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膵性糖尿病患者会について
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膵性糖尿病患者会
この患者会は、主に膵臓全摘手術を受けられた患者様、そのご家族を対象とした
患者会です。
膵臓全摘手術を受けると、血糖値を下げるインスリンホルモンを分泌することが
できなくなるため、インスリン注射が必要になります。
手術後、インスリン注射を行いながら生活を送られている患者様、またそのご家族
同士が、主に血糖コントロールに対するそれぞれの体験を共有することを目的として
います。
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第3回まで開催しています
第1回では皆さんで生活の工夫や病気に対する思いなど、参加者の皆さんで共有しました。第1回目のアンケートをもとに、第2回目には食事に関する内容を、患者さん・そのご家族が実際に実行されていることなどを医療者からの情報を交えてお話しました。
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第3回 膵性糖尿病患者会のご案内
暑い日々が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。第3回目の患者会の日程が決まりました。前回ご参加いただいた皆様のご意見から、医師によるミニレクチャーも交えた患者会を予定しています。今回も普段の生活の中で食事や血糖コントロールで工夫されていることなどを、同じように頑張っておられる方々と話ながら共有しましょう♪皆様のご参加をお待ちしております!
日時:2019年9月10日(火曜日) 15:30~16:30
場所:医療福祉支援センター 会議室
内容:1.ミニレクチャー
①消化器外科 安部智之医師「膵臓手術後の消化吸収にまつわるエトセトラ」
②糖尿病内科 児玉尭也医師「膵臓手術後のインスリン療法について」
2.参加者の皆さんとの交流(お茶を飲みながら話しましょう♪)
問い合わせ:医療福祉支援センター(担当:豊田)TEL 0848‐22‐8111
主催:消化器内科(花田先生) 糖尿病内科(児玉先生)
消化器外科(天野先生・安部先生) 薬剤師:堀川 管理栄養士:黒飛
代表:看護師 貞安
第3回は、消化器外科医師、糖尿病 内科医師によるミニレクチャーを交えた患者会を開催しました。ミニレクチャー後、医療者を交えてお茶を飲みながら、普段の生活について お話しました。今回は第3回でのレクチャー内容を 提示させていただきます。
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膵全摘患者さんの会~消化吸収、膵手術と術後合併症について~
2019年9月10日尾道総合病院 外科・消化器内科安部智之、天野尋暢、花田敬士
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膵臓の解剖学的位置関係
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膵液中の成分 膵液の主な働き
アミラーゼ 炭水化物を分解する酵素
トリプシン・キモトリプシン・エラスターゼカルボキシペプチダーゼ
タンパク質を分解する酵素
リパーゼ・ホスホリパーゼ 脂肪を分解する酵素
重炭酸塩酸性の消化物を中和し、膵液をアルカリ性に保つ電解質
膵臓は、1日約1500mlの膵液を分泌し,三大栄養素の炭水化物、タンパク質、脂肪を分解する消化酵素を含む
膵臓の機能① 外分泌能
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インスリン:血糖値を下げる
食事の後などに血糖値が上がると分泌され、ブドウ糖が筋肉や他の組織で利用される
のを促したり、ブドウ糖からグリコーゲンを作って肝臓に蓄えるなどして、血糖値を下げる。
グルカゴン:血糖値を上げる
血糖値が異常に低下したときに分泌され、脂肪や肝臓内に蓄えられているグリコーゲン
からブドウ糖を作り、血糖値を上げる。
ソマトスタチン:インスリンやグルカゴンの分泌を抑制する。
膵ポリペプチド:ソマトスタチンとともに、膵臓の内分泌機能を調節する。
膵臓の機能② 内分泌能
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膵尾部膵頭部 膵体部
腫瘍の局在により術式を決定している
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腫瘍
膵頭十二指腸切除PD, SSPPD, PPPD
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腫瘍
膵体尾部切除DP、LDP
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膵全摘切除TP
腫瘍
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消化吸収経路
胆管と空腸(小腸の一部)を直接つなぎ合わせることによって胆汁の流れを確保する。
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非アルコール性脂肪肝炎(時に劇症型肝炎)
術前 術後
• 膵切除術後の脂肪肝炎は、生活習慣由来とは全く異なります。
⇒膵切除による外分泌機能の低下が原因です。
• 膵酵素の補充(パンクレアチン、ベリチームなど)を継続して内服してください。
⇒劇症型脂肪肝炎の予防につながります。
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術後短期・長期成績に与える影響について検討
サルコペニア
神経変性疾患運動ニューロンの
機能低下
甲状腺機能低下内分泌ホルモン産生低下
悪液質(脂肪組織と筋肉が消耗する病態)
加齢性変化
吸収不全症候群
サルコペニア:筋肉量の減少、筋力低下、身体機能の低下した状態
尾道総合病院 肝胆膵チームの取り組み
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腹腔内脂肪量(青領域)/骨格筋(緑領域)のバランス(術前のCT画像)
腹腔内脂肪が少ない。
サルコペニアや肥満群
腹腔内脂肪が多い。
骨格筋が豊富 骨格筋が委縮
膵液漏が起こりやすい
膵頭十二指腸切除術後膵液漏発症に関する検討(術後短期成績)
バランス良好の群
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非サルコペニア群
非サルコペニア群
サルコペニア群サルコペニア群
術後年数
サルコペニア群の術後長期予後は不良であった。
術後年数
術前のサルコペニアや悪液質を改善することで、短期成績(膵液漏)や長期成績を向上する可能性が示唆された。
無再発生存率
全生存率
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術前栄養指導について
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術前1ヶ月
術前2週間
手術
術後1ヶ月
術後3ヶ月
栄養指導(リハビリ)
栄養指導リハビリ
栄養指導リハビリ
栄養指導(リハビリ)
栄養指導(リハビリ)
外来 外来入院
外来初回(初月は2回算定可)
入院初回(入院中2回算定可)
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NST入る?
術前だけでなく、手術後の栄養指導も今後行っていきます。
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糖尿病内科
児玉尭也医師より
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食事とインスリンの関係
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食事とインスリンの関係
➢持効型インスリン(グラルギン(ランタス)、トレシーバ、ランタスXR)
=食事の量と関係なく、同じ単位を注射
➢超速効型インスリン(ヒューマログ、ノボラピッド、アピドラ)
速効型インスリン(ノボリンR)
=食事の中の炭水化物の量に応じた単位を注射
=主食(米、パン、麺)の量が一定なら、毎日同じ単位でいい!
• 朝 お米を●グラム,昼 お米を▲グラム、夕 お米を■グラムと決めておくと、単位を変更しなくて良いので楽。
☆おかずをいっぱい食べても、お米を食べなかったらインスリンは少なくていいかも
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血糖値が高い時のインスリン
持効型インスリン(グラルギン(ランタス)、トレシーバ 、ランタスXR)
=血糖値と関係なく同じ単位を注射。
超速効型インスリン(ヒューマログ、ノボラピッド、アピドラ)
速効型インスリン(ノボリンR)
=血糖値が高い時は増やす、低い時は減らしても良い。
☆1単位多く打つと自分は血糖値が50くらい下がる、など経験を元に決める。
*実際は個人差も大きく、消化が遅い(ゆっくり血糖値が上がる。)・吸収が悪い(血糖値の上がりが小さい。)・運動(血糖値が下がる。)など、色々な要素で日々変わります。なかなか計算通りにはいかないです。大きな失敗をしないように、経験を元に微調整していくのが一番と思います。
超速効型インスリン=食事に応じたインスリン+高血糖時のインスリン追加
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シックデイルール(体調が悪い時など、食事がいつも通りに食べられない時)
持効型インスリン 1日1回 食前
ご飯が食べれなくても、いつも通りの時間に、いつも通りの単位を打つ。
超速効型インスリン 1日3回 毎食直前
*ご飯食べられなさそうな時は、食ベる前は打たない。
食後、食べれた“主食の量”に応じて単位を決定する。
・普段の7〜10割食べたら、食後すぐに、いつもの単位を打つ
・普段の3〜6割食べたら、食後すぐに、いつもの半分の単位を打つ
(0.5単位は切り捨て)
・普段の0〜2割しか食べれなかった時は、打たない
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最後に…
患者会後のアンケートでは
「同じような思いをされている人と話ができてよかった。」
「安心した。前向きになれた。」などの記載がありました。
患者様ご自身の体験やご家族の思いを共有し、生活に見合った血糖コントロールを一緒に考える患者会として続けていきたいと思っています。