血液透析患者の外見的な概念が変わる ～ＢＨ穿刺患者のシャント肢の実際50例～

社会医療法人頌徳会 日野クリニック血液浄化室

〇井手原梢子 佐藤正一 左海尚子 村林智恵

立山芳久 大栗克之 東芝昌樹 今野雄介

はじめに

当院では7割以上の患者がボタンホール（ＢＨ）穿刺

である。ＢＨ穿刺は、穿刺時痛の緩和、穿刺ミスによる

血腫形成の予防、穿刺ストレスの軽減、針刺し事故に

よる感染の予防、シャント肢の見た目が綺麗など患者

と医療者に様々な利益をもたらす穿刺技術である。

当院におけるＢＨ穿刺の現状

外来透析患者数203名中

穿刺法

通常穿刺

ＢＨ穿刺

【ＢＨ穿刺患者のＶＡ内訳】

ＡＶＦ 142名

表在化動脈 6名

ＡＶＧ 1名 （返血の表在静脈にＢＨ穿刺）

※ＢＨ穿刺にはメディキット社製ペインレスニードル®を使用

目 的

透析スタッフから観たＢＨ穿刺患者のシャント肢

のイメージについて検討した。

方 法

① 当院の全ＢＨ穿刺患者のシャント肢をデジタルカメラで撮影

した画像の中から50例を選出。

※ＯＬＹＭＰＵＳ ＴＧ-4を用いて透析ベッドで穿刺前のシャント肢を撮影

② ＢＨ穿刺患者のシャント肢外見と従来の穿刺法によるシャン

ト肢外見を客観的に比較検討し、透析スタッフが受けるシャ

ント肢の概念を話し合い意見をまとめた。

※倫理的配慮：個人が特定されないよう配慮している。

ＢＨ穿刺患者のシャント肢５０選

※撮影時のフラッシュや画像処理はしていません。 年齢/性別/透析歴

No.2 45歳女性

透析歴：1年

No.1 69歳女性

透析歴：0年

No.3 69歳女性

透析歴：13年

No.4 72歳男性

透析歴：0年

No.6 74歳男性

透析歴：11年

No.5 85歳男性

透析歴：7年

裏

No.7 66歳女性

透析歴：1年

No.8 50歳女性

透析歴：7年

No.9 53歳女性

透析歴：13年

No.10 44歳男性

透析歴：1年

No.11 76歳男性

透析歴：3年

No.12 88歳男性

透析歴：9年

No.13 51歳女性

透析歴：1年

No.14 41歳女性

透析歴：3年

No.15 50歳女性

透析歴：7年

No.16 68歳男性

透析歴：2年

No.17 44歳男性

透析歴：4年

No.18 66歳男性

透析歴：19年

No.19 71歳女性

透析歴：1年

No.20 78歳女性

透析歴：7年

No.21 67歳女性

透析歴：15年

裏

No.22 72歳男性

透析歴：2年

No.23 77歳男性

透析歴：6年

No.24 73歳男性

透析歴：12年

No.25 65歳女性

透析歴：2年

No.26 58歳女性

透析歴：3年

No.27 69歳女性

透析歴：10年

No.28 60歳男性

透析歴：1年

No.29 56歳男性

透析歴：3年

No.30 73歳男性

透析歴：13年

No.31 46歳女性

透析歴：1年

No.32 47歳女性

透析歴：3年

No.33 50歳女性

透析歴：7年

No.34 61歳男性

透析歴：1年

No.35 77歳男性

透析歴：3年

No.36 78歳男性

透析歴：13年

No.37 64歳女性

透析歴：1年

No.38 91歳女性

透析歴：2年

No.39 68歳女性

透析歴：22年

No.40 76歳男性

透析歴：1年

No.41 56歳男性

透析歴：6年

No.42 77歳男性

透析歴：35年

裏

No.43 65歳女性

透析歴：2年

No.44 88歳女性

透析歴：6年

No.45 65歳女性

透析歴：17年

No.46 69歳男性

透析歴：1年

No.47 49歳男性

透析歴：3年

No.48 71歳男性

透析歴：11年

No.49 75歳女性

透析歴：2年

No.50 81歳女性

透析歴：2年

スタッフから観るシャント肢外見の意見

従来の穿刺法のシャント肢 ＢＨ穿刺法のシャント肢

穿刺の痕が多い 穿刺の痕が二か所だけ

血管がゴツゴツしている（蛇行・瘤） 血管の瘤や蛇行が少ない

皮下血腫で青い 皮下血腫がないので青くならない

腕を見て透析患者だとわかる 見た目透析患者だとはわかりにくい

夏でも半袖が着れないと患者から聞く 自然な腕に近い

考 察

穿刺の痕が目立たず、見た目、透析患者とはわかりにくいという第三

者の印象は、夏でも半袖が着れないという患者心理に対し良い影響が

あると期待が持てる。患者のシャント肢の外見を気にするという問題が

なければ、人の目を気にする機会が減り、娯楽や社会参加などの患者

の生活の質向上に繋がると考える。外科の領域においても患者のＱＯＬ

向上のために創部を最小限にし、傷痕ができるだけ目立たないようにす

る工夫がされている。シャント肢の美容の観点は患者のボディーイメージ

の改善、ＱＯＬ向上に繋がると考える。

まとめ

スタッフから観るＢＨ穿刺法のシャント肢

• 穿刺痕が目立たない。

• 綺麗で自然な腕に近い。

• 見た目に透析患者とはわかりにくい。

• ボディーイメージの改善やＱＯＬ向上に期待できる。

医療者・患者双方の気持ち

無事に穿刺が終わればいい

医療者の気持ち 患者の気持ち

HD患者だし・・・

日々変化する自分の腕

周りの患者も同じだから仕方がない

ある程度諦めている

第61回日本透析医学会学術集会・総会COI開示 筆頭発表者名：井手原 梢子

演題発表に関連し、開示すべきCOI

関係にある企業などはありません。