雄輝、秀 道広、
川口智子、石井 香、坂本憲児
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本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :マルチウェル解析方法および
刺激用マルチウェルチャンバ
チップ
• 登録番号 :特許第6170367号
• 出願人 :国立大学法人広島大学
• 発明者 :柳瀬雄輝、秀 道広、
川口智子、石井 香
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産学連携の経歴(任意)
• 2000年-2001年 JSTの組織再生プロジェクトに
新技術コーディネーターとして参加
• 2002年-2007年 知的クラスター創成事業に採択
(研究代表者)
• 2005年-2007年 JST成果育成事業に採択
(研究代表者)
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広島大学
産学連携推進部 産学連携部門
産学官連携コーディネーター 川崎博和
TEL 082-257-5427
FAX 082-257-1567
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