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1 1 Copy Right by C.KANAMORI 2005 応用解析 応用解析B 11 11回 知能機械工学科 知能機械工学科 金森哉吏(東 金森哉吏(東4-3 03 03) 夜間主コース・2年次・4学期 夜間主コース・2年次・4学期 金曜日6限 金曜日6限17:50 17:50~19:20 19:20 電子工学科 電子工学科(E) (E), 知能機械工学科 知能機械工学科(M) (M), 人間コミュニケーション 人間コミュニケーション(H) (H) 2 Copy Right by C.KANAMORI 2005 前回の復習 前回の復習 3.1 3.1 偏微分方程式の 偏微分方程式の基本概念 基本概念 2階の線形偏微分方程式 2階の線形偏微分方程式 3.2 3.2 振動する弦 振動する弦のモデル化 モデル化 波動方程式 波動方程式の導出 の導出 3.3 3.3 変数分離 変数分離法と 法とフーリエ級数 フーリエ級数を利用 利用した した 偏微分方程式の解法 偏微分方程式の解法 3.4 3.4 波動方程式のダランベールの解 波動方程式のダランベールの解

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応用解析応用解析BB 第第1111回回

知能機械工学科知能機械工学科 金森哉吏(東金森哉吏(東44--330303))

夜間主コース・2年次・4学期夜間主コース・2年次・4学期金曜日6限金曜日6限17:5017:50~~19:2019:20

電子工学科電子工学科(E)(E),,知能機械工学科知能機械工学科(M)(M),,人間コミュニケーション人間コミュニケーション(H)(H)

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前回の復習前回の復習

3.13.1 偏微分方程式の偏微分方程式の基本概念基本概念

2階の線形偏微分方程式2階の線形偏微分方程式

3.23.2 振動する弦振動する弦ののモデル化モデル化

波動方程式波動方程式の導出の導出

3.33.3 変数分離変数分離法と法とフーリエ級数フーリエ級数をを利用利用したした

偏微分方程式の解法偏微分方程式の解法

3.43.4 波動方程式のダランベールの解波動方程式のダランベールの解

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3.1 3.1 基本概念基本概念 「「微分方程式とは?微分方程式とは?」」

偏微分方程式偏微分方程式

2つ以上の独立変数を含む問題で現れる。2つ以上の独立変数を含む問題で現れる。

正確には、正確には、複数の独立変数の関する(未知)関数と複数の独立変数の関する(未知)関数とその偏導関数を含む方程式その偏導関数を含む方程式

ちなみに、ちなみに、1つの独立変数だけ1つの独立変数だけ→常微分方程式→常微分方程式

2つ以上の独立変数の例2つ以上の独立変数の例

複数の空間座標複数の空間座標

時間時間 tt と1つ以上の空間座標と1つ以上の空間座標

+温度,+圧力,+速度,+加速度+温度,+圧力,+速度,+加速度

方程式の階数方程式の階数

方程式に含まれる導関数の最高階数方程式に含まれる導関数の最高階数

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偏微分方程式が偏微分方程式が、...、...

「偏微分方程式が線形である」「偏微分方程式が線形である」

方程式が、従属変数(未知関数)と方程式が、従属変数(未知関数)とその偏導関数について1次で表される。その偏導関数について1次で表される。

「偏微分方程式が同次である」「偏微分方程式が同次である」

方程式のすべての項が、従属変数または方程式のすべての項が、従属変数またはその偏導関数を含む。その偏導関数を含む。

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2階の線形偏微分方程式(重要)2階の線形偏微分方程式(重要)

1次元波動方程式1次元波動方程式

2次元波動方程式2次元波動方程式

1次元熱方程式1次元熱方程式

2次元ラプラスの方程式2次元ラプラスの方程式

2次元ポアソンの方程式2次元ポアソンの方程式

2 22

2 2u uc

t x∂ ∂

=∂ ∂

22

2u uct x

∂ ∂=

∂ ∂2 2

2 2 0u ux y∂ ∂

+ =∂ ∂

2 2

2 2 ( , )u u f x yx y∂ ∂

+ =∂ ∂

2 2 22

2 2 2u u uc

t x y

⎛ ⎞∂ ∂ ∂= +⎜ ⎟⎜ ⎟∂ ∂ ∂⎝ ⎠

2 2 2

2 2 2 0u u ux y z∂ ∂ ∂

+ + =∂ ∂ ∂

3次元ラプラスの方程式3次元ラプラスの方程式

linear partial differential equationlinear partial differential equation

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微分方程式の解があるとは微分方程式の解があるとは、...、...

独立変数が作る空間内の閉領域独立変数が作る空間内の閉領域 R R においてにおいて

偏微分方程式の解があるとは、偏微分方程式の解があるとは、

閉領域閉領域 R R を含む領域で方程式に現れるを含む領域で方程式に現れる

すべての偏導関数が存在するすべての偏導関数が存在する

かつかつ

閉領域閉領域 R R のいたるところで、方程式をのいたるところで、方程式を

満足する関数がある満足する関数がある

ことである。ことである。

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偏微分方程式の一意的な解は偏微分方程式の一意的な解は、...、...

ある物理的な問題に対する偏微分方程式ある物理的な問題に対する偏微分方程式の一意的な解は、物理的状況から得られるの一意的な解は、物理的状況から得られる付加的な情報付加的な情報を用いて決められる。を用いて決められる。

→付加的条件→付加的条件

微分方程式を解く微分方程式を解くとは、とは、与えられた領域で与えられた領域で成立成立して、して、与えられた付加的条件を満たす与えられた付加的条件を満たす方程式の方程式の解解を得ること。を得ること。

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付加的条件付加的条件

初期条件初期条件(( t t = 0 = 0 での条件)での条件)

波動方程式→初期変位,初期速度波動方程式→初期変位,初期速度

熱方程式→初期温度分布熱方程式→初期温度分布

境界条件境界条件

境界の表面境界の表面 SS ,領域の境界線,領域の境界線 C C でで解解 u u の値やその導関数が与えられる。の値やその導関数が与えられる。

ラプラスの方程式には境界条件を与える。ラプラスの方程式には境界条件を与える。

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解の重ね合わせ解の重ね合わせまたはまたは線形原理線形原理(定理(定理))

同次線形偏微分方程式においては、同次線形偏微分方程式においては、同次線形常微分方程式と同様に、既知の同次線形常微分方程式と同様に、既知の解の重ね合わせにより新しい解が得られる。解の重ね合わせにより新しい解が得られる。

ある領域ある領域 R R での線形同次偏微分方程式のでの線形同次偏微分方程式の任意の解を任意の解を uu11, , uu22 とすると、とすると、

もも、、その領域その領域 R R での解である。ただし、での解である。ただし、cc11, , cc22

は任意の定数である。は任意の定数である。

1 1 2 2u c u c u= +

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3.23.2 振動する弦振動する弦ののモデル化モデル化とと波動方程式波動方程式の導出の導出

バイオリンの弦のような弾性的な弦のバイオリンの弦のような弾性的な弦の微小横振動の波を記述する方程式を導く。微小横振動の波を記述する方程式を導く。

長さ長さ LLの弦を用意する。の弦を用意する。

弦の一端を弦の一端を x x = 0 = 0 で固定する。で固定する。

弦を弦を x x 軸に沿って長さが軸に沿って長さが LL になるように伸ばす。になるように伸ばす。

弦のもう一端を弦のもう一端を x x = = LL で固定する。で固定する。

xLO

uL

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11Copy Right by C.KANAMORI 2005

弦の微小部分に働く力弦の微小部分に働く力((力学モデル力学モデルへ)へ)

弦の微小部分に働く力弦の微小部分に働く力についてについて考える。考える。

弦は曲げに対して抵抗がないので、弦の各点で弦は曲げに対して抵抗がないので、弦の各点で接線方向に張力が働く。微小部分の端点接線方向に張力が働く。微小部分の端点 P P とと Q Q での張力での張力 TT11 とと TT22 とする。とする。

弦の各点は垂直方向に動き、水平方向には運動弦の各点は垂直方向に動き、水平方向には運動しない。しない。

12Copy Right by C.KANAMORI 2005

微小部分に働く張力微小部分に働く張力((力学モデル力学モデル))

弦の各点は弦の各点は垂直方向に動き、垂直方向に動き、水平方向には水平方向には

運動しない。運動しない。したがって、したがって、

垂直方向には、2つの力が働き、垂直方向には、2つの力が働き、これら2つの合力は、微小部分これら2つの合力は、微小部分の質量の質量 m m に加速度に加速度a a を掛けたもを掛けたものに等しい。のに等しい。

2

2 1 2sin sin uT T xt

β α ρ ∂− = ∆

m xρ= ∆

張力の水平方向成分は張力の水平方向成分は一定でなければならない。一定でなければならない。 1 2cos cos constantT T Tα β= = =

1 cosT α 2 cosT βQ

1sinT α

2 sinT β2

2ua

t∂

=∂P

両辺を両辺を TT で割るで割る。。→左辺は・・・→左辺は・・・ 1 2cos , cosT T T Tα β= =

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13Copy Right by C.KANAMORI 2005

傾きの関係傾きの関係((力学モデル力学モデル))

tantanααは、点は、点P P (位置(位置 x x )での)での弦の曲線の傾き弦の曲線の傾き

22 1

22 1

sin sin tan tancos cos

T T x uT T T t

β α ρβ αβ α

∆ ∂− = − =

tan uxx

α ∂⎛ ⎞= ⎜ ⎟∂⎝ ⎠

2

21 u u u

x x xx x x T tρ⎡ ⎤∂ ∂ ∂⎛ ⎞ ⎛ ⎞− =⎢ ⎥⎜ ⎟ ⎜ ⎟+ ∆∆ ∂ ∂ ∂⎝ ⎠ ⎝ ⎠⎣ ⎦

tan ux xx

β ∂⎛ ⎞= ⎜ ⎟ + ∆∂⎝ ⎠

tantanββは、点は、点Q Q (位置(位置 x x ++ΔΔxx )での)での弦の曲線の傾き弦の曲線の傾き

tantanαα, , tantanββを代入し、を代入し、

両辺を両辺をΔΔxx で割る。で割る。

ΔΔxx を0に近づけると、次のを0に近づけると、次の

線形偏微分方程式を得る。線形偏微分方程式を得る。

2 2 22

2 2 2u T u uc

t x xρ⎛ ⎞∂ ∂ ∂

= =⎜ ⎟∂ ∂ ∂⎝ ⎠

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1次元波動方程式1次元波動方程式

同次2階の微分方程式同次2階の微分方程式

2 22

2 2u uc

t x∂ ∂

=∂ ∂

2 Tcρ

=物理定数物理定数 TT//ρρをを cc22 で表す。で表す。

((TT//ρρは正の量であることを示すため)は正の量であることを示すため)

1次元:空間座標1次元:空間座標 xxのみが現れる。のみが現れる。

xLO

u u(x,t)

u u ( ( xx, , t t )):: tt > 0 > 0 での弦の形、すなわちでの弦の形、すなわち任意の場所任意の場所 xx ,,任意の時間任意の時間 t t での弦の変位での弦の変位。。

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15Copy Right by C.KANAMORI 2005

3.3 3.3 変数分離変数分離法と法とフーリエ級数フーリエ級数を利用した偏微分方程式の解法を利用した偏微分方程式の解法

弦がどのように運動するかを調べるためには、弦がどのように運動するかを調べるためには、方程式を解かなければならない。方程式を解かなければならない。

解解 uuは、物理系に課せられているは、物理系に課せられている次の条件を満たす必要がある。次の条件を満たす必要がある。

境界条件境界条件

弦が弦が x x = 0 = 0 とと x x = = L L でで固定されている。固定されている。

初期条件初期条件

初期変位(初期変位( t t = 0 = 0 での変位)での変位) f f ((xx))初期速度(初期速度( t t = 0 = 0 での速度)での速度) g g ((xx) ) (これらによって弦の運動の様子(これらによって弦の運動の様子が変わる)が変わる)

(0, ) 0, ( , ) 0 (2)u t u L t= =

( ,0) ( ) (3)u x f x=

( ) (4)0

du g xtdt

==

2 22

2 2 (1)u uct x

∂ ∂=

∂ ∂

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解法の手順解法の手順

ステップ1ステップ1

いわゆる変数分離法または乗積法を適用して、いわゆる変数分離法または乗積法を適用して、2つの常微分方程式を得る。2つの常微分方程式を得る。

ステップ2ステップ2

これら2つの方程式の解で、かつ境界条件これら2つの方程式の解で、かつ境界条件(2)(2)を満たすものを求める。を満たすものを求める。

ステップ3ステップ3

これらの解を組み合わせて、波動方程式これらの解を組み合わせて、波動方程式(1)(1)のの解であり、かつ初期条件解であり、かつ初期条件(3)(3)とと(4)(4)を満たすものをを満たすものを見つける。見つける。

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17Copy Right by C.KANAMORI 2005

ステップ3:結果ステップ3:結果

形式解形式解

( )1

( , ) cos *sin sin (12)n n n nn

nu x t B t B t xLπλ λ

=

= +∑

0

2* ( )sin ( 1,2, ) (15)L

nn xB g x dx n

cn Lπ

π= =∫

0

2 ( )sin ( 1,2, ) (14)L

nn xB f x dx n

L Lπ

= =∫

式式(12)(12)は、式は、式(1)(1)の解であって、条件の解であって、条件(2)(3)(4)(2)(3)(4)を満たす。を満たす。ただし、級数ただし、級数(12)(12)が収束して、級数が収束して、級数(12)(12)をを x x とと t t についについて2回微分した級数も収束して、和が連続なて2回微分した級数も収束して、和が連続な∂∂22u/u/∂∂xx22, , ∂∂22u/u/∂∂tt22 になる必要がある。になる必要がある。

18Copy Right by C.KANAMORI 2005

ステップ3:解の妥当性ステップ3:解の妥当性形式解形式解(12)(12)が正しいことを証明する。が正しいことを証明する。

1( , ) cos( )sin (16)n n n

n

n x cnu x t B tL Lπ πλ λ

=

⎛ ⎞ ⎛ ⎞= =⎜ ⎟ ⎜ ⎟⎝ ⎠ ⎝ ⎠

簡単のため初速度簡単のため初速度 gg ((xx) ) が0である場合を考える。が0である場合を考える。

この場合この場合 BBnn** は0で式は0で式(12)(12)は次式となる。は次式となる。

3角関数の積を和にする公式を用いて、3角関数の積を和にする公式を用いて、

1 1

1 1( , ) sin ( ) sin ( )2 2n n

n n

n nu x t B x ct B x ctL Lπ π∞ ∞

= =

⎧ ⎫ ⎧ ⎫= − + +⎨ ⎬ ⎨ ⎬⎩ ⎭ ⎩ ⎭

∑ ∑

1cos sin sin ( ) sin ( )2

cn n n nt x x ct x ctL L L Lπ π π π⎡ ⎤⎛ ⎞ ⎛ ⎞ ⎧ ⎫ ⎧ ⎫= − + +⎨ ⎬ ⎨ ⎬⎢ ⎥⎜ ⎟ ⎜ ⎟

⎝ ⎠ ⎝ ⎠ ⎩ ⎭ ⎩ ⎭⎣ ⎦

次式のように書き換えられる。次式のように書き換えられる。

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19Copy Right by C.KANAMORI 2005

ここで、ここで、 f f ((xx) ) をフーリエ正弦級数で表した式をフーリエ正弦級数で表した式(13)(13)の変数の変数 x x ににxx--ctct とと x+ctx+ct をそれぞれ代入する。をそれぞれ代入する。

1 1( ,0) ( ,0) sin ( ) (13)n n

n n

nu x u x B x f xLπ∞ ∞

= =

= = =∑ ∑

1 1

1 1( , ) sin ( ) sin ( )2 2n n

n n

n nu x t B x ct B x ctL Lπ π∞ ∞

= =

⎧ ⎫ ⎧ ⎫= − + +⎨ ⎬ ⎨ ⎬⎩ ⎭ ⎩ ⎭

∑ ∑

1 1sin ( ) ( ), sin ( ) ( )n n

n n

n nB x ct f x ct B x ct f x ctL Lπ π∞ ∞

= =

∴ − = − + = +∑ ∑

すると、右辺の2つの級数が得られるので、この式はすると、右辺の2つの級数が得られるので、この式は次のように書き換えることができる。次のように書き換えることができる。

1( , ) * ( ) * ( ) (17)2

u x t f x ct f x ct= − + +⎡ ⎤⎣ ⎦

ただしただし、、f f * * は周期2は周期2L L を持ち、を持ち、 ff を奇関数として拡張したもの。を奇関数として拡張したもの。つまり、つまり、 x x 軸方向に移動しても、同じ関数が繰り返される軸方向に移動しても、同じ関数が繰り返される。。

20Copy Right by C.KANAMORI 2005

式式(17)(17)の物理的解釈の物理的解釈

f f * (* (x x -- ctct) ) のグラフは、のグラフは、 f f * (* (xx) ) のグラフを右へのグラフを右へ ct ct だけだけ移動させて得られる(下図参照)。移動させて得られる(下図参照)。

1( , ) * ( ) * ( ) (17)2

u x t f x ct f x ct= − + +⎡ ⎤⎣ ⎦

したがって、したがって、 t t の増加とともにの増加とともに ( ( c c >> 0 )0 )f f * (* (x x -- ctct) ) は、は、 右へ進行する波を、右へ進行する波を、

f f * (* (x x ++ ctct) ) は、は、 左へ進行する波を表す。左へ進行する波を表す。

そして、そして、 u u ( ( xx, , t t )) はこれら2つの波の重ねあわせである。はこれら2つの波の重ねあわせである。

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3.43.4 波動方程式のダランベールの解波動方程式のダランベールの解

別の方法で、今示した波動方程式の解の式別の方法で、今示した波動方程式の解の式(17)(17)がが直接得られることを示す。直接得られることを示す。

2 22

2 2u uc

t x∂ ∂

=∂ ∂

2 (1)Tcρ

⎛ ⎞=⎜ ⎟

⎝ ⎠

式式(2)(2)のの新しい独立変数を導入し、新しい独立変数を導入し、u u をを v v とと z z の関数との関数とする。する。

, (2)v x ct z x ct= + = −

式式(1)(1)の偏導関数をの偏導関数を v v とと z z についての偏導関数で表すについての偏導関数で表す。。

これ以後、偏微分を下付き添え字で表すことにする。これ以後、偏微分を下付き添え字で表すことにする。

1, 1x xv zv zx x∂ ∂

= = = =∂ ∂

式式(2)(2)からから

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23Copy Right by C.KANAMORI 2005

u u ( ( xx, , t t )) はは v v とと z z の関数であるの関数であるので、ので、連鎖の法則から偏微分連鎖の法則から偏微分

uuxxは次式で与えられる。は次式で与えられる。

x v x z x

v z

u u v u zu u

= += +

さらに連鎖の法則を適用すると、さらに連鎖の法則を適用すると、偏微分偏微分 uuxxxxは次式で与えられる。は次式で与えられる。

( )( ) ( )

xx v z x

v z v x v z z x

u u uu u v u u z

= += + + +

すべての偏微分が連続すべての偏微分が連続するとするとするとすると uuzvzv== uuvzvz である。よって、である。よって、

( ) ( )2

vv zv vz zz

vv zv zz

u u u uu u u

= + + += + +

式式(1)(1)のの偏微分偏微分 uutttt も同様に変形も同様に変形

すると次式が得られる。すると次式が得られる。

2( 2 )tt vv zv zzu c u u u= + +

この2つの結果を式この2つの結果を式(1)(1)に代入に代入すると次式となる。すると次式となる。

20 (3)vz

uuz v∂

≡ =∂ ∂

24Copy Right by C.KANAMORI 2005

この方法の利点は、積分を2回この方法の利点は、積分を2回繰り返せば、式繰り返せば、式(3)(3)が簡単に解が簡単に解けることである。けることである。

20 (3)vz

uuz v∂

≡ =∂ ∂

( )u h vv∂

=∂

ただし、ただし、h h ((vv) ) はは v v の任意関数である。の任意関数である。

さらに,さらに,v v について積分するとについて積分すると

次式が得られる。次式が得られる。 ( ) ( )u h v dv zψ= +∫ただし、ただし、ψψ((zz) ) はは z z の任意関数である。の任意関数である。

積分は積分は v v のみの関数なので、のみの関数なので、φφ((vv) ) とすると、とすると、uuの解はの解はuu ==φφ((vv) + ) + ψψ((zz) ) の形となる。そして式の形となる。そして式(2)(2)を用いると、を用いると、

波動方程式のダランベールの解が得られる。波動方程式のダランベールの解が得られる。

( , ) ( ) ( ) (4)u x t x ct x ctφ ψ= + + −

実際にここで,実際にここで,z z について積分するとについて積分すると

次式が得られる。次式が得られる。

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25Copy Right by C.KANAMORI 2005

初期条件を満たすダランベールの解初期条件を満たすダランベールの解

初期条件(初期変位初期条件(初期変位 f f ((xx) ) と初期と初期速度速度 g g ((xx)) )は次式で表される。)は次式で表される。

( ,0) ( ) (5)u x f x=

式式(4)(4)--(7)(7)から、から、

( , ) ( ) ( ) (7)tu x t c x ct c x ctφ ψ′ ′= + − −

( ,0) ( ) (6)tu x g x=

式式(4)(4)を微分するとを微分すると次式となる。次式となる。

ただし、プライムただし、プライム´́は、引数は、引数 xx++ct ct とと xx++ct ct についての微分である。についての微分である。

( ,0) ( ) ( ) ( ) (8)u x x x f xφ ψ= + =( ,0) ( ) ( ) ( ) (9)tu x c x c x g xφ ψ′ ′= − =

波動方程式のダランベールの解波動方程式のダランベールの解

( , ) ( ) ( ) (4)u x t x ct x ctφ ψ= + + −

26Copy Right by C.KANAMORI 2005

00

1 1 1( ) ( ) ( ) ( ) (11)2 2 2

x

xx f x g s ds k x

cφ = + +∫

式式(8)(8)から式から式(10)(10)を引いて、2で割るとを引いて、2で割るとψψ((xx) ) が得られる。が得られる。

00

1 1 1( ) ( ) ( ) ( ) (12)2 2 2

x

xx f x g s ds k x

cψ = − −∫

00 0 0 0

1( ) ( ) ( ) ( ) ( ( ) ( ) ( )) (10)x

xx x k x g s ds k x x x

cφ ψ φ ψ− = + = −∫式式(9)(9)をを c c で割ってで割って、、x x で積分すると次式が得られる。で積分すると次式が得られる。

式式(10)(10)と式と式(8)(8)を加えてを加えてψψを消去し、2で割るとを消去し、2で割るとφφ((xx) ) が得られる。が得られる。

00

1 1 1( ) ( ) ( ) ( ) (11) *2 2 2

x ct

xx ct f x ct g s ds k x

++ = + + +∫

式式(11)(11)でで x x をを x x ++ct ct と置き換える(積分区間と置き換える(積分区間 xx00からから x x ++ct ct まで)。まで)。

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14

27Copy Right by C.KANAMORI 2005

00

1 1 1( ) ( ) ( ) ( ) (11) *2 2 2

x ct

xx ct f x ct g s ds k x

++ = + + +∫

式式(12)(12)でで x x をを xx-- ct ct と置き換える(積分区間と置き換える(積分区間 xx00からから x x -- ct ct まで)。まで)。

さらに積分の符号を変えて積分区間をさらに積分の符号を変えて積分区間を x x -- ctctからから xx00 までにする。までにする。

こうしておいて、こうしておいて、φφ( ( xx++ct ct ) ) とと ψψ( ( xx--ct ct )) を加える、すなわちを加える、すなわち

式式(4)(4)よりより次式が得られる。次式が得られる。

00

1 1 1( ) ( ) ( ) ( ) (12) *2 2 2

x

x ctx ct f x ct g s ds k x

−− = − + −∫

式式(11)(11)でで x x をを x x ++ct ct と置き換える(積分区間と置き換える(積分区間 xx00からから x x ++ct ct まで)。まで)。

1 1( , ) ( ) ( ) ( ) (13)2 2

x ct

x ctu x t f x ct f x ct g s ds

c+

−= + + − +⎡ ⎤⎣ ⎦ ∫

初期速度が0ならば、一次元波動方程式の解が得られる。初期速度が0ならば、一次元波動方程式の解が得られる。1( , ) ( ) ( ) (14)2

u x t f x ct f x ct= + + −⎡ ⎤⎣ ⎦これは変数分離法でこれは変数分離法で求めた解と同じである求めた解と同じである。。

28Copy Right by C.KANAMORI 2005

3.5 3.5 熱方程式:フーリエ級数解熱方程式:フーリエ級数解

熱方程式熱方程式

ただし、ただし、cc2 2 は熱拡散率、は熱拡散率、K K は熱伝導率、は熱伝導率、σσは比熱、は比熱、ρρは物体の密度である。は物体の密度である。

∇∇2 2 u u はは u u のラプラシアンである。のラプラシアンである。

2 2 2u Kc u ct σρ

⎛ ⎞∂= ∇ =⎜ ⎟∂ ⎝ ⎠

2 2 22

2 2 2u u uu

x y z∂ ∂ ∂

∇ = + +∂ ∂ ∂

一様な物質でできている物体中の温度一様な物質でできている物体中の温度

u u ( ( xx, , yy,, zz,, t t ) ) は次の熱方程式では次の熱方程式で与え与えられられる。る。

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15

29Copy Right by C.KANAMORI 2005

一次元熱方程式一次元熱方程式

図のような細長い棒を考える。図のような細長い棒を考える。

一様な断面積をもち、均質な物質でできていて、一様な断面積をもち、均質な物質でできていて、x x 軸方向に向いている。棒は側面で完全に断熱軸方向に向いている。棒は側面で完全に断熱されていて、熱がされていて、熱が x x 軸方向のみに流れるとする。軸方向のみに流れるとする。

22 2

2 (1)u u Kc ct x σρ

⎛ ⎞∂ ∂= =⎜ ⎟∂ ∂ ⎝ ⎠

すると、すると、 uuがが xx とと t t のみに依存して、方程式はのみに依存して、方程式は

1次元熱方程式となる。1次元熱方程式となる。

x = Lx = 0

30Copy Right by C.KANAMORI 2005

一次元熱方程式を解く一次元熱方程式を解く2

2 22 (1)u u Kc c

t x σρ⎛ ⎞∂ ∂

= =⎜ ⎟∂ ∂ ⎝ ⎠

境界条件式境界条件式(2)(2)と初期条件式と初期条件式(3)(3)のもとで、式のもとで、式(1)(1)のの1次元熱方程式を解くことにする。1次元熱方程式を解くことにする。

境界条件境界条件

棒の両端棒の両端 x x = 0 = 0 とと x x = = LL で温度が0である。で温度が0である。

(0, ) 0, ( , ) 0 ( (2)u t u L t t= = すべての について)

初期条件初期条件

初期温度分布が関数初期温度分布が関数 f f ((xx) ) で与えられる。で与えられる。

( ,0) ( ) ( ( ) (3)u x f x f x= は与えられている)

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16

31Copy Right by C.KANAMORI 2005

波動方程式と熱方程式の違い波動方程式と熱方程式の違い

方程式の違い方程式の違い波動方程式波動方程式 uutttt

熱方程式熱方程式 uutt 22 2

2u u Kc ct x σρ

⎛ ⎞∂ ∂= =⎜ ⎟∂ ∂ ⎝ ⎠

22 2

2 2u u Tc c

t x ρ⎛ ⎞∂ ∂

= =⎜ ⎟∂ ∂ ⎝ ⎠

初期条件の違い初期条件の違い

波動方程式では、2つの初期条件が必要である。波動方程式では、2つの初期条件が必要である。

熱方程式では、1つの初期条件で十分である。熱方程式では、1つの初期条件で十分である。

32Copy Right by C.KANAMORI 2005

解法の手順解法の手順

ステップ1ステップ1

いわゆる変数分離法または乗積法を適用して、いわゆる変数分離法または乗積法を適用して、2つの常微分方程式を得る。2つの常微分方程式を得る。

ステップ2ステップ2

これら2つの方程式の解で、かつ境界条件これら2つの方程式の解で、かつ境界条件(2)(2)をを満たすものを求める。満たすものを求める。

ステップ3ステップ3

これらの解を組み合わせて、熱方程式これらの解を組み合わせて、熱方程式 (1)(1)の解での解であり、かつ初期条件あり、かつ初期条件(3) (3) を満たすものを見つける。を満たすものを見つける。

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33Copy Right by C.KANAMORI 2005

ステップ1:2つの常微分方程式ステップ1:2つの常微分方程式

変数分離法または乗積法の適用→→変数分離法または乗積法の適用→→ ( , ) ( ) ( ) (4)u x t F x G t=

2

2,u uFG F Gt x

∂ ∂ ′′= =∂ ∂

微分すると次式となる。→微分すると次式となる。→ →→→→→→→→ドットは時間ドットは時間 t t に関する微分を表す。に関する微分を表す。

プライムプライム´́は位置は位置 xx に関する微分を表す。に関する微分を表す。

微分方程式微分方程式(1)(1)に代入するに代入すると次式となる。→と次式となる。→ 2FG c F G′′=

式の両辺は定数でなければならない。→式の両辺は定数でなければならない。→左辺は左辺は t t のみ、右辺はのみ、右辺は x x のみの関数である。のみの関数である。ここでここで t t の値を変えると左辺の値は変わるが、の値を変えると左辺の値は変わるが、右辺の値は変わらない(右辺の値は変わらない(xxについても同様)。についても同様)。その場合、この式が成立するのは定数の場その場合、この式が成立するのは定数の場合だけである。合だけである。

さらに両辺をさらに両辺を cc22FGFG で割る。で割る。

2 (5)G F kFc G′′

= =

方程式の解を変数方程式の解を変数 x x とと t t のみに依存するのみに依存する2つの関数の積で表す。2つの関数の積で表す。

20 (6)

0 (7)

F kF

G c kG

′′ − =

− =

34Copy Right by C.KANAMORI 2005

ステップ2:境界条件ステップ2:境界条件(2)(2)を満たすを満たす((kk≧≧0)0)kk≧≧00 のときは、境界条件式のときは、境界条件式(2)(2)を満たす解を満たす解 u=FG u=FG はは uu≡≡00 だけとなり、だけとなり、意味のない解意味のない解となる。となる。

(0, ) 0, ( , ) 0 ( (2)u t u L t t= = すべての について)

(0, ) (0) ( ) 0, ( , ) ( ) ( ) 0u t F G t u L t F L G t= = = =

GG((tt))≡≡0 0 ならば,明らかにならば,明らかに uu≡≡0 0 となり,意味のない解となる。となり,意味のない解となる。

したがって,したがって, GG((tt))がが00でないとすると,でないとすると, 境界条件は次のようになる。境界条件は次のようになる。

(0) 0, ( ) 0F F L= =

0 (6)F kF′′ − =

( , ) ( ) ( ) (4)u x t F x G t=

kk = 0= 0 のとき,式のとき,式(6)(6)の一般解はの一般解は FF((xx)=)=axax++b b となる。式となる。式(8)(8)からから a a == b b = 0 = 0 が得られる.したがって,が得られる.したがって, FF((xx) ) ≡≡0 0 ,,uu≡≡0 0 となり,となり,意味のない解意味のない解となる。となる。

kk > 0> 0 のとき,のとき,k k ==μμ22 とおくと,式とおくと,式(6)(6)の一般解はの一般解は境界条件境界条件を用いるとを用いると FF((xx) ) ≡≡0 0 ,,uu≡≡0 0 となり,となり,意味のない解意味のない解となる。となる。

x xF Ae Beµ µ−= +

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35Copy Right by C.KANAMORI 2005

2 0 (6) *F p F′′ + =kk < 0< 0 のとき、のとき、k k = = --pp22 とおくと、式とおくと、式(6) (6) の形の形

および一般解は次式となる。および一般解は次式となる。 ( ) cos sinF x A px B px= +

式式(8)(8)から、次式を得る。→から、次式を得る。→ (0) 0F A= =

B B == 0 0 では、では、FF((xx) ) ≡≡0 0 ,,uu≡≡0 0 となり,となり,意味のない解意味のない解となる。となる。

pL nπ=npLπ

=

B B == 1 1 とおくと、無限に多くの解とおくと、無限に多くの解FF((xx)=)=FFnn((xx) ) が得られる。が得られる。

( ) sin ( 1,2, )nn xF x n

= =

( ) sin 0F L B pL= =

n n が負の整数の場合には、が負の整数の場合には、sin (sin (--αα)= )= -- sin (sin (αα) ) であるので、であるので、

式式(10)(10)の解の符号が変わるだけで同じ解が得られる。の解の符号が変わるだけで同じ解が得られる。

このようにこのように kkが限定され、式が限定され、式(6) (6) ´́と式と式(9)(9)からからkkの値が次のようになる。の値が次のようになる。

ステップ2:境界条件ステップ2:境界条件(2)(2)を満たすを満たす((kk<<0)0)

2 2( / )k p n Lπ= − = −

B B ≠≠ 0 0 とおくと、とおくと、sin sin pLpL = 0 = 0 となり、となり、

その結果、次式が得られる。その結果、次式が得られる。→→ →→

→→

→→

→→

ここまでは、一次元波動方程式の解法とまったく同じである。ここまでは、一次元波動方程式の解法とまったく同じである。

36Copy Right by C.KANAMORI 2005

ここで、ここで、

2( ) ( 1,2, )n t

n nG t B e nλ−= =

ステップ2:ステップ2: GG の一般解の一般解 →→ 解解 uu2 2( / )k p n Lπ= − = −

2 0 (7)G c kG− = 2 0 (7) *nG Gλ+ =

ncn

Lπλ =

2( , ) ( ) ( ) sin ( 1,2, ) (9)n t

n n n nn xu x t F x G t B e n

Lλπ −= = =

したがって、解となる関数したがって、解となる関数 uunn( ( xx, , t t ) = ) = FFnn((xx) ) GGnn((tt ) ) は、次式となる。は、次式となる。

このこの kkの値の値 に対して、に対して、

方程式方程式 (7) (7) は式は式(7)(7)**の形になる。の形になる。

→→

また、一般解は次式となる。→また、一般解は次式となる。→

式式(9)(9)は、この問題の固有関数であり、固有値はは、この問題の固有関数であり、固有値は λλnnである。である。

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37Copy Right by C.KANAMORI 2005

ステップ3:問題の一般解ステップ3:問題の一般解

初期条件初期条件(3) (3) を満たす解を得るために、上の固有関数からなる級数を考える。を満たす解を得るために、上の固有関数からなる級数を考える。

2

1 1( , ) ( , ) sin (10)n t

n n nn n

n x cnu x t u x t B eL L

λπ πλ∞ ∞

= =

⎛ ⎞= = =⎜ ⎟⎝ ⎠

∑ ∑

式式(10)(10)は初期条件(初期温度分布)のは初期条件(初期温度分布)の式式(3)(3)から、次式となる。から、次式となる。

1( ,0) sin ( )n

n

n xu x B f xLπ∞

=

= =∑式式(10)(10)が式が式(3)(3)を満たすためには、フーリエ正弦級数でなければならない。を満たすためには、フーリエ正弦級数でなければならない。すなわち、係数すなわち、係数BBnnは次式となる。は次式となる。

0

2 ( )sin ( 1,2, ) (11)L

nn xB f x dx n

L Lπ

= =∫f f ((xx) ) が区間が区間 00≦≦ xx ≦≦ L L で区分的に連続で、この区間内のすべての点でで区分的に連続で、この区間内のすべての点で片側微分係数をもつと仮定すると、式片側微分係数をもつと仮定すると、式(11) (11) の係数を持つ級数の係数を持つ級数 (10) (10) が、こが、こ

の問題の解である。の問題の解である。

t t が無限に大きくなると、指数因子のために式が無限に大きくなると、指数因子のために式(10)(10)のすべての項がのすべての項が00に近に近づく。また、その減衰率はづく。また、その減衰率は nn とともに大きくなる。とともに大きくなる。

38Copy Right by C.KANAMORI 2005

定常な2次元の熱流定常な2次元の熱流

22次元熱方程式次元熱方程式

もし熱流が定常ならば(すなわち時間に無関係もし熱流が定常ならば(すなわち時間に無関係ならば)ならば)∂∂uu//∂∂tt=0=0 である。そして、熱方程式はである。そして、熱方程式は

ラプラスの方程式に帰着する。ラプラスの方程式に帰着する。

2 22 2 2

2 2u u uc u ct x y

⎛ ⎞∂ ∂ ∂= ∇ = +⎜ ⎟⎜ ⎟∂ ∂ ∂⎝ ⎠

2 22

2 2 0 (15)u uux y∂ ∂

∇ = + =∂ ∂

↑2次元の↑2次元のラプラスの方程式ラプラスの方程式

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20

39Copy Right by C.KANAMORI 2005

熱流問題熱流問題

問題問題は、2つの部分は、2つの部分から構成される。から構成される。xyxy平面のある領域平面のある領域 RR で成立するで成立する

ラプラスの方程式ラプラスの方程式 (15)(15)領域領域 R R の境界線の境界線 C C で与えられる境界条件で与えられる境界条件

→境界値問題→境界値問題

境界値問題の分類境界値問題の分類ディリクレの問題:ディリクレの問題: u u が境界線が境界線 CC で与えられる。で与えられる。

ノイマンの問題:法線導関数ノイマンの問題:法線導関数 uunn==∂∂uu//∂∂nn がが境界線境界線 CC で与えられる。で与えられる。

混合問題:混合問題:関数関数 u u がが CCの一部で与えられ、の一部で与えられ、法線導関数法線導関数 uunn が境界線が境界線 CCのほかの部分でのほかの部分で与えられる。与えられる。

2 22

2 2 0 (15)u uux y∂ ∂

∇ = + =∂ ∂

40Copy Right by C.KANAMORI 2005

長方形長方形 RR でのディリクレの問題でのディリクレの問題

図のように長方形図のように長方形 R R の上辺の温度の上辺の温度 uu ( ( xx, , yy) ) はは ff ((xx) ) ,,ほかの3つの辺では温度が0と仮定して,ラプラスほかの3つの辺では温度が0と仮定して,ラプラスの方程式の方程式(15)(15)に対するディリクレの問題を考える。に対するディリクレの問題を考える。

u = f (x)

u = 0u = 0

u = 0 x

y

0

0 a

b

R

長方形 R と境界値

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21

41Copy Right by C.KANAMORI 2005

ディリクレの問題を変数分離で解くディリクレの問題を変数分離で解く

位置位置 ((xx,,yy)) での温度での温度 u u ( , ) ( ) ( )u x y F x G y=

2 22

2 2 0u uux y∂ ∂

∇ = + =∂ ∂

ラプラスの方程式に代入する。ラプラスの方程式に代入する。

2 2

2 2 0d F d GG Fdx dy

+ =

FG FG で割る。で割る。 2 2

2 21 1 0d F d GF Gdx dy

+ =

2 2

2 21 1d F d G kF Gdx dy

= − = −F F とと G G についてについて整理する。整理する。

42Copy Right by C.KANAMORI 2005

FF((xx)) に関する境界条件に関する境界条件

FF に対する微分方程式に対する微分方程式

左端および右端の境界条件左端および右端の境界条件

これよりこれより

( ) ( ) sin ( 1,2, ) (16)nnF x F x x naπ

= = =

2

2 0d F kFdx

+ =

(0) 0, ( ) 0F F a= =

2nkaπ⎛ ⎞= ⎜ ⎟

⎝ ⎠F F ((xx) ) ≠≠ 0 0 の解は、の解は、

2( ) cos sinF x A px B px k p= + =一般解一般解

(0) 0, ( ) sin 0F A F a B pa= = = =

( 1,2, )np naπ

= =BB≠≠0 0 ででなけれななけれなならないため、ならないため、

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22

43Copy Right by C.KANAMORI 2005

GG(y)(y) に関する境界条件に関する境界条件

GG に対する微分方程式に対する微分方程式

よって解は、よって解は、

これよりこれより

22

2 0d G n Gadyπ⎛ ⎞− =⎜ ⎟

⎝ ⎠

( ) py pyG y Ae Be−= +一般解の形は、一般解の形は、

下端での境界条件下端での境界条件 u u = 0 = 0 よりより

/ /( ) ( ) n y a n y an n nG y G y A e B eπ π−= = +

(0) 0n n nG A B= + = n nB A= −

( )/ /( ) 2 sinhn y a n y an n n

n yG y A e e Aa

π π π−= − =

以上以上 F F とと G G より、この問題の固有関数が得られた。より、この問題の固有関数が得られた。

( , ) ( ) ( ) *sin sinh (17)n n n nn x n yu x y F x G y A

a aπ π

= =

44Copy Right by C.KANAMORI 2005

残った境界条件と解残った境界条件と解

上端の境界条件を満たす解を上端の境界条件を満たす解を得るために級数を考える。得るために級数を考える。

書き換えると書き換えると

y y = = bb での固有関数は、での固有関数は、

この式よりこの式より f f ((xx) ) はフーリエ級数であるため、括弧の中のはフーリエ級数であるため、括弧の中の表示は、表示は、 f f ((xx))のフーリエ係数のフーリエ係数 bbnn でなければならない。でなければならない。

1( , ) ( ) *sin sinhn

n

n x n bu x b f x Aa aπ π∞

=

= =∑

( , ) ( )u x b f x=

1( , ) ( , )n

nu x y u x y

=

=∑

1( , ) ( ) *sinh sinn

n

n b n xu x b f x Aa aπ π∞

=

⎛ ⎞= = ⎜ ⎟⎝ ⎠

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23

45Copy Right by C.KANAMORI 2005

解解

したがって、したがって、 f f ((xx))のフーリエ係数のフーリエ係数 bbnnは、は、

以上よりこの問題の解は、以上よりこの問題の解は、

1( , ) *sin sinh (19)n

n

n x n yu x y Aa aπ π∞

=

=∑

0

2*sinh ( )sina

n nn b n xb A f x dx

a a aπ π

= = ∫

0

2* ( )sin (20)sinh( / )

an

n xA f x dxa n b a a

ππ

= ∫

46Copy Right by C.KANAMORI 2005

定常熱流=静電ポテンシャル=弾性膜定常熱流=静電ポテンシャル=弾性膜

異なる物理系が同じ数学的モデルで表され、異なる物理系が同じ数学的モデルで表され、ラプラスの方程式で求めることができる。ラプラスの方程式で求めることができる。

定常熱流定常熱流 静電ポテンシャル静電ポテンシャル 弾弾 性性 膜膜

u u 温温 度度 ポテンシャルポテンシャル 変変 位位

境境 界界 条条 件件

3辺3辺 温度0温度0 ポテンシャル0ポテンシャル0 変位0変位0

00 0度維持0度維持 接接 地地 固定固定

上辺上辺 温度分布温度分布 ポテ分布ポテ分布 変位形状変位形状

f f ((xx))