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昭和⚒⚖年⚘月⚒⚗日 第⚓種郵便物承認 ⚒⚐⚑⚕年(平成⚒⚗年)⚑⚒月⚒⚕日(⚑⚐) 広島県医師会速報(第⚒⚒⚘⚕号) 改訂版発行!! アドバンス・ケア・プランニン 改訂版発行!! アドバンス・ケア・プランニン 広島県地域保健対策協議会 終末期医療のあり方検討専門委員会 委員長    本家 好文 広島県医師会 担当常任理事 小笠原英敬 ~ACPの手引きと私の心づもり~ 改訂版発行!! アドバンス・ケア・プランニン 改訂版発行!! アドバンス・ケア・プランニン はじめに ACPとはアドバンス・ケア・プランニング (AdvanceCarePlanning)の略語で、これから 受ける医療やケアについて本人の考えを家族や 医療者に表明し、文書に残す手順のことです。 今号には、今年度の広島県地域保健対策協議 会(以下、地対協)“終末期のあり方検討専門委 員会(委員長:本家好文広島県緩和ケア支援セ ンター長)”で作成した改訂版の「ACPの手引 き」「私の心づもり」とともに、ACP啓発のた めのチラシを同封しました。 この手引きの初版は、医師会速報第⚒⚒⚒⚑号 (平 成⚒⚖年⚓月⚑⚕日 号)や 第⚒⚒⚕⚘号(平 成⚒⚗年⚓ 月⚒⚕日号)でも送付したので、目にされたこと がある会員も多いのではないでしょうか。 昨年度は、安芸地区医師会・東広島地区医師 会のご協力を得て、モデル的に啓発事業を実施 していただきました。その中で、実際に地域住 民などが手引きや私の心づもりを手に取ってみ た感想やアンケート調査結果などから、これま でタブー視されてきた終末期や死に関する話を することや、医療やケアの希望を文書に残すこ とについて「賛成」と考える人が多いことが分 かりました。 また、手引きや心づもりについては、「字が小 さい」や「分かりにくい言葉がある」などのご 指摘をいただいたこともあり、今年度の改訂版 発行に至りました。 改訂版の手引きと私の心づもり 改訂にあたっては、ワーキンググループ (WG)を立ち上げて実際に地域住民の声を聞い た安芸地区医師会・東広島地区医師会の方をオ ブザーバに迎え、ご意見をいただきました。 平成⚒⚕年度に持っていた作成の方針はそのま まに、地域住民からいただいた声をなるべく反 映させる形にと考えました。 WGでの検討を経て、手引きの表紙はこれま で「水平線を昇る(沈む?)太陽と虹」でたく さんの方に認知をいただいておりましたが、今 回は一新して明るいイメージを優先させました (図⚑:ACPの手引き改訂版)。また、ACPとい う言葉の認知度がまだまだ低いため、表紙に定 義を記載し、アピールすることにしました。 図⚑:ACPの手引き改訂版 “私の心づもり”については、実際に患者と話 をする際の流れを再度検討して、各ステップで の内容を精査しました。特に持病のない健康な 方でも考えるきっかけとなるような構成に心が けました(図⚒:私の心づもり改訂版)。

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昭和 年 月 日 第 種郵便物承認 年(平成 年) 月 日( )広島県医師会速報(第 号)

改訂版発行!! アドバンス・ケア・プランニン改訂版発行!! アドバンス・ケア・プランニング

広島県地域保健対策協議会 終末期医療のあり方検討専門委員会委員長    本家 好文

広島県医師会 担当常任理事 小笠原英敬

~ACPの手引きと私の心づもり~改訂版発行!! アドバンス・ケア・プランニン改訂版発行!! アドバンス・ケア・プランニンググ

はじめに ACPとはアドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning)の略語で、これから受ける医療やケアについて本人の考えを家族や医療者に表明し、文書に残す手順のことです。 今号には、今年度の広島県地域保健対策協議会(以下、地対協)“終末期のあり方検討専門委員会(委員長:本家好文広島県緩和ケア支援センター長)”で作成した改訂版の「ACPの手引き」「私の心づもり」とともに、ACP啓発のためのチラシを同封しました。 この手引きの初版は、医師会速報第 号(平成 年 月 日号)や第 号(平成 年月 日号)でも送付したので、目にされたことがある会員も多いのではないでしょうか。 昨年度は、安芸地区医師会・東広島地区医師会のご協力を得て、モデル的に啓発事業を実施していただきました。その中で、実際に地域住民などが手引きや私の心づもりを手に取ってみた感想やアンケート調査結果などから、これまでタブー視されてきた終末期や死に関する話をすることや、医療やケアの希望を文書に残すことについて「賛成」と考える人が多いことが分かりました。 また、手引きや心づもりについては、「字が小さい」や「分かりにくい言葉がある」などのご指摘をいただいたこともあり、今年度の改訂版発行に至りました。

改訂版の手引きと私の心づもり 改訂にあたっては、ワーキンググループ(WG)を立ち上げて実際に地域住民の声を聞いた安芸地区医師会・東広島地区医師会の方をオブザーバに迎え、ご意見をいただきました。 平成 年度に持っていた作成の方針はそのま

まに、地域住民からいただいた声をなるべく反映させる形にと考えました。 WGでの検討を経て、手引きの表紙はこれまで「水平線を昇る(沈む?)太陽と虹」でたくさんの方に認知をいただいておりましたが、今回は一新して明るいイメージを優先させました(図:ACPの手引き改訂版)。また、ACPという言葉の認知度がまだまだ低いため、表紙に定義を記載し、アピールすることにしました。

図:ACPの手引き改訂版

 “私の心づもり”については、実際に患者と話をする際の流れを再度検討して、各ステップでの内容を精査しました。特に持病のない健康な方でも考えるきっかけとなるような構成に心がけました(図:私の心づもり改訂版)。

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広島県医師会速報(第 号)( ) 年(平成 年) 月 日 昭和 年 月 日 第 種郵便物承認

 これまで以上に気軽に手に取っていただきやすいものになったと考えています。

今年度の委員会の取り組み 平成 年度には、安芸地区医師会と東広島地区医師会で普及啓発を進めるモデル事業を実施いただき、活動報告から、ACPの取り組みそのものは一定の評価があるものの、両地区とも医師に対しての理解不足が課題となりました。 一方で、医師が診療の場で時間を取って患者と話し合う時間がないため、医療・介護・福祉関係者からの協力を依頼することも同時に進める必要があるとの指摘もいただいたところです。 今年度は全地区医師会へモデル事業の募集を行い、呉市・福山市・因島・安芸地区・佐伯地区・広島市東区の各医師会から手上げをいただき、現在医師会員向け、医療・介護・福祉関係者向け、一般市民向けそれぞれの普及啓発を行っていただいています。 これまで普及を中心に行ってきましたが、昨年度課題として挙げられた実際の運用などについて検討を行う必要があることもあり、現在協議を行っています。 普及啓発を行いある程度認知度や理解の高まっているモデル地区での運用をベースとし、医療機関だけでなく地域全体を巻き込んだ取り組みや、既存事業への組み込みなども含めて検討をしたいと考えています。

 昨年度、モデル事業を実施した東広島地区医師会・安芸地区両医師会からは、ケアマネジャーをキーパーソンと捉え、ケアマネジャーが介入するタイミングがACPの話をする望ましい機会であると考えており、実際にケアプランを検討する際の材料の一つとして捉える意見もありました。 その他、市町の地域支援事業でも終末期に関する事業が含まれているので、市町の行政職員に向けた啓発も必要ではないか、MSW(メディカルソーシャルワーカー)にも啓発をして退院時カンファレンスなどで話を取り入れてもらう動きもある、などの意見もいただいています。委員会として介入時期として適当と考えているのは以下のタイミングです。

 ①退院時(退院指導、退院時カンファレンスなど) ②介護保険申請時 ③ケアマネ・地域包括支援センターの介入時 ④施設への入所時 ⑤定年退職時 ⑥本人から希望があった時

 また、「私の心づもり」の保管方法として、原則本人保管とはなると考えていますが、記入した物をどこに保管するか、家族や代理の人が把握しておく必要があるとの指摘もあり、東広島などで実際に行われている「命の宝箱」の活用についても意見がありました。 こういった運用方法については、もう少し具体的に議論して、実践に入っていきたいと考えています。

おわりに 今後も引き続いて医師会会員諸先生方のご理解とご協力をいただきながら、ACPの普及を推進したいと考えています。 本委員会の取り組みはホームページや新聞など報道を通じて、少しずつ全国的にも知られるようになってきています。 改めて、本委員会の目標は「患者の価値観や思いについて話し合うことによって、より良い医療環境を築くことを目指すこと」であり、事前指示(Advance Directive)のように医療ごとの選択を聞こうとするものではなく、思いが変われば何度でも書き直し、話し合い、豊かな人生を送るツールとして活用いただきたいと願っています。

図:私の心づもり改訂版

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昭和 年 月 日 第 種郵便物承認 年(平成 年) 月 日( )広島県医師会速報(第 号)

委員長コメント 平成 年度、厚生労働省がまとめた「人生の最終段階における医療に関する意識調査」によると、人生の最終段階について「家族と話しあったことがある割合は %」「その結果を書面で意思表示する考え方に賛成が %」。しかし、実際に書面として作成している人は %という結果だった。多くの国民は、将来自分が受ける医療に関心はあるが、具体的なことを話し合ったり書き残せたりしていない。 改定版「ACPの手引き」「私の心づもり」は、文字の大きさ、文章の表現、イラストなどを、分かりやすく工夫した。今後は医療機関だけでなく、他の職能団体とも協力して、さらに普及を進めていきたい。 その結果として、患者の価値観や思いが周囲に伝わり、患者の意思が尊重された医療が受け

られる社会の構築を目指したい。

担当理事コメント もしもの時の備えて、自分の望む医療やケア、あるいは生き方についてあらかじめ考えて家族や医療者と共有するACPは、昨年度のモデル事業を通して一般住民の関心が非常に高いことが分かった。一方、医師側にはいまだ関心が低い状況であるが、地道に取り組んでおられる医療機関もある。今後ACPを普及させるためにはケアマネジャーや地域包括支援センターが重要な役目を負うようになるであろう。今回の手引きと心づもりの改訂版は旧版に比べてイメージも内容も分かりやすいものとなっているので、いろいろな職種の方にいろいろな場で利用していただき、豊かな人生を送る支援をしていただければと思う。

県地対協からの提供資料について 県地対協では以下の県内共通クリティカルパス、パンフレット、マニュアル等を作成しています。ご入り用の際は下記事務局までご連絡ください。【地域連携クリティカルパス】 ○乳がん患者さんのための「わたしの手帳 Ver.」  ○肺がん術後患者用「わたしの手帳 Ver.」 ○心筋梗塞・心不全 手帳 地域連携パス   ◯C型肝炎「わたしの手帳」       など【パンフレット・マニュアル】 ○「広島県内のダニ類媒介感染症~つつが虫病、日本紅斑熱、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」リーフレット ○医療従事者等における体液曝露事故後のHIV感染防止マニュアル ○予防接種の普及を目指して   ◯ACPの手引き ~私の心づもり~【報告書】 ○新型インフルエンザに関するアンケート調査報告書【事務局】広島県医師会地域医療課 電話: ‐ ‐  Eメール:[email protected]

医療従事者等における体液曝露事故後の

HIV感染防止マニュアル

平成27年2月改訂

2015年(平成27年)2 月25日広島県医師会速報 付録(第2255号)

広島県地域保健対策協議会(広島大学・広島県・広島市・広島県医師会)

(健康危機管理対策専門委員会)

医療従事者等における体液曝露事故後のHIV感染防止マニュアル

肺がん術後患者用「わたしの手帳 Ver.」

心筋梗塞・心不全 手帳地域連携パス

乳がん患者さんのための「わたしの手帳 Ver.」

予防接種の普及を目指して

新型インフルエンザに関するアンケート調査報告書

ACPの手引き~私の心づもり~

「広島県内のダニ類媒介感染症~つつが虫病、日本紅斑熱、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」リーフレット

※一部ホームページにて公開中 広島県 地対協 検索