認定取得の実際 - 公益財団法人 日本適合性...

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1 化学試験(ISO/IEC 17025(財)日本適合性認定協会 認定センター 松本年雄 認定取得の実際 本資料の内容に関するご質問は03-3442-1217(松本)まで 認定取得検討者に向けて 2 資料の概要/本日のテーマ 認定取得に向けて参考になる資料 1. 上司、同僚を説得するための資料 ISO/IEC17025試験所認定制度の必要性 MRAOne Stop Testing 実例;食品の例、ケミカルエミッションの例 試験所認定制度の意味と効果・実績・実例 2規格の解釈 管理上の要求事項 技術的要求事項 最新の情報(RoHS指令、Type of Test3他に準備する資料(例) 技術的要求事項;事例集、重要箇所の説明 4参考セミナー・資料紹介

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化学試験(ISO/IEC 17025)

(財)日本適合性認定協会

認定センター 松本年雄

認定取得の実際

本資料の内容に関するご質問は03-3442-1217(松本)まで

認定取得検討者に向けて

2

資料の概要/本日のテーマ

認定取得に向けて参考になる資料

1. 上司、同僚を説得するための資料ISO/IEC17025試験所認定制度の必要性

MRA、 One Stop Testing実例;食品の例、ケミカルエミッションの例

試験所認定制度の意味と効果・実績・実例

2.規格の解釈

管理上の要求事項技術的要求事項最新の情報(RoHS指令、Type of Test)

3.他に準備する資料(例)

技術的要求事項;事例集、重要箇所の説明

4.参考セミナー・資料紹介

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相互承認協定(MRA)MUTUAL RECOGNITION ARREANGEMENT

認定

登録

認定

登録

試験報告書校正証明書

● 海外 認定機関試験所

企業など校正機関

● 日本

試験報告書校正証明書

認定機関 企業など

JAB

試験所校正機関

相互承認(ILAC、APLAC)

報告書報告書

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試験所とは

試験所の例11.国や県の衛生試験所等

2.食品衛生登録機関

3.民間の検査(試験)機関

試験所の例21.製造メーカ、輸入業者の

品質管理(保証)部門

検査(試験)部門

(全体) 一部 (認定外

一部

(認定外

)品管

(認定外

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ほたて貝

⇒ ISO/IEC17025の認定取得

輸出相手国の要求(EU)

試験所認定制度の必要性

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⇒更に ISO/IEC17025の認定を取得

輸出相手国の環境保護ラベルへの対応

試験所認定制度の有用性(ケミカルエミッション実例)

【複合機】

VOC、 オゾンホルムアルデヒドカルボニル化合物

粉じん

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認定取得の意味と効果

ILAC/APLAC 国際相互承認

ILAC : the International LaboratoryAccreditation Cooperation

国際試験所・校正機関認定協力機構

APLAC : Asia Pacific LaboratoryAccreditation Cooperation

アジア太平洋試験所認定協力機構

試験成績書が海外で通用海外出荷がスムーズに海外顧客への説明の簡素化

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• JABに認定された試験所の試験報告書は、米国、

欧州、アジアの主要国へ流通が可能で、法律で規制されない分野(任意分野)での輸出入に対応できる。

• 法律で規制される分野(強制分野)ではEU各国

が輸出入に利用する食品試験所にISO/IEC17025を要求し、各国機関に認定されて

いることが義務付けられている。

• 最近では日本とEU、シンガポール、米国の間で

政府間協定が結ばれ、通信、情報等の分野でこの認定制度が使用されるようになってきた。

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公的認知

技術能力の証明

ステータス、

信頼性が向上

顧客要求を満足

入札要件

製品の信頼性向上

リスク減少

認定取得の意味と効果(実際)

試験所・校正機関・臨床検査室・検査機関からの声

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試験所・校正機関・臨床検査室・検査機関

認定取得の意味と効果(実際)

品質システムの運用業務の質の向上

責任の明確化意識の向上目標管理内外の審査による評価PDCA実践による業務改善

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技術レベルの向上業務の標準化

要員(技能)のレベルアップ不確かさの概念の定着設備(計測器)・施設管理ノウハウの蓄積

整理整頓

試験所・校正機関・臨床検査室・検査機関

認定取得の意味と効果(実際)

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資料の概要/本日のテーマ

認定取得に向けて参考になる資料

1. 上司、同僚を説得するための資料ISO/IEC17025試験所認定制度の必要性

MRA、 One Stop Testing実例;食品の例、ケミカルエミッションの例

試験所認定制度の意味と効果・実績・実例

2.規格の解釈

管理上の要求事項技術的要求事項最新の情報(RoHS指令、Type of Test)

3.他に準備する資料(例)

技術的要求事項;事例集、重要箇所の説明

4.参考セミナー・資料紹介

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4.1 組織4.1.5 a)管理要員/技術要員マネジメントシステムの実施、維持及び改善を含む責務を果たし、マネジメントシステム又は試験・校正の実施手順からの逸脱の発生を見つけ出し、その逸脱を防止又は最小化する処置を指揮するために、必要な権限及び経営資源を他の責任にかかわらずもつ管理

要員並びに技術要員をもつ

すなおに、システムは品質管理者、技術は技術管理主体に責務を負わせるのが現実的である。

※ 力量・経験の無い品質管理者のみに負わせるのは不適切。

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4.1 組織

4.1.5 b)内外圧回避体制管理主体及び要員が、業務の品質に悪影響を与えるおそれがあるいかなる内部的及び外部的な営業上、財務上又はその他の圧力を受けないことを確実にするための体制をもつ。

・どんな圧力があるのかを想定し、その圧力を回避するための体制(組織、管理)を考える。・更に、具体的な(想定内で構わないので)回避手順を持つことを薦める。

※多くの企業で、入社時にコンプライアンスも含めて誓約書を出させているが、これだけではダメ!!4.1.5 d)と合わせて対策する必要がある。

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4.1 組織

4.1.5 c)機密保護/所有権保護結果の電子的手段による保管及び伝送を保護する手順を含め、顧客の機密情報及び所有権の保護を確実にするための方針及び手順をもつ。

※ 多くの機関で、所有権保護に関する方針・手順が無い。 また、方針のみの機関が多い(どうにかして手順として容認しようと思ってもダメなケースが多い)。

他項と合わせて総合的に対応できるようにしておくことが肝要。

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4.1 組織

4.1.5 e)組織関係試験所・校正機関の組織及びマネジメント構造、親組織における位置、並びに品質マネジメント、技術的運営及び支援サービスの間の関係を明確に規定する。

4.1.5 f)要員の相互関係試験・校正の品質に影響する業務のマネジメント、実施又は検証に当たるすべての要員の責任、権限及び相互関係を明確に規定する。

「認定範囲」と「組織」は二大重要項目である。

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組織図の構成(案)

① 企業全体で「試験所」の位置が分かる組織図。② 申請範囲の試験を実施している部署(申請試

験所)が分かる組織図③ 申請試験所の主要な要員の配置が具体的に

分かる組織図(「機能組織図」)。

要員の責任と権限規定(案)

① トップマネジメント。 ② 管理主体。③ 技術管理主体。 ④ 監督者。 ⑤ 試験実施者。⑥ 特定要員。 ⑦ 品質管理者。⑧ 「試験報告書への署名者」(5.2.1項、5.10.2 j項)

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組織図(例)① 企業全体で「試験所」の位置が分かる組織図。

※1:一般教育※2:支払い※3:発注依頼

対象試験所

製造1課

総務部 経理部 業務部事業部

事務機材料 AV

支援部署

総務課 品質保証部 製造3課 製造2課

鹿島工場

業務課経理課

※1 ※2 ※3

大阪工場 栃木工場群馬工場

品質1課

品質2課

電子 家電

社長

役員会

化成品

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管理要員

品質管理者

技術要員

技術管理者

試験員 特定の要員

監督者

試験所長(管理主体)

事業統括責任者(上級経営管理者)

(管理の最高レベル)品質方針表明発行(4.2.2)

方針又は経営資源の決定(4.1.5 i))

公約表明(4.2.2 a)b)e))、MR(4.15.1)、要員の適格性(5.2.1, 5.2.2, 5.2.5)

(4.1.5 i))の責任内部監査(4.14.1)

(4.1.5 h))の責任

(4.1.5 g))

(4.1.5 a))

(5.2.1)(5.2.5)(4.1.5 a))

機能組織図(参考書の例)

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組織図(例)③ 申請試験所の主要な要員の配置が具体的に分かる組織図

(「機能組織図」)。

総務

経理

業務

社内校正員

CCCC

試験者

報告書署名者

品質保証部長 @@@@

(代理) ****工場長

DDDD部長

トップマネジメント

品質管理者

品質2課長 TTTT

代理)品質2係長 ああああ

管理主体

品質保証部長 @@@@

代理)品質1課長 MMMM

支援部門

BBBB部長

CCCC課長

内部監査員技術管理者

うううう主任

ええええ主査

品質1課長 MMMM

代理)品質1係長 いいいい

監督者

品質1係長 いいいい

大阪工場長 ****

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4.1 組織

4.1.5 k)貢献認識組織の要員が、自らの活動のもつ意味と重要性を認識し、マネジメントシステムの目標の達成に向けて自らどのように貢献できるかを認識することを確実にする。

※ 多くの機関で、試験要員にインタビューすると回答を得られない場合がある。

※ 具体的な目標、行動計画を認識させる、教育プログラムも必要であろう。

※ 規格の項番号と対比させて、系統立てて理解させる教育が必要。

※ できている機関は4.1.6項要求のコミュニケーションが良くできていて、その記録も残っていることが多い。

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4.2 マネジメントシステム4.2.2 品質方針試験所・校正機関における品質方針表明を含む品質に関連したマネジメントシステムの方針は、品質マニュアル(いかなる名称でもよい。)の中に明確に規定すること。

※ a)~e)をすべて具体的に方針に盛り込むのは現実的でないので、 大枠、概要を「品質方針」として「マニュアル」中に記載(含め)、それを管理主体が具体的な目標に反映させるのが現実的であり、その運用は容認できる。

※ 4.1.5 f)項で、「管理主体」の責任事項として明確に規定し、運用するのがbetter。

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4.2 マネジメントシステム4.2.7 integrityトップマネジメントは、マネジメントシステムの変更を計画し実施するときに、そのマネジメントシステムの“完全に整っている状態”(integrity)が維持されることを確実にすること。

※ システムを変更しても試験結果に影響を及ぼさないintegrityの確保が大切で、初回審査時にはintegrityが確保されていないことが多い。 このため、トップマネジメントとの面談では、方針、手順を伺うことになる。

※ 主要員の代理者の確保。※ 主要な設備のサブ機の確保。 等

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4.3 文書4.3.3.4 PC内保管文書コンピュータ化されたシステム中に保持されている文書の変更をどのように行い、管理するかを規定する手順を確立すること。

※ 「紙が正で、PC管理は行わない」としている機関が多い。 このような機関でも、文書を修正・変更する場合、現実にはPC管理文書を修正している。 PC管理手順は必要。

※ 作成者に任せる管理も良いが、その要員が辞めた時に、PC管理文書が使えなくなった機関も存在するので、バックアップ管理体制まで作っておくとbetterである。

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4.4 契約4.4.1 a)契約時の取り決めa) 使用すべき方法を含め、要求事項が十分に確定され、文書化され、理解されている。

※ 親会社からの依頼が主である機関では、この項の要求内容の理解度が劣る。

※ 4.4.2 注記にあるように、「定型的業務」

の場合簡略化を容認されているが、一般顧客からの依頼も想定される機関では、依頼時に必要な事項の確認が適切に行えるかを審査する。

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4.6 購買

4.6.2 購買品のリストアップa) 試験所・校正機関は、購入された供給品、試薬及び消耗品で試験・校正の品質に影響を与えるものは、関係する試験・校正方法で規定された標準仕様又は要求事項に適合することを検査若しくは別の方法で検証が済むまでは使用しないことを確実にすること。

※ 主要な購買品(結果に影響を与えるもの)と一般的な購買品を区別することが肝要。

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4.6 購買

4.6.4 供給者リスト

試験所・校正機関は、試験・校正の品質に影響する重要な消耗品、供給品及びサービスの供給者の評価を行い、これらの評価の記録及び承認された供給者のリストを維持すること。

※ 重要な消耗品、供給品はリストアップされているが、校正サービス提供者がリストアップされていないケースが多い。

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4.7 顧客へのサービス4.7.1 監視協力

試験所・校正機関は、自身が他の顧客に対する機密保持を確実にする条件で、顧客又はその代理者が実施業務に関する顧客の要求を明確化し、更に試験所・校正機関の実行状況の監視に進んで協力すること。

※ 機密保持を結んだ上での監視協力に関して、カタログやウエブサイトで掲載することや、契約時に説明(契約書で明示)することを薦める。※ 競合他社に関してはこの限りでは無い

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4.8 苦情すべての苦情の記録並びに試験所・校正機関が行った調査及び是正処置の記録を維持すること 。

※ 「要望」や「問い合わせ」まで是正処置を行っており、現実的でない。

※ 「苦情」、「要望」、「問い合わせ」の区別がついていない機関が少なからずある。

※ 内容を調査した結果を受けて、是正処置に移行するか決める手順が現実的であろう。

※ 内部監査員や、職員が発見した軽微な不適合を苦情としている機関もあるが、疑問である。

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4.9 不適合試験業務

4.9.1a)不適合業務の管理に関する責任者及び権限者を指名し、不適合業務が特定された場合、処置(必要に応じ、業務の中止並びに試験報告書及び校正証明書の発行保留を含む。)を確定し、実施する。

※ 管理責任者及び権限者を指名する要員が決まっていない。

※ 指名を受けた要員に、業務中止や発行保留の権限が無い。

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4.11 是正処置

4.11.4 是正処置の監視試験所・校正機関は、取られた是正処置が効果的であったことを確認するため、結果を監視すること。

※ 是正処置の完了の確認と効果の確認を混同している機関が多い。 完了後の監視。

※ 結果の監視を発生者や是正処置者が実施している場合があるが、別の要員や、内部監査員が行った方が効果的である。

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4.12 予防処置

4.12.1 技術面及びマネジメントシステムに関して、必要とされる改善及び不適合の潜在的原因を特定すること。改善の機会が特定された場合、又は予防処置を取る必要がある場合には、そのような不適合が起こる可能性を減らし改善の機会を活用するため、行動計画を作成し、実施し、かつ、監視すること。

※ インプットが弱い機関が多い。他部署、他社での事例を利用する認識が無い。

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4.13 記録の管理4.13.1.2 すべての記録は読みやすいもので

あり、損傷又は劣化の防止及び紛失の防止に適した環境を備えた施設中において、容易に検索できるような方法で保管し、維持すること。4.13.1.4 試験所・校正機関は、電子的に保

存されている記録のバックアップ及び保護の手順、及びそのような記録への無許可のアクセス又は修正を防止する手順をもつこと。

※ 電子記録の管理が弱い機関が多い。

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4.13 記録の管理

4.13.2.1 個々の試験・校正に関する記録は十分な情報を含み、可能な場合、不確かさに影響する因子の特定を容易にし、元の条件にできるだけ近い条件での試験又は校正の繰返しを可能とするものであること4.13.2.2 観測結果、データ及び計算は、それらが作成される時点において記録され、特定の業務において識別可能にすること。

※繰り返し試験ができない記録や、トレースできない記録が多い。

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5.2 要員

5.2.1 特定の業務を行う要員は、必要に応じて適切な教育、訓練、経験及び/又は技量の実証に基づいて資格付与されること。5.2.5 管理主体は、特定のタイプのサンプリング・試験・校正の実施、試験報告書及び校正証明書の発行、意見及び解釈の提供並びに特定のタイプの設備の操作を行うため、特定の要員に権限を与えること。

※ 特定の業務、特定の要員が明確にされていない機関が多い。

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5.2 要員

5.2.5 試験所・校正機関は、契約による要員を含

め、すべての技術要員に対し、該当する権限付与、力量、教育上及び職業上の資格付与、教育・訓練、技能及び経験に関する記録を維持すること。

この情報は、いつでも利用できる状態におかれ、権限付与及び/又は力量確認の日付を含むこと。

※ 技術管理者や監督者が力量確認を行い、その

結果を受けて、トップマネジメントから権限付与、資格付与するシステムが望まれる。

「権限付与書」や「資格付与書」がbetter。

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5.3 施設・環境条件

5.3.1 試験・校正の結果に影響する施設及び環境条件に関する技術的要求事項を文書化すること。5.3.3 両立不可能な活動が行われている隣接区

域との間に効果的な分離を施すこと。混入汚染を防止する手段を講じること。5.3.5 試験所・校正機関内の良好な整理・整とん・衛生を確実にするための手段を講じること。

※ 微生物試験、分子生物学的試験では重要。

※ 試験室では飲食しない。 居室とは区別する。

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5.4 試験方法

5.4.2 方法の選定

国際規格、地域規格又は国家規格として発行されている方法を優先的に使用すること。必要な場合には、規格の矛盾のない適用を確実にするため、詳細事項の追加によって規格を補足すること。

※ 国家規格を使用しない場合は、理由を明確にし、4.4契約、5.10結果でも明確にする。

※ JIS では補足説明の必要ないケースもあるが、ほとんどの場合、SOP(標準作業手順書)を作成し補足する必要がある。

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5.4 試験方法5.4.2 導入前の検証

試験所・校正機関は、規格に規定された方法を試験又は校正に導入する前に、自身がその方法を適切に実施できることを確認すること。

※ 食品中の残留農薬試験の場合、一斉分析法で

試験を行うことがある。このような場合では、マトリクス(食品、作物)と試験対象項目(農薬)との組み合わせで検証する必要がある。

※ RoHS指令関係試験でも同様である。

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資料の概要/本日のテーマ

認定取得に向けて参考になる資料

1. 上司、同僚を説得するための資料ISO/IEC17025試験所認定制度の必要性

MRA、 One Stop Testing実例;食品の例、ケミカルエミッションの例

試験所認定制度の意味と効果・実績・実例

2.規格の解釈

管理上の要求事項技術的要求事項最新の情報(RoHS指令、Type of Test)

3.他に準備する資料(例)

技術的要求事項;事例集、重要箇所の説明

4.参考セミナー・資料紹介

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RoHS指令関係の試験

※ ①の試験方法で、Cd含有熱可塑性ポリエステルの認証標準物質を用いて試験を行い、認証値の近似値の結果を得ることで検証としているケースが多い。

導入前の検証 (認定範囲一覧の記載例)

① 試験方法:化学製品中の微量有害成分測定法の標準化 ((社)日本化学工業協会 平成16年3月)

② 試験対象:樹脂・ゴムの種類を明記熱可塑性ポリエステル

③ 試験項目:分析対象物質の種類と濃度範囲5 mg/kg ≦ Cd ≦ 2000 mg/kg

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前頁と同時に

※ ①の試験方法を変更することなく、熱可塑性ポ

リエステル以外の「樹脂・ゴム」に標準溶液を添加して検証としているケースが多い。

この場合、 5.4.5.2 の拡張に該当し、妥当性確

認が必要との意見もあるが、

ブランク試験によるベースの確認、添加回収試験での繰返し性や再現性 等軽微な「妥当性確認」で十分である。

試験対象 : 1) ポリエチレン 、 2) ABS3) ポリエステル の表記となる。

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RoHS 最近の認定情報5.4.2 導入前の検証5.4.5.2 規格の拡張が適正に実施できる試験所の場合次の条件に合致すれば、「一部限定解除」を認める方向にある。

① 試験方法は固定(変更しない)

② 認定申請時に、検証が終了しているマトリクス(例:「樹脂・ゴム」;PE、PET、ABS)の一覧を提出する。

③ 検証or妥当性確認の手順を文書化する。文書には検証記録様式を含める。

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認定範囲と今後の動向

• 昨年、新規分野として「遺伝子組換え食品」に関する試験が認定範囲に加わった。

• 今年は「DNA解析を含む微生物の同定」

に関する申請があり、年内には認定される見込みである。

• 今後これら新規分野(分子生物学的試験分野)についても多方面からの申請が見込まれている。

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• JAB RL204-2008 「認定範囲、申請方法及び審査手順 (試験所用) 」

1.3 試験所が認定申請を行うには特定の「試験」(test)」を申請する場合と一般的な「試験の種類」(type of test) を申請する場

合があるが、どちらの方法でも申請可能である。

認定範囲と今後の動向

これまで説明してきたのは「試験(test) 」に

よる申請・認定であった。

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「試験の種類」(type of test) とは

JAB RL204-2008 2.定義

• c) 「試験の種類」:技術的、方法論的に類似の

形態と比較可能な校正原理、妥当性確認(バリデーション)原理、及び専門的基盤を持った部分領域をいう。試験の種類は技術に関連して、又は使用方法に関連して定義する 。

• 表1に示した硬さ試験、原子吸光分析法などがそれに相当する。

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JAB RL204-2008表1-2 化学試験分類

○ M26.1 化学分析

○ M26.1.4 ガスクロマトグラフ分析法

○ M26.1.5 吸光光度分析法

○ M26.1.6 発光分光分析法

○ M26.1.7 赤外分光分析法

○ M26.1.9 蛍光X線分析法

○ M26.1.10 蛍光光度分析法

○ M26.1.11 原子吸光分析法

○ M26.1.13 ガスクロマトグラフ質量分析法

○ M26.1.14 高速液体クロマトグラフ分析法

○ M26.1.15 フローインジェクション分析法

○ M26.1.16 イオンクロマト分析法

○ M26.1.18 X線回折分析法

○ M26.1.20 高周波プラズマ質量分析法

○ M26.1.21 近赤外分光分析法

○ M26.1.22 液体クロマトグラフ質量分析法

○ M26.1.23 分子生物学的試験法

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分析対象物質 - 規格名

試料の前処理/試験技術に関する記載

JIS K 0127:2001 海水

かん水

にがり

JIS K 0127: 2001

塩試験方法(日本海水学会編)

JIS K 0127: 2001

JIS K 0102

イオンクロマトグラフ分析法により工場排水試験方法に基づいて9種類のイオンを分析;

F-, Cl- , Br-, SO3

- , NH4+, NO2

- , NO3-, Na+,

K+

工業廃水

「試験の種類」:M26.1.16 イオンクロマトグラフ分析法 JIS K 0127:2001

塩試験方法(日本海水学会編)

規格の記号/発行年/所内試験方法/版

試験対象

イオンクロマトグラフ分析法により2種類のイオンを分析;臭化物イオン、硫酸イオン

イオンクロマトグラフ分析法により2種類のイオンを分析;臭化物、硫酸イオン

JAB RL204-2008添付1 「試験の種類」で認定を申請する場合に使用する様式1

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• JAB RL204-2008 6.2.2(「試験の種類」によって申請する試験所の資格)

• 以下のa),b),c)及びd)又はa)及びd)が満たされていれば、申請可能である。

a) 申請した「試験の種類」あたり合計6個以

上の異なる試験を実施しているか、発行済みの試験報告書(ノンルーチン試験所の場合)を備えている。

Type of Testで申請する資格

50

• b)「試験の種類」で申請した時に、規格外

の「試験」も採用できる事を示す妥当性確認の文書化した手順をもつ。

• c)規格外の試験を含む場合、該当する試験の妥当性確認の記録をもつ。

• d)規格で規定された「試験」の場合は特定

の規格を試験所が採用できることを示す検証の記録をもつ。

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51

Type of Testのメリット

• 「試験」(5.1の方法)で認定された試験所では、

新たに開発した「試験」を拡大申請し、認定されない限り認定された「試験」とはならない。

• ノンルーチンの試験所(通常決まった「試験」以外で試験を行う試験所)又は開発型の試験所(「試験」を開発しながら試験を行う試験所)は「試験」の特定が申請段階では難しい。

• Type of Test で認定されると、方法の妥当性確認(Method Validation)能力を認めるので、新たに

開発した「試験」は届出後に採用できる。

※ 次の審査のタイミングで審査は実施する。

52

基準、手順、指針・ノート

• 基準 (問い合わせ:(財)日本規格協会 TEL03-5770-1571)JIS Q17025:2005 「試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項」

・ 手順類(JAB ウエブサイトでダウンロード可能)

– JAB RL200-2008 「認定を受けるための手順及び権利と義務」– JAB RL204-2008 「認定範囲の定め方及び認定範囲の審査の手順」– JAB RL230-2008 「技能試験の適用についての方針及び手順」

・ 指針・ノート– JAB RL355:2008 「認定の基準」についての指針-化学試験-– JAB RL358:2008 「認定の基準」についての指針-GMO-– JAB RL359:2003 「認定の基準」についての指針-微生物試験-– JAB RL331-2008「測定のトレーサビリティ」についての指針– JAB NOTE1 不確かさの求め方(化学試験分野)

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53

問い合わせ及び参考書• 問い合わせ先

– tel:03-3442-1217 fax:03-5475-2780– JAB ホームページ http://www.jab.or.jp– ILAC ホームページ http://www.ilac.org

• 参考研修、セミナー等– 日本分析化学会主催(http://www.jsac.or.jp)

・分析化学における不確かさ研修プログラム

– ITAC(International Testing & Inspection Authorities Center )http://home.catv.ne.jp/nn/communi

– JAB主催

・試験所認定制度説明会

・不確かさセミナー

54

資料の概要/本日のテーマ

認定取得に向けて参考になる資料

1. 上司、同僚を説得するための資料ISO/IEC17025試験所認定制度の必要性

MRA、 One Stop Testing実例;食品の例、ケミカルエミッションの例

試験所認定制度の意味と効果・実績・実例

2.規格の解釈

管理上の要求事項技術的要求事項最新の情報(RoHS指令、Type of Test)

3.他に準備する資料(例)

技術的要求事項;事例集、重要箇所の説明

4.参考セミナー・資料紹介

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(技術的要求事項; 事例集)

1. トレーサビリティ(体系図)資料5-15.5.2 《設備》 校正

設備は業務使用導入前に、・・・校正又はチェックを行うこと。それらは、使用前にもチェック及び/又は校正を行うこと。

5.6.3 参照標準及び標準物質(実用標準、参照標準)5.6.2.2.2 《トレーサビリティ》

SI単位へのトレーサビリティが不可能な場合及び/又は当てはまらない場合には、・・・認証標準物質、合意された方法及び/又は合意標準へのトレーサビリティが要求される。

試験所認定取得検討者に向けて

56

測定のトレーサビリティ

• JAB RL331-2008 「測定のトレーサビリティについての指針」 8.2( トレーサビリティが証明できないか、又は概念があてはまらない場合)

• 化学分野の試験の多くは、SIへのトレーサビリティがあて

はまる要素(要因)とあてはまらない要素(要因)とが混在し、試験方法に依存して試験結果を与える場合が多い。試験方法に依存し、トレーサビリティの確保された「標準液」が入手できる場合のトレーサビリティ体系図を「RoHS指令関係の試験」を例に附属書Bの例5-1に、また「標準」

が試験方法に規定されている場合のトレーサビリティ体系図を「食品中の残留農薬一斉分析試験」を例に附属書Bの例5-2に示す。

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57

※AおよびBを用いて検量線用標準液を調製する。

校正機関:** 校正機関:** 校正機関:** 試薬メーカ:**

例5-1

.化

学試

験所の

トレ

ーサ

ビリ

ティ

(1)

トレー

サビ

リティ

体系

(100g ± 0.50mg)

(1000g ± 0.5g)

温度計(参照標準)

型式:**

メーカ:**

(0~50℃)±0.2℃

電子天秤(参照標準)※B型式:**

(210g±0.3mg)

電子天秤

型式:**

内部校正(JIS K0970)

測定:**

社内標準作業書

全量フラスコ:100mL,10mL (0~50℃)

体積計(※A)

マイクロシリンジ:500µL,100µL 前処理:**

校正機関

参照標準

実用標準(設備)(器具) 全量ピペット:20mL,1mL

標準物質生産者

(-50~0℃)±0.4℃

メーカ:**

内部校正(JIS R3505)

温度計(実用標準)

型式:**

内部校正

メーカ:**

測定機器・標準物質

提供者 : **

標準液

型式:**

メーカ:**

(100g ± 0.16mg)

分銅(実用標準)

型式:**

メーカ:**

日常点検

国際標準

国家標準 ILAC/APLAC MRAメンバにより認定された機関であるため省略する

試験方法

検量線用標準液

標準物質

金属**種類

質 量 体 積

温度計校正事業者

内部校正

温 度

はかり校正事業者

分銅(参照標準)

メーカ:**

化学製品中の微量有害

成分測定法の標準化

((社)日本化学工業協会平成16年3月)

社内調製

標準物質生産者

トレーサビリティ体系図

ICP-MS、ICP-AES型式 : **

メーカ : **

分銅校正事業者

各種濃度mg/L

(※A:体積計使用)

(※B:電子天秤使用)

58

※AおよびBを用いて検量線用標準液を調製する。

例5-2.

化学試

験所

のト

レー

サビリ

ティ

(2)

農薬/純度

トレ

ーサ

ビリテ

ィ体

系図

型式 : **

メーカ : **

食品衛生法(告示第370号)

厚生労働省通知食安発第0124001号(平成17年1月24日)

(※A:体積計使用)

(※B:電子天秤使用)

質 量 体 積

温度計校正事業者

内部校正

温 度

分銅校正事業者

校正機関:**

国際標準

国家標準 ILAC/APLAC MRAメンバにより認定された機関であるため省略する

はかり校正事業者

校正機関:** 校正機関:** 試薬メーカ:**

試験方法

農薬**種類

各種濃度mg/L

測定機器・標準物質

GC/MS

測定:**

前処理:**

検量線用標準液

試験法で規定

された標準物質

提供者 : **

社内調製

9.18±0.015

pHメータ

pH標準液(第2種)

pH

メーカ:**

4.01±0.0156.86±0.015

pH (1.0 ~ 14.0)

型式:**

メーカ:**

(0~50℃)

内部校正(JIS R3505)

温度計(実用標準)

型式:**

内部校正内部校正(JIS K0970)

体積計(※A)

マイクロシリンジ:500µL,100µL

全量フラスコ:100mL,10mL

メーカ:**

社内標準作業書

校正機関

参照標準

実用標準

(-50~0℃)±0.4℃

分銅(参照標準)

型式:**

メーカ:**

(100g ± 0.16mg)

標準物質生産者

(設備)(器具) 全量ピペット:20mL,1mL

標準物質生産者

(210g±0.3mg)

分銅(実用標準)

型式:**

メーカ:**

電子天秤

型式:**

メーカ:**

日常点検

トレーサビリティ体系図

(100g ± 0.50mg)

(1000g ± 0.5g)

温度計(参照標準)

型式:**

メーカ:**

(0~50℃)±0.2℃

電子天秤(参照標準)※B

型式:**

メーカ:**

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参考2 化学分野の試験でのISO/IEC 17025:2005 5.6.2.2.2に関する情報は、化学分野の各種指針(JAB RL355-化学試験-、RL358-分子生物学的試験、RL359-微生物試験)の該当項に、機器の校正間隔・性能点検に関する情報は同指針の付属書Aにあるので参考のこと。

参考3 化学分野の試験では、厳密には標準物質

や標準液が入手できない場合が多い。このような場合、「規格に規定された標準」や「業界で認められた標準」を使用し、内部校正を施した「体積計」で適宜希釈して検証後に検量線作成に供することで容認されている。

JAB RL331-2008 8.2

60

参考4 参考3記載の「厳密には標準物質や標準溶

液が入手できない場合」とは、具体的にはILAC/APLAC MRAメンバにより認定された標準

物質生産者からの「標準」が入手できない場合が相当する。このような場合、附属書Bの例5-2に示

す「農薬類」のように「規格に規定された標準」と認識できる「標準」が入手できる場合はそれを使用することを要求する。「規格に規定された標準」と認識できる「標準」も無く、その分野で一般的に分析用標準として使用されている「試薬」を使用しなくてはならない場合は、「業界で認められた標準」と認識し、使用を認めている。

※注意) 試験所間比較への参加を要求する。

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参考:JAB RL355 「認定の基準」についての指針-化学試験-付属書A(CITAC/EURACHEM GUIDE Edition2002の付属書Bに対応する)校正間隔及び性能点検B1. 分析試験所で共通使用する装置の校正に関する指針及び他の機器の校正のための指針を表App B-1に示す。

更に包括的な助言が文献にある。また、装置のマニュアルにもある。

表App B-1

機器の種類 検査の頻度 検査するべきパラメータ

(a) 天秤 使用に依存する1年毎☆

直線性、ゼロ点、精確さ(校正された分銅の使用)

(a’) 参照分銅☆ 5年毎 トレーサブルの条件を満たした校正

(a’’) 確認用分銅☆ 1年毎 参照分銅を用いたチェック又はトレーサブルな校正をされた後の秤量材を用いたチェック

(b) 容積測定用ガラス器具 使用に依存する 精確さ、精度(ピペット、ビュレット)

(b’) 容量ガラス器具☆ 1年毎 要求される許容限度に対する重量測定による校正

(c) 比重計(実用標準) 1年毎 比重計(参照標準)に対して一点校正

(d) 比重計(参照標準) 5年毎 既知の比重の測定標準を使用して 一点校正

(e) 気圧計※ 5年毎 一点

(f) タイマー(備考参照) 2年以下毎

使用に依存する精確さ

(g) 温度計(参照標準)

1年毎 目盛り決定点(例、氷点)での臨界点

5年毎 ☆トレーサブルの条件を満たした校正

(g’) 参照用熱電対☆ 3年毎 トレーサブルの条件を満たした校正

1年毎 参照温度計に対するチェック

(h) 温度計(実用温度計及び実用熱電対)

1年毎使用に依存する。

温度計(参照標準)に対して特定の点を検査

62

2. 不確かさ(バジェットシート)資料5-2

5.4.6 《測定の不確かさの推定》5.4.6.2 試験所は、測定の不確かさを推定する手順をもち適用すること。 ・・・ 試験所は少なくとも不確かさのすべての要因の特定を試み、合理的な推定を行い、報告の形態が不確かさについて誤った印象を与えないことを確実にすること。

5.6.2.2.1 《方法》

試験所は、使用する設備が必要とされる測定の不確かさを与え得ることを確実にすること。

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63

  HPLC-UV 島津製作所製

 種類固定 感度/分離能で点検

 全量フラスコ: 5mL ・メーカー定期点検実施ホモジナイザー JIS R3505 ・クラスA使用 ・日常点検:機械読取

・回転数 使用時点検.定期点検実施 (機械付属の温度計定期校正)・メーカー

・粉砕時間 定期点検実施

・23±5℃使用時点検実施

100µL専用シリンジ・20µL

・アセトニトリル ・20±1℃使用時点検実施

  ・アセトニトリル (体積器:メスシリンダー)

 ・40℃以下固定

全量フラスコ:100mLJIS R3505 ・クラスA使用

真空度 使用時点検実施 全量ピペット: 5、10mL ・専用機 JIS R3505 ・クラスA使用

使用時点検実施 ・専用振とう機

 ・条件固定  (時間、回転数)

・指定メーカ・指定グレード   ・偏値誤差±0.01%

・トレーサビリティ

① 純度

③-② 繰り返し定容

ブランクで汚染を把握

標準調製Step2

前処理

標準物質

定容器

管理基準③-③液温補正

② ばらつき

上乗せ基準80%~110%定容

液流量温度条件要因1

溶媒

溶媒使用時点検、

50g

注入量

分析結果

条件

① 繰り返し精度

② 直線性精度

要因6 機種

要因4

測定定容

不確かさの要因 残留動物用医薬品(HPLC測定)

Step5Step1 Step3

衛乳第78号(平成5年4月1日)畜水産食品中の残留合成抗菌剤の一斉分析法(改定法)

要因3

温度

① 回収率

採取

・アセトニトリル/水(1/1)

③ 液温補正

②繰り返し定容

② ばらつき① 回収率

要因2

③繰り返し測定

温度

化学天秤の校正

定期点検実施

①はかり不確かさ電子天秤

②直線性

試料・サンプル

濃縮

定容器

①目盛の精度細砕化

使用時点検、

10mg

抽出

溶媒

均一化 秤量

振とう

カラム

②-2) 繰り返し測定

③-① 公差

秤量

③-① 公差③-② 操作体積計

温度

インテグレーター

検量線

要因5

②-1) はかりの不確かさ②-2) 直線性

化学天秤の校正

定期点検実施

精密天秤

Step4

64

①【積み上げ式の推定】

uc① = = 7.29②【管理基準(ガイドライン)】

uc② = = 8.66【報告の形式】

クロピドール含有量: 1.00mg/kg ± 0.18mg/kg報告される不確かさは信頼性レベルがおよそ95%を示す包含係数k=2として計算された拡張不確かさである。

示す値 相対不確かさ 合成相対不確かさ

測定値 (%) (%)

100.00% 15.00% 矩形 √3 8.66025% 8.66025 8.66025

1.0 5.0% 5.00000

1.69956

2.88675

4.35725

5.00000

GC-FPD繰り返し精度

直線性精度 35727294

管理基準 ばらつき幅 100.00% 正規

矩形 √3 2.88675%

矩形

不確かさの推定まとめ(平成20年度の表記法による)2008.3.26残留農薬:有機リン(Methamidophos )直接抽出-GC法 QFS-M107

0.00363

4.42867ばらつき

回収率

Step概要

(概念)

50.00g

標準不確かさ

矩形

矩形 √3

1.0

2.19246%

確率分布 除数

0.0000289g

0.455610.35248

10.0mg 矩形 √3 0.002367mg 0.02367

標準純度

分銅の偏り

秤 量

人差併行精度

要因

ばらつき幅

0.00231

√3

正規

調製操作

√3

0.00006

0.00158

100.00%

Step1 秤量 50.00g

50.00g

0.28868

92.40510% 正規 1.0 3.55565%

5.00mL 矩形 √3 0.014434mL

矩形 √3 0.001155g

3.84789

2.19246

三角 √6 0.04317mL

0.00079g

0.00000

2.6751

1.0 0.0000mg

3.43944

2.88675

√3 955742

1.0 0.0033507mg/L

0.28868% 0.28868

0.37143

フロー

秤 量

分銅の偏り

人差併行精度

天秤精度直線性

1.0 0.00185715mg/L

Step2

標準溶液1

Step3 定容

Step4

前処理

5mL全量フラスコ

管理基準

標準調製

標準純度

×2

天秤精度直線性 10.0mg 矩形 √3 0.11547mg 1.15470 ×2

目盛の精度

液温補正

規格(管理基準:80%≦回収率≦110%

0.00185715mg/L

5.0%

0.09742mg/L 正規0.0033507mg/L

Step5 測定

0.05mg/L

酢エチ抽出

濃 縮

正規

100%(≧99%)

10.0mg 正規

矩形

5.00mL

(使用値)

0.00005g

0.002g

0.00079g

3.79745%

3.55565%

0.025mL

0.04317mL

0.5%

0.0041mg

0.2mg

0.0000mg

100.00%

1655394

5.0%

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65

まとめ

• 試験所認定取得の前後で、試験所が見違えるほど良くなる。 (経験談)

○ 試験所にとって

• <試験所能力の国際的な証明ができる>

• <試験所能力の客観的な証明ができる>

• <試験所としての能力の向上ができる>

○ 試験所利用者にとって

• <信頼できる試験所を利用できる>利点

66

企業理念、コンプライアンスが要求される現在、この試験所認定制度を『食の安全・安心』等、化学試験所へ活用していただければ幸いであ

る。

ご清聴ありがとうございました