Eddystoneで始まるPhysical Webの世界

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Eddystoneで始まる Physical Webの世界 株式会社リクルートテクノロジーズ アドバンスドテクノロジーラボ 加藤 亮 ビーコンテクノロジーの バショ/キカイ/ヒトへの応用

Transcript of Eddystoneで始まるPhysical Webの世界

Eddystoneで始まるPhysical Webの世界

株式会社リクルートテクノロジーズアドバンスドテクノロジーラボ

加藤 亮

ビーコンテクノロジーのバショ/キカイ/ヒトへの応用

IoT

Internetof

Things

Internetof

Things

技術/製品/サービスを分類

インターネットを利用した新しい体験を提供するハードウェアデバイスとしての製品

Internetof

Things

技術/製品/サービスを分類

ネットワークにつながるモノが充実してくることによってつながる新しいネットワーク(あるいはそれと既存のネットワークを連動させたもの)の

上に生まれるサービス/プラットフォーム/エコシステム

IoT関連のネットワーク

Cloud

Gateway

Device

Machine Network to Cloud

Cloud to Users

Users to Machine Network

Machine to MachineNetwork

Beacon

ControlPoint

Sensor

Sensor周囲の情報を機械が認識

IoT分野で各種センサーデバイス大活躍

Sensor

まわりの情報(画像、音、温度、その他様々な情報)を認識/解析

ビッグデータでの分析コンテンツへの応用

マシンオートメーションのトリガーユーザーへの通知

Sensor

自動的に取得した情報/イベントの有効利用へ

Beacon

(基本的には小さい情報の)発信装置でありセンサーの逆

Beacon

IT業界では近接からのサービス開始の

トリガーに使うものとして認識されている

AppleのiBeaconが有名

Beacon

近くを通りすぎるとクーポンの発行など

IoT関連のネットワーク

Cloud

Beacon

IoT時代の今改めて見直すビーコン技術

Physical Web&

Eddystone

Eddystone

• ビーコンの規格(ビーコンデバイスの振る舞いや発信するパケットのフォーマット)

• オープンスタンダードを提唱

• Bluetooth LEのアドバタイジングパケットを利用(iBeaconなどと同じ)

• 2015/07にGoogleが発表

EddystoneビーコンからFrameを定期的にブロードキャスト

これをスマホなどで受け取ってどう料理するかはEddystoneの仕様外

Eddystone

Frameは3種類

Eddystone-TLM

Eddystone-UID Eddystone-URL

Eddystone-TLM

TLM(telemetry frame)は管理に使うものなので一度除外して話を進めます

電圧、温度、起動後からの秒数やパケット送信数など管理に利用するためのビーコンのデータを送信

補助的に利用するもの

Eddystone-TLM

Eddystone

重要なのはこの二つのうちどちらを飛ばすモードであるか

二種類の振る舞い

Eddystone-UID Eddystone-URL

Eddystone-UID

Eddystone-UID

Namespace

Instance ID

Eddystone-UIDビーコンからFrameを定期的にブロードキャスト

スマホ側のアプリはFrameをスキャンするとNamespaceを見て自サービスのものかどうか判断する

近接を発見すると何らかのサービスを実行

NamespaceInstanceID

InstanceID1

InstanceID2

InstanceIDを使って店舗内移動などに対応したサービスや分析など

iBeacon

Proximity UUID

majorminor

NamespaceではなくProximityUUIDでフィルタリング自サービスのためのビーコンの発見

major/minorという二つの16bit整数値を自由に使う

Eddystone-UIDまとめ

iBeacon的な用途をカバー

洗練されたオープンスタンダードな仕様

Eddystone-TLMを使って管理もできる

Eddystone-URL

Eddystone-URL

URL

Namespace&IDの代わりにURLを飛ばす

小さいパケットの中にURLを乗せるために様々な工夫がされています

長いURLは載せられないので短縮URLを使います

Physical WebにおいてUriBeaconと呼ばれていた仕様とほぼ同じ

Physical Web

http://example.com

http://example.com

http://example.com

http://example.com

ビーコンからURLをBluetooth LEで周囲にブロードキャストします

http://example.com

スマホを持ったユーザーがビーコンの横を通り過ぎるときに

ビーコンから飛ばされたURLを見つけます

http://example.com

http://example.com

http://example.com

http://example.com

http://example2.com

http://example2.com

http://example2.com

こういうビーコンの横を通り過ぎていくと

各ビーコンからURLを拾い結果をリストアップできます

実際は拾ったURLからメタデータ(title,icon,descriptionなど)を

取得する処理を挟んでいます

欲しい情報が見つかったらWebブラウザで表示

WebView

コンテンツ例

デパートのフロア案内

特設イベント会場

バス停時刻表

レストランメニュー

バス停についたら次のバスがいつ来るか知りたい

(時刻表が見たい)

レストランについたらメニューが見たい

まさに今、その場所で重要な情報というのは決まっている

というシーンはたくさんあります

看板やポスター、パンフレットなどアナログ媒体の方が相性が良かったローカルコンテンツのデジタル化

ITでカバーできていなかった領域のサポートへ

動的な情報も

それだけならO2Oブーム&iBeaconのときと変わらないのでは?

Open Standard標準化

Physical Webのキーワードは

ID VS URL

URLは必要なのか

Namespace/ID12345: http://example.com/12346: http://google.com/12347: http://yahoo.com/…

http://example.com

変換テーブルがあれば同じような事はIDでも可能

ID VS URL

packet

Namespace/ID12345: http://example.com/12346: http://google.com/12347: http://yahoo.com/…

http://example.com

このテーブルを誰が運営するのかURLはいつ登録されるのかという問題が発生する

GPSでも同様の問題がある

Beacon Ecosystem現在のiBeaconやEddyston-UIDでは、それぞれ独自アプリ作って配布

ビーコンが飛ばすIDなどを自由に使う

業者Aのスマホアプリ

業者Bのスマホアプリ

業者Cのスマホアプリ

業者Aのビーコン

業者Bのビーコン

業者Cのビーコン

開発費用の問題、ユーザーのスマホに入れてもらうのも大変

標準準拠アプリ

業者Aのビーコン

業者Bのビーコン

業者Cのビーコン

ユーザーのスマホに一つ標準ブラウザが入っていればよい

Beacon Ecosystem

Physical Webのような標準化が浸透した世界では…

コンテンツ提供側はビーコンとWebサイトを設置するだけでよい

個人ホームページ

Web Echosystemを振り返る

個人ホームページ

飲食店店舗サイト

標準規格の上での様々なコンテンツの充実

飲食店店舗サイト

レンタルサーバーや解析ツール等

ぐるなび等Facebookやブログサービス

Wordpressなど

個人ホームページ

個人ホームページ

飲食店の店舗サイト

周囲に派生ビジネス - 競争のレイヤーの変化

飲食店店舗サイト

標準準拠アプリ

業者Aのビーコン

業者Bのビーコン

業者Cのビーコン

この分野でも新たな競争レイヤーが生まれていくのでは

Beacon Ecosystem

つまりEddystone-URL(Physical Web)のほうはただの機能的なイノベーションの話ではなく

プラットフォームやエコシステムの話

業界動向

• サンワサプライなどがPhysicalWebビーコン販売開始

• Chromeで機能提供開始

Chrome (iOS)で対応済み (Today Widget)AndroidのChromeも49から

実験的?とは言え、たくさんのユーザーの手元にPhysical Webを体験できる環境が

実験フェーズから実践フェーズへ

Eddystone-URL

http://googledevelopers.blogspot.jp/2015/07/lighting-way-with-ble-beacons.html

普及するかどうかの勝負キラーアプリケーションの登場が待たれる

Google Nowが最初の本命?

Physical Webの現状まとめ

UriBeaconの仕様がEddystoneに取り込まれ正式にGoogleのサービスと共に発表された

Chromeというユーザーシェアの大きいアプリに機能が取り込まれた

規格としてはほぼ固まって実践投入できる

多くのエンドユーザーの手元で試せる環境がある

ただしキラーアプリケーションとは言えない?おそらく最初の本命であるGoogle Now対応待ち

もちろん他社の参入があっても面白そう

情報配信の世界において10年に1回の革新

(業界勢力図が塗り変わるタイミング)となる可能性

課題はたくさんあるが…このプラットフォーム/エコシステムが

ブレイクスルーした場合

2000年以前 BROADCAST

テレビ、ラジオ、雑誌、みんなに同じものを届ける消費者はチャンネル選択。

2000年 PULL

家庭用PCとインターネットの普及見たいものを見たいときに見る

Searchがキラーアプリケーション

2010年 PUSH

スマートフォンの普及常に手元にインターネットがあるアップデートが即座に手元に届く

自分だけでなく友人の情報も(Social)

201X年 PICK今必要な情報はまわりに落ちている

今後のサービスで考えなければ

ならなくなってくること

Real Worldも含めたサービスのアイデア

UI/UXデザイン

既存のCloud/エンドユーザー間のみのネットワークに囚われないサービスデザイン

リアル店舗設計

自然にユーザーが立ち止まる場所にフック

あるいはサイネージによるアテンション

近接+URLで嬉しい組み合わせは何か

(例) CDショップの視聴コーナーで視聴用のハードウェアの代わりに

YouTubeのURLを飛ばすビーコンを置く

現状その要件のために特製ハードウェアで実現されているサービスを

ビーコン&スマートフォンで置き換える実例がどんどん出てくるのでは

キカイ(IoTデバイス)

Webの歴史

ホームページによる情報の配信

Webアプリケーションという機能を持ったサービスへ

Physical Web

ビーコンが飛ばすURL

ホームページ

Physical Web

ビーコンが飛ばすURL

オンラインで完結するWebアプリケーション

ホームページ

Physical Web

ビーコンが飛ばすURL

オンラインで完結するWebアプリケーション

ホームページ目の前のデバイスを

操作できるWebアプリケーション

shop_id

IoT対応家電

IoT対応商業施設内マシン

IoTデバイス

IoTデバイス

IoTデバイス

IoTデバイス

IoTデバイス

IoTデバイス

IoTデバイス

IoTデバイス

今後世の中でIoTデバイスが増えていく

IoTデバイス

コントローラが赤外線からBluetooth LEへ

旧式家電

コントローラコントローラ

赤外線 BLE

shop_id

家電

商業施設内マシン IoT

デバイス

IoTデバイス

IoTデバイス

IoTデバイス

IoTデバイス

IoTデバイス

IoTデバイス

IoTデバイス

さらにPhysicalWebに対応し、URIを飛ばすようになった場合

デパート: 売り場案内

駅: 電車遅延情報

レストラン: メニュー

会議: 資料

エアコン

IoTデバイスとのインタラクションはURI (WebPage)から開始される

IoT 対応エアコン

1. PhysicalWebのビーコンとしてURIを発信

デパート: 売り場案内

駅: 電車遅延情報

レストラン: メニュー

会議: 資料

エアコン

IoT 対応エアコン

2. 受け取ったURIをWebブラウザで開く

IoTデバイスとのインタラクションはURI (WebPage)から開始される

室温: —

UPDOWN

デパート: 売り場案内

駅: 電車遅延情報

レストラン: メニュー

会議: 資料

エアコン

IoT 対応エアコン

3. このWebページからダイレクトにエアコンを操作

IoTデバイスとのインタラクションはURI (WebPage)から開始される

室温: 26度

UPDOWN

readwrite

Demo

実際にテレビやエアコンをデモのために作るわけにもいかないのでAndroidタブレットのアプリでエミュレート

Eddystone-URLのデータを飛ばすビーコンとして振舞いつつさらに赤外線ではなくBLEでコントロールできる通信機能を持っています

Demo

画像

1. 手元を見ると身の回りの情報が。家電のコントローラも2. コントローラ(WebPage)をブラウザ開いて、そのまま操作できる

ビーコンとして振る舞うIoTデバイスURLを飛ばします

ブラウザは、スキャンしたURLから概要の情報をリストアップ

Demo

概要のセルをタップすると、Webブラウザ上でそのURLを開きます

Demo

BLEcharacteristicの書き込み

番号が書かれたボタンをタップすると、Android側でチャンネルが切り替わります

Demo

BLEwrite to a characteristic

エアコンもどきも同じように。

現在の気温を監視

温度設定

IoTデバイスに近寄ると既に手元にコントローラがある

新しい体験の実現

WebPageとして簡単にコントローラを準備できる

(エンドユーザー)

(メーカー)

このコントローラはWeb -> ハードの制限からの脱却

リアルタイム/動的な情報とコントローラの連動も

ブラウザからIoT的なサービスへのダイレクトアクセス

WebBluetooth, WebNFC

純粋なブラウザ上のWebアプリケーションでも必要な機能へ

Physical Webによって近接を前提とするWebサービス登場

ヒト(Social)

携帯型ビーコン

特定サービス上のユーザーID (Eddystone-UID)

プロフィールページのURL(Eddystone-URL)

or

まわりの人ブラウザ

コミュニケーションの開始へ

Socialといえば…

グラフ型: facebook/twitterなど

ルーム型: LINE/WhatsAppなど

IoT分野の進化によって登場するもう一つのソーシャル

ロビー型

イベント会場などテンポラリに人が集まる場所に最適化されたサービス

カレンダーでスケジュール

イベント前

イベント中

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イベントで知り合った人にフレンド申請

(グラフ/ルーム型へ)

チェックイン

名刺交換

あるイベントのライフサイクルに登場するアクションやサービス

名刺交換

カレンダーでスケジュール

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イベント中

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(グラフ/ルーム型へ)

チェックイン

IoT関連の技術を利した新しいロビー型サービス

あるイベントのライフサイクルに登場するアクションやサービス

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イベント中

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(グラフ/ルーム型へ)

チェックイン

IoT関連の技術を利した新しいロビー型サービス

名刺交換

これらのユーザー体験を綺麗に統合/再定義したプラットフォームサービスなどの登場の可能性

まとめ

Things (ハードウェアデバイス)だけでなくそこから生まれてくるネットワークに注目

新しいプラットフォーム/エコシステムによって引き起こされるゲームチェンジ

ハード以外のサービス事業者にとっても非常に重要

ご静聴ありがとうございました