共通科目Ⅲ 講義レジュメ - JSPO(公益財団法人日本 …共通科目Ⅲ...

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共通科目Ⅲ 講義レジュメ 1 指導者の役割Ⅱ ・・・P1 2 アスリートの栄養・食事 ・・・P4 3 スポーツの心理Ⅱ ・・・P7 4 身体のしくみと働き ・・・P10 5 トレーニング論Ⅱ①② ・・・P12 6 競技者育成のための指導法① 「競技力向上のためのチームマネジメント」 「競技力向上のための情報とその活用」 ・・・P14 6 競技者育成のための指導法② 「トップアスリートを育てるために~指導者が持つべき視点~」 「トップアスリートの育成・強化の方法とその評価」 ・・・P18 7 スポーツ指導者に必要な医学的知識Ⅱ(内科) ・・・P21 7 スポーツ指導者に必要な医学的知識Ⅱ(外科) ・・・P23 7 スポーツ指導者に必要な医学的知識Ⅱ(AT・・・P24

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共通科目Ⅲ 講義レジュメ

第 1章 指導者の役割Ⅱ ・・・P1

第 2章 アスリートの栄養・食事 ・・・P4

第 3章 スポーツの心理Ⅱ ・・・P7

第 4章 身体のしくみと働き ・・・P10

第 5章 トレーニング論Ⅱ①② ・・・P12

第 6章 競技者育成のための指導法① 「競技力向上のためのチームマネジメント」

「競技力向上のための情報とその活用」 ・・・P14

第 6章 競技者育成のための指導法② 「トップアスリートを育てるために~指導者が持つべき視点~」

「トップアスリートの育成・強化の方法とその評価」 ・・・P18

第 7章 スポーツ指導者に必要な医学的知識Ⅱ(内科) ・・・P21

第 7章 スポーツ指導者に必要な医学的知識Ⅱ(外科) ・・・P23

第 7章 スポーツ指導者に必要な医学的知識Ⅱ(AT) ・・・P24

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第1章 指導者の役割Ⅱ (2時間)

1.プレイヤーと指導者の望ましい関係 (1h30m)

【ポイント】

①導入も兼ね、参加者に講義を聴いてもらう姿勢作りのために、全員(多いと

きには一部)に質問する。その質問の内容は「指導者から見た望ましいプレイ

ヤー象とは? 指導者としてどういう時が一番嬉しいときか、またそれは何を

しているときか? 指導者としてどういう努力を日々しているか?」という質

問をする。質問の目的は、「やはり、指導者はあくまでもサポーターで、プレイ

ヤーが主体であることを再認識させる」こと。さらに、プレイヤーが主体的に

行動し指導者がサポーターである、「理想の関係」になり「より良い信頼関係を

構築」するためには、指導者の環境作りが欠かせないことも併せて気づかせた

い。そして、これらの前提として指導者のコミュニケーション能力が大前提で

あるということを強く訴えることで次の「コーチング」の説明につなげる。

②また、講演者は、(2)で取り扱う「コーチング」を説明時のための、見本&

模範となるようなインタビューを行う。そして、コミュニケーションには言葉

(Verbal)だけでなく、姿勢や態度(Visual)、声の調子・大きさ・抑揚など(Vocal)

も大切であること(コミュニケーションの3V)を説明する。

③「コーチング」が、スポーツ界だけでなくビジネス界でも部下のマネジメン

トスキルで導入されている背景と「コーチング」の理論を説明する。つまり、

参加者にプレイヤーのやる気を促し、ヴィジョンの明確化をするために「コー

チング」が有効であることを認識させる。

④コーチングスキルを説明しながら、参加者に1対1の2人1組もしくは1人

オブザーバーが参加しての3人一組でロールプレーを行ってもらう。ロールプ

レーの題材は「思い出のワンシーン」「指導者としての成功体験」とする。最後

のロールプレーは「指導者としてプレイヤーの信頼関係を築くためには何が必

要か?」とする。

⑤最後に、振り返りも兼ねて今後、継続&実行できることメモとして書いても

らう。そして、「わかる、理解する」と「できる、実行する」ということは違う

と認識させる。

講義の進め方についての留意点

・参加者が積極的に意見を言い、講義に参加するアクティブな形態にする。

・テキストは適宜参照する形で、ポイントを説明してください。

・自分や自分の知っている方のプレイヤーとして、指導者としての経験を適宜織

り交ぜる。

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<キーワード>

・プレイヤーが主体

・コミュニケーションとしてのコーチング

・コミュニケーションの3V

・「結果管理」ではなく「経過管理」

・オートクラインとレセプター

・コーチングスキル(観察、承認、質問、ペーシング、沈黙、提案)

2.ミーティングの方法(20m)

【ポイント】

・ミーティングもコミュニケーション(コーチングとの共通点を強調)。悪かっ

た点ではなく、良かった点を他のプレイヤーに話させる(個人スポーツの場

合は自分)。選手はどこが悪かったか自分が一番分かっている。単なる反省会

にしないように心掛ける。指導者は、中立的(ニュートラル)な立場で聴き

役に徹する。

<キーワード>

ミーティングとは全員に自分の口で話させること。

3.世界の頂点をめざすアスリートの育成・強化の在り方と指導者の役割

【ポイント】

(1)優れた国際競技力向上システムの原則について紹介する。

(2)競技力向上の枠組み(フレームワーク)における個々のプログラムの中身

(品質)と人材の活動の質が、競争の優位性を生み出すことを理解させる。

(3)競技者が、育っていく道筋(アスリート・パスウェイ)を理論的に整理

し、各人に適したスポーツを識別し、計画的なトレーニングによって競技

力を高めることの重要性についての理解を深める。

(4)指導者には、そのスポーツのピーク年代に向けて、対象となる競技者が

どの段階にあるのかを見極め、適切な指導を行う責任があることを再認識

させる。

(5)指導しているそれぞれのスポーツ(競技)における競技者育成プログラム

の重要性や内容を認識し、より良い指導内容があれば、それを積極的にプ

ログラム作成者(中央競技団体)に伝えていくことも重要な役割であるこ

とを理解する。

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<キーファクター>

・優れた国際競技力向上システムが持つ原則として、以下 の10項目を挙げてい

る。

・国際競技力向上システムのモテル

・0の公式(The Rule of 10)

・長期競技者育成(LTAD)モテル

・アスリート・パスウェイ

・タレント発掘・育成システム

・一貫指導システム の構築、競技者育成プログラム

第1章 指導者の役割Ⅱの留意点

・最初に行うインタビューにより、指導者にとプレイヤーの間にはコミュニケー

ションが大前提である。そして、自主的、自発的な望ましいプレイヤーになって

もらうために、「コーチング」スキルを使った環境作りが大切であることを認識さ

せる。

・実際にコーチングのロールプレーを行うことにより、「わかる」と「できる」の

間にあるギャップを体感してもらう。

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第 2 章 アスリートの栄養・食事(2 時間)

アスリートの栄養摂取と食生活

講義の進め方についての留意点

・ 受講者が科学的根拠に基づいた栄養摂取のポイントを十分に理解し、各自の

指導するアスリートに合わせた実践的な応用に展開できるようになること

を目指した講義となるよう心がける。

・ あらゆるアスリートに共通する基本的な食生活の意義を踏まえたうえで、目

的別及びシーズン別の食事について、具体的な事例(指導経験)を交えて解

説する。

・ アスリート特有の栄養障害について理解し、配慮や対応ができるようにする。

・ 科学的基根拠に基づいたスポーツ栄養のノウハウを受講者から選手に伝え

ていくことを働きかける。

・ 食生活の改善を優先的に行うことができる選手を育てるために、サプリメン

ト摂取のポイントを踏まえ、サプリメントよりも食事の大切さを強調する。

・ 栄養専門スタッフ(公認スポーツ栄養士)の役割を理解し、連携してサポー

トにあたる大切さを確認する。

1.アスリートの栄養・食事計画の立案

1) エネルギー消費量の推定

<キーワード>推定エネルギー必要量、推定式

2)アスリートの食事摂取基準と食品構成の考え方

<キーワード>アスリートの栄養摂取についてのコンセンサス

3)アスリートの日常的な食事の整え方

<キーワード>献立上のバリエーション、主食、主菜、副菜、牛乳、乳製品、

補食

4) 合宿期の食事

<キーワード>体重測定、エネルギー出納、食環境整備、事前確認

5) 海外遠征時の食事調整

<キーワード>事前確認、食事内容の確認、衛生状態

2.目的別の食事

1) 増量/からだ作りのための食事

<キーワード>身体組成、除脂肪量(LBM)、エネルギーバランス、良質たん

ぱく質、筋グリコーゲン貯蔵量、摂取タイミング

2) 減量/ウエイトコートロール

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<キーワード>身体組成、目標設定、負のエネルギー出納状態、栄養素密度

脂質エネルギー比

3) 持久力向上と食事

<キーワード>グリコーゲン回復、糖質摂取量、高糖質食

3.試合前後の栄養・食事のポイント

1) 試合前調整期の食事

<キーワード>グリコーゲン・ローディング法、高糖質食、継続時間、

安全性の確保

2) 試合当日の食事調整

<キーワード>試合開始時刻から考慮、血糖値

3) 試合間の補給

<キーワード>すばやい回復、糖質摂取、水分補給

4) 試合後のリカバリーのための食事

<キーワード>糖質摂取のタイミング

4.アスリートに多くみられる栄養障害とその対処法

1) エネルギー源栄養素の不足による栄養障害

<キーワード>エネルギー摂取量不足、女性アスリートの三主徴

2) エネルギー源栄養素の過剰による栄養障害

<キーワード>体脂肪量増加、過体重

3) 鉄欠乏性貧血

<キーワード>鉄欠乏性貧血、潜在性鉄欠乏、ヘモグロビン値、

血清フェリチン、鉄、ビタミン C

4) 骨密度低下と疲労骨折

<キーワード>カルシウム、女性アスリート、無月経、牛乳・乳製品、

ビタミンD、リン

5.栄養補助食品(サプリメント)について

1)サプリメントとは

<キーワード>サプリメント、補助食品、エルゴジェニックエイド(運動能力

増強剤)

2)サプリメントと健康問題

<キーワード>耐容上限量、過剰症、安全性

3) サプリメントとドーピング問題

<キーワード>ドーピング禁止薬物

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4)どんな時にサプリメントが有効か

<キーワード>食欲減退時、海外遠征時、試合前・中・後、食生活の見直し

6.水分補給について

1) 運動時の水分補給の目安量

<キーワード>低ナトリウム血症、水分損失量、水分補給の目安

2) 電解質の補給

<キーワード>電解質、ナトリウム、スポーツドリンク

3) 糖質の補給

<キーワード>糖質の濃度、エネルギー補給、季節

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第3章 「スポーツの心理Ⅱ」(3時間)

講義の進め方についての留意点

・ メンタルマネジメントとメンタルトレーニングの用語についての共通理解

をもつこと。

・ できるだけ心理学の専門的用語を避け、わかりやすい言葉で説明する。

・ 必要に応じて具体例、あるいは事例を多く取り上げる。

・ 講義の内容に応じて、受講者の指導経験を取り上げる機会を設ける。

・ 質問はできるだけ1~7の各節ごとに受ける。

・ 必要に応じて、テキストの内容では不十分と考えられる部分を補う。

・ 講義の内容に関連してよい参考書があれば、自習用にその都度、紹介する。

1.メンタルマネジメントとは

【ポイント】

・メンタルマネジメントとメンタルトレーニングの定義を明確にする。

・日本におけるこれらの用語使用の歴史と現状を紹介する。

・日本スポーツ心理学におけるスポーツメンタルトレーニング指導士の認定

制度について紹介する。

〈キーワード〉

メンタルマネジメント、メンタルトレーニング、心理的技能(スキル)

2.リラクセーション

【ポイント】

・なぜリラクセーションが必要であるかについての理解

・スポーツにおけるリラクセーションと一般的なリラクセーションの間にど

のような相異があるのかについての説明

・リラクセーションの基礎的トレーニング法についての説明

・応用的トレーニング法についての説明の追加

〈キーワード〉

リラクセーション、自律訓練法、漸進的筋弛緩法、バイオフィードバック

3.イメージトレーニング

【ポイント】

・イメージトレーニングは最もよく使われているトレーニング法であること。

・イメージトレーニングの目的は複数あること。

・イメージトレーニングの科学的根拠について簡単に説明を加える。

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・効果的なイメージトレーニングの具体的ポイント

〈キーワード〉

イメージトレーニング、ポジティーブシンキング

4.集中力のトレーニング

【ポイント】

・集中力はトップレベルの競技においてもっとも重要視されている心理的ス

キルの一つである。

・集中の概念についての理解、特に注意のコントロールスキルややる気との

関連など、注意集中の4つのタイプ、特に種目と関連付けて説明する。

・集中力を高める基礎的なトレーニング方法についての理解(このうち、凝視

法、格子法などについては講師の意見を加えて説明する。)

・スポーツ技能の実際の練習を利用した集中力のトレーニングについて、具

体例を取り入れながら説明する。

〈キーワード〉

集中力、凝視力、格子法、妨害法、情報制限法、ルーティーン、

キューワード法、身体リアクション

5.心理的コンディショニング

【ポイント】

・ 一般的なコンディショニングに対し心理的コンディショニングの特徴とは何

か、心理的コンディショニングはどのような指標で捉えられるか、POMS

に加え、PCIなどのテストの紹介、および行動観察などの視点を加える。

・オーバートレーニングの症候とその防止法についての理解

・心理的コンディショニングの各ステップの理解

〈キーワード〉

心理的コンディショニング、オーバートレーニング、POMS、PCI、

TSMI

6.あがり、スランプの克服

【ポイント】

・あがり、スランプそれぞれの症状、原因、および対策についての理解

・これらの事例や具体例について説明する。

・またこれらの克服に向けて、指導者としてどのような役割を果たすべき

かについて説明を加える。

〈キーワード〉あがり、スランプ

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7.指導者のメンタルマネジメント

【ポイント】

・ 成功する指導者に求められる条件とは何か

・ 有効なコーチ行動の具体的内容の理解

・ 指導者のストレスの特質についての理解

・ 指導者に必要なメンタルマネジメントの理解

〈キーワード〉

リーダーシップ、PM理論、ストレス、コーチ行動

第3章の留意点

本章の内容には、紙幅の制限上、かなり省略されたところがあり、説明を加え

るべき点が多々ある。

これらの部分については各講師の判断で必要に応じて補足説明を加える必要が

ある。また実践的な面を

強調するために、できるだけ参加者の体験などを問いながら、講義を進める事

が望まれる。

またメンタルトレーニングの実施場面などについてはVTRなどの活用も考慮

する。

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第4章 身体のしくみと働き(4時間)

講義の進め方についての留意点

・ スポーツ生理学、スポーツバイオメカニクスの基礎理論を学習することに絞

ってください。

・ 最新の事例を織り交ぜながら講義を進めてください。

・ それぞれの理論をスポーツと関連づけて親しみやすく講義を進めてくださ

い。

1.運動器のしくみと働き (2h)

【ポイント】

・ 身体を動かす筋・骨・関節・神経の構造、機能に関する基礎的知識を中心に

理解させる。

・ それらがどのようなつながりを持って動きを起こさせているかを理解させ

る。

<キーワード>

骨格筋のしくみ、筋線維タイプ、骨格筋の収縮様式、伸張-短縮サイクル、

加齢と骨、運動と骨量、神経系の構成単位、運動単位、関節運動、関節のて

こ作用、動きのコントロール、反射

2.呼吸循環器系の働きとエネルギー供給 (1h)

【ポイント】

・ 呼吸循環器系の機能と構造は筋収縮のために必要なエネルギー補給路とし

て、また異化産物の排出路としての働きを担っていることを理解させる。

・ 筋収縮のエネルギー源は ATP、CP、グリコーゲン、脂肪、酸素が重要な働

きをすることを運動強度との関連で理解させる。

・ 科学的なスポーツトレーニングのツールとして心拍数、乳酸の捉え方を理解

させる。

<キーワード>

1秒量、ミトコンドリア、ヘモグロビン、酸素飽和度、動静脈酸素較差、ATP

の再合成、非乳酸性機構(ATP-CP系)、乳酸性機構(解糖系)、有酸素機構(有

酸素系)、呼吸交換比、血中乳酸濃度、運動時心拍数、ハートレイトモニタ

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3.スポーツバイオメカニクスの基礎 (1h)

【ポイント】

・ 運動の力学的な捉え方について学習することで、動きの記述、動きの原因の

説明、動きの改善や最適化、良い動きの創造など専門種目の分析的な考察が

できるようにする。

・ 実際に身体を動かして、筋がどのように働くかを感じ取れるような演習形式

の授業形態が望ましい。

・ あまりにも理論的な講義とならないよう、運動のからくりや行い方に直接関

わる法則に限定して、適用例を多く紹介するようにする。

<キーワード>

重力、慣性力、質量、力、加速度、重力、力の三要素、力のモーメント、内力

と外力、地面反力、摩擦、運動の法則、力積の法則、反動動作と振込動作、慣

性モーメント、角運動保存の法則、流体からの抵抗、臨界速度、マグヌス効果

第 4章の留意点

・ 身体を動かす運動器である筋・骨・関節・神経の構造と機能をスポーツとの

関連を持たせながら具体的に説明する。

・ 呼吸循環器系の機能と構造を運動との関連を示しながら親しみやすく理解

させる。

・ 人間の運動には力学的法則が働いているので、スポーツの技能向上を効果的

に行うには運動と力の働きの関係を理解しなければならないことを具体例

を挙げながら理解させる。

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第5章 トレーニング論Ⅱ(8時間)

トレーニング論Ⅱ①

(1)トレーニング理論とその方法

【ポイント】

・7つの要素からなるトレーニング学の理論体系があり、そのうちのスポーツ

パフォーマンス構造論を中心にトレーニングサイクルを循環させる。

・トレーニング手段や測定評価テストの運動を選択する際には、跳躍、スプリ

ント、球技などそれぞれのスポーツパフォーマンスの構造モデルに基づく。

・トレーニングにより動きに変容が生じ、パフォーマンスが向上するためには、

体力と技術の2要因が関与する。そして、トレーニング手段としての運動には、

体力と技術という相互に分断できない二つの側面がある。

・筋力トレーニングを考える場合には、力―速度関係、運動遂行時間、力の立

ち上がり速度、筋の収縮速度の諸条件に注目する。

・筋力トレーニングの手段・方法には、最大筋力法、最大反復法、動的筋力法、

負荷軽減法、プライオメトリック法などがある。

これらを全体的に教示した後、細かな説明を行う。

<キーワード>

・トレーニングサイクル、スポーツパフォーマンス構造、トレーニング手段、

筋力トレーニング法

(2)トレーニング計画とその実際

【ポイント】

・ニーズ分析、目標設定の内容、プログラムを作成する上でのプログラム変数、

時間構造、ピリオダイゼーションの意味と関連のモデル、について説明する。

トレーニング計画は、超回復を基本に組み立てられているが、「フィットネス-

疲労モデル」の考え方を説明する。環境作りについてもテキストにそった説明

を行う。

<キーワード>

・ニーズ分析 ・SMART ・プログラム変数 ・ピリオダイゼーション ・

超回復

講義の進め方についての留意点

・「トレーニング理論や方法」、「計画と実際」、「体力テストと活用」、「スキルの

獲得と過程」、に関する講義内容には、やや難解な内容が含まれている。講義者

は、出来るだけ平易に解説を行い、基本的な事項を理解させるようにする。テ

キストの記述が難しい場合には、例をあげて説明する。

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トレーニング論Ⅱ②

(3)体力テストとその活用

【ポイント】

・体力テストや測定で用いられている項目について、アウトラインを示すとと

もに、形態計測の基本、筋力・筋パワーの測定法、無酸素的および有酸素的パ

ワーの測定法、乳酸を用いた評価、RPE,およびバッテリーテストについて

説明する。無酸素的パワーという概念は、近年修正されつつあるが、質問があ

った場合には、アネロビックパワーという概念は生きているが「無酸素」と翻

訳する語はあまり使われなくなっている旨を回答する」。

<キーワード>

・形態計測 ・パワーテスト ・乳酸性閾値 ・RPE ・バッテリーテスト

(4)スキルの獲得とその獲得過程

【ポイント】

・スキルは、ヒトが発揮する力やエネルギーの使い方の要素である。

・運動スキルのトレーニングでは、感覚や知覚がきわめて重要な意味を持つ。

・スキルの遂行能力は練習や経験によって向上するが、これを運動学習という。

・運動技能は、認知・意識的な段階、感覚と運動の連合段階、自動化の段階の

3つの段階を経て上達する。上達において、プラトーやスランプという現象が

見られたり、過剰な練習により運動が遂行できない障害がみられることがある。

・スキルの獲得の要因として、練習の量と質、集中法と分散法、全体練習と部

分練習、速度と正確さの相反性、観察とイメージトレーニング、練習の多様性、

フィードバックなどをあげることができる。

これらを全体的に教示した後、細かな説明を行う。

<キーワード>

・ スキル ・感覚 ・学習 ・上達過程 ・イメージトレーニング ・フィー

ドバック

第5章の留意点

学習する内容がやや複雑であるので、受講生が混乱しないように、解説するテ

クニックが必要である。

・ 耳慣れない用語については、声に出しては発音してみるとだんだん馴染んで

くる。

・ 黒板をもちいて、キーワードを書き出すことも効果的である。

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第6章 競技者育成のための指導法①(2時間)

「競技力向上のためのチームマネジメント」

「競技力向上のための情報とその活用」

講義の進め方についての留意点

・ 「チームマネジメントとは何か」、「情報活用のあり方」など本質的な問いか

けを念頭において講義をすすめてください。

・ 最新の事例を織り交ぜながら講義を進めてください。

・ 身近な事例を引用してください。

・ 必要に応じて演習(ワークショップ)を導入してください。

3.競技力向上のためのチームマネジメント

(1)チーム(集団)とは何か

【学習のポイント】

・ 競技力向上を目的としたチーム(集団)の望ましい在り方について考える。

・ 「集団の構造要素と機能」を知り、「成員個々人の利益を尊重」したチーム

とはどのようにあるべきかを学習する。

・ 学習者自身の指導現場を分析・点検させ、改善点などを具体的化させる機会

を提供する。

【講義の進め方のポイント】

・ 従来から運動部を中心に見られた試合中心の運営、勝利至上主義的、集団主

義、権威主義あるいは管理主義とも見られる日本型組織の問題点を明らかに

する。

・ 「自己犠牲の美化」や「和の精神」に必要以上に重点を置いた集団主義の限

界を考えさせ、個々の存在を尊重し、個人の長所を生かし、個人の利益を保

障するようなチームづくりの必要性について考えさせる。

・ 競技力向上のためのチームマンジメントを考える基礎知識として、「望まし

い集団」に必要な構造や機能要素を解説する。解説にあたっては、身近な事

例を引用するか、もしくは、学習者自身の事例をもとに考えさせる。

① 鍵となる集団の構造要素:

コミュニケーション、役割・地位構造、勢力構造

② 鍵となる集団の機能:

集団の成員性、集団の凝集性、集団のモラール、集団の生産性、

リーダーシップ

〈キーワード〉チーム、成員の利益、日本型組織、コミュニケーション、

役割・地位構造、勢力構造、集団の成員性、集団の凝集性、

集団のモラール、集団の生産性、リーダーシップ

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(2)チームマネジメントとは何か

【学習のポイント】

・ 競技力向上のために「チームマネジメントは何故必要か」、「そのような『場』

で何をマネジメントすべきか」について考えさせる。

・ 学習者自身の指導現場を分析・点検させる。

【講義の進め方のポイント】

・ 「チームをマネジメントする」とは、チームや個々の目標を達成するために、

チームに関わる個々の強みを最大限に引き出し、チームとしてのパフォーマ

ンスを最大限に向上させていくための方法であると定義付けられる。

・ 競技力向上を図る場合、その計画や方策は、一貫した理念のもとに短期・中

期・長期といったスパンに分けて作成され、実施されるべきである。

・ チームをマネジメントする際に重要な柱となる要素として、「ヒト」「モノ」

「カネ」「情報」「時間」などが挙げられる。

・ 競技力を向上させるために特に重要となる「場」として、①試合の場、②練

習の場、③ミーティングの場などがあり、合宿・遠征時などには、さらに④

食事の場や⑤移動の場なども大切な場となる。

指導者には、チームやメンバー個々の目標を達成するために、これらの「場」

を効果的にマネジメントする責任がある。

〈キーワード〉「ヒト」のマネジメント、「時間」のマネジメント、

「情報」のマネジメント、「モノ」のマネジメント、

「カネ」のマネジメント

(3) チームマネジメントを行うにあたって

【学習のポイント】

・ チームマネジメントを行うにあってのキーファクターについて学習する。具

体的には、①「場」のマネジメント、②「ヒト」のマネジメント、③「練習」

のマネジメント、④「指導行動」のマネジなどの事柄について、学習者自身

あるいは学習者が携わっている実際の場を検証させながら、その望ましい在

り方などについて深く考えさせる。

【講義の進め方のポイント】

・ 「場」のマネジメントを行うにあたっては、「リーダーやスタッフの活用」、

あるいは 「強化のプロセスの把握」などが重要となることを認識させ、自

らの指導現場を点検させる。

・ マネジメントすべき対象者の分類化と、それぞれについての適切なマネジメ

ントについて学習させる。

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・ 「ステークホルダーズ・リレーション・マップ」の作成方法と活用方法を紹介

し、学習者それぞれの指導現場のマップを作成させる。(演習)

・ 「なぜ練習するのか」「何を練習するのか」を学習の基本テーマにし、生産

性、効率性の高い「練習」を行なうためのマネジメントについて、そのキー

ファクターについて学ぶ。

・ 練習の課題を明らかにするためには、自らの特徴や相手の特徴、あるいは強

化環境などを十分分析し、その上で具体的な課題解決の方法や手順(期間)な

どを考えるべきことを学ぶ。

・ 上記の一つの方法として、「自チームの分析から」と「相手チームの分析か

ら」練習組み立てるやり方を学ぶ。

・ SWOT(スウォット)分析の作成方法や活用法を紹介し、学習者それぞれの

指導現場を題材に作成する。(演習)

・ 学習効果を得るために、指導者は「練習の場」においてどのように自らの行

動をマネジメントすべきか学習する。具体的な方法として、「4大教師行動」

を参考に自らの(平素の)指導行動を分析させる。(演習)

〈キーワード〉「場」のマネジメント、強化のプロセス、ステークホルダー、

SWOT(スウォット)分析、4大教師行動、相互作用、

4.競技力向上のための情報とその活用

【学習のポイント】

(1)トップスポーツの取り組みにおいては、グローバル化および国際化、情

報化の流れの中で競技力の向上の取り組みが進められるべき時代となって

いることを理解する。

(2)指導者は、グローバルな視点を常に持ち、さまざまな情報を適切に活用

しジュニアアスリートやアスリートを支援することが重要であることを理

解する。

(3)競技力向上に必要な情報を体系的に整理し、その収集や活用方法などに

ついて知る。

(4)情報の活用についてのモラールについて考える。

【ポイント】

(1)競技力向上のために必要となる情報の種類について紹介する。

(2)競技力向上のための情報収集方法について具体的事例を紹介しながら論

じる。

(3)競技力向上のための効果的な情報の活用方法についてについて具体的事

例を紹介しながら論じる。

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共通科目Ⅲ

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(4)競技力向上のための情報を取り扱うためのモラルについて、指導者自身

および競技者への指導の両面から論じる。

〈キーワード〉

・Information(情報) 、Intelligence(情報)

・オシント(Open Source Intelligence)、ヒューミント(Human Intelligence) 、

テキント(Technical Intelligence) 、シ ント(Signals Intelligence)、

イミント(Imagery Intelligence)、ジオイント(Geospatial Intelligence)、

マシント(Measurement and Signatures Intelligence).

・収集、加工、分 析、提供

・情報モラール、情報操作、情報の秘匿

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共通科目Ⅲ

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第 6章 競技者育成のための指導法②

「トップアスリートを育てるために~指導者が持つべき視点~」・

「トップアスリートの育成・強化の方法とその評価」

第1章 3節 指導者の役割Ⅱ

「世界の頂点をめざすアスリートの育成・強化の在り方と指導者の役割」

(計 3時間)

1.トップアスリートを育てるために~指導者が持つべき視点~

【ポイント】

本講義における受講者に対するメインメッセージ「世界につながる指導」「あ

なたの日常の指導のすべてが世界につながっている」について、「あなた自

身が当事者である」ことを意識させる。

トップアスリートにかかわる指導は、極めて公的な活動であり、常に社会か

ら評価を受ける存在であることを再認識させる。

トップアスリートの育成にかかわる ー には、その を通 て 日の

スポー を良き方向へと導 、 意な を育てる がある。

<キーファクター>

・トップ の競い いに な ー ン ト ー ン の特徴

講義の進め方についての留意点

1.トップアスリートを育てるために~指導者が持つべき視点~

・トップスポー の舞台 において 視さ ている 日的ト ックを に、

指導者と てこの な事 に の に対 すべきなのか、さ ざ な

立場 視点から、その の本 、あるいは の在り方な につ

いて考えさせる。受講者間の ス ッ ン 発表の機会を取り入 る。

2.トップアスリートの育成・強化の方法とその評価

・最新の事例を織り交ぜながら講義を進める。

・ に じて演習(ワーク ップ)を導入する。

3.世界の頂点をめざすアスリートの育成・強化の在り方と指導者の役割

・逸 を見つけ・育てる道筋(パスウェイ=パフォーマンスパスウェイ)の国

内外の事例を示 、発掘・育成に関する長期的視点の重 性と受講者そ ぞ

の役割について考えさせる。

・ に じて演習(ワーク ップ)を導入する。

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・世界の国際競技力向上方策の枠組 と取り組

・世界の国際競技力向上方策の枠組 と取り組

2.トップアスリートの育成・強化の方法とその評価

<全体の留意点>

・ 指導計画の評価サイク を理解させ、そ ぞ の段階における評価方法の具

体例を示す。

・ スポー 指導におけるさ ざ な評価方法を紹介 、そ ぞ のメリット・

メリットを理解する。

・ 実際に受講者が の な評価方法を現場で用いているかを意見交換する。

・ 指導者のあり方についての評価は、日本の徒弟的スポー 環境にはなじ の

薄い手法ではあるが、指導者と競技者の ミュ ケー ン・スキ と て

重 であることを認識させる。

(1)スポー 指導と評価の 性(10分)

【ポイント】

競技者を育成するためには、作成する指導計画を適切に評価 ながら、 り

の高いものに適宜修正する がある。

指導前、指導中、指導 のそ ぞ の段階で、評価サイク は形成さ る。

<キーワード>

指導計画、評価サイク

(2)評価方法(40分)

【ポイント】

指導計画立案に先立って、競技者の技能、体力、メンタ タフネスな を把

握する診断的評価が である。

指導計画をフ ードバック 、調整するには、情報収集に る形成的評価が

用いら る。

指導計画が の な成果をあげら たかを知るには、総括的評価が用いら

る。

スポー 指導にはさ ざ な評価方法があり、種目 場面に じて使い分け

ることが である。

<キーワード>

診断的評価、形成的評価、SMART ステム、主観的情報、客観的情報、総括

的評価、絶対評価、相対評価、個 内評価、自己評価、他者評価、相互評価

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(3)指導者のあり方についての評価(10分)

【ポイント】

指導者は競技者のパフォーマンスを評価するとともに、指導者自身の指導の

あり方を評価する立場も忘 てはならない。

<キーワード>

目標達成 、克服達成 、変化と多様性、環境整備

3.世界の頂点をめざすアスリートの育成・強化の在り方と指導者の役割

【ポイント】

(1)優 た国際競技力向上 ステムの原則について紹介する。

(2)競技力向上の枠組 (フ ームワーク)における個 のプ ムの中身

(品 )と の活動の が、競争の優位性を生 出すことを理解させる。

(3)競技者が、育ってい 道筋(アスリート・パスウェイ)を理論的に整理

、各 に適 たスポー を識別 、計画的なト ー ン に って競技

力を高めることの重 性についての理解を深める。

(4)指導者には、そのスポー の ーク年代に向けて、対 となる競技者が

の段階にあるのかを見極め、適切な指導を行 任があることを再認識

させる。

(5)指導 ているそ ぞ のスポー (競技)における競技者育成プ ム

の重 性 内容を認識 、 り良い指導内容があ ば、そ を積極的にプ

ム作成者(中央競技団体)に伝えてい ことも重 な役割であるこ

とを理解する。

<キーファクター>

・優 た国際競技力向上 ステムが持つ原則と て、以下 の10 目を げてい

る。

・国際競技力向上 ステムの

・0の公式(The Rule of 10)

・長期競技者育成(LTAD)

・アスリート・パスウェイ

・タ ント発掘・育成 ステム

・一貫指導 ステム の構築、競技者育成プ ム

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第 7 章 スポーツ指導者に必要な医学的知識Ⅱ(内科) (4 時間)

講義の進め方

・ スポーツの健康への効果を理解する上で必要となる基礎的事項を整理しな

がら、講義を進めてください。

・ 疾病等については、医学的基礎知識のないものにも分かりやすく講義をお願

いします。競技現場と関連する事例等を、おりまぜながら講義をすすめてく

ださい。

1.アスリートの健康管理 (45分)

【ポイント】

・ アスリートの健康管理システムについて学ぶ。

・ メディカルチェックの重要性について理解する。

・ コンディションのチェック法について整理する。

<キーワード>

セルフケア(自己管理)、プライマリケア、スポーツドクター、アスレチックト

レーナー、メディカルチェック、プロブレムリスト、コンディションチェック

2.アスリートの内科的障害と対策 (70分)

【ポイント】

・ 内科的スポーツ障害の基礎知識について理解する。

・ 急性障害、慢性障害の代表的疾患とその対応について学ぶ。

・ その他の障害について整理する。

<キーワード>

突然死、熱中症、意識障害、過喚起症候群、運動誘発性喘息、運動誘発性アナ

フィラキシー、自然気胸、低・高圧障害、摂食障害、貧血、オーバートレーニ

ング症候群、蛋白尿、血尿、糖尿病、てんかん、無月経

3.スポーツによる精神障害と対策 (30分)

【ポイント】

・ スポーツにおける過剰な精神的ストレスによる病状について知る。

・ 指導者としての心構えについて、理解する。

<キーワード>

気分病、うつ病、落ち込み、食行動異常、神経性障害、ストレス関連障害、心

身症、薬物による精神障害、睡眠障害

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4.特殊環境下での対応 (45分)

【ポイント】

・ 暑熱、低温対策を理解する。

・ 高地対策に理解する。

・ 時差対策について、学ぶ。

・ 感染症対策について整理する。

<キーワード>

暑熱障害、低温障害、低圧環境、時差、感染症、飛沫感染、接触感染、経口感

染、食中毒

5.ドーピング防止 (50分)

【ポイント】

・ ドーピング防止の考え方と歴史的背景を学ぶ。

・ 国内外のドーピング防止活動の動向について学ぶ。

・ ドーピングコントロール(検査)について知識を得る。

・ 禁止物質について、理解する。

・ スポーツ指導者の役割について、理解する。

<キーワード>

ドーピング、WADA,JADA、世界アンチ・ドーピング規程、ドーピング防

止規則違反、ドーピングコントロール、競技会検査、競技会外検査、結果管理、

制裁、上訴、禁止物質、治療目的使用(TUE)

本章の留意点

・ スポーツ指導者がスポーツ医学に関する知識を持つことの重要性について

理解を深める。

・ 健康管理をシステムとして考える。

・ スポーツ活動中におきやすい内科的障害とその予防、対処法について学ぶ。

・ スポーツにより精神的な障害が起こりうることを理解する。

・ 環境因子とスポーツ活動についての知識を整理する。

・ スポーツ指導者として必要なドーピング防止の知識、ドーピング検査の実際

について学ぶ。

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第 7章 スポーツ指導者に必要な医学的知識(外科)(2時間)

講義の進め方についての留意点

・ 最新の事例を織り交ぜ,具体的写真,X-P,MRI等を使い power point で授

業を進めて下さい.

・ 医学用語の使用は最小限として下さい.

・ 教科書の図表などを引用しわかりやすく解説して下さい.

第 3節 アスリートの外傷・障害と対策

【ポイント】

各疾患について簡単に解説する.外傷では症状と現場での処置を,障害では発

生原因とその予防・治療法を中心に教える。

<キーワード>

・ 頭部外傷:脳振盪,頭蓋内血腫:頭痛,見当識障害 意識清明期,鑑別法

・ 頚部の外傷:頚椎捻挫,バーナー症候群 脊髄損傷

・ 肩甲帯部の外傷:鎖骨骨折,肩関節脱臼,肩鎖関節損傷,腱板損傷

・ 肩甲帯部の障害:反復性肩関節脱臼,インピンジメント症候群

・ 肘・手指の外傷・障害:野球肘(内側型,外側型),顆上骨折,舟状骨骨折,

TFCC損傷,突き指

・ 体幹の外傷・障害:腰椎椎間板ヘルニア,腰椎分離症,骨盤部の裂離骨折,

そ径部痛症候群,

・ 大腿の外傷:肉離れ

・ 膝の外傷:前十字靱帯損傷,内側側副靱帯損傷,後十字靱帯損傷,半月板損

・ 膝の障害:ジャンパー膝,オスグット病,腸脛靱帯炎,

・ 下腿・足部の外傷:アキレス腱断裂,足関節(内反)捻挫,

・ 下腿・足部の障害:脛骨疲労骨折,シンスプリント,フットボーラーズアン

クル,扁平足障害,第五中足骨疲労骨折,

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第 7 章 スポーツ指導者に必要な医学的知識Ⅱ(AT) (2時間)

講義の進め方についての留意点

・ 正しい知識と適切な運動処方を理解した上で指導しないと、選手の競技復帰

を大幅に遅らせてしまったり、悪化させてしまうことになることを認識する

必要があることをまず導入として話してください。

・ トレーナーとしての経験を踏まえて身近な事例を引用しながら解説してく

ださい。

4.アスレティックリハビリテーションとトレーニング計画」

【ポイント】

・ アスレティックリハビリテーションの考え方と特徴について理解させる。

・ アスレティックリハビリテーション実施上の留意点として、競技特性を踏ま

えること、段階的にトレーニングを処方すること、リスク管理および再発予

防に配慮すること、あるいは選手との信頼関係を築くためのコニュニケーシ

ョンやトクターとの連携と協力を保つことが重要であることを理解させる。

・ アスレティックリハビリテーションの基本的な進め方について理解させる。

・ 受傷後から復帰までのトレーニング計画について具体的な段階を学び、的確

な目標設定と各機能の回復に応じたリハビリテーション・プログラムを計画

することについて理解させる。

<キーワード>アスレティックリハビリテーション、競技特性、段階的負荷設

定、リスク管理、再発予防、患部外トレーニング、選手とのコニュニケーショ

ン、トクターとの連携、目標設定、段階的リハビリテーション・プログラム

学習のねらい

スポーツ活動によって生じた傷害からスポーツ復帰へ向けてのリハビリテー

ションに関する基礎的な知識を理解することにより、スポーツドクター、アス

レティックトレーナーとの緊密な連携をとった上でトレーニング計画を作成す

ることの重要性について理解させる。

5.コンディショニングの手法

【ポイント】

コンディショニングの意味を理解し,スポーツ現場で実施されている具体的方

法としてのストレッチング,テーピング,アイシング、スポーツマッサージの

基本を学習する.

<キーワード>

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共通科目Ⅲ

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スタティックストレッチング、ダイナミックストレッチング、バリスティック

ストレッチング、PNFストレッチング、傷害の予防、傷害再発の予防、応急処置、

アンダーラップ,アンカーテープ、フィギュアエイト、スパイラルテープ、ス

プリットテープ、Rest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation

(挙上)、氷のう、血液循環促進作用、興奮作用,鎮静作用、反射作用、矯正作

用、軽擦法、揉ねつ法、叩打法、振せん法、圧迫法、伸展法。

学習のねらい

コンディショニングは、「競技者の競技力向上への援助」を目標とし、競技

者に対し安全で効果的なトレーニングを可能にし、そして最高のパフォーマン

スをゲームで発揮しかつ、スポーツ傷害の予防ができるように特に身体面から

の手助けをすることを目的としていることを理解する。この項では、スポーツ

現場で行われているコンディショニングの方法としてのストレッチング、テー

ピング、アイシング、スポーツマッサージの基本について解説する。