高橋継猩紅熱、アンギナ、及び溶連菌精製毒素接種例に於け...

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61 Ex p . B iol . f . d. Ge s a mt. Neurolog 1 9 3 7. 8 ) W e bser . L. T. Ex p . m ed. 62 . 827. 1935. 90) 1926 . 猩紅熱、溶血性連鎖状球菌性アン ギナ及び 状球菌精製毒素接種例に於ける血液像の關係に 第三編 溶血性連鎮状球菌( 猩紅熱株、 アン ギ 熱株) 精製毒素接種例に 關する 臨然實瞼的研究 慶應義塾大學署學部内科教室( 主任 西野教 授) 東京市立豊島病院( 院長 内田博士 ) 醫學士 第四 章 総括及び考按 余はディック反應陽性の一六例及び陰性の八例に小林教授の分類による1型に属する溶連菌の精製毒素を接種したが ンギナ株、丹毒株、産褥熱株溶連菌精製毒素接種による症状は一致する。この中猩紅熱様症状を呈せるものはディック反 六例中の一 五例( 九三・ 八%) にして、其の内別は猩紅熱株八例、アンギナ株二例、丹毒株二例、産褥熱株三例である( 次に溶連菌精製毒素接種による各症歌の發現性をディック陽性例に求め、又その 發現迄に要する時間を第二表に示し 、吏に前記毒素 接種により登現する一般症状及び血液像を総括して記載する。 高橋継猩紅熱、アンギナ、及び溶連菌精製毒素接種例に於ける血液像の關係に就て 一一 一 五

Transcript of 高橋継猩紅熱、アンギナ、及び溶連菌精製毒素接種例に於け...

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    Exp. Biol. a.Med. 41. 320. 1939. 84) Ransom F., Berl. Klin. Wschr. 38. 337. 1901. 85) Redlich E., Potze O. und Hess L., Zeits.

    f. d.

    Gesamt. Neurolog. u. Psychiat. 2. 715. 1910. 86) Stern, z. n. (61). a. (83). 87) Thompson C. G. K., Lancet 233. 1242.

    1937

    . 8

    8)

    Webser

    . L. T. and Fite G. L., Z. n. Zbl. f. Bak. Ref. 113. 573. 1934. 89) Webster L. T. and Fite G. L. and Clow A. D., J.

    Exp. med.

    62. 827. 1935. 90) Wittgenstein A. und Krebs H. A., Dent. med. Wschr. 52. 1161.

    1926.

    猩紅熱、

    溶血性連鎖

    状球菌性

    ンギナ及び

    溶血性連鎖

    状球菌精製毒素接種例

    に於

    ける血液像

    の關

    に就

    第三編

    溶血性連鎮状球菌

    (猩紅熱株、アンギナ株、丹毒株、産褥

    熱株)精製毒素接種例に關する臨然實瞼的研究(三)

    慶應義塾大學署學部内科教室(主任

    西野教授)

    院(院長

    内田博士)

    第四章

    総括及び考按

    余はデ

    ィック反應陽性の

    一六例及び陰性の八例に小林教授の分類による1型に属する溶連菌

    の精製毒素

    を接種したが、猩紅熱株、

    ンギナ株、丹毒株、産褥熱株溶連菌精製毒素接種による症状は

    一致する。この中猩紅熱様症状

    呈せるものはデ

    ィック反應陽性者

    六例中の

    一五例

    (九三・八%)にして、其

    の内別は猩紅熱株八例、

    アンギナ株二例、丹毒株二例、産褥熱株三例である(第

    一表)。

    次に溶連菌精製毒素接種

    による各症歌の發現性をディック陽性例に求め、又その發現迄に要す

    る時間を第二表に示し、吏

    に前記毒素

    接種により登現する

    一般症状及び血液像を総括して記載する。

    高橋

    継猩紅熱、ア

    ンギナ、

    及び溶連

    菌精製

    毒素接

    種例

    に於

    ける血液像

    の關係

    に就て

    一一一五

  • 46

    高橋=猩紅熱、アンギナ、及び溶連菌精製毒素接種例に於ける血液像の關係に就て

    一六

    第 一 表 各毒素接種によるディツク反應強陽性者及び陰性

    者の猩紅熱症状發現状態及び探血同數

    第二表 毒素接種 に よ り出現す る諸症状 のディック陽

    性例 に封す る百分性及 び出現 に要す る時間的關係

    第 三 表 ディック反應陽性者及 び陰 性者 の毒素接種後

    に於 け る最高體温比較

    (一)

    一般

    體温上昇

    毒素接種四乃至八時間後體温上昇し、

    一○乃至二四時間後最高に達する。殊にディック反應陽性例に於て

    は全例に著明の

    發熱を見、護熱を見ぬものはディック反應陰性

    の三例のみ。又ディック反應陰性例に比較し發熱の持續及び程度著明である(第三表)。

    部ち有熱期間は李均四

    年時間なるもデ

    ィック反應陽性例の中七日間持績したもの

    一例、二日以上持綾したもの七例。二四乃至四八時間

    持綾

    したもの八例で、二四時間以内に解熱したもの

    は僅

    一例に過ぎない、デ

    ィヅク反應陰性例は二日以上護熱持績したもの

    年例も

    無く、何れも

    乃至四二時間

    の有熱期間を以て解熱した。

    頭痛、不機嫌、悪心、嘔吐、腹痛、下痢

    毒素彦種三乃至六時聞後不機嫌、陰鯵となり

    頭痛を訴

    へる。次いで顔面蒼白、版搏頻數と

    なり。悪心、不清化物嘔吐

    を訴

    へるもの九例(五八・三%)、腹痛、下痢を訴

    へるもの二例(一

    年・五%)を見た。

  • 43

    皮膚發疹

    毒素接種五乃至

    一〇時間後デ

    ィヅク反應陽性者

    一六例中

    一五例(九三・八%)に微細議疹より成る皮膚發赤を羅めた。發疹は

    前胸部、腹部又は大腿内側に始まり、更に頸部、背部。上臆、腋窩よめ全身に及ぶ。皮膚

    痒感を訴

    へたもの

    一〇例(六二・五%)。八

    乃至

    年五時間後皮膚發赤

    は針頭大發疹

    の無數

    の集合として

    認め得られ、皮膚陰性紋書痙陽性、

    シュルツ、

    シャルトン氏疹消褪現象陽

    性を呈する。同時

    二陽性例

    の中の

    一二例(八

    一・三%)に顔面潮紅、口園蒼白を認めた。又

    Zingher(10)Brokman

    (102

    )等の云ふ如く前搏

    に豫めデ

    ィヅク反鷹を施

    行した場合には嚢疹鋏如現象を見る。皮膚嚢疹持續期間は李均三五時間なるも、五日間

    のもの

    年例、七三時間

    以上のもの四例、四九乃至七二時間

    のもの四例、二五乃至四八時間のもの四例ある。他

    の二例

    二四時間以内に發疹清失した。而し

    て三例(一八・八%)は第三

    日より第四日に亙り前臆、腋窩及び大腿内側に粟粒疹を認めた。

    落屑

    毒素接種後第五乃至第八日に

    一二例

    (八

    一・三%)に落屑を認めた。落屑

    は粃糠様を呈し、部位によの膜状を呈するものがあつ弛

    覆盆子舌

    舌は毒素接種

    八乃至

    一五時間後白苔肥厚し、八例(五〇・○%)は三三乃至五〇時間後深紅色覆盆子舌を呈した。

    粘膜充血

    毒素接種

    年○乃至

    一五時間後

    一四例(八七・五%)に眼瞼結膜

    の充血及び咽頭粘膜の嚢赤を見たるも、咽頭痛を訴

    へた者は

    例もない。

    淋巴腺腫脹

    毒素接種二三乃至二一

    時間後皮下淋巴腺の腫脹するもの二一

    ・三%、主として頸部、腋窩、鼠践部淋巴腺は小豆大より碗

    豆大に腫脹し、稀に歴痛

    を訴ふ。

    尿中ウロビリン燈

    の出現

    毒素接種翌日尿中に

    ウロビリン。ウロビリノーゲ

    ン出現し、

    第三乃至第四日最も著明。殊に縫熱、皮膚議

    第 四 表

    ディツク反磨陰性縛化性

    疹高度

    の場合に尿中にウロビリン龍の出現強

    く、峯島鋼、上田瑚の狸紅熱患者尿申

    ロビ

    リン艦測定の成績

    に略

    コ一致する。

    咽頭溶連菌の清長

    溶連菌毒素接種

    の前後藪

    回訴咽頭粘液

    の培養を行つたが、毒素接一種後溶

    連菌集落

    の増加を認め得す。

    ッィク反應陰性轄化性

    溶連菌精製毒素接

    高橋

    H狸紅熱、

    ンギナ、及び溶連菌精製毒素接種

    例に於け

    る血液像

    の關係

    に就て

    一一七

  • 64

    高橋=猩

    紅熱、

    アンギ

    ナ、及び溶連菌精製毒

    素接種例

    に於け

    る血液像

    の關係に就て

    第 五 表 猩紅熱株溶連菌毒素接種例(13例)白血球百分性平均表

    第 六 表 アンギナ株溶連菌毒素接種例(6例)白 血球百分性平均表

    第 七 表 丹毒株溶連菌毒素接種例(3例)白 血球百分性平均表

    第八 表 産褥熱株溶連菌毒素接種例(4例)白 血球百分性平均表

    一八

  • 65

    種八乃至

    一四日後に於け

    るリテストの結果、デ

    ィック反應強陽性ノ

    ―六例中

    一例(七五・○%)にデ

    ィッ反應減弱或は陰性轄化を認め

    た。接種した各菌株毒素別にディヅク反應陰性轉法化性を見うに狸連菌株七七・八財、

    アンギナ株五〇・○%、丹毒株

    一〇〇・○%、産褥

    熱株六六・七%のデ

    ィック反應滅弱或は陰性轉化を認む

    (第四表)。

    即ち個體の毒素感受性

    は各株溶通菌精製毒素接種

    により等しべ減

    弱せろを認む。

    (一)血液像

    白血球數

    白血球敷はデ

    ィヅク反應陽性

    の全例、

    陰性

    の六例計二二例

    (九

    一・六%)に於て著明の増加を見た。殊に本細胞

    の増加は議

    熱、發疹期に認められ。第三乃至第四日正常に復した者一七例、第五乃至第八日正常に復したもの五例あろ。本細胞壇加は

    一般に二〇、

    ○○○乃至

    一〇、○○○の間を往來するが著明な

    年例は第二旦

    、七五〇に達した。其の最高値を示すは多く第二日なるも、第三乃至

    第四日のものも三例を見た。次に各毒素接種別に李均値を見うに、何れも第一一著明に増加して第三日に及び第四日正常

    に復す

    (第五

    第二十五圖 白 血 球

    S猩 紅熱株A・ アンギナ株

    E.丹 毒 株W.産 褥 熱株

    第 二 十 六 圖 中 性 嗜 好 細 胞

    S.猩 紅熱株 八 ア ンギナ株

    E.丹 毒株W.産 褥熱 株,

    -第八表、第二五圖)。

    中性嗜好細胞

    本細胞は發熱發疹

    と共に、

    又白血球

    数の増加に從

    つて増加し、

    高熱、護疹

    の極期に於て

    最も著明である。

    特にデ

    ィック反應陽性

    の猩連菌毒

    素接種の

    一例は第二日九〇・二%に達した。之を毒素

    接種別に李均値を比較するに

    何れも第二日最高に達

    し、第四乃至第五一迄等しく本細胞の壇加を見る(第

    五-第八表及び第二六圖)。

    核形推移

    登熱、

    發疹

    の極期中性嗜好細胞の核の左

    方移動は特

    に著明となる。

    桿状核細胞の増加を見た

    二五例は第二一最高値を示し、

    特に猩連菌毒素接種

    一例に於ては四六・二%に達せるを見る。何れも第

    高橋-猩紅熱、アソギナ、及び溶連菌精製毒素接種例に於ける血液像の關係に就て

    一一一九

  • 66

    高橋=

    狸紅

    熱、

    ンギナ、

    及び溶連菌精製毒素接種例

    に於け

    る血液像

    の關係に就て

    一一二年○

    第 九 表=Dohle氏 封入小盤 出現性(中 性嗜好細胞 に封す る%)

    三乃至第四日正常に復した。其

    の他

    メタミエロ

    チーテンは第六日迄に

    一二例に於て出現し、ミ

    エロチーテンは

    一例に於て第二日○・四%、第三

    日○・二%に出現せるを見る。

    デー

    レ氏封入小體

    各株溶連菌精製主母素接種の

    年九例(七九.一%)に本小艦

    の出現を謹明した。

    殊にデ

    ィック反應陽性の全例に出現せるのみな

    らすデ

    ィック反應陰性

    三例(三七・五%)に於

    ても之を證明した。本小艦は大部分第二日より

    出現して、第三乃至第四

    日最も著明に増加し、

    年例は第三日

    年○・○%

    に達した。本小體は概

    して

    一週以内に浩失した

    七例

    (二九山二%)は

    第一週間に入つて・尚證明せられた。又毒素接種

    前既に本小艦を認め、毒素接種後増加した一例

    を見る(第九表)。

    淋巴球

    本細胞は毒素接種後中性嗜好細胞

    の増

    加に際して逆に急激に減少を示したもの二三例

    (九五・八%)の多きに達し、ディ

    ック反應陽性の

    全例及び陰性の七例に於て之を認めた。本細胞

    の減少は第二日最も著明であるが二例は第三日

    最低値を示し、特に猩連菌毒素接種の

    一例は第

  • 67

    三日六・六%に減少せるを認めた。本細胞減少症は多く第三日よ的恢復

    し第

    一週

    の終りには正常に復するも、第二週以後に於て恢復期

    増加を示せるものデ

    ィック反應陽性の七例及び陰性の

    一例計八例(三三・一二%)あつた。之を各毒素接種別平均値に就て比較するに何れ

    も第二日著明に減少し、第五乃至第六日に至つて接種前

    の値に復するを見る(第五~第八表及び第二七圖)。

    鹽基性嗜好細胞

    本細胞

    は毒素接種前既に過牛数例に於て證明したが、

    第二日著明に減少して僅に四例(年六。七%)に之を認むるの

    み。第五日以後第八日の落屑期に至つて増加し、特に第六日に出現するもの最も多く

    一九例(七九.二%)に之を證明した。然し其の値

    極めて低く最高値と錐も

    一・○%前後である(第五-第八表)。

    エオジ

    ン嗜好細胞

    本細胞は多く毒素接種翌日正常の範園内にあるも

    一一例(四五.八%)は輕度

    の減少を示した。其の後

    一六例は

    エオ

    ジノフィリーを呈し。この内デ

    ィック反鷹陽性者は

    一四例を占めデ

    ィック反應陰性者よりも遙に高性に又長期に増加した。而して

    エオ

    ジノフィリー最も著明

    のは發熱發疹の極期よりも寧ろ、發疹清腿開始より落屑初期に亙る。即ち

    一六例中

    一三例は第四乃至第六日

    第二十七圖 淋 巴 球

    S.猩 紅熱株A.ア ンギナ株

    E丹 毒 株W.産 褥熱株

    第二十入圖 エオ ジソ嗜好細胞

    S.猩 紅熱株A.ア ンギナ株

    E.丹 毒株W.産 褥熱株

    本細胞の増加を見、又最高が第四日のもの四例、第五日のもの四例、

    第六日のもの六例であつた。西而して最高値は一例に於

    ・二%

    達した。

    エオジノフィリーの持續期間は第一週に入つて尚之を證明し

    たものが八例

    (三三・二%)ある。之を各毒素接種別に比較するに何

    れも第四乃至第六日

    エオジノフィリーを呈し、最高値は何

    れも九・六

    -

    一一・二%の間にある(第五-第八表及び第二八圖)。

    狸紅熱のエオジノフィリーに關してN

    aegeli等は發疹に際

    し皮膚に

    特殊の産生物生じ之による陽性Chemotaxis

    ならんと云ひ、Fancon

    i

    は二つの相反する作用.即ち猩紅熱

    の毒素作用と夫れに依つて惹起せら

    れたアナフィラキシー様反應作用の結果で、毒素作用の優越な場合は

    傳染性血液像を呈し、

    アナフィラキシー性反應の張力な時は生體

    のア

    ナフィラキシー様防禦反應として高度

    のエオジノフィリー虹びにプラ

    高橋=

    猩紅熱、

    アソギナ、及

    び溶連菌精製毒素接種例

    に於け

    る血液像

    の關係

    に就て

    一一二一

  • 68

    高橋=猩紅熱、アンギナ、及び溶連菌精製毒素接種例に於ける血液像の關係に就て

    二二

    スマ細胞及び大單核細胞

    の増加を來すと云ふ。

    の溶連菌毒素接種例に於て接種直後

    エオジン嗜好細胞

    の減少を見た四五・八%は毒素の直接的影響

    と見る可く、第四乃至第六日の免

    疫獲得期にエオジノフィリーを見たのは生體

    の毒素に封する防禦反鷹に縁る

    と思惟される。又

    エオジ

    ノフィリーは猩紅熱様症状を呈

    したディ

    反慮陽性

    一四例に認めた外、皮膚發疹を伜はぬディック反應陰性

    の一例に於て

    も之を認めた。發疹を認めなかつた二

    例に於ても皮膚に全然變化を來さなかつたと断言出來ないが、

    エオジノフィリーと皮膚發疹.は密接不可分の關係あると云ふN

    aegeli

    等の説には俄かに贊同し難

    いものがある。

    大輩核細胞及び移行型

    本細胞は高熱發疹

    の極期

    に減少するもの

    例(四五・八%)を認めた。他は殆さ正常

    の範園に於て動揺した

    (第五-第八表)。

    プラスマ細胞及びチ

    ュルク氏刺戟型

    本細胞は比較的少數

    なるも二四例何

    れも

    全経過を通じて殆さ毎同出現せるを見る(第五-第八

    表)。

    赤血球及び血色素

    赤血球は毒素接種後解熱期に亙つて輕度

    の減少を示したもの八例(三三土二%)ある。之を除き他は殆さ全

    経過を通じ不變なろも

    年例に於て初期輕度

    の増加を見た。

    赤血球には時々退行變性、ボイキロチトーぜを見る事があつ允。血色素量は赤血球敷に準じ、血色素係數に變化を見ない。

    以上を要するに溶連菌精製毒素接種により發熱、脈搏増加、全身倦怠、不機嫌、頭痛、悪心、嘔吐、腹痛、不溝化便、下痢等の中毒症

    状登現し、深紅色舌、覆

    盆子舌、結膜充血、咽頭粘膜嚢赤を見、皮膚發赤發疹、疹鋏如現象、皮膚

    痒症、顔面潮紅、口園蒼白、皮膚

    陰性紋書症陽性、

    シュルツ.シャルトン氏疹清褪現象陽性、粟粒疹、落屑を認め、殊に皮膚發疹

    の色調、大

    いさ、分布等狸紅熱發疹

    異るところが無い。猫皮

    下淋巴腺腫脹し、尿中ウロビリン體

    の出現を見た。

    又デ

    ィック反應は狸紅熱株、

    アンギナ株、丹毒株、産褥

    熱株溶連菌精製毒素接種後減弱或は陰性に轉化する、

    咽頭溶連菌の増減を認めす。

    血液像の變化はディヅク反應陽性例は高度、陰性例は輕度である。即ち白血球數、中性嗜好細胞は體温上昇と共に増加して核の左方移

    動を示し、解熱と共に減

    少して正常に蹄る。淋巴球は發熱時減少するも、恢復期増加を呈す。而して白血球数、中性嗜好細胞、淋巴球

    の増減と發熱磯疹との關係は猩紅熱

    の夫れと異るところ無きも是等急激な變化は大量

    の毒素を急遽に接種した爲であらう。盤基性嗜

    好細胞

    の初期清失を見る。

    エオジ

    ン嗜好細胞は初期減少するも發疹消礎期よめ落屑期に及び著明に増加するもの多く、更に二次的増加

  • 69

    を呈する者を見る。而してデ

    ィック反應陽性例はエオジノフィサー著明にして其の経過及び變化様式猩紅熱と

    一致し、デ

    ィヅク反應陰

    性例に於てはアンギナの場

    合と

    一致する。余は已に猩紅熱

    とアンギナ血液像

    比較

    して皮膚發疹

    とエオジノフィリー

    關係ある,三云

    ふN

    aegeli等の説に反封

    したが本實驗に於てエォジノフィリーは溶連菌の精製毒素に因る事を明らかにしたものミ信する。

    デー

    レ氏封入小體は早期より出現して護熱發疹の極期に増加する者多く、狸紅熱

    の本小艦出現時に合致する。大單核細胞及び移行型

    の減少なく、プラスマ細胞

    の出現を見ろ。赤血球は輕度の減少を認む。

    之を從來の報告に見るに

    Dick, Ciuca

    等はディック毒素を接種して白血球の増加を讃し、豊田、佐竹等

    の實験は溶連菌毒素接種例中

    僅か

    年例に於て唯

    一囘輕度のエオジノフィリー及びデーレ氏封入小體の出現を認めたのみ。吉田はデ

    ィヅク毒素をディ

    ック反應陽性例

    に接種し、其の血液像は猩紅熱よりも寧ろアンギナ血液像に

    一致すると。而してこの際

    の發疹

    の性質は猩紅熱發疹

    と異ると。余は諸

    の實験

    と異り、猩紅熱株、アンギナ株、丹毒株、産褥熱株溶連菌

    の精製毒素

    の同

    一單位量をデ

    ィック反應強陽性者及び陰性者に接

    種し。その臨脈症状拉びに血液像を比較

    した結果、ディック反應強陽性例に於ては菌株

    の別なく等しく狸紅熱様症状を惹起し易く、且

    血液像の變化高度で狸紅熱に近似し、ディ

    ック反應陰性例に於ては皮膚發疹

    生するもの

    一例も無くレ血液像の變化アンギナに近似

    し、之に搏

    猩紅熱株、

    アンギナ株、丹毒株、産褥熱株溶連菌精製毒素は夫れ夫れ共通の同

    一物質を含有することを知つた。

    第五章

    のデ

    ィヅク反應陽性

    一六例、陰性

    の八例に猩紅熱株、アンギナ株、丹毒株。産褥熱株溶連菌精製寿素を接種し、特にその血液像を

    猩紅熱及びアンギナの血液像

    と比較して次の結果を得た。

    (一)ディック反應強陽性及び陰性

    のものに猩連菌精製毒素を接種した場合ディック反應強陽性例に於て

    猩紅熱様諸症状

    の嚢現

    と猩

    紅熱に見る血液像の變化を見、デ

    ィック反應陰性例に於てはアンギナに見る血液像

    の變化を認めた。

    )猩紅熱様症状及び猩紅熱と同様なる血液像變化を起す毒素は猩連菌毒素に限らす、アンギナ株、丹毒株、産褥訴熱株

    の各溶連菌精製

    毒素を接種するも同様である。即ち各株溶連菌精製毒素は狸紅熱様症状

    起す物質を共有する。但し菌株に因つて毒素に張弱あるも

    のゝ様である。

    (三)デ

    ィック反應強陽性

    例はデ

    ィヅク反應陰牲例に比し猩紅熱様症状を呈し易く且猩紅熱に見る血液像の變化を起し易

    い。

    高橋=猩紅熱、アンギナ、及び溶連菌精製毒素接種例に於ける血液像の關係に就て

    一一二三

  • 70

    高橋=猩

    紅熱、

    ンギナ、及び溶連菌精製毒素

    接種例に於け

    る血液像

    の關係

    に就て

    三四

    (

    四)溶連菌精勢

    毒素接種

    により惹起せられる猩紅熱様症状及び血液像變

    化の程度は接種毒素量と個體

    の感受性とに關係を有す。

    稿を終るに臨み御校閲を辱うせる恩師西野教授、大森教授に謹んで感謝の意を表し、終始御懇篤なる御指導御校閲を賜りた

    る内田院長、上田副院長に

    深謝す。尚本研究は日本學術振興會の補助に員ふ所あり、併記して感謝の意を表す。

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