CO 海洋隔離技術開発の現状と展望 - SPF...2009/09/06  · 1...

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1 CO CO 2 海洋隔離技術開発の現状と展望 海洋隔離技術開発の現状と展望 東京大学 東京大学 新領域創成科学研究科 新領域創成科学研究科 海洋技術環境学専攻 海洋技術環境学専攻 佐藤 佐藤 CCS (Carbon dioxide Capture & Storage)とは? CCSのメリットは「超大量CO2削減技術」 (海域)地中貯留 帯水層貯留 超臨界状態のCO2地下帯水層へ圧入 海洋隔離 中層溶解 液状CO2を海水に溶解 海底貯留 液状CO2を海底に貯め、 ハイドレート膜で覆う 第61回海洋フォーラム090615

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COCO22海洋隔離技術開発の現状と展望海洋隔離技術開発の現状と展望

東京大学東京大学 新領域創成科学研究科新領域創成科学研究科 海洋技術環境学専攻海洋技術環境学専攻

佐藤佐藤 徹徹

CCS (Carbon dioxide Capture & Storage)とは?CCSのメリットは「超大量CO2削減技術」

(海域)地中貯留

帯水層貯留超臨界状態のCO2を地下帯水層へ圧入

海洋隔離

中層溶解液状CO2を海水に溶解

海底貯留液状CO2を海底に貯め、

ハイドレート膜で覆う

第61回海洋フォーラム090615

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CCS:超大量CO2削減技術

IPCC第4次報告書(2007年11月17日)第一部会:第一部会:気候変動の科学的根拠気候変動の科学的根拠 (1/29-2/1)

人為起源の温室効果ガスの増加が温暖化の原因とほぼ断定

過去100 年に平均気温が0.74℃上昇。最近50 年は100 年の2 倍。

21 世紀末の気温上昇は、環境・経済両立社会で約1.8℃(1.1~2.9)、経済重視社会では約4.0℃(2.4~6.4)

大気中のCO2濃度上昇で海洋表層酸性化(新見解)

第二部会:第二部会:気候変動の影響評価気候変動の影響評価 (4/1-4/6)気候変動が自然及び人間環境に及ぼす、既に生じている影響

永久凍土地盤の不安定化、春季現象(発芽、産卵行動など)の早期化、生息域の高緯度・高地への移動、北極及び南極の生態系変化、湖沼や河川の水温上昇、熱波による死亡、媒介生物による感染症リスク

2050までに、水は高緯度で10~40%増、中緯度で10~30%減

植物及び動物種の約20~30%は気温上昇が1.5~2.5℃を超えると絶

滅のリスク増加

1~3℃の海面温度上昇で、サンゴの白化が頻発

食料生産は、1~3℃の上昇では増加、それを超えると減少

2080 年までに海面上昇により洪水被害人口が数百万人/年増加。

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IPCC第4次報告書(2007年11月17日)

第三部会:温暖化ガス排出抑制と気候変動緩和策第三部会:温暖化ガス排出抑制と気候変動緩和策(5/1-5/4)全世界の排出量(490億トン)は70年対比70%増加、無対策であれば2030までに2000年比25~90%増加

$100/t-CO2の対策費用で気温上昇は2~2.8℃に抑制可能、これによる損失は世界GDPの3%未満

既存の対策

原子力、太陽光や風力など再生可能エネルギー、ハイブリッド車やクリーンディーゼル車、照明や冷暖房の効率化

今後期待できる技術

CCS、水素燃料電池車、建築断熱材、バイオ燃料

途上国と先進国で排出責任巡り対立

「先進国が温暖化ガスを排出してきた責任を明記せよ」とのブラジルの主張に中国やインドが同調。

中国は気温上昇を許容するシナリオを盛り込むよう要求

欧州と米国も対立

排出権取引を始めた欧州が有効性主張、米国は経済界への影響を懸念して「特定の対策を推奨する場ではない」と反論。

今回初めて有効性を評価された原子力を巡り、推進派の米国と脱原発の欧州の一部が対立。

ポスト京都議定書への各国の対応

この数字で12月にCOP15(コペンハーゲン)へ

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ポスト京都議定書への各国の対応

欧州は、交渉の主導権を狙う。地中隔離で10%。環境税導入検討。

イギリスは早期対策が経済的優位を生む(Stern review)として、積極的に推進。

アメリカは京都議定書枠組は不参加。オバマ大統領は積極的も、国民世論や議会を味方にできるか?オバマが中国訪問し、議論するも何も引き出せず。COP15で主導件は握れそうもない。

中国ですら2020年までにGDP原単位当たり2000年比40%削減目標(但し総量は倍増)。総量規制には今後も強く反対。

日本は京都議定書約束期間(08~12)に90年対比6%削減は困難(?)。植林進まず、排出権依存。今や世界有数の排出権取得大国。環境省と経産省の合同審議会での対立。「環境立国戦略」も策無し状態。

09/06/09 経団連・連合:2020までに2005年比7%削減(1990年比4%増)を首相に提案

09/06/10 温室効果ガス排出削減目標(中期目標)政府案確定:2020までに2005年比15%削減(1990年比7減)

家庭の負担額は年間6 万円~18 万円増(電気授業連合会)

09年12月 いよいよコペンハーゲンでCOP15。はたして?

ロンドン条約科学会議ロンドン条約科学会議(May(May 2005)2005)英が海底下地中隔離を提案英が海底下地中隔離を提案

表層酸性化と経済性のベネフィット表層酸性化と経済性のベネフィット

ロンドン条約科学会議ロンドン条約科学会議(May 2006)(May 2006)英・豪・ノルウェーが海域地中隔離を強く主張英・豪・ノルウェーが海域地中隔離を強く主張

漏洩リスクについて議論活発化漏洩リスクについて議論活発化

ロンドンロンドン条約締約国会議条約締約国会議 (Nov 2006)(Nov 2006)廃棄してよい物質のリストに廃棄してよい物質のリストにCO2CO2を加えた付属書を採択を加えた付属書を採択

廃棄の仕方のガイドライン作り(グリーンピースも参加)廃棄の仕方のガイドライン作り(グリーンピースも参加)

海洋隔離は議論しない海洋隔離は議論しない

ロンドン条約ロンドン条約9696年議定書改定付属書の発効年議定書改定付属書の発効(March 2007)(March 2007)日本は国内法未整備で未批准日本は国内法未整備で未批准

20072007年年55月海洋汚染防止法改正案が国会を通過月海洋汚染防止法改正案が国会を通過

ロンドン条約締約国会議ロンドン条約締約国会議((Nov2007Nov2007))日本も批准日本も批准

海域地中貯留の合法化

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地中貯留のキャパシティー

(RITEのデータにより作成)

B2B2

B1B1

A3A3

A2A2

A1A1

885885○○○○非背斜構造非背斜構造水溶性ガス田水溶性ガス田

214214××○○

5252○○○○基礎試錐基礎試錐

3535○○○○背斜構造背斜構造油ガス田油ガス田

275275××○○海域海域

貯留可能予想量貯留可能予想量

(億トン)(億トン)攻井攻井

データデータ探震探震

データデータカテゴリーカテゴリー

なぜ海洋隔離か?

地中貯留のキャパシティー

2005年10月の経済産業省「技術戦略マップ(エネルギー分野)~超長期エネルギー技術ビジョン~」によると、2025年から2100年までに削減しなく

てはならないCO2量は5~40億トン/年

• ほぼ確実に安定貯留できるのは背斜構造を持つ地質構造。A1+A2+A3では、2100年までの必要削減量の10~80%

• 漏洩リスクを考えると海域(A2)のみ。2100年までの削減量の2~14%• パイプラインの経済性を考えると、A2のうち、海岸線から10km以下は

26億トン。 2100年までの削減量の1~7%

なぜ海洋隔離か?

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(Akimoto, 2006)

CO

2E

mis

sion

( M

t-C

/y )

Geological(A2)

Ocean

Geological (A2)

Ocean

2050年の GDP あたりの CO2 排出量が2000年の 1/3 の場合

2050年の GDP あたりの CO2 排出量が2000年の 1/2 の場合

経済性シミュレーション

なぜ海洋隔離か?

なぜ海洋隔離か?

リスク(ハザードの大きさ×発生確率)の差異

海洋隔離注入時の濃度が最も高く、それ以降は拡散により濃度が薄まるため、リスク管理の対象は、注入点近傍域近い将来、様々な生物に対するCO濃度の影響のデータがそろえば、 ハザードの定量化は可能

影響濃度の上限がわかれば、その濃度以下に希釈する技術開発により、リスク管理が可能

海域地中貯留1サイト当りの総貯留量が不明確

リスクは、地震などの天災や事故などによる「漏洩」。発生確率はもちろん、漏洩量も不明。生物影響リスクを将来に残す

不確実性により、リスクの定量化およびリスク管理が困難

リスクの不確実性が大きいと、評価には専門家の主観が含まれざるを得なくなり、時代による変動や、専門家への信頼問題、楽観論と悲観論の対立等により、社会的合意形成はむしろ困難化

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CO2海洋隔離

-背景-

(Caldeira and Wickett, 2003)

大気・海洋中の CO2 濃度

海洋表層酸性化

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(Riebesell, 2004)

海洋表層酸性化

Morphology of Sea Urchin Larva

control +500ppm +1000ppm +2000ppm +5000ppm +10000ppm

(Kurihara & Shirayama, 2004)

海洋表層酸性化

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9

0 3 6 9 12 1560

70

80

90

100エビの生残曲線

対照区

1,900 ppm

曝露期間 (週)

脱皮間隔(日)

生残

率(%

実験区

対照区 7.67±1.28

9.44±2.69

海洋表層酸性化

CO2海洋隔離

-基本コンセプト-

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ピークシェービング

海洋隔離のベネフィット

海洋隔離のベネフィット

地中貯留は、漏洩が無ければ、半永久的なCO2の大気からの隔離

海洋隔離は、約百年後から数百年かけて中深層の海水が上層へ湧昇し、CO2が徐々に大気へ漏洩。

したがって、隔離期間は数百年この数百年後の漏洩はデメリットではなく、多大な気候変動を引き起こすといわれるオーバーシュートをピークシェービングにより避けることに貢献するというブリッジングテクノロジーとしてのメリットの一環

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生物影響生物影響

海洋隔離のリスク

CO2海洋隔離

-環境影響評価技術開発-

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■■ 実験により、中深層動物プランクトンの観測無影響濃度実験により、中深層動物プランクトンの観測無影響濃度((NOECNOEC)を算出)を算出

■■ 中深層生物全般の予測無影響濃度(中深層生物全般の予測無影響濃度(PNECPNEC)を推定)を推定

海洋隔離の環境影響評価技術

無影響濃度(無影響濃度(PNECPNEC))

Trajectory of Organism

海洋隔離の環境影響評価技術

近傍域拡散モデル

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海洋隔離の環境影響評価技術

海洋隔離の環境影響評価技術

海洋乱流の再現海洋乱流の再現

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海洋隔離の環境影響評価技術

近傍域近傍域CO2CO2濃度分布濃度分布

t(h)

pCO

2(at

m)

0 2 4 6 8 1010-5

10-4

10-3

10-2

10-1

100

海洋隔離の環境影響評価技術

近傍域CO2濃度分布

t(h)

M

0 2 4 6 8 100

0.00025

0.0005

0.00075

0.001

0.00125

pCO2 死亡率

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海洋隔離の環境影響評価技術

中規模モデル中規模モデル

シナリオ(尾崎ら 2008)

5000万トン/年を100km×300kmの海域に、30隻の船を使って放出

水平方向の濃淡 鉛直方向の濃淡

潮流によるCO2流脈線の重複

Streaklines of injected CO2

上昇に伴うCO2溶解の重複

注入パイプ CO2液滴

海洋隔離の環境影響評価技術

中規模海域の課題

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海洋隔離の環境影響評価技術

想定海域

海洋隔離の環境影響評価技術

マルチスケールマルチスケール((近傍域+小規模近傍域+小規模))モデルモデル

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海洋隔離の環境影響評価技術

中規模領域内中規模領域内CO2CO2濃度分布濃度分布

海洋隔離の環境影響評価技術

小規模領域内CO2濃度分布

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モニタリング技術

海洋隔離の環境影響評価技術

中深層生態系モデル

魚類の生理学的影響

CO2海洋隔離

-社会的受容性-

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海洋隔離の社会的受容性

リスク管理技術順応的管理(adaptive management)

リスクコミュニケーション

生態系に潜む不確実性と非定常性

やりながら学ぶ順応的管理

モニタリング 意思決定

市民の参加

Learning by Doing

Learning by Doing

情報・意見の交換 一般市民

リスクコミュニケーション

一般市民

従来型

一方的な情報提供

事業者 事業者

合意を行う判断基準の把握

Objective予想不可能な問題意識の把握

Objective

CO2海洋隔離の社会科学的モニタリング

バーチャルリスクコミュニケーション アンケート調査

PO活動に対する提言

研究活動の方向性

Output

海洋隔離の社会的受容性

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アンケートの共分散構造分析結果

社会的受容性

リスク認知

信頼環境倫理

ベネフィット認知

0.52

-0.33-0.35

-0.11

-0.34 0.25

0.50 0.40

海洋隔離の社会的受容性

アンケートの共分散構造分析結果

海洋隔離の社会的受容性

リスク認知

リスクの観察可能性

結果の深刻さ

リスクの科学的知見

リスクの新規性

安全性

海洋生物への影響

海洋環境への影響

0.91

0.82環境倫理

自然のコントロール

人間の立ち入り是非

自然摂理への適合性

0.910.90

0.89

リスク認知リスク認知環境影響評価技術の研究進捗の適切な情報発信環境影響評価技術の研究進捗の適切な情報発信

環境倫理環境倫理海洋表層酸性化と海洋隔離のコンセプト(炭素循環の促進)の情報発信海洋表層酸性化と海洋隔離のコンセプト(炭素循環の促進)の情報発信

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海洋隔離の社会的受容性

webを用いたヴァーチャルリスクコミュニケーション

議論の論理解析

海洋隔離の社会的受容性

)A()A()A()A()A()A(

PGR Adcsp

sp

iiiiii

+++

+=

{ }

{ }∑ ∑∑

Ω∈ ∈

+=

a odcspjj

odcspjj

ai

i

,,,,

,,,,A )(

1)A(AR

議論単位の個数証明:ip (A)支持:is (A)反論:ic (A)反証:id (A)その他:io (A)

肯定的根拠率(PGR)

被議論率(AR)

(堀田, 2000)

第61回海洋フォーラム090615

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議論構造PGR AR 行

海洋隔離についての賛否 0.61 1.00 1c 生態系への影響が不安 0.36 0.28

o 不安は取り除けないのか? 1.00 0.02c 実験を行えばいい 0.58 0.22

c 実験を行ってもわからない問題はある 1.00 0.02c 深刻な影響を出す可能性もある 1.00 0.02s 慎重に実験を行えばいい 0.67 0.17

s 繰り返し実験を行えばいい 0.67 0.12c どんなに努力しても影響はでる 0.20 0.10

c 人間のために生物を犠牲にしていいのか 0.75 0.09 10c 地球温暖化を放置しても生物に影響はある 0.00 0.07

c いつでも実行できるように準備はすべき 1.00 0.02c 実験により少しでも多くのことを解明すべき 1.00 0.03

s 実験してもしなくても同じなのでは 1.00 0.02s 結果を検討し一般の人々の了解を得るべき 0.00 0.03

c 環境団体の反対がある 1.00 0.02c 多少の損害は目をつむるべき 1.00 0.02

s 実験は中止すべきでない 1.00 0.05s 地球温暖化に対して他に有効な打開策がない 1.00 0.03

s 削減ポテンシャルが魅力的 1.00 0.02 20s 濃度を上げて実験を行うべき 0.67 0.22

s 生物量が少ない海域なら比較的高い濃度でも良いと思う 0.64 0.22s 生物調査を長期間行うべき 1.00 0.02c 貴重な生物がいる可能性もある 0.33 0.17

c 生物が多いところよりは少ないところを選択すべき 0.50 0.05s 短期の死亡率だけを考えるならそれでよい 1.00 0.02c 生物量の少ない場所でさらに生物を少なくしてしまえば 1.00 0.02

その海域の生態系は回復不能になるのではc 生物量の多い場所で隔離して回復力に期待する 0.60 0.10

s やはり、多い場所で行う方がよいのでは 1.00 0.03 30s 結局規制が甘そうなのでどこでもできるのでは 1.00 0.02

c 生物量が多くても回復力はわからないのでは 0.50 0.05c 回復力を測る実験を行う必要がある 0.00 0.03

c 季節、年度により変化するので 1.00 0.02良い実験結果は得られない

o 生物量より希釈技術の発展を重視すべき 1.00 0.02s 技術的に優れたものだ 1.00 0.02c 隔離量に限界があるのでは 1.00 0.02c 地球上の総量は変わらない 0.50 0.12

c 空気中の濃度を下げれば温暖化が防げる 0.40 0.10 40c 大気への排出量を削減するべき 0.50 0.09

c 地球温暖化が深刻化する前でのクリーンエネルギーの台頭は困難 0.33 0.07c 海洋隔離に頼りきるのは問題 0.50 0.05

s なるべく使わないようにしたい 1.00 0.02c 現実では使わざるを得ない 1.00 0.02

海洋隔離の社会的受容性

生態系生態系影響に関する議論影響に関する議論

生物量に関する議論生物量に関する議論

生態系への影響が不安

慎重に実験を行うどんなことをしても影響はでてしまう

PGR:0.20PGR:0.67

PGR:0.36

生物量が少ないなら高濃度可能

貴重な生物がいる可能性も生物量が多い場所で行い

回復力に期待する

生態系調査を入念に

PGR:0.60PGR:0.33

PGR:0.64

海洋隔離の社会的受容性

中心的に行われた議論

第61回海洋フォーラム090615

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海域地中貯留のCO2漏洩リスク

aquifer

ocean CO2 plume

leak faultEarthquake

length: 3000mwidth: 25m

Biological Impact: ΔpCO2

海域地中貯留の漏洩リスク

海底からの海底からのCO2CO2気泡の漏洩による生物影響気泡の漏洩による生物影響

漏洩量漏洩量

・・ 極端ケース:極端ケース: 94600 94600 t/yt/y

・・ 実例ケース:実例ケース: 3800 3800 t.yt.y

第61回海洋フォーラム090615

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中規模領域中規模領域モデル: 静水圧近似領域: 132 km x 50 km x 460 m格子サイズ: 4 km x 2 km

海域地中貯留の漏洩リスク

小規模領域小規模領域モデル: Full-3D + 気液二相流領域: 4 km x 2 km x 120 m格子サイズ: 25 m x 25 m

マルチスケールマルチスケール((近傍域+小規模近傍域+小規模))モデルモデル

海域地中貯留の漏洩リスク

中規模領域中規模領域 小規模領域小規模領域

CO2CO2の拡散の拡散

第61回海洋フォーラム090615

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Trajectories of zooplanktons

海域地中貯留の漏洩リスク

浮遊生物が経験する浮遊生物が経験するCO2CO2濃度濃度

極端ケース極端ケース 実例ケース実例ケース

海域地中貯留の漏洩リスク

底生生物が経験する底生生物が経験するCO2CO2濃度濃度

極端ケース極端ケース 実例ケース実例ケース

第61回海洋フォーラム090615

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CO2海洋隔離の将来展望

今後の進め方今後の進め方海域を利用した各種海域を利用した各種CO2CO2貯留・隔離技術のフィージビリティスタディ貯留・隔離技術のフィージビリティスタディ

Public OutreachPublic Outreach活動による海洋隔離の国内外の理解獲得活動による海洋隔離の国内外の理解獲得

環境影響予測モデルの環境影響予測モデルの高度化高度化

小規模小規模//実規模実規模の実海域の実海域CO2CO2放出国際共同実験の実施放出国際共同実験の実施

将来展望将来展望

温暖化対策温暖化対策20302030年以降、年間年以降、年間22億トン程度の億トン程度のCO2CO2削減が可能削減が可能

海洋隔離は国際交渉の場で、海洋隔離は国際交渉の場で、CO2CO2削減の切札削減の切札

産業振興産業振興CO2CO2の分離・回収技術は、スケールメリットの恩恵の分離・回収技術は、スケールメリットの恩恵

50005000万トン万トン//年のケースで、1サイト当り年のケースで、1サイト当り3030隻の放出船と隻の放出船と2020隻の隻の

輸送船の建造。陸上貯蔵タンクも必要輸送船の建造。陸上貯蔵タンクも必要

環境影響評価のためのモニタリング技術(環境影響評価のためのモニタリング技術(ROVROV、、AUVAUV、ゲノム、ゲノム

解析技術)に係る産業解析技術)に係る産業

海洋隔離のこれから

第61回海洋フォーラム090615