保健 睡眠障害に ついて...Contents 01 睡眠とは何か?03 青年期−大学生、大学院生の睡眠 05 睡眠障害について 06 睡眠の改善に向けたアプローチ
不眠、ストレスによって、糖尿病が 発症、悪化することを...
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不眠、ストレスによって、糖尿病が
発症、悪化することを知っていますか?
「不眠」と「睡眠不足」の違い
内山真:NHKきょうの健康,p20,2006年5月号(一部改変)
寝ようと思って床についても
眠れない
不眠
床にいる時聞が短くて
睡眠が足りない
睡眠不足
不眠と生活習慣病の関係
肥満
高血圧症、糖尿病、脂質異常症
心血管イベント
生活習慣の乱れ=生体リズムの乱れ
食生活の乱れ
食事
運動不足
運動
不眠
休養
大塚邦明(東京女子医科大学東医療センター ):新薬と臨牀,58,1764-1776,2009.
兼板佳孝(日本大学):食生活,103,26,2009.(一部改変)
調整オッズ比 95%
信頼区間 p値
睡眠時間の変化
5h以上から5h以上
5h未満から5h以上
5h以上から5h未満
5h未満から5h未満
1.00
1.17
1.33
1.36
1.05-1.31
1.04-1.70
1.15-1.60
0.00
0.02
0.00
睡眠時間の変化と肥満の新規発症
日本人男性21,693例において、1999年と2006年の健康診断データを比較し、睡眠時間と肥満の新規発症(BMI≧25kg/m2)との関係を検討した。年齢、食習慣、飲酒習慣、喫煙習慣、運動習慣、高血圧、高血糖などで補正した。
睡眠時間と高血圧の発症リスク
Gangwisch JE et al.: Hypertension,47,833,2006.より作図
高血圧を発症していない32~86歳の4,810名を対象に、平均睡眠時間と8~10年間の高血圧の発症(SBP>140mmHg or DBP>90mmHg)リスクを検討した。補正項目:日中の眠気、うつ、身体活動レベル、飲酒量、食塩摂取量、喫煙、脈拍数、性別、学歴、年齢、民族、肥満、糖尿病
0
2.0
1.0
ハザード比
1.32
1.00 1.12
≦5時間
(n=358)
平均睡眠時間
6時間
(n=931) 7~8時間
(n=3,173)
≧9時間
(n=348)
(1.02-1.71)
(0.82-1.23) (0.84-1.50)
1.01
通常睡眠と睡眠不足後の24時間血圧
日本人男性18例を対象とし、通常睡眠(約8時間)と睡眠不足(約3.6時間)の日の翌日に、血圧、心電図、心拍数などを24時間測定した。
Tochikubo O(横浜市立大学) et al.: Hypertension,27,1318,1996.
SBP1/DBP1:平均睡眠時間3.6時間の翌日の収縮期血圧/拡張期血圧
SBP2/DBP2:平均睡眠時間8時間の翌日の収縮期血圧/拡張期血圧
血圧
120
80
60
20 24 4 8 12
時刻
140
100
16 20
* *
* *
*
*
*
*
* *
* *
* *
*
* *
* * *
*
* *
* *
* *
*
* * * *
* * *
*
* *
*
* *
* *
* *
SBP1
SBP2
DBP1 DBP2
Mean±SE
*p<0.05
(時)
(mmHg)
睡眠時間と脂質代謝(女性)
日本人の男性1,666名、女性2,329名を対象に2003年の国民健康・栄養調査のデータから、平均睡眠時間と脂質代謝の関連について検討した。
Kaneita Y(日本大学) et al.: Sleep,31,645,2008.
100
160
150
110
130
140
120
56
68
64
60
睡眠時間(時間)
<5 6~7 5~6 7~8 ≧8
睡眠時間(時間)
<5 6~7 5~6 7~8 ≧8
血清トリグリセリド
(mg/dL)
血清
HD
L-コレステロール
(mg/dL)
睡眠時間と糖尿病の有病率の関係
Gottlieb GJ et al.: Arch Intern Med,165,863-867,2005.より作図
53~93歳の一般住民1,486名を対象に、平均睡眠時間と糖尿病の有病率の関係について調査した。糖尿病は空腹時血糖>126mg/dL or OGTT 2時間値>200mg/dL or 糖尿病治療ありと定義した。
補正項目:年齢、性別、人種、BMI、腹囲径、無呼吸低呼吸指数
0
3.0
2.0
1.0
オッズ比
2.51
1.66
1.00
1.79
≦5時間
(n=125)
平均睡眠時間
6時間
(n=277) 7~8時間
(n=956)
≧9時間
(n=128)
(1.57-4.02)
(1.15-2.39) (1.08-2.96)
糖尿病患者における不眠の実態
小路眞護、迎徳範、内村直尚(久留米大学):Prog Med, 24,987,2004.
糖尿病患者158名とコントロールとして性・年齢を一致させた健常者205名(人間ドックおよび検診の結果、糖尿病ではない者)を対象に不眠の実態調査を行った。
入眠困難
中途覚醒
早朝覚醒
何らかの不眠
0 10 50 (%) 20 30 40
p<0.01
ns
p<0.05
p<0.05
糖尿病患者
健常者
糖尿病患者の不眠とその関連因子
小路眞護、迎徳範、内村直尚(久留米大学):Prog Med, 24,987,2004.
入眠困難 0
20
40
50
30
中途覚醒 早朝覚醒 何らかの不眠
(%)
10
HbA1C<6.0
HbA1C≧6.0, <7.0
HbA1C≧7.0, <8.0
HbA1C≧8.0
有神経症状
(n=20, 58.6 歳) 30%
(n=58, 61.2 歳) 29.3%
(n=32, 58.9 歳) 28.1%
(n=39, 53.6 歳) 25.6%
入眠困難 0
20
40
60
30
中途覚醒 早朝覚醒 何らかの不眠
(%)
10
神経障害有り、症状有り
神経障害有り、症状無し
神経障害無し
50
p<0.05
p<0.01 p<0.05
p<0.05
糖尿病患者158名を対象に不眠とその関連因子を年齢、性別、肥満度、HbA1C、低血糖の有無や頻度・程度、糖尿病罹病期間、糖尿病合併症の有無・程度について検討した。
睡眠不足とHbA1Cの関係(2型糖尿病)
Knutson KL et al: Arch Intern Med,166,1768,2006.
合併症のない2型糖尿病患者70例において、睡眠不足とHbA1Cの関係を検討した。睡眠不足は各個人が理想とする睡眠時間と実際の睡眠時間の差とした。
不足した睡眠時間
(理想の睡眠時間-実際の睡眠時間)
0
4
2 4
16
8
12
Hb
A1C
14
10
6
1 3 5 6
p=0.04
(%)
(時間)
睡眠不足とグルコース・インスリン濃度の関係
Spiegel K et al: Lancet,354,1435,1999.
グルコース
140
120
100
80
900
600
300
0
9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00
時刻
140
120
100
80
900
600
300
0
9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00
時刻
18~27歳の健常男性11例(平均年齢:22歳、平均BMI:23.6kg/m2)において、4時間睡眠×6日、 12
時間睡眠×6日を実施し、朝食後のグルコースとインスリン濃度を測定した。
睡眠不足の状態 睡眠不足のない状態 (mg/dL)
(pmol/分)
インスリン
p=0.05
ns
睡眠不足と糖尿病のリスク
内山 真(日本大学):医学のあゆみ,223,837,2007.
① 糖代謝を変化させるコルチゾールの分泌を
高めて、インスリン抵抗性を増大させる
② 食欲を抑制するレプチンの分泌低下、食欲
を促進するグレリンの分泌亢進により体重
増加を招く
③ 日中の眠気をもたらすことで活動量を低下
させ、エネルギー消費低下をもたらす
①
②
③ 睡眠不足
糖代謝の変化 食欲増加 日中のエネルギー
消費低下
インスリン 抵抗性
体重増加
糖尿病リスク
?
睡眠時間と乳癌発症リスク
日本人女性23,995例を8年間追跡し、睡眠時間と乳癌発症の関係を検討した(143例が乳癌と診断された)。補正項目:年齢、BMI、既往歴、職業、婚姻、学歴、喫煙、飲酒、運動習慣、摂取カロリーなど
Kakizaki M(東北大学) et al: Br J Cancer,99,1502-1505,2008.より作図
≦6時間
(n=4,549)
平均睡眠時間
7時間
(n=7,087) 8時間
(n=8,667)
≧9時間
(n=3,692)
0
ハザード比
1.0
1.62
1 1.14
0.72
中枢時計と末梢時計の関係
中枢時計
SCN
(視交叉上核)
末梢時計
肝臓 腎臓 心臓 血管
太陽
大塚邦明(東京女子医科大学東医療センター ):新薬と臨牀,1764-1776,2009.
神経支配
液性因子 外界の環境因子
睡眠覚醒リズム
摂食リズム
「目覚まし時計」は脳にある
松果体(メラトニン分泌)
光
視交叉上核
(体内時計)
さまざまな概日リズム
正午 午後6時
深夜0時
血中濃度
睡眠の深さ
光
コルチコステロイド
成長ホルモン
午前6時
正午
朝、まずは決まった時間に
太陽の光を浴びるようにする
どうしてもキツイ人は、起床の時間に徐々に明るくなっていくタイマーがついたライトを使ってみよう!
部屋が日陰の人は、あえて屋内照明もつけ、明るさを強くする。
体内時計の狂いを治す(1)
体内時計の狂いを治す(2)
昼間、なるべく外に出る機会を作る
昼間に明るい所で活動すると夜、メラトニンの生成が多く促される。
散歩などで運動もすると、寝付きも良くなる。
毎日できるだけ他人とふれあう
人と会う・話す事も大切!社会のリズムに合わせる事で、24時間の周期を感じやすくなる。家に閉じこもっていると、25時間周期に近い不規
則な生活となりやすい。人と会う機会が減れば、太陽を浴びる時間も少なくなる。
体内時計の狂いを治す(3)
規則正しい時間に食事をとる
特に朝食をとり、早く血糖値をあげる事で、1日のリズムが作りやすくなる。
体内時計の狂いを治す(4)
過眠、過度の疲労感は昼間でもまだ眠った状態になっているからである
それは脳内時計が狂っているからです