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795462 調査報告 .は じ め に 東北地方太平洋沖地震の前年である2010年,福島 県の海面漁業における属地生産額は約110億円であっ 。その内,遠洋漁業に区分される漁業によるもの 千万円弱であり,大半が沿岸漁業あるいは沖合漁 業に区分される漁業によるものである。同年の沿岸漁 業の生産額上位漁業(船びき網漁業,さし網漁業, 小型底びき網漁業)の総生産額が約41億円,沖合漁業 の生産額上位漁業(沖合底びき網漁業,まき網漁 業,さんま棒受網漁業)の総生産額が約55億円であり, これらを合計すると96億円と全生産額の割程度を占 める。福島県漁業協同組合連合会は201115日に 県内漁業者に対して漁業の操業をしないよう申し送り をしていたが,福島第一原子力発電所からの放射性物 質の流出を受け,翌月の日には,操業自粛の継続を 決定している。その後,沖合漁業のうち,県外の漁場 で操業を行うまき網漁業やさんま棒受網漁業について は,操業を再開している。 本稿執筆時点で自粛開始から年半以上経過してい るが,県内の海面漁業で操業を再開したのは前述のつの漁業種類のみである。すなわち,全ての沿岸漁業 及び沖合底びき網漁業については,依然として操業再 開には至っていない。福島県近海の放射性物資による 汚染状況は,福島第一原子力発電所の事故当時から比 べると,大幅に改善されてきているが,一部の魚介類 で現在でも基準値を超えるものが散見されており,本 格的な再開には至っていない。 一方,自粛中のこれらの漁業種類についても,安定 して基準値を下回っていると判断された魚種を対象と して,試験操業が進められている。2012月にミズ ダコ・ヤナギダコ・シライトマキバイを対象として開 始されて以降,慎重な検討をしながら順次対象魚種と 漁場を拡大しており,201410月末時点における対象 魚種は55になっている。試験操業によって採捕された 海産物は試験販売の対象となるが,これらの海産物が 安心できるものであるかは,多くの人々にとって大き な関心対象であるだろう。この点に関わる情報,すな わち,放射性物質に関する検査結果などの情報は,福 島県や福島県漁業協同組合連合会のウェブサイトで公 開されており,必要な情報はほとんど入手可能である。 また,福島県内の主要メディアは,試験操業の取り組 みを随時取り上げており,試験操業そのものについて の一般的な認知度は上がってきていると言えるかもし れない。しかし,開始から年以上が経過したことも あり,試験操業の全体像を把握することが,それほど 容易でない状況になっているのも事実であるだろう。 本稿では,以上のような問題意識のもとで,試験操 業の対象魚種の指定に焦点を当て,情報の整理を試み 福島大学地域創造 26巻 第6281ページ 2015Journal of Center for Regional Affairs, Fukushima University 26 (2):62-81, Feb 2015 福島県の試験操業における対象魚種について 福島大学経済経営学類准教授   井 上   健  福島大学経済経営学類特任准教授   林   薫 平  福島大学経済経営学類教授   小 山 良 太  The target fish species in Fukushima fishing trials INOUE Ken, HAYASHI Kumpei, KOYAMA Ryota

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調 査 報 告

1.は じ め に

 東北地方太平洋沖地震の前年である2010年,福島 県の海面漁業における属地生産額は約110億円であった1。その内,遠洋漁業に区分される漁業によるものは4千万円弱であり,大半が沿岸漁業あるいは沖合漁業に区分される漁業によるものである。同年の沿岸漁業の生産額上位3漁業(船びき網漁業,さし網漁業,小型底びき網漁業)の総生産額が約41億円,沖合漁業の生産額上位3漁業(沖合底びき網漁業,まき網漁業,さんま棒受網漁業)の総生産額が約55億円であり,これらを合計すると96億円と全生産額の9割程度を占める。福島県漁業協同組合連合会は2011年3月15日に県内漁業者に対して漁業の操業をしないよう申し送りをしていたが,福島第一原子力発電所からの放射性物質の流出を受け,翌月の7日には,操業自粛の継続を決定している。その後,沖合漁業のうち,県外の漁場で操業を行うまき網漁業やさんま棒受網漁業については,操業を再開している。 本稿執筆時点で自粛開始から3年半以上経過しているが,県内の海面漁業で操業を再開したのは前述の2つの漁業種類のみである。すなわち,全ての沿岸漁業及び沖合底びき網漁業については,依然として操業再開には至っていない。福島県近海の放射性物資による

汚染状況は,福島第一原子力発電所の事故当時から比べると,大幅に改善されてきているが,一部の魚介類で現在でも基準値を超えるものが散見されており,本格的な再開には至っていない。 一方,自粛中のこれらの漁業種類についても,安定して基準値を下回っていると判断された魚種を対象として,試験操業が進められている。2012年6月にミズダコ・ヤナギダコ・シライトマキバイを対象として開始されて以降,慎重な検討をしながら順次対象魚種と漁場を拡大しており,2014年10月末時点における対象魚種は55になっている。試験操業によって採捕された海産物は試験販売の対象となるが,これらの海産物が安心できるものであるかは,多くの人々にとって大きな関心対象であるだろう。この点に関わる情報,すなわち,放射性物質に関する検査結果などの情報は,福島県や福島県漁業協同組合連合会のウェブサイトで公開されており,必要な情報はほとんど入手可能である。また,福島県内の主要メディアは,試験操業の取り組みを随時取り上げており,試験操業そのものについての一般的な認知度は上がってきていると言えるかもしれない。しかし,開始から2年以上が経過したこともあり,試験操業の全体像を把握することが,それほど容易でない状況になっているのも事実であるだろう。 本稿では,以上のような問題意識のもとで,試験操業の対象魚種の指定に焦点を当て,情報の整理を試み

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Journal of Center for Regional Affairs, Fukushima University 26 (2):62-81, Feb 2015

福島県の試験操業における対象魚種について福島大学経済経営学類准教授  井 上   健 

福島大学経済経営学類特任准教授  林   薫 平 福島大学経済経営学類教授  小 山 良 太 

The target fish species in Fukushima fishing trials

INOUE Ken, HAYASHI Kumpei, KOYAMA Ryota

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た。具体的には,対象魚種指定前後における該当魚種の放射性物質濃度の水準を,公開されているデータをもとに確認している。ただし,本稿は公開されているデータを記述的に処理し,状況を概観することを目的としており,厳密な統計分析を実施したものではない点に注意されたい。 以下,2節では福島県沖の海産物の現状について概観し,3節で福島県における試験操業の概要を確認する。4節では試験操業対象魚種に関する確認結果を紹介し,5節を結語とする。

2.福島県沖の海産物の現状

2.1.福島県によるモニタリング結果の概要 2011年4月に開始された福島県による水産物に対するモニタリング検査では,毎週一定数の検体が採取され放射性セシウムの濃度が計測されている。検体は県の水産試験場の調査船及び各浜の漁業者の協力により採取されているが,漁業者による採取では,様々な漁業種類や魚種が対象となっており,年間を通してみると,福島県沖における通常操業で採取される魚種が概ね検査対象となっていると言えるだろう。また,福島県沖を9海域(相馬双葉沖4海域,いわき沖4海域,福島第一原子力発電所周辺海域)に分け,各海域で一定の検体数が確保されるように検査が設計されており,調査海域についての大きな偏りはないと考えられる。2014年11月17日までで総検体数は22,919に達しており,1週間平均でおよそ130検体の検査を実施していることになる。(表1)は検査結果の推移の概要を検体数単位でまとめたものである。2011年には基準値2である100Bq/㎏を超えている検体が40%以上であったが,2014年については1%未満にまで低下している。さらに,2014年

では全検体の80%以上が不検出となっている。全体として大きく海産物中の放射性セシウムの濃度が低下していることが確認できる。この点についての統計的な検証としては[水産庁, 2014]がある。福島県沖で採取された13種3の魚類について,2つの期間(2011年4月~9月と2013年10月~2014年3月)で放射性セシウムの濃度に有意差があるかどうかを検証し,全ての魚種について有意差が確認されたと報告している4。魚種は限られるものの比較的大きな値を示している魚種が選ばれており,サンプリングによる結果を十分にサポートしていると考えられる。

2.2.海産物の現状 既に確認したように福島県沖の海産物中の放射性セシウムの濃度は全体として低下してきている。この点について,[水産庁, 2014]では「海水魚は,体の中の塩類を排出させる機能が働くことから,海水の放射性セシウム濃度の低下に伴い,魚体中の放射性セシウム濃度が低下したためと考えられる。」と述べている。[水産庁, 2014]以外でも多くの研究者が同様の指摘をしており([森田, 2013],[水産総合研究センター, 2014]など),1つの到達点と考えてよいだろう。 一方,2014年に入っても基準値を超える検体が観測されるなど,低下に関する挙動は必ずしも一様ではないことも,指摘されている([根本, 早乙女, 佐藤, 藤田, 神山, 島村, 2013])。(表2)は2014年以降5検体以上の検査が実施されている魚種について,2014年以降の観測値を確認し,魚種別に分類したものである。まず,イカ・タコでは7種類中7種類が2014年以降全て不検出となっている。同様に貝類までの無脊椎動物や海藻では非常に低い水準に到

(表1)検査個体の内訳

2011年 2012年 2013年 2014年 計

不 検 出 290

(14.7%)2,285

(40.9%)5,213

(68.2%)6,391

(82.7%)14,179

(61.9%)

100Bq/㎏以下(不検出を除く) 876

(44.5%)2,362

(42.3%)2,148

(28.1%)1,267

(16.4%)6,653

(29.0%)

100Bq/㎏超 804

(40.8%)933

(16.7%)280

(3.7%)70

(0.9%)2,087

(9.1%)

計 1,970(100%)

5,580(100%)

7,641(100%)

7,728(100%)

22,919(100%)

 (出典)福島県『福島県の水産物の緊急時モニタリング検査結果』より作成(2014年11月19日公表) ※上段:該当検体数,下段:列合計に占める割合

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達している。一方,魚類については2014年以降不検出が続く魚種(23種類)から100Bq/㎏を依然として超えている魚種(12種類)まで分布しており,全体としては低い水準に多く分布しているとは言うものの,下がり切った状態と言える段階ではないだろう。

3.試験操業の概要

 既に述べたように福島県の海面漁業における試験操業については,福島県漁業協同組合連合会の専用ウェブサイト5で関連情報が公開されている。ここでは,その概要について確認する。

3.1.実施過程 試験操業実施に至るまでの基本的な流れは(図1)に示されている通りである。モニタリング検査結果から漁業者や流通業者によって候補魚種が選定され,操業体制・流通体制についての検討が行われる。候補は以下のいずれかを満たす魚種から選定することが方針として定められている6。

[1] 県のモニタリングで1か月以上安定して50Bq/㎏以下。[2] 生態的特性等から50Bq/㎏を超えないと客観的に判断される。

ただし,国によって出荷制限対象となっている魚種は候補とはしない。ある漁業種類(例えば底びき網漁業)において検討結果がまとまると,その結果は相馬双葉・いわきのそれぞれに存在する地区試験操業検討委員会での協議に乗せられる。ここでは,該当漁業以外の漁業者も含めた地区内の合意形成が図られることになる。合意形成ができた後に,漁業者

代表,消費・流通代表,有識者,行政機関などからなる福島県地域漁業復興協議会で審議が行われる。この協議会7では試験操業計画の適切性について,様々な立場から意見が出され,場合によっては,計画の再検討・修正等が要求される。協議の結果,問題ないことが確認された計画については,県内の漁業協同組合の組合長からなる会議において承認され実行が決定される。

県下漁業協同組合長会議で決定

福島県地域漁業復興協議会で審議

地区試験操業検討委員会で協議

漁業者・流通業者の協議

モニタリング検査結果

(図1)試験操業の意思決定のプロセス

(出典)福島県漁業協同組合連合会ウェブサイトを元に作成

3.2.放射性物質の検査体制と出荷方針 試験操業では水揚物に対する放射性物質の自主検査(スクリーニング検査)が実施されている。相馬双葉地区・いわき地区それぞれに専門の研修を受けた検査員が配置され,福島県漁業協同組合連合会のスクリーニングマニュアル8に従って検査を実施している。スクリーニングマニュアルの詳細は省くが,「水揚日ごと,海域ごとに1魚種1検体以上採取する」とされている点は確認しておく。現状では海産物についての放射性物質の全量検査は難しいと考えられる。しかし,同質性があると考えられる個体群

(表2)放射性セシウム濃度の最大値別魚種分類(2014年以降に5検体以上採取した魚種)

魚種分類 全 て不検出

25Bq/㎏以下

25超50Bq/㎏以下

50超100Bq/㎏以下 100Bq/㎏超 計

イ カ・ タ コ 7 0 0 0 0 7

ウニ・ナマコ等 2 1 0 0 0 3

エ ビ・ カ ニ 5 1 0 0 0 6

貝 類 9 0 0 0 0 9

海 藻 0 1 0 0 0 1

魚 類 23 29 6 4 12 74

計 46 32 6 4 12 100

 (出典)福島県『福島県の水産物の緊急時モニタリング検査結果』より作成(2014年11月19日公表)

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についての検査であるならば,サンプリングでも目的は十分に達成できるだろう。同質性がある範囲をどのように見極めるかが難しいところだが,その観点からは,上記の方針はかなり厳しい基準となっていると考える。一方,今後,対象魚種や漁業種類が増加していくことが予想されるため,同様の検査体制を維持できるかどうかが課題であり,今後,検討していかなければならないだろう。 試験操業における水揚物の出荷については,「基準値を超えるものを万が一にも流通させないために9」以下の通りの方針に従って決定されている。まず,出荷するかどうかの基本的な基準値を50Bq/㎏としている。ただし,スクリーニング検査は簡易分析装置による検査であることを考慮し,検査結果が25Bq/㎏以下になった場合に出荷を決定する。25Bq/㎏を超えた場合には,福島県水産試験場よる検査(ゲルマニウム検査機による精密検査)に進むことになる。そこで50Bq/㎏以下になった場合には出荷を決定し,50Bq/㎏を超える結果が得られた場合には出荷を自粛する。 出荷自粛となった魚種について1か月以上安定して50Bq/㎏以下の結果が得られた場合には,前述した実施過程の中で出荷自粛に向けた協議が行われる。

4.試験操業対象魚種について

 本節では,試験操業対象全55種を無脊椎動物(イカ・タコ,エビ・カニ,貝類,ウニ・ナマコ類)と魚類に分けて,体内の放射性セシウムの濃度についての傾向を確認していく。なお,以下では一度試験操業対象魚種に指定したが,その後,出荷自粛となり,対象魚種から外れたアカガレイも含めることにする。したがって,対処魚種は全部で56種になる。 対象魚種としての選定は,選定時までの傾向を見て判断することになる。そこで,まず,選定直前のおおよそ半年間における放射性セシウム濃度の検査結果(セシウム134とセシウム137の合計値,以下,同様)について見ていく。さらに,安全性の確認という観点から,試験操業開始後の検査結果についても確認する。検査結果としては基本的に福島県によるモニタリング結果(2014年11月19日公表分,以下,モニタリングと言及する)を利用する。ただし,試験操業対象魚種指定後についてはスクリーニング検査の結果10も合わせて利用する。

4.1.無脊椎動物[イカ・タコ] 安定的に低い水準が続いていたミズダコ・ヤナギダコが2012年6月に開始された最初の試験操業対象魚種として選定された。その後,同年8月にスルメイカ・ヤリイカ,2013年10月にケンサキイカ・ジンドウイカ,2014年10月にマダコが追加指定され,全部で7魚種が対象となっている。これらの魚種は底びき網またはカゴ漁業で採捕されている。

ミズダコ・ヤナギダコ(2012年6月指定)Ⅰ.2011年12月~2012年5月(ミズダコ) 37検体全て不検出(ヤナギダコ) 48検体中1検体で検出(7Bq/㎏)

Ⅱ.2012年6月~(ミズダコ) 299検体全て不検出(ヤナギダコ) 477検体全て不検出

スルメイカ・ヤリイカ(2012年8月指定)Ⅰ.2012年1月~2012年7月(スルメイカ) 17検体全て不検出(ヤリイカ) 19検体全て不検出

Ⅱ.2012年8月~(スルメイカ) 288検体全て不検出(ヤリイカ) 279検体中2検体で検出(最大値24Bq/㎏)

ケンサキイカ・ジンドウイカ(2013年10月)Ⅰ.2012年9月~2013年8月(ケンサキイカ) 7検体全て不検出(ジンドウイカ) 55検体全て不検出

Ⅱ.2013年10月~(ケンサキイカ) 1検体不検出(ジンドウイカ) 78検体全て不検出

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マダコ(2014年10月)Ⅰ.2014年1月~2014年8月 27検体全て不検出11

Ⅱ.2014年10月~ 12検体全て不検出

 イカ・タコ類は魚種選定直前,試験操業開始後,いずれについても,ほとんどの検体で不検出であることが確認された。わずかに観測された不検出でない検体でも,水準としては非常に小さい。ケンサキイカの検体数が少ないことがやや気になるところだが,体内の放射性セシウム濃度についての性質はイカ類でほぼ同質であると考えられることから,選定に大きな問題があると考える必要はないだろう。もちろん,今後,検体数を増やし,継続的なモニタリングによる確認が必要であることは言うまでもない。 (図2)は以上で確認した選定直前のおおよそ 半年間とそれ以降の期間における放射性セシウム濃度の推移について,7魚種分をまとめて描いたものである。詳細を確認するためには魚種別に描いた方が良いと考えられるが,ここでは傾向を概観することを目的とするため,魚種の区別をせずに[イカ・タコ]を1グループとして描いている。また,描画を可能にするため,便宜上不検出を0としている。以下における同様の図についても同様の方針で描いている。同図中には各魚種が試験操業対象として指定された年月も示した。イカ・タコ類全体として,十分に低い水準に達した状態で試験操業を開始し,その後も大きな問題が見られないことが確認できる。

[エビ・カニ] 2012年8月にケガニ,2012年11月にズワイガニ,2013年12月にベニズワイガニ・ヒゴロモエビ・ボタンエビ・ホッコクアカエビ,2014年5月にヒラツメガニ・ガザミがそれぞれ試験操業対処魚種に指定され,全部で8種類が対象となっている。ヒラツメガニ・ガザミは固定式さし網またはカゴ漁業で,その他の魚種は底びき網で採捕されている。

ケガニ(2012年8月指定)Ⅰ.2012年2月~2012年7月 33検体全て不検出

Ⅱ.2012年8月~ 235検体全て不検出

ズワイガニ(2012年11月指定)Ⅰ.2011年12月~2012年7月 21検体全て不検出

Ⅱ.2012年11月~ 72検体全て不検出

ベニズワイガニ・ヒゴロモエビ・ボタンエビ・ホッコクアカエビ(2013年12月指定)Ⅰ.2012年1月~2013年12月4日12

(ベニズワイガニ) 2検体いずれも不検出(ヒゴロモエビ) 8検体全て不検出(ボタンエビ) 3検体全て不検出(ホッコクアカエビ) 14検体全て不検出

Ⅱ.2013年12月24日~(ベニズワイガニ) 9検体いずれも不検出(ヒゴロモエビ) 19検体全て不検出(ボタンエビ) 採取検体なし(ホッコクアカエビ) 1検体全て不検出

 以上の4種については,対象となる検体が全て不検出という結果が得られたわけだが,全体的にサンプル数が小さいことがやや気になるところだろう。これらの4種は,既に試験操業対象魚種に選定されていたケガニやズワイガニと放射性セシウムに対する汚染状況についての特徴を共有していると考えられることから,エビ・カニ全体としてみれば,一定のサンプル数が確保されている。従って,試験操業対象魚種への選定自体に問題があるとは言えないが,今後の継続的なモニタリングの中でサンプル数を増やすことは必要であるだろう。

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ヒラツメガニ・ガザミ(2014年5月指定)Ⅰ.2013年8月~2014年4月(ヒラツメガニ) 34検体中2検体で検出(最大値10Bq/㎏)(ガザミ) 28検体全て不検出

Ⅱ.2014年5月~(ヒラツメガニ) 63検体中3検体で検出(最大値18.6Bq/㎏)(ガザミ) 81検体中3検体で検出(最大値14.9Bq/㎏)

 (図3)は(図2)と同様の図をエビ・カニの8魚種をまとめて描いたものである。図から基本的には,イカ・タコと同様,十分に低い水準に達した状態で試験操業を開始し,その後も大きな問題が見られないことが確認される。ほぼ不検出が続く中で,2014年に入ってから不検出でない検体が散見されるが,これらは全て既に確認したヒラツメガニ及びガザミの検体である。水準がそれほど大きいとは言えないことから,問題ないと思われるが,継続的に観測していくことが必要であるだろう。

[貝   類] 底びき網またはカゴ漁業で,シライトマキバイ(2012年6月),エゾボラモドキ・チヂミエゾボラ・ナガバイ(2012年8月),ヒメエゾボラ・モスソガイ(2014年10月)の6種類の貝類が指定されている。2014年に入り,4月に潜水漁業によるアワビ,5月に貝桁網漁業によるホッキガイがそれぞれ指定された。

シライトマキバイ(2012年6月指定)Ⅰ.2011年6月~2012年5月 15検体全て不検出

Ⅱ.2012年6月~ 174検体全て不検出

エゾボラモドキ・チヂミエゾボラ・ナガバイ(2012年8月指定)Ⅰ.2011年6月~2012年7月(エゾボラモドキ) 14検体全て不検出

(チヂミエゾボラ) 10検体全て不検出(ナガバイ) 6検体全て不検出

Ⅱ.2012年8月~(エゾボラモドキ) 113検体全て不検出(チヂミエゾボラ) 45検体全て不検出(ナガバイ) 3検体全て不検出

ヒメエゾボラ・モスソガイ(2014年10月指定)Ⅰ.2012年4月~2014年8月(ヒメエゾボラ) 14検体全て不検出(モスソガイ) 6検体全て不検出

Ⅱ.2014年10月~(ヒメエゾボラ) 7検体全て不検出(モスソガイ) 採取検体なし

アワビ(2014年4月指定)Ⅰ.2013年10月~2014年3月 28検体全て不検出

Ⅱ.2014年4月~ 122検体中4検体で検出(最大値13.5 Bq/㎏)

ホッキガイ(2014年5月指定)Ⅰ.2013年6月~2014年3月 32検体全て不検出

Ⅱ.2014年5月~ 79検体全て不検出

 (図4)は(図2)と同様の図を貝類の8魚種をまとめて描いたものである。これまでに見た無脊椎動物同様,十分に低い水準に達した状態で試験操業を開始し,その後も大きな問題が見られないことが確認される。2014年以降に散見される検出検体は全てアワビであるが,傾向としては十分低い水準にあり,特に問題はないと判断できる。ヒメエゾボラやモスソガイで検体数が少ないこと

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が気がかりだが,そもそもそれほど多く採捕されている魚種でないため,必然的に検体数が少なくなっていると考えられる。今後の継続的な検査の中で確認していけばよいだろう。

[ウニ・ナマコ等] 現在,指定されているのはオキナマコ1種のみで,2014年8月に指定された。2014年2月~7月の33検体,2014年8月以降の29検体全てについて不検出となっている。

 無脊椎動物24種について見てきたが,全ての魚種について十分に低い水準になってから対象魚種となり,その後も安定的に低い水準が続いていることが確認できた。既に多くの研究によって海洋性の無脊椎動物の体内の放射性セシウム濃度が十分に減少してきていることは,確認されていることであり,それを追認する結果が得られたに過ぎない。

4.2.魚   類 試験操業対象に指定されている魚類はアカガレイを含めると全部で32種あるが,概観しやすさという観点から,以下の通り5グループに分けて見ていくことにする。まず,基本的な生息域によって3つに(表層,中層,底層)分ける。次に,底層に属する魚種について,放射性セシウム濃度の挙動を基準に以下の通り3区分する。

底層1:2014年以降全て不検出の魚種底層2:底層1以外で試験操業対象指定直前半年の    最大値が20Bq/㎏未満の魚種底層3:底層1以外で試験操業対象指定直前半年の    最大値が20Bq/㎏以上の魚種

上記区分方法で利用している20Bq/㎏は概観しやすさという観点のみから決定したものであり,理論的にも制度的にも根拠は存在しない。従って,上記区分についても便宜上のものであることを注意されたい。統計的な分類については[吉川, 八木, 黒倉, 2014]を参照されたい。

[表   層] 2013年3月にコウナゴ,同年8月にシラス,2014年2月にイシカワシラウオ,同年5月にマイ

ワシがそれぞれ試験操業対象魚種に指定されている。コウナゴ・シラスは船びき網,イシカワシラウオは固定式さし網,マイワシは流し網漁業で採捕されている。

コウナゴ(2013年3月指定) コウナゴはイカナゴの稚魚であることから,毎年,世代交代が行われる。従って,2013年以降の漁獲を考える際には2013年以降に誕生した検体を利用することが適切であると考えられる。ただし,コウナゴの漁期は春であるため,直近のサンプルとしては2013年に採取した4検体しかない。それらについては全て不検出という結果になっているが,検体数が少ないため,2012

年の春に採取した検体も参考として利用する。Ⅰ.2012年2月~2013年2月 47検体中8検体で検出(最大値21.0Bq/㎏)

Ⅱ.2013年3月~ 157検体全て不検出

シラス(2013年8月指定)Ⅰ.2013年3月~2013年7月 71検体全て不検出

Ⅱ.2013年8月~ 276検体全て不検出

イシカワシラウオ(2014年2月指定)Ⅰ.2013年11月~2014年1月 25検体中3検体で検出(最大値12Bq/㎏)

Ⅱ.2014年2月~ 82検体中6検体で検出(最大値16.3Bq/㎏)

マイワシ(2014年5月指定)Ⅰ.2013年5月~2014年2月 37検体全て不検出

Ⅱ.2014年5月~ 12検体全て不検出

 (図5)は(図2)と同様の図を表層の魚類の4魚種についてまとめて描いたものである。期間全体で検査結果が低いことが確認できる。 本質的な問題であるとは考えにくいが,図中で不検出でない点が観測される領域が2か所あることについて言及しておく。2012年の春の領域にある不検出の点は全てコウナゴの検体に対応してい

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る。また,2014年以降の不検出でない点は全てイシカワシラウオのものである。既に述べたようにコウナゴは世代交代が毎年行われており,2013年以降に産まれた個体の計測結果は全て不検出である。イシカワシラウオについては,2014年の5月以降は不検出が続いている。

[中   層] この区分の魚種はいずれも2014年に入ってから指定されており,全部で5種類となっている。すなわち,マサバ・ゴマサバ(5月),サワラ・ブリ(8月),シロザケ(9月)である。シロザケはさし網,その他の4種は流し網漁業で採捕される。

マサバ・ゴマサバ(2014年5月指定)Ⅰ.2013年11月~2014年4月(マサバ) 28検体全て不検出(ゴマサバ) 30検体中1検体で検出(6.4Bq/㎏)

Ⅱ.2014年5月~(マサバ) 28検体全て不検出(ゴマサバ) 44検体全て不検出

サワラ・ブリ(2014年8月指定)Ⅰ.2013年8月~2014年7月(サワラ) 29検体全て不検出(ブリ) 48検体全て不検出

Ⅱ.2014年8月~(サワラ) 6検体全て不検出(ブリ) 27検体中1検体で検出(7.5Bq/㎏)

シロザケ(2014年9月指定) 秋が漁期となっているため,直近のサンプルは前年の漁期のものとなる。Ⅰ.2013年10月~2013年11月 30検体全て不検出

Ⅱ.2014年9月~ 36検体全て不検出

 中層の魚種については,ゴマサバの1検体(6.4Bq/㎏),ブリの1検体(7.5Bq/㎏)以外は全て不検出という結果が確認された。この点は(図2)と同様の図を中層の5魚種をまとめて描いた(図6)からも確認できる。

[底層1(2014年全て不検出)] この区分には(表3)に示した10魚種が含まれ,全て底びき網漁業によって採捕されている。

(表3)試験操業対象魚種指定時期(底層1)

指定年月 魚種2012年8月 キチジ2012年11月 アオメエソ

2013年10月

アカムツヒレグロマアジメダイ

2014年2月 スケトウダラ

2014年8月ウマヅラハギオオクチイシナギカガミダイ

キチジ(2012年8月指定)Ⅰ.2011年11月~2012年7月 13検体全て不検出

Ⅱ.2012年8月~ 83検体全て不検出

アオメエソ(2012年11月指定)Ⅰ.2012年5月~2012年10月 43検体中3検体で検出(最大値9.2Bq/㎏)

Ⅱ.2012年11月~ 213検体中1検体で検出(11Bq/㎏)

アカムツ・ヒログロ・マアジ・メダイ(2013年10月指定)Ⅰ.2013年1月~2013年9月(アカムツ) 12検体全て不検出(ヒレグロ) 78検体全て不検出(マアジ) 53検体中2検体で検出(最大値9.8Bq/㎏)

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(メダイ) 8検体全て不検出

Ⅱ.2013年10月~(アカムツ) 82検体全て不検出(ヒレグロ) 139検体全て不検出(マアジ) 200検体全て不検出(メダイ) 26検体全て不検出

スケトウダラ(2014年2月指定)Ⅰ.2013年8月~2014年1月 33検体全て不検出

Ⅱ.2014年2月~ 78検体中1検体で検出(7Bq/㎏)

ウマヅラハギ・オオクチイシナギ・カガミダイ(2014年8月指定)Ⅰ.2013年1月~2014年7月(ウマヅラハギ) 13検体全て不検出(オオクチイシナギ) 37検体中1検体で検出(10Bq/㎏)(カガミダイ) 37検体全て不検出

Ⅱ.2014年8月~(ウマヅラハギ) 採取検体なし(オオクチイシナギ) 10検体全て不検出(カガミダイ) 45検体全て不検出

 (図7)は(図2)と同様の図を底層1の10魚種についてまとめて描いたものである。この区分の10魚種については,期間全体で検査結果が低いことが確認できる。ウマヅラハギの対象魚種指定後の挙動については確認できなかったため,今後の課題となるが,指定前1年以上にわたり不検出が続いていることから,問題になることはないだろう。

[底層2(直近半年の最大値20Bq/㎏未満)] この区分には(表4)の6魚種が含まれ,全て底びき網漁業によって採捕されている。

(表4)試験操業対象魚種指定時期(底層2)

指定年月 魚種2013年10月 チダイ

2014年8月

カナガシラソウハチホウボウマダイマトウダイ

チダイ(2013年10月指定)Ⅰ.2013年6月13~2013年9月 24検体全て不検出

Ⅱ.2013年10月~ 90検体中4検体で検出(最大値16.0Bq/㎏)

カナガシラ・ソウハチ・ホウボウ・マダイ・マトウダイ(2014年8月指定)Ⅰ.2014年2月~2014年7月(カナガシラ) 119検体中3検体で検出(最大値8Bq/㎏)(ソウハチ) 34検体中1検体で検出(11Bq/㎏)(ホウボウ) 55検体中3検体で検出(最大値9.0Bq/㎏)(マダイ) 15検体2検体で検出(最大値8.1Bq/㎏)(マトウダイ) 23検体中5検体で検出(最大値17Bq/㎏)

Ⅱ.2014年8月~(カナガシラ) 92検体中1検体で検出(4Bq/㎏)(ソウハチ) 27検体全て不検出(ホウボウ) 52検体中6検体で検出(最大値14.6Bq/㎏)(マダイ) 16検体中1検体で検出(7.8Bq/㎏)(マトウダイ) 56検体中5検体で検出(最大値19Bq/㎏)

 これまでの区分と異なり,全体として少なから

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―  ―71

ず不検出でない検体が観測されるという結果になっている。ただし,6魚種で確認した全603検体中,検出されたのは31検体であり,検出頻度は非常に低い。また,全体の最大値も19Bq/㎏と高い水準になく,対象種指定前,指定後,いずれについても十分に低い水準にあると言ってよいだろう。この点は(図2)と同様の図を底層2の6魚種についてまとめて描いた(図8)を見れば明らかである。図で左半分の点は全てチダイの観測値,右半分はその他の魚種の観測値に対応している。それぞれについて,上述した傾向が確認される。

[底層3(直近半年の最大値20Bq/㎏以上)] この区分には(表5)の6魚種が含まれ,全て底びき網漁業によって採捕されている。この区分の魚種については,これまでの魚種よりも慎重に確認していくことが必要だと判断したため,1魚種ずつ見ていくことにする。

(表5)試験操業対象魚種指定時期(底層3)

指定年月 魚種2012年11月 ミギガレイ

2013年4月 ヤナギムシガレイユメカサゴ

2013年8月 キアンコウ

2013年10月 アカガレイサメガレイ

2014年8月 マガレイ

ミギガレイ(2012年11月指定)Ⅰ.2012年5月~2012年10月 97検体中19検体で検出(最大値27Bq/㎏)

Ⅱ.2012年11月~ 510検体中9検体で検出(最大値12Bq/㎏)

 指定前の半年間,安定的に50Bq/㎏以下ではあるものの,これまでの魚種に比べると検出割合が高い。ただし,指定後の検出割合は大きく下がっていることから,その後,順調に低下したことが予想される。(図9)からは以上の傾向が確認できる。2012年8月10日に27Bq/㎏を観測した以降,全体としては不検出の傾向にあり,安定的に低い水準となっていると判断できる。

ヤナギムシガレイ(2013年4月指定)Ⅰ.2012年10月~2013年3月 69検体中28検体で検出(最大値49Bq/㎏)

Ⅱ.2013年4月~ 379検体中53検体で検出(最大値45Bq/㎏)

 指定前の半年間,安定的に50Bq/㎏以下ではあるが,検出割合が大きいこと,検出された最大値が49Bq/㎏であることから,慎重な検討が必要であると考えられる。もちろん,試験操業対象魚種に指定する基準は満たしているため,指定そのものに問題はないが,その後の推移も含め,全体的な傾向を見ていかなければならない。指定後の結果を見ると検出割合は低下しているものの,最大値はそれほど変化していない。この魚種については,ここまで要約してしまうと,これ以上の判断が難しい。そこで,(図10)を見て傾向の判断をしていくことにする。2013年4月下旬,対象魚種に指定するという意思決定を行っているが,その前後で1検体ずつ50Bq/㎏に近い数値が検出されている状況であったことが確認できる。まず,指定前の状況判断についてだが,49Bq/㎏の検体以外は50Bq/㎏を大きく下回る結果になっており,試験操業実施後に100Bq/㎏を超える個体が漁獲される可能性は相当低いとする判断は概ね妥当であったと考える。実際,指定後の検体について見ると,1検体だけ50Bq/㎏に近いものが観測されているものの,それ以外の検体については50Bq/㎏を大きく下回っている。

ユメカサゴ(2013年4月指定)Ⅰ.2012年10月~2013年3月 58検体中11検体で検出(最大値23Bq/㎏)

Ⅱ.2013年4月~ 594検体中25検体で検出(最大値112.26 Bq/㎏)

 指定前の検出割合はやや高めだが,検出された最大値は23Bq/㎏と低く,100Bq/㎏を上回る個体が存在する可能性は低いとする判断が不適切であったとは思えない。しかし,実際に指定から約1年後の2014年2月27日にスクリーニング検査で112.26Bq/㎏の個体が検出された14。この事態を受けて,福島県漁業協同組合連合会では,この日の水揚げ物も含め同日以降のユメカサゴの出荷停

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―  ―72

止措置を決定した。更に2014年3月25日付けで国から出荷制限指示が出された。1検体ではあるが非常に大きな値が観測されたことをどのように評価するかは,意見が分かれるところだろう。そもそも潜在的に100Bq/㎏を超える個体が無視できないほどの割合で存在し,操業を行うことでそれらの個体が流通する可能性が高いと評価するのがその1つだろう。しかし,(図11)を見る限り,そのような評価は必ずしも適切でないと判断できる。高い値を記録した1検体以外は全て50Bq/㎏を大きく下回っていることから,全体の中で極少数非常に汚染度が高かった個体が存在していると捉えるのが妥当だろう。 その後のモニタリング検査では,安定して50Bq/㎏以下が継続したため,2014年5月28日に出荷制限が解除され,2014年8月に再び対象種となっている。

キアンコウ(2013年8月指定)Ⅰ.2013年2月~2013年7月 57検体中11検体で検出(最大値38Bq/㎏)

Ⅱ.2013年8月~ 257検体中13検体で検出(最大値37Bq/㎏)

 指定前でやや検出割合が高いが,指定後には非常に低くなっている。最大値が50Bq/㎏以下ではあるが,少し大きいことにはやや注意が必要かもしれない。ただし,(図12)からは全体として順調に低下傾向が見られることから,適切な指定であると考えてよいだろう。

アカガレイ(2013年10月指定)Ⅰ.2013年4月~2013年9月 65検体中13検体で検出(最大値47Bq/㎏)

Ⅱ.2013年10月~ 284検体中49検体で検出(最大値88Bq/㎏)

 指定前の検出割合がやや高いこと,最大値として47Bq/㎏を記録していることは慎重に評価すべき点であるだろう。(図13)を見ると,指定前の段階で順調な低下傾向が見られ,安定的に50Bq/㎏以下の状態にあったことが確認できる。しかし,指定後の2013年12月25日にやや大きめの検体37Bq/㎏が観測され,個体変動がやや大きいことが推測される。その後,2014年3月12日に54Bq/

㎏と自主基準である50Bq/㎏を超える検体が確認されたため,同日の水揚物も含め,アカガレイについては同日以降,当面,出荷対象としないことが決定された。50Bq/㎏を下回ったことが確認されれば再び出荷対象とすることになるが,本稿執筆時点では再度出荷対象にはなっていない。

サメガレイ(2013年10月指定)Ⅰ.2013年4月~2013年9月 89検体中4検体で検出(最大値57Bq/㎏)

Ⅱ.2013年10月~ 137検体中4検体で検出(最大値50Bq/㎏)

 指定前の検出割合は高いとは言えないが,最大値が57Bq/㎏と自主基準を超えた値が観測されていることには注意を向ける必要があるだろう。実はこの結果の直後から重点検査が実施されている。3か月間(2013年7月上旬~2013年10月上旬)の 重点検査で20検体全てが不検出という結果が得られたため,対象魚種への指定が決定されている。指定後の検出割合は低いが,最大値50Bq/㎏が観測されている点には注意が必要だろう。(図14)からは指定後,全体としては非常に低い水準で安定していることが確認できる。2014年6月9日の50Bq/㎏の検体の評価については意見が分かれるところかもしれないが,全体として低い水準にあることを否定するものではないと考える。もちろん,今後も慎重に観測を続けることが重要であることは言うまでもない。

マガレイ(2014年8月)Ⅰ.2014年2月~2014年7月 166検体中48検体で検出(最大値48Bq/㎏)

Ⅱ.2014年8月~ 116検体中11検体で検出(最大値32Bq/㎏)

 指定前の検出割合が高く,最大値も小さくないことからやや慎重に見ていく必要がある。ただし,指定後には検出割合が大きく下がっていることから,低下傾向は見られることが予測される。(図15)からは,時折やや高めの検体が観測されるものの,全体として安定的に50Bq/㎏以下の水準にあり,順調に低下している傾向があることが確認できる。

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5.結   語

 本稿では福島県で実施されている海面漁業についての試験操業で対象となっている魚種に焦点を当て,実施前後における放射性セシウム濃度について概観した。確認できた結果を改めて整理すると以下のようになる。① 無脊椎動物(イカ・タコ,エビ・カニ,ウニ・ナマコなど,貝類)は,ほぼ不検出で安定した状態で試験操業対象魚種となっており,その後も状況に大きな変化は見られない。② 魚類の表層・中層の魚種は,50Bq/㎏を大きく下回る状況で試験操業対象魚種となっており,その後も安定的に低い状況が続いている。③ 魚類の底層の22魚種の中で,便宜上分類した底層1及び底層2の16魚種については,安定して50Bq/㎏以下になった状態で試験操業対象魚種となり,その後も大きな変化がなく推移している。④ 魚類の底層3の7魚種の内,まず,ミギガレイ・ヤナギムシガレイ・キアンコウ・マガレイの4魚種については,50Bq/㎏以下で安定した状況で試験操業が開始されてはいるが,底層2までの魚種に比べるとやや高い水準で開始されている。しかし,開始後,順調に低下し,その後,大きな問題は見られない。⑤ 魚類の底層3の7魚種の内,ユメカサゴ・サメガレイの2魚種については,安定的に低い水準になった状態であると判断して試験操業を開始し,その後も全体としては低い水準で推移している中で,例外的に高い値の検体が観測されている。これらは,その魚種全体の傾向と言うよりは,極少数の個体にのみ見られる要因であると考えられるが,慎重に観察することが重要となる。⑥ 最後に残ったミギガレイについては,50Bq/㎏以下になっていることを確認して試験操業を開始したことは他の魚種と同じだが,個体変動が他の魚種と比べると大きく,魚種全体の水準がどの程度の範囲に収まっているかを見極めることが相対的に難しい状況にあったと言えるだろう。対象魚種への再指定については慎重に実施していく必要があると考える。

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1 平成22年福島県海面漁業漁獲高統計より。2 2011年当時の基準値は暫定基準値である500Bq/㎏であったが,統一的に比較するために現在の基準値で分類している。3 両期間において20以上の検体数が確保されている魚種を中心に選定している。4 報告されている有意確率は全て0.1%を下回っている。5 http://www.fsgyoren.jf-net.ne.jp/siso/sisotop.html6 福島県漁業協同組合連合会「試験操業対象種の出荷方針」(平成25年12月25日)。

7 原則として協議会の様子は報道関係者に公開されている。8 福島県漁業協同組合連合会のウェブサイトで公開されている。9 福島県漁業協同組合連合会「試験操業対象種の出荷方針」(平成25年12月25日)より抜粋。

10 相双地区分は2014年11月26日,いわき地区分は2014年11月21日公表分を利用している。

11 選定時から2年弱前の2012年11月11日の小高沖の1検体では31Bq/㎏を観測している。

12 対象魚種指定は2012年12月下旬であることと,検体数確保の観点から12月上旬に採取された個体までを観測対象とした。

13 2013年4~5月は採取された検体がない。14 福島県水産試験場による再測定では110Bq/㎏であった。

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150

20121/1

20131/1

20141/1

100

0

50

放射性セシウム合計値(Bq/kg)

71/11/410252/5/31021/21/1102

2012年8月対象魚種指定スルメイカヤリイカ

2012年6月対象魚種指定ミズダコヤナギダコ

2013年10月対象魚種指定ケンサキイカジンドウイカ

2014年10月対象魚種指定マダコ

150

20121/1

20131/1

20141/1

100

50

放射性セシウム合計値(Bq/kg)

071/11/410252/50/310210/21/1102

2012年11月対象魚種指定ズワイガニ

2012年8月対象魚種指定ケガニ

対象魚種指定ベニズワイガニ

2013年12月

ヒゴロモエビボタンエビ

ホッコクアカエビ

2014年5月対象魚種指定ヒラツメガニガザミ

(図2)試験操業対象種中の放射性セシウム濃度の推移(イカ・タコ)

(図3)試験操業対象種中の放射性セシウム濃度の推移(エビ・カニ)

(出典)福島県『福島県の水産物の緊急時モニタリング検査結果』より作成(2014年11月19日公表)※上図では○が1検体の計測値に対応している(以下同様)。

(出典)福島県『福島県の水産物の緊急時モニタリング検査結果』より作成(2014年11月19日公表)

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150

20121/1

20131/1

20141/1

100

50

放射性セシウム合計値(Bq/kg)

02011/06/1 2012/02/9 2012/10/19 2013/06/29 2014/03/9 2014/11/17

2012年8月対象魚種指定エゾボラモドキチヂミエソボラナガバイ

2012年6月対象魚種指定

シライトマキバイ

2014年5月対象魚種指定ホッキガイ

2014年10月対象魚種指定ヒメエゾボラモスソガイ

2014年4月対象魚種指定アワビ

150

20131/1

20141/1

100コウナゴ

1 1

50

放射性セシウム合計値(Bq/kg)

02012/02/1 2012/10/13 2013/06/25 2014/03/7 2014/11/17

2013年3月対象魚種指定

2014年2月対象魚種指定

コウナゴ

2013年8月対象魚種指定シラス

イシカワシラウオ

2014年5月対象魚種指定マイワシ

(図4)試験操業対象種中の放射性セシウム濃度の推移(貝類)

(図5)試験操業対象種中の放射性セシウム濃度の推移(魚類・表層)

(出典)福島県『福島県の水産物の緊急時モニタリング検査結果』より作成(2014年11月19日公表)

(出典)福島県『福島県の水産物の緊急時モニタリング検査結果』より作成(2014年11月19日公表)

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福島県の試験操業における対象魚種について (7969)

―  ―77

150

20141/1

100

50

放射性セシウム合計値(Bq/kg)

02013/08/1 2014/11/17

2014年5月対象魚種指定

マサバ・ゴマサバ

2014年8月対象魚種指定サワラ・ブリ

2014年9月対象魚種指定シロザケ

150

20121/1

20131/1

20141/1

100

50

放射性セシウム合計値(Bq/kg)

02011/11/01 2012/08/05 2013/05/10 2014/02/12 2014/11/17

2012年8月対象魚種指定

2013年10月対象魚種指定

2014年8月対象魚種指定

キチジ

2012年11月対象魚種指定

アカムツヒレグロマアジメダイ

2014年2月対象魚種指定

ウマヅラハギオオクチイシナギカガミダイ

アオメエソ スケトウダラ

(図6)試験操業対象種中の放射性セシウム濃度の推移(魚類・中層)

(図7)試験操業対象種中の放射性セシウム濃度の推移(魚類・底層1)

(出典)福島県『福島県の水産物の緊急時モニタリング検査結果』より作成(2014年11月19日公表)

(出典)福島県『福島県の水産物の緊急時モニタリング検査結果』より作成(2014年11月19日公表)

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福島大学地域創造 第26巻 第2号 2015.2(7970)

―  ―78

2014

1501/1

50

100

約 6か月

02013/04/01 2014/11/17

放射性セシウム合計値(Bq/kg)

約6か月

2013/10対象魚種指定チダイ

2014/8対象魚種指定カナガシラソウハチホウボウマダイマトウダイ

150

20131/1

20141/1

100

50

放射性セシウム合計値(Bq/kg)

071/11/410290/80/310210/50/2102

2012/11対象魚種指定

2012/8/1027Bq/kg

(図8)試験操業対象種中の放射性セシウム濃度の推移(魚類・底層2)

(図9)試験操業対象種中の放射性セシウム濃度の推移(魚類・底層3・ミギガレイ)

(出典)福島県『福島県の水産物の緊急時モニタリング検査結果』より作成(2014年11月19日公表)

(出典)福島県『福島県の水産物の緊急時モニタリング検査結果』より作成(2014年11月19日公表)

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福島県の試験操業における対象魚種について (7971)

―  ―79

150

20131/1

20141/1

100

50

放射性セシウム合計値(Bq/kg)

071/11/410242/01/310210/01/2102

2013/4下旬対象魚種指定

2013/3/2549Bq/kg

2013/6/645Bq/kg

2013 2014

100

1501/1 1/1

50

071/11/410242/01/310210/01/2102

放射性セシウム合計値(Bq/kg)

2013/4対象魚種指定

2014/3/25出荷制限指示

112.26Bq/kg

2014/5/28出荷制限解除

2014/2/27

(図10)試験操業対象種中の放射性セシウム濃度の推移(魚類・底層3・ヤナギムシガレイ)

(図11)試験操業対象種中の放射性セシウム濃度の推移(魚類・底層3・ユメカサゴ)

(出典)福島県『福島県の水産物の緊急時モニタリング検査結果』より作成(2014年11月19日公表)

(出典)福島県『福島県の水産物の緊急時モニタリング検査結果』より作成(2014年11月19日公表)

Page 19: 福島県の試験操業における対象魚種についてir.lib.fukushima-u.ac.jp/.../fukuro/R000004653/18-231.pdf福島県の試験操業における対象魚種について (7955)

福島大学地域創造 第26巻 第2号 2015.2(7972)

―  ―80

150

20141/1

100

50

放射性セシウム合計値(Bq/kg)

071/11/410252/21/310210/20/3102

2013/8対象魚種指定

2014

100

1501/1

50

071/11/410232/10/410210/40/3102

放射性セシウム合計値(Bq/kg)

2013/10 2014/32014/6/1888Bq/kg

対象魚種指定 出荷自粛開始

2013/4/2247Bq/kg

2013/3/1254Bq/kg

2013/12/2539Bq/kg

(図12)試験操業対象種中の放射性セシウム濃度の推移(魚類・底層3・キアンコウ)

(図13)試験操業対象種中の放射性セシウム濃度の推移(魚類・底層3・アカガレイ)

(出典)福島県『福島県の水産物の緊急時モニタリング検査結果』より作成(2014年11月19日公表)

(出典)福島県『福島県の水産物の緊急時モニタリング検査結果』より作成(2014年11月19日公表)

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福島県の試験操業における対象魚種について (7973)

―  ―81

2014

100

1501/1

50

071/11/410232/10/410210/40/3102

放射性セシウム合計値(Bq/kg)

2013/7重点検査開始

2013/10対象魚種指定

2014/6/9原町沖

2013/7/857Bq/kg

50Bq/kg

150

100

50

071/11/410252/60/410210/20/4102

放射性セシウム合計値(Bq/kg)

2014/8対象魚種指定

(図14)試験操業対象種中の放射性セシウム濃度の推移(魚類・底層3・サメガレイ)

(図15)試験操業対象種中の放射性セシウム濃度の推移(魚類・底層3・マガレイ)

(出典)福島県『福島県の水産物の緊急時モニタリング検査結果』より作成(2014年11月19日公表)

(出典)福島県『福島県の水産物の緊急時モニタリング検査結果』より作成(2014年11月19日公表)