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平成 26 年度 包括外部監査の結果報告書 (公の施設の管理・運営について) 名古屋市包括外部監査人 大島 嘉秋

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平成 26 年度

包括外部監査の結果報告書

(公の施設の管理・運営について)

名古屋市包括外部監査人

大島 嘉秋

目 次 第1 包括外部監査の概要 .................................................................................................. 1 1 外部監査の種類 ......................................................................................................... 1 2 選定した特定の事件 .................................................................................................. 1 3 特定の事件を選定した理由 ....................................................................................... 1 4 外部監査対象期間 ..................................................................................................... 1 5 外部監査の方法 ......................................................................................................... 1

(1) 監査の要点 ............................................................................................................ 1 (2) 実施した主な監査手続 .......................................................................................... 1

6 外部監査の実施時期 .................................................................................................. 2 7 包括外部監査人及び補助者の資格及び氏名 .............................................................. 2 8 利害関係 ................................................................................................................... 2

第2 監査対象の概要 ......................................................................................................... 3 1 公の施設の内容および一覧 ....................................................................................... 3 (1) 公の施設とは ......................................................................................................... 3 (2) 公共施設白書と公の施設 ....................................................................................... 3

2 名古屋市による公の施設のあり方の検討経緯 .......................................................... 8 3 公の施設の存続・管理運営形態に関する点検プロセス .......................................... 10 4 公の施設の設置について ........................................................................................ 14

(1) 公の施設の設置の経緯 ........................................................................................ 14 (2) 公の施設の設置の流れ ........................................................................................ 15

5 公の施設の廃止又は民営化の実務的な手続きについて .......................................... 15 (1) 公の施設の廃止又は民営化までの流れ ............................................................... 15 (2) 請願について ....................................................................................................... 16 (3) 名古屋市の公の施設の廃止又は民営化状況 ........................................................ 18

6 指定管理者制度の概要 ............................................................................................ 21 (1) 指定管理者制度の概要 ........................................................................................ 21 (2) 名古屋市における指定管理者制度の現状 ............................................................ 21 (3) 名古屋市における指定管理者制度の導入から運用 .............................................. 21 (4) 指定管理者制度の運用に関する指針 ................................................................... 23

7 名古屋市における受益者負担の考え方 ................................................................... 25 第3 包括外部監査の視点と監査手続 .............................................................................. 29 1 外部監査の視点 ....................................................................................................... 29 2 外部監査の対象とした主管課及び施設往査対象 ..................................................... 32

(1) 監査対象とした施設 ............................................................................................ 32 (2) 第1段階で実施した手続(平成 26 年5月~6月) ............................................ 32

(3) 第2段階で実施した手続(平成 26 年7月~10 月) ........................................... 32 第4 外部監査の結果及び意見 ........................................................................................ 34 1 外部監査の結果及び意見(発見事項まとめ) ........................................................ 34

(1) 発見事項の一覧 ................................................................................................... 34 (2) 発見事項から見られる課題 ................................................................................. 37

2 外部監査の結果及び意見(総論) .......................................................................... 39 (1) 指定管理者制度に関する検討 .............................................................................. 39 (2) 受益者負担に関する事項 ..................................................................................... 50

3 外部監査の結果及び意見(各論) .......................................................................... 56 (1) 文化・教養・集会施設 ........................................................................................ 56 (2) スポーツ・娯楽施設 ........................................................................................... 114 (3) 産業振興施設 ..................................................................................................... 143 (4) 学校 ................................................................................................................... 157 (5) 子育て支援施設 ................................................................................................. 165 (6) 市営住宅等(市営住宅 281 施設、定住促進住宅 39 施設) ............................... 174 (7) 医療福祉施設 ..................................................................................................... 177 (8) 環境衛生施設 ..................................................................................................... 200 (9) 事業所等施設 ..................................................................................................... 202 (10) 都市公園 ............................................................................................................ 204

第5 監査の結果に添えて提出する提言 ........................................................................ 208 1 名古屋市のアセットマネジメントの取り組みについて ........................................ 208

(1) 公共施設マネジメントをめぐる全国の状況 ...................................................... 208 (2) 名古屋市の取り組み状況 ~アセットマネジメントの取り組み~ .................. 210 (3) 施設の保全とアセットマネジメント ................................................................. 212 (4) 公共施設マネジメント推進のポイント ............................................................. 216

概要版に記載しているページは「包括外部監査の結果報告書」の本文のページを記

載している。詳細については、報告書本編を参照願いたい。

外部監査を通じて発見した、指摘すべき事項、意見を付すべき事項について、それ

ぞれ、【指摘】、【意見】として記述した。それぞれの内容は以下のとおりである。

【指摘】「法令や規則等に違反している事項、著しく不当な事項等」

【意見】「規則違反ではないが、地方公共団体運営の有効性・効率性・経済性を

踏まえた結果、改善することが望ましい事項」

1

第1 包括外部監査の概要

1 外部監査の種類

地方自治法第 252 条の 37第1項及び名古屋市外部監査契約に基づく監査に関する条

例第2条に基づく包括外部監査

2 選定した特定の事件

公の施設の管理・運営について

3 特定の事件を選定した理由

名古屋市では、市民の福祉等の増進を図るため、多くの公の施設を設置しており、

特に昭和 40 年代から 60 年代を中心に学校や市営住宅など多くの公共施設(市設建築

物)が整備されている。公の施設は、整備後も運営経費や維持補修に対応するために

継続的な財政負担を要し、さらに今後は資産の更新時期が集中することから多額の財

政負担が予想される。

また、魅力があるまちづくりを考えるうえで、公の施設が現在や将来の社会環境や

市民ニーズに適切に対応していくことが重要となる。

この点、名古屋市では、「名古屋市アセットマネジメント基本方針(以下、「アセッ

トマネジメント基本方針)という。)」及び「名古屋市アセットマネジメント推進プラ

ン(以下、「アセットマネジメント推進プラン)という。)」を策定し、公の施設等につ

いて施設の長寿命化による経費の抑制と平準化などに取り組まれており、また現在、

今後の公共施設(市設建築物)整備の基本的な考え方について検討が進められている

ところである。

4 外部監査対象期間

平成 25 年度(ただし、必要に応じて平成 26 年度及び過年度も対象とした。)

5 外部監査の方法

監査の要点及び主な監査手続は次のとおりである。

(1) 監査の要点

ア 公の施設により提供されている公共サービスは、市の政策や市民のニーズに合致し

ているか。

イ 公の施設の管理運営形態は適切か。

ウ 公の施設の管理運営は効率的・効果的になされているか。

エ 指定管理者の選定やモニタリングは適切に実施されているか。

オ その他施設の管理運営につき、課題はないか。

(2) 実施した主な監査手続

本監査は、まず、名古屋市の全ての公の施設(道路、河川、上下水道、交通、病院

2

を除く)に対してアンケート又は質問・資料の閲覧を実施し、施設往査の対象とする

施設を選定し、施設往査対象及び所管局に対し、上記監査要点の観点から質問、資料

の閲覧、及び現地調査を実施した。

6 外部監査の実施時期

平成 26 年4月 23 日から平成 27 年2月4日まで

7 包括外部監査人及び補助者の資格及び氏名

(注)平成 26 年 10 月 23 日公認会計士登録。

8 利害関係

地方自治法第 252 条の 29 の規定により記載すべき利害関係はない。

外部監査人 大島 嘉秋 公認会計士、公認情報システム監査人

補助者 間瀬美鶴子 公認会計士

同 林 伸 一 公認会計士

同 児山 法子 公認会計士

同 平手 健一 公認会計士

同 岩田 香織 公認会計士

同 稲垣 太郎 公認会計士(注)

同 杉 山 大 日本公認会計士協会 4号準会員

3

第2 監査対象の概要

1 公の施設の内容および一覧

(1) 公の施設とは

公の施設とは、地方自治法第 244 条第1項で定められた、住民の福祉を増進する目

的をもって地方公共団体が設置する施設である。

地方自治法

(公の施設)

第二百四十四条 普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に

供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとする。

2 普通地方公共団体(次条第三項に規定する指定管理者を含む。次項において同じ。)

は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。

3 普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱い

をしてはならない。

(2) 公共施設白書と公の施設

名古屋市では、平成 21 年3月に「アセットマネジメント基本方針」を、次に「アセッ

トマネジメント推進プラン」を平成 24 年3月に策定し、平成 26 年3月には「名古屋

市公共施設白書」を作成してきている。

公用又は公共用に供する財産(行政財産)は、地方公共団体がもっぱら事務事業を

執行するための「公用財産」と住民の一般的共同利用に供することを目的とする「公

共用財産」とに分けられ、このうち「公の施設」は、この公共用財産に属するもので

上記の目的をもって設置されているものである。

なお、「名古屋市公共施設白書」は、行政財産のうち、道路・河川などの公共土木施

設を除く市設建築物を公共施設と限定し、第3章 用途別実態において、公共施設を

「文化・教養・集会施設」「スポーツ・娯楽施設」等のカテゴリー別に分類しており、

本報告書においては当該分類を参考としながら、【図表2-1-1】の分類に基づき、記

載を行っている。

【図表2-1-1】本報告書における施設の分類

大分類 主な施設

文化・教養・集会施設 コミュニティセンター、

図書館、美術館

スポーツ・娯楽施設 スポーツセンター

産業振興施設 公設市場、路外駐車場

学校 市立小中学校

子育て支援施設 市立保育所

4

大分類 主な施設

医療・福祉施設 厚生院

環境衛生施設 焼却工場

住宅 市営住宅

事務所等 市庁舎、

区役所

都市公園 都市公園

(資料源泉:名古屋市公共施設白書を参考に監査人作成)

【図表2-1-2】公の施設一覧 (平成 26 年4月1日現在)

所管局 施設名 管理運営形態

市長室 名古屋国際センター 指定管理

総務局 男女平等参画推進センター 指定管理

市政資料館 直営

市民経済局 能楽堂 指定管理

公会堂 指定管理

市民会館 指定管理

芸術創造センター 指定管理

青少年文化センター 指定管理

文化小劇場 指定管理

市民ギャラリー 指定管理

演劇練習館 指定管理

音楽プラザ 指定管理

短歌会館 指定管理

東山荘 指定管理

コミュニティセンター 指定管理

地区会館 指定管理

国際展示場 指定管理

中小企業振興会館 指定管理

公設市場 直営

名古屋城 直営

名古屋国際会議場 指定管理

中央卸売市場本場・北部市場 直営

中央卸売市場南部市場 直営

南部と畜場 直営

文化センター 直営

名古屋市民御岳休暇村 指定管理

5

所管局 施設名 管理運営形態

健康福祉局 特別養護老人ホーム(厚生院) 直営

養護老人ホーム(寿荘、寿楽荘) 指定管理

軽費老人ホーム(緑寿荘、清風荘、安田荘、

きよすみ荘) 指定管理

福祉会館 指定管理

老人いこいの家 指定管理

休養温泉ホーム松ケ島 指定管理

高年大学城学園 指定管理

高齢者就業支援センター 指定管理

総合リハビリテーションセンター 指定管理

障害者スポーツセンター 指定管理

宿所提供施設(熱田荘) 指定管理

救護・更生施設(植田寮) 直営

更生施設(笹島寮) 指定管理

医療保護・救護施設(厚生院) 直営

総合社会福祉会館 指定管理

市立中央看護専門学校 直営

八事斎場 直営

八事霊園 直営

愛宕霊園 直営

子ども青少年局 市立保育所 直営

児童館 指定管理

とだがわこどもランド 指定管理

母子生活支援施設(五条荘・にじが丘荘) 指定管理

乳児院・児童養護施設(若葉寮・若松寮・

ひばり荘) 直営

児童自立支援施設(玉野川学園) 直営

情緒障害児短期治療施設(くすのき学園) 直営

西部地域療育センター・北部地域療育セン

ター・中央療育センター 直営

知的障害児施設(あけぼの学園) 直営

青少年宿泊センター 指定管理

青少年交流プラザ 指定管理

住宅都市局 文化のみち二葉館(名古屋市旧川上貞奴邸) 指定管理

文化のみち橦木館 指定管理

定住促進住宅 指定管理

6

所管局 施設名 管理運営形態

栄バスターミナル 指定管理

市営住宅 指定管理・管理代行

市営路外駐車場(久屋駐車場・大須駐車場・

古沢公園駐車場) 指定管理

揚輝荘 指定管理

緑政土木局 野鳥観察館 指定管理

都市公園 直営・指定管理

都市公園内スポーツ施設 直営

都市公園内分区園 直営

中村公園記念館・桐蔭茶席 直営

鶴舞公園 指定管理

白鳥庭園 指定管理

日光川公園(サンビーチ日光川) 指定管理

久屋大通庭園フラリエ(旧ランの館) 指定管理

緑化センター 指定管理

庄内緑地グリーンプラザ 指定管理

みどりが丘公園(墓地) 指定管理

名城公園フラワープラザ 指定管理

荒子川公園ガーデンプラザ 指定管理

東山動植物園 直営

東山公園展望塔(東山スカイタワー) 指定管理

東山公園テニスセンター 指定管理

徳川園 指定管理

東谷山フルーツパーク 指定管理

農業文化園 指定管理

農業センター 直営

久屋大通公園(オアシス21) 指定管理

道路附属物自動車駐車場(池下、吹上中央帯、

大曽根、吹上) 指定管理

消防局 名古屋市港防災センター 指定管理

教育委員会

事務局

市立幼稚園 直営

市立小学校 直営

市立中学校 直営

市立高等学校 直営

市立特別支援学校 直営

生涯学習センター 直営・指定管理

7

所管局 施設名 管理運営形態

上汐田教育集会所

(緑生涯学習センター分館) 直営

女性会館 指定管理

図書館 直営・指定管理

総合体育館(日本ガイシ スポーツプラザ) 指定管理

瑞穂運動場 指定管理

名古屋市体育館 指定管理

スポーツセンター 指定管理

冷水プール 指定管理

温水プール 指定管理

名城庭球場 指定管理

港サッカー場 指定管理

志段味スポーツランド 指定管理

黒川スポーツトレーニングセンター 指定管理

上社レクリエーションルーム 指定管理

名古屋市博物館 直営

名古屋市蓬左文庫 直営

名古屋市秀吉清正記念館 直営

名古屋市見晴台考古資料館 直営

名古屋市美術館 直営

名古屋市科学館 直営

(資料源泉:名古屋市公式ウェブサイトより監査人作成)

(注)道路・河川・上下水道・病院及び交通の事業に係る施設を除く。

8

2 名古屋市による公の施設のあり方の検討経緯

名古屋市では過去より、公の施設のあり方に関して指針の策定やそれをもとにした

見直しが行われてきた。公の施設の設置・存続から受益者負担については、過去に外

部有識者により構成された委員会等により【図表2-2-1】のとおり報告書が提出さ

れており、現在の名古屋市の考え方や基準はこれらの報告書を参考としながら作成さ

れているものと考えられる。

【図表2-2-1】公の施設のあり方に関する報告書

名古屋市では、平成 15 年3月に行財政改革計画に基づいて「公的関与のあり方に関

する点検指針」を決定し、行政評価の実施、外郭団体の改革改善、計画的な定員管理、

予算審査などの場において、施策・事務事業の点検・検証・見直しを進める際の指針

として活用してきた。この中で、事業に関する公的部門と民間部門との役割分担およ

び受益者負担の基本的な考え方が整理されている。

その後、平成 19 年3月に公的部門と民間部門との役割分担については、学識経験者

等からなる「公の施設のあり方研究会」において、公の施設のあり方を見直していく

うえで必要となる『点検プロセス』を検討した「公の施設のあり方に関する報告書」

が提出されている。この報告における『点検プロセス』を踏まえ、公の施設を含む施

設の管理運営等を対象に行政評価(事務事業評価)を行い、施設ごとに総合評価(ABCD)

を付し、全市的横断的な視点で調整を図ったうえで、この段階での市の考え方として

平成 20 年9月にとりまとめた。その後、一部の施設については、平成 23 年度から平

成 25 年度に行政評価(外部評価)(注)を実施している。

(注)行政評価(外部評価):平成 23 年度から平成 25 年度に行政評価(内部評価)を実施した事

業等のうち、市民や有識者の意見を聴取することが有意義と考えられる事業について、公

開市民参加による外部評価を実施したものである。

また、管理運営方法の見直しについては「事務事業の見直しの視点・方向性」にて

内部的な考え方を整理しているほか、平成 26 年度は「公の施設等における民間活力活

用の総点検」を実施中であり、公的部門と民間部門との役割分担についても再検討さ

れている。

視点 報告書

継続の必要性

公の施設のあり方に関する報告書(平成 19 年3月) 市によって運営する必要性

規模・施設数の適切性

管理方法の選択の適切性

受益者負担の適切性 公の施設に係る受益者負担のあり方に関する報告書(平

成 16 年 11 月)

9

一方、受益者負担については「名古屋市受益者負担のあり方研究会」において、受

益者負担の適正化に向けた基本的な考え方を示した「公の施設に係る受益者負担のあ

り方に関する報告書」が平成 16 年 11 月に提出された。

この報告を踏まえ、名古屋市では平成 17 年度に「公の施設にかかる使用料の設定基

準」を定め、平成 18 年度に当該基準に基づく使用料の見直しが行われている。

運用面については、指定管理に関する運用指針として、「指定管理者制度の運用に関

する指針」(平成 23 年3月作成、平成 24 年4月改定)が作成され、市の基本的な考え

方と所管局において指定管理者制度を運用する際に遵守すべきルールが示されている。

10

3 公の施設の存続・管理運営形態に関する点検プロセス

「公の施設のあり方に関する報告書」では、施設の必要性から管理運用形態の点検

プロセスを以下のとおり説明している。

<点検プロセス>

まずは

設置の背景や施設の現状を把握する。

点検スタート

【施設の必要性を点検する視点】

プロセス1

(公共性) 現在でも当初期待された役割を果たしているか? いいえ → 廃止

はい

プロセス2

(有効性) 施設は有効に機能しているか? いいえ → 廃止、統合、事業規模の縮小

はい

廃止する施設以外は

【管理形態のあり方を点検する視点】

プロセス3

(代替性) 行政しかできないサービスか? いいえ → 民営化、指定管理者制度の導入

はい

民営化する施設以外は

運営改善の方策を検討する。

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プロセス1 公共性の検討の視点

①法定施設

1 法律で設置が義務づけられている施設

②必需性の大きい施設(以下の「いずれか」に該当する施設)

1 市民が社会生活を営むうえで必要な生活環境水準の確保のための施設

2 市民の生命、財産、権利を擁護し、あるいは市民の不安を解消するために必要な規制、

監視指導、情報提供、相談などのための施設

3 個人の力だけでは対処し得ない社会的・経済的弱者を対象に、生活の安定を支援し、あ

るいは生活の安全網(セーフティ・ネット)となる施設

③公益性の大きい施設(以下の「いずれか」に該当する施設)

1 市民福祉の増進を目的とし、対象者を特定することなく、全ての市民が利用することが

できる(注1)施設

2 市の個性、特色、魅力を継承・発展・創造し、あるいは国内外へ情報発信するための施

3 特定の市民、団体へのサービスの提供を通じて、第三者(注2)にも受益がおよぶ施設

(注1)「対象者を特定することなく、全ての市民が利用することができる」とは、実態として不

特定多数の市民に利用されていること、利用者の負担能力等に関わらず利用できること

を意味する。

(注2)「第三者」とは、当該サービスにより受益がおよぶ家族などを含む。

必需性大

必需性小

公益性小 公益性大

公益性Ⅱ 公益性Ⅰ

公益性Ⅳ 公益性Ⅲ

法 定

12

公共性に関する点検後の考え方

区 分 考 え 方

公共性Ⅰ

「プロセス2有効性」を点検 公共性Ⅱ

公共性Ⅲ

公共性Ⅳ 廃止を検討(注)

(注)公共性Ⅳに該当した施設のうち、検討の結果、廃止を決定した施設以外については、引き

続き「プロセス2有効性」を点検することになる。

プロセス2 有効性の検討の視点

(1)2軸による考え方

(2)個別の要件

①利用度の大きい施設(以下の「いずれか」に該当する施設)

1 会議室やホール、競技場などのスペースを貸す施設において、稼働率の高い施設

2 個人で来館し利用できるプールや講座、相談事業などにおいて、利用者数に著しい減少

が見られない施設

3 学校や入所施設などの定員を持つ施設において、充足率の高い施設

4 今後、人口増加などの明らかな理由により、利用増の見込みのある施設

②互換性の小さい施設(以下の「全て」に該当する施設)

1 他に同種の公の施設が存在しない施設

2 官民を問わず、他にサービスが類似する施設が存在しない施設

3 当該施設によるサービスの他に、代替となる手法が存在しない施設

互換性小

互換性大

利用度小 利用度大

有効性Ⅱ 有効性Ⅰ

有効性Ⅳ 有効性Ⅲ

13

(3)点検後の考え方

区 分 考 え 方

有効性Ⅰ 「プロセス3代替性」を点検

有効性Ⅱ 事業規模の縮小を検討(注)

有効性Ⅲ 他都市と比べサービス量が過大なものは、他施設との統合を検討(注)

有効性Ⅳ 廃止あるいは統合を検討(注)

(注)有効性Ⅱ、Ⅲ、Ⅳに該当した施設のうち、検討の結果、廃止を決定した施設以外について

は、引き続き「プロセス3代替性」を点検することになる。

プロセス3 代替性の検討の視点

区 分 考え方

代替性Ⅰ 市が直接管理運営することにより、効果的・効率的に

運営することができる施設 直営

代替性Ⅱ

当該施設の管理運営に係る一部の業務を、民間に任せ

ることで、歳出抑制が期待でき、あるいは効率化が期

待できる施設で、参入が望める事業者がある施設

一部業務委託の導

入を検討

代替性Ⅲ

当該施設の管理運営に係る全ての業務を一括して民間

に任せることで、歳出抑制が期待でき、あるいはサー

ビスや集客力の向上が期待できる施設で、参入が望め

る事業者がある施設

指定管理者制度の

導入を検討

代替性Ⅳ

料金、サービスともに当該施設と類似の民間施設があ

る場合において、民間に任せることで、施設設置の目

的やサービスの質を損なうことなく歳出抑制が期待で

き、参入が望める事業者がある施設

民営化を検討

名古屋市においては、上記の考え方を参考としながら、平成 19 年度に「公の施設の

あり方研究会」からの意見を踏まえ、評価項目・視点を再整理した上で、行政評価(事

務事業評価)を実施し、運営改善の検討(B 評価)、施設のあり方の見直しの検討(C

評価)、統廃合・民営化の検討(D 評価)と評価された公の施設につき、今後の改革改

善の取組みについて平成 20 年度に検討を行っている。

14

4 公の施設の設置について

(1) 公の施設の設置の経緯

平成 19 年3月に名古屋市公の施設のあり方研究会より提出された「公の施設のあり

方に関する報告書」によると、現在、名古屋市に設置されている公の施設の設置に至っ

た経緯は、下記①~④となる。①、②に該当する公の施設については、既に整備され

ていることから、今後新たに設置される可能性は低いが、③に該当する公の施設につ

いては、特にコミュニティセンターは、現在も整備が進んでおり、今後も新たに設置

される可能性がある。

公の施設のあり方に関する報告書

①法律等により、市に設置が義務づけられた施設

都市公園法に基づく公園、学校教育法に基づく小中学校などがこれにあたる。国が定め

た一定の設置基準のもとで、市が整備し、管理を行っている。

②市民に必要な生活環境水準を保障するための施設

老人福祉施設、児童福祉施設、障害者福祉施設や、低所得者層を対象にした公営住宅な

どのように、市民が社会生活を営むうえで必要な生活環境水準の確保を目的とした施設が

これにあたる。

そのほとんどが、当初は公立での整備が中心であり、公立施設が民間施設をリードする

役割を果たしてきたものである。

③市民の生活を豊かにするための施設

市民会館、文化小劇場などの文化施設や、スポーツセンターやプール、野球場、テニス

コートなどのレクリエーション・スポーツ施設のように、より文化的、健康的で豊かな生

活を送るために、市民に必要とされてきた施設がこれにあたる。

これらの施設は、市民のだれもが利用できるように低料金で質の高いサービスを提供す

ることを一つの目的としている。その整備や維持、管理運営には多額の投資が必要とされ、

民間だけではそれに必要な全てを負担することが困難なケースが多く、市域に望ましい

質・量のサービスを確保するために、公立施設が民間を補完・先導する役割を果たしてき

たものである。

④市の個性・特色・魅力を創造・発信するための施設

東山動植物園、徳川園や文化のみち二葉館(旧川上貞奴邸)などのように、「誇りと愛着

の持てるまち」をめざし、国内外の人々に市の個性・特色・魅力を情報発信するために、

市が設置してきた施設がこれにあたる。

15

(2) 公の施設の設置の流れ

地方自治法第 244条の2第1項にて、「公の施設の設置及びその管理に関する事項は、

条例でこれを定めなければならない。」とされている。

地方公共団体が公の施設を設置するまでの一般的な流れは、下記のとおりである。

公の施設設置の流れ

所管局及び検討委員会等にて検討

設置と判断

地域・利用団体との調整

条例制定の議案を議会に提出

出席議員の過半数の賛成

条例制定

施設の設置

5 公の施設の廃止又は民営化の実務的な手続きについて

(1) 公の施設の廃止又は民営化までの流れ

「地方自治法第 244 条の2第1項」にて、「公の施設の設置及びその管理に関する事

項は、条例でこれを定めなければならない。」とされており、公の施設の廃止又は民営

化を行う場合には、公の施設の設置を定めた条例を廃止又は改正する必要がある。

地方公共団体が公の施設を廃止又は民営化するまでの一般的な流れは、下記のとお

りである。

公の施設廃止又は民営化の流れ

行政評価(事務事業評価)の検討区分を廃止又は民営化と評価

その他、老朽化、市民ニーズの低下及び財政上の問題等の発生

所管局及び検討委員会等にて検討

廃止又は民営化と判断

地域・利用団体との調整

条例改廃の議案を議会に提出

出席議員の過半数の賛成

16

条例改廃

施設の廃止又は民営化

地方自治法

(公の施設の設置、管理及び廃止)

第 244 条の2 普通地方公共団体は、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除く

ほか、公の施設の設置及びその管理に関する事項は、条例でこれを定めなければならない。

(2) 請願について

上記(1)公の施設の廃止又は民営化の流れに記載したとおり、行政評価にて廃止又は

民営化と評価された施設については、所管局にて廃止又は民営化の方向で検討が行わ

れるが、廃止や民営化に反対する市民等から議会に請願書が提出された場合は、議長

が受理した後、まず、本会議で議題とし、通常、慎重審査のため、所管の常任委員会

に付議され、審査が行われる。

名古屋市の場合、平成 19 年度の行政評価(事務事業評価)を実施し、平成 20 年度

に実施した検討において検討区分が「統廃合・民営化の検討」となった施設について

調査したところ、請願が採択された場合に、実際に廃止又は民営化に至った施設は見

受けられなかった。

地方公共団体の議会に対する請願とは、地方自治法第 124 条に規定があり、請願し

ようとする者は、議員の紹介により請願書を提出し、請願することができる者は、当

該地方公共団体の住民であると否とを問わず、また法人も請願でき、1人から行うこ

とができる。請願の受理、審査、確定までの手続きは、下記【図表2-5-1】のとお

りである。

地方自治法

第7節 請願

第 124 条 普通地方公共団体の議会に請願しようとする者は、議員の紹介により請願書

を提出しなければならない。

第 125 条 普通地方公共団体の議会は、その採択した請願で当該普通地方公共団体の長、

教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員

会、農業委員会又は監査委員その他法律に基づく委員会又は委員において措置すること

が適当と認めるものは、これらの者にこれを送付し、かつ、その請願の処理の経過及び

結果の報告を請求することができる。

17

【図表2-5-1】請願の受理、審査、確定までの手続き

(資料源泉:名古屋市公式ウェブサイト)

18

(3) 名古屋市の公の施設の廃止又は民営化状況

名古屋市では、平成 19 年度に施設の管理運営を対象に行政評価(事務事業評価)を

実施しており、運営改善の検討(B評価)、施設のあり方の見直しの検討(C評価)、

統廃合・民営化の検討(D評価)と評価された公の施設につき、今後の改革改善の取

組みについて検討を行った。平成 20 年度の検討により廃止又は民営化と区分された施

設は、14 施設である。

また、平成 23 年度から平成 25 年度にかけては、公開市民参加による行政評価(外

部評価)を実施し、そこで廃止または廃止を含む見直しと判定された施設は、5施設

である。

これらを合わせた 19 施設の平成 26 年4月1日時点の状況は、下記【図表2-5-2】

のとおりである。

【図表2-5-2】廃止又は民営化と判断された施設(廃止を含む見直しを含む。)

所管局

施設名 20 年度

検討区分

23 年度

評価結果 現在の状況

市民経済局

1 短歌会館 廃止

平成 23年度に請願が採択さ

れ、存続となった。

2 公設市場 廃止

平成 22年度南公設市場廃止

平成 24年度本地ヶ原公設市

場廃止

3 名古屋市民御岳休

暇村 廃止

平成 20年度に請願が提出さ

れ、平成 22年度の請願審査

で財政状況を勘案の上善処

する旨の採択がされ、現在

も存続している。

健康福祉局

4 特別養護老人ホー

ム(黒石荘) 民営化 平成 24 年度民営化

5 休養温泉ホーム松

ケ島

(廃止を含

む)見直し

社会福祉審議会の意見具申

を踏まえ当面は運営を継続

するが、設備の老朽化の状

況を見極めながら廃止

6 高年大学城学園 廃止

社会福祉審議会の意見具申

を踏まえ、抜本的な見直し

を実施し、運営を継続

19

所管局

施設名 20 年度

検討区分

23 年度

評価結果 現在の状況

知的障害者授産施

設(若杉作業所・

鳩岡作業所・昭和

橋作業所)

民営化 平成 24 年度民営化

8 障害者支援施設

(希望荘) 民営化 平成 26 年度民営化

9 身体障害者授産施

設(緑風荘) 民営化 平成 23 年度民営化

子ども青少年局

10 市立保育所

役割の再整

理(一部民

営化・統廃

合)

平成 22 年度千種台保育園・

山田保育園の民営化

平成 23年度苗代保育園の民

営化

平成 24年度汐見が丘保育園

の民営化

11 児童養護施設(若

松寮)

指定管理者

制度の導入

又は民営化

平成 28年度に社会福祉法人

への移管を予定し、平成 26

年度に公募を実施

12

知的障害児通園施

設(西部・北部地

域療育センター)

指定管理者

制度の導入

又は民営化

民間法人の状況を踏まえ、

引き続き検討中

緑政土木局

13 日光川公園(サン

ビーチ日光川) 廃止

平成 20年度に維持管理計画

を策定し、10~15 年後に想

定される大規模修繕の必要

時期に廃止予定

14

久屋大通庭園(廃

止対象はランの

館)

廃止

平成 26年度より久屋大通庭

園フラリエとしてリニュー

アルオープン

教育委員会事務局

15 楠学習センター 廃止 平成 23 年度末廃止

16 冷水プール 廃止

平成 20 年度末振甫プール・

大井プール・天白プール廃

平成 22 年度末稲葉地プー

ル・名東プール廃止

20

所管局

施設名 20 年度

検討区分

23 年度

評価結果 現在の状況

17 武豊野外活動セン

ター 廃止 平成 25 年度末廃止

18 女性会館 廃止 平成 26 年度より、男女平等

参画推進センターを女性会

館に移転し、両施設一体と

して指定管理者制度を導入

総務局

19 男女平等参画推進

センター

(廃止を含

む)見直し

平成 20年度の検討区分が廃止又は民営化となった 14施設と平成 23年度以降の行政

評価(外部評価)において、廃止又は廃止を含む見直しと判定された5施設を合わせ

た 19 施設のうち 14 施設について、公設市場等の施設数が複数ある施設については一

部ではあるが、実際に廃止、民営化及び指定管理者制度の導入が行われており、2施

設(休養温泉ホーム松ケ島・日光川公園(サンビーチ日光川))についても、老朽化に

より施設の利用が難しくなった時点で廃止される予定である。

一方、3施設(短歌会館・名古屋市民御岳休暇村・高年大学城学園)については、

その後の検討の結果、存続することとなっている。

21

6 指定管理者制度の概要

(1) 指定管理者制度の概要

平成 15 年6月に改正(同年9月施行)された地方自治法第 244 条の2第3項にて、

「普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると

認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であって当該普通地方

公共団体が指定するもの(以下「指定管理者」という。)に、当該公の施設の管理を行

わせることができる。」と定められたことにより、公の施設の管理者を民間事業者も含

めた幅広い団体に行わせることを可能とする、「指定管理者制度」が導入された。

(2) 名古屋市における指定管理者制度の現状

名古屋市では、平成 16 年度以降、指定管理者制度の導入を順次進めており、平成 26

年4月1日時点で、455 施設で導入しており、約 25 億円の経費削減効果が確認されて

いる。

指定管理者の選定にあたっては、施設ごとに選定委員会を設置し、原則公募による

競争原理のなかで、 適な団体を選定することとしており、現在、約 7 割の施設にお

いて、民間企業や地域団体等が参入している。(資料源泉:指定管理者制度の運用に関

する指針)

(3) 名古屋市における指定管理者制度の導入から運用

指定管理者制度導入から運用についての基本的な流れは下記のとおり PDCAサイクル

に沿って運用されている。

【図表2

「指

プロセ

2-6-1】指

指定管理者制

セスにおけ

指定管理者導

(資

制度の運用

る考え方は

導入から評価

料源泉:指定

に関する指

【図表2-6

22

価までの流れ

定管理者制度

指針(以下、「

-2】のとお

度の運用に関す

「指針」とい

おりである。

する指針)

いう。)」に

よる、導入

の各

23

【図表2-6-2】導入の各プロセスにおける考え方

導入プロセス 名古屋市の基本的な方針

制度導入の決定 ・施設の構造・特性・設置状況等を勘案し、全市共通の項目である

「共通項目」及び施設所管局が独自に設定する「個別項目」に基づ

き、指定管理者制度の導入に適した施設か否かを判断する。(指針 P

6)

導入方針の決定 ・原則として公募。施設の構造・特性・設置状況等を勘案の上、管

理運営を行うことができる団体が特定される場合は例外的に非公

募としている。(指針 P10)

・業務範囲・管理水準を予め明確にし、本来、市が直接実施すべき

業務が指定管理業務に含まれていないかを確認する。(指針 P11)

・指定期間は原則として4年間。(指針 P12)

・利用料金制の採用について検討。(指針 P12)

条例の整備 ・指定管理者制度の導入にあたって施設の設置条例により指定の手

続き等を規定する。(指針 P13)

管理運営方法の決

・個別業務ごとの目的・対象・内容及び管理運営の水準並びに業務

実施にあたっての注意事項、職員の配置その他の業務の履行方法な

どを業務仕様書にまとめる。(指針 P14)

募集手続き 募集期間は1ヶ月以上を確保するものとされている。募集要項の基

本的記載事項は指針に記載。(指針 P18)

選定手続き 具体的な選定基準を設定した上で、選定委員会における審査の結果

に基づき、候補者及び次点候補者となる団体の選定を行う。(指針

P23)

指定手続き 候補者は、市との協議が整った後、議会の議決を経て、指定管理者

として正式に指定される。(指針 P26)

協定の締結 市と指定管理者の協議により、法令遵守等の基本的事項、管理運営

業務の具体的な内容、責任分担などに関して、協定を締結する。協

定書の基本的記載事項は指針に記載。(指針 P27)

指定管理者による

管理運営

情報の適切な管理、災害・事故への対応、その他運営業務が適切に

実施できるよう、指導・助言を行う。(指針 P31)

点検・評価 指定管理者の管理運営状況を点検・評価し、その結果を公表する。

(指針 P35)

改善、次の選定等へ

の活用

点検・評価の結果を踏まえ、施設の管理運営方法や次期選定条件等

を改善し、よりよい施設運営をめざす。(指針 P35)

(資料源泉:指定管理者制度の運用に関する指針)

(4) 指定管理者制度の運用に関する指針

名古屋市では、平成 21 年3月に、「指定管理者制度の運用に関する指針」及び平成

21 年5月に「指定管理者制度導入施設における管理運営状況の点検・評価マニュアル

(現 指定管理者制度導入施設における管理運営状況の点検・評価について)」を作成

24

し、どちらも平成 24 年4月に改定が行われている。

<指針の基本的な視点>

指定管理者制度の運用にあたっては、次の5つの視点に基づいて進めるものとして

いる。

ア 市民サービス向上と経費節減

民間事業者を含めた多様な主体による競争原理の中で、指定管理者制度を活用し、

効果的・効率的な施設運営に取り組むことにより、より低コストで、質の高い市民サー

ビスの実現をめざす。

イ サービスの質の確保

効率性を重視するあまり、サービス水準の低下を招くことや、公平性・安全性とい

う公の施設としての重要な要素が疎かになることがないように、適切かつ確実なサー

ビスの提供に努める。

ウ 公正性・透明性の確保

指定管理者制度は、原則公募による競争原理の中で 適な団体を選定し、当該団体

に一定期間独占的にサービス提供を行わせるものであることから、制度の運用にあ

たっては、公正性・透明性の確保に十分留意した上で、市民への説明責任を果たす。

エ サービス提供における安心・安全の確保

利用者がいつでも安心して施設を利用できるように、施設内の安心・安全の確保に

努めるとともに、想定されるさまざまなリスクに対してもあらかじめ対応策を講じる。

オ 指定管理者がノウハウ・能力を 大限に発揮できる環境の確保

指定管理者制度の運用にあたっては、指定管理者が取組意欲を高め、自主性や創造

性を十分に発揮できるようにするなど、そのノウハウや能力が 大限発揮される環境

を整える。

25

7 名古屋市における受益者負担の考え方

受益者負担については、「公の施設に係る受益者負担のあり方に関する報告書(以下、

「当報告書」という。)」(平成 16 年 11 月)にて基本的な考え方が示されており、当報

告書を基に「公の施設にかかる使用料の設定基準について(以下、「当基準」という。)

(平成 17 年8月)」を定めている。市では平成 18 年度に当基準に基づく使用料の見直

しが行われている。

受益者負担とは、特定の利用者に限ってサービスの提供を受けるような場合には、

利用者と利用しない人との負担の公平の観点から、その利用者に費用負担を求めると

いう考え方である。

当報告書にて、①効率的な施設運営による管理運営費、②施設の性格に応じた公的

関与の度合いなどを基準とした公費負担割合、を基礎とした使用料算定の方法につい

て検討がなされている。

また、当基準において使用料算定の方式を以下のとおり定めている。

目標使用料収入= 低限の管理運営費×受益者負担割合-減額・免除額

使用料単価=目標使用料収入÷目標利用人員又は利用率

(ア) 管理運営費の範囲(受益者負担の対象とすべき施設コスト)

当報告書では、受益者負担の対象とすべき施設コストについて市民の理解が得られ

る妥当な範囲を設定する必要があるとし、当基準において以下の4つに分類している。

また、以下のコストのうち、独立採算を前提とする施設(【図表2-7-1】参照)に

ついては①~④、それ以外の施設については①及び②を受益者負担の対象とすべき施

設コストとしている。

<使用料で賄う経費(管理運営費)>

①維持管理に係る人件費(使用申請の受付・許可、使用料の徴収、保守委託等の契

約事務等)

②維持管理に係る物件費(消耗品費、光熱水費、保守点検等委託料、保険料等)

<使用料で賄わない経費>

③資本的支出(建物の建築費(減価償却費)、用地費相当・高額備品購入費)

④支払利息(公債に係る支払利息)

26

【図表2-7-1】独立採算を前提とする施設

区分 施設名

産業振興施設 中小企業振興会館

国際展示場

駐車場 市営路外駐車場(久屋・大須・古沢公園駐車場)

公設市場 公設市場

霊園 みどりが丘公園(墓地使用料)

(イ) 公費負担割合

当報告書では、公費負担のあり方についてそれぞれの施設の設置目的、サービス

内容等に応じて検討を進める必要があるとし、当基準において以下の3つに分類し、

それぞれ負担割合を設定している。

① 独立採算を前提とする施設(【図表2-7-1】参照)

公費負担割合0% 受益者負担割合 100%

② 会議室等(【図表2-7-2】参照)

公費負担割合0% 受益者負担割合 100%(設置目的と異なる単なる貸室として使用

する場合)

③ その他の施設(【図表2-7-3】参照)

個々の施設ごとに公的関与の度合い及び収益性を勘案して決定

【図表2-7-2】会議室等の対象施設

高年大学城学園、高齢者就業支援センター、総合社会福祉会館、女性会館、生涯

学習センター(17 館)、短歌会館、東山荘、地区会館(5館(注))、名古屋国際セン

ター、市政資料館、男女平等参画推進センター、ボランティア・NPO センター

(注)平成 26 年 4 月 1日現在、地区会館は6館である。

27

【図表2-7-3】市の施設の具体的な位置づけ

大←

収益性

→小

A B C

c

公園施設(テニスコート)

東山公園テニスセンター

総合体育館(温水プール等)

瑞穂運動場(テニスコート、プール、トレーニング)

スポーツセンター(プール、トレーニングルーム)

名城庭球場

黒川スポーツトレーニングセンター

上社レクリエーションルーム

温水プール

志段味スポーツランド(プール、テニスコート等)

市民御岳休暇村

名古屋城

栄バスターミナル 等

b

斎場 霊園(八事、愛宕)

みどりが丘公園(管理料)

公園施設(テニスコート以外)

東山動植物園

総合体育館(競技用施設、アリーナ)

瑞穂運動場(テニスコート、プール、トレーニング以外)

スポーツセンター(アリーナ等)

市体育館

港サッカー場

冷水プール

志段味スポーツランド(競技場、野球場)

博物館

科学館

美術館

芸術創造センター

青少年文化センター

文化小劇場 等

a コミュニティセンター

文化センター

港防災センター

大← 公的(行政)関与 →小

(資料源泉:名古屋市公式ウェブサイト「公の施設にかかる使用料の設定基準について」)

28

【図表2-7-4】分類に応じた負担割合

A(1~5) B(6~9) C( 10)

c

税金による負担割合

70%、利用者による負担

割合 30%

税金による負担割合

30%、利用者による負担

割合 70%

税金による負担割合

0%、利用者による負担

割合 100%

b

税金による負担割合

80%、利用者による負担

割合 20%

税金による負担割合

50%、利用者による負担

割合 50%

税金による負担割合

30%、利用者による負担

割合 70%

a

税金による負担割合

100%、利用者による負

担割合0%

税金による負担割合

100%、利用者による負

担割合0%

税金による負担割合

100%、利用者による負

担割合0%

(資料源泉:名古屋市公式ウェブサイト「公の施設にかかる使用料の設定基準について」)

29

第3 包括外部監査の視点と監査手続

1 外部監査の視点

包括外部監査の視点と監査手続については、以下の【図表3-1-1】のとおりであ

る。

なお、監査手続は施設の性質を勘案し、重要性に応じて下記より選択して実施して

いる。

【図表3-1-1】監査の視点、監査要点及び監査手続

監査

の視点 監査要点 主な監査手続

継続の必要性

公の施設により提供されている公共

サービスの内容は、住民のニーズに合致

しているものといえるか。

(分析)

過去5年の利用者推移を検討する。

(分析)

市民ニーズの多様化により存在意義が

薄れつつある施設ではないか検討する。

(分析)

将来的な財政負担の増大が予想され、持

続が困難な施設ではないか検討する。

(施設往査先現地調査)

利用者満足度アンケート結果を確認し、

利用者のニーズを把握する。

市によって運

営する必要性

施設運営形態(直営又は指定管理)は

実態に即した適切なものとなっている

か。

(調査)

指定管理者制度導入状況及び他都市と

の比較を実施し、今後の市の方針を確認

する。

(施設往査先現地調査)

事業の実態を検証し、運営形態が適切で

あるかを把握する。

受益者負担

の適切性

受益者負担の水準は適切か。利用者1

人当たりに、過大な税金が投入されてい

る状況にないか。

(分析)

受益者負担率の基準値と実績値を比較

する。

規模・施設数

の適切性

現在推進しているアセットマネジメ

ント(公共施設マネジメント)の方向性

は妥当か。問題はないか。公の施設によ

り提供されている公共サービスのボ

リュームは、住民のニーズに照らして過

大もしくは過小となっていないか。(低

利用、特定者の利用、低負担などの問題

はないか)

(分析)

施設あたり対象人口・面積等の調査、他

の政令市との比較を実施する。

30

監査

の視点 監査要点 主な監査手続

管理方法の選

択の適切性

公の施設の管理運営方法は 適な形

態が採られているか(直営、指定管理あ

るいは民営化 等)。

(分析)

単位あたり維持管理費の同類施設間比

較、他都市との比較を実施する。

複数の事業者からのプロポーザルを

受けるように工夫するなど、適切な競争

性が確保されるようにしているか。非公

募の場合合理的な理由があるか。

(調査)

プロポーザル参加者数や指定管理者の

継続状況を検討し、競争性が確保されて

いるかどうか検討する。

管理運営の適切性

指定管理者に対する管理の適切性

指定管理者の選定は適切に行われて

いるか。

(施設往査先事前調査)

指定管理者の選定が適切に行われてい

ることを確認する。

指定管理者との協定において、リスク

の分担等の具体的事項は定められてい

るか。また、指定管理料の積算は適切か

(過大でも過小でもいけない)。

(施設往査先事前調査)

・契約書を閲覧し、「責任分担表」にリ

スク分担について適切な区分が記載さ

れているか検討する。

(施設往査先事前調査)

・協定書を閲覧し、「損害賠償」につい

て明記されているか検討する。

指定管理者のモニタリングは適切に

実施されているか。

(施設往査先事前調査)

指定管理者へのモニタリングに関する

調書を取り寄せ、ヒアリングを実施する

ことによりモニタリング方法を把握す

る。

(仕様書や提案書等に基づき、適正に業

務を履行しているか。住民ニーズに合致

したサービスが提供されているか。会計

管理・物品管理は適切に実施されている

か、など。)

収入管理の適切性

使用料収入は、適切に徴収され、管理

されているか。

施設使用料の減免又は免除のある施

設においては、施設使用料の減免が規則

に従い、適切に行われているか。

(施設往査先調査)

・使用料収受の方法をヒアリング、観察

により把握する。

・減免申請書等に基づき、減免が適切に

行われていることを確認する。

31

監査

の視点 監査要点 主な監査手続

固定費管理の適切性

公の施設の老朽化対策は適切に実施

されているか。現に老朽化により機能不

全になっているところはないか。

(分析)

施設ごとの老朽化率を算定または施設

白書等にて把握し、老朽化している施設

を判別する。

(施設往査先調査)

・固定資産の管理状況を確かめる。

・固定資産の老朽化状況を視察・ヒアリ

ングにより確かめる。

・固定資産の修繕計画についてヒアリン

グ・資料閲覧により確かめる。

(調査)維持更新等の計画を把握し、長

期的な視点での維持管理・長寿命化が出

来ているか確かめる。

事故を未然に防げるよう、老朽度を適

切に把握し、計画的に維持更新等実施さ

れているか。

ライフサイクルコストが 小化され

るように、計画されているか。

変動費、その他管理の適切性

金銭や貯蔵品の管理は適切に行われ

ているか。

施設の管理運営コストに無駄はない

か。効率化できるところはないか。

(施設往査先調査)

施設往査を実施し、以下を確かめる。

・金銭・貯蔵品等の管理状況を確かめる。

・人員配置、職務分担を把握し、効率化

できる部分はないか検討する。

・主な委託契約について把握し、効率化

できる部分はないか検討する。

・施設を視察し、利用率の著しく低い部

分がないか、利用者層は施設の設置目的

と合致しているか確かめる。

32

2 外部監査の対象とした主管課及び施設往査対象

(1) 監査対象とした施設

公の施設のうち、道路、河川、上下水道、交通、病院を除く施設を対象とした。

(2) 第1段階で実施した手続(平成 26 年5月~6月)

監査対象とした施設につき、一部を除き、アンケートを実施した。

コミュニティセンター、市営住宅、市立保育所、都市公園、及び市立幼稚園・小学

校・中学校・高等学校については、同種の多数(100 以上)の施設が存在することから、

アンケートではなく、所管局への質問及びサンプルによる資料の閲覧を行った。

【図表3-2-1】第1段階で実施した手続

所管局 施設名 第1段階で

実施した手続

市民経済局 コミュニティセンター 所管局への質問及びサ

ンプルによる資料の閲

住宅都市局 市営住宅

子ども青少年局 市立保育所

緑政土木局 都市公園

教育委員会事務局 市立幼稚園

市立小学校

市立中学校

市立高等学校

市立特別支援学校

上記以外の施設 アンケート

(3) 第2段階で実施した手続(平成 26 年7月~10 月)

第1段階で実施したアンケート結果及び下記視点に基づき、施設往査の対象とする

施設を選定した。

ア 1施設あたりの実質的なコスト(コスト(減価償却費を除く)-使用料収入)の高

い施設(複数の施設がある場合は、その合計)

イ 老朽化している施設

ウ 利用率の低下、利用者が偏っている施設

エ 過去に存続に関する議論があった等、市民の注目度が高い施設

また、所管局、指定管理者及び施設分類が偏らないように選定を行った。

33

【図表3-2-2】施設往査の対象とした施設

所管局 施設名 管理方法 施設分類

市長室 名古屋国際センター 指定管理 文化・教養・集会施設

市民経済局 市民会館 指定管理 文化・教養・集会施設

南文化小劇場 指定管理 文化・教養・集会施設

短歌会館 指定管理 文化・教養・集会施設

徳川公設市場 直営 産業振興施設

名古屋城 直営 スポーツ・娯楽施設

名古屋市民御岳休暇村(注1) 指定管理 スポーツ・娯楽施設

健康福祉局 休養温泉ホーム松ケ島 指定管理 医療・福祉施設

高年大学城学園 指定管理 医療・福祉施設

教育委員会事

務局

守山スポーツセンター 指定管理 スポーツ・娯楽施設

博物館(注2) 直営 文化・教養・集会施設

(注1)名古屋市御岳休暇村については、平成 26 年9月 27 日の御岳山噴火の影響により、施設

の外部監査対応が困難となったことから、往査対象より除外した。

(注2)分館の蓬左文庫、秀吉清正記念館は除く。

34

第4 外部監査の結果及び意見

1 外部監査の結果及び意見(発見事項まとめ)

(1) 発見事項の一覧

包括外部監査の結果、【指摘】7件・【意見】51 件を識別した。識別した指摘および

意見の一覧は、【図表4-1-1】【図表4-1-2】のとおりである。

【図表4-1-1】結果及び意見一覧(総論部分)

【図表4-1-2】結果及び意見一覧(各論部分)

区分 ページ 施設名 所管局 発見事項

文化・教養・集会施設

67 コミュニティ

センター 市民経済局 意見 施設の利用促進について

69 文化小劇場(全体) 総務局 意見 1区1館施設の継続的な検討につ

いて

73 南文化小劇場 市民経済局 意見 事業者選定における競争性の確保

について

74 南文化小劇場 市民経済局 意見 受益者負担について

77 市民会館 市民経済局 意見 市民会館利用者の満足度向上

78 市民会館 市民経済局 意見 レストランの管理・運営方法

80 市民会館 市民経済局 意見 建替えの検討について

81 市民会館 市民経済局 意見 物品検査結果の所管課への報告の

必要性

87 博物館 教育委員会

事務局 意見 ギャラリーの利用状況について

87 博物館 教育委員会

事務局 意見 常設展の利用状況について

89 博物館 教育委員会

事務局 意見 増床・リニューアルについて

90 博物館 教育委員会

事務局 意見 施設の安全性の確保について

91 博物館 教育委員会

事務局 指摘

入場券に関する帳簿と現物の不一

致について

91 博物館 教育委員会

事務局 指摘 備品の管理について

101 名古屋国際センター 市長室 意見 貸施設事業のあり方について

102 名古屋国際センター 市長室 意見 管理運営方法について

103 名古屋国際センター 市長室 意見 国際化推進事業の実施スペースに

ついて

103 名古屋国際センター 市長室 意見

区分所有の建物における老朽化対

策について

ページ 所管局 発見事項

42 総務局 意見 非公募の決定プロセスについて

45 各所管局 意見 指定管理者選定委員会の公開状況について

49 総務局 意見 施設独自の評価シートを作成していない施設について

54 各所管局 意見 受益者負担率が基準値を大幅に下回る施設について

35

区分 ページ 施設名 所管局 発見事項

104 名古屋国際センター 市長室 指摘 委託先の日常点検の確認について

104 名古屋国際センター 市長室 意見 工事契約について

105 名古屋国際センター 市長室 意見 委託契約について

106 名古屋国際センター 市長室 意見 物品検査結果の所管課への報告の

必要性

111 短歌会館 市民経済局 意見 短歌会館における収支について

112 短歌会館 市民経済局 指摘 修繕の実施について

スポーツ・娯楽施設

122 守山スポーツセンター 教育委員会

事務局 意見 利用料金制の導入について

123 守山スポーツセンター 教育委員会

事務局 意見

事業者選定における競争性の確保

について

128 守山スポーツセンター 教育委員会

事務局 意見

屋外フットサル場の利用状況につ

いて

128 守山スポーツセンター 教育委員会

事務局 意見 会議室の利用状況について

129 守山スポーツセンター 教育委員会

事務局 意見 公費負担の改善について

132 守山スポーツセンター 教育委員会

事務局 指摘

備品番号による備品の管理につい

133 守山スポーツセンター 教育委員会

事務局 意見

利用者満足度アンケートの記載項

目について

135 名古屋城 市民経済局 意見 管理運営方法の検討について

136 名古屋城 市民経済局 意見 天守閣の維持方法の早急な判断の

必要性について

141 名古屋城 市民経済局 指摘 物品台帳と現物の照合について

142 名古屋城 市民経済局 意見 予備電源装置の設置

産業振興施設

148 公設市場 市民経済局 意見 市民ニーズを失った市場の判断に

ついて

150 公設市場 市民経済局 意見 公設市場の使用料の見直しの必要

152 公設市場 市民経済局 意見 耐震対策の必要性について

152 公設市場 市民経済局 意見 空き店舗の有効利用について

153 公設市場 市民経済局 意見 公設市場2階の有効利用について

153 公設市場 市民経済局 意見 使用料の回収遅延について

学校

162 学校 教育委員会

事務局 意見 小規模校の統合について

164 学校 教育委員会

事務局 意見

実効性のあるリニューアル改修に

ついて

支援施設

子育て

171 市立保育所 子ども

青少年局 意見

年度途中の待機児童及び潜在的待

機児童対策について

市営住

175 市営住宅 住宅都市局 意見 市営住宅等の満足度調査について

176 市営住宅 住宅都市局 意見 更新(建て替え)にかかる財政負

担について

医療・福祉

施設

187 高年大学城学園 健康福祉局 意見 今後の城学園の事業評価とカリ

キュラムについて

188 高年大学城学園 健康福祉局 意見 事業者選定における競争性の確保

について

188 高年大学城学園 健康福祉局 意見 城ホールの利用状況について

36

区分 ページ 施設名 所管局 発見事項

190 高年大学城学園 健康福祉局 意見 陶芸専攻の受益者負担について

194 休養温泉ホーム

松ケ島 健康福祉局 意見 松ケ島の廃止時期の決定について

196 休養温泉ホーム

松ケ島 健康福祉局 指摘 備品小票の取り扱いについて

199 休養温泉ホーム

松ケ島 健康福祉局 意見 施設にかかる財政負担について

都市公園

207 都市公園 緑政土木局 意見 公園施設管理台帳の項目について

37

(2) 発見事項から見られる課題

ア 存続や建て替えの議論されている施設について

施設往査を行った施設の複数で、耐震対策や修繕が必要と考えられる箇所が見受け

られた。例えば、徳川公設市場については将来的な廃止の決定をしているものの、耐

震工事が行われていない。松ケ島については、施設の運営のために必要な大浴槽給水

タンクや空調について漏水や腐食が発生しているにも関わらず、十分な修繕ができて

いない。これらの将来的な廃止を決定している施設については、廃止までの対応が明

確となっていないことにより、修繕の実施の要否や予算規模の判断が困難となってい

る側面があると考えられる。通常存続していく施設については名古屋市の「アセット

マネジメント推進プラン」に従い、リニューアル改修や修繕が進められるが、廃止が

見込まれる施設については、廃止の時期を加味した長期的な修繕計画を別途策定する

ことによりライフサイクルコストを 小化することが可能となると考えられる。

また、廃止や建て替えの議論が長期化することにより、必要とされる修繕が保留さ

れてしまう場合もある。名古屋城ではエレベーターの入れ替えについて天守閣の整備

方針如何で計画が左右されるため、具体的な計画が立てられていない。短歌会館にお

いてはかつて廃止について議論があり、現在は存続が決定しているものの、耐震工事

や外壁・空調の故障に対する修繕が未だ行われていない。建て替えや廃止の協議は、

躯体や主要設備に係る大規模修繕の到来に先立ち決定できるよう、計画的に行うこと

が望まれる。

一方、城学園については、存続の検討段階において顕著な施設の老朽化の問題は

生じていなかったため、長期的な修繕の計画については特段検討されていなかったが、

受益者負担の見直しが行われ、授業料等の値上げや人件費の削減が行われたほか、設

置目的に立ち返ってカリキュラムの見直しが行われている。

このように、将来にわたって大規模修繕などの資本的コストを市民に負担させる以

上は、施設の存続の検討時には、施設自体のあり方や収支構造、受益者負担の見直し

についても多角的に議論し総合的な判断をもとに存続が決定されるべきと考える。

イ 複数の同質的な施設の保有量について

名古屋市施設白書によると、公共施設のうち市営住宅の占める割合が 48.2%、学校

の占める割合は 26.7%となっており、両者で約 7 割以上を占めている。従って、施設

保有量の適正化を考える場合、学校・住宅の保有量を検討していくことが重要となる。

現在、大都市間の比較では学校と住宅はともに平均より多い保有量となっている。

このうち、学校については、学校規模のあり方と小規模校に対する方針を立ててお

り、第1グループから順次統合が進められる計画ではあるが、地元との協議が難航し、

ほとんどの対象校で計画が遅延している。

学校は地域のコミュニティの核としての役割も果たしており、どの地域においても

廃止に対する反対は避けられないものと考えられる。しかし、学校の適切な統合は、

施設マネジメントの側面に加え学校規模の適正化による教育の質の確保という側面か

38

らも必要なものと考えられる。コミュニティの維持のためのサポート体制や跡地利用

についても十分に説明し、推進されたい。

また、市営住宅については、経済的に困窮する市民の救済が目的であり、急激に減

少させることは現実的ではないと考えられるが、他都市の保有量および名古屋市の財

政状況を考量しながら、将来的な保有量について検討していくことが望まれる。

39

2 外部監査の結果及び意見(総論)

(1) 指定管理者制度に関する検討

ア 公募によらない指定管理者の指名について

a 概況

「指定管理者制度の運用に関する指針」では、指定管理者の募集方式は原則公募

によるものとし、公募によらない場合は以下の手続きをとることとしている。

また、管理運営を行うことができる団体が特定されるケースとしては、以下の状

況を例示している。

施設の構造・特性・設置状況等を勘案の上、管理運営を行うことができる団体が特

定される以下の場合においては、例外的に公募によらないことができるものとす

る。これに該当するか否かの判断は、総務局と協議の上、施設所管局が行うものと

する。

① 民間所有施設と一体である複合施設を当該民間施設の管理者に一括して管理運

営させることが合理的と考えられる場合

② PFI 事業により管理運営させる場合またはコミュニティセンターなど特定の管

理者が想定される場合

③ 国や他の自治体との関係から特定の団体を指定することが現時点で適当と考え

られる場合

④サービスの継続性確保のため、緊急に指定を行う必要がある場合

⑤その他公募によらないことに合理的な理由がある場合

⑤については、指定管理者制度の趣旨、施設の設置目的・状況等を踏まえ、公募に

よらないことに客観的に明らかな理由がある場合に限るものとする。

なお、「合理的な理由がある」とは、概ね「公共サービスの安定的かつ継続的な提

供、業務の高度な専門性、本市施策との関連性など、個々の施設の構造・特性・設

置状況等を勘案した結果、効果的・効率的な施設運営を行うことができる団体が客

観的に1団体に特定される」ことをいう。

40

現在非公募により選定されている施設とその理由は下記【図表4-2-1】のとおり

である。

【図表4-2-1】

施設名 現指定管理

者名 指定期間

担当課、

連絡先 非公募の理由

コミュニティセン

ター

【222 施設】

各学区連絡

協議会等

平成 22 年度~

25 年度末

平成 26 年度~

29 年度末

千種区役所

まちづくり

推進室ほか

コミュニティセンターの管理運

営に携わること自体がコミュニ

ティ活動の推進につながるとの考

えから、公募によることなく、地域

の公共的団体を指定管理者に指定

しています。

名古屋市民御岳休

暇村

(公財)名古

屋市民休暇

村管理公社

平成 23 年度~

26 年度末

市民経済局

文化振興室

同施設が立地する長野県王滝村

及び地元住民との良好な関係を保

ち、自然体験事業の地元との連携・

協働を進めていくため、長年にわ

たって地元との信頼関係のある団

体を、公募によらず指定管理者とし

て指定しています。

名古屋市栄バス

ターミナル

栄公園振興

(株)

平成 22 年度~

25 年度末

平成 26 年度~

29 年度末

住宅都市局

都心まちづ

くり課

指定管理者の募集方式について

は、オアシス 21 は、バスターミナ

ルと公園、民間が所有する商業施設

からなる複合施設であり、防災セン

ター及び管理事務所を一か所に集

約するほか、空調、電気、給排水等

の設備を不可分なものとするなど、

施設全体の一元管理を前提として

おり、この施設全体の一元管理を当

該商業施設の管理者に行わせるこ

とが も合理的であると考えられ

るため、指定管理者を非公募で選

定・指定しているものです。

市営住宅(改良住

宅、コミュニティ

住宅、更新住宅)

【35 施設】

名古屋市住

宅供給公社

平成 22 年度~

25 年度末

平成 26 年度~

29 年度末

住宅都市局

住宅管理課

市営住宅のうち公営住宅以外の

市営住宅(改良住宅、コミュニティ

住宅、更新住宅)につきましては、

公営住宅との一体的な管理が必要

であることから、名古屋市営住宅条

41

施設名 現指定管理

者名 指定期間

担当課、

連絡先 非公募の理由

例に基づき、管理代行者である名古

屋市住宅供給公社を非公募で指定

管理者に選定しております。

定住促進住宅【39

施設】

名古屋市住

宅供給公社

平成 22 年度~

25 年度末

平成 26 年度~

29 年度末

住宅都市局

住宅管理課

定住促進住宅は、市営住宅との合

築・併存が多いため、名古屋市定住

促進住宅条例に基づき、市営住宅の

管理代行者及び指定管理者である

名古屋市住宅供給公社を非公募で

指定管理者に選定しております。

名古屋市池下駐車

オークワ・

RBS グルー

平成 22 年度~

25 年度末平成

26 年度~30 年

度末

緑政土木局

自転車利用

当該事業者が名古屋市池下駐車

場に隣接する自動車駐車場を管理

しており、一体的な管理ができるこ

とから経費削減が見込まれ、また、

適切な管理運営が可能であると判

断し、選定しております。

久屋大通公園(オ

アシス 21)

栄公園振興

(株)

平成 22 年度~

25 年度末

平成 26 年度~

29 年度末

緑政土木局

緑地維持課

指定管理者の募集方式について

は、この施設が栄バスターミナル・

公園・民間団体の所有する商業施設

との複合施設であり、当該民間団体

に一括管理させることが合理的で

あることから、公募によることなく

指定管理者を指定しています。

名古屋市名城庭球

公益財団法

人名古屋市

教育スポー

ツ協会

平成 22 年度~

25 年度末

教育委員会

事 務 局 ス

ポーツ振興

国から無償貸与された土地上に

あり、貸付条件(施設を設置する場

合は営利を目的として運営しない

ことを定めている)を遵守するには

当時の指定管理者による管理・運営

が指定時点では適当と考えられる

ことから、公募によることなく指定

管理者を指定していました。

名古屋ロー

ンテニス倶

楽部

平成 26 年度~

29 年度末

教育委員会

事 務 局 ス

ポーツ振興

名城庭球場を適切に管理する能

力を有しており、本市からの指定管

理料の支出なく管理運営を行うこ

とができる団体はほかに考えられ

42

施設名 現指定管理

者名 指定期間

担当課、

連絡先 非公募の理由

ないことから、公募によらず指定管

理者として指定しています。

b 発見事項(非公募の決定プロセスについて)【意見】

非公募の施設については、指定管理者制度の運用に関する指針上、「選定手続き及

び選定基準を条例上で明らかにする」こととされている。ただし、条例上は、選定

基準として「次の選定基準を満たす者のうちから指定しようとするものを選定する」

として要件を列挙しており、非公募とすること自体を明記したものではない。

条例の選定基準を満たすものが1者であると判断し非公募とすることについては、

総務局と協議の上、施設所管局が決定しており、選定委員会も開催されないため、

決定過程において第三者による検証が行われない。

<改善提案>

「施設の構造・特性・設置状況等を勘案の上、管理運営を行うことができる団体

が特定される」ケースに該当するか否かは、常に客観的視点から見直される必要が

あり、その決定過程に、第三者等が参加できる仕組みを作ることが望まれる。

この点、横浜市では、共創推進事業本部と協議し、原則として市長を議長とする

会議体である経営会議に付議した上で、選定委員会に諮ることとしている。

イ 条例の整備・管理運営方法の決定

a 概況

「指定管理者制度の運用に関する指針」において、条例の整備について以下のよ

うに定められている。

これを要約すると指定管理者制度の導入にあたり条例での定めが必要なものは、

①指定管理者の募集方式、②指定管理者の選定基準、③指定管理者が行う管理の基

準、④指定管理者が行う業務の範囲を定めることとなっている。

(2)条例の整備

指定管理者制度の導入にあたっては、施設の設置条例により、指定の手続き

等を規定する。

ア 指定の手続き

(ア)募集方式

指定管理者を公募により選定する施設の場合は、その旨を条例上に明記する。

また、公募によらない手続きにより選定する施設の場合は、選定手続き及び選

43

定基準を条例上で明らかにする。

(イ)選定基準

選定基準は、「平等利用が確保されること」、「施設の設置目的を も効果

的に達成すること」、「管理経費の縮減が図られること」、「管理を安定して行う

物的及び人的能力を有していること」を条例上に明記する。なお、当該施設の

設置目的等から特に基準を追加する必要がある場合は、追加することができる

ものとする。

イ 管理の基準

市民が当該施設を利用する上での基本的な条件(休館日、開館時間など。

一部は規則への委任も可能。)や、指定管理者が当該施設の管理運営を通じ

て取得した個人情報の取扱いなど、管理運営の基本的事項を条例上に明記する。

ウ 業務の範囲

5(1)イ(ア)①に基づき、指定管理者が行う業務の範囲を条例上に明記する。

(補足:5(1)イ(ア)① 「施設で行われる全ての業務のうち指定管理者が行

う業務の範囲」)

44

b 発見事項

施設往査を実施した施設について、施設の設置条例に「指定管理者制度の運用に

関する指針」で求められる上記の定めがあるか確認した結果、以下のとおりであっ

た。

指定管理者制度を導入している施設については施設の設置条例に「指定管理者制

度の運用に関する指針」で求められる事項が明記されており、問題は確認されなかっ

た。

【図表4-2-2】施設の設置条例における指定管理者制度の運用に関する指針の定め

所管局 施設名 公募

非公募 条例

市長室

名古屋

国際セン

ター

公募

募集方式 名古屋市国際センター条例 第 12 条第1項

選定基準 名古屋市国際センター条例 第 12 条第3項

管理の基準 名古屋市国際センター条例 第 13 条

業務の範囲 名古屋市国際センター条例 第 14 条

市民

経済局

市民会館 公募

募集方式 名古屋市民会館条例 第 12 条第1項

選定基準 名古屋市民会館条例 第 12 条第3項

管理の基準 名古屋市民会館条例 第 13 条

業務の範囲 名古屋市民会館条例 第 14 条

南文化

小劇場 公募

募集方式 名古屋市文化小劇場条例 第 11 条第1項

選定基準 名古屋市文化小劇場条例 第 11 条第3項

管理の基準 名古屋市文化小劇場条例 第 12 条

業務の範囲 名古屋市文化小劇場条例 第 13 条

短歌会館 公募

募集方式 名古屋市短歌会館条例 第 12 条第1項

選定基準 名古屋市短歌会館条例 第 12 条第3項

管理の基準 名古屋市短歌会館条例 第 13 条

業務の範囲 名古屋市短歌会館条例 第 14 条

徳川公設

市場 直営

直営のため該当なし

名古屋城 直営

健康

福祉局

休養温泉

ホーム松

ケ島

公募

募集方式 名古屋市休養温泉ホーム松ケ島条例 第9条第1項

選定基準 名古屋市休養温泉ホーム松ケ島条例 第9条第1項

管理の基準 名古屋市休養温泉ホーム松ケ島条例 第 10 条

業務の範囲 名古屋市休養温泉ホーム松ケ島条例 第 11 条

高年大学

城学園 公募

募集方式 名古屋市城学園条例 第 13 条第1項

選定基準 名古屋市城学園条例 第 13 条第3項

管理の基準 名古屋市城学園条例 第 14 条

45

所管局 施設名 公募

非公募 条例

業務の範囲 名古屋市城学園条例 第 15 条

教 育 委

員会

事務局

守 山 ス

ポーツセ

ンター

公募

募集方式 名古屋市体育館条例 第 12 条第1項

選定基準 名古屋市体育館条例 第 12 条第3項

管理の基準 名古屋市体育館条例 第 13 条

業務の範囲 名古屋市体育館条例 第 14 条

名古屋市

博物館 直営 直営のため該当なし

ウ 指定管理者選考の手続について

a 概況

指定管理者の選定は、指定管理者選定委員会を経て行われる。選定委員会につい

ては「指定管理者制度の運用に関する指針」において以下のとおり記載されている。

選定委員会の概要と審査結果(各団体の得点内訳)はホームページに公表されて

いる。

b 発見事項(指定管理者選定委員会の公開状況について)【意見】

平成 25 年度に公募により選定された施設について、指定管理者選定委員会の開催

状況は【図表4-2-3】のとおりであるが、これらの会議概要を閲覧したところ、

第1回は主に選定の進め方、選定方法、配点案等に関する協議であり、第2回以降

が実質的な選定となっている。会議の公開については、委員会ごとに個別的に判断

されているが、結果的には第2回以降を非公開としている。会議を非公開とする理

由は同様の理由であり、例えば【図表4-2-4】のとおり記載されている。

【図表4-2-3】平成 25 年度の指定管理者選定委員会の開催状況

開催日 会議の名称

平成 25 年4月 11 日 第1回名古屋市スポーツ施設指定管理者選定委員会

平成 25 年4月 26 日 第1回名古屋市生涯学習センター指定管理者選定委員会

ウ 選定委員会

(ア)選定は、公正性・透明性を確保するため、原則として施設の設置条例

ごとに選定委員会を設置して行う。

(中略)

(オ)選定委員会の会議は、名古屋市情報公開条例(平成 12 年名古屋市条

例第 65 号)第 36 条に基づき原則公開とする。

46

開催日 会議の名称

平成 25 年5月 1日 名古屋市城学園・休養温泉ホーム松ケ島・名古屋市老人福祉施設(養

護老人ホーム寿楽荘)指定管理者選定委員会

平成 25 年5月8日 第1回名古屋市地区会館指定管理者選定委員会

平成 25 年5月8日 第1回緑政土木局(農政・緑地)所管施設指定管理者選定委員会(第

1選定委員会)

平成 25 年5月8日 第1回名古屋市女性会館及び名古屋市男女平等参画推進センター指定

管理者選定委員会

平成 25 年5月 13 日 第1回緑政土木局(農政・緑地)所管施設指定管理者選定委員会(第

2選定委員会)

平成 25 年5月 16 日 第1回名古屋能楽堂指定管理者選定委員会

平成 25 年5月 16 日 第1回名古屋市公会堂等指定管理者選定委員会

平成 25 年5月 22 日 第1回名古屋国際会議場指定管理者選定委員会

平成 25 年5月 23 日 第1回名古屋市民ギャラリー等指定管理者選定委員会

平成 25 年6月 12 日 第1回名古屋市営路外駐車場指定管理者選定委員会

平成 25 年6月 19 日 第1回名古屋市道路附属物自動車駐車場指定管理者選定委員会

平成 25 年6月 24 日 名古屋市重症心身障害児者施設指定管理者選定委員会

平成 25 年6月 25 日 第1回名古屋市児童福祉施設(母子生活支援施設)指定管理者選定委

員会

平成 25 年6月 27 日 名古屋市青少年交流プラザ指定管理者選定委員会

平成 25 年7月2日 第1回名古屋市南陽交流プラザ指定管理者選定委員会

平成 25 年7月3日 第1回名古屋国際センター指定管理者選定委員会

平成 25 年7月3日 第1回名古屋市国際展示場並びに名古屋市中小企業振興会館指定管理

者選定委員会

平成 25 年7月8日 第1回名古屋市とだがわこどもランド指定管理者選定委員会

平成 25 年7月 17 日 第2回名古屋市スポーツ施設指定管理者選定委員会

平成 25 年7月 25 日 第3回名古屋市スポーツ施設指定管理者選定委員会

平成 25 年7月 29 日 名古屋市城学園・名古屋市休養温泉ホーム松ケ島指定管理者選定委

員会

平成 25 年8月1日 第4回名古屋市スポーツ施設指定管理者選定委員会

平成 25 年8月 12 日 第2回名古屋市生涯学習センター指定管理者選定委員会

平成 25 年8月 19 日 第2回名古屋市地区会館指定管理者選定委員会

平成 25 年8月 19 日 第2回名古屋市道路附属物自動車駐車場指定管理者選定委員会

平成 25 年8月 22 日 第2回名古屋市女性会館及び名古屋市男女平等参画推進センター指定

管理者選定委員会

平成 25 年8月 23 日 第2回緑政土木局(農政・緑地)所管施設指定管理者選定委員会(第

1選定委員会)

平成 25 年8月 27 日 第2回緑政土木局(農政・緑地)所管施設指定管理者選定委員会(第

2選定委員会)

平成 25 年9月2日 第3回緑政土木局(農政・緑地)所管施設指定管理者選定委員会(第

1選定委員会)

平成 25 年9月3日 第2回名古屋市青少年文化センター等指定管理者選定委員会

47

開催日 会議の名称

平成 25 年9月3日 第3回名古屋市生涯学習センター指定管理者選定委員会

平成 25 年9月4日 第2回名古屋市民ギャラリー等指定管理者選定委員会

平成 25 年9月5日 第3回緑政土木局(農政・緑地)所管施設指定管理者選定委員会(第

2選定委員会)

平成 25 年9月6日 第2回名古屋市公会堂指定管理者選定委員会

平成 25 年9月6日 第2回名古屋能楽堂指定管理者選定委員会

平成 25 年9月9日 第2回名古屋国際会議場指定管理者選定委員会

平成 25 年9月9日 第2回名古屋市営路外駐車場指定管理者選定委員会

平成 25 年9月9日 第3回名古屋市女性会館及び名古屋市男女平等参画推進センター指定

管理者選定委員会

平成 25 年9月 12 日 第2回名古屋市国際展示場指定管理者選定委員会

平成 25 年9月 13 日 第2回名古屋市中小企業振興会館指定管理者選定委員会

平成 25 年9月 17 日 名古屋市青少年交流プラザ指定管理者選定委員会

平成 25 年9月 20 日 第2回名古屋国際センター指定管理者選定委員会

平成 25 年9月 20 日 第2回名古屋市児童福祉施設(母子生活支援施設)指定管理者選定委

員会

平成 25 年9月 26 日 第5回名古屋市スポーツ施設指定管理者選定委員会

平成 25 年9月 27 日 第2回名古屋市とだがわこどもランド指定管理者選定委員会

平成 25 年9月 27 日 第3回名古屋市道路附属物自動車駐車場指定管理者選定委員会

平成 25 年9月 29 日 第2回名古屋市南陽交流プラザ指定管理者選定委員会

平成 25 年 10 月 10 日 第4回名古屋市女性会館及び名古屋市男女平等参画推進センター指定

管理者選定委員会

平成 25 年 10 月 11 日 第4回名古屋市生涯学習センター指定管理者選定委員会

平成 25 年 10 月 15 日 第6回名古屋市スポーツ施設指定管理者選定委員会

48

【図表4-2-4】非公開の理由(例示)

施設名 非公開の理由

名古屋国際センター 指定管理者の選考審査における審査の過程には、公開により法人等

に明らかに不利益を与えると認められる情報が含まれるものとし

て、選定委員会において非公開を決定したため。

生涯学習センター 本選定委員会では、指定管理者の選考審査において、審査の過程を

公開すると、法人等に明らかに不利益を与えると認められる情報が

含まれ、また、選定委員会の率直な意見の交換若しくは意思決定の

中立性が不当に損なわれる恐れがあるため。

公募の場合、競合他者関係者への審議過程の公開等により、上記のような弊害が

起きることに対する懸念は理解できるが、全てのケースにおいて、実質的な選定手

続きを非公開とすることは、市民への情報開示という観点から十分とはいえない。

「選定委員会の率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれる恐

れがあるため」という理由についても、公開されることにより、意思決定の中立性

が一層確保される場合も考えられ、当初から全ての公開を排除する理由としては根

拠に欠ける。

<改善提案>

全てのケースにおいて「公開により法人等に明らかな不利益を与えると認められ

る」または「選定委員会の率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損

なわれる恐れがある」場合にあたるのか、より慎重な判断を行うことが望まれる。

また、一部の情報を傍聴者には開示しないこと等で解決ができないかについても合

わせて検討していくことが望まれる。

エ モニタリングについて

a 概況

指定管理者への市の管理・監督機能として、年度評価及び指定期間を通じた評価、

評価結果の公表を実施している。

また、指定管理者が法令・協定書等を遵守しない場合又は業務の水準が業務仕様書

や事業計画書が定める水準に達していない場合は、指導又は是正勧告を行うものと

し、必要に応じて指定の取消し又は期間を定めて管理の業務の全部又は一部の停止

を命ずることとしている。

指定管理者制度導入施設において、指定管理者の管理運営状況を点検・評価する

ための指針として「指定管理者制度導入施設における管理運営状況の点検・評価に

ついて」が定められており、評価シートの例として【図表4-2-5】の様式を示し

ている。

【図

【図

住宅

教育

図表4-2-5】

b 発見事項

指定管理

下記【図表

図表4-2-6

所属

宅都市局

育委員会事務

<改善提案

指定管理

施設の設置

トの設定の

】 評価シー

項(施設独自

理者制度導入

表4-2-6】

6】施設独自

務局 志

案>

理者業務の点

置目的・特性

の必要性を再

ートの例

自の評価シー

入施設のうち

のとおりで

自の評価シー

市営久屋駐車

市営大須駐車

市営古沢公園

志段味図書館

点検・評価の

性・管理運営

再度検討する

ートを作成

ち、施設独自

である。

ートを作成

施設

車場

車場

園駐車場

館(平成 25 年

の水準を一定

営の面から

ることが望ま

49

していない施

自の評価シー

していない

設名

年度より指定

定に保ち、効

所管部局あ

まれる。

施設につい

ートを作成

施設

定管理)

効果的なもの

あるいは施設

て)【意見】

していない

のとするため

設の独自の評

い施設は、

めにも、

評価シー

50

(2) 受益者負担に関する事項

「公の施設にかかる使用料の設定基準について」に基づき各所管課にて算定された、

各施設の平成 25 年度における受益者負担率は下記【図表4-2-7】のとおりである。

【図表4-2-7】受益者負担率・減免割合 (単位:千円)

施設名

収入

支出

B

受益者

負担割合

負担率

かい離

使用料

収入計

(減免前)

A(a+b)

施設使用料

収入 a 減免額b

基準

利用

負担率

(注

1)

A/B

市民経済局

公会堂 120,217 118,576 1,641 194,747 50% 62% 12%

市民会館 317,910 309,726 8,184 505,787 50% 63% 13%

芸術創造センター 63,199 61,457 1,742 151,734 50% 42% -8%

青少年文化センター 158,584 150,223 8,361 302,386 50% 52% 3%

市民ギャラリー

(栄、矢田) 54,897 51,109 3,788 114,965 50% 48% -2%

能楽堂 72,116 71,137 979 142,219 50% 51% 1%

文化小劇場 370,209 268,748 101,461 910,731 50% 41% -9%

演劇練習館 20,510 15,190 5,320 55,439 50% 37% -13%

音楽プラザ 40,457 36,951 3,506 68,850 50% 59% 9%

名古屋城 887,207 697,851 189,356 923,434 70% 96% 26%

市民御岳休暇村 203,596 197,740 5,856 464,181 70% 44% -26%

国際会議場 898,513 897,249 1,264 1,127,645 70% 80% 10%

中小企業振興会館 534,456 534,456 0 482,340 100% 111% 11%

国際展示場 819,642 819,642 0 1,128,703 100% 73% -27%

公設市場 62,528 60,671 1,857 56,803 100% 110% 10%

健康福祉局

八事斎場 98,788 91,278 7,510 526,561 20% 19% -1%

八事霊園・愛宕霊園 78,192 77,135 1,057 151,100 50% 52% 2%

子ども青少年局

青少年宿泊センター

(青少年交流プラザ

分館)

17,718 12,826 4,892 37,321 50% 47% -3%

住宅都市局

久屋駐車場 620,426 608,995 11,431 119,150 100% 521% 421%

大須駐車場 66,005 64,370 1,635 75,974 100% 87% -13%

51

施設名

収入

支出

B

受益者

負担割合

負担率

かい離

使用料

収入計

(減免前)

A(a+b)

施設使用料

収入 a 減免額b

基準

利用

負担率

(注

1)

A/B

古沢公園駐車場 63,003 62,431 572 55,117 100% 114% 14%

栄バスターミナル 85,593 85,593 0 91,450 70% 94% 24%

文化のみち二葉館

(旧川上貞奴邸) 7,621 4,187 3,434 23,462 50% 32% -18%

揚輝荘 7,416 5,350 2,066 24,291 50% 31% -19%

文化のみち橦木館 3,200 2,289 911 13,991 50% 23% -27%

緑政土木局

白鳥庭園 38,667 23,236 15,431 94,574 50% 41% -9%

徳川園 67,894 40,508 27,386 92,215 50% 74% 24%

ランの館 84,907 42,624 42,283 148,870 50% 57% 7%

東山動植物園 1,228,427 650,613 577,814 2,139,493 50% 57% 7%

公園有料施設

(テニスコート) 55,359 55,279 80 88,765 70% 62% -8%

公園有料施設(テニス

コート以外) 76,746 75,471 1,275 157,576 50% 49% -1%

東山公園

テニスセンター 77,743 71,324 6,419 98,016 70% 79% 9%

日光川公園(サン

ビーチ日光川) 161,419 132,976 28,443 229,383 70% 70% 0%

東山公園展望塔(東

山スカイタワー) 80,741 40,489 40,252 99,082 70% 81% 11%

東谷山フルーツパー

ク(温室) 10,331 5,735 4,596 24,541 50% 42% -8%

教育委員会事務局

黒川スポーツトレー

ニングセンター 36,889 13,725 23,164 85,172 70% 43% -27%

黒川スポーツトレー

ニングセンター(専

用使用)

2,390 2,160 230 5,438 50% 44% -6%

体育館グループ

(市体育館、スポー

ツセンター)

353,579 302,326 51,253 691,860 50% 51% 1%

総合体育館(トレーニン

グ、50mプール、25m

プール、アイスアリーナ、アーチェ

リー場、弓道場)

168,218 99,699 68,519 213,932 70% 79% 9%

52

施設名

収入

支出

B

受益者

負担割合

負担率

かい離

使用料

収入計

(減免前)

A(a+b)

施設使用料

収入 a 減免額b

基準

利用

負担率

(注

1)

A/B

総合体育館

(専用使用) 373,487 364,605 8,882 605,584 50% 62% 12%

冷水プール 25,434 10,366 15,068 92,262 50% 28% -22%

瑞穂運動場

(冷水プール) 8,722 4,448 4,274 18,025 50% 48% -2%

瑞穂運動場

(専用使用) 164,541 146,813 17,728 337,216 50% 49% -1%

瑞穂運動場

(テニスコート) 18,357 17,090 1,267 23,175 70% 79% 9%

プール(温水)グルー

プ(瑞穂運動場、ス

ポーツセンター、温

水プール)

694,945 314,647 380,298 1,133,811 70% 61% -9%

温水プール

(専用使用) 3,479 3,102 377 6,641 50% 52% 2%

トレーニンググルー

プ(瑞穂運動場、ス

ポーツセンター、南

陽プール、志段味ス

ポーツランド)

400,248 212,611 187,637 548,752 70% 73% 3%

志段味スポーツラン

(アリーナ等)

8,290 6,786 1,504 17,351 50% 48% -2%

志段味スポーツラン

(テニスコート)

11,680 11,333 347 22,296 70% 52% -18%

港サッカー場 10,206 9,001 1,205 32,026 50% 32% -18%

上社レクリエーショ

ンルーム 6,953 6,759 194 15,619 50% 45% -5%

名城庭球場 16,955 16,383 572 39,605 70% 43% -27%

博物館 62,088 15,571 46,517 97,360 50% 64% 14%

博物館(ギャラリー) 10,263 9,219 1,044 24,257 50% 42% -8%

科学館 758,080 277,651 480,429 799,373 50% 95% 45%

美術館 75,255 2,607 72,648 109,666 50% 69% 19%

蓬左文庫 12,365 7,790 4,575 74,056 50% 17% -33%

53

(注1)基準利用負担率は、「公の施設にかかる使用料の設定基準」より記載している。

(注2)【図表2-7-1】独立採算制を前提とする施設施設のうち、みどりが丘公園(墓地使用料)

は、上記表から除外している。これは、みどりが丘公園は、現在整備を行いながら使用

者を募集している状況であり、受益者負担の指標として、正しい指標を算定することが

困難であるためである。

54

ア 受益者負担率について

a 概況

受益者負担率が基準値を 20%以上下回る施設についての概況は以下【図表4-2-

8】のとおりである。

【図表4-2-8】受益者負担率が基準値の 20%以上下回る施設

施設名

(かい離率) 原因

㎡あたり運営

コスト

利用者一

人あたり

コスト

利用者料金

市民御岳休暇村

(-26%)

年間利用率が40%未満と低いこ

とが主な理由と考えられる。 50,539 円 23,268 円

7,000 円 ~

8,000 円(時

期等による)

文化のみち橦木館

(-27%)

延べ床面積 500 ㎡程度の小規模

施設であり、管理コストが割高

となると考えられる。

25,723 円 774 円 大人 200 円

黒川スポーツトレー

ニングセンター

(-27%)

他の施設との複合施設であり、

駐車場料金が無料のためと考え

られる。

21,546 円 876 円

トレーニング

室大人 300 円

/1回

冷水プール

(-22%)

少子化の影響などによる利用者

数の減少が収入減につながった

ものと考えられる。

(注2) 1,191 円 大人1回 300

名城庭球場

(-27%)

屋外施設であり、天候の影響を

受けるため収益率が低い。 (注2) 458 円

2 時 間 1 面

1,000 円

(注1)㎡あたり運営コスト、利用者一人あたりコストについては名古屋市公共施設白書(平成

26 年3月)より記載している。

(注2)㎡あたり運営コストは建物の延べ床面積を分母としているため、屋外施設については算

出を行っていない。

(注3)蓬左文庫については、料金収入のほか特別展の精算金収入があるため除外している。

(注4)国際展示場については、支出 1,128,703 千円に減価償却費 515,978 千円が含まれている

ため除外している。

b 発見事項(受益者負担率が基準値を大幅に下回る施設について)【意見】

受益者負担率が基準値を大幅に下回っている施設は、利用率が低下していること

が要因と考えられる施設のほか、現在の設置環境や収支構造から受益者負担の基準

値の達成が困難なことが要因と考えられる施設もある。

55

<改善提案>

受益者負担率が基準値を大幅に下回っている施設については、利用率を増加させ

ることはもとより、現在の収支構造で適切な受益者負担の達成が可能であるかを検

討し、利用料金の改定や固定費負担の見直しを含めた収支構造の改善を検討するこ

とが望まれる。ただし、料金の改定においては、市の想定する利用者を排除する可

能性や、利用率の更なる低下に伴う追加負担も懸念されるため、慎重な判断が必要

である。

また、長期的に受益者負担率が改善されない施設については、施設の規模の見直

しや存続も含めて検討していくことが望まれる。

56

3 外部監査の結果及び意見(各論)

(1) 文化・教養・集会施設

ア 文化・教養・集会施設全体の分析

①管理形態について

文化・教養・集会施設の平成 26 年度以降の管理形態は、下記【図表文-ア-1】

のとおりである。図書館及び博物館・美術館等の文化的な性格の強い施設について

は、直営にて管理されている傾向にある。

一方、社会教育施設の生涯学習センターは、従来、直営にて管理していたが、平

成 26 年度より、3館(中村生涯学習センター・熱田生涯学習センター・名東生涯

学習センター)の施設の貸出や施設管理業務について、指定管理者制度を導入して

いる。

その他、社会教育施設の集会・研修施設に分類されている女性会館についても、

平成 26 年度より指定管理者制度を導入しており、指定管理者制度が導入可能な施

設については検討のうえ、順次導入が行われている。

図書館については、従来、全施設直営にて管理されていたところ、志段味図書館

について、平成 25 年度より指定管理者制度が導入されている。

【図表文-ア-1】文化・教養・集会施設の分類

中分類 小分類 施設数 管理形態

コミュニティセンター等 コミュニティセンター等 221 施設 指定管理

社会教育施設

生涯学習センター 17 施設 直営(一部指定管理)

地区会館 6施設 指定管理

集会・研修施設 4施設 指定管理

会館・ホール 会館・ホール 19 施設 指定管理

図書館 図書館 21 施設直営(志段味図書館のみ指

定管理)

博物館・美術館 博物館・美術館 7施設 直営

その他 その他 7施設 指定管理7

(資料源泉:アンケート結果を基に監査人集計)

②平成 25 年度の収支

平成 25 年度の文化・教養・集会施設の小分類別の収支合計は、下記【図表文-

ア-2】平成 25 年度文化・教養・集会施設(直営)小分類別収支合計及び【図表文

-ア-3】平成 25 年度文化・教養・集会施設(指定管理)小分類別収支合計のとお

りである。

57

【図表文-ア-2】平成 25 年度文化・教養・集会施設(直営)小分類別収支合計(単位:千円)

中分類 収入 支出 収支

小分類

社会教育施設

生涯学習センター 200,365 1,245,746 -1,045,381

集会・研修施設

(女性会館のみ)

9,538 131,797 -122,259

図書館 76,367 2,469,278 -2,392,911

博物館・美術館 788,745 2,126,845 -1,338,100

合計 1,075,015 5,973,666 -4,898,651

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計。以下同じ)

【図表文-ア-3】平成 25 年度文化・教養・集会施設(指定管理)小分類別収支合計(単位:千円)

中分類 収入 支出

指定

管理料 収支

小分類

社会教育施設

集会・研修施設 32,250 46,213 113,843 -127,806

地区会館 3,856 11,022 106,672 -113,838

会館・ホール 339,445 521,659 1,170,362 -1,352,576

図書館 310 67 35,635 -35,392

その他(名古屋国際セ

ンターほか) 40,706 47,440 480,036 -486,770

合計 416,567 626,401 1,906,548 -2,116,382

a 直営施設

平成 25 年度の文化・教養・集会施設の収支は、文化・教養・集会施設について

は、その公益性に鑑み 100%の受益者負担を基準とされている施設は無いことから、

全施設収支はマイナスとなっている。

<図書館>

直営施設では、21 施設あり、また 100%公費負担であることから、図書館の収支

マイナスが も大きい。直営施設の図書館の収支-2,392,911 千円のうち、規模の大

きい鶴舞中央図書館の収支は-1,194,630 千円である。鶴舞中央図書館以外の直営施

設の図書館の収支は、-47,481 千円から-86,251 千円となっているが、指定管理施設

の図書館である志段味図書館の収支の-35,392 千円と比較して多額となっている(下

記【図表文-ア-4】参照)。志段味図書館は指定管理者制度を平成 25 年度から導入

しており、名古屋市は今後導入の費用対効果を検証して、他の図書館への指定管理

58

者制度の導入についても検討をすすめる方針である。

【図表文-ア-4】平成 25 年度図書館施設別収支 (単位:千円)

中分類 収入 支出 指定管理料 収支

施設名

図書館

鶴舞中央図書館 34,879 1,229,509 -1,194,630

千種図書館 332 85,738 -85,406

東図書館 1,100 63,258 -62,158

北図書館 1,401 58,416 -57,015

楠図書館 48 49,151 -49,103

西図書館 1,146 87,391 -86,245

山田図書館 30 48,676 -48,646

中村図書館 852 85,061 -84,209

瑞穂図書館 1,343 57,156 -55,813

熱田図書館 82 62,494 -62,412

中川図書館 1,478 56,498 -55,020

富田図書館 632 48,113 -47,481

港図書館 1,419 56,385 -54,966

南陽図書館 637 48,618 -47,981

南図書館 1,410 87,418 -86,008

守山図書館 1,265 55,581 -54,316

志段味図書館 310 67 35,635 -35,392

緑図書館 1,021 58,131 -57,110

徳重図書館 2,587 58,298 -55,711

名東図書館 23,244 85,674 -62,430

天白図書館 1,461 87,712 -86,251

合計 76,677 2,469,345 35,635 -2,428,303

<博物館・美術館>

「博物館・美術館」分類(収支-1,338,100 千円)では、大規模施設である科学館・

美術館・博物館の収支マイナスが大きい。

博物館の収支は-438,068 千円、科学館の収支は-426,145 千円、美術館の収支は

-258,686 千円である(下記【図表文-ア-5】参照)。このうち、一番収支のマイナス

が大きい博物館について、往査対象施設としている。

59

【図表文-ア-5】平成 25 年度博物館・美術館施設別収支 (単位:千円)

中分類 収入 支出 収支

施設名

博物館・美術館

博物館 179,553 617,621 -438,068

蓬左文庫 15,207 141,969 -126,762

秀吉清正記念館 663 29,597 -28,934

科学館 481,399 907,544 -426,145

美術館 105,760 364,446 -258,686

見晴台考古資料館 1,377 13,328 -11,951

市政資料館 4,786 52,340 -47,554

合計 788,745 2,126,845 -1,338,100

<集会・研修施設>

直営施設の集会・研修施設の収支-122,259 千円(【図表文-ア-2】参照)は、全て

女性会館1施設のものである。平成 26 年度より、男女平等参画推進センターを女性

会館に移転し、両施設一体として指定管理者制度を導入しており、今後、収支の改

善が期待される。

b 指定管理施設

指定管理施設の会館・ホールの収支-1,352,576 千円のうち、13 施設ある文化小

劇場の収支は-738,797 千円と も大きい。文化小劇場は往査対象施設としている。

市民会館の収支は-177,576 千円、名古屋国際会議場の収支は-116,805 千円と

なっている。(下記【図表文-ア-6】参照)。市民会館については、往査対象施設と

している。

また、その他の収支-486,770 千円のうち、名古屋国際センターの収支マイナス

が も大きく、-309,461 千円である(下記【図表文-ア-7】参照)。名古屋国際セ

ンターについては、往査対象施設としている。

【図表文-ア-6】平成 25 年度会館・ホール施設別収支 (単位:千円)

中分類・小分類

収入 支出 指定

管理料 収支

細分

類 施設名

会館・ホール

千種文化小劇場 21 2,421 45,971 -48,371

東文化小劇場 288 2,684 54,694 -57,090

北文化小劇場 24 2,715 44,867 -47,558

西文化小劇場 152 2,641 60,477 -62,966

60

中分類・小分類

収入 支出 指定

管理料 収支

細分

類 施設名

場 中村文化小劇場 22 3,915 48,106 -51,999

熱田文化小劇場 96 2,011 52,080 -53,995

中川文化小劇場 177 110 45,442 -45,375

港文化小劇場 262 2,272 55,273 -57,283

南文化小劇場 255 6,534 54,654 -60,933

守山文化小劇場 21 1,417 58,760 -60,156

緑文化小劇場 599 26,258 48,071 -73,730

名東文化小劇場 21 1,599 56,325 -57,903

天白文化小劇場 33 4,122 57,349 -61,438

計 1,971 58,699 682,069 -738,797

その

公会堂 54 20,107 48,359 -68,412

市民会館 59,319 54,293 182,602 -177,576

芸術創造セン

ター 616 3,278 87,586 -90,248

名古屋国際会議

場 117,726 234,531 0 -116,805

能楽堂 7,389 3,338 88,109 -84,058

青少年文化セン

ター 152,370 147,413 81,637 -76,680

計 337,474 462,960 488,293 -613,779

合計 339,445 521,659 1,170,362 -1,352,576

【図表文-ア-7】平成 25 年度その他施設別収支 (単位:千円)

中分類 収入 支出

指定

管理料 収支

施設名

その他

名古屋国際センター - - 309,461 -309,461

名古屋市民ギャラリー栄 17,061 38,862 23,050 -44,851

名古屋市民ギャラリー矢田 38 156 27,024 -27,142

名古屋市演劇練習館 43 3,385 44,331 -47,673

名古屋市音楽プラザ 17,685 3,016 49,237 -34,568

名古屋市短歌会館 5,879 30 16,408 -10,559

名古屋市東山荘 - 1,991 10,525 -12,516

61

中分類 収入 支出

指定

管理料 収支

施設名

合計 40,706 47,440 480,036 -486,770

③利用者数の推移

過去5年間(平成 21 年度~平成 25 年度)の文化・教養・集会施設の小分類・細

分類別の利用者数の推移は、以下のとおりである。

c 生涯学習センター (単位:人)

名称 平成 21

年度

平成 22

年度

平成 23

年度

平成 24

年度

平成 25

年度

生涯学習センター平均 83,168 81,469 80,578 79,734 78,832

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計 以下同じ)

生涯学習センターの利用者数は緩やかな減少傾向にある。特に瑞穂・千種・中川・

中村・熱田などの都市部での減少が見られる。名古屋市では平成 22 年度に「1区

1館施設の見直しの検討結果について」を公表しており、その中で生涯学習セン

ターについては、「施設数が多いとまではいえない」としながらも、以下について

検討すべきとしている。

このうち、指定管理者制度については平成 26 年度より一部施設で導入を開始し

ているが、今後は他の課題についても順次対応していくことが期待される。

d 地区会館 (単位:人)

名称 平成 21

年度

平成 22

年度

平成 23

年度

平成 24

年度

平成 25

年度

地区会館平均 51,213 49,249 55,541 56,937 60,684

地区会館の利用者は全体として増加傾向にある。

e 集会・研修施設 (単位:人)

名称 平成 21

年度

平成 22

年度

平成 23

年度

平成 24

年度

平成 25

年度

青少年宿泊センター 11,438 11,725 12,374 11,960 11,627

青少年交流プラザ 87,131 92,244 83,635 82,698 85,171

・他施設で行われている事業の生涯学習センターでの実施 ・生涯学習センターの一部機能の他施設への代替 ・指定管理者制度の導入 ・福祉会館や児童館との重複機能の共有化

62

名称 平成 21

年度

平成 22

年度

平成 23

年度

平成 24

年度

平成 25

年度

女性会館 262,504 255,259 250,674 256,555 131,589

男女平等参画推進センター 121,670 106,922 119,042 123,194 119,009

女性会館の利用者数が平成 25 年度に大幅に減少しているが、これは、男女平等

参画推進センターとの一体的運営に向けた改修工事のため、平成 25 年度は開館日

数が 176 日となった(平成 24 年度は 321 日)ことによるものである。その他の施

設については利用者の大きな増減はない。

f 図書館 (単位:人)

名称 平成 21

年度

平成 22

年度

平成 23

年度

平成 24

年度

平成 25

年度

図書館平均 311,953 307,238 310,549 314,958 309,205

図書館の平均利用者数は安定的に推移している。

g 文化小劇場 (単位:人)

名称 平成 21

年度

平成 22

年度

平成 23

年度

平成 24

年度

平成 25

年度

文化小劇場平均 43,497 41,890 53,055 53,873 56,469

文化小劇場の平均入場者数は増加傾向にある。

63

h 博物館・美術館 (単位:人)

名称 平成 21

年度

平成 22

年度

平成 23

年度

平成 24

年度

平成 25

年度

市政資料館 73,312 72,313 67,622 69,570 75,335

博物館 483,413 513,426 400,384 589,014 456,102

蓬左文庫 236,432 258,511 221,936 209,304 197,903

秀吉清正記念館 47,744 50,154 56,496 53,956 43,399

見晴台考古資料館 39,697 35,416 35,466 38,495 35,168

美術館 380,365 463,085 309,872 314,257 386,428

科学館 606,157 481,957 1,531,854 1,303,372 1,436,926

科学館が平成 23 年度より利用者数を伸ばしているのは、理工館・天文館を平成

23 年3月にリニューアルしたことにより、入場者数が倍増したことによる影響で

ある。

i その他 (単位:人)

名称 平成 21

年度

平成 22

年度

平成 23

年度

平成 24

年度

平成 25

年度

中村公園記念館・桐蔭茶席 不明 64 115 108 123

名古屋国際センター 82,459 70,599 65,728 64,424 61,710

市民ギャラリー栄 579,928 573,806 560,931 508,176 510,201

市民ギャラリー矢田 60,891 58,504 56,650 53,029 60,576

短歌会館 26,643 25,979 26,049 25,770 27,394

演劇練習館 61,185 61,984 63,207 63,621 63,733

音楽プラザ 131,443 125,471 125,601 134,650 128,997

東山荘 34,881 37,351 50,564 46,054 44,177

名古屋国際センターの利用者数が減少傾向にある。これは主にインターネットの

普及により情報サービスセンターの利用者が減少したことによるものと考えられ

る。名古屋国際センターについては往査対象施設としている(詳細は P93 参照)

64

イ コミュニティセンター

コミュニティセンターは、心の豊かさとふれあいのある地域社会の形成をめざし、地

域住民の連帯とコミュニティ活動の推進を図るため、地域の各種団体の会合や地域活動

のほか、趣味・教養のサークルなど多目的な利用に供する施設である。

(ア) 施設の概要

(a) 名古屋市のコミュニティセンターの状況

施設概要

施設数 221 施設 平均築年数 18 年

平均敷地面積 6,291 ㎡ 平均延床面積 310 ㎡

主な諸室 会議室、和室、調理室等(住民との協議により決定)

管理運営 ・地域の公共団

体を指定管理者

に指定

・運営費の一部

(光熱水費、事

務費)を名古屋

市が負担

主な開館時間 9:00~22:00

の範囲内で施設ごと

に定める

平均

開館日数

300 日 定休日 施設ごとに定める

利用状況

施設群合計 1施設あたり

年間利用者数 278 万 3,270 人 1万 2,945 人

年間利用件数 22 万 858 件 1,027 件

まとめ

・地域のコミュニティ活動の拠点として、概ね小学校通学区域ごとに整備している

小規模な施設である。

・地域の公共団体を指定管理者に指定し、自主管理・自主運営されている。

・年間利用者は、1施設あたり約1.3万人となっている。

備考

・航空機騒音による障害緩和を目的として、法律に基づき設置した施設(学習等供

用施設)9施設を含む

・利用状況は、23 年度末までに開館した 215 施設から算定

・他に、コミュニティセンターに準じて地域で利用されている準コミュニティセン

ター1施設あり

(資料源泉:名古屋市公共施設白書)

(b) 各区のコミュニティセンターの状況

名古屋市内のコミュニティセンターは、「名古屋市コミュニティセンター整備

方針」に基づき整備が進められており「3基本方針」に、設置単位、施設内容及

び規模等が記載されている。

そのため、下記【図表文-イ-1】名古屋市内の学区数とコミュニティセンター

数の比較のとおり、準コミュニティセンターが7施設ある中区と6施設ある中川

65

区を除き、ほぼ学区に1施設設置されている。

また、施設内容や規模についても、大半が RC 構造の地上2階建、延床面積 300

平方メートル程度であり、集会・会議室及び和室を備えた施設となっている。

全施設指定管理者制度が導入されており、指定管理料として1施設あたり年一

律 75 万円が支出されている。

【図表文-イ-1】名古屋市内の学区数とコミュニティセンター数の比較

区 学区数 施設数 学区数-施設数

千種区 15 13 2

東区 9 7 2

北区 19 16 3

西区 19 18 1

中村区 18 15 3

中区 11 2 9

昭和区 11 8 3

名古屋コミュニティセンター整備方針 3 基本方針(1)コミュニティセンターのあり方 地域における拠点となるコミュニティセンターを、住民が連帯感をはぐ

くみ主体的にまちづくりをすすめていくための活動の場のひとつとして整

備し、住民による自主的なコミュニティ活動に供することによって、心の

豊かさとふれあいのある地域社会の形成に寄与することを目的とする。 機能

コミュニティ活動は多面的であり、その総体としてまちづくりをすすめ

るものであるという観点から、コミュニティセンターは次のような機能を

有するものとする。 ア 住民の学習、情報交換、コミュニケーション及び余暇活動のため、気

軽に集まれる場 イ 地域福祉活動、健康を維持し増進させる活動、防災活動、地域の活性

化をはかるための活動など生活を安定、向上させるための活動の拠点 設置単位

コミュニティ地区(概ね小学校通学区域とする。)を単位とする。 施設内容

コミュニティ活動の拠点として、多目的な利用ができる施設内容とする。

具体的には住民との協議を経て決定する。

規模 延床面積は概ね 300 ㎡とする。

経費 コミュニティセンターの建設とその目的・機能を果たすための基本的経

費は市が負担し、管理・運営に要する経費は指定管理者の負担とする。

66

区 学区数 施設数 学区数-施設数

瑞穂区 11 9 2

熱田区 7 7 0

中川区 24 17 7

港区 20 19 1

南区 18 17 1

守山区 20 17 3

緑区 28 24 4

名東区 19 17 2

天白区 17 15 2

合計 266 221 45

(資料源泉:名古屋市公式 WEB サイト及び名古屋市公共施設白書より監査人作成)

<実施事項>

監査人の任意にて、昭和区内のコミュニティセンター8施設をサンプルとし、各

コミュニティセンターから所管局である市民経済局へ提出されている事業計画書及

び事業報告書を閲覧し、必要に応じて担当者への質問を実施した。

各施設の概要は、【図表文-イ-3】のとおりである。

【図表文-イ-3】施設の概要 (単位:室、㎡)

施設名 建設年度

事務室 会議・

集会室 和室 調理室

合計

面積

合計

面積

合計

面積

合計

面積

1 白金 昭和 57 年 1 14 2 92 2 28 1 23

2 八事 昭和 62 年 1 11 2 77 2 41 0 0

【図表文-イ-2】抽出したコミュニティセンター

施設名

1 白金コミュニティセンター

2 八事コミュニティセンター

3 広路コミュニティセンター

4 伊勝コミュニティセンター

5 御器所コミュニティセンター

6 鶴舞コミュニティセンター

7 川原コミュニティセンター

8 滝川コミュニティセンター

67

施設名 建設年度

事務室 会議・

集会室 和室 調理室

合計

面積

合計

面積

合計

面積

合計

面積

3 広路 平成2年 1 9 2 73 2 49 1 27

4 伊勝 平成7年 1 8 2 60 2 53 0 0

5 御器所 平成8年 1 6 2 88 1 16 1 26

6 鶴舞 平成9年 1 14 2 78 2 38 0 0

7 川原 平成9年 1 9 2 121 2 32 1 20

8 滝川 平成 23 年 1 9 2 83 2 52 1 20

(資料源泉:名古屋市公共施設白書)

(c) 発見事項(施設の利用促進について)【意見】

昭和区のコミュニティセンターの利用状況は、下記【図表文-イ-4】のとおりで

ある。

8施設中5施設(白金・伊勝・鶴舞・川原・滝川)が名古屋市内の1施設あたり

平均利用件数及び利用人数を共に下回っている。特に滝川コミュニティセンターに

ついては、平成 23 年度に建設された比較的新しい施設であるにも関わらず、名古

屋市内の平均よりも低い状況となっている。

所管局に確認したところ、施設の利用状況は、施設の設置時期ではなく、人口、

施設の位置及び他施設の設置状況により影響を受けるとのことである。

また、毎年度実施している管理運営状況の点検・評価においても、利用促進につ

なげるため、コミュニティ活動の活性化につながる事業や広報・PRの実施を項目

に入れ、毎年度取り組み状況を学区から報告を受けているが、利用が伸び悩んでい

るところである。

<改善提案>

利用の少ない施設についても、一律年 75 万円の指定管理料と、施設の維持修繕

にかかるコストがかかることから、利用が少ない施設については、活動支援等によ

るコミュニティ活動全体の底上げにより利用促進を図り、名古屋市平均程度の利用

とすることが望まれる。

【図表文-イ-4】昭和区内のコミュニティセンターの利用状況

施設名 利用状況

利用件数 利用人数

1 白金 479 6,707

2 八事 1,684 14,103

68

施設名 利用状況

利用件数 利用人数

3 広路 1,463 13,044

4 伊勝 736 7,449

5 御器所 1,648 19,915

6 鶴舞 774 7,520

7 川原 327 6,828

8 滝川 821 8,706

名古屋市内平均 1,027 12,945

(資料源泉:名古屋市公共施設白書)

ウ 文化小劇場全体の状況

文化小劇場とは、地域における市民の音楽・演劇・舞踊などの発表・練習の場等と

して、ホール・練習室を備えた施設である。(資料源泉:名古屋市公共施設白書)

(ア) 文化小劇場全体の分析

a 管理形態について

文化小劇場 13 施設は、公募による指定管理者制度を採用しており、利用料金制

を採用している。

b 平成 25 年度の収支

平成 25 年度の文化小劇場の施設別収支は、下記【図表文-ウ-1】のとおりであ

り、平均して 56,831 千円の赤字となっている。

69

【図表文-ウ-1】平成 25 年度文化小劇場の施設別収支 (単位:千円)

細分類 収入 支出

指定

管理料 収支

施設名

文化小劇場

千種文化小劇場 21 2,421 45,971 -48,371

東文化小劇場 288 2,684 54,694 -57,090

北文化小劇場 24 2,715 44,867 -47,558

西文化小劇場 152 2,641 60,477 -62,966

中村文化小劇場 22 3,915 48,106 -51,999

熱田文化小劇場 96 2,011 52,080 -53,995

中川文化小劇場 177 110 45,442 -45,375

港文化小劇場 262 2,272 55,273 -57,283

南文化小劇場 255 6,534 54,654 -60,933

守山文化小劇場 21 1,417 58,760 -60,156

緑文化小劇場 599 26,258 48,071 -73,730

名東文化小劇場 21 1,599 56,325 -57,903

天白文化小劇場 33 4,122 57,349 -61,438

平均 152 4,515 52,467 -56,831

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

(イ) 利用者数推移と施設数

(a) 概況

過去5年間(平成 21 年度~平成 25 年度)の文化小劇場 13 施設の利用者数

の推移は、下記【図表文-ウ-2】のとおりである。なお、名古屋市では、身近

な文化活動の場を供給するため、各区にホール、練習室などを備えた文化小劇

場の整備を現在も進めているところであり、平成 27 年度に瑞穂文化小劇場、

平成 28 年度に昭和文化小劇場が開館する計画である。

(b) 発見事項(1区1館施設の継続的な検討について)【意見】

現在ある文化小劇場は、利用率も土日を中心に高い水準となっており、利用

者数も概ね増加傾向にあり、現在その存続が直ちに問題となる施設はないと考

えられる。ただし、後述するとおり、現在においても基準の受益者負担率を満

たす水準の利用率とはなっていない。

<改善提案>

文化小劇場の1区1館を維持し続けるか、その適正配置について、1区1館

施設整備の完了後も引き続き検討をしていくことが望まれる。

70

施設往査については、平成 25 年度入場者数が も少ない南文化小劇場につき、実

施した。

【図表文-ウ-2】文化小劇場の入場者推移 (単位:人)

施設名 平成 21

年度

平成 22

年度

平成 23

年度

平成 24

年度

平成 25

年度

千種文化小劇場 36,538 35,815 41,687 41,903 43,767

東文化小劇場 46,074 47,173 66,045 69,206 74,453

北文化小劇場 29,249 31,014 35,685 42,960 43,641

西文化小劇場 35,985 39,589 69,849 66,365 75,395

中村文化小劇場 46,389 45,201 50,554 46,364 47,773

熱田文化小劇場 67,449 69,752 68,772 64,669 74,775

中川文化小劇場 43,410 45,318 56,222 59,552 57,925

港文化小劇場 30,471 33,267 36,409 36,313 42,200

南文化小劇場 61,093 28,612 36,982 41,876 40,215

守山文化小劇場 36,763 36,195 45,392 49,759 49,143

緑文化小劇場 42,999 40,081 63,480 61,918 60,889

名東文化小劇場 49,434 51,941 64,335 65,783 67,532

天白文化小劇場 39,602 40,609 54,307 53,678 56,394

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

南文化小劇

(ア) 施設の

南文化

振興に寄

め、日ご

書館(1

を練習室

項目

所在地

建物概要

建築年

施設概要

設置目的

管理形態

所管課

外観

<指定管理者

項目

指定管理者

導入年度

指定期間

選定方法

指定管理料

劇場

の概要

化小劇場は、

寄与するため

ごろの練習成

階、2階)

室及び事務室

名古

鉄骨

地上

平成

ホー

市民

興に

指定

市民

者>

者名 公

料 54

市民の身近

めに平成4年

成果の発表な

に併設され

室等として利

古屋市南区千

骨鉄筋コンク

上4階

成4年

ール、練習室

民の身近な文

に寄与するた

定管理(利用

民経済局文化

公益財団法人名

平成 18 年度

平成 22 年4月

公募

4,654 千円(平

近な文化活動

年に建設され

など、多目的

れており、施

利用している

千竃通二丁目

リート造

文化活動の場を

ため

用料金制)

化観光部文化振

名古屋市文化

月~平成 26 年

平成 25 年度決

71

動の場を提供

れたホールで

的に利用する

施設の3階部

る。

概要

10 番地の2

を提供するこ

振興室文化施

(資料源泉

概要

化振興事業団

年3月

決算額)

供することに

であり、音楽

ることが可能

部分をホール

ことにより、市

施設係

:名古屋市公

により、市民

楽、演劇、舞

能である。施

ル、2階部分

市民文化の振

公共施設白書

民文化の

舞踊を始

施設は図

分の一部

72

(イ) 監査の結果

a 継続の必要性

(a) 概況

南文化小劇場の利用率の推移は【図表文-エ-1】のとおりである。文化施設

全体の状況で分析したとおり、他の文化小劇場よりも利用者数がやや少ない傾

向にある。これは、主に立地条件によるものと考えられている。南文化小劇場

へ向かう公共交通機関は市バスにほぼ限定されており、施設周辺には小学校が

あるものの、商業施設等はなく特に夜間は人の流れが少ない地域である。また、

駐車場(42 台)があるものの、図書館と共用となっており、客席数(394 名)か

ら考えても十分な収容台数とはなっていない状態である。

このような立地的な問題もあり、利用者数については他の文化小劇場の平均

利用者数の7割程度となっている。ただし、ホールの利用率自体は日数レベル

では 71.2%となっており、13 館平均 83.5%より低い水準ではあるものの、あ

る程度の利用率は確保している。

【図表文-エ-1】年間の入場者数及び利用率

入場者数

(人)

平成

21 年度

平成

22 年度

平成

23 年度

平成

24 年度

平成

25 年度

南文化小劇場 61,093 28,612 36,982 41,876 40,215

文化小劇場平均 43,497 41,890 53,055 53,873 56,469

(注)ホール及び練習室の入場者数合計である。なお、南文化小劇場は平成 22 年度において

は、ホール内の工事により、3カ月間ホールの利用を停止している。

ホール利用率

(%)

平成

21 年度

平成

22 年度

平成

23 年度

平成

24 年度

平成

25 年度

南文化小劇場 70.0 75.9 66.7 75.6 71.2

文化小劇場平均 80.7 80.6 80.1 82.8 83.5

(注)利用率の計算式は以下のとおりである。

日数ベースの利用率=利用日数÷利用可能日数

(b) 発見事項

継続の必要性について、指摘・意見とすべき事項は発見していない。

b 管理運営方法

(a) 概況

平成 18 年度より指定管理者制度を採用している。また、利用料金制度は平

成 16 年度より導入している。

73

(b) 発見事項

管理運営方法について、指摘・意見とすべき事項は発見していない。

c 指定管理者の選定手続

(a) 概況

南文化小劇場の指定管理者は平成 21 年度には2団体の申請、平成 25 年度に

は1団体の申請があり、いずれも公益財団法人名古屋市文化振興事業団が指定

管理者として選定されている。説明会には複数の団体が参加したとのことで

あったが、平成 25 年度の申請は 1 団体であった。他の既存の文化小劇場も、

全て同財団が指定管理者として選定されている。なお、同じ年度に募集されて

いる施設は、同時期に募集開始・募集締め切り、および選定委員会が行われて

いる。

【図表文-エ-2】各文化小劇場の指定管理者と期間

施設名 指定管理者 期間

東文化小劇場

(公財)名古屋市文化振興事業団

24 年度~27 年度末

北文化小劇場

西文化小劇場

熱田文化小劇場

港文化小劇場

緑文化小劇場

名東文化小劇場

千種文化小劇場

26 年度~29 年度末

中村文化小劇場

中川文化小劇場

南文化小劇場

守山文化小劇場

天白文化小劇場

瑞穂文化小劇場(注) 愛知県舞台運営事業協同組合 27 年7月~29 年度末(予定)

(注)瑞穂文化小劇場については新設であることから、平成 26 年度に単独で募集を行っている。

結果、3団体が応募し、愛知県舞台運営事業協同組合が選定されている。

(b) 発見事項(事業者選定における競争性の確保について)【意見】

既存の文化小劇場について、募集や選定の過程に問題は発見されていないが、

公募によっているにもかかわらず、応募者が1者となっている。

74

<改善提案>

説明会に参加した事業者へのヒアリングにより、周辺の市町村を含めて応募

事務が重なったことや指定管理者制度開始から数年が経ち近年は応募施設を

絞っていること等が応募に至らなかった理由であると把握している。

複数回の選考を行う過程で、応募者自体が減少していくのはやむを得ない部

分もあるが、指定管理者の選定において公募を採用している以上は、ヒアリン

グ結果を参考に、例えば、指定管理者募集のグルーピング単位の再検討やより

早期の募集予定施設の名古屋市公式ウェブサイト等による開示など、複数の団

体の参加がなされるような工夫ををたてることが望まれる。

d 規模・施設数

文化施設全体として P69(利用者数推移と施設数)にて記載している。

e 受益者負担

(a) 概況

受益者負担については文化小劇場全体で把握しており、【図表4-2-7】(P50)

のとおりとなっている。基準となる受益者負担率よりも9%程度低いものと

なっている。

利用料金改定時の試算では、平成 16 年度の実績に対して、今後のホールの

利用率向上を見込んで目標率 90%とし、支出は 10%の削減を見越して受益者

負担額が算出されている。しかし、「a継続の必要性」に記載のとおり、平成

25 年度のホールの利用率は 13 館平均 83.5%、南文化小劇場は 71.2%となっ

ており、改定時の想定には達していない。

(b) 発見事項(受益者負担について)【意見】

改定時の想定に利用率が達していないこと等より、実際の受益者負担は想定

よりも低くなっている。

<改善提案>

文化小劇場全体について、より適切な受益者負担となるよう、利用率のさら

なる向上や運営費の削減に努めることが望まれる。

f 老朽化対策

(a) 概況

南文化小劇場は平成4年に開館し、平成 26 年度現在では約 22 年が経過して

いる。空調熱源・外壁・屋根防水のうち、空調熱源(見積金額 36,871 千円)

ついては、一部の保守部品の供給が終了しており、平成 27 年度の改修に向け

て所管局で検討が行われている。

75

また、音響設備・照明設備・その他舞台装置については随時補修を行ってお

り、運営において特段問題は生じていない。

(b) 発見事項

緊急度に応じて予算要求を行い、予算を獲得した場合においては、修繕が速

やかに行われることを前提として、老朽化対策について指摘・意見とすべき事

項は発見していない。

g その他契約及び管理に関する事項

(a) 概況及び発見事項

施設利用料の収受方法、現金の管理方法、委託契約の内容等について質問し、関

連資料を閲覧した結果、指摘・意見とすべき事項は発見していない。

h モニタリング

(a) 概況

モニタリングチェックシート(平成 25 年度)を閲覧したところ、「指定管理

者制度導入施設における管理運営状況の点検・評価について」の記載事項に

従って記載が行われていることを確かめた。

(b) 発見事項

モニタリングについて、指摘・意見とすべき事項は発見していない。

オ 市民

市民

を代表

演劇、

市民

ライツ

(注

とで、

のであ

(ア)

民会館(日本

民会館は、芸

表するホール

、室内楽等多

民会館ではネ

ツ料を施設運

注)ネーミ

、市の財産

ある。

施設の概要

項目

所在地

建物概要

建築年

施設概要

設置目的

管理形態

所管課

外観

本特殊陶業

芸術文化の振

ルとして建

多目的に利

ネーミング

運営に活か

ングライツ

を活用して

名古屋

鉄骨鉄

地上6

昭和 4

大ホー

芸術文

指定管

市民経

市民会館)

振興及び市

築された、

用できる中

グライツ(注

している。

とは、施設

、新たな財

屋市中区金山

鉄筋コンクリ

6階、地下2

47 年

ール、中ホー

文化の振興及

管理(利用料

経済局文化観

76

市民福祉の向

オーケスト

中ホール等を

注)を導入し

設の名称にパ

財源を確保し

山一丁目5番

ート造(一部

ール、リハーサ

及び市民福祉の

料金制)

観光部文化振興

向上を図るた

ラの演奏等

を備えている

し、パートナ

パートナー企

し、施設の魅

概要

1号

部鉄筋コンク

サル室、会議

の向上を図る

興室文化施設

(資料源泉

ため、昭和 4

等に適した大

る複合施設で

ナー企業から

企業などの愛

魅力向上を図

クリート造)

議室

るため。

設係

泉:名古屋市

47 年に東海

大ホールと舞

である。

らのネーミ

愛称をつけ

図ろうとす

市公共施設白書

地方

舞踊、

ング

るこ

るも

書)

77

<指定管理者>

項目 概要

指定管理者名 公益財団法人名古屋市文化振興事業団

導入年度 平成 18 年度

指定期間 平成 24 年4月~平成 28 年3月

選定方法 公募

指定管理料 182,602 千円(平成 25 年度決算額)

(イ) 監査の結果

a 継続の必要性

(a) 概況

名古屋市民会館の入場者数の推移は、以下【図表文-オ-1】のとおりであり、

年々増加傾向にある。

【図表文-オ-1】名古屋市民会館ホール入場者数の推移 (単位:人)

年度 平成 21 年度 平成 22 年度 平成 23 年度 平成 24 年度 平成 25 年度

入場者数 598,315 611,931 626,130 652,763 707,467

(資料源泉:市民経済局作成資料)

また、平成 25 年度のホール利用率は、90%を上回っており、高い数値を維

持している。

(b) 発見事項

継続の必要性について、指摘・意見とすべき事項は発見していない。

b 管理運営方法

(a) 概況

名古屋市民会館の現在の指定管理者である公益財団法人名古屋市文化振興

事業団は、設立当時から管理運営委託等で関わっており、平成 18 年度の指定

管理者制度で指定管理者に選定されてから現在まで継続的に指定管理者に選

定されている。

また、市民会館の2階にある、喫茶・軽食に利用できるレストラン「メロディ」

は、名古屋市が株式会社国際フードサービスに行政財産目的外使用許可を行っ

ており、平成 18 年度の指定管理者制度導入後も継続して許可している。株式

会社国際フードサービスは、官公庁・企業・病院・学校等のコントラクトフー

ドサービス を行う会社である。

(b) 発見事項①(市民会館利用者の満足度向上)【意見】

レストラン「メロディ」は、「行政財産目的外使用許可」を受けている。「行

78

政財産目的外使用許可」は、純粋に場所の使用を許可する制度であり、使用の

条件に合致した使用であれば、使用方法の中身は問えない制度である。そのた

め、使用のための法令遵守については基本的条件としてきたが、レストランか

らの売上や客数の報告及び利用者への満足度アンケートについては条件とし

てこなかった。

<改善提案>

市民会館利用者の満足度をより高いものとするため、利用者への満足度アン

ケートの実施等の方策を検討するとともに、市民会館の建替えを行う際には、

レストランの運営会社の公募も含めた見直しを検討されたい。

(c) 発見事項②(レストランの管理・運営方法)【意見】

指定管理者は独自にHP上で「日本特殊陶業市民会館のお客さまサービス

ショップ」として、市民会館周辺の ANA クラウンプラザグランコート名古屋他

8つの飲食店と提携して当日の公演チケットの半券で、当日の飲食代の割引等

のサービスを行っている。しかし、市民会館内のレストラン「メロディ」は、

施設往査日時点では、同様のサービスを行っていなかった。

なお、施設往査日後の平成 26 年 11 月よりサービスを開始したとのことであ

る。

<改善提案>

市民会館利用者の満足度をより高いものとするため、今後もレストランと指

定管理者との協力が望まれる。

c 指定管理者の選定手続

(a) 概況

平成23年度に平成24年4月1日から平成28年3月31日までの4年間の指

定管理者の選定を行っている。その際、応募は4団体あり、選定委員会の審査

の結果、公益財団法人名古屋市文化振興事業団が選定されている。

(b) 発見事項

指定管理者の選定手続について、指摘・意見とすべき事項は発見していない。

d 規模・施設数

(a) 概況

名古屋市内で座席数が 1,000 席を超える主な劇場、ホール等は下記【図表文

-オ-2】のとおりである。開館年の古い施設が多いが、平成 20 年に愛知厚生

年金会館、平成 22 年に愛知県勤労会館、平成 25 年には御園座が相次いで閉館

79

しており、市民の文化芸術活動の場として市民会館の果たす役割は、大きなも

のとなっている。

【図表文-オ-2】座席数が 1,000 席を超える劇場、ホール

施設名称 座席数 開館年

名古屋市総合体育館 日本ガイシホール 10,000 昭和 62 年

名古屋国際会議場 センチュリーホール 3,012 平成元年

愛知県芸術劇場 大ホール 2,500 平成 4年

名古屋市民会館 大ホール 2,291 昭和 47 年

名古屋市公会堂 1,986 昭和 5年

愛知県芸術劇場 コンサートホール 1,800 平成 4年

御園座(平成 25 年閉館) 1,656 昭和 38 年

中日劇場 1,420 昭和 41 年

名古屋市民会館 中ホール 1,146 昭和 47 年

(資料源泉:文化施設のあり方にかかる提言平成 24年 3 月)

【図表文-オ-3】名古屋市内において近年閉館した施設概要

施設名 設置者 開館 閉館 施設内容 閉館理由

愛知厚生

年金会館

(社会

保険庁)

昭和 55 年 平成 20 年

大ホール

(1,666 席)、

宿泊施設等

独立行政法人年金・健康保険福祉

施設整理機構による年金・健康保

険福祉施設の整理の一環として、

民間に売却。現在はタワーマン

ションとなっている。

愛知県

勤労会館

愛 知 県

(産業

労働部)

昭和 45 年 平成 22 年

講堂

(1,488 席)、

小ホール、

会議室等

平成 17 年2月に愛知県が「あいち

行革大綱 2005」を公表、労働者福

祉施設を順次廃止し、平成 21 年

10月にオープンした愛知県産業労

働センターに機能を集約していく

方針を打ち出す。その一環として

廃止。

御園座 株式会社

御園座 昭和 38 年 平成 25 年

ホール

(1,656席)

平成 24 年3月期に債務超過とな

り、「事業再生計画」に基づき、

劇場併設型分譲マンション建設予

定(平成 30 年7月予定)。

(b) 発見事項

規模・施設数について、指摘・意見とすべき事項は発見していない。

e 受益者負担

受益者負担のあり方については、市全体として記載している。(P50)

80

f 老朽化対策

(a) 概況

設備更新の内容としては、平成 25 年度にはエレベーターの更新を行ってお

り、平成 26 年度には外壁及び空調設備の改修を行う予定である。

(b) 発見事項(建替えの検討について)【意見】

平成 24 年 3 月に文化施設のあり方検討委員会(市民経済局管轄)から出さ

れた、「文化施設のあり方にかかる提言」において、経年劣化部位の機能回復

及びバリアフリー化の必要性が記載されており、利用者アンケートでも、同様

の事項が見受けられた。しかし、バリアフリー化するには、改築の必要がある

ため、授乳室の設置等、できる範囲での工夫はされているが、現在は設備更新

で対応しており、抜本的な対応は難しい状況となっている。

施設の改修は、アセットマネジメントの一環で行われており、故障等の経常

的な修繕は、ネーミングライツによる収入を充当しているとのことである。

名古屋市は、「名古屋市総合計画 2018」にて、「金山地区におけるまちづく

りの推進」事業として、「市内有数の交通結節点である金山地区において、都

市機能のさらなる集積とにぎわいの創出につながる交流空間の形成に資する

まちづくりを推進」するとしている。

<改善提案>

今後、「金山地区におけるまちづくりの推進」事業を行う際には、市民会館

の建替えを含めて検討されたい。

g その他契約及び管理に関する事項

(a) 概況

名古屋市民会館では、平成 19 年度より、ネーミングライツを導入している。

これまで、下記【図表文-オ-4】のとおり、平成 19 年7月から平成 24 年6

月までの5年間、学校法人梅村学園と契約し、その後、平成 24 年7月から平

成 29 年3月までの約5年間、日本特殊陶業株式会社と契約しているため、愛

称が2度変わっている。上記 f老朽化対策で述べたとおり、ネーミングライツ

による収入は、市民会館の経常的な修繕に充てられており、ネーミングライツ

契約は今後も継続する予定である。

【図表文-オ-4】ネーミングライツパートナー契約状況

契約期間 パートナー

企業

愛称

名古屋

市民会館 大ホール 中ホール

地下鉄

連絡通路

平成 19 年7月 学校法人 中京大学文化 オーロラ プルニエ オーロラ

81

契約期間 パートナー

企業

愛称

名古屋

市民会館 大ホール 中ホール

地下鉄

連絡通路

1日~

平成 24 年6月

30 日

梅村学園 市民会館 ホール ホール ウォーク

ウェイ

平成 24 年7月

1日~

平成 29 年3月

31 日

日本特殊陶業

株式会社

日本特殊陶業

市民会館

フォレスト

ホール

ビレッジ

ホール

日本特殊陶業

市民会館

連絡通路

(b) 発見事項

その他契約及び管理に関する事項について問題は発見されなかった。

h モニタリング

(a) 概況

名古屋市民会館は、市民経済局文化観光部文化振興室文化施設係が所管して

おり、年度当初に事業計画書、年度末に事業報告書の提出を受け、内容の確認

を行っており、年2回、指定管理者に対してモニタリングを実施している。

(b) 発見事項(物品検査結果の所管課への報告の必要性)【意見】

名古屋市の所有する物品の管理方法について質問したところ、物品が破損、変

質その他の理由により使用することができなくなったときにはその都度名古屋市

への報告を行っている。しかし、年1回、物品台帳と現物の照合(以下「検査」

という。)を行っているが、仕様書に名古屋市への検査結果の報告を義務付ける記

述がないことから、名古屋市への報告は行っていない。

<改善提案> 指定管理者への貸出備品についても、指定管理者が実施した検査結果について

所管課へ報告をするよう、仕様書にその旨を記載する等により体制を整備するこ

とが望まれる。

82

カ 博物館

名古屋市博物館は、名古屋市の人口 200 万人突破記念事業の一環として、昭和 52

年に開館した歴史系の総合博物館である。名古屋を特徴づける歴史資料を中心に、

収集資料は約 2万 2 千件、24 万点に達している。

2階常設展「尾張の歴史」では、このうち約 1 千点の資料により原始から現代ま

でのこの地方の歴史を紹介しており、1階特別展示室では国内外の優れた文化遺産

を紹介する特別展と、名古屋を中心とした尾張地域の歴史文化を掘り起こす企画展

を年5~6回開催している。

また、市民の文化活動発表の場として、絵画・彫塑・書などを展示するギャラリー、

演奏会・講演会などに利用できる講堂を併設している(博物館公式ウェブサイト)。

(ア) 施設の概要

項目 概要

所在地 名古屋市瑞穂区瑞穂通 1丁目 27 番の 1

建物概要 鉄骨鉄筋コンクリート造

地上4階、地下2階

建築年 昭和 52 年

施設概要 本館

設置目的 歴史、考古、民俗及び美術工芸に関する資料を収集し、保管し、展示

し、及び教育的配慮のもとに一般公衆の利用に供し、その教養の向上、

調査研究等に資するとともに、これらの資料に関する調査研究を行な

うため

管理形態 直営

所管課 教育委員会事務局博物館総務課庶務係

外観

(資料源泉:名古屋市公共施設白書)

(イ) 監査の結果

a 継続の必要性

(a) 概況

名古屋市博物館は、総合歴史博物館として、昭和 52 年に開館した。近隣に

は平成25年度開館した三重県総合博物館(MieMu)(延べ床面積10,800平方メー

83

展覧会名 入場者数 料金 運営形態 展覧会名 入場者数 料金 運営形態 展覧会名 入場者数 料金 運営形態

展示室面積

人 人 人 大人

58,787 直営 72,341 直営 226,808 600円 直営

日 1日平均 人 日 1日平均 人 日 高大生 1日平均 人

(307) 191 (305) 237 (307) 400円 739

75,824 20,100 400円 67,964

( 32) ( 48) ( 45)

19,236 6,792 200円 52,673

( 47) ( 26) ( 66)

18,918 4,401 300円 38,523

( 40) ( 51) ( 32)

25,590 5,055 300円 30,262

( 40) ( 38) ( 48)

19,038 4,295 無料

( 26) ( 26)

15,960

( 50)

139,370 1日平均 人 33,851 1日平均 人 189,422 1日平均 人

( 138) 1,010 ( 163) 208 ( 191) 992

198,157 1日平均 人 106,192 1日平均 人 416,230 1日平均 人

( 307) 645 ( 307) 346 ( 307) 1,356

入場者数増への取り組み状況

博物館の運営主体

小 計

300円

直営

直営

直営

直営

直営

直営

400円

テーマ(横浜に生きた人々の 生活と歴史)

むかしのくらしと年中行事

・キャンパスメンバーズ制度の導入・首都圏での広報活動の強化・JTB観光クーポン券の利用導入・企画に合わせた解説を充実

仙台市 公益財団法人大阪市博物館協会公益財団法人横浜市ふるさと歴史財団

小 計 小 計

合  計

1,200円 買取

(特別展)「法隆寺」

1,300円 実行委員会

市指定文化財の“はにわ”たち/横浜の遺跡展―古

(特別展)「伊達政宗の夢」

800円 実行委員会横浜市立大学コレクション・古地

図の世界―地球のかたちと万国の

大地―マンガのちから

(特別展)「近江巡礼」

1,100円 実行委員会

水へのいのり 古代東国の川辺と井戸のまつり

変わり兜×刀装具 1,000円 実行委員会

(企画展)「仙台藩主勢揃い!」※常設展に計上

- 直営絵巻でみる江戸時代

ヱヴァンゲリヲンと日本刀 800円 実行委員会

特別展・

企画展等

(特別展)「若冲が来てくれました」

800円 実行委員会N.G.マンローと日本考古学

幽霊・妖怪画大全集

1,200円 実行委員会

常設展

テーマ(仙台の歴史と美術)

400円

テーマ(都市おおさかの歩み)

1,051㎡ 362㎡ 892㎡

施設名仙台市博物館 横浜市歴史博物館 大阪歴史博物館

トル)がオープンしたが、規模としては名古屋市博物館(延べ床面積 18,821

平方メートル)の方が大きく、この地域では 大の規模を有している。

以下は、各都市の主な博物館の状況である。

【図表文-カ-1】 各都市の博物館の状況(平成 25 年度)

84

展覧会名 入場者数 料金 運営形態 展覧会名 入場者数 料金 運営形態

展示室面積

人 人

1,701 直営 143,399 直営

日 1日平均 人 日 1日平均 人

(152) 11 (305) 470

183,480 4,708

( 62) ( 50)

170,337 22,185

( 74) ( 50)

125,249

( 55)

7,139

( 32)

11,893

( 44)

146,001

( 42)

6,620

( 45)

353,817 1日平均 人 26,893 1日平均 人

( 136) 2,602 ( 100) 269

355,518 1日平均 人 170,292 1日平均 人

( 152) 2,339 ( 152) 1,120

入場者数増への取り組み状況

博物館の運営主体

小 計

貸館

実行委員会

実行委員会

合  計

・広報の普及促進(ミニコミ誌の活用)・学校との連携充実・親子での参加・体験型事業の充実・部門別展示室の定期的な展示替(4 部門延べ 24回)

福岡市

1,200円

1,200円

1,300円

200円

200円

テーマ(アジアに生きた都市と人びと)

神戸市

小 計

光の賛歌 印象派展

藤城清治 光と影の世界展

1,200円

1,400円

山笠の力 ハカタウツシ 1,200円

特別展・

企画展等

インカ帝国展

第25回新収蔵品展「ふくおかの歴史とくらし」

実行委員会

直営 

1,500円 実行委員会日本 初の禅寺聖福寺展

実行委員会ターナー展

プーシキン美術館展

1,500円 実行委員会キモノ・ビューティ

実行委員会

テーマ(国際文化交流、東西文化の接触と変容)

200円常設展

1,284.8㎡ 1,499㎡

神戸市立博物館 福岡市博物館施設名

85

(資料源泉 各博物館へのアンケート結果を編集)

(注)取り組み状況は、回答があった場合に記載している。

名古屋市博物館は常設展及び特別展・企画展等を含めても、入場者数は7館中

5番目と、多いとはいえない状況である。

展覧会名 入場者数 料金 運営形態 展覧会名 入場者数 料金 運営形態

展示室面積

人 人

413,314 直営 68,916 直営

日 1日平均 人 日 1日平均 人

(354) 1,168 (297) 232

37,740 57,054

( 58) ( 52)

125,805 30,624

( 51) ( 36)

20,990 2,970

( 52) ( 27)

24,852 8,662

( 53) ( 37)

10,491

( 37)

209,387 1日平均 人 109,801 1日平均 人

( 214) 978 ( 189) 581

622,701 1日平均 人 178,717 1日平均 人

( 354) 1,759 ( 297) 602

入場者数増への取り組み状況

博物館の運営主体

北九州市

小 計

500円

テーマ(いのちのたび)

部分的な展示替え、話題のコーナーの設置親子での参加・体験型事業の充実学校・地域との連携事業の充実積極的な広報活動

名古屋市

・学校団体の誘致活動の充実・広報の普及促進・企画展・特別展の充実

小 計

合  計

特別展・

企画展等600円 実行委員会文字のチカラ

仁川広域市立博物館・旅順博物館の名品展

奥三河のくらしと花祭・田楽

直営

直営

直営

邪馬台国が見える!古代日本の原風景

600円 実行委員会

700円

無料

尾張のやきもの 300円 直営

実行委員会世界の昆虫展実行委員会

マジックの時間 1,000円700円

1,300円 実行委員会

北九州市制50周年記念展北九州市の宝もの

中国王朝の至宝無料

テーマ(尾張の歴史)

300円常設展

北九州市立自然史・歴史博物館 名古屋市博物館

609㎡ 963㎡

施設名

86

名古屋市博物館全体の入場者数の推移は、以下のとおりである。

【図表文-カ-2】博物館全体の入場者数推移(単位:人)

区分 平成 22 年度 平成 23 年度 平成 24 年度※ 平成 25 年度

常設展 70,825 68,383 63,990 68,916

共催展 141,400 111,551 288,131 132,235

ギャラリー 220,437 177,111 167,310 187,082

その他 80,764 43,339 69,583 72,795

合計 513,426 400,384 589,014 461,028

(注)平成 24 年度はメキシコでの海外展を含む。

(資料源泉:名古屋市博物館 年報 平成 25 年度)

【図表文-カ-3】開館からの年間入場者数推移

入場者数は平成6年を頭打ちに減少傾向にある。特にギャラリーや常設展の入

場者数が若干の増減はあるものの減少の一途をたどっている。

0

200000

400000

600000

800000

1000000

1200000

昭和52年 昭和60年 平成5年 平成13年 平成21年

入場者数推移

入場者数合計

常設展

共催展

ギャラリー

その他

単位:

87

(b) 発見事項①(ギャラリーの利用状況について)【意見】

ギャラリーの利用状況は、以下のとおりである。

【図表文-カ-4】ギャラリーの利用状況

4月 5月 6月 7月 8月 9月

利用日数(日)① 138 188 186 140 108 164

入場者数(人) 10,422 25,012 15,248 13,037 8,206 11,522

大利用可能日数(日)② 192 208 200 200 208 200

利用率(%)①/② 71.9 90.4 93.0 70.0 51.9 82.0

10 月 11 月 12 月 1月 2月 3月

利用日数(日)① 189 200 164 62 155 165

入場者数(人) 20,495 46,977 11,566 2,010 9,437 13,150

大利用可能日数(日)② 208 200 192 184 184 200

利用率(%)①/② 90.9 100.0 85.4 33.7 84.2 82.5

(注)ギャラリーは1から8と屋外があるが、利用が難しい屋外を除いて集計をしてい

る(但し、屋外のみの入場者数は把握できないため、入場者数には屋外分も含め

ている。)。

利用日数は、ギャラリーの延べ利用日数である。

( 大利用可能日数=8箇所×開館日数)

利用日数が多い月は、入場者数も多くなっている。利用率は 11 月には 100%

になるなど秋季の稼動が高い一方、夏季や年始の利用が低くなっている。この

夏季や年始など利用が低調なる時期の影響が入場者数の減少につながってい

ると思われる。

<改善提案>

利用促進の観点からは、利用者に利用率の高い時期から低い時期での利用を

勧めるなど、できるだけ多くの利用につながるように工夫をされたい。

(c) 発見事項②(常設展の利用状況について)【意見】

次に常設展であるが、開館以降、平成元年に全面的にリニュ-アルされて以

降、25 年以上大きなリニューアル工事は行っていない。その間に人々の趣向

が変化するなど、市民の関心が薄れたことが、入場者数の減少につながってい

るものと思われる。【図表文-カ-1】の他都市の主な博物館と比較しても入場

者数は、多いとは言えない状況になっている。往査当日も、1階の特別展会場

には多くの入場者の姿を見かけたが、2階にある常設展においては、入場者の

姿もまばらであった。

名古屋市博物館では、平成 23 年度から「くらし体験学習室」を、 平成 24

88

年度からは「ナイトミュージアム」や「むかしのおもちゃで遊ぼう」など体験

型の催しを実施するなどして、入場者数増加の取組みも始めている。ただ、減

少傾向を止めるところまでいっていない。

<改善提案>

博物館は、市の多額の負担のもと、歴史、考古、民族及び美術工芸に関する

資料を収集し、保管する重要な役割を果たすとともに、同時にそのような資料

等を展示することで、市民の教養の向上、調査研究に資することも重要な役割

である。その点から見れば、市民の利用者を増やすことも博物館としては必要

なことでないかと考えられる。

常設展の展示内容のリニューアルや充実等により入場者数を増やすような取

組みをさらに進めることが求められる。

b 管理運営方法

(a) 概況

博物館は、下記「直営の公の施設の概要等(平成 26 年度)」のとおりの判断

により、直営にて運営をしている。

直営の公の施設の概要等(平成26年度)

博物館法の規定に基づき、歴史、考古、民俗及び美術工芸に関する資料を収集し、

保管し、展示し、及び教育的配慮のもとに一般公衆の利用に供し、その教養の向上、

調査研究等に資するとともに、これらの資料に関する調査研究を行なうことを目的

として設置されています。具体的には、市民からの寄託等に基づく資料の収集、調

査研究、出版、展示、講演、ワークショップなどを実施しています。

こうした博物館事業、特に尾張・名古屋独自の展示や出版物の刊行には、専門職

員の高度な知識や豊富な経験が必要とされます。専門職員の育成には長い期間が必

要であり、調査研究も長期にわたって継続する必要があります。

また資料収集や展示借用に求められる信頼の構築も時間を要します。こうした人

的要素及び継続性のある事業を行い、当地を総括する歴史博物館であり続けるた

め、市直営で管理運営を行っています。

他都市の主な博物館においても、多くは直営となっている。他都市の状況か

ら見ても、名古屋市の直営を維持する判断については、問題となるところは見

られない。

(b) 発見事項

管理運営方法について、指摘・意見とすべき事項は発見していない。

c 指定管理者の選定手続

直営のため、該当なし。

89

d 規模・施設数

(a) 概況

博物館では常設展示室の他に、特別展示室・ギャラリー・講堂を有しており、

各施設の概要は次の【図表文-カ-5】のとおりである。

【図表文-カ-5】主な施設の概要

室名 階 面積 内容

常設展示室 2階 1,867.85 ㎡ 常設展示「尾張の歴史」

特別展示室 1階 498.00 ㎡ 特別展・企画展会場

部門展示室 1階 465.00 ㎡ 〃

ギャラリー

(1~8) 3階 延 1,616.00 ㎡

絵画・彫刻・書・写真など市民

の創作活動発表に貸与

講堂 地 下

1階 378.00 ㎡

講演会・映画会・ピアノ発表会

等に貸与

(注)上記の他、地下1、2階と4階に収蔵庫(第1~5)と書庫・文献資料室

がある。

(b) 発見事項(増床・リニューアルについて)【意見】

名古屋市博物館はこの中部地区では 大規模の総合歴史博物館であるが、近

年、特別展が大規模化し、1,500 ㎡クラスのものが出てきている。名古屋市博

物館は特別展示室と部門展示室と合わせて 1,000 ㎡をやや下回る広さになる

が、隣接しているもののそれぞれが別室であり、 近の大型の特別展の要望に

応えられないことが出てきている。また建設年度も古いことから、トイレの洋

式化を含めた改修やバリアフリー化の要望も出ている状況である。

名古屋市博物館は、街中にあることから増床は難しい状況があったが、名古

屋市博物館の裏手にある瑞穂図書館が移転し、同じく裏手にある東栄保育園が

その跡地に移転することによって、博物館の増床スペースができる予定である。

また、開館から 40 年近くが経過し、リニューアルも検討されている。

<改善提案>

中部地区では 大級の総合歴史博物館として、この地域での果たす役割も大

きいものであることから、展示室の拡張やトイレの洋式化・バリアフリー化の

促進等の改修や新たな博物館としての市民等の要望を踏まえつつ、増床・リ

ニューアルに対応することが望まれる。

e 受益者負担

受益者負担のあり方については、市全体として記載している。(P50)

90

f 老朽化対策

(a) 概況

現在築 35 年であり、「アセットマネジメント推進プラン」において築 40 年

の段階で耐久度調査を実施し、今後のリニューアル改修の判断を行うことと

なっているが、博物館においては、築 40 年経過前であるが平成 19 年から 20

年ごろに既に躯体の耐久度調査を既に実施しており、躯体の耐久性については

問題がないことが既に判明している。

築 40 年の段階でのリニューアル計画を策定中であるが、現在においては中長

期の修繕計画は策定されていない。

また、3年毎の定期点検にて必要な修繕を実施しており、直近では平成 25

年度においてエレベーター・エスカレーターの更新、ハロンガスの消化ボンベ

の更新が実施されている。

(b) 発見事項(施設の安全性の確保について)【意見】

平成 23 年度に定期点検を実施しており、その際、大きな問題は発見されて

いないが、外壁には多数のひび割れが発見されている。また別棟になるが、食

堂棟においては、屋上の防水層が劣化している。

<改善提案>

上述の事象については、即座の対応を求められるものではないが、博物館に

は大切な収蔵品等が保管されていることや博物館や食堂等は市民が利用する

ことからその安全性が問われることになる。重大な事故が発生する前に、速や

かに対応することが望まれる。

91

g その他契約及び管理に関する事項

<入場券の管理について>

(a) 概況

入場券は一般 300 円と大高生 200 円の2種類のみ印刷し、減免金額ごとの入

場券は印刷した入場券の金額を手書きで修正し帳簿記録を付すことによりそ

れぞれの減免金額ごとの入場券として使用している。

(b) 発見事項(入場券に関する帳簿と現物の不一致について)【指摘】

入場券の実査をしたところ、高齢者割引 100 円の入場券として使用予定の入

場券について、帳簿上は一般 300 円から高齢者割引 100 円に振替をしたが現物

の入場券は本来 100 円に修正するところ、一般 300 円のままとなっており、現

物と帳簿が一致していないものが確認された。

<改善提案>

金券類であり帳簿と現物は一致させる必要がある。

帳簿上の振替だけでなく、同時に必ず現物の金額訂正を行い、さらに定期的

に数量確認するなど、現物と帳簿に差異が生じないよう管理すべきである。

<備品の管理について>

(a) 概況

博物館の収蔵品と備品は帳簿で管理されているが、現在はそれぞれシステム

で管理されている。往査時に帳簿から現物、現物から帳簿記録の一致を数件実

施したところいずれも一致した。

(b) 発見事項(備品の管理について)【指摘】

22 年度以前は紙の帳簿で管理されていたが、23 年度から物品管理システムが導

入された。現物と物品管理システムとの一致を確認した際、物品管理システムに

登録されている情報と現物との照合ができず、22 年度まで使用していた紙の帳簿

までさかのぼりようやく一致を確認することができた。 また、名古屋市会計規則第 146 条では、使用中の物品について毎年 1 回検査を

行い、市長に結果の報告を行うことを定めているが、備品の検査もされていなかっ

た。 さらに、現場視察時には、使用されていない備品で廃棄が行われていないもの

も認められ、適切な備品管理がなされていない状況が見受けられた。

<改善提案>

物品管理システムの導入から 3 年以上が経過しており、現物と物品管理システ

ムに登録されている情報との照合が迅速に行えるようにすべきである。

92

また、名古屋市会計規則に基づき毎年 1 回以上検査をする必要がある。なお、

使用されていない備品については、管理コストや管理場所の制限の点からも適切

な管理をすることが求められる。

h モニタリング

直営のため該当なし。

93

キ 名古屋国際センター

名古屋国際センター(以下「国際センター」という。)は、名古屋地域における国際

交流の総合拠点施設として、昭和 59 年に開設された名古屋市の「公の施設」である。

国際センターは、泥江地区市街地再開発事業の一環として昭和 59 年6月 30 日竣工

した地下3階、地上 26 階、高さ 102m の当時中部地域で も高い建築物である名古屋

国際センタービル(工費 128.8 億円、建築面積 1,502.54 ㎡、延床面積 46,946.69 ㎡)

のうち、名古屋市が区分所有する、2階の1室、3階、4階及び5階の全室、並びに

ホール(昭和 59 年9月 30 日竣工)を含めた総称である。

(ア) 施設の概要

項目 概要

所在地 名古屋市中村区那古野一丁目 47 番1号

建物概要 鉄骨鉄筋コンクリート造

地上 26 階、地下3階

建築年 昭和 59 年

施設概要 集会室、和室、ホール、展示室、その他

設置目的 地域の国際化を推進し、住民の福祉と文化の向上を図るため

管理形態 指定管理(利用料金制)

所管課 市長室国際交流課企画調査係

外観

(資料源泉:名古屋市公共施設白書)

<指定管理者>

項目 概要

指定管理者名 公益財団法人名古屋国際センター

導入年度 平成 18 年度

指定期間 平成 22 年4月~平成 26 年3月

選定方法 公募

指定管理料 309,461 千円(平成 25 年度決算額)

<2 階~

部分が名古屋

~5 階>

屋市の公の施

94

施設である。

95

(イ) 監査の結果

a 継続の必要性

(a) 概況

国際センターの主な事業の内容は【図表文-キ-1】のとおりであり、大きく

分類すると、①国際化推進業務②施設管理運営業務に分類できる。

【図表文-キ-1】主な事業の内容

実施事業 内容

地域の国際化

推進のための

事業

地域の国際化推進

のための情報提供

及び相談

情報収集提供事業

相談事業

広報出版事業

地域の国際化推進

のための講座及び

研修の実施

研修事業

国際交流・国際協力事業

地域の国際化推進

に取り組む団体及

び個人の活動の促

ボランティア制度の運営等

民間国際交流活動振興事業

その他地域の国際

化を推進するため

市長が必要と認め

る事業

外国人市民の暮らしやすいまちづくり事業

施設管理運営業務

施設の供用

付属設備の管理

利用料金の徴収

施設の維持管理及び修繕

(資料源泉:名古屋国際センター指定管理業務仕様書より監査人が編集)

(A)国際化推進事業と貸施設事業の実績

①地域の国際化推進のための事業に関する実績

【図表文-キ-2】利用推移①

指標/年度 平成 22 年度 平成 23 年度 平成 24 年度 平成 25 年度

相談対応件数 2,857 2,459 2,405 2,374

ホームページの

アクセス数 2,897,900 2,856,315 2,554,462 3,485,059

(資料源泉:期間を通じた評価シート)

※窓口での相談件数は電話対応を含む。

96

各種相談件数が減少している一方、ホームページのアクセス件数は増加している。

なお、国際センターでは、評価に使用されている指標以外にも多種多様な事業を

実施しているため、他の事業についても集計した。

【図表文-キ-3】利用推移②

事業 21 年度 22 年度 23 年度 24 年度 25 年度

地域の国際化推進のための情報提供

及び相談

情報収集提供

事業

情報サービスコー

ナー入室者数(人)25,921 22,076 20,774 20,655 18,672

問い合わせ件数

(件) 15,191 14,069 12,143 10,559 10,850

相談事業

海外児童生徒教育

相談(件) 500 287 281 282 298

外国人市政相談

(件) 874 818 697 819 651

外国人法律相談

(件) 243 218 214 215 229

広報出版事業 NIC ニュースの発

毎月 10

千部

毎月 10

千部

毎月 10

千部

毎月 10

千部

毎月 10

千部

地域の国際化推進のための講

座及び研修の実施

研修事業

日本語ボランティアシン

ポジウム参加者数

(人)

220 282 213 252 229

日本語ボランティ

ア研修参加者数

(人)

441 344 365 383 383

地域の国際化セミ

ナー参加者数(人)159 183 160 98 113

国際交流・国

際協力事業

留学生の夕べ参加

者数(人) 386 317 338 306 247

地域の国際化推進に取り組む団体及

び個人の活動の促進

ボランティア

制度の運営等

ボランティア登録

者数(人) 1,380 1,536 1,258 1,039 1,037

民間国際交流

活動振興事業

国際交流協力協働

事業参加者数(人)323 256 392 496 383

民間国際交流活動

の支援した事業数33 23 23 28 23

97

事業 21 年度 22 年度 23 年度 24 年度 25 年度

その他地域の国際化を推進するため市長が必

要と認める事業

外国人市民の暮

らしやすいまち

づくり事業

多文化共生まちづ

くり事業参加人数

(人)

- 913 656 516 644

外国人防災啓発事

業参加人数(人)

指標一

部なし

指標一

部なし

指標一

部なし 154 201

日本語教室「NIC

日本語の会」参加

人数(人)

5,400 4,953 3,279 3,664 4,593

子ども日本語教室

参加人数(人) 1,448 1,292 1,093 1,042 1,332

外国人児童・生徒

サポーター養成研

修参加人数(人)

211 185 294 284 336

(資料源泉:事業報告より監査人が集計)

主に情報サービスコーナーの入室者数、問い合わせ件数、ボランティアの登録者

数が減少傾向にある。

②施設管理運営事業にかかる実績

<施設利用率>

近年の貸施設利用率は次のとおりとなっている。

【図表文-キ-4】貸施設利用率・収入・利用者満足度

指標/年度 平成 22 年度 平成 23 年度 平成 24 年度 平成 25 年度

貸施設利用率(%) 57 57 59 58

貸施設収入(千円) 88,159 83,311 86,827 94,993

利用者満足度(%) 98 98 99 98

(注)利用率の計算式は以下のとおりである。利用率=利用単位数÷利用可能単位数

単位数とは、1日を3コマ(午前・午後・夜間)と数えて年間トータルのコマ数で換算

した数である。

【図表文-キ-5】平成 25 年度施設別の利用率

場所 利用率

ホール 35%

第1会議室 45%

第2会議室 73%

第3会議室 78%

第4会議室 66%

第5会議室 75%

第6会議室 70%

98

和室 26%

展示室 49%

研修室 67%

平均 58%

貸施設の稼働率は 60%未満で伸び悩んでおり、特にホール・第1会議室・和室

の利用率の低迷が目立つ。平成 24 年度よりホール(平日)・和室の利用料金値下げ

等を行ったことにより利用率が上昇し、全体の収入も押し上げている。しかし、上

昇後も依然として 50%を下回る水準にある。これは、会議の規模等も考えてリー

ズナブルに会議を開催したいという利用者のニーズが多いことも一因ではないか

と考えられる。例えば、第1会議室は建設当初からの構造上、会議室(189 ㎡)の

ほかにラウンジ(159 ㎡)、控室がセットとなっており、ラウンジや控室も含めた

料金設定がされている。

同様に別棟となっているホール(250 ㎡)も、会議室(82 ㎡)やエントランスホー

ル(221 ㎡)を備えている。

設ラ

る。

名古

用表

収容

知が

【写真文

【写真文

ある)

加えて、国際

ラッシュとな

平成 21 年

古屋駅から徒

表は【図表文

容人数あたり

が国際センタ

文-キ-1】ホ

文-キ-2】第

際センターを

なっており、

には、愛知

徒歩5分の立

文-キ-6】の

りの単価は、

ターよりも若

ホールのレイ

第 1 会議室の

を取り巻く環

、より条件の

県が設立し

立地にオープ

のとおりで

、国際セン

若干割安とな

イアウト

のレイアウト

環境として

の良い貸施

したウインク

プンしてい

ある。単純

ターの値下

なっている。

99

(左上写真が

、名古屋駅

施設が多数供

あいち(愛

る。国際セ

純に席数のみ

下げ後の利用

がラウンジ、

駅周辺は再開

供給されてい

愛知県産業労

センターとウ

みで比較した

用料と比較し

左下写真が応

開発によりビ

いることも一

労働センター

ウインクあい

た場合ではあ

しても、ウイ

応接室で

ビルの建

一因であ

ー)が JR

いちの利

あるが、

インク愛

100

【図表文-キ-6】利用料金比較

(注)ウインク愛知利用料については国際センター各室と同等の席数の会議室のものを抜粋して

いる。

<貸施設に係る収支>

国際センターは利用料金制を採用している。貸施設に係る収支について、指定管

理者の決算資料をもとに試算を行った結果は以下のとおりである。

【図表文-キ-7】国際センターの施設管理運営事業に係る収入とコスト (単位:千円)

平成 23 年度 平成 24 年度 平成 25 年度 備考

利用料金収入(A) 83,311 86,827 94,993 指定管理者提出資料より

施設管理費

(共益費以外)(B) 32,046 31,914 38,832 指定管理者提出資料より

施設管理費

共益費(注)(B)’ 50,257 50,257 50,257 指定管理者提出資料より

職員給与(施設管理運営

事業対応分)(C) 28,656 26,838 16,971

指定管理者決算資料(施設管理事業)

の職員人件費分。

管理運営費 (D)=(B)

+(B)’+(C) 110,959 109,009 106,061

施設にかかる収支(E)=

(A)-(D) -27,648 -22,182 -11,068

(注)施設管理費のうちビルの共益費(貸施設部分の負担分)は固定的に発生する経費である。

利用料金収入は利用料金の改定の影響もあり増加している。また、利用料金収

入(A)は施設管理費の合計を上回っており、貸施設の収支については黒字となっ

国際センター利用料 (単位:円) ウインク愛知利用料(抜粋) (単位:円)

午前 午後 夜間 午前 午後 夜間

(9~12) (13~17) (18~21) (9~12) (13~17) (18~21)

教室形式180席

シアター形式250席

第2会議室

第6会議室

第3会議室

第5会議室

4,400

12席(12.5畳) 7,100 9,500 7,100

5,000

4,3005,6004,30016席

第4会議室

和室

84席

53,200 70,700

30,300 40,400

5,00020席 6,700

16席 4,400 5,800

第1研修室

第2研修室

ホール別棟 大会議室 (171名/4室)

8,100 10,800 8,100 小会議室A (54名/8室)

8,100 10,800 8,100

54席

63席

8,600 11,500 8,600

区 分

44,100 58,800 44,100

中会議室B (108名/6室) 22,800 30,400 22,800第1会議室

53,200

30,300

区 分

101

ているように見える。ただし、(B)には人件費のうち、貸施設専属の嘱託職員及

び臨時職員の人件費が含まれているが、この他にも施設管理の運営には、従事割

合により正規職員2名分が携わっており、該当する職員の人件費分を考慮すると

収支はマイナスとなると考えられる。

(B)国際化推進事業と貸施設事業の関係

国際センターは、名古屋地域における国際交流の総合拠点施設と意義付けられて

おり、現在、国際化推進事業と貸施設事業を一体として運営している。国際化推進

のための事業や研修は主に国際センターの会議室や研修室を利用して実施されて

いる。また、国際交流団体が行う非営利の国際交流活動等の場合、貸施設は利用料

金が低廉となり、国際化推進の目的にも利用されている。

なお、平成 25 年度の国際化推進の目的の利用は 23%となっている。

(b) 発見事項(貸施設事業のあり方について)【意見】

地域の国際化推進事業は、公の施設の必要性にかかわらず継続すべき事業と

考えられる。ただし、貸施設事業については、環境の変化の影響を受けており、

その事業規模を再考する時期が到来している。

<改善提案>

国際センターは現在築 31 年を迎えており、今後貸施設事業のあり方につい

て検討することが望まれる。

「アセットマネジメント推進プラン」においては、建築後 40 年をリニュー

アル目的の修繕の目安とするとともに、「集会室、和室、会議室など類似・重

複した機能を有する施設を総合的にとらえ、改築に際しては、施設の集約化に

よる機能統合を検討する必要がある。」としている。貸施設事業の今後の方針

については、集約化も視野に入れて検討することとなっている。

市長室は、貸施設事業の運営に係る年々のコスト負担を考慮し、名古屋市の

貸施設に関する全庁的な観点から、名古屋市において①他施設と機能統合する、

②他の用途に変更する、③より機能的な構造の会議室とする等、貸施設事業の

今後の方針について検討することが望まれる。

b 管理運営方法

(a) 概況

名古屋市は、平成 18 年度より指定管理者制度の導入に伴い、平成 17 年度、

平成 21 年度において指定管理者の公募・選定が行われているが、いずれも財

団法人名古屋国際センターのみの応募・選定となっている。平成 25 年度にお

いても、平成 26 年度より4年間の指定管理者の選定を実施し、応募者が同財

団(平成 23 年度より公益財団法人名古屋国際センター)の1者であったこと

102

から、適正性の審査を実施したうえで財団が指定管理者となっている。

(b) 発見事項(管理運営方法について)【意見】

過去より1者のみの応募となっている理由としては、貸施設事業については

民間にノウハウがあるものの、多文化共生などもともと公益性・公共性の高い

国際化推進事業についてのノウハウを持ち合わせた団体が民間には少ないこ

とが理由と考えられる。

<改善提案>

「a継続の必要性」にて記載したとおり、市長室は、貸施設部分のあり方に

ついて全庁的な観点から検討する必要があり、貸施設部分のあり方を整理した

うえで再度管理運営方法や仕様書を見直すことが望まれる。

c 指定管理者の選定手続

(a) 概況

平成 25 年度に行われた、平成 26 年度~平成 29 年度の指定管理者選定手続

きのスケジュールは【図表文-キ-7】のとおりであった。前記のとおり、兼ね

てより現在の公益財団法人名古屋国際センター1者の応募ではあるが、説明会

には民間業者を含め複数が参加しており、公募期間も2ヶ月近く確保されてい

る。

【図表文-キ-8】指定管理者選定スケジュール

(b) 発見事項

指定管理者の選定手続について、指摘・意見とすべき事項は発見していない。

d 規模・施設数

(a) 概況

貸施設部分のあり方については「a継続の必要性」に記載している。この他、

国際化推進事業を実施するスペースとして2階および3階部分が利用されて

いる。

(1) 募集要項等の配布 平成 25 年 7 月 12 日(金)~ 8 月 26 日(月)

(2) 応募者現地説明会申込期限 平成 25 年 7 月 30 日(火)

(3) 応募者現地説明会 平成 25 年 7 月 31 日(水)

(4) 募集に関する質問受付 平成25年 7月31日(水)~ 8月12日(月)

(5) 募集に関する質問回答 平成 25 年 8 月 19 日(月)までに回答

(6) 申請書類の提出 平成 25 年 9 月 2 日(月)

(7) 審査 平成 25 年 9 月 20 日(金)

103

情報サービスコーナーはインターネットコーナー等を併設し、3階部分に

226 平方メートルのスペースを確保している。

(b) 発見事項(国際化推進事業の実施スペースについて)【意見】

【図表文-キ-3】に記載のとおり、情報サービスコーナー入室者数が減少傾

向にある。現在はインターネットの普及により情報サービスセンターに足を運

ぶことなく必要な情報を入手することが容易となったことから、情報サービス

コーナーの入室者数や問い合わせ件数が減少しているものと考えられる。

<改善提案>

インターネットの普及により、今後も減少傾向が続くことが懸念される。

まずは、情報サービスコーナーの利用を高めるための告知をする等の対策が

望まれる。また、長期的に減少傾向が続くのであれば、情報サービスコーナー

を他の目的にも利用できるように配置換えをする等、スペースの活用方法を検

討することが望まれる。

e 受益者負担

(a) 概況

「a 継続の必要性」<貸施設に係る収支>(P100)に記載のとおり利用料金制

を採用しており、弾力的な利用料金の改定を行っている。

(b) 発見事項

受益者負担について、指摘・意見とすべき事項は発見していない。

f 老朽化対策

ビル全体の長期的な修繕計画に係る事項

(a) 概況

国際センターの長期的な修繕については、管理会社である株式会社第一ビル

ディングにより計画されている。ビル全体に係る修繕は基金を積み立てており、

その中から支出される。管理会社は現在、大規模なものでは空調(平成 27~

37 年度)や、外壁塗装(平成 35 年度)について修繕を予定している。

(b) 発見事項(区分所有の建物における老朽化対策について)【意見】

名古屋市の「アセットマネジメント推進プラン(以下、「プラン」という。)」

では「概ね築 40 年程度の時期に以後 40 年程度の使用を目標とした改修」を

行うこととされている。管理会社の修繕計画はプランとかい離したものではな

いものの、プランについて、管理会社に特に説明を行っていない状況である。

104

<改善提案>

建物の共用部分や躯体、外観等については共有の財産である。「アセットマ

ネジメント推進プラン」の内容について管理会社に説明し、方向性の確認を行

うことが望まれる。

委託先による設備点検に係る事項

(a) 概況

「名古屋国際センターホール日常点検表」(委託先より日次で提出される報

告資料)を閲覧したところ、空調設備の不具合(異常停止中)が何ヶ月にもわ

たって報告されていた。国際センター側は不具合の内容は承知したうえで、即

時対応するほどの重要性はないものと判断しているとのことであった。

(b) 発見事項(委託先の日常点検の確認について)【指摘】

日常点検表には国際センター側の検印欄が設けられていたが、検印は押印さ

れていなかった。また、その対応についても特段文書化されていなかった。

<改善提案>

指定管理者は、委託先の日常点検の内容を確認しその証跡を残す必要がある。

また、日常点検等で異常が検出された場合は、その具体的内容と対応を協議し、

即時対応が必要でない場合であっても、判断根拠を文書化しておく必要がある。

g その他契約及び管理に関する事項

工事契約に係る事項

(a) 概況

工事契約については、管理会社との規約(名古屋国際センタービル館内細則

第 14 条2項)の中で指定業者を利用するよう依頼されている。そのため、基

本的には工事契約は指定業者との1者特命随意契約を行っている。

(b) 発見事項(工事契約について)【意見】

工事契約は1者特命随意契約となっているため、契約価格には競争原理が働

いておらず、割高となっている可能性がある。

<改善提案>

規約においては指定業者の利用について「指定業者に限ることへの協力を求

める」とされており、事実上、特定の業者との契約が指定されているが、試験

的に相見積もりを入手する等により市場価格とのかい離状況を確認し、市場価

格よりも高額と認められる場合は、指定業者や管理会社と協議していくことが

望まれる。

105

保守委託契約に係る事項

(a) 概況

継続して発生する委託料については、【図表文-キ-9】のとおりである。保

守点検については管理会社からの指定はないが、施設利用者へのトラブル対応

を迅速に行う上でメーカーによる保守が適切という判断から、随意契約を行っ

ている。また、別棟ホールの管理業務については、主な業務である空調管理に

ついて、ホールと本棟を管理している業者(管理会社指定の業者)が集中管理

していることから、空調設備点検とそれに伴う軽微な工事についても同社に委

託することが適当と考え、随意契約としている。

【図表文-キ-9】国際センターの業務に係る委託料 (単位:千円)

内容 委託先 契約金額 契約

方法 21 年度 22 年度 23 年度 24 年度 25 年度

調光設備保守委託料

(前期・後期)

パナソニックESエンジ

ニアリング㈱ 551 551 551 551 551

随意

契約

電話設備保守委託料

(毎月)

柴田電話工業

㈱ 296 296 296 296 296

随意

契約

ホール内イス・机保守点検

委託料(年 1回) 愛知㈱ 173 173 173 173 173

随意

契約

視聴覚機器保守点検

委託料(年 1回) 教育産業㈱ 99 99 99 99 99

随意

契約

映像情報システム保守点

検委託料(前期・後期)

パナソニックシステムネッ

トワークス㈱ 1,239 1,239 1,239 1,239 992

随意

契約

別棟ホール設備管理業務

委託料(毎月) ㈱ケイミックス 1,758 1,758 1,758 1,758 1,758

随意

契約

※平成 25 年度の減少理由:前年まで緊急時の障害対応費が含まれていたが利用実績がなく、

電話やメール対応で支障がないため、障害対応費を削除(200 千円)等。

(b) 発見事項(委託契約について)【意見】

保守契約など継続して発生する委託料については、1者特命随意契約によっ

ており、契約金額が硬直化している。ホール内イス・机保守点検については、

その必要性についても再検討の余地がある。

<改善提案>

映像情報システム保守点検は、業務内容を見直して契約金額を引き下げて

いる。ホール内イス・机保守点検についても業務内容の見直しや保守委託の

必要性の見直しにより更なる委託料の節減の協議を行うことが望ましい。

106

h モニタリング

(a) 概況

(平成 25 年度)を閲覧したところ、「指定管理者制度の運用に関する指針」

別冊「指定管理者制度導入施設における管理運営状況の点検・評価について」

の記載事項に従って記載が行われていることを確かめた。

(b) 発見事項(物品検査結果の所管課への報告の必要性)【意見】

名古屋市の所有する物品の管理方法について質問したところ、物品が破損、変

質その他の理由により使用することができなくなったときにはその都度名古屋市

への報告を行っている。しかし、年1回、物品台帳と現物の照合(以下「検査」

という。)を行っているが、仕様書に名古屋市への検査結果の報告を義務付ける記

述がないことから、名古屋市への報告は行っていない。

<改善提案>

指定管理者への貸出備品についても、指定管理者が実施した検査結果について

所管課へ報告するよう、仕様書にその旨を記載する等により体制を整備すること

が望まれる。

短歌会館

短歌会館は

を受けた施設

管理者制度に

平成 25 年度

(ア) 施設の

項目

所在地

建物概要

建築年

施設概要

設置目的

管理形態

所管課

外観

<指定管理

項目

指定管理者

導入年度

指定期間

選定方法

指定管理料

(イ) 監査の

a 継続の

(a) 概短

地下

は、昭和 39

設であり、集

により運営を

に存続が決

の概要

理者>

者名 ホ

料 16

の結果

の必要性

概況

短歌会館は、

下鉄伏見駅か

年 10 月に

集会室や和室

を行っている

決定した。

名古屋市中区

鉄筋コンクリ

地上3階、地

昭和 39 年

集会室、和室

市民文化の向

指定管理

市民経済局文化

ホーメックス株

平成 18 年度

平成 24 年4月

公募

6,408 千円(

地上 3 階、

から徒歩 5

1

に歌人青木穠

室等施設の貸

る。平成 23年

錦二丁目 13

ート造

下1階

、展示室

上を図るため

化観光部文化

株式会社

月~平成 26 年

(平成 25 年度

地下 1 階、

分という好

107

穠子氏より市

貸出を行っ

年度廃止の予

概要

番 22 号

め。

化振興室文化

(資料

概要

年3月

度決算額)

、計 5 室とい

好立地かつ安

市民文化の向

ている。平成

予定で手続

化施設係

料源泉:名古

いう小規模

安価で利用が

向上を図るた

平成 18 年度よ

続きを進めて

古屋市公共施

模な施設では

ができる施設

ため寄附

より指定

ていたが、

設白書)

はあるが、

設として

108

利用率は集会室を中心に概ね高いものとなっている。

【図表文-ク-1】施設の利用率

利用率(単位:%)

日数ベース 単位数ベース

1階集会室 95.1 83.0

2階集会室 93.7 71.4

3階集会室 96.8 80.0

和室 87.0 63.4

展示室 99.4 87.9

(注 1)単位数とは、1日を3コマ(午前・午後・夜間)と数えて年間トータルのコマ数で

換算した数である。

(注 2)利用率の計算式は以下のとおりである。

日数ベースの利用率=利用日数÷利用可能日数

単位数ベースの利用率=利用単位数÷利用可能単位数

【図表文-ク-2】施設の収支 (単位:千円)

項目 平成 25 年度 備考

使用料収入 5,879

その他収入 -

収入合計 5,879

指定管理料 16,408

施設運営費 30 所管課の人件費は含んでいない

費用合計 16,438

収支 -10,559

利用者一人当たりコスト

(費用合計÷利用者数) 600.0 円

平成 25 年度利用者数(27,394 人)

にて算出

市民一人当たりコスト 7.2 円平成 26 年4月1日人口

(2,268,217 人)にて算出

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

一方で、短歌会館は存続について、過去に議論があったところであり、その

過程は下記のとおりである。

【図表文-ク-3】短歌会館の存続に関する状況

年度 事象

平成 19 年9月 行政評価(事務事業評価)で総合評価 D

「貸室機能に特化した施設ですが、市域内に代替施設は

109

年度 事象

多数ありますので、施設の老朽化に併せて廃止を検討し

てください」

平成 20 年9月 改革改善の取組みを公表

「廃止を視野に入れ検討を行う」

10 月 利用者説明会を開催

11 月 利用者より「短歌会館の存続を求める請願」提出

平成 21 年 12 月 タウンミーティングにおいて廃止することへの疑問を

呈する市長の発言あり。

平成 23 年3月 利用者より「短歌会館の存続を求める請願」提出

6月 経済水道委員会 (注)で審議。請願の取扱は「採択」。平

成 24 年度からの指定管理期間を2年と設定し、その間

に 終的な判断を行うこととした。

11 月 指定管理者公募(指定管理期間2年)

(注)経済水道委員会は、市民経済局、上下水道局の所管に属する請願などの審査・調査等

が行われる名古屋市の議会における常任委員会のひとつである。

存続決定の 終判断(平成 25 年5月):以下の理由より存続が決定

なお、施設の存続決定を受け市民経済局は、今後は名古屋市の「アセットマ

ネジメント推進方針」に則り、必要な長寿命化を実施して施設を維持していく

方針である。

現段階で 低限必要と考えられている工事の見積額は以下のとおり(見積額

の詳細は【図表文-ク-4】主な要修繕箇所と状況を参照)であり、市民一人あ

たり、利用者一人あたりのコストは以下のように算定される。

【図表文-ク-4】要修繕箇所に対する市民・利用者の負担額

必要な工事の見積額 36,199 千円

市民一人あたりコスト 15.9 円

利用者一人あたりコスト 1,321.4 円

(注)市民一人あたりコスト算定に使用した人口は、平成 26 年 10 月 1 日時点のもの、利用

者一人あたりコスト算定に使用した利用者数は名古屋市公共施設白書における 1年間

の延べ利用者数をもとに試算している。

① 平成 23、24 年度と高い利用率を維持しており、市民文化の向上に寄与して

いること。

② 市民からの2度にわたる請願の提出と、その全会一致の採択を踏まえ、地域

の再開発などの特段の事情がない限り、施設を廃止せず、指定管理期間を4

年として存続する。

110

(b) 発見事項

施設の存続決定までの一連の流れにおいて、手続き上のかしは発見されな

かった。ただし、「f老朽化対策」に記載のとおり、存続が決定した後も修繕

に関して速やかな対応が行われていない。

b 管理運営方法

(a) 概況

平成 18 年より指定管理者制度が導入されており、指定管理料は若干減少し

ているもののほぼ横ばいとなっている。

【図表文-ク-5】指定管理料の推移 (単位:千円)

21 年度 22 年度 23 年度 24 年度 25 年度

指定管理料 17,070 16,450 16,676 16,401 16,408

指定管理者

(公財)名古屋市文化振興事業団

(平成 21~23 年度)(平成 21、22 年度は(財)

名古屋市文化振興事業団)

ホーメックス㈱

「短歌会館」という名称であるものの、設置目的は「市民文化の向上を図る

ため」(名古屋市短歌会館条例 第1条)とされている。利用実態としても、

文芸、音楽、舞踊、美術、演劇、その他文化的行事に広く利用されている。監

査人往査時も、会議、フラダンス、合唱等、多岐にわたり利用されていた。従っ

て、通常の貸施設と同様の施設と分類される。伏見駅近辺には民間の貸会議室

の供給は多く、市で運営することの必要性は低いと考えられるが、施設の老朽

化問題もあり、現時点からの民営化は困難と考えられる。

(b) 発見事項

管理運営方法について、「a 継続の必要性」に記載したもののほか指摘・意

見とすべき事項は発見していない。

c 指定管理者の選定手続

現在の指定管理者はホーメックス株式会社である。指定管理者の指定申請は1者

のみの申請であり、その適切性が審査されている。

仕様書および審査書類を閲覧した結果、指定管理者の選定手続に問題は発見され

なかった。

d 規模・施設数

(a) 概況

「b管理運営方法 概況」に記載のとおり、通常の貸施設と同様の施設と分

類される。短歌会館は貸室5室、延べ床面積 617.71 ㎡の小規模な施設である。

現在の指定管理者は施設と支店が至近距離にあり比較的効率的な管理が可能

111

である。また、指定管理者のコスト削減努力もあり指定管理料は減少傾向にあ

る。

(b) 発見事項

規模および施設数について、指摘・意見とすべき事項は発見していない。

e 受益者負担

(a) 概況

平成 25 年度の短歌会館における収支をもとに受益者負担割合を試算した結

果は以下のとおりである。

【図表文-ク-6】短歌会館の私費負担割合 (単位:千円)

私費負担 施設運営コスト 私費負担

割合 市の

収入

利用

料金

私費

負担計

指定

管理料

管理

運営費

運営

コスト計

短歌会館 5,879 0 5,879 16,408 30 16,438 35.8%

(注)管理運営費は、所管部局職員の人件費相当分を含めて計上している。

日数ベースで 90%程度の高い利用率であるにも関わらず、私費負担割合は

30%程度に留まっている。

名古屋市では、会議室については、施設の設置目的と異なる単なる貸室とし

て利用する場合は1㎡当たり1時間 10 円という基準を参考に使用料が決定さ

れている。これは生涯学習センターにおける収支の均衡ができる水準として、

会議室全体の目安とされたものである。

(b) 発見事項(短歌会館における収支について)【意見】

会議室の料金設定は、標準的な施設の収支均衡を基準として定められている

が、各施設はその構造や規模等により平米あたりの管理費は大きく異なるもの

と考えられる。この点、短歌会館は貸室が計5室という小規模な施設であり人

件費負担等が相対的に大きくなると予想される。加えて、短歌会館の立地条件

から、近隣の民間貸会議室との料金格差は他施設よりも大きいと考えられる。

<改善提案>

収支の改善という観点からは、更なる利用の増加と費用の節減に努めること

が望まれる。また、短歌会館の立地条件や収支構造を加味した料金設定のあり

方についても検討していくことが望まれる。

112

f 老朽化対策

(a) 概況

短歌会館は昭和39年に開館し、築50年が経過しようとしている施設である。

平成 16 年7月に行われた耐震診断によると、建物1階部分が耐震判定指標を

満たしていないほか、外壁や空調設備などの設備にも修繕を要すると思われる

箇所が複数ある。平成 26 年8月下旬には、数日間冷房の故障により送風のみ

となるなど、利用に支障を来たす故障も生じている。

【図表文-ク-7】主な要修繕箇所と状況 (単位:千円)

要対応箇所 状況 建築または

終更新年度

見積金額

建物躯体 建物 1 階部分が耐震判定指標を満たし

ていない。

昭和 39 年 14,893

空調設備 冷房運転時にエラーが週 2 回ほど生じ

ている。

平成 5年 10,048

外壁 タイル全面に浮きがある。外壁パネル

の一部が腐食して穴が開き、錆汁が垂

れてきている。

平成 9年 11,258

金額計 36,199

(b) 発見事項(修繕の実施について)【指摘】

施設の存続が決定された後も、現在まで、施設を安全・円滑に運営するため

に必要な耐震化や修繕が行われていない。

<改善提案>

施設の存続が決定された以上は、安全に運営するために必要な修繕は速やか

に実施するべきである。

g その他契約及び管理に関する事項

(a) 概況及び発見事項

施設利用料の収受方法、現金の管理方法について質問し、関連資料を閲覧し

た結果、指摘・意見とすべき事項は発見していない。

h モニタリング

(a) 概況

モニタリングチェックシート(平成 25 年度)を閲覧したところ、「指定管理

者制度の運用に関する指針」別冊「指定管理者制度導入施設における管理運営

状況の点検・評価について」の記載事項に従って記載が行われていることを確

かめた。平成 25 年度においては日中1名で事務作業を行う時間帯があったと

113

の指摘があったが、既に改善されている。

(b) 発見事項

モニタリングについて、指摘・意見とすべき事項は発見していない。

114

(2) スポーツ・娯楽施設

ア スポーツ・娯楽施設全体の分析

(ア) 管理形態について

スポーツ・娯楽施設の平成 26 年度以降の管理形態は、下記【図表ス-ア-1】の

とおりである。

スポーツ施設は全て指定管理者制度を導入しており、レクリレーション・観光施

設についても概ね指定管理者制度を導入している。レクリエーション・観光施設に

ついて直営となっているものは東山動植物園や名古屋城であり、文化的な性格の強

い施設については直営にて管理されている傾向にある。

【図表ス-ア-1】スポーツ・娯楽施設の管理形態

中分類 小分類 施設数 管理形態

スポーツ施設 スポーツ施設 35 施設 指定管理

レクリエーション・

観光施設

レクリエーション

施設 9施設 直営1、指定管理8

観光施設 8施設 直営1、指定管理7

(資料源泉:アンケート結果を基に監査人集計)

(イ) 平成 25 年度の収支

平成 25 年度のスポーツ・娯楽施設の小分類別の収支合計は、【図表ス-ア-2】平

成 25 年度スポーツ・娯楽施設(直営)小分類別収支合計及び【図表ス-ア-3】平

成 25 年度スポーツ・娯楽施設(指定管理)小分類別収支合計のとおりである。

平成 25 年度のスポーツ・娯楽施設の収支は、全体的に赤字であり、個別施設に

ついても全て赤字となっている。

直営施設のレクリエーション施設の収支-1,382,147 千円は、全て東山動植物園

1施設のものである。東山動植物園については、平成 22 年度に策定した「東山動

植物園再生プラン新基本計画」に基づく園内設備の改築や広報の充実に伴う来場者

の増加や経営の効率化に伴い収支は改善傾向にある。

次に、直営施設の観光施設の収支-196,731 千円は、名古屋城1施設のものであ

り、名古屋城については往査対象施設としている。

指定管理施設のスポーツ施設の収支-2,129,528 千円は、主にスポーツセンター

13 施設の収支-1,249,434 千円によるものであり、スポーツセンターについて往査

対象施設としている。

また、指定管理施設のレクリエーション施設の収支 988,189 千円のうち、名古屋

市御岳休暇村の収支-276,219 千円が も赤字が大きいため、名古屋市御岳休暇村

について往査対象施設としたが、平成 26 年9月 27 日の御岳山噴火の影響により、

施設の外部監査対応が困難となったことから、往査対象より除外した。

115

【図表ス-ア-2】平成 25 年度スポーツ・娯楽施設(直営)小分類別収支合計(単位:千円)

中分類 収入 支出 収支

小分類

レクリエーション・観光施設

レクリエーション施設

(東山動植物園のみ) 650,613 2,032,760 -1,382,147

観光施設

(名古屋城のみ) 1,419,874 1,616,605 -196,731

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

【図表ス-ア-3】平成 25 年度スポーツ・娯楽施設(指定管理)小分類別収支合計 (単位:千円)

中分類 収入 支出

指定

管理料 収支

小分類

スポーツ施設 839,576 209,760 2,759,344 -2,129,528

レクリエーション・観光施設

レクリエーション施設 296,206 29,762 1,124,811 -858,367

観光施設 95,386 121 395,679 -300,414

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

116

【図表ス-ア-4】平成 25 年度スポーツ施設(指定管理者)細分類別収支合計(単位:千円)

中分類

収入 支出 指定

管理料 収支 小分類

名称

スポーツ施設

スポーツセンター 455,071 139,154 1,565,351 -1,249,434

プール 85,687 21,209 469,909 -405,431

瑞穂公園 220,338 22,533 466,006 -268,201

日本ガイシスポーツ

プラザ 19,133 7,109 - 12,024

その他 59,347 19,755 258,078 -218,486

合計 839,576 209,760 2,759,344 -2,129,528

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

【図表ス-ア-5】平成 25 年度レクリエーション施設(指定管理者)施設別収支

(単位:千円)

小分類 収入 支出

指定

管理料 収支

名称

レクリエーション施設

東山公園展望塔

(東山スカイタワー) 40,488 20,519 86,835 -66,866

緑化センター 100,311 - 230,133 -129,822

名城公園フラワープラザ 1,171 - 56,880 -55,709

庄内緑地グリーンプラザ 14,930 - 146,450 -131,520

荒子川公園ガーデンプラ

482 - 116,289 -115,807

日光川公園(サンビーチ日

光川)

134,684 - 217,108 -82,424

名古屋市民御岳休暇村 4,140 9,243 271,116 -276,219

合計 296,206 29,762 1,124,811 -858,367

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

117

(ウ) 利用者数の推移

過去5年間(平成 21 年度~平成 25 年度)のスポーツ・娯楽施設の小分類別の1

施設あたり平均利用者数の推移は、下記【図表ス-ア-6】のとおりである。

【図表ス-ア-6】スポーツ・娯楽施設の小分類別の1施設あたり平均利用者数

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

スポーツ施設や観光施設の来場者数は概ね順調に増加している傾向にある。

一方、レクリエーション施設は平成 23 年度にかけて減少傾向にあるものの、平

成 25 年にかけて持ち直している。これは、東山動植物園の園内設備の改築や広報

の充実に伴い来場者が増加したためである。

イ スポーツセンター全体の状況

(ア) スポーツセンター全体の分析

a 管理形態について

スポーツセンター13 施設は、公募による指定管理者制度を採用しており、うち

守山スポーツセンターを除く 12 施設につき、利用料金制を採用している(うち6

施設は平成 26 年度に移行)。

また、平成 22 年に開館した、守山スポーツセンターについては、PFI を用いた

整備・運営が行われており、当施設につき、施設往査を実施した。

50,000100,000150,000200,000250,000300,000350,000400,000450,000

スポーツ施設

レクリエーション施設

観光施設

118

(イ) 平成 25 年度の収支

平成 25 年度のスポーツセンターの施設別収支は、下記【図表ス-イ-1】のとお

りであり、平均して 96,110 千円の赤字となっている。

【図表ス-イ-1】平成 25 年度スポーツセンター施設別収支 (単位:千円)

小分類 収入 支出

指定

管理料 収支

名称

スポーツセンター

千種スポーツセンター 1,551 4,245 70,085 -72,779

東スポーツセンター 2,765 3,046 104,815 -105,096

北スポーツセンター 12,307 50,586 87,164 -125,443

枇杷島スポーツセンター 50,851 22,050 160,679 -131,878

中村スポーツセンター 57,484 3,419 145,298 -91,233

中スポーツセンター 56,246 1,850 145,089 -90,693

昭和スポーツセンター 66,366 12,976 121,308 -67,918

露橋スポーツセンター 2,112 2,727 93,293 -93,908

稲永スポーツセンター 3,578 3,191 74,185 -73,798

守山スポーツセンター 53,750 460 184,928 -131,638

緑スポーツセンター 67,729 14,543 150,225 -97,039

名東スポーツセンター 62,539 1,910 155,146 -94,517

天白スポーツセンター 17,793 18,151 73,136 -73,494

平均 35,005 10,704 120,412 -96,110

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

(ウ) 利用者数の推移

過去5年間(平成 21 年度~平成 25 年度)のスポーツセンター13 施設の利用者

数の推移は、【図表ス-イ-2】のとおりである。平成 22 年度に開館した守山スポー

ツセンター以外は、概ね安定して推移している。

119

【図表ス-イ-2】スポーツセンター13施設の利用者数の推移 (単位:人)

施設名 平成 21

年度

平成 22

年度

平成 23

年度

平成 24

年度

平成 25

年度

千種スポーツセンター 332,504 339,061 340,585 342,696 365,460

東スポーツセンター 349,799 344,293 353,407 350,327 370,449

北スポーツセンター 248,301 237,057 235,323 234,889 237,241

枇杷島スポーツセンター 277,309 258,142 268,811 274,913 278,846

中村スポーツセンター 340,414 324,961 307,193 332,577 339,472

中スポーツセンター 250,935 252,093 247,339 249,447 255,590

昭和スポーツセンター 262,774 265,697 275,908 276,948 278,445

露橋スポーツセンター 207,715 216,188 223,510 235,918 246,176

稲永スポーツセンター 208,157 212,881 208,484 211,189 223,834

守山スポーツセンター 63,863 235,374 249,361 255,752

緑スポーツセンター 301,073 283,722 275,798 276,856 283,240

名東スポーツセンター 275,015 285,656 284,078 285,673 288,557

天白スポーツセンター 317,733 318,771 319,665 317,201 330,401

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

ウ 守山スポーツセンター

市民のスポーツ及びレクリエーションの振興を図るために平成 22年に建設された施

設であり、会議室、体育館、軽運動場及びプール等が利用できるスポーツ総合施設で

ある。PFI(BTO 方式)により整備、運営されている。

PFI(Private Finance Initiative)とは、公共事業を実施するための手法の一つで

あり、民間の資金と経営能力・技術力(ノウハウ)を活用し、公共施設等の設計・建

設・改修・更新や維持管理・運営を行う公共事業の手法を指す。

また、BTO(Build Transfer Operate)方式とは PFI の事業方式の一種であり、民間

事業者が施設等を建設し、施設完成直後に公共施設等の管理者等に所有権を移転し、

民間事業者が維持・管理及び運営を行う事業方式を指す。(内閣府民間資金等活用事業

推進室(PFI 推進室)PFI 事業導入の手引きより)

(ア)

<指

(イ)

a

施設の概要

所在地

建物概要

建築年

施設概要

設置目的

管理形態

所管課

外観

指定管理者

項目

指定管理者

導入年度

指定期間

選定方法

指定管理料

監査の結果

a 継続の必要

(a) 概況

利用者

項目

名 守

料 1

要性

者数の推移を

名古屋

鉄骨鉄

地上

平成

会議室

市民の

ため

指定管

教育委

守山エス・ア

平成 22 年度

平成 22 年4

公募

184,928 千円

を見ると、徐

120

屋市守山区竜

鉄筋コンクリ

3階、地下1

22 年

室、体育館、

のスポーツ及

管理

委員会事務局

(資

アンド・エス

月~平成 43

円(平成 25 年度

徐々に増加し

概要

竜泉寺2丁目

リート造

1階

軽運動場、

及びレクリエ

局生涯学習部

資料源泉:名

概要

株式会社

年3月

度決算額)

してきている

112 番地

プール・トレ

ーションの振

部スポーツ振興

名古屋市公共

レーニング

振興を図る

興課

共施設白書)

121

【図表ス-ウ-1】守山スポーツセンターの利用者数推移 (単位:人)

平成 22 年度 平成 23 年度 平成 24 年度 平成 25 年度

63,863 人 235,374 249,361 255,810

(資料源泉:「名古屋市守山スポーツセンター事業報告書」)

また、PFI により整備された施設であるため、契約期間中(平成 43 年3月まで)

は、毎年度一定の負担が生じるものの、他の市内スポーツセンターに比べると、

建設費の総額、延床面積あたり建設費のいずれにおいても も低くなっており、

建設費負担の観点からは問題ないと考えられる。

【図表ス-ウ-2】市内スポーツセンターの建設費の状況

建設費 延床面積 延床面積あたり建設費

千種 3,959,874 千円 9,799.13 ㎡ 404 千円/㎡

東 4,158,008 千円 10,196.70 ㎡ 408 千円/㎡

北 3,221,754 千円 9,714.79 ㎡ 332 千円/㎡

枇杷島 2,715,711 千円 9,783.13 ㎡ 278 千円/㎡

中村 4,045,948 千円 10,691.09 ㎡ 378 千円/㎡

中 3,483,336 千円 9,919.13 ㎡ 351 千円/㎡

昭和 2,996,554 千円 8,733.44 ㎡ 343 千円/㎡

露橋 3,162,781 千円 9,672.30 ㎡ 327 千円/㎡

稲永 2,819,180 千円 9,792.91 ㎡ 288 千円/㎡

守山 2,514,560 千円 10,386.13 ㎡ 242 千円/㎡

緑 4,292,160 千円 10,832.99 ㎡ 396 千円/㎡

名東 4,825,953 千円 14,312.88 ㎡ 337 千円/㎡

天白 2,808,704 千円 9,861.76 ㎡ 285 千円/㎡

平均 3,461,886 千円 10,284.34 ㎡ 336 千円/㎡

(資料源泉:「名古屋市公共施設白書」)

(b) 発見事項

継続の必要性について、指摘・意見とすべき事項は発見してない。

b 管理運営方法

(a) 概況

指定管理者制度を導入しているが、スポーツ施設について指定管理は一般的

な運営形態である。また、PFI 事業者の選定委員会資料によれば、PFI 導入に

よりプラスの VFM(注)も見込まれているところであり、現状の運営形態に問題

はないと考えられる。

(注)VFM とは、PFI 事業における も重要な概念の一つで、支払い(Money)に対して

122

も価値の高いサービス(Value)を供給するという考え方のこと。従来の方式と

比べて PFI の方が総事業費をどれだけ削減できるかを示す割合。(内閣府民間資金

等活用事業推進室(PFI 推進室)PFI 事業導入の手引きより)

一方、利用料金制の導入に関して、平成 26 年度時点では、守山スポーツセ

ンター以外の市内スポーツセンターは全て利用料金制となっている。守山ス

ポーツセンターは PFI が導入されていることから、当初の契約の縛りはあるも

のの、協議次第での利用料金制への移行の余地はあるものと考えられる。

(b) 発見事項(利用料金制の導入について)【意見】

平成 26 年度時点で、守山スポーツセンター以外の名古屋市のスポーツセン

ターは全て、利用料金制に移行している。

守山スポーツセンターについては、平成 24 年度に利用料金制の導入につい

て協議されたことがあったものの、その際は利用料金制の導入は見送られてい

る。

見送られた要因の1つとして、守山スポーツセンターは平成 22 年度に運営

開始した施設であり、関係者の同意を得るための実績の積み重ねが不足してい

るということがあり、平成 28 年度に改めて検討されるとのことであった。

この点について、現時点の市の方針についてヒアリングにより確認したとこ

ろ、予定は変わっておらず、平成 28 年度に改めて検討するとのことであった。

平成 28 年度というタイミングなのは、平成 24 年度より利用料金制を導入した

スポーツセンターが多く、平成 27 年度までで指定管理の期間が一区切りとな

るため、利用料金制導入の効果について検討するには平成 28 年度が適切であ

るとの判断であった。

なお、平成 24 年度に利用料金制を導入したスポーツセンターの状況を見る

と、利用者数は増加傾向にあるので、利用料金制を導入しても利用状況につい

てマイナスの影響が出るという懸念は払拭できるのではとのことであった。

【図表ス-ウ-3】平成 24 年度利用料金制導入施設の利用者数推移

センター名 平成 23 年度 平成 24 年度 平成 25 年度

千種 340,585 人 342,696 人 365,460 人

東 353,407 人 350,327 人 370,449 人

北 235,323 人 234,889 人 237,241 人

露橋 223,510 人 235,918 人 246,176 人

稲永 208,484 人 211,189 人 223,834 人

天白 319,665 人 317,201 人 330,401 人

(所管局へのアンケート結果より監査人集計)

123

<改善提案>

利用料金制の導入について、引き続き前向きに検討することが望まれる。

利用料金制は、その導入により、全ての利用料金が指定管理者の収入となる

ため、指定管理者の利用者増加へのインセンティブをより高める効果が期待さ

れ、結果として公共サービス水準を高めることが期待される。これは、民間事

業者の創意工夫によりVFMを創出するというPFIの理念にもかなうものといえ

る。

c 指定管理者の選定手続

(a) 概況

事業者の選定は公募により行われたが、2者(グループ)応募の後、1者(グ

ループ)が辞退し、 終的な応募事業者は1者(グループ)のみとなってしまっ

た。1者(グループ)といえど外部有識者も交えて評価は実施したうえで選定

がなされた。

(b) 発見事項(事業者選定における競争性の確保について)【意見】

守山スポーツセンターは PFI(BTO 方式)により整備・運営されてきている

施設であり、それを担う民間事業者の選定について、平成 18 年から平成 19 年

にかけて選定委員会を開催し、審議・審査が行われてきた。

当初、本案件に応募された民間事業者は2者(グループ)あった。しかし、

入札書・事業提案書の提出の段階でうち1グループが辞退し、 終的に候補と

なる民間事業者は1者(グループ)のみとなり、この者(グループ)が落札者

となった。1者(グループ)のみとなったものの、その提案内容は審査され、

市の要求水準を満たすものであることが確かめられた上で選定されている。

候補者が1者(グループ)のみとなっても提案内容の審査をしており、本案

件の選定プロセスに問題は見受けられない。しかし、今後の名古屋市の PFI の

推進を見据えたとき、競争性の確保によるよりよい提案の創出を目指していく

ことを考えると、1者(グループ)のみの応募となってしまったことは1つの

課題である。大規模かつ長期的な事業となるため、あまり多数の応募が見込め

る事業ではないとは考えられるが、複数の応募が得られるようにしていくこと

が望ましい。

<改善提案>

本案件について複数の参加が得られなかった原因について検討し、今後の

PFI 事業の更なる改善を図ることが望まれる。

なお、内閣府の民間資金等活用事業推進室(PFI 推進室)発出の「PFI事

業実施プロセスに関するガイドライン」では、「2-3実施方針策定に当たっ

ての留意事項」として下記の記載があり、民間事業者の参入を促す上での参考

124

にされたい。

(1) 実施方針の策定に当たっては、選定事業における管理者等の関与、リスク及びその分担

等についての考え方をできる限り具体的に明らかにするとともに、民間事業者にとって特

定事業への参入のための検討が容易になるよう、次の事項等について、なるべく具体的に

記載する。

ア 特定事業の事業内容

イ 民間事業者の選定方法

ウ 事業スキームを民間事業者の提案に委ねる場合にはその旨

エ 株式譲渡に関する方針がすでに定まっている場合は、当該方針

オ 選定事業の実施に当たって必要な許認可等

カ 選定事業者が行い得る公共施設等の維持管理又は運営の範囲

キ 適用可能な選定事業者への補助金、融資等

なお、この際、実施方針は、公表当初において相当程度の具体的内容を備えた上で、当

該特定事業の事業内容の検討の進行に従い順次詳細化して補完してもよい。

d 規模・施設数

(a) 概況

利用者数は徐々に増加で推移しており、また市内同種施設の利用状況に照ら

しても利用率に著しい差はなく、概ね適切と考えられる。

【図表ス-ウ-4】市内スポーツセンターの利用状況

センター名 利用者数 利用率

千種 342,696 人 96.0 %

東 350,327 人 94.0 %

北 234,889 人 94.0 %

枇杷島 274,913 人 95.0 %

中村 332,577 人 93.0 %

中 249,447 人 90.0 %

昭和 276,948 人 95.0 %

露橋 235,918 人 85.0 %

稲永 211,189 人 91.0 %

守山 249,361 人 95.0 %

緑 276,856 人 97.0 %

名東 285,673 人 95.0 %

天白 317,201 人 98.0 %

平均 279,846 人 93.7 %

(資料源泉:「名古屋市公共施設白書」)

125

(注)利用率は、体育館、武道室、軽運動室のコマ数で算出

往査時にも、遊休状態のスペースや設備は見受けられなかった。

また、競技場やトレーニング室の稼動は非常に高く(特に午前中)、抽選に

なることもあるとのことである。

リラクゼーションルーム(付加施設)も概ね良好な利用度を維持している。

一方で、付帯事業であるフットサル場が稼働率 25%程しかなく、低稼働で

ある。コートのサイズは、25m×15mと、一般的なフットサル場の大きさ(公式

ルールでは 40m×20 メートル)より小さいため、利用者にとって物足りないこと

も一因と想定されている。また、会議室についても、条例にてスポーツ・レク

リエーションの目的に適う利用目的の場合に貸し出すこととされていたとこ

ろ、活発な身体的活動を伴わない活動(絵画・コーラス等)での使用も認めら

れる旨通知にて明示されるなど、利用対象範囲を広げてきてはいるが、まだ

20%程度と低稼働の状態である。

プールの状況について

(温水)プールについては、視察を行った9月の午前中にはある程度の利用

者がいたが、季節としては夏が、時間帯では午前中が一番利用状況の良好な時

期・時間帯であり、視察はちょうどそのタイミングであった。なお、入場制限

が必要となると感じられるほどになることはないとのことであった。一方で、

冬の夜間などは少数の常連の利用者による利用にとどまるなど、あまり利用状

況は芳しくないとのことであった。以上より、もう少し利用者を増やす余地が

あることも考えられる。

プールについては同じ守山区内で、守山スポーツセンターから2キロほどの

ところに守山プールがあり、同一地域内で同機能の施設が重複している状況に

あるともいえる。このような施設の重複は、利用者の分散により、双方の施設

の稼働状況の低下につながっていることも推察される。また、普遍的に施設に

よる公共サービス提供の費用対効果の観点からも検討すべき課題である。

守山プールについては、守山スポーツセンター内のプールと機能の重複があ

ること、建物が 40 年以上経過と老朽化していることから、廃止することも考

えられるようにも思われる。

実際、市においても冷水プールについては廃止について検討対象としたこと

があったとのことである。市の現在の方針としては、代替施設の有無、利用状

況、老朽度などを総合的に検討して判断していくとのことであった。

ここで、守山プール自体について見てみると、運営については、夏期(7月

20 日~8月 31 日)のみ営業の冷水プールである。また、建築年度が昭和 44

年であり、既に 45 年が経過していることから、老朽化が進んでいる。老朽化

が進んでいることは1つの問題ではあるが、存廃の検討など、施設のあり方に

126

ついて検討するよい機会でもある。なお、他のプールについても老朽化が進ん

でいるものが多く、同様の問題があるものが多いと考えられる。

また、コスト負担の面について見てみると、守山プールの指定管理料の平成

24 年度実績額は 11,509 千円(「名古屋市公共施設白書」より)であるなど、

特に冷水プールについては単体・単年度では必ずしも多額のコスト負担となっ

ているわけではないが、複数施設・複数年度の累積額となると、無視できない

金額となる。また、存廃の是非について検討することなく、多額の支出をかけ

て施設のメンテナンスや更新などを行っていくことは避けなければならない。

また、利用状況について見てみると、守山プールの利用者数は夏期のみ(7

月 20 日~8月 31 日)の営業で年間 13,480 人となっている。通年営業の守山

スポーツセンター内プールの年間利用者数が 65,894 人であることに鑑みると、

必ずしも利用度が低いとも言い切れない水準である。

【図表ス-ウ-5】名古屋市のプール施設の概況

区分 施設名称 建築年度 築 40 年

以上 営業期間 年間利用者数

温水

香流橋プール 平成 10 年 通年 100,574 人

山田西プール 昭和 61 年 通年 43,797 人

富田北プール 平成元年 通年 94,252 人

南陽プール 昭和 59 年 通年 87,393 人

鳴海プール 昭和 46 年 ○ 通年 52,250 人

冷水

名城プール 平成 7年 夏期のみ 17,666 人

楠プール 昭和 56 年 夏期のみ 5,292 人

山田プール 昭和 58 年 夏期のみ 10,844 人

熱田プール 昭和 44 年 ○ 夏期のみ 12,849 人

中川プール 昭和 40 年 ○ 夏期のみ 7,019 人

富田プール 昭和 62 年 夏期のみ 7,971 人

港プール 平成元年 夏期のみ 19,315 人

守山プール 昭和 43 年 ○ 夏期のみ 13,480 人

(資料源泉:「名古屋市公共施設白書」掲載データを監査人加工)

仮に守山プールを廃止した場合、守山プールは夏期のみの営業であるため、

その利用者は夏期の守山スポーツセンター内プールを利用することが考えら

れる。しかし守山スポーツセンター内プールについても、現状で利用度が低い

のは夏期以外であり、夏期は比較的利用状況が良好であるため、そこに守山

プールの利用者が加わると、却って施設の供給量が過小になることも懸念され

る。

行政サービス提供の効率化の観点からは、引き続き守山プールを含めた冷水

127

プールの廃止の是非について検討するとともに、量的に適切な水準のサービス

が提供されるよう、学校プールの地域開放などの施策との連携も加味しながら、

検討を続けることが望ましいと考えられる。

128

(b) 発見事項①(屋外フットサル場の利用状況について)【意見】

守山スポーツセンターには、民間提案施設として屋外フットサル場が設置さ

れており、コートの時間貸し、サッカー教室などのスクール、フットサル大会

の開催等のイベントなどを付帯事業として実施されている。

しかし、この屋外フットサル場の稼働率は 25%程と高くない。屋外フット

サル場の利用状況について「付帯事業報告書」にて確認すると、貸しコートの

利用人数は平成 25 年度実績では年間で 1,007 人にとどまった。

また、貸しコートのほか、サッカー教室でも利用されている。サッカー教室

の参加人数(会員数)は月平均で 84 人であり、サッカー教室の開催日程(月

4回)から試算すると、年間で 4,032 人の利用者となり、貸しコートとしての

利用より需要があると見込まれる。しかし、それを踏まえても屋内の軽運動室

や競技場の稼動状況には遠く及ばないのが現状となっている。

<改善提案>

屋外フットサル場について、低稼働状況が続くようであれば、スペースがよ

り有効に活用される方策について検討するのが望ましい。

1つの方向性としては、現状でも貸しコート事業よりは教室事業の方が屋外

運動場の利用者数としては多いので、教室事業の充実を図り、更なる屋外フッ

トサル場の活用をめざすことが考えられる。

(c) 発見事項②(会議室の利用状況について)【意見】

会議室については、名古屋市公共施設白書によると、平成 24 年度の稼働率

は 20%程度とかなり低いものとなっている。(これは他のスポーツセンターに

も共通する傾向であり、競技場や軽運動室はいずれのスポーツセンターも90%

を超えるのに対し、会議室は 15%から 43%程度となっている。)

会議室の貸し出しにあたっては、条例にてスポーツ・レクリエーションの目

的に適う利用目的の場合に貸し出すこととされているところ、低稼働となって

いることを受け、平成 23 年度に各スポーツセンターの指定管理者宛ての通知

(「体育施設におけるスポーツ及びレクリエーション等の利用について(通

知)」)にて、活発な身体的活動を伴わない活動(絵画・コーラス等)での使用

も許可できる旨、例示とともに明示された。しかし、上述の 20%という稼働

率は、当該通知発出後である平成 24 年度の数字であり、依然、低稼働状態が

解消されていないといえる。

<改善提案>

会議室については、さらに用途制限を撤廃し、コミュニティセンター類似の

機能を有する市民の集会施設として位置づけることにより、稼働率の向上を図

ることが望ましい。それにより公共サービスの水準向上、名古屋市及び指定管

129

理者への収入の増加の双方が期待されるものと考えられる。また、「アセット

マネジメント推進プラン」においても、用途転用も含めた既存施設の活用をア

セットマネジメントの取り組みの1つとして掲げており、この方針にも沿うも

のと考えられる。

現状では名古屋市体育館条例により、スポーツセンターはスポーツ・レクリ

エーション目的に限定されてしまっているが、上記の対応の実現にあたり、条

例の改正も視野に、検討されたい。

e 受益者負担

(a) 概況

利用者1人あたりの公費負担について、名古屋市公共施設白書の平成 24 年

度データより算出した。

その結果、守山スポーツセンターは年間 714 円であるのに対して、スポーツ

センターの平均は 588 円であり、やや高くなっている。

【図表ス-ウ-6】利用者1人あたり公費負担の状況

守山スポーツセンター スポーツセンター平均

コスト 229,522 千円 220,047 千円

収入 51,520 千円 55,638 千円

コスト-収入(公費負担額) 178,002 千円 164,410 千円

利用者数 249,361 人 279,846 人

利用者 1人あたり公費負担 714 円 588 円

(「名古屋市公共施設白書」より監査人計算)

(b) 発見事項(公費負担の改善について)【意見】

公費負担の改善を図る上で、使用料については、公正性の観点から市内同種

施設間であまり差を設けるのは望ましくないことから、まずは一層の利用者の

増加を図ることが望まれる。

とはいえ、利用者数については、守山スポーツセンターの競技場や軽運動室

の利用率は決して低くはなく、キャパシティの観点から一定の限界はあるもの

と考えられる。一方で、先述のとおりプールや会議室など、さらなる利用者数

増加の余地があるスペースがあると考えられるため、これらのスペースの利用

度の向上を図ることが考えられる。

なお、支出の主な内容である指定管理料については、PFI 事業契約において

その金額の算出について定められていることから、その内容による拘束があり、

みだりに見直すことは現実的ではないが、適宜、妥当な水準から著しくかい離

していないかを確認することが望まれる。

130

f 老朽化対策

(a) 概況

平成 22 年度完成の施設であり、まだ老朽化は進んでいない。

指定管理者より点検計画や修繕実施報告書も提出されており、またメンテナ

ンスも予防保全を志向して点検等実施されているとのことであった。

年度の事業計画提出の一環として、長期修繕計画も策定されている。なお、

修繕計画の更新については、運営開始から日が浅いこともあってそもそも大き

な修繕等の機会がなく、修繕計画の更新はされていない。今後は点検の結果な

どから必要に応じて長期修繕計画の見直し、更新などもしていく予定とのこと

である。

(b) 発見事項

老朽化対策について、指摘・意見とすべき事項は発見していない。

g その他契約及び管理に関する事項

(a) 概況

保全や清掃の状況について

往査時に確かめられた状況においては、安全、快適な利用が妨げられるよ

うな保全や清掃の状況の問題は見受けられなかった。

減免の申請について

体育館条例施行規則第6条第3項などで、所定の事由に基づき減免を受け

る際には減免申請書を提出することとされており、市主催事業、学校教育活

動、その他教育委員会が認めた特別な事由については、減免申請書提出の上、

減免となる。

申請書で、市記入欄に、減免理由を確認する欄があり、条例で定められた

減免要件に当てはまっているかは確かめられるようになっている。

また、高齢者や身体障害者については減免申請書の提出は求められていな

いが、なにかしら確認できるもの(高齢者であれば敬老パスや免許証など)

の提示を求めているとのことである。

室内プールの専用使用については、全て市の教室事業となっているため、

100%減免の要件に当てはまり、使用料は全額減免となっている。なお、教

室への参加費は指定管理者の収入となっている。個人のプール専用使用は理

論上あり得なくはないが、要件が規定されており、結果として今のところ事

例はないとのことである。

131

備品の管理について

備品(物品関係内訳書の別紙として作成している管理帳簿に記載されている

備品)も建物と同じく市に所有権が帰属する取扱いとなっている。まだ運営開

始時の平成 22 年度に購入した備品しかなく、それから追加購入・買い替えや廃

棄もない。買い替えによる購入があればその備品もまた市のものとなる。 なお、備品とならない筆記具等の消耗品は指定管理者のものとして購入され

る。 備品の現物確認は年度末(3月中)に実施され、市への報告がなされている。

金銭の管理について

金銭は、同じ金庫で保管されており、事業別に袋で分けられている。また、

帳簿記録についても事業別に区分して記録されている。金庫の開錠は、館長

または副館長のみに限られている。現金実査は、日ごとに、その日の終了時

に実施されている。実施単位は、事業単位の有り高が確認できるレベルで実

施されている。

使用料金の市への納付は、翌日に金融機関に振り込まれることになってい

る。

小口現金は月に1回、指定管理者への出資企業である(株)日本水泳振興

会の本社から補充される(9月は 11 日に 82,000 円補充された)。小口現金

から細かい消耗品などを購入している。購入の際には、出金の請求を出して、

館長が承認することになっている。

利用券も、日ごとに出入りを記録し、その日の終了時に有り高を確認され

ている。

駐車場にはゲートを設け、駐車券を発行している。駐車券を施設内の精算

機で精算(1回 300 円)する形で利用料金を徴収している。

光熱水費については、付帯事業等別事業のものはメーターが別になってい

るため、事業別収支の把握上、特段の按分計算は不要になっている。

付加施設収支、付帯事業収支であるリラクゼーションルーム、フットサル

場の収支は指定管理者に帰属する。なお、これらの敷地は市のものであり、

指定管理者は行政財産の使用料を市に支払っている。

満足度調査について

利用者満足度調査は、1年に1回、3月に実施されている。来場者に記述

してもらう形で回答を得ている。

回答では、概ね良好な回答を得られている。

一方、調査項目としては、年齢層や性別といった回答者の属性は把握され

ていなかった。

132

(b) 発見事項①(備品番号による備品の管理について)【指摘】

委託備品の管理に関する事務取扱要項第3にて、市の委託料(サービス購入

料)で購入し、市に所有権が帰属する委託備品について、物品関係内訳書の整

理が必要になっている。また、第4にて、委託備品には備品小票(備品の名称、

管理番号などを記載するシール)を付して管理することとされている。 実際の運用としては、物品関係内訳書の別紙として管理帳簿が作成され(以

下、「管理帳簿」という。)、そちらに備品の出納や現在高について記録されてい

る。 管理帳簿より、以下の備品をサンプリングし、その実存の有無や管理状況を

確認した。

【図表ス-ウ-7】サンプルチェックを実施した備品

品名 規格品質 備品番号 取得価額

金庫 フリーボックス FB-46VR 98002 1,260,000 円

コインロッカー プールロッカー小 NEO-4W ガ

ルバ仕様 98092~98115 151,200 円

コインロッカー プールロッカー大 NEO-3W ガ

ルバ仕様 98116~98123 141,120 円

複写機 iRADVC5035F 98001 1,260,000 円

自動発売機 券売機(高額紙幣対応)

FK-EX-42 98001 1,575,000 円

両替機 両替機 FMMC-03 98001 1,512,000 円

ゴール バスケットゴール 98001~98002 19,499,282 円

運搬車 机収納台車 98053 118,440 円

(「管理帳簿」よりサンプリング)

プールロッカーについて、管理帳簿では【図表ス-ウ-7】の通り、サイズ小のも

のについては備品番号 98092~98115、サイズ大のものについては備品番号 98116

~ 98123 となっているが、現物に付されている備品小票に記載されていた備品番

号は、この通りとなっていなかった。なお、備品番号の対応関係の食い違いがあっ

たのみであり、現物の数自体は管理帳簿との相違はなかった。 原因としては、プールロッカーの規格品質の区別をせずに、備品小票を貼付し

たことが原因と推察される。

<改善提案>

備品について、同種のものでも規格品質の区別があるなら、管理帳簿の記載と

現物に付される備品小票とが適切に対応するように備品小票を貼付して管理する

必要がある。これが対応していないと、廃棄や売却などの何らかの異動の際に混

乱をきたす恐れがある。 今回発見された誤りについては備品小票を貼りなおして修正されるとのことで

133

あったが、今後の新規購入時にも留意されたい。 また、毎年度 3 月に実施されている備品の現物確認の際にも、備品小票の貼付

漏れや備品番号の対応なども合わせて確認していくことが望まれる。

(c) 発見事項②(利用者満足度アンケートの記載項目について)【意見】

守山スポーツセンターでは指定管理者により利用者満足度調査が実施され

ている。当該調査は年に 1回、3月に実施されているもので、施設利用者に記

載を求めて回答を得ている。

利用者アンケートの実施は、利用者の現状の施設に対する認識を把握するこ

とで、今後の施設運営の改善に資するものと考えられ、有意義な取り組みであ

ると評価できる。

平成 25 年度に実施された当該調査の結果を閲覧したところ、調査項目とし

ては「スタッフについて」(対応など)、「施設のご利用状況について」(週何回

くらい利用するかなど)、「施設について」(清掃状況など)について回答を求

めており、回答結果は概ね良好であった。これは、守山スポーツセンターとい

う施設の存在、およびその運営について、概ね市民のニーズに適っていること

を裏付けるものといえる。

アンケートの記載項目としては、利用者の満足度を問う設問のみであり、回

答者の属性については記載を求められていなかった。

<改善提案>

アンケートの記載項目として、回答者の属性についても記載を求めることが

望ましい。アンケートの回答について、それがどの様な利用者層からの回答で

あるか、利用者層ごとにどの様な回答の傾向があるのかも把握することで、今

後の施設運営へのフィードバックを検討する上でより有用なものとなること

が期待される。

なお、回答者の属性についてあまり詳細なものを求めると利用者がアンケー

トへの回答に抵抗感を感じてしまうことも懸念され、また集計・分析も煩雑に

なると考えられることから、年代、性別といったごく基本的な属性についての

回答にとどめておくのが適切とも考えられる。

h モニタリング

(a) 概況

モニタリング実施計画書を作成のうえ、実施されている。

また、必要に応じ、是正勧告もなされている。

(b) 発見事項

モニタリングについて、指摘・意見とすべき事項は発見していない。

134

エ 名古屋城

名古屋城は、昭和5年に宮内省から名古屋市に下賜、城郭建築として国宝第1号に

指定された。昭和 20 年に戦災により、天守、本丸御殿等が焼失し、昭和 34 年に天守

が再建、平成 21 年より本丸御殿の復元工事に着手し、平成 30 年完成予定である。

(ア) 施設の概要

項目 概要

所在地 名古屋市中区本丸1番1号

概要 特別史跡 名古屋城跡

重要文化財:本丸御殿障壁画、隅櫓、門

その他:天守(博物館相当施設、鉄骨鉄筋コンクリート造、

地上7階・地下1階、昭和 34 年建築)、石垣、名勝二之丸庭園、カヤ

の木(国天然記念物)

設置目的 全国有数の城郭であり、多くの観光客が訪れる貴重な観光資源で、当

地の歴史や文化を国内外に発信する名古屋のシンボル施設

管理形態 直営

所管課 市民経済局名古屋城総合事務所管理課・整備室

外観

(資料源泉:名古屋市公共施設白書)

(イ) 監査の結果

a 継続の必要性

(a) 概況

名古屋城の入場者数の推移は、【図表ス-エ-1】のとおりである。平成 24 年

度までは、大阪城天守閣の入場者数と同程度の水準を維持している。平成 25

年度の入場者数が増加しているのは、本丸御殿復元工事について、平成 25 年

5月に第一期部分として玄関 ・ 表書院の公開が開始したことによるものであ

る。

135

【図表ス-エ-1】名古屋城の入場者数 (単位:人)

平成 21 年度 平成 22 年度 平成 23 年度 平成 24 年度 平成 25 年度

名古屋城 1,352,344 1,517,727 1,414,769 1,472,305 1,657,370

【参考】

大阪城天守閣

入場者数

1,247,661 1,368,058 1,407,398 1,512,081 1,555,338

(b) 発見事項

継続の必要性について、指摘・意見とすべき事項は発見していない。

b 管理運営方法

(a) 概況

名古屋城は、下記「直営の公の施設の概要等(平成 26 年度)」判断により、

直営にて管理している。

直営の公の施設の概要等(平成 26 年度)

全国有数の城郭であり、多くの観光客が訪れる貴重な観光資源です。当地の歴史や文化を

国内外に発信する名古屋のシンボルであるとともに、市民の憩いの場としても親しまれてい

ます。

日常の維持管理、天守閣内の展示運営、四季折々の催事の開催など、経常的な管理運営業

務に加え、石垣の修復や重要文化財建造物の修理などの整備を、特別史跡全体整備計画に基

づき進めています。名古屋城に関する業務は多岐にわたり、他官庁との調整も多く、市直営

により管理しています。

(b) 発見事項(管理運営方法の検討について)【意見】

「(a)概況」に記載したとおり、名古屋城は名古屋市による直営にて管理し

ており、隣接する名城公園内の名城公園フラワープラザや名古屋能楽堂につい

てそれぞれ別の指定管理者が選定されている。

大阪市を例に挙げると、大阪城天守閣については、従来より公益財団法人大

阪市博物館協会が非公募にて指定管理者に選定されている。

しかし、平成 26 年度には、大阪城公園を世界的な観光拠点としていくため

に、新たな魅力ある施設の整備などの魅力向上事業を行う事業者として、「大

阪城公園パークマネジメント事業者」を募集し、大阪城パークマネジメント共

同事業体(代表者:株式会社電通)を選定している。

「大阪城公園パークマネジメント事業者」は、大阪城天守閣を含む大阪城公

園及び公園施設を 20 年間(平成 27 年4月1日から平成 47 年3月 31 日まで)

にわたり一体的に管理運営を行うこととなる。

136

<改善提案>

名古屋城は現在、本丸御殿復元や二之丸庭園保存整備など大規模整備を実施

している。また、天守閣の方向性に関する検討を行っているため、直ちに管理

運営方法を変更することは困難かと思われるが、将来的には、名古屋市でも、

名古屋城を世界的な観光拠点としていくため、他都市の事例を参考に効率的な

業務運営に努められたい。

c 指定管理者の選定手続

直営のため該当なし。

d 規模・施設数

「a 継続の必要性」を参照。

e 受益者負担

受益者負担のあり方については、市全体として記載している。(P50 参照)

f 老朽化対策

(a) 概況

名古屋城の天守閣について、従来、耐震化工事が予定されており、約 29 億

円が見込まれていた。しかし、平成 26 年9月に市長を含めて行われた「名古

屋城天守閣フォーラム」では、天守閣の木造復元の意義や課題について議論さ

れている。仮に天守閣を木造復元した場合、 大 400 億円が見込まれている。

耐震化工事と木造復元のどちらを選択するかについては、現時点で確定して

いない。

(b) 発見事項(天守閣の維持方法の早急な判断の必要性について)【意見】

名古屋城の天守閣のエレベーターは、1号機・2号機について昭和 34 年度

に導入され、昭和55年度に2号機、昭和56年年度に1号機の取替工事を行い、

平成9年に3号機を導入している。これらのうち2台のエレベータにつき、平

成 28 年 10 月にメーカーの保守対応期間が終了することとなっている。

しかし、現在、エレベーターの入れ替えの計画は策定されておらず、従来、

天守閣の耐震化工事に合わせて入れ替えを行う予定であったが、現在、天守閣

の整備方針について検討を行っていることから、対応が保留された状況となっ

ている。

また、建築物の定期点検・対応状況【図表ス-エ-2】についても同様な状況

である。

137

<改善提案>

天守閣エレベーターの入れ替え及び建築物の補修・改善等の対応を行うため

にも、天守閣の維持方法について、耐震化工事か木造復元かの早急な判断が望

まれる。

【図表ス-エ-2】建築物の定期点検・対応状況

【総合所見・特記事項】

対応

状況 左記対応とされた判断理由

C ①壁面にクラック有

り(複数個所有り)

②天井スラブ面にク

ラック有り(複数個所

有り)

経過

観察

管理上支障が有る場合を除き、機会を捉え

て対応する。

D

①石垣上部 石表面

にクラック及び割れ

有り

② 打 ち 放 し コ ン ク

リートにクラック有

③ し っ く い 壁 に ク

ラック有り(複数箇所

あり)

④鼻隠し部分の土塗

り材(しっくい)に欠

落有り

⑤門脇柱型金属パネ

ル浮き有り、飾り鋲各

所で外れ有り

⑥サッシガラス割れ

有り:大-危険

⑦窓台モルタルにク

ラック有り(各所に有

り)

④、⑥

以外は

経過観

④欠落

が拡大

する恐

れのあ

る部位

は撤去

⑥1箇

所サッ

シ フ

レーム

ごと取

替(修

繕工法

検討)

以後順

次取替

予定

①石垣は文化財として修復する必要があ

り、天守閣石垣全体の修復を十分に検討す

ることが必要であるため別途検討したい。

②~⑤観覧に支障が有る場合を除き天守

閣の耐震化工事に合わせて本格的な施工

を実施したい。

部分的な応急修理を適宜行う。

ただし、④は当面は人的被害防止のための

対応を行い、天守閣の耐震化工事に併せて

施工したい。

⑥施工方法を検討するためにまずは1箇

所取替、施工方法に問題がなければ以後同

様に施工したい。

(注)なお、④、⑤、⑦は、平成 26 年度

実施済である。

138

【総合所見・特記事項】

対応

状況 左記対応とされた判断理由

C ①天井雨漏り対策中

②本瓦萱屋根 丸瓦

接 続 部 し っ く い 欠

落・剥離有り

③本瓦萱屋根 丸瓦

接続部瓦のズレ有り

④槌落し口部分ゴミ

堆積

⑤銅板屋根材の谷の

部分亀裂有り

経過

観察

観覧に支障が有る場合を除き天守閣耐震

化工事に合わせて施工したい。

C ①柱仕上げ材のパネ

ルに割れが有り:大

②柱・壁面にクラック

有り(複数箇所有り)

③柱材仕上げ塗装剥

がれ及び下地ボード

の劣化

④斜め下がり壁クロ

スに浮き有り

⑤壁面にクラック有

り(複数箇所有り)

⑥壁シックイ部分に

クラック有り(複数箇

所有り)

⑦床研出し仕上材に

クラック有り(複数箇

所有り)

⑧天井梁部分に露筋

有り:斫ぎ跡有り(複

数箇所有り)

⑨北側天井梁下部分

にアンカー穴開け汁

跡有り(汚れ)

経過

観察

実用上で支障が有る場合を除き天守閣耐

震化工事に合わせて施工したい。

139

【総合所見・特記事項】

対応

状況 左記対応とされた判断理由

⑩天井スラブに異物

が接着物、一部剥がれ

有り

⑪天井スラブ面にク

ラック有り(複数箇所

有り)

⑫天井点検口取付不

良(外れ)

D ①入場門上梁下部に

クラック有り

② し っ く い 壁 に ク

ラック有り(複数個所

有り)

③入場門入口柱下部

に錆・腐食・破損有り

④入場門横の縦樋掴

み金物に錆及び欠損

有り

⑤中央ガラリから錆

汁タレ有り

経過

観察

①詳細検査確認方法を検討中

観覧に支障が有る場合を除き天守閣耐震

化工事に合わせて施工したい。

C

①屋根面より雨漏り

有り 経過

観察

観覧に支障が有る場合を除き天守閣耐震

化工事に合わせて施工したい。

140

【総合所見・特記事項】

対応

状況 左記対応とされた判断理由

C ①3F機械室壁AL

C部分にクラック有

②2F機械室 壁面

クラック補修跡にモ

ルタル浮き有り

③B1F機械室 壁

にクラック有り

④壁しっくい部分に

クラック有り(複数箇

所有り)

⑤2F小屋裏 壁面

の仕上げ材に結露発

⑥3F機械室 壁に

クラック有り

⑦床にクラック有り

全体に有り

経過

観察

観覧に支障が有る場合を除き天守閣耐震

化工事に合わせて施工する。

C

① 床 面 に 巨 大 な ク

ラック有り

経過

観察

犬走り部のクラックで且つ観覧者動線で

ないため、経過観察し将来修繕

C

①カラー舗装部分樹

木の根により隆起・破

断、犬走り割れ有り

経過

観察

西之丸区域の整備工事のなかで樹木撤去

する見込み

141

【総合所見・特記事項】

対応

状況 左記対応とされた判断理由

D

①外部手摺部 コン

クリート欠落、露筋あ

②外部手摺部 コン

ク リ ー ト 手 摺 に ク

ラック・浮き有り

③外壁取付アングル

金物のナット欠損

④コンクリート手摺

にクラック・欠損有り

⑤振興協会事務所出

入口床研ぎ出し仕上

げにクラック有り

①、②、

④につ

いては

本年中

に修理

予定

③は支

持物が

ないの

で実用

上問題

な い

(支障

時に撤

去 す

る。)

⑤は経

過観察

①、②、④即対応が可能な不良箇所は順次

修理(本年)を行う。

③は支持する物がない、金具のみ有る状態

なので支障となるときに撤去する。

⑤は評価 Bで経過観察する。

(注)なお、①、②、④は、平成 26 年度

実施済である。

(注) C 支障あり、詳細調査を要する。

D 支障あり、補修・改善等を要する。

(資料源泉:建築物の定期点検結果をもとに監査人追加調査により作成)

g その他契約及び管理に関する事項

(a) 概況

名古屋城の観覧料の収納事務については、名古屋城振興協会・ISPグルー

プに委託されている。

(b) 発見事項①(物品台帳と現物の照合について)【指摘】

名古屋市の所有する物品の管理方法について質問したところ、物品台帳と現

物の照合は行っていないとのことであった。

<改善提案>

名古屋市会計規則第 146 条では、使用中の物品について、毎年1回物品台帳

142

と現物の照合を行い、市長に結果の報告を行う旨、定めている。名古屋市会計

規則に即し、年1回、物品台帳と現物の照合を行う必要がある。

なお、平成 26 年度においては、物品台帳と現物の照合を実施している。

(c) 発見事項②(予備電源装置の設置)【意見】

名古屋城は、花車図、竹虎図等、多くの重要文化財が展示及び保管されてお

り、平成8年に文化庁から出された、「国宝・重要文化財の公開に関する取扱

要項6公開の環境②温湿度の調整」に基づき、温度 22 度・湿度 60 度%で管理

されている。

また、特別展示のため、名古屋市外の博物館等から借り入れた重要文化財等

も保管されているが、名古屋城には、予備電源が設置されていない。

<改善提案>

地震等の自然災害の際に、電源装置が壊れた場合に、重要文化財の保管環境

が悪化する可能性があるため、予備電源の設置について検討が望まれる。

国宝・重要文化財の公開に関する取扱要項

6公開の環境

湿度の調整

温度は摂氏 22 度(公開を行う博物館その他の施設が所在する地域の夏期及び冬期の平均外

気温の変化に応じ、季節によっては穏やかな温度の変動はあっても良い。)

相対湿度は 60 パーセント±5パーセント(年間を通じて一定に維持すること。)を標準値

とする。ただし、金工品の相対湿度については、55 パーセント以下を目安とすること。

なお、温湿度の設定に際しては、同一ケース内に材質の異なる文化財を展示したり、展示

する作品が展示の前に長期間置かれていた保存環境と大きく異なる場合などには、重要文化

財等の種類及び保存状態に応じて適切に判断すること。

h モニタリング

直営のため該当なし。

143

(3) 産業振興施設

ア 産業振興施設全体の分析

(ア) 管理形態について

産業振興施設の平成 26 年度以降の管理形態は、【図表産-ア-1】のとおりである。

公設市場については既に日常的な市場の管理運営は販売人が組織する協同組合

で行っており、それ以外については販売業務許可等、行政判断を伴う業務が多くあ

ることから、直営としている。中央卸売市場については消費者に対する生鮮食料品

の安定的な供給のため、中央卸売市場の公共性や有効性は高く、大都市圏にあるた

めその使命は重く、管理・運営を開設者である名古屋市が責任を持ってすすめるべ

きとして直営としている。農業振興施設や路外駐車場等は指定管理制度を導入して

効率化を図っている。

【図表産-ア-1】産業振興施設の管理形態

中分類 小分類 施設数 管理形態

公設市場 公設市場 8施設 直営

中央卸売市場 中央卸売市場 3施設 直営

展示場 展示場 2施設 指定管理

農業振興施設 農業振興施設 3施設 直営1施設、指定管理2施設

路外駐車場 路外駐車場 3施設 指定管理

その他 その他 3施設 指定管理

(資料源泉:アンケート結果をもとに監査人集計)

(イ) 平成 25 年度の収支

平成 25 年度の産業振興施設の小分類別の収支合計は、下記【図表産-ア-2】平

成 25 年度産業振興施設(直営)小分類別収支合計及び【図表産-ア-3】平成 25

年度産業振興施設(指定管理)小分類別収支合計のとおりである。

平成 25 年度の産業振興施設の収支合計は、農業振興施設を除き黒字であり、個

別施設についても、同様の傾向である。

中央卸売市場は猛暑など天候不順による供給量の低下や不況による消費不振等

により取扱数量が微減しているものの、黒字を維持している。

農業振興施設(直営・指定管理)の収支は、全施設赤字となっており、特に指定

管理施設である、農業文化園の収支-183,180 千円及び東谷山フルーツパークの収

支-127,936 千円の赤字が顕著となっている。(ただし、農業文化園は戸田川緑地を

含む指定管理料で計算されている。)

144

【図表産-ア-2】平成 25 年度産業振興施設(直営)小分類別収支 (単位:千円)

中分類 収入 支出 収支

小分類

公設市場 60,859 35,820 25,039

中央卸売市場 4,302,400 4,219,395 83,005

農業振興施設

(農業センター) 34,434 87,977 -53,543

合計 4,397,693 4,343,192 54,501

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

【図表産-ア-3】平成 25 年度産業振興施設(指定管理)小分類別収支(単位:千円)

中分類 収入 支出

指定

管理料 収支

小分類

展示場 1,257,738 495,758 198,759 563,221

農業振興施設 38,595 9,095 340,616 -311,116

路外駐車場 737,214 36,699 184,334 516,181

その他 110 44,102 -43,148

(注)

-844

合計 2,033,657 585,654 680,561 767,442

(注)指定管理料がマイナスとなっているのは、指定管理者より納付を受けているためであ

る。

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

【図表産-ア-4】平成 25 年度産業振興施設(直営・指定管理)施設別収支(単位:千円)

小分類 収入 支出

指定

管理料 収支

施設名

農業振興施設

農業文化園(注) 7,879 8,628 182,431 -183,180

東谷山フルーツパーク 30,716 467 158,185 -127,936

農業センター 34,434 87,977 -53,543

合計 73,029 97,072 340,616 -364,659

(注)農業文化園は戸田川緑地を含む指定管理料で計算されている。

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

145

(ウ) 利用者数の推移

過去5年間(平成 21 年度~平成 25 年度)の産業振興施設の小分類別の1施設あ

たり平均利用者数の推移は、下記【図表産-ア-5】のとおりである。

【図表産-ア-5】産業振興施設平均利用者数の推移

小分類 平成 21

年度

平成 22

年度

平成 23

年度

平成 24

年度

平成 25

年度

公設市場(注1) 831 728 765 695 629

展示場 1,144,862 1,000,347 1,083,266 1,101,753 1,274,445

農業振興施設 746,100 693,738 746,657 816,322 771,304

路外駐車場 281,430 267,744 264,682 258,003 260,129

その他 147,156 143,862 137,067 137,153 147,794

(注1)公設市場は、1日の利用者数である。

(注2)中央卸売市場は、施設の性格上利用者数の集計を行っていない。

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

公設市場は、利用者数が減少している。このうち、市民が直接利用している公設

市場につき、往査対象施設としている。

展示場の利用者は、催事の内容によっても左右されるが、平成 22 年度に減少し

たものの、その後順調に増加傾向にある。

イ 公設市場の状況

名古屋市の公設市場は、大正7年に初めて開設された。当時は第1次世界大戦の影

響で、全国的に生活必需品の価格が高騰し、市民の消費生活が極度に脅かされる状況

にあった。そのため、名古屋市においてもこの応急対策として仮設市場を建て、米そ

の他の生活必需品の適正価格での販売を行った。公設市場の大部分は第2次世界大戦

の戦禍により焼失したが、戦後の市場再興の要望の高まりに応え、修理復旧・再建が

行われた。その後も、社会情勢に合わせた移転・改築や、老朽化による改装が行われ

ている。(参考:公設市場概要平成 15 年度抜粋)

(ア) 管理形態について

公設市場8施設は、全て直営にて管理運営されている。

(イ) 平成 25 年度の収支

平成 25 年度の公設市場の施設別収支は、下記【図表産-イ-1】のとおりであり、

平均して 3,130 千円の黒字となっている。

146

【図表産-イ-1】平成 25 年度公設市場の施設別収支(単位:千円)

小分類 収入 支出 収支

施設名

公設市場

中公設市場 12,338 8,431 3,907

築地公設市場 7,574 4,249 3,325

元古井公設市場 5,629 4,124 1,505

牧野公設市場 6,451 4,292 2,159

徳川公設市場 4,385 3,080 1,305

梅森公設市場 2,510 1,434 1,076

南陽公設市場 11,432 4,652 6,780

大高公設市場 10,540 5,558 4,982

平均 7,607 4,478 3,130

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

(ウ) 利用者の推移

過去5年間(平成 21 年度~平成 25 年度)の公設市場8施設の1日あたり利用者

数の推移は、下記【図表産-イ-2】のとおりであり、一部微増はあるものの、全体

的に減少傾向にある。

【図表産-イ-2】公設市場1日あたり利用者数の推移 (単位:人/日)

名称 平成 21 年度 平成 22 年度 平成 23 年度 平成 24 年度 平成 25 年度

元古井公設市場 908 764 963 810 717

徳川公設市場 436 335 372 498 470

牧野公設市場 746 621 700 529 431

中公設市場 1,083 855 989 753 647

築地公設市場 1,216 1,196 1,185 1,073 1,041

南陽公設市場 971 924 852 812 797

大高公設市場 1,073 771 785 825 702

梅森公設市場 216 358 272 261 225

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

徳川公設市

徳川公設市

された。その

の老朽化に伴

販売方式から

(参考:公設

市職員寮に

住宅都市局が

(ア) 施設の

項目

所在地

建物概要

建築年

施設概要

設置目的

管理形態

所管課

外観

(イ) 監査結

a 継続の

(a) 概平

とお

ある

市場

市場は、大正

の後、昭和

伴い昭和 61

ら一部対面販

設市場概要平

については、

が倉庫として

の概要

結果

の必要性

概況

平成 19 年度

おりであり、

る。

正 14 年に開

37 年 12 月

年 10 月に全

販売を採用

平成 15 年度

平成9年度

て利用してい

名古屋市東区徳

鉄筋コンクリ

地上4階

昭和 37 年

市場、倉庫

日用必需品を

直営

市民経済局産

行政評価(

市民ニーズ

1

開設され、戦

に住宅(市

全面改装し

したセルフ

度)

度に廃止し

いる。

徳川町 522 番

ート造

小売りさせ、

業部地域商業

(事務事業評

ズを失った市

147

戦禍により焼

市職員寮)併

た。更にそ

フサービス販

、現在は2

概要

番地

もって市民の

業課推進係

(資料源

評価)実施結

市場について

焼失し、昭和

併存の市場と

その後、平成

販売へと販売

階を市民経

の消費生活の

源泉:名古屋

結果は下記

ては、順次廃

和 26 年9月

として改築し

成 10 年 11 月

売方法を変

経済局、3・

の安定向上を

屋市公共施設

【図表産-ウ

廃止していく

月に再建

し、施設

月に対面

更した。

・4階を

を図るた

設白書)

-1】の

く予定で

148

【図表産-ウ-1】行政評価(事務事業評価)の実施結果

検討区分 改革改善の取組み

廃止

地域に支持されている市場については、地域との交流事業や環境・高齢

者に配慮した店舗づくりなど、地域密着型市場づくりを支援し、市民ニー

ズを失った市場については、随時廃止します。

徳川公設市場の近隣には、マックスバリュ徳川明倫店(東へ 622m)、ヤマ

ナカ白壁フランテ店(西へ 665m)、ナフコ不二屋大曽根店(北東へ 773m)が

ある。

平成 21 年 11 月にセルフ部門が撤退し、平成 23 年度には青果・鮮魚・鶏肉

の指定販売人3者が撤退したが、近隣の青果業者(総合食料品)が入れ代わり

で入店し、平成 23 年度から経営基盤強化事業を活用しアドバイザーの助言を

受けながら下記【図表産-ウ-2】のとおり、売上・入場者数を徐々に伸ばして

いる。

【図表産-ウ-2】徳川公設市場売上高及び入場客数の推移 (単位:百万円、人/日)

平成 21 年度 平成 22 年度 平成 23 年度 平成 24 年度 平成 25 年度

売上高 149 155 179 198 205

入場客数 436 335 372 498 470

(b) 発見事項(市民ニーズを失った市場の判断について)【意見】

平成 19 年度行政評価(事務事業評価)実施結果の「市民ニーズを失った市

場」の判断基準につき、市民経済局担当者に確認したところ、「市民ニーズを

失った市場」とは、売上の低迷などにより、空店舗状態が長期に渡る施設との

ことである。

徳川公設市場は、売上・入場者数を伸ばしており、現段階では市民ニーズを

失った市場とは判断されていない。

しかし、「(a)概況」に記載したとおり、近隣に民間のスーパーも多く存在す

ることから、徳川公設市場の売上・入場者数が増加しているからといって、「市

民ニーズを失っていない」と判断するのは早急である。

<改善提案>

公設市場の設置目的は、「日用必需品を小売させ、市民の消費生活の安定向

上を図る」ことであることから、近隣の民間スーパーの出店状況なども勘案し

ながら廃止を検討することが望ましい。

b 管理運営方法

(a) 概況

公設市場は直営施設であり、店舗は市場ごとに事業協同組合を組織し、各公

設市場の運営を行っている。

149

(b) 発見事項

管理運営方法について、指摘・意見とすべき事項は発見していない。

c 指定管理者の選定手続

直営施設のため該当なし。

d 規模・施設数

(a) 概況

平成 15 年度には 15 施設あった公設市場は、民間の小売店舗の拡大等の環境

の変化に伴い、市民ニーズの低下した市場と判断された施設は順次廃止され、

平成 26 年 10 月時点で8施設となっている。

「a継続の必要性」 に記載したとおり、平成 19 年度行政評価(事務事業評

価)にて「廃止」の決定がなされており、今後も市民ニーズを失った市場につ

いては、順次廃止していく予定である。

(b) 発見事項

規模・施設数について、指摘・意見とすべき事項は発見していない。

e 受益者負担

(a) 概況

公設市場の1平方メートルあたりの使用料は、「名古屋市公設市場条例」第

5条にて、建物は月 1,200 円、土地は月 250 円と上限が定められており、その

上限金額を使用料としている。

また、平成 25 年度の公設市場別の収支状況は、下記【図表産-ウ-3】のと

おりである。

名古屋市公設市場条例

(使用料)

第 5 条 公設市場の使用料は、次の各号に定める額の範囲内において、規則で定める額とす

る。

(1) 建物 1 平方メートル 1 月 1,200 円

(2) 土地 1 平方メートル 1 月 250 円

【図表産-ウ-3】平成 25 年度公設市場別収支状況 (単位:千円)

公設市場名 収入 支出

収支差額 使用料 その他 計 管理運営費 その他 計

中 12,325 13 12,338 8,431 - 8,431 3,907

築地 7,532 42 7,574 4,249 0 4,249 3,325

元古井 5,629 0 5,629 4,124 0 4,124 1,505

150

公設市場名 収入 支出

収支差額 使用料 その他 計 管理運営費 その他 計

牧野 6,451 0 6,451 4,292 0 4,292 2,159

徳川 4,385 0 4,385 3,080 0 3,080 1,305

梅森 2,491 19 2,510 1,434 0 1,434 1,076

大高 10,540 0 10,540 5,558 0 5,558 4,982

南陽 11,239 193 11,432 4,652 0 4,652 6,780

(資料源泉:アンケート結果より監査人抽出)

(b) 発見事項(公設市場の使用料に見直しの必要性)【意見】

「名古屋市公設市場条例」第5条にて定められていた使用料は、全市的に行

う施設使用料改定の調査に合わせて見直しを行っており、平成4年度以降見直

しは行われていない。

上記【図表産-ウ-3】平成 25 年度公設市場別収支状況によると、全8公設

市場の収支は、若干の黒字となっている。しかし、下記「f 老朽化対策」に記

載したとおり、「優先的な耐震対策が必要」な施設は3施設(中・徳川・梅森)

あり、これらの施設につき、今後も一定期間存続する可能性があるのであれば、

耐震対策についても検討されたい。過去に耐震対策を行った3施設(築地・元

古井・牧野)の1施設あたりの工事費の市民経済局所管分は、平均 14,270 千

円であり、住宅都市局分を含めると、平均 35,052 千円である。

<改善提案>

今後の耐震対策の費用を見込んだ使用料の見直しを検討することが望まれ

る。

f 老朽化対策

(a) 概況

平成8年度の耐震診断結果は、【図表産-ウ-4】のとおりである。

建築年が昭和 56 年のため、対象外とした南陽公設市場以外、「優先的な耐震

対策が必要」と評価された6施設のうち、耐震改修が行われたのは、3施設(築

地・元古井・牧野)のみであり、残りの3施設(中・徳川・梅森)については、

未対策となっている。

これは、耐震改修工事を実施するためには店舗の改装と同時に行う必要があ

るため、店舗との合意のあった3施設の改修が先行して行われたものである。

その他の店舗については、改装並びに耐震改修は店舗の負担が大きく、合意

を得られる施設がなかったとのことである。

151

【図表産-ウ-4】各公設市場の耐震性の対応状況

併存施設

住宅

戸数

(戸)

建築年

平成 8年度

の耐震診断

結果

対応状況 工事費

左記うち、市

民経済局所

管分

中 小林荘 54 昭和 33

優先的な

耐震対策

が必要

未対応

地 真砂荘 39

昭和 38

優先的な

耐震対策

が必要

平成 12 年度

耐震改修実施済

36,540 千円

(税込)

17,378 千円

(税込)

元古井荘 40 昭和 39

優先的な

耐震対策

が必要

平成 15 年度

耐震改修実施済

32,393 千円

(税込)

12,818 千円

(税込)

野 笈瀬荘 16

昭和 44

優先的な

耐震対策

が必要

平成 16 年度

耐震改修実施済

36,225 千円

(税込)

12,614 千円

(税込)

旧職員寮

(現倉庫)

昭和 37

優先的な

耐震対策

が必要

未対応

森 梅森荘 1,259

昭和 46

優先的な

耐震対策

が必要

未対応

高 森の里荘 1,252

昭和 54

耐震対策の

検討が必要

と評価

未対応

陽 西茶屋荘 1,037

昭和 56

建築基準法

改正後のた

め、対象外

152

(b) 発見事項(耐震対策の必要性について)【意見】

「a継続の必要性」に記載したとおり、今後、市民ニーズを失った公設市場

については、順次廃止をしていく予定である。

<改善提案>

今後一定期間存続する可能性があるのであれば、施設利用者の安全上の観点

から、耐震対策についても検討されたい。

g その他契約及び管理に関する事項

(a) 概況

公設市場の空き店舗がある場合は、空き店舗情報を名古屋市公式ウェブサイ

トに載せ、公設市場協会長、事業協同組合理事長及び名古屋市の職員で応募者

の面接を行い決定している。徳川公設市場では、施設往査日現在、空き店舗が

1店舗あり、休憩所として利用されていた。

(b) 発見事項①(空き店舗の有効利用について)【意見】

徳川公設市場以外の7公設市場についても空き店舗状況及び現在の利用状

況を確認したところ、下記【図表産-ウ-5】のとおりであり、8施設中6施設

が空き店舗ありとなっていた。行政評価(事務事業評価)の検討区分は廃止と

されている以上、新規入店店舗を探すことは容易ではないため、空き店舗の有

効利用が現実的と考えられる。しかし、元古井公設市場及び大高公設市場の2

施設については、空き店舗がそのままとなっていた。

<改善提案>

新しい店舗が入るまでの間、空き店舗については休憩所等、有効利用するこ

とが望まれる。また、空き店舗の有効利用等の公設市場間の情報共有について、

所管局が積極的に行うことが望まれる。

【図表産-ウ-5】各公設市場の利用状況

公設

市場名

空き

店舗数 廃業前の業種

空き店舗

になった時期 現在の利用状況

中 4店舗

寿司 平成 24 年 8月末

催事コーナー

・休憩所

(各1店舗)

菓子 平成 24 年 10 月末

果物 平成 25 年 12 月末

他1店舗 平成 10 年以前から

(詳細不明)

築地 なし なし

元古井 1店舗 米穀・クリーニング 平成 24 年5月末 利用なし

153

公設

市場名

空き

店舗数 廃業前の業種

空き店舗

になった時期 現在の利用状況

牧野 なし なし

徳川 1店舗 青果 平成 16 年3月末 休憩所

梅森 なし なし

大高 3店舗

薬局 平成 18 年8月末

利用なし 衣料品 平成 18 年 10 月

自転車 平成 22 年3月末

南陽 10 店舗

喫茶 平成 24 年5月末 催事コーナー

・休憩所

(各1店舗)

美容 平成 23 年3月

他 8店舗 平成 18 年度以前から

(詳細不明)

(c) 発見事項②(公設市場2階の有効利用について)【意見】

徳川公設市場の2階から4階について確認したところ、2階を市民経済局、

3、4階を住宅都市局が管理しており、3、4階については、住宅都市局が書

庫として利用している。しかし、市民経済局が管理している2階については、

従来、公設市場の店舗の倉庫として利用していたが、現在は利用していないと

のことである。

<改善提案>

市民経済局で利用しないのであれば、住宅都市局等、他部局の利用を検討す

る等、空きスペースの有効利用が望まれる。

(d) 発見事項③(使用料の回収遅延について)【意見】

「名古屋市公設市場条例」第6条によると、使用料は納付期限を使用月の前

月末日と定められている。

納付期限に遅れた場合には、「税外収入の延滞金の徴収に関する条例」第1

条にて、納期限の翌日から納付の日までの期間の日数に応じ、延滞金を徴収す

ることとされているが、そもそも公設市場の使用料は少額であることから、計

算した結果、端数処理により、延滞金が発生しない場合が多い。

8公設市場の入金状況を確認したところ、施設によっては、全店舗、納付期

限までに入金しているところもあれば、各店舗ばらばらで、遅延が生じている

店舗もある。

<改善提案>

納付期限に遅れても、実質的に延滞金が発生しないことから、納付期限が守

られない可能性があるため、事業協同組合に協力を仰ぎ、各店舗への指導徹底

154

が望まれる。

名古屋市公設市場条例

(使用料の納付)

第6条 公設市場の施設の使用者は、毎月末日(12 月にあっては、翌年の1月4日とする。)(そ

の日が民法(明治 29 年法律第 89 号)第 142 条に規定する休日又は土曜日(以下「休日等」とい

う。)に当たるときは、その日後 初に到来する休日等でない日)までに、翌月分の使用料を

納付しなければならない。ただし、新たに許可を受けた者は、7日以内(その期間の末日(12

月 31 日にあっては、翌年の1月4日とする。)が休日等に当たるときは、その日後 初に到

来する休日等でない日までの期間内)にその月分を納付しなければならない。

税外収入の延滞金の徴収に関する条例

(延滞金)

第1条 地方自治法(昭和 22 年法律第 67 号)第 231 条の3第1項の規定による督促をした場

合においては、納期限の翌日から納付の日までの期間の日数に応じ、収入金額に年 14.6 パー

セント(督促をする前の期間又は督促状に指定した期限以前の期間については、年 7.3 パーセ

ント)の割合を乗じて計算した金額を延滞金として徴収する。

2 延滞金の額を計算する場合において、その計算の基礎となる収入金額に 1,000 円未満の端

数があるとき、又はその収入金額の全額が 2,000 円未満であるときは、その端数金額又はそ

の全額を切り捨てる。

3 延滞金の確定金額に 100 円未満の端数があるとき、又はその全額が 1,000 円未満であると

きは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。

155

h モニタリング

(a) 概況

市民経済局では、公設市場の衛生指導に関し、年に一度、「公設市場衛生強

調運動」という取り組みを行っており、その中で、衛生講習会、衛生・店舗審

査会(保健所職員らと全店舗を回って審査するもの)を行っている。

また、団体の育成指導に関しては、任意団体の公設市場協会の理事会におい

て、事業に対する助言、各種法律改正があった場合などの通知や指導を行って

いる。

また、名古屋市公設市場条例施行細則第7条4項では、指定販売人は、「売

上高報告書」を市長に提出することとしており、売上の動向(対前月比、対前

年比)の情報を全公設市場に提供し、店舗運営などについて情報交換や協議を

するといった活用をしている。

名古屋市公設市場条例施行細則

(業務に関する遵守事項)

第7条 指定販売人は、次に掲げる事項を遵守しなければならない。

(1) 市長の指定を受けた商品以外の商品の販売業務を行わないこと。

(2) 公益上有害な商品の販売をし、又は販売の目的をもって所持しない

こと。

(3) 商品は、一定の単位及び価格を表示して販売をすること。

(4) 市長の指定に従い、別記第 4号様式による売上高報告書を市長に提出

すること。

(5) 前各号に掲げるもののほか、市長が公設市場の業務運営上必要と認め

て指示すること。

156

(b) 発見事項

モニタリングについて、指摘・意見とすべき事項は発見されなかった。

第4号様式

売 上 高 報 告 書

年 月 日

(あて先)名古屋市長

名古屋市 公設市場

住 所

氏 名

名古屋市公設市場条例施行細則第7条第4号の規定により、次のとおり報告します。

月 日 品 名 数 量 金 額 備 考

合 計

備考 用紙の大きさは、日本工業規格A4とする。

157

(4) 学校

ア 学校等の概況

名古屋市の公共施設の延床面積約 1,000 万㎡のうち学校等は約 267 万㎡、約 27%を

占めている。そのため施設マネジメントを考えるうえで、学校施設の規模の適正化と

有効活用は重要なポイントとなる。

【図表学-ア-1】名古屋市の学校の状況

小学校 中学校 高等学校

特別支援

学級

学校数 263 校 110 校 14 校 4 校

平均敷地面積 12,125 ㎡ 17,616 ㎡ 32,426 ㎡ 10,157 ㎡

平均築年数 40 年 40 年 42 年 23 年

年間コスト 673 億円 336 億円 106 億円 40 億円

児童・生徒数 111,105 人 52,862 人 12,713 人 1,000 人

児童・生徒一人あ

たり年間コスト

60.5 万円 63.6 万円 83.4 万円 402.3 万円

(資料源泉:名古屋市公共施設白書)

イ 人口減少による施設の需要減について

(ア) 概況

名古屋市では、昭和 30 年以降の児童・生徒数の推移において、小学校では、昭

和 55 年度に 204,249 人、中学校では、昭和 37 年度に 96,856 人とそれぞれピーク

を迎えている。

小学校では、昭和 56 年度以降減少し始め、平成 26 年5月1日現在の児童数は、

110,822 人となっている。ピーク時と比較すると、児童数で、93,427 人、割合にし

て 45.7%の減少となっている。中学校では、昭和 62 年度以降減少し始め、平成 26

年5月1日現在の生徒数は、52,217 人となっている。ピーク時と比較すると、生

徒数で、44,639 人、割合にして 46.1%の減少となっている。

【図表学

【図表学

学-イ-1】児

また、「ア

の延床面積を

学-イ-2】各

このような

名古屋市の

の減少が特に

でクラス替え

なっている。

児童・生徒数推

(資

アセットマネ

を主要都市間

各政令市におけ

(資

な児童生徒数

の特徴として

に著しく、1

えのできない

。このような

推移と将来予

料源泉:「ア

ネジメント推

間比較した

ける人口に対

料源泉:「ア

数の減少に加

て、いわゆる

1学年1学級

い1学年1

な状況をうけ

158

予測

アセットマネジ

推進プラン」

場合、名古屋

対する学校の延

アセットマネジ

加え、校区

る都心部と言

級となってい

学級の小学

け、名古屋市

ジメント推進

によると、

屋市は平均よ

延床面積

ジメント推進

区間の減少率

言われる地域

いる小規模

学校は、平成

市では学校規

進プラン」)

、現在の人

よりも若干高

進プラン」)

率にも大きな

域(中区・中

校が増加し

成 24 年度に

規模のあり方

口に対する

高くなって

な差がある。

中村区・西区

している。全

において 24

方と小規模

学校

いる。

等)

学年

校と

校に

159

対する方針を以下のとおり協議している。

【図表学-イ-3】学校規模のあり方と小規模校に対する方針の経過

年月 事項

平成 20 年9月 「名古屋市学校教育協議会」を組織。

平成 21 年9月 小中学校の学校規模のあり方についての検討結果報告

平成 22 年3月 「名古屋市小中学校における小規模校対策に関する基本方

針」を策定

平成 22 年9月 「小規模校対策に関する実施計画」を策定

<名古屋市小中学校における小規模校対策に関する基本方針>

望ましい学校規模を、小学校 12学級から24学級 中学校6学級以上は必要(9

学級から 18 学級が望ましい)、とし、これを下回る(小学校 11 学級、中学校5学

級以下)を学校規模適正化の対象とした。

進め方として、教育的課題が大きい小学校を優先して学校規模適正化に取り組む

こととし、中学校については、現段階では対象とせず、小学校の進捗状況等を勘案

して改めて検討することとしている。

以下のとおりグループ分けを行い、クラス替えができない第1グループから段階

的に順次取り組んでいる。

【図表学-イ-4】グループの分類要件

グループ 分類要件

第1グループ

平成 22 年5月1日現在、6学年すべてが単学級の学校で、実施

計画期間内も同じ状況が継続する見込みの学校。

第2グループ

平成 22 年5月1日現在、6学年すべてが単学級の学校で、実施

計画期間内に6学級でなくなる見込みの学校(7 学級から 11 学

級になる見込みの学校)。

平成 22 年5月1日現在、7学級から 11 学級の学校で、実施計画

期間内に6学級になる見込みの学校。

第3グループ 平成 22 年5月1日現在、7学級から 11 学級の学校で、実施計画

期間内も同じ状況が継続する見込みの学校。

第1グループについては、統合相手校など小規模校対策の具体的な学校ごとの方

策を定め、実施計画期間(平成 23 年度から平成 28 年度)内の開校を目指すことと

している。

具体的には、まず、対象校及び統合相手校において、保護者・地域説明会を行い、

次に学区ごとに保護者・地域住民・学校等で構成する検討組織を設置し、基本的な

事項を検討する。

それぞれの検討組織で基本的な事項の了承が得られたところで、関係学区の保護

160

者、地域住民、学校等からなる合同検討組織を設置し、具体的な事項を検討すると

ともに、統合の合意形成を図ることとしている。

【図表学-イ-5】第1グループの状況

第1グループ

区 学校名 統合相手校 中学校ブロック

西区 幅下小、江西小、那古野小 3校統合 菊井中

西区 南押切小 榎小(第2)、栄生小(第3) 天神山中

中村区 豊臣小 諏訪小(第3) 日比津中

中区 御園小 名城小 丸の内中

昭和区 白金小 村雲小 円上中

南区 大生小 宝小 南光中

天白区 高坂小 相生小(第2) 久方中

161

【図表学-イ-6】第1グループの進捗状況

(注 1)速やかに統合へ向けた合意を図る。

(注 2)28 年度までの合意を目指す。

(資料源泉:教育委員会作成資料)

区小学校 中

学校

26年

度児

童数H26.5.1

25年

度児

童数

留意事項

幅下小

196 175

江西小

98 98   -

那古野小

100 100

南押切小

132 138

榎小

205 205

栄生小191 196

豊臣小129 134

諏訪小284 296

御園小

51 54

名城小

225 250

白金小

165 169

村雲小

296 293

大生小

143 151

宝小

300 309

高坂小

129 144

相生小

136 142

推移観察

2

26年度、地域役員に今後の進め方を説明。(27年度、宝小学校内に南養護学校分校を設置)

26年度、地域役員に今後の進め方を説明。

2

2

昭和

久方中

菊井中

天神山中

日比津中

丸の内中

円上中

南光中

天白

西

中村

26年度、地域役員に今後の進め方を説明。

26年度、地域役員に今後の進め方を説明。

推移観察

1

各学区の進捗状況

26年度、PTA役員・地域役員に今後の進め方を説明。統合地教育委員会案、提示準備中。

26年度、PTA役員・地域役員に今後の進め方を説明。統合地教育委員会案、提示準備中。

24年度、PTA検討委員会を設置。25年度、第2回PTA検討委員会を実施。

25年度、PTA検討委員会を設置。(2回実施)

24年度、PTA役員との意見交換会を実施。

24年度・25年度、PTA役員との意見交換会を実施。

PTAや地域との対話を続けていく。

「3学区合同検討委員会」にて、統合について合意に至り、25年7月に合意書が教育委員会に提出された。25年10月より27年4月の統合校開校に向けての「統合準備委員会」を開催し、新しい学校づくりのための協議に入った。27年4月1日「なごや小学校」開校予定。

23年度、両校PTAによる検討会を実施。

           〃

(グループ)

(第1)

(第1)

(第1)

(第1)

(第1)

(第1)

(第1)

(第1)

(第1)

(第2)

(第2)

(第3)

(第3)

(相手校)

(相手校)

(相手校)

162

(イ) 発見事項(小規模校の統合について)【意見】

幅下・江西・那古野小以外の学区は、具体的な進捗がない状況である。実施計画

期間(平成 28 年度まで)での開校は非常に厳しい状況である。

その理由としては、跡地利用に関する不安や統合場所の具体化がされていない等

の理由から地元住民から理解が得られないことが挙げられている。小規模校のグ

ループ分けは一定の尺度をもって行っているが、この中で統合されない学校と統合

される学校が出てくることにより公平性が維持できず、今後の計画にも多大な影響

を及ぼすと考えられる。

<改善提案>

小規模校の統合に関する問題は、子どもに対してよりよい学習環境を確保すると

いう側面に加え、学校の地域のコミュニティの核としての役割に配慮して進めて行

く必要がある。特に都市部においては跡地に対する民間からの需要も高いと考えら

れるため、跡地利用の問題も重要である。

名古屋市は今後の方針として【図表学-イ-7】を打ち出しているが、跡地を地域

コミュニティのための施設としての役割を持つようなものとして活用することに

ついて具体的な提案を行うことも、統合を行う校区の住民に納得感を与える方法の

ひとつとして考えられる。

その際は、地域づくりの観点からも、首長部局と教育委員会との連携が重要とな

る。

【図表学-イ-7】小規模校に関する今後の方針

事項 今後の方針

跡地となる学校 跡地の利用については、以下で検討する。

ただし、防災拠点として必要な建物・土地の確保に一定の配

慮を加える。

・教育委員会内での有効活用を検討

・全市的に有効活用を検討

・売却又は貸付する。(売却又は貸付にあたっては、地域住

民の意向が反映できる仕組みの導入を検討する。

統合地となる学校 統合地となる学校の保有教室数等の実情にあわせ、改修また

は改築による整備を実施する。

ウ 施設の長寿命化について

(a) 概況

小中学校の平均築年数は 40 年、高等学校は 42 年となっている。

「アセットマネジメント推進プラン」によれば、学校については当初概ね築

後 2

初建

修を

きた

アル

この

程度

体劣

【図表

25 年

策を

20~25 年程

建設時との教

を進めてきた

たため当初の

今後は「アセ

ル改修などを

名古屋市では

の先どのくら

度からその耐

劣化調査から

表学-ウ-1】

上記「今後、

年度に強度調

を実施予定で

度を経過し

教育環境の変

た。しかし、

の計画より遅

セットマネジ

を実施し、長

は、施設の長

らいの期間、

耐久性を調査

ら名称変更)

構造体耐久

(資料源泉:

建物強度確

調査を実施

である。

1

した時点で、

変化に対応す

阪神淡路大

遅れ、老朽化

ジメント推進

長寿命化を図

長寿命化に向

建物を使用

査する「構造

」を実施し

久性調査の結果

:「平成 25 年

確認調査が必

施、そのうち

163

経年による

するため大規

大震災後、耐

化が進行して

進プラン」に

図る計画であ

向けて、概ね築

用することが

造体耐久性調

している。

年度構造体耐

必要なもの

ち耐震診断で

る内外装、設

規模な改修を

耐震改修工事

ている。

に従い、40 年

ある。

築 40 年以上

ができるのか

調査(平成

耐久性調査に

」のうち7

でⅡ-1とな

設備機器の劣

を行い、計画

事を重点的に

年を目処にリ

上のものを対

か、構造体の

22 年度以降

について」)

7棟について

なった4棟は

劣化や当

画的な改

に行って

リニュー

対象に、

の劣化の

降、構造

ては平成

は耐震対

【図表学

(注)耐震

評価Ⅰ

評価Ⅱ

評価Ⅱ

学-ウ-2】平

震診断による

Ⅰ:概ね現行

Ⅱ-1:現行耐

Ⅱ-2:現行耐

(b) 発見事

アセッ

り、評価

の強度確

今後の施

<改善提案

今後、

リニュー

平成 25 年度に

(資

評価の分類は

行耐震基準程度

耐震基準程度

耐震基準程度

事項(実効性

ットマネジメ

価できる取組

確保に加え、

施設の複合化

案>

改修時およ

ーアル改修を

に強度確認調査

資料源泉:「平

は以下のとお

度の性能を有

度の性能を満た

度の性能を満た

性のあるリニ

メントの推進

組である。た

、変化する社

化を見据えた

よび将来の地

を計画・実行

164

査を実施した

平成 25 年度

おりである。

有しており、原

たさず、原則

たさず優先的

ニューアル

進の方針に

ただし、リニ

社会ニーズ

た計画も必

地域人口構

行していく

た結果

度構造体耐久

原則として耐

則として耐震

的に耐震対策

改修につい

従い、一律に

ニューアル改

ズに対応して

要となって

構成、施設の

ことが望ま

久性調査につ

耐震対策の必

震対策の検討の

の検討の必要

て)【意見】

に建物の調査

改修という視

て教育環境を

くる。

の集約化の視

れる。

ついて」)

必要がない。

の必要がある

要がある。

査を実施し

視点では、

を確保する点

視点を加味し

る。

てお

建物

点や、

して、

165

(5) 子育て支援施設

ア 子育て支援施設全体の分析

子育て支援施設はその大部分が児童福祉法に基づき設置された施設であり、同法に

より受益者負担の基準が決定されている。従って、基本的に収支はマイナスとなるが、

料金設定等の問題は生じない。ただし、設置自体の必要性やその規模・数については

検討の余地がある。

(ア) 管理形態について

子育て支援施設の平成 26 年度以降の管理形態は、下記【図表子-ア-1】のとお

りである。以下、市立保育所については P170 以降に記載している。

児童厚生施設である、児童館及びとだがわこどもランドについては、指定管理者

制度が導入されており、児童福祉の観点から設置されているその他の施設について

は、一部(五条荘・にじが丘荘)を除き、直営となっている。

【図表子-ア-1】子育て支援施設の管理形態

中分類 小分類 施設数 管理形態

児童福祉施設

保育所 118 施設 直営

児童厚生施設 17 施設 指定管理

その他 10 施設 直営(一部指定管理)

(資料源泉:アンケート結果を基に監査人集計)

(イ) 平成 25 年度の収支

平成 25 年度の子育て支援施設の小分類別の収支は、下記【図表子-ア-2】平成

25 年度子育て支援施設(直営)小分類別収支及び【図表子-ア-3】平成 25 年度子

育て支援施設(指定管理)小分類別収支のとおりである。

平成 25 年度の子育て支援施設の収支は、全体的に赤字であり、特に直営施設の

児童福祉施設その他の公費負担が顕著である。これらについては、児童福祉の観点

から設置されている施設であるため、使用料の徴収が見込めない施設である。

【図表子-ア-2】平成 25 年度子育て支援施設(直営)小分類別収支 (単位:千円)

中分類 収入 支出 収支

小分類

児童福祉施設

その他 460,717 3,012,668 -2,551,951

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

166

【図表子-ア-3】平成 25 年度子育て支援施設(指定管理)小分類別収支 (単位:千円)

中分類 収入 支出 指定管理料 収支

小分類

児童福祉施設

児童厚生施設 14,494 2,008 608,183 -595,697

その他 158,812 158,680 143,124 -142,992

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

【図表子-ア-4】平成 25 年度子育て支援施設(直営)施設別収支 (単位:千円)

小分類 収入 支出 収支

施設名

その他

若葉寮 3,776 365,213 -361,437

若松寮 2,003 217,023 -215,020

ひばり荘 2,309 201,295 -198,986

玉野川学園 17,958 208,261 -190,303

西部地域療育センター 101,109 333,820 -232,711

北部地域療育センター 76,457 324,245 -247,788

児童福祉センター中央療育セン

ター 214,826 309,886 -95,060

児童福祉センターくすのき学園 268 187,215 -186,947

あけぼの学園 42,011 865,710 -823,699

合計 460,717 3,012,668 -2,551,951

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

【図表子-ア-5】子育て支援施設(直営)の入所者の推移 (単位:人)

施設名 平成 21

年度

平成 22

年度

平成 23

年度

平成 24

年度

平成 25

年度

若葉寮 41 29 38 38 30

若松寮 38 31 36 35 35

ひばり荘 29 28 27 25 28

玉野川学園 13 18 13 17 14

西部地域療育センター 40 40 40 40 40

北部地域療育センター 38 40 40 40 40

児童福祉センター

中央療育センター 84 90 91 91 97

167

施設名 平成 21

年度

平成 22

年度

平成 23

年度

平成 24

年度

平成 25

年度

児童福祉センター

くすのき学園 26 21 27 37 39

あけぼの学園 64 60 65 70 64

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

168

若葉寮は乳児院と児童養護施設の 2 種類の機能を併せもつ施設で、若松寮とひば

り荘は児童養護施設である。若松寮は平成 28 年度より社会福祉法人への移管が予

定されている。また、若葉寮及びひばり荘はセーフティーネットの関係から直営を

継続する方針であり、現在統合施設として整備中である。

地域療育センターは、障害のある児童及びその疑いのある児童又はその保護者に

対して、相談・指導・検査・判定・医療の提供及び療育訓練を行うことにより、障

害の早期発見及びその軽減を図るための施設である。

西部・北部地域療育センターの利用者が横ばいとなっている一方、中央療育セン

ターの利用者は増加傾向にある。西部・北部地域療育センターについては、医療技

術職の確保等の課題があるが、民営化について検討を進めている段階である。

ただし、中央療育センターについては、支援の内容や質の向上、均質化を図る役

割を持つ療育体制の中心的施設として機能させること、また、児童福祉センターを

構成する施設であり、医師をはじめ多くの医療技術職の職員が配置され、学齢児や

肢体不自由児、難聴幼児への療育を行なうことが可能な唯一の施設であることから

直営を継続する方針である。

【図表子-ア-6】平成 25 年度子育て支援施設(指定管理)施設別収支 (単位:千円)

小分類 収入 支出 指定管理料 収支

施設名

児童厚生施設

名古屋市千種児童館 - 147 29,155 -29,302

名古屋市高岳児童館 - 112 31,620 -31,732

名古屋市上飯田児童館 - 112 31,539 -31,651

名古屋市西児童館 - 112 29,461 -29,573

名古屋市中村児童館 - 112 29,129 -29,241

名古屋市前津児童館 - 112 28,874 -28,986

名古屋市白金児童館 - 147 31,018 -31,165

名古屋市瑞穂児童館 - 112 28,983 -29,095

名古屋市熱田児童館 - 112 30,443 -30,555

名古屋市中川児童館 - 112 28,557 -28,669

名古屋市港児童館 - 112 29,315 -29,427

名古屋市南児童館 - 112 26,853 -26,965

名古屋市守山児童館 - 112 31,412 -31,524

名古屋市緑児童館 - 112 28,163 -28,275

名古屋市名東児童館 - 112 30,804 -30,916

名古屋市天白児童館 - 112 29,058 -29,170

とだがわこどもランド 14,494 146 133,799 -119,451

合計 14,494 2,008 608,183 -595,697

169

小分類 収入 支出 指定管理料 収支

施設名

その他

名古屋市五条荘 75,438 75,438 66,259 -66,259

名古屋市にじが丘荘 83,374 83,242 76,865 -76,733

合計 158,812 158,680 143,124 -142,992

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

(ウ) 利用者数の推移

児童館について、過去5年間(平成 21 年度~平成 25 年度)の児童館の平均利用

者数の推移は、下の図表のとおりである。

【図表子-ア-7】児童館の平均利用者の推移

施設名 平成 21 年度 平成 22 年度 平成 23 年度 平成 24 年度 平成 25 年度

児童館 31,698 34,992 35,371 35,522 37,898

(注):児童館は 16 施設の平均である。

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

少子化の進行する反面、共働き世帯の増加や子育てに対する関心の高まりもあり

児童館の利用者数は増加傾向にある。従って事業の継続の必要性が高い施設といえ

る。なお、子ども青少年局では、コミュニティセンターを活用した子育て支援事業

や生涯学習センターでの出張講座等、他施設との連携を推進している。将来の施設

複合化を見据え、このような取り組みを引き続き推進していくことが期待される。

170

イ 保育所

保育所は、児童福祉法に基づく児童福祉施設であり、保育に欠ける子どもの保育を

行い、その健全な心身の発達を図ることを目的とした施設である。(資料源泉:名古屋

市公共施設白書)

a 施設の概要

(a) 市立保育所の状況(平成 25 年度)

施設概要

施設数 120 施設 平均築年数 35 年

平均敷地面積 9,390 ㎡ 平均延床面積 566 ㎡

主な諸室 乳児室、保育室、調理室 等

主な施設利用

保育料(所得階層に

よる)

管理運営 直営

運営人員 市職員等計3,226人 主な開館時間 7:30~18:00

平均開館日数 293 日 定休日 日曜、祝日

利用状況

施設群合計 1施設あたり

定員 1万 1,413 人 95 人

園児数 1万 1,517 人 96 人

入園率 100.9% -

年間コスト

支出(A) 152 億 5,956 万円 1億 2,716 万円

収入(B) 23 億 7,125 万円 1,976 万円

税負担額(A-B) 128 億 8,831 万円 1億 740 万円

利用者1人あたりコスト

・平均築年数 35 年となっている。

・入園率は 100.9%となっている。

・平均敷地面積については、敷地内に複数の施設が混在する場合も、敷地全体の面

積を用いて算出している。

(資料源泉:名古屋市公共施設白書)

保育料205,891円

施設運営費1,310,010円

税負担額1,119,069円

その他経費

14,950円

総コスト1,324,960円

171

b 名古屋市の取り組み

名古屋市では、平成 21 年9月に、「名古屋市公立保育所整備計画」を策定し、保

育施策や地域の子育て支援の拡充を図り、公立保育所の建物の老朽化等の課題に対

応するため、保育所整備の考え方と、民間移管、統廃合、改築等の対象となる公立

保育所の基準やその進め方等を定めている。

「名古屋市公立保育所整備計画」に基づき、公立保育所を「エリア支援保育所(注)」

(「センター保育所」から改称)として位置づけるとともに、移管対象となる保育

所名は6年前(合築施設の建替え等により早期の移管が必要な場合は、概ね3年前)

に公表するなど、平成 24 年度に計画の具体的な進め方を検討している。

「名古屋市公立保育所整備計画」では、平成 28 年度までの計画期間中に、民間

移管に着手する保育所の目標値を 20 か所としているが、この目標値は平成 24 年

度までに達成しており、平成 25 年度以降はさらに年3園ずつ民間移管対象の公立

保育所を追加して公表している。それにより、平成 26 年 10 月時点で5か所の移管

と1か所の統廃合を完了したほか、平成 27 年度及び平成 28 年度に移管を予定して

いる公立保育所について、移管を引継ぐ6法人を選定し、公表している。

さらに、エリア支援保育所については、平成 26 年度にモデル事業を実施したと

ころである。

(注)エリア支援保育所とは、保育所のあり方として、保育サービスを提供していく行政区よ

りも狭い地域の単位として「エリア」という考え方に基づき、エリアごとに設置された、

保育所間や関係機関との連絡調整等において中心的な役割を果たす保育所をいう。

c 待機児童について

名古屋市のホームページによると、名古屋市の待機児童数は、平成 24 年は政令

指定都市の中で も多い数字であったが、平成 25 年より改善し、平成 26 年4月の

段階で0人として発表されている。

これは、急増した保育所待機児童対策として、平成 22 年度から平成 25 年度当初

までに3歳未満児の保育所等入所枠 2,816 人分を確保するなど、積極的な対策を進

めてきたことによるものである。

一方、平成 25 年度に実施した調査の結果、潜在的なニーズを含めた保育サービ

スの必要量は3歳未満児の約 35.8%であり、当分の間、保育所の入所希望者は増

加するものと推測される。

名古屋市は、少子化に伴い、長期的には保育所入所児童数が減少することが見込

まれるが、潜在的な保育ニーズの顕在化の状況を踏まえて、待機児童を解消し、継

続していくことができるよう、引き続き、保育所の整備を行っていくことが必要と

している。

d 発見事項(年度途中の待機児童及び潜在的待機児童対策について)

【意見】

172

下記【図表子-イ-1】によると、平成 24 年度及び平成 25 年度ともに4月から

10 月にかけて待機児童数が増加している。平成 26 年度においても、4月時点での

待機児童数は0人であるが、10 月には 85 人となり、年度途中の入所については、

未だ待機児童問題は解消されていないと考えられる。

また、待機児童の定義については、厚生労働省「保育所関連状況取りまとめ」に

下記のとおり記載されている。これによると、入所申込を提出する前の段階で、入

所をあきらめてしまっているような潜在的待機児童については含まれていない。

<改善提案>

今後も引き続き、年度途中の待機児童及び潜在的待機児童につき、継続した対策

を検討されたい。

【図表子-イ-1】名古屋市の待機児童数の推移 (単位:人)

平成 24 年 平成 25 年 平成 26 年

4月 10 月 4月 10 月 4月 10 月

1,032 1,556 280 497 0 85

(資料源泉:厚生労働省保育所関連状況取りまとめ)

厚生労働省 保育所関連状況取りまとめ(平成 25 年4月1日)

(参考1:保育所入所待機児童の定義)

調査日時点において、入所申込が提出されており、入所要件に該当しているが、入所してい

ないものを把握。

(注1)保護者が求職中の場合については、一般に、児童福祉法施行令

(昭和 23 年政令第 74 号)第 27 条に該当するものと考えられるところであるが、

求職活動も様々な形態が考えられるので、求職活動の状況把握に努め適切に

対応すること。

(注2)広域入所の希望があるが、入所できない場合には、入所申込者が居住する

市町村の方で待機児童としてカウントすること。

(注3)付近に保育所がない等やむを得ない事由により、保育所以外の場で適切な

保育を行うために実施している。

① 国庫補助事業による家庭的保育事業、特定保育で保育されている児童

② 地方公共団体における単独保育施策(いわゆる保育室※・家庭的保育事業に類するもの)

において保育されている児童

③ 国又は地方公共団体よりその運営に要する費用について補助を受けている認定こども園

のうち、幼稚園型又は地方裁量型の保育所機能部分で保育されている児童(②の地方公共団

体における単独保育施策分を除く。)については、本調査の待機児童数には含めないこと。

※いわゆる保育室とは

173

児童福祉法(昭和 22 年法律第 164 号)第 24 条第1項ただし書の適切な保護を行うため、都

道府県又は市区町村が、認可外保育施設の設備や職員配置等に関する基準を設定し、当該基

準を満たすことを条件として、その運営に要する費用について補助を行う等する認可外保育

施設をいう。

(注4)いわゆる”入所保留”(一定期間入所待機のままの状態であるもの)の場合について

は、保護者の保育所への入所希望を確認した上で希望がない場合には、除外することができる

こと。

(注5)保育所に現在入所しているが、第1希望の保育所でない等により転園希望が出てい

る場合には、本調査の待機児童数には含めないこと。

(注6)産休・育休明けの入所希望として事前に入所申込が出ているような、入所予約(入

所希望日が調査日よりも後のもの)の場合には、調査日時点においては、待機児童数には含

めないこと。

(注7)他に入所可能な保育所※がある(保育所における特定保育事業含む)にも関わらず、

特定の保育所を希望し、保護者の私的な理由により待機している場合には待機児童数には含

めないこと。

※ 他に入所可能な保育所とは、

(1) 開所時間が保護者の需要に応えている。(例えば、希望の保育所と開所時間に差異が

ないなど)

(2)立地条件が登園するのに無理がない。(例えば、通常の交通手段により、自宅から20

~30分未満で登園が可能など)

(6) 市営

市営

る低所

また

き国の

(ア)

a

営住宅等(市

営住宅とは、

所得者層等に

た、定住促進

の補助を受け

名古屋市の

a 市全体の公

名古屋市の

約 48%を占

また、名古

合が高い。

【図表市-1】

そして、上

1位大阪市、

設の総量の多

市営住宅 28

、国の補助

に賃貸・転貸

進住宅とは

けて建設し

の市営住宅等

公共施設の状

の公共施設の

めている。

古屋市は大阪

主な政令指

上図に記載の

、2位神戸市

多さにもつな

81 施設、定

を受けて名

貸する住宅

、「特定優良

たもので、

等の概況

状況からみ

の延床面積約

これは、名

阪市や神戸市

定都市の公共

の政令指定都

市、3位名古

ながってい

174

定住促進住宅

名古屋市が建

宅である。

良賃貸住宅の

中堅所得者

た市営住宅

約1,000万

名古屋市の施

市と並んで市

共施設の構成

(資料源泉

都市について

古屋市となっ

ることも伺

宅 39 施設)

建設及び借上

の供給の促進

者層に供給す

宅等

㎡のうち市

施設分類の中

市営住宅等が

成比

泉:「名古屋市

て市民1人あ

っており、市

伺える。

上げを行い、

進に関する法

する住宅であ

営住宅等は

中で も多い

が公共施設全

市公共施設白

あたり延床面

市営住宅等の

、住宅に困

法律」等に

ある。

は約482万㎡

い。

全体に占め

書」)

面積を比べ

の多さが公

窮す

基づ

あり、

る割

ると、

共施

175

b 市営住宅等の状況について

老朽化の状況についてみると、築 40 年以上経過している施設の割合は、名古屋

市の公共施設全体では、延床面積ベースで約 23%であるのに対し、市営住宅は約

25%であり、大きな差はない。また、定住促進住宅はすべての施設が築 30 年未満

となっている。

また、入居率は市営住宅 92%、定住促進住宅 93%であり、高い入居率を維持し

ている。

【図表市-2】市営住宅等の状況

市営住宅 定住促進住宅

施設数 281 施設 39 施設

総延床面積 4,605,312 ㎡ 193,030 ㎡

平均築年数 29 年 19 年

築 40 年以上経過している割合 25% 0%

入居率 92% 93%

(資料源泉:「名古屋市公共施設白書」)

(イ) 市営住宅等に対するニーズの充足状況について

a 市営住宅等に対する需要の状況について

市営住宅等に対するニーズについては、入居率が 90%以上である。また、応募

倍率についても 15 倍前後で推移しているとのことであり、市営住宅等自体に対す

る需要は高い状況にあるといえる。

b 発見事項(市営住宅等の満足度調査について)【意見】

市営住宅等について、満足度調査の実施状況・実施結果についてヒアリングした

ところ、市営住宅等の指定管理者・管理代行者である名古屋市住宅供給公社におけ

る窓口対応についての満足度調査は実施されているが、市営住宅等自体の満足度調

査は実施されていないとのことであった。

なお、窓口対応についての満足度調査は、毎年度、約3か月間に渡り住宅供給公

社の窓口において、来客者にアンケート用紙を記入させる形式で実施されている。

調査結果で「悪い」とあった回答は 0.2%とごく少なく、窓口対応の満足度調査の

結果からは特段問題は認識されなかった。

<改善提案>

住環境に関するよりよい公共サービス提供の観点から、窓口対応に関する満足度

調査のみならず、住宅管理業務に関する満足度調査を実施することが望ましい。

(ウ) 市営住宅等の維持更新等について

a 維持修繕の状況について

維持修繕の状況についてヒアリングを行った。

176

維持修繕については、国土交通省のマンション管理指針に基づく適切な修繕周期

に近づけようとしているが、予算制約などもあり遅れているのが現状である。

計画的な修繕に努めようとしているところではあるが、予算がつくか分からない

ことにより、あまり先々の計画までは策定が困難なのが現状ということであった。

基本的には、予算がついた範囲で、古いところから順番に、という計画となってい

る。

とはいえ、人命に関わるレベルの要修繕箇所については補正予算を組むなどして

対応している。

b 発見事項(更新(建て替え)にかかる財政負担について)【意見】

建て替えの状況についてヒアリングを行った。

市営住宅等の建て替えについては、概ね 40 年以上経過している昭和 45 年度以前

に建設された住棟を含む団地から順次建て替えを進めている。

計画については、建て替えを実施する団地ごとに、建替事業に入る前に建て替え

計画を策定しているが、実際には入居者の移転先が確保できるなど、条件が整った

ところからとなるので、長期的な計画を策定することは難しいのが現状である。ま

た、修繕同様、建て替えについても予算の制約が生じることもあることからも、見

通しが立てづらいのが現状となっている。

なお、市営住宅等の保有量に関しては、人口や世帯数の動向などから早急に減少

させることは困難な状況であり、概ね現状維持の方向であるとのことである。

確かに、現状でも市営住宅等の入居率や応募倍率は高く、市営住宅等の保有量を

急激に減らすことは考えにくいところではある。

一方で、先述のとおり、名古屋市は大阪市や神戸市と並んで特に市営住宅等の多

い政令指定都市となっており、それが名古屋市の公共施設保有量の高さにもつな

がっている。

この大量の市営住宅等については、建設時期が昭和 50 年前後に特に集中してい

る。

市営住宅等の保有量について、現状維持とすることを前提とした場合、安全性の

観点からも、順次建て替えを進めていくことは避けられないと考えられるが、今後

も順次建て替えを進めていく場合、これら昭和 50 年前後に大量にに建設された市

営住宅等の建て替えを集中的に行う必要が生じ、財政的に対応が困難な状況に陥る

ことが想定される。

<改善提案>

市営住宅等の保有量について、現状維持とすることを前提とした場合、昭和 50

年前後に建設された大量の市営住宅等の建て替えによる財政負担を緩和するため、

市営住宅等についての長寿命化を計画的に実施していくことは有効である。

市営住宅等の長寿命化に際しては、「アセットマネジメント推進プラン」(平成

177

24 年3月)において明記されている、市設建築物全体についての長寿命化の推進

にかかる方針も踏まえていくことが適切と考えられる。

また、例えば大規模団地の建て替えなどに際して、状況に応じて余剰敷地を生み

出し売却等につなげるなど、財政負担を緩和する手法を検討することも必要である。

今後、他の政令指定都市に比べて市営住宅等の保有量が大きいことにも鑑み、適

正な市営住宅等の保有量水準について検討していく必要があると考えられる。

(7) 医療福祉施設

ア 医療福祉施設全体の分析

医療福祉施設の多くは、市民が社会生活を営むうえで必要な生活環境水準の確保を

目的とした施設であり、老人福祉法・身体障害者福祉法等で受益者負担の基準が決定

されている。従って、基本的に収支はマイナスとなるが、料金設定の問題は対象外と

なる。

ただし、設置自体の必要性やその規模・数については検討の余地があり、複数設置

されている老人福祉施設、障害者福祉施設を中心に分析を実施する。

(ア) 管理形態について

医療福祉施設の平成 26 年度以降の管理形態は、下記【図表医-ア-1】のとおり

である。

専門学校は市立中央看護専門学校が直営にて管理されている。

その他の施設については概ね指定管理制度を導入しているが、救護施設や医療保

護施設及び特別養護老人ホームに関しては公共性が高く直営により管理している。

【図表医-ア-1】医療福祉施設の管理形態(平成 26 年度以降)

中分類 小分類 施設数 管理形態

医療施設 専門学校 1施設 直営

社会福祉施設 保護施設等 4施設 直営2、指定管理2

その他 3施設 直営2、指定管理1

障害者福祉施設 障害者福祉施設 2施設 指定管理

老人福祉施設 福祉会館 16 施設 指定管理

老人ホーム 7施設 直営2、指定管理5

その他 4施設 指定管理

(資料源泉:アンケート結果を基に監査人集計)

(イ) 平成 25 年度の収支

平成 25 年度の医療福祉施設の小分類別の1物件当たりの収支(小分類別収支合

計÷物件数)は、下記【図表医-ア-2】平成 25 年度医療福祉施設(直営)小分類

別収支及び【図表医-ア-3】平成 25 年度医療福祉施設(指定管理)小分類別収支

178

のとおりである。

【図表医-ア-2】平成 25 年度医療福祉施設(直営)小分類別収支

(単位:千円)

中分類 収入 支出 収支

小分類

医療施設

専門学校 71,973 507,003 -435,030

社会福祉施設

保護施設等 1,178,269 2,904,387 -1,726,118

その他 97 143,517 -143,420

老人福祉施設

老人ホーム 983,185 1,307,203 -324,018

合計 2,233,524 4,862,110 -2,628,586

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

179

【図表医-ア-3】平成 25 年度医療福祉施設(指定管理)小分類別収支 (単位:千円)

中分類 収入 支出

指定

管理料 収支

小分類

社会福祉施設

保護施設等 8,130 2,415 168,658 -162,943

その他 1,317 14,794 22,848 -36,325

障害者福祉施設 1,439,297 1,597 2,926,015 -1,488,315

老人福祉施設

福祉会館 323 83 580,724 -580,484

老人ホーム 410,868 - 1,074,544 -663,676

その他 72,111 37,197 384,936 -350,022

合計 1,932,046 56,086 5,157,725 -3,281,765

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

【図表医-ア-4】平成 25 年度医療福祉施設(直営)施設別収支 (単位:千円)

小分類 収入 支出 収支

施設名

専門学校

市立中央看護専門学校 71,973 507,003 -435,030

保護施設等

厚生院(救護施設・医療保護施設) 1,147,692 2,390,868 -1,243,176

植田寮 30,577 513,519 -482,942

その他

中文化センター 55 71,373 -71,318

西文化センター 42 72,144 -72,102

老人ホーム

厚生院(特別養護老人ホーム) 953,094 1,185,919 -232,825

寿楽荘 30,091 121,284 -91,193

合計 2,233,524 4,862,110 -2,628,586

【図表医-ア-5】平成 25 年度医療福祉施設(指定管理者)施設別収支 (単位:千円)

小分類 収入 支出

指定

管理料 収支

施設名

保護施設等

熱田荘 45 2,415 27,071 -29,441

笹島寮 8,085 0 141,587 -133,502

その他

総合社会福祉会館 1,317 14,794 22,848 -36,325

180

小分類 収入 支出

指定

管理料 収支

施設名

障害者福祉施設

総合リハビリテーションセンター 1,439,243 3,767 2,727,224 -1,291,748

障害者スポーツセンター 54 12,204 198,791 -210,941

福祉会館

都福祉会館 19 37 34,972 -34,990

高岳福祉会館 22 0 37,625 -37,603

上飯田福祉会館 0 0 38,788 -38,788

天神山福祉会館 2 0 37,522 -37,520

名楽福祉会館 7 46 41,611 -41,650

前津福祉会館 24 0 37,159 -37,135

八事福祉会館 6 0 36,634 -36,628

瑞穂福祉会館 26 0 35,798 -35,772

熱田福祉会館 16 0 34,043 -34,027

中川福祉会館 9 0 32,798 -32,789

港福祉会館 86 0 37,101 -37,015

笠寺福祉会館 38 0 36,602 -36,564

守山福祉会館 3 0 36,515 -36,512

緑福祉会館 44 0 36,890 -36,846

名東福祉会館 21 0 32,879 -32,858

天白福祉会館 0 0 33,787 -33,787

老人ホーム

寿荘 62,108 0 373,485 -311,377

清風荘 117,264 0 207,015 -89,751

安田荘 78,471 0 174,630 -96,159

緑寿荘 72,190 0 151,697 -79,507

きよすみ荘 80,835 0 167,717 -86,882

その他

老人いこいの家 0 0 4,882 -4,882

休養温泉ホーム松ケ島 69,118 0 195,004 -125,886

高年大学城学園 2,634 36,810 100,550 -134,726

高齢者就業支援センター 359 387 84,500 -84,528

合計 1,932,046 70,460 5,157,725 -3,296,139

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

イ 利用状況

(ア) 老人福祉施設(福祉会館)

も設置数が多い施設は老人福祉施設である。老人福祉施設は,「地域の老人に

対して,各種の相談に応ずるとともに,健康の増進,教養の向上及びレクリエーショ

181

ンのための便宜を総合的に供与し,もつて老人に健康で明るい生活を営ませること

を目的とする。」(老人福祉センター設置運営要綱)施設であり、老人福祉法第 14

条に基づき設置されている。

名古屋市では福祉会館が 16 施設設置されている。収支の状況については、「老人

福祉センターの利用は、原則として無料とする。」との厚生労働省からの通達(老

人福祉法による老人福祉センターの設置及び運営について 昭和意 52 年8月1日)

に基づき無料としていることから、運営費は原則市の負担となっている。現在福祉

会館は1区1施設を設置しているが、平均利用者数は増加傾向にあるため、短期的

に削減が必要とされる状態ではないと考えられる。

【図表医-イ-1】福祉会館平均利用者数 (単位:人)

名称 平成 21 年度 平成 22 年度 平成 23 年度 平成 24 年度 平成 25 年度

福祉会館平均 43,402 46,128 46,373 46,830 46,983

(イ) 老人ホーム

名古屋市では平成 23 年度までに清風荘、安田荘、緑寿荘、きよすみ荘(軽費老

人ホーム)への指定管理者制度の導入をすすめ、軽費老人ホームは全て指定管理施

設となっている。

【図表医-イ-2】老人ホームの利用状況 (単位:人)

施設名 利用者 定員 充足率

寿荘 227 250 90.8%

清風荘 147 160 91.9%

安田荘 100 100 100.0%

緑寿荘 90 100 90.0%

きよすみ荘※ 101 130 77.7%

※単身者 100 名 夫婦 15 組の定員

(注)利用者数は期中平均を記載している。

182

【図表医-イ-3】老人ホームの利用者数の推移 (単位:人)

施設名 平成 21 年度 平成 22 年度 平成 23 年度 平成 24 年度 平成 25 年度

寿荘 236 228 221 220 227

清風荘 140 145 147 147 147

安田荘 97 99 99 99 100

緑寿荘 60 56 72 90 90

きよすみ荘 73 74 89 101 101

きよすみ荘に関しては夫婦枠がある関係で充足率が他施設より低くなっている

が、各施設とも高い充足率となっており、経年でも安定的に推移している。今後も

高齢化が進行する中、事業の継続の必要性が高い施設といえる。

その他の施設については、高年大学城学園、休養温泉ホーム松ケ島が過去の外

部評価によりその設置意義が問われた施設であり、個別往査対象として検討してい

る。

高年大学

(ア) 施設の

高齢者

61 年4月

「教

ての

学生

学習

学習

施設の概要

項目

所在地

建物概要

建築年

施設概要

設置目的

管理形態

所管課

外観

城学園

の概況

者の生きがい

月に開学して

養講座」「専

自立をめざ

会の諸活動

、友情と連

と自主活動

いづくりと、

ており、下記

専門講座」を

ざすとともに

動やクラブ活

連帯、組織運

動の成果を、

名古屋市中区

鉄骨鉄筋コン

地上 15 階、地

平成7年

集会室、ホール

高齢者の教養

への参加の促進

指定管理

健康福祉局高齢

1

、地域活動

記3点を教

を通して、

に、専門分野

活動・クラス

運営などの体

「社会参加」

栄1丁目 23

クリート造

地下3階(5

ル、図書室、

の向上を図り

進に寄与する

齢福祉部高齢

183

の核となる

育目標に掲

現代社会に

野に関する知

ス活動などの

体験を深める

」に結びつ

概要

番 13 号

階、7階~

その他

り、生きがい

るため

齢福祉課

(資料

人材の養成

掲げて運営し

について理解

知識や技能を

の「自主活動

ること。

けること。

9階が高年大

を高めるとと

源泉:名古屋

成を目的とし

している。

解を深め、個

を高めること

動」を通して

大学城学園

ともに、社会

屋市公共施設

して昭和

個人とし

と。

て、相互

会的活動

設白書)

<指

(イ)

a

【図表

指定管理者>

項目

指定管理者名

導入年度

指定期間

選定方法

指定管理料

監査の結果

a 継続の必要

(a) 概況

高年大

り、出願

ね競争率

表医-ウ-1】

【図表医-ウ-

入学金

授業料

実習・設備

園芸学科

陶芸学科

高年大

り、平成

成 26 年

に伴い指

社会福

平成 1

平成 2

公募

100,5

要性

大学城学園

願者および応

率は 1~3 倍

出願者数と倍

-2】授業料等

備負担金

科(専攻)

科(専攻)

大学城学園

成 25 年度に

年度以降は

指定管理料が

福祉法人名古

18 年度

22 年4月~平

550 千円(平成

園は名古屋市

応募倍率は

倍程度あり、

倍率

等の状況

平成 25 年度

園の運営コス

においては 1

【図表医-ウ

が減額され

184

古屋市社会福祉

平成 26 年3月

成 25 年度決算

市内在住の

【図表医-ウ

高齢者のニ

(資料源泉:

度入学者まで

10,0

20,0

2,0

4,0

ストと収入

134 百万円の

-2】のとお

る予定であ

概要

祉協議会

算額)

60 歳以上市

ウ-1】のとお

ニーズがある

城学園ホー

で 平成 26

00

00

00

00

は図表【図表

の市の負担が

おり授業料等

る。

市民を対象

おりである。

る施設といえ

ームページ「

(単位

6年度入学者

4

1

3

表医-ウ-3

が生じている

等の値上げ及

とした施設

。各学部と

える。

学園の資料」

位:円)

者より

0

48,000

18,000

32,000

】のとおり

る。ただし

及び定員の

であ

も概

であ

、平

増加

185

【図表医-ウ-3】平成 25 年度決算 (単位:千円)

項目 平成 25 年度 備考

使用料収入 2,634 城ホールの使用料

その他収入 0

収入合計 2,634

指定管理料 100,550

施設運営費 36,810 水道光熱費等(市が負担)

費用合計 137,360

収支 -134,726

学生一人あたり費用 120,915 円 定員 1,136 名

市民一人当たり費用 60.6 円平成 26 年4月1日人口

(2,268,217 人)

【図表医-ウ-4】今後の指定管理料(予定)(単位:千円)

指定管理料

平成 26 年度 86,593

平成 27 年度 62,793

平成 28 年度 60,102

平成 29 年度 60,102

(資料源泉:収支見通し)

(注1)授業料収入は利用料として学生等利用者から指定管理者が徴収し、事業の実施

に充当していることから市の収入には記載されない。

(注2)平成 26~27 年度は楽陶館のガス窯改修費(4,115 千円)を含んでいる。

一方で、高年大学城学園は、平成 23 年に行われた行政評価(外部評価)に

て廃止の判定を受けている。

【図表医-ウ-5】高年大学城学園行政評価(外部評価)(平成 23年 10 月実施)の結果

判定結果 内訳 市民判定員の主なコメント

廃止 廃止 9 個人の集まり、老人クラブの活動で十分、地域還元されていな

い、対象者が限られている、他施設でできる

見直し 8 自己負担額引き上げ、対象年齢引き上げ、市の類似施設共用

継続 -

行政評価(外部評価)の結果は、高齢者のニーズには合致しているものの、

市民全体の税金を投入して運営することに対してのコンセンサスが得られて

いないことを示している。すなわち、平成 19 年度の行政評価(事務事業評価)

において市は「学んだ人だけでなく、卒業後には地域へとその効果が波及しま

186

す。」として高年大学城学園の公共性を評価しているが、市民にはそのよう

な効果が伝わっていないという意識のギャップがあったものと考えられる。

この結果を受け、市長の諮問機関である名古屋市社会福祉審議会にて有識者

を交え、今後のあり方を協議し「今後の高齢者の生きがい施策のあり方につい

て」(平成 25 年 10 月)にて方向付けが行われた。

そこで、今後の超高齢化社会に対する貢献の可能性を見据えて、「継続」と

しながら、料金の引き上げや、カリキュラムの見直しにより、運営経費を半減

し、公費負担を縮減しつつ、より目的に沿った施設となるよう見直しが行われ

ている。

具体的な見直し内容および平成 26 年度の目標数値は次のとおりである。

【図表医-ウ-6】具体的な見直し内容および平成 26 年度の目標数値

見直しの

ポイント 見直し前 見直し後

定員の拡大 24 クラス、1,136 人(1学年 568 人) 32 クラス、1,520 人(1学年 760 人)、(約

3割増加)

プログラムや学

科の内容の再編

・10 学科

・教養講座及び専門講座

・4コース 10 専攻に再編

・地域活動につながる講座・実習を必須

とする。

社会的活動につ

なげる仕組みづ

くり

授業料:年額 20 千円

入学金:10千円

<実習・設備負担金>

園芸学科:2千円

陶芸学科:4千円

陶芸クラブ:11 千円

授業料:年額 48 千円

入学金:なし

<実習・設備負担金>

園芸専攻:年額 18 千円

陶芸学科:年額 32 千円

陶芸クラブ:年額 56 千円

学科担任の見直

教授 10 名

教授は廃止し講師は全て外部講師

・外部講師を調整する学務主任(コーディ

ネーター)を8名設置

運営経費の縮減 - 教授の廃止により 48,000 千円の削減。た

だし、外部講師の増加およびコーディ

ネーターの設置により 45,524 千円増加。

(資料源泉:今後の城学園のあり方について(案))

【図表医-ウ-7】目標数値

平成 23 年度

実績

平成 24 年度

実績

平成 25 年度

実績

平成 26 年度

目標

城ホール稼働率(%) 59.5 57.1 59.2 70

ボランティア活動延べ人数

(人)

20,852 23,760 27,473 25,000

満足度調査(%)(満足+や

や満足)

91.8 89.1 87.4 93

(資料源泉:平成 26 年度事業計画)

187

(b) 発見事項(今後の城学園の事業評価とカリキュラムについて)【意見】

平成 26 年度より実施されている上記の見直しは、収支の改善のみならず、

カリキュラムの見直しによる設置目的達成のための対応も図られている点で

全体的には評価できる内容であると考えられる。

だたし、城学園の重要な存在意義のひとつであると考えられる「地域活動

を推進するリーダー層の育成」という目的について、市が継続する以上はその

効果を市民に示す必要がある。しかし、ボランティア活動の延べ人数という指

標のみでは、そのような効果を示すには十分とは言えない。

また、専攻について、現状市は入学希望者を広く募り、学園生活の中で社会

参加の意識を醸成することを目的とし、地域貢献と専攻を直接的に関連させて

はいないため、特段このような観点から廃止した専攻はない。しかし、地域貢

献と直接的な関連が薄い美術・陶芸などの専攻が存在することは、市民から施

設の設置目的に対する疑念を生む余地がある。

<改善提案>

卒業生の進路、活躍の場をどこに広げていくのか、具体的な像を示し、それ

を評価指標として加えていくことが望まれる。例えば、現在指標としているボ

ランティア活動の参加人数のほか、卒業後の地域活動(老人クラブの役員や区

政協力委員・民生委員等への就任など)を指標のひとつとして設けていくこと

が考えられる。

専攻ごとの卒業生の動向や市民の意見を注視しつつ、専攻の再編やカリキュ

ラムの見直しも継続的に実施していくことが望まれる。

b 管理運営方法

(a) 概況

平成 18 年度より指定管理者制度を採用している。期間はいずれも4年間と

されている。

(b) 発見事項

管理運営方法について、指摘・意見とすべき事項は発見していない。

c 指定管理者の選定手続

(a) 概況

指定管理者の選定は公募により行われている。過去は複数団体の応募があっ

たものの、社会福祉法人名古屋市社会福祉協議会が選定されている。また、平

成 25 年度における選定では社会福祉法人名古屋市社会福祉協議会のみが応募

し、指定管理者として選定されている。応募期間や選定手続において特段問題

は発見していない。

188

(b) 発見事項(事業者選定における競争性の確保について)【意見】

仕様書および審査書類を閲覧した結果、指定管理者の選定手続自体に問題は

発見されなかったが、指定申請が1者のみであり十分に競争性が確保されてい

るとはいえない状態である。

<改善提案>

指定申請が1者に留まった理由について、過去の申請者や説明会参加者へヒ

アリングを行う等により、次回選定時の仕様書作成や募集手続きに役立てるこ

とが望まれる。

d 規模・施設数

(a) 概況

高年大学城学園は、伏見ライフプラザ内に集会室、ホール、図書室を有す

るほか、陶芸専攻の実習用施設である楽陶館(社会福祉法人名古屋市社会福祉

協議会より無償貸与)、園芸専攻の実習施設である体験農場(賃借)を拠点とし

ている。平成 26 年度より募集定員を大幅に拡大し、施設の有効利用を図って

いる。また、城ホールは一般の利用も受け付けているほか、楽陶館では自主

事業を実施しており、学生以外にも利用されている。

城ホール

城ホールの稼働率は【図表医-ウ-8】のとおり6割弱となっている。ホー

ルは高年大学城学園が利用しない時間は一般の利用も可能であるが、多くは

減免利用する市の関連団体の利用であり、有料利用は 8%に留まっている。

【図表医-ウ-8】城ホールの利用状況

(b) 発見事項(城ホールの利用状況について)【意見】

城ホールの稼働率は6割弱とやや低い水準となっており、特に有料利用者

については1割未満となっている。

<改善提案>

恵まれた立地であるにも係わらず、一般利用の少ない原因として、城学園

の利用が優先されることのほか、城学園の施設の一部であり一般的な認知度

学園利用 減免利用 有料利用 稼動合計 開館コマ数

コマ数 152 366 84 602 1,017

稼働率 15% 36% 8% 59%

189

が低いことが考えられる。

他の市施設における広告等を行う等の対策を行い、一般利用の拡大を図るこ

とが望まれる。

e 受益者負担

(a) 概況

城学園は「a 継続の必要性」にて記載したとおり、平成 26 年度より授業

料および定員を見直している。具体的には名古屋市の受益者負担基準にもとづ

き、受益者負担割合 50%を目安とした見直しを行っている。

陶芸と園芸については実習場を別途設置しており、個別負担額があるため、

それを加味した受益者負担割合を試算する。

【図表医-ウ-9】収支状況と受益者負担割合 (単位:千円)

内訳 陶芸 園芸 その他

費用

個別人件費 19,150-

-

個別物件費 7,127 3,101

-

共通費(人件費+物件費) 3,015 7,236 101,302

共通費(賃料等) 1,097 2,632 36,848

計 30,389 12,969 138,150

収入

陶芸クラブ 実習設備等負担金 1,680-

-

自主事業収入(楽陶館) 6,000-

-

自主事業収入(共通) 50 121 1,687

授業料収入 6,400 6,336 64,512

収入合計 14,130 6,457 66,199

差引 (収入-費用) -16,259 -6,512 -71,951

受益者負担割合(収入÷費用) 46% 50% 48%

(注 1)平成 26 年度収支計画をもとに試算している。ただし、平成 27 年度より新しい定員数での

運営となるため、収入は平成 27 年度以降の試算額としている。

(注 2)陶芸専攻は、楽陶館における自主事業収益を含めて試算している。

(注 3)共通費については、定員数で配賦している。ただし、陶芸学科はカリキュラムの半分が楽

陶館での実習となることから、定員数の半数で配賦している。

なお、平成 25 年度における楽陶館(陶芸の実習場)の自主事業実績は以下

190

のとおりである。

【図表医-ウ-10】楽陶館(陶芸の実習場)の自主事業実績

回数 平成 25 年度

受講料

参考

平成 26 年

度受講料

対象 募集人数 参加者

(うち卒業

生)

夏休み子ど

も陶芸教室

3回 2,500 円 7,000 円 名古屋市在住

の小学3年生

~中学生

各コース 40 名

(2コース)

49 名(-)

39 名(-)

陶芸教室入

門コース

8回 6,500 円 16,000 円 市内在住の 60

歳以上の陶芸

初心者

30 名(2コー

ス)

30 名(-)

30 名(-)

陶芸教室研

究コース

12

2,400 円

24,000 円 市内在住の 60

歳以上の陶芸

経験者

35 名(3コー

ス)

70 名(53)

70 名(50)

70 名(39)

交流陶芸体

験教室

( 試 行 事

業)

1回 名東区上社民

生委員児童委

員協議会の「ふ

れあい教室」参

加者

40 名 24 名(-)

高齢者陶芸

体験コース

2回 天白区社会福

祉協議会「高齢

者はつらつ長

寿推進事業」参

加者

各回 40 名 31 名(-)

40 名(-)

(b) 発見事項(陶芸専攻の受益者負担について)【意見】

施設存続の検討にあわせて、受益者負担のあり方についても見直しを行った

点は評価できる。

負担額の見直しにより平成27年度以降は概ね50%程度の受益者負担が見込

まれている。陶芸専攻においては、固有の施設を有しており比較的運営コスト

が高く計上されるため、平成 26 年度より、授業料に加え実習料・自主事業の

受講料についても大幅な値上げを行った結果、試算上は 46%の受益者負担と

なっている。ただし、楽陶館では1基 400 万円程度(耐用年数は 30 年程度)

の窯を2基有しており、その負担も加味すれば、実際の名古屋市の負担割合は

より高いものと考えられる。

<改善提案>

楽陶館における受益者負担割合をさらに高めるためには、実習費や自主事業

参加料の更なる値上げ、または自主事業を増加させることが考えられるが、学

生利用と自主事業等による利用のない日にも作品の管理等が必要であり、これ

191

以上の利用日増加は困難であるとのことであった。

利用日数の増加が困難である以上、利用料金を見直していく必要があるが、

実習費や自主事業受講料については値上げによる定員割れの懸念もある。まず

は、受益者負担割合について当初の計画値が達成されるか継続的な確認を行い

つつ、他の専攻との受益者負担割合のかい離を 小化していくことが望まれる。

f 老朽化対策

(a) 概況

城学園が入居する伏見ライフプラザは平成7年に建設され築 19 年の建物

である。現状、建物躯体の顕著な老朽化はないが、設備について一部の監視装

置については制御機器部品の供給が終了し、調達が困難となっている。

(b) 発見事項

緊急度に応じて予算要求を実施し、修繕が速やかに行われることを前提とし

て、老朽化対策について、指摘・意見とすべき事項は発見していない。

g その他契約及び管理に関する事項

指摘・意見とすべき事項は発見していない。

h モニタリング

(a) 概況

モニタリングチェックシート(平成 25 年度)を閲覧したところ、「指定管理

者制度の運用に関する指針」別冊「指定管理者制度導入施設における管理運営

状況の点検・評価について」の記載事項に従って記載が行われていることを確

かめた。

(b) 発見事項

「a継続の必要性」に記載の意見(今後の高年大学城学園の事業評価につ

いて)を除き、モニタリングについて、指摘・意見とすべき事項は発見してい

ない。

エ 休養

高齢

養施設

して、

用に関

(ア)

指定管

養温泉ホーム

齢者や障害者

設を運営す

、昭和 55 年

関する業務を

施設の概要

項目

所在地

建物概要

建築年

施設概要

設置目的

管理形態

所管課

外観

管理者

項目

指定管理者名

導入年度

指定期間

選定方法

指定管理料

ム松ケ島

者、ひとり

ることによ

年に建設され

を行ってい

三重県

鉄筋コ

地上2

昭和 5

休養ホ

高齢者

指定管

健康福

株式会

平成 1

平成 1

成 26

公募

195,0

親家庭の方

り、利用者

れた施設であ

る。

県桑名市長島

コンクリート

2階

55 年

ホーム(共用

者や障害者等

管理

福祉局高齢福

会社トヨタエ

18 年度

18 年4月~平

年4月~平成

(1社のみ)

004 千円

192

方などを対象

者の休養と心

ある。具体的

島町松ケ島 70

ト造

用棟)

等が低廉な料金

福祉部高齢福祉

エンタプライズ

平成 22 年3月

成 30 年3月

象に、低廉な

心身の健康の

的には、宿泊

概要

00 番地の 12

金で利用でき

祉課

(資料源泉

概要

月,平成 22 年

な料金で利用

の増進を図る

泊(2泊まで

きる保健休養

泉:名古屋市

年4月~平成

用できる保

ることを目

で)及び休

養施設

市公共施設白

成 26 年3月、

健休

的と

憩利

書)

193

(イ) 監査の結果

a 継続の必要性

(a) 概況の説明

休養温泉ホーム松ケ島(以下「松ケ島」という。)は、平成 23 年度の行政評

価(外部評価)において、廃止を含む見直しとの意見を受けた。それを受け、

「平成 23 年度及び平成 24 年度外部評価実施事業の取組方針について(平成

24 年 12 月)」において健康福祉局は以下のとおり取組方針をまとめている。

「社会福祉審議会における「現行の設備のままでは高齢者や障害者にとって

十分ではない状況や、設備の老朽化の状況、名古屋市における公共施設の維持

管理・更新の考え方を踏まえ、一定の期間を置いた上での施設の廃止はやむを

えない」との意見具申を踏まえ、当面、指定管理者制度による運営を継続する

が、主要な設備の多くが耐用年数を経過しており、リニューアル改修には多額

の経費を要するため、設備の老朽化の状況を見極めながら廃止する。」

主な設備の老朽化に関して、市が指定管理者及び指定管理者が契約するメン

テナンス業者に依頼した調査結果は次のとおりである。

194

【図表医-エ-1】 主な設備の耐用年数

(資料源泉:平成24年度「休養温泉ホーム松ケ島の設備老朽化について」)

多くの設備が老朽化しているが、市がリニューアル改修を見積もったところ、

12 億円であった。実際は入札等で実施されるため、同額の負担とはならない

が、実施する場合には多額の負担は避けられない。

(b) 発見事項(松ケ島の廃止時期の決定について)【意見】

現在、松ケ島をいつまで使用し続けるか具体的な廃止時期は決まっていない

調査時点 : 平成24年5月調査方法 : 指定管理者及び指定管理者が契約するメンテナンス業者に調査を依頼「評価」欄の基準 A : 現状で問題はない。

B : 現状で問題はないが、今後故障等が発生する可能性がある。C : 耐用年数が経過し、問題が生ずる可能性がある。

設備名称 仕様 設置年 経過年数 法定耐用年数 現状状態と突発時に想定される影響 評価冷温水発生機 GLB-150H 1996年 16年 20年 2010年にオーバーホール実施。現状問題ありません。 A

冷却塔SKB-150T/HPRS

1996年 16年 15年耐用年数を過ぎております。機器の故障(漏水、送風機不良)により、冷房運転不可となります。

C

冷却水配管 SGP-B(白) 1996年 16年 20年現状問題ありませんが、今後配管より漏水等が考えられます。よって冷房運転不可となります。

B

空調機※AHU-1 宿泊系統

SH-5 2010年 2年 20年 2010年に更新工事実施。現状問題ありません。 A

空調機※AHU-2 ロビー系統

FU-25 1980年 32年 20年 2010年にオーバーホール実施。現状問題ありません。 A

空調機※AHU-3

DH-13 1980年 32年 20年耐用年数を過ぎております。機器の故障(漏水、送風機不良)により、冷房、暖房運転不可となります。

C

ファンコイル※客室、廊下

1996年 16年 15年耐用年数を過ぎております。機器の故障(漏水、送風機不良)により、冷房、暖房運転不可となります。

C

ファンコイル※共用部

1980年 32年 15年耐用年数を過ぎております。機器の故障(漏水、送風機不良)により、冷房、暖房運転不可となります。

C

ダクト 亜鉛鉄板 1980年 32年 30年耐用年数を過ぎております。ダクトの損傷(穴あき、変形)により、冷房、暖房運転不可となります。

C

冷温水配管 SGP-B(白) 1980年 32年 20年耐用年数を過ぎております。配管より漏水及びスケールによる詰りが考えられます。よって冷房、暖房運転不可となります。

C

熱交換器※EX-1,2

LP-800A04 1980年 32年 20年耐用年数を過ぎております。機器の故障(送風機不良)により、空調機1,2への外気導入不可となります。

C

給水配管 VLP-VA 1980年 32年 25年耐用年数を過ぎております。配管より漏水及びスケールによる詰りが考えられます。よって断水となります。

C

給湯ボイラ SKT-E2504G 1999年 13年 15年 2010年に分解整備実施。現状問題ありません。 A

給湯配管 SUS302 1980年 32年 30年耐用年数を過ぎております。配管より漏水及びスケールによる詰りが考えられます。よって浴室シャワー等使用不可となります。

C

排水配管 排水用鋳鉄管 1980年 32年 40年 現状問題ありません。 Aろ過設備※大俗槽系統

DS-50EF-08 1992年 20年 15年現状問題ありませんが、今後劣化により漏水等が考えられ、浴槽水循環不能となり、衛生上入浴不可となります。

B

ろ過設備※岩浴槽系統

DS-20EF-08 2000年 12年 15年現状問題ありませんが、今後劣化により漏水等が考えられ、浴槽水循環不能となり、衛生上入浴不可となります。

B

消火水槽コンクリート造モルタル防水

1980年 32年 - 現状問題ありません. A

配管 SGP-B(白) 1980年 32年 20年耐用年数を過ぎております。配管内に錆が発生し、劣化により配管から漏水が考えられます。

C

火災報知受信機FCS111受第54-6-1号

1980年 32年 15年耐用年数を過ぎ、メーカーより部品供給も停止され修理不可通知が出て、故障時は未警戒となります。

C

副受信機 1980年 32年 15年 上記内容に追従。 C放送 非常放送設備 WL6000 1980年 32年 12年 上記内容に追従。 C電話 自動交換機 CX2510 1980年 32年 20年 2012年7月に更新工事の予定 C

人用 エレベーター油圧エレベーター積載重量750㎏定員人数11名

2010年 2年 17年2010年にリニューアル工事を実施現状問題ありません。

A

荷物 ダムウェーダー貨物用昇降機フロア型二方口積載重量200kg

1980年 32年 17年耐用年数は過ぎております。現状不具合や劣化の傾向は見られないが、故障時使用不能が考えられます。

C

その他 厨房 冷凍冷蔵庫1987年~

1995年

25年~

17年6年

耐用年数を大きく過ぎ、経年劣化と部品供給不能により、故障時は使用不可となります。

C

区分開閉器 SOG-D801 1997年 15年 15年耐用年数を過ぎております。故障により停電の恐れがあります。復旧に時間がかかる可能性が有ります。

B

配電器 屋内キュービクル 1980年 32年 15年耐用年数を過ぎております。機器の故障により停電の恐れがあります。

C

遮断器 VBB-410 2009年 3年 20年 現状問題ありません。 A

三相変圧器 SL-NT150kVA 1980年 32年 20年耐用年数を過ぎております。故障により停電の恐れがあります。復旧に時間がかかる可能性が有ります。

C

単相変圧器 SL-NS100kVA 1980年 32年 20年耐用年数を過ぎております。故障により停電の恐れがあります。復旧に時間がかかる可能性が有ります。

C

高圧進相コンデンサ SBF-66050RN 1980年 32年 15年耐用年数を過ぎております。故障により停電の恐れがあります。復旧に時間がかかる可能性が有ります。

C

自家発電装置 PG-55 1980年 32年 -経年による劣化が考えられます。機器の故障により停電時送電できない恐れがあります。

C

通信

搬送

電気 電源

区分

機械

空調

衛生

その他

防災

消防

自火報

25 年度

改修済

195

状況で運営を続けている。そのような状況の中、多くの設備が耐用年数を経過

するなど老朽化をしている。特に【図表医-エ-2】にあるように大浴槽給湯タ

ンク(バラシングタンク)や空調機(大広間用空調)は、漏水が発生したり、

機器自体の腐食が進んでいたりする状況である。それらが機能不全に陥ること

になれば、施設の運営そのものに支障が出る可能性がある。

また、具体的な廃止時期を決定しないことは、継続的に使用していく設備の

改修等の判断を正確に行うことが困難となる。そのため、不要な支出を行う可

能性がある一方で、十分な投資や改修ができないことによる業務サービス水準

の低下や安全性の確保についても問題が発生する可能性を高めることになる。

<改善提案>

松ケ島は、現状においても、利用率、利用者満足度の高い施設である。廃止

までは、必要な設備の更新、改修等を行う必要性があることからも廃止時期に

ついてできるだけ早期に結論を出すことが望まれる。

【図表医-エ-2】 劣化状況(応急保全候補施設の緊急度調査について)

設備名 大浴槽給湯タンク 空調機

写真

状況 大浴槽給湯タンク(バランシングタ

ンク)の保温材は押しつぶれた状態

となり、外装のステンレスラッキン

グ材もデコボコ状態となっている

ため、保温効果が低くなっていると

考えられます。又、タンク内部のス

テンレス接続部や管取付部に腐食

が進み、錆塊が発生、それを除去す

る事により、穴明きが起き漏水する

と、大浴場の湯張りが不可能となる

恐れがあります。

空調機③は、設置後 31 年が経過し、

耐用年数が過ぎています。(計画更

新年数 20 年)これまで、年2回保

守点検を実施しているが、ドレンパ

ンなどの腐食により漏水が数回発

生しています。また、機器全体の劣

化による故障が起きれば冷暖房運

転が不可能状態となる恐れがあり

ます。

(資料源泉:応急保全候補施設の緊急度調査について)

196

b 管理運営方法

(a) 概況の説明

松ヶ島は指定管理者制度を採用しているため、施設の管理運営は現在、指定管理

者である㈱トヨタエンタプライズが実施している。物品等の管理については、基本

協定書別添4「貸付備品の管理に関する事務取扱要項」において規定されている。

(b) 発見事項(備品小票の取り扱いについて)【指摘】

備品の管理状況について確認したところ、備品小票(シール)が指定管理者が

作成したものであり、市指定のものと違うものが使用されていた。また、業務用冷

蔵庫においては、備品小票を確認できなかった。

<改善提案>

備品小票については、貸付備品の管理に関する事務取扱要項第3において「貸

付備品には、備品小票(第 97 号様式)を付してこれを管理するものとする。」とさ

れており、適切な備品小票を使用するとともに、各備品については確実に分かり

やすい場所に備品小票を付するようにする必要がある。

c 指定管理者の選定手続

(a) 概況

松ケ島は指定管理者制度を平成 18 年度から導入しており、市の方針と同様

に4年ごとに公募で決定している。導入当初から株式会社トヨタエンタプライ

ズが選定されている。

(b) 発見事項

指定管理者の選定手続きについて、指摘・意見とすべき事項は発見されな

かった。

d 規模・施設数

(a) 概況

松ケ島は平成 25 年度において、時期的な変動はあるものの宿泊利用率は年

平均 80.5%と稼動率は高い。

(b) 発見事項

規模・施設数について、指摘・意見とすべき事項は発見されなかった。

e 受益者負担

(a) 概況および見解

松ケ島の利用は、1泊2食付きの宿泊と休憩(日帰り)となる。料金は次の

通りとなっている。

197

【図表医-エ-3】松ケ島の利用料金表(一人あたり料金)

区分 金額

(宿泊)

・60 歳以上の方(名古屋市に限らず)

・身体障害者手帳等をお持ちの方・自閉症状群の方及び付添い人

(付添い人は1名につき1名)

・被爆者健康手帳をお持ちの方

・ひとり親家庭の親子

・中学生

6,000 円

・一般の方 6,300 円

・小学生 5,600 円

・幼児(小学生未満) ※お食事(1,450 円)布団(400 円)は別

途料金が掛かります。

無料

(休憩)

・休憩料(小学生以上) 700 円

(資料源泉 松ケ島ご利用案内)

198

【図表医-エ-4】周辺の類似施設の利用料金表

施設名等 区分 金額

周辺の類似施設

温泉ホテル A

(桑名市長島町内)

60 歳以上の方(平日限定)

2 名 1 室・和室 8畳

(夕・朝食込)

8,250 円~

一般の方

2 名 1 室・和室 8畳

(夕・朝食込)

10,734 円~

B 健康保険組合保養所

(桑名市長島町内)

被保険者・家族(親戚等含む)・

OB・友人の方

和室・洋室

(夕・朝食込)

1室2,160円+

1人あたり5,730

円~

社外の方

和室・洋室

(夕・朝食込)

1室2,160円+

1人あたり6,270

円~

(資料源泉:各施設のホームページより)

松ケ島の宿泊料金(食事料金を含む)は周辺の類似施設に比べ安価である。

設備等の違いがあるため、一概に安価と言えない部分はあるが、名古屋市休養

温泉ホーム松ケ島条例の第一条に「高齢者、障害者、ひとり親家庭の母子等の

ための低廉で健全な保健休養の施設」とあるように、松ケ島の設置目的が高齢

者やからだの不自由な方、ひとり親家庭の方などを対象に、低廉な料金で利用

できる保健休養施設を運営することにより、利用者の休養と心身の健康の増進

を図ることを目的としていることから、利用料も抑えられている。また、市は

「老人休養ホームの設置運営について(昭和 40 年4月5日 社老第 87 号 各

都道府県知事あて 社会局長通知)」における「老人休養ホーム利用料標準」

(平成 10 年1月1日改定)と同額で宿泊料等を設定している。

【図表医-エ-5】老人休養ホーム利用料標準(鉄筋コンクリート造)(単位:円)

利用料

区分 宿泊料

食事料 合計

朝食 夕食 小計

老人 3,200 800 2,000 2,800 6,000

成人 3,500 800 2,000 2,800 6,300

小学校

児童

2,800 800 2,000 2,800 5,600

(注)上記の表に消費税は含まれない。

(資料源泉 老人休養ホームの設置運営について(昭和 40 年 4 月 5 日 社老第 87 号

各都道府県知事あて 社会局長通知))

199

(b) 発見事項(施設にかかる財政負担について)【意見】

平成 25 年度の指定管理者からの報告書によると、全利用者 20,347 人のうち

16,810 人(82.6%)を高齢者の利用で占められていて、さらに障害者・児、

母子・父子、その介護人を加えると 17,826 人(87.6%)となり、松ケ島の設

置目的に合致した利用状況となっている。これは、高齢者や障害者等が優先的

に予約ができることやそもそもの利用希望者数が多いことが原因として挙げ

られる。このような利用状況において、設置目的にあるように高齢者やからだ

の不自由な方、ひとり親家庭の方などを対象に、低廉な料金で利用できる保健

休養施設としての使命を果たしているといえる。

但し、低廉に抑えることはその分、市の負担が増すことになる。松ケ島は、

指定管理者制度を導入しているが、市は使用料(25 年度実績:69,118 千円)

を収入する一方、指定管理料(25 年度実績:195,004 千円)を支払っているこ

とから差引き 125,886 千円を市が負担している。さらに設備等の改修がある場

合には、それも市が負担している。

市の財政が厳しい中、経常的な負担に加え、さらに松ケ島の施設及び設備が老

朽化している状況から、今後多額の修繕、改修費の発生が想定される。今後の負

担と施設の利用方針を踏まえ、具体的な廃止の時期を決めた上で、廃止までに何

の設備をいつ更新もしくは改修をするかを決めるなど計画的に対応をすることが

求められる。

f 老朽化対策

「a 継続性の必要性」で記載しているため、省略する。

g その他契約及び管理に関する事項

特に記載すべき事項なし。

h モニタリング

(a) 概況

担当課である高齢福祉課と指定管理者である株式会社トヨタエンタプライ

ズの責任者は定期的にミーティング(平成 25 年度は 10 回)を行い、様々な改

善を実施している。担当者へのヒアリングを通しても、十分に業務を把握して

いることが確かめられた。

(b) 発見事項

モニタリングについて、指摘・意見とすべき事項は発見していない。

200

(8) 環境衛生施設

ア 環境衛生施設全体の分析

(ア) 管理形態について

環境衛生施設の平成 26 年度以降の管理形態は、【図表環-ア-1】のとおり、2

施設が直営で運営しており、みどりが丘公園は平成 26 年度から指定管理者によ

る運営となっている。

【図表環-ア-1】環境衛生施設の管理形態

中分類 小分類 施設数 管理形態

斎場・霊園 斎場・霊園 3施設 直営2施設

指定管理1施設

(資料源泉:アンケート結果を基に監査人集計)

(イ) 平成 25 年度の収支

平成 25 年度の度環境衛生施設(指定管理)施設別の収支は【図表環-ア-2】

のとおりである。

受益者負担の基準は斎場が 20%霊園は 50%となっているため、基本的には環

境衛生施設の収支は、全体的に赤字となる。みどりが丘公園についてはやや赤字

幅が大きくなっているが、現在も整備拡張中であり、収入の増加および管理の効

率化による収支改善が見込まれる。

【図表環-ア-2】平成 25 年度環境衛生施設施設別収支 (単位:千円)

小分類 収入 支出 収支

施設名

八事斎場 337,571 647,977 -310,406

八事霊園・愛宕霊園 149,179 164,751 -15,572

みどりが丘公園(墓園) 87,069 131,025 -43,956

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

(ウ) 利用者数の推移

過去5年間(平成 21 年度~平成 25 年度)の環境衛生施設の利用者数は、下記

【図表環-ア-3】のとおり、大部分が八事斎場・霊園の利用者数であり、概ね一

定である。

201

【図表環-ア-3】環境衛生施設の利用者数 (単位:人)

施設名 平成 21

年度

平成 22

年度

平成 23

年度

平成 24

年度

平成 25

年度

八事斎場 21,088 21,600 22,682 22,136 22,823

八事霊園・愛宕霊園 21,321 21,285 21,229 21,172 20,948

みどりが丘公園(墓園) 21,873 22,568 23,252 23,955 24,636

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

202

(9) 事業所等施設

ア 事業所等施設全体の分析

(ア) 管理形態について

事業所等施設の平成 26 年度以降の管理形態は、【図表事-ア-1】のとおり全て指

定管理制度を導入している。

【図表事-ア-1】事務所等施設の管理形態

中分類 小分類 施設数 管理形態

消防施設 消防施設 1施設 指定管理

その他 その他 1施設 指定管理

(イ) 平成 25 年度の収支

平成 25 年度の事業所等施設の小分類別の収支は、下記【図表事-ア-2】平成 25

年度事業所等施設(指定管理)小分類別収支のとおりである。

【図表事-ア-2】平成 25 年度事務所等施設(指定管理)施設別収支(一部)

(単位:千円)

小分類 収入 支出

指定

管理料 収支

施設名

消防施設

港防災センター - 2,008 42,345 -44,353

その他

オアシス21(栄バスターミナルと

地上公園の合算) 92,827 9,258 165,390 -81,821

(資料源泉:所管局へのアンケート結果より監査人集計)

203

(ウ) 利用者数の推移

過去5年間(平成 21 年度~平成 25 年度)の事業所等施設の小分類別の利用者数

の推移は、下記【図表事-ア-3】のとおりである。

【図表事-ア-3】港防災センターおよび栄バスターミナル利用者数の推移

(注)栄バスターミナル及び地上公園を含むオアシス 21 全体の利用人数である。

いずれも利用者数の大きな減少は見られない。港防災センターは平成 23 年度の

利用者数が大きく増加しているが、これは東日本大震災の影響で防災意識が高まっ

たため利用者数が一時的に増加しているものと考えられる。

なお、事業所等施設については、個別施設の検討を実施していない。

40,000

45,000

50,000

55,000

60,000

港防災センター利用者数の推移

港防災センター

10,00010,50011,00011,50012,00012,50013,00013,50014,00014,50015,000

オアシス21利用者数の推移

栄バスターミナル

(オアシス21)

(千人)

(人)

204

(10) 都市公園

(ア) 都市公園の概況

都市公園とは、都市公園法に基づいて設置される都市施設で、その設置及び管

理は地方公共団体が実施するものである。

市では、明治 42 年に鶴舞公園を第1号の都市公園として設置して以降、緑のま

ちづくりをすすめ、平成 26 年4月1日現在で 1,439(1,266.56ha)の都市公園を

有している。(資料源泉:都市公園の管理・運営について)

国営・県営も含めた都市公園面積について、平成 24 年4月1日時点の人口千人

あたりの規模をみると、名古屋市は0.69ha/千人であり、政令指定都市平均0.82ha/

千人よりやや少ない。

なお、名古屋市内には、国営都市公園はない。

205

【図表都-1】平成 24 年4月1日現在における主要都市比較

都市名

市(特別区)営 国・県(都)営都市公園計

人口(人)

人口千人あたり

の都市公園面積

(ha/千人)

都市公園 都市公園

数 面積(ha) 数 面積(ha) 数 面積(ha)

札幌市 2,684 1,864.58 2 480.40 2,686 2,344.98 1,904,615 1.23

仙台市 1,635 1,282.05 1 21.02 1,636 1,303.07 1,020,241 1.28

さいたま市 889 419.07 5 214.70 894 633.77 1,241,010 0.51

千葉市 1,008 704.10 4 165.40 1,012 869.50 958,518 0.91

東京都(注1) 7,528 3,482.87 81 2,102.34 7,609 5,585.21 13,175,079 0.42

横浜市 2,597 1,624.60 4 127.70 2,601 1,752.30 3,687,311 0.48

川崎市 1,064 537.10 1 11.02 1,065 548.12 1,432,374 0.38

相模原市

(注2) 584 219.44 3 73.70 587 293.14 714,845 0.41

新潟市 1,310 634.77 4 116.66 1,314 751.43 801,411 0.94

静岡市 474 384.66 1 23.80 475 408.46 721,967 0.57

浜松市 526 568.08 2 54.90 528 622.98 791,710 0.79

名古屋市 1,421 1,254.87 5 312.89 1,426 1,567.76 2,261,377 0.69

京都市 886 567.55 6 128.76 892 696.31 1,470,587 0.47

大阪市(注3) 978 861.16 4 77.30 982 938.46 2,670,992 0.35

堺市 1,138 553.04 4 140.30 1,142 693.34 842,642 0.82

神戸市(注4) 1,604 2,621.32 1 7.60 1,605 2,628.92 1,544,496 1.70

岡山市 457 1,091.59 2 49.06 459 1,140.65 701,629 1.63

広島市(注5) 1,078 784.03 3 80.87 1,081 864.90 1,177,934 0.73

北九州市 1,669 1,114.73 1 37.50 1,670 1,152.23 969,907 1.19

福岡市 1,616 962.82 6 364.05 1,622 1,326.87 1,483,052 0.89

熊本市 907 555.06 1 99.60 908 654.66 734,361 0.89

平均 1,526 1,051.79 7 223.31 1,533 1,275.10 1,919,336 0.82

(注1)東京都は平成 23 年4月1日現在である。

(注2)相模原市の人口は都市計画区域人口である。

(注3)大阪市の人口は平成 24 年2月1日現在である。

(注4)神戸市の人口・面積は平成 23 年 10 月1日現在であり、公園箇所数は、平成 24 年3月 31

日現在である。

(注5)広島市は平成 24 年3月 31 日現在である。

(資料源泉:名古屋市公式ウェブサイト名古屋市内都市公園面積等の推移より)

206

(イ) 施設の概要

平成 26 年4月1日現在で以下の都市公園がある。

【図表都-2】名古屋市内都市公園面積等の推移

年度

市営都市公園 県営都市公園 都市公園計

人口(人) 数 面積(ha) 数 面積(ha) 数 面積(ha)

20 1,372 1,220.16 5 312.35 1,377 1,532.51 2,236,844

21 1,387 1,232.92 5 312.4 1,392 1,545.32 2,249,315

22 1,399 1,237.61 5 312.4 1,404 1,550.01 2,253,470

23 1,410 1,247.69 5 312.4 1,415 1,560.09 2,260,879

24 1,421 1,254.87 5 312.89 1,426 1,567.76 2,261,377

25 1,428 1,257.80 5 312.89 1,433 1,570.69 2,262,176

26 1,439 1,266.56 5 313.11 1,444 1,579.67 2,268,217

(資料源泉:名古屋市公式ウェブサイト名古屋市内都市公園面積等の推移より)

(ウ) アンケート及びヒアリングにより把握された施設管理の概況

a 満足度調査の実施状況

市民意識を把握するためのネット・モニターアンケート、公園活用ニーズの調査

のため事業者ニーズ調査(電話アンケート調査、ヒアリング調査)など実施してい

る。

これらのアンケート結果を反映した「名古屋市公園経営基本方針」を平成 24 年

6月に策定・公表し、市民・事業者・行政のパートナーシップのもと、経営的な手

法で公園を 大限に活用していく公園経営の取り組みを推進している。

また、「名古屋市公園経営基本方針」を効果的に推進するため、優先的に取り組

むべき課題と戦略的展開をまとめた「名古屋市公園経営事業展開プラン」を平成

25 年7月に策定・公表し、今後 10 年をかけて事業展開を図ることとしている。

b 施設の維持更新等の計画策定状況

「アセットマネジメント推進プラン」(平成 24 年3月)において、公園を含む公

共土木施設は、どれも市民生活を支える社会基盤として欠くことのできないものと

位置づけ、さらに公共土木施設の中で優先度をつけて公共土木施設の維持管理に取

り組むこととしている。

また、「点検マニュアル」、「点検リスト」、「公園施設管理台帳」を整備し維持・

管理している。

【図表都-3】公共土木施設の取り組み優先度

優先度 位置づけ 取組方針

STEP1 ・社会に与える影響が大きい施設

・取り組み効果の大きい施設

個別施設維持管理計画

により具体的な取り組

207

み方針を定める

STEP2 STEP1 に該当しない施設で優先度の高い施設 計画の検討を進める

STEP3 STEP1 及び2に該当しない施設

区分 STEP1 STEP2 STEP3

道路施設 道路舗装

橋りょう

街路灯

街路樹

歩道橋 その他の施設

河川施設 ポンプ施設

雨水排水施設

河川護岸

公園施設 遊具 ナイター照明

公園橋

公園便所

(資料源泉:名古屋市アセットマネジメント推進プラン)

(エ) 発見事項

a 公園施設管理台帳の項目について【意見】

現在の公園施設管理台帳には設置年月日、部材、補修・点検履歴などの情報が記

載されており維持管理目的の台帳としては特に問題は発見されなかった。

ただし、金額情報などの記載がなく、今後このような資産の管理台帳は財政局で

整備が進められることとなるであろう固定資産台帳の基礎情報となることも考え

られる。

<改善提案>

固定資産台帳の整備にあたり再度必要な情報を集約することは非効率であるこ

とから、公園カルテ等の作成・情報収集の過程で固定資産台帳の基礎情報に求めら

れる情報(金額情報など)を把握できるようにすると共に、今後の台帳整備等を考

慮して財政局との効果的な連携をおこなっていくことが望ましい。

208

第5 監査の結果に添えて提出する提言

1 名古屋市のアセットマネジメントの取り組みについて

(1) 公共施設マネジメントをめぐる全国の状況

昨今、全国の地方公共団体において公共施設マネジメントの取り組みの必要性が叫

ばれている。その主な理由として、多くの地方公共団体において、高度経済成長期に

集中的に整備された公共施設の更新時期が、今後集中的に到来することが見込まれて

いることが挙げられる。公共施設の集中的な更新に当たっては、多額の財政負担を伴

うことが想定されるが、全国の地方公共団体の財政状況に目を向けると、高齢化の進

展に伴う社会保障費負担の増加や生産年齢人口の減少に伴う税収の減少が見込まれる

など厳しい状況にあり、公共施設の集中的な更新による財政負担に耐えることが困難

と見込まれるのが、この問題の深刻な点である。

一方で、更新のための財政措置ができないからといって老朽化を放置すれば、時に

人命にかかわりうる事故にもつながる。近年でも、平成 23 年3月に発生した東京九段

会館天井崩落事故により2人が死亡するなどが発生しており、現状でも既に必要なメ

ンテナンス(大規模改修や更新を含む)が追いついていないものもあることが懸念さ

れる。従って、公共施設老朽化への対策は、喫緊の課題であると想定される。

この他にも、少子高齢化の進展や、社会環境の変化に伴う住民ニーズの変化に対応

するために公共施設のあり方の見直しの必要性があると考えられることや、平成の大

合併により1つの自治体の中でも同一機能の施設が必要以上に重複している状況が見

受けられることなども、公共施設マネジメントが必要とされる背景として挙げられる。

こういった状況のなかで、いくつかの先進的な地方公共団体では、保有する公共施

設の現況と課題を明らかにするために公共施設マネジメント白書を作成するなど、公

共施設マネジメント取り組みが進められてきている。

そして、国も上述の状況に鑑み、全国的に対策を進めるための取り組みを進め始め

ている。主な国の取り組みとしては、以下のものがある。

① 総務省「公共施設及びインフラ資産の将来の更新費用の比較分析に関する調査」

平成 23 年度に、総務省が協力を要請した全国 111 の市区町村に対して、公共施

設等に係る将来の更新費用の比較分析調査を行った。平成 24 年 3 月にその調査結

果が「公共施設及びインフラ資産の将来の更新費用の比較分析に関する調査結果」

として取りまとめられた。

その中で、今後の公共施設及びインフラの更新費用の今後 40 年間における1年

あたりの見込み額は、現在の公共施設等の更新に要する経費の約 2.6 倍(加重平

均)にもなることが分かった。このように、このままでは公共施設等の必要な更

新投資が財政的に困難である可能性が数字により示された。

209

【図表5-1-1】総務省調査による全国 111 地方公共団体の将来更新費用の状況

公共

施設 道路

橋りょ

う 上水道 下水道 総合計

人口1人当たりの将

来の1年当たりの更

新費用の見込額

(千円/人)

全国平均値

(加重) 32.91 9.98 1.93 10.74 9.91 63.95

中央値 36.57 17.87 3.10 15.36 8.31 85.56

現在の既存更新額に

対する将来の1年当

たりの更新費用の割

合(%)

全国平均値

(加重) 243.6 194.5 507.3 363.4 283.1 262.6

中央値 361.5 414.1 1,130.9 521.1 1,073.1 417.9

現在の投資額に対す

る将来の1年当たり

の更新費用の割合

(%)

全国平均値

(加重) 107.3 94.5 286.4 230.0 83.9 113.1

中央値 152.1 175.9 381.0 326.9 71.8 152.7

(資料源泉:総務省「公共施設及びインフラ資産の将来の更新費用の比較分析に関する調査結果」)

② 国土交通省「社会資本の維持管理・更新に関し当面講ずべき措置」

平成 25 年1月、国土交通省において、国土交通大臣を議長とする「社会資本の老

朽化対策会議」を設置し、総合的・横断的に検討を進め、同年3月に、老朽化対策

の全体像を「社会資本の維持管理・更新に関し当面講ずべき措置」としてとりまと

めた。この中で、今後3か年にわたる当面講ずべき措置を工程表に取りまとめると

ともに、総点検と必要な修繕を速やかに実施し、平成 26 年度以降、長寿命化計画の

策定等を通じた本格的な PDCA サイクルへ移行すべき旨が示された。

③ インフラ老朽化対策の推進に関する関係省庁連絡会議「インフラ長寿命化計画」

平成 25 年 10 月に、国土交通省を中心とした関係各府省庁により「インフラ老朽

化対策の推進に関する関係省庁連絡会議」が設置され、同年 11 月には「インフラ長

寿命化基本計画」が示された。そこでは、個別施設毎の長寿命化計画を核としたメ

ンテナンスサイクルの構築、メンテナンスサイクルの実行や体制の構築等による

トータルコストの縮減・平準化、産学官の連携による新技術の開発・メンテナンス

産業の育成などが掲げられた。

また、国や地方公共団体の各機関などの各インフラを管理・所管する者は、イン

フラの維持管理・更新等を着実に推進するための中期的な取組の方向性を明らかに

する計画として、「インフラ長寿命化計画(行動計画)」の策定すべき旨、さらには

個別施設毎の具体の対応方針を定める計画として、「個別施設毎の長寿命化計画」の

策定すべき旨も示された。

【図表

(2) 名古

総務省「公

平成 26 年4

計画的な管理

請された。こ

な方針を示す

のとして、

た。

なお、この

けられる旨も

表5-1-2】

(資料源泉

なお、平

は全団体、

を策定予定

古屋市の取

これまでの

名古屋市に

たという経緯

更新時期を迎

公共施設等総

4月に、総務

理を推進する

この計画によ

すこととされ

「公共施設等

の計画は、上

も示された。

インフラ長寿

泉:総務省「公

平成 26 年 10

市区町村に

定であるなど

り組み状況

の取り組み

においても、

緯があり、今

迎えることに

総合管理計画

務省より各地

るための計画

より、所有施

れている。ま

等総合管理計

上記の「イン

寿命化計画と

公共施設等の

0 月1日時点

においても 9

ど、全国的に

~アセッ

、昭和 40 年

今後これらの

による財政負

210

画」

地方公共団体

画として、「公

施設等の現状

また、この計

計画の策定

ンフラ長寿命

と公共施設等

の総合的かつ

点の総務省調

99.7%の団体

に高い関心が

トマネジメ

年代から 60 年

の公共施設の

負担が懸念

体に対して

公共施設等

状や、施設全

計画の記載事

にあたって

命化計画(行

総合管理計画

つ計画的な管理

調査によれば

体において、

が示されてい

ントの取り

年代にかけて

の老朽化が

念された。

、公共施設等

総合管理計

全体の管理に

事項・留意事

の指針」も併

行動計画)」

理の推進につ

ば、都道府県

、公共施設等

いる。

り組み~

て公共施設が

進むことに

等の総合的

計画」の策定

に関する基

事項をまと

併せて通知

としても位

ついて」)

県及び指定

等総合管理

が整備され

により、集中

かつ

が要

本的

めた

され

置づ

都市

計画

てき

的に

【図

図表5-1-3】

名古屋

屋市アセ

に向けた

した。こ

■保有資産

化・抑制

■公共施設

なサービ

■保有資産

とともに

取り組む

また、

寿命化や

民との協

平成 2

政部にア

ジメント

】名古屋市の

屋市ではこれ

セットマネジ

た検討を行い

この基本方針

産を有効活用

制を図る。

設の計画的な

ビスを提供す

産の有効活用

に、「少子高齢

む。

当該基本方

や保有資産の

協働などの取

21 年度には

アセットマネ

ト推進検討委

の建築物の建

れに対応する

ジメント推進

い、平成 21

針で、次の基

用し、公共施

な維持管理(

する。

にあたって

齢化社会」な

方針の中で、

の適正な活用

取り組みが掲

、アセット

ネジメント推

委員会」を「

2

建築年度別延床

るため、平成

進検討委員会

年3月に「

基本理念が掲

施設の維持管

(更新を含む

、「環境首都

などへの対応

アセットマ

用、維持管理

掲げられた。

マネジメン

推進室が設置

「名古屋市ア

211

床面積

(資料源泉

成 19 年度に

会」を設置し

「アセットマ

掲げられた。

理を効率的

)によって、

都なごや」及

応の観点から

マネジメント

理の効率化、

ントの取り組

置された。ま

アセットマネ

泉:「名古屋

に庁内の検討

してアセット

マネジメント

に行うととも

、市民へ安心

及び「災害に強

、今後のまち

トの取り組み

集約化等に

組みを推進す

また、「名古

ネジメント推

屋市公共施設

討機関として

トマネジメン

ト基本方針」

もに、コス

心・安全はじ

強いまち」を

ちづくりと一

みとして、施

による再編整

するべく、財

古屋市アセッ

推進委員会」

白書」)

て「名古

ント導入

を策定

トの平準

じめ適切

を目指す

一体的に

施設の長

整備、市

財政局財

ットマネ

」に改組

212

し、基本方針に掲げられた取り組みの推進を図った。

そして、平成 24 年 3 月に、名古屋市の公共施設等の現状を明らかにし、今後の

維持管理・更新に関する基本的な事項を取りまとめた「基本計画」として、「アセッ

トマネジメント推進プラン」が策定された。このプランでは平成 24 年度から平成

33 年度までの 10 年間が計画期間とされた。このプランに基づき、長寿命化等のア

セットマネジメントの取り組みが進められている。

さらに、アセットマネジメント推進プランの計画期間以降(平成 34 年度以降)

においても老朽化の進展に伴う問題が続くことから、今後の公共施設に関する様々

な課題の解決に向けて議論を進めていくため、公共施設に関する情報や問題意識を

共有するべく、平成 26 年 3 月に「名古屋市公共施設白書」が作成された。この白

書では、名古屋市の市設建築物(公営企業のものを除く)を対象に、その現状を整

理・分析したものとなっている。

平成 26 年度においては、保有資産量適正化のための取り組みに向け、「市設建築

物再編整備の方針」の策定の取り組みを進められている。その中で、「名古屋市ア

セットマネジメント懇談会」の設置による有識者からの意見聴取や、市民アンケー

トなどが実施されている。

(3) 施設の保全とアセットマネジメント

名古屋市の「アセットマネジメント推進プラン」では、市設建築物についてのアセッ

トマネジメントの取り組みの3本柱を掲げ、その中の経費の抑制と平準化において「長

寿命化の推進」と「応急保全の実施」を掲げ進められているところである。

ア 長寿命化

新たに整備する施設は、原則として 80 年以上使用することを目標とした整備を行い、

既存施設についても改築に替えて構造体の耐用年数まで使用することを目標に、リ

ニューアル改修などの手法によって機能を向上または回復させることにより長寿命化

を進めることとしている。

【図表5-1-

応急保全

応急保全の

施設の

具合が発

す。

これま

数の古い

これらの

に必要な

移行して

(中略

実施に

障等の不

を活用し

リニュー

後 40 年

セミリニ

程度の場

的な更新

計画保全

ビスを提

響を及ぼ

4】長寿命化

の実施につい

の維持保全に

発生する前に

まで一般施設

い施設では標

の施設に対し

な 小限度の

ていきます。

略)

にあたっては

不具合の程度

し、現地の状

ーアル改修:

年程度の使用

ニューアル改

場合等におい

新・改修をま

全:建物の機

提供するため

ぼす前に計画

化のイメージ

いては、以下

に関しては、

に予防的に修

設では、劣化

標準的な更新

して施設を安

の保全(以下

は施設の種類

度、法令に基

状況に応じた

改築の代替

を目標とした

改修:セミリニ

いて、機能回

まとめて整備

能と性能を維

めに、時間と

画的・予防的

2

下のとおり説

劣化の状況

修繕・更新な

化や故障が起

新年数をかな

安全な状態で

下、「応急保全

類、築年数・

基づく公共建

緊急度など

替となるもの

た改修を行

ニューアル改

回復を主な目

備するもの。

維持しつつ、

とともに各所

的に改修また

213

説明されて

況を把握しつつ

どを行う計画

きてからの対

り経過した設

維持し、サー

全」という。)

設備の使用年

築物の定期点

から優先順位

ので、概ね築

うもの。

改修は構造体

的とし、内

、良好な状態

所で進む劣化

は更新を行

いる。

つ耐用年数も

画保全が望ま

対応が中心で

設備などもあ

ービスを継続

)を図り、そ

年数の指標に

点検制度によ

位をつけて計

40 年程度

体の残りの寿

外装や設備機

態で施設を運

や故障が他

うもの。

も考慮しなが

ましいとされ

であったため

あります。ま

続的に提供す

その後に計画

に加えて、劣

よる点検結果

計画的に進め

の時期に以

寿命が20 年

機器の部分

運営し、サー

の箇所に影

がら、不

れていま

め、築年

まずは、

するため

画保全へ

劣化・故

果報告書

めます。

すな

必要な

順位を

される

アセ

劣化状

定され

ここ

課程で

重要な

把握さ

この

勘案

れてい

設備が

確か

査人が

ではな

アセ

が施設

なって

そも

なわち、長寿

な修繕を行

をつけて計画

る。

【図表

セットマネ

状態係数、

れているこ

こで、劣化

で劣化度に

な指摘事項

されている。

のような劣化

して順次対応

いるとのこ

が壊れた状態

かに現状は

が現地調査

ないかと疑

セットマネ

設の管理・

ており、計画

もそも応急保

寿命化を行

い、そのう

画的に定め

5-1-5】応

ジメント推

施設の重要

とを把握し

状態係数は

はランク付

がある場合

化箇所につ

応を行って

とであるが

態である施

、劣化によ

した施設で

問を持った

ジメントの

運営上ある

画保全への

保全は施設

行う前提とし

えで計画保

るとのこと

応急保全の判

推進室にヒア

要度と被害損

た。

は、施設の定

けが行われ

合や保守部品

ついては、前

ており、 低

が、施設往査

設が見受け

り利用者の

では、利用者

施設もあっ

の趣旨に鑑み

べき姿と考

移行は未だ

設マネジメン

214

して、既に劣

保全へと移行

とであり、優

判定式

アリングを行

損失の度合い

定期点検等に

れている。平

品の調達が困

前記の判定式

低限利用者が

査の際も、経

けられた。

の安全にかか

者が快適に利

た。

みると、将来

考えられるが

だに手つかず

ントのスター

劣化の兆候が

行することと

優先順位は下

行ったところ

い、緊急度な

により把握さ

平成 26 年 4 月

困難なもの、

式に従い優先

が利用できる

経年劣化部分

かる深刻な被

利用できる状

来に備えた計

が、現状では

ずの状況にあ

ートラインに

がある施設設

とされている

下記の判定式

ろ、上記算定

などを加味し

されるもので

月 1 日現在、

故障中のも

先度の高いも

る状態を維持

分の修繕が十

被害は生じて

状態を維持で

計画保全を行

は応急保全の

ある。

に立つ以前の

設備につい

る。また、

式に従って

定式に従っ

して優先度

であり、把

、定期点検

ものなどが

ものから予

持すべく努

十分に行わ

ていないが

できていな

行っていく

のみでの対

の問題であ

ては

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て、

が判

握の

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複数

算を

めら

れず

、監

いの

こと

応と

って、

215

早急にこのような状態を脱する必要がある。

今後 10 年間で建築後 40 年を迎える施設が多く現れることにより、改修・改築等が

必要となる施設が急激に増加することも懸念される。名古屋市の試算では、 近 5 年

間の施設整備費の平均 434 億円に対し、今後 40 年間の必要とされる施設整備費の平均

は約 1.7 倍の約 748 億円とされており、特に平成 35 年頃より必要とされる施設整備費

が大幅に増加する見込みとなっている。

【図表5-1-6】将来の施設整備費の推移(長寿命化した場合の試算) (単位:億円)

(資料源泉:名古屋市公共施設白書)

今後、必要とされる施設整備費の増加に見合った財源が確保できなければ、改修や

必要な修繕を十分に出来ないこととなる。

例えば、応急保全の対象が更に増加していけば、いかに応急保全の優先度の算定を

適切に行っていても、不具合箇所に対して対応できる割合が低下し、劣化により利用

者の安全にかかる被害が生じることなどが懸念される。

このような状態から脱する方法として、適切に管理ができる水準まで施設全体をダ

ウンサイジングするという根本的な解決も求められる。アセットマネジメント推進室

においても、①施設の廃止・縮小を含めた保有資産量の適正化、②少子化・高齢化に

伴う社会的ニーズの変化に対応した施設機能の確保、を今後の課題としている。

そのような中、学校や住宅など、同質的な施設を多数保有する場合は、市民ニーズ

や人口動態にも留意しながら、身の丈にあった供給水準が確保されているか絶えず検

討していくことが考えられる。また、個別の施設において、現在一定の公共性や有効

性が認められる施設の場合であっても、今後の費用対効果を検討し、廃止・縮小・複

合化が適切な施設も存在するであろう。

施設の廃止・縮小を含めた保有資産量の適正化については、総論では賛成されなが

らも、いざ具体的な施設廃止の局面となると利用者等からの反対により計画が変更さ

れるということは往々にしてある。これは、効果(利用者の効用)と費用の問題が各

論においてはバランスよく議論されないことが原因と考えられる。

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

20 22 24 26 28 30 32 34 36 38 40 42 44 46 48 50 52 54 56 58 60 62 64

一般財源以外 一般財源

年平均748億円

434億円

年度(平成)

216

施設の保全レベルを維持するのに適切な資産保有量がどのレベルにあるかの試算や、

その保有量を達成できなかった場合の市民負担の影響はいくらであるか、について市

民への十分な説明をしつつ、それを個々の施設に落とし込みながら存続について判断

していくことが求められていくであろう。

(4) 公共施設マネジメント推進のポイント

以下は、公共施設マネジメントの取り組みにおいて、ポイントとなると監査人が思

案した事項について記載する。

ア 公共施設マネジメント計画期間について

「名古屋市アセットマネジメント推進プラン」では、上述したように、平成 33 年度

までの期間であることから、平成 33 年度を超える中・長期的な方針を策定される予定

とのことである。

しかし、公共施設の更新スパンは非常に長期(名古屋市においては 60 年から 80 年

で長寿命化を進められている)であることから、できるだけ長期的な見通しを立てる

ことが望ましいと考えられる一方、具体的な取り組みの計画については、長期的なも

のを策定することは困難かつ実効性の乏しいものになるとも想定される。

従って、具体的な取り組みについては 10 年程度の期間について策定するとともに、

より大まかな見通し(全体の数値目標など)については、長期的な見通しを立ててお

くにとどめるなど、期間によって計画の詳細度のレベルに濃淡をつけることも考えら

れる。

イ 公営企業の施設のアセットマネジメントの取り扱いについて

上下水道、交通、病院といった公営企業の保有する施設等のアセットの量は非常に

大きいと想定されるところであり、当然ながらその将来更新にかかる財政負担もばく

だいなものと考えられる。

参考までに名古屋市の新地方公会計制度に基づく財務書類(平成 24 年度)における

普通会計のみの公共資産と、市の全会計の公共資産の残高(取得価額ベース)を比較

すると、普通会計のみでは約 5.2 兆円(うち、減価償却累計額は約 1.7 兆円)、全会計

では約 9.1 兆円(うち、減価償却累計額は約 3.3 兆円)である。公営企業以外におけ

る公共資産の多くは普通会計に属すると想定されるところ、公営企業を含むか含まな

いかで対象となる公共施設等の規模に倍近い差がある可能性もある。

【図表5-1-7】公共資産残高

普通会計のみ 全会計

取得価額 5,232,474 百万円 9,096,548 百万円

減価償却累計額 1,661,806 百万円 3,251,659 百万円

帳簿価額 3,570,668 百万円 5,844,889 百万円

(資料源泉:名古屋市「平成 24 年度財務書類」)

217

公営企業は基本的に独立採算とされているものの、公営企業も含めた、地方公共団

体全体の公共施設等の現況を総括的に把握・分析することの意義は重要なものである

と考えられる。

また、別の視点として、全国的に高齢化が進んでいることから、病院施設の取扱い

はまちづくりのあり方を検討する上で非常に重要なポイントとなることが想定される。

公共施設マネジメントは施設の適正配置という面も検討のポイントとなり、例えば病

院施設と福祉施設とについて総合的にそのあり方や立地を検討するといったことも考

えられる。従ってそういった視点からも、公営企業の施設である、病院施設について

の検討も併せて行うことの意義は大きいものと考えられる。

ウ 各種の施設等関連計画との整合性と全庁的な取り組み体制について

地方公共団体の策定すべき公共施設に関する総合的なマネジメント計画は、人口や

財政の状況も踏まえて総合的に検討するものであり、全体の制約条件を示す性格もあ

るものと考えられる。一方で、各部署においても、施設のあり方にも関係する様々な

計画が策定されている。

これらの個々の計画と公共施設マネジメント計画とは、関係する部分について整合

性が図られていないと、その実効性が阻害されることも懸念される。従って、各種計

画においても、公共施設マネジメントの内容を十分に斟酌し、適宜修正等の対応をす

ることも考えられる。

そのような整合性を図る上では、問題意識の共有や、どのように整合性を確保して

いくかの検討を行っていくためにも、全庁横断的な検討組織において検討することが

有効と考えられる。そういった組織の活用による全庁的な意思の疎通を図ることが必

要と考えられる。

エ 市民周知について

公共施設マネジメントの取り組みを進めていく上では、取り組み対象となる施設等

の利用者である住民も利害関係者となる。特に、施設の集約化といった取り組みを進

めるにあたっては、場合によっては一部の市民の利用のあり方に影響することとなる

可能性もある。従って、そういった取り組みの必要性を理解してもらうためにも、住

民にも地方公共団体の公共施設等の現況と課題について認識を共有してもらうことが

重要となる。

公共施設白書等により、公共施設等の現況と課題について整理することのほか、例

えば市民シンポジウムの開催、ワークショップやタウンミーティングのような活動も

含めて地道な市民周知、さらには効果的な意見交換を図っていくことが考えられる。

オ 固定資産台帳を含む、地方公会計の取り組みとの連携について

平成 26 年5月には総務省から各地方公共団体に対して、通知「今後の地方公会計の

整備促進について」が出され、平成 27 年1月に固定資産台帳整備を前提とした、統一

218

的な基準に基づく財務書類等の作成を要請する予定である旨が示された。この通知の

中でも、固定資産台帳の公共施設マネジメントへの活用について触れられているとこ

ろである。

【図表5-1-8】今後の地方公会計の整備促進について

(源泉資料 総務省通知「今後の地方公会計の整備促進について(別紙2)」)

実際、固定資産台帳を公共施設マネジメントに活用することで、例えば以下のよう

なメリットがあることも想定される。

・適切に整備された固定資産台帳を活用することで、適切な情報に基づく取り組み

となることが担保される。

・固定資産台帳は基本的に全ての固定資産が対象となるところであり、建物本体の

みならず、建物の内部設備なども含めた検討(例えば、将来更新費用の試算など)

にも有用となる。つまり、取り組み対象の網羅性を確保する上で固定資産台帳の

利用は有用と考えられる。

・情報の一元化を図ることによって情報の整備や更新にかかる事務負担を軽減する

ことが期待される。

さらには、固定資産台帳や、複式仕訳に基づく公会計の情報を事業別や施設別に把

握できるようにすることで、より詳細な施設ごとの財務分析が可能となり、今後の施

設のあり方に関する検討に資するものと考えられる。

従って、固定資産台帳の作成や公会計の整備に当たっては、公共施設マネジメント

の取り組みへの活用も見据えて行うことが考えられる。また、そのためには公共施設

マネジメントの担当部署と、固定資産台帳や公会計の担当部署とで連絡を密にするこ

とが必要と考えられる。