卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明...

26
卒業研究(シラバス) 清水 正明 目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査実験などの体験,研究成果の発表などを通して, 問題解決能力を身につける。 成績評価:以下の評価項目において,以下の判定基準に基づき,判定します。 1)目標達成のため,継続的計画的学習を行う意欲を持っている。 2)卒業研究を行うため,長期(1年),中期(数ヶ月),短期(数週間)の適切な学習目標を設定できる。 3)長期,中期,短期の学習計画を立てることができる。 4)学習計画に基づき,実行できる。 判定基準A:1)から4)のすべてがすぐれている。 B:1)から4)のすべてを満たしている。 C:1)から4)のうち,2項目を満たしている。 D:1)から4)のうち,1項目以下しか満たしていない。 基本方針:自主性を発揮して! 卒業研究のテーマは,みなさんからの提案に基づいて,話し合って,決定します。みなさん自身で,研 究目的や意義付けを明確に示し,何をどこまで明らかにするのかを説明してください。その達成を目指 して,研究計画を立案します。地質学演習(英文 100 ページ程度の和訳)のテーマについても,相談の 上,決定します。 テーマ:資源・鉱物・花崗岩などに関することなら,どんなことでも OK! 例として, (1) (山梨県・埼玉県・長野県境付近の)花崗岩類の岩石学的研究 (2) 能登半島に産出する海緑石の地質学的・鉱物学的研究 (3) 富山県松倉鉱山,下田鉱山などの地質と新第三紀火山活動に伴う金・銀・銅鉱化作用 (4) 飛騨変成帯の地質と鉱化作用 (5) 野外調査よりも室内作業を希望する人には,たとえば,北部ペルーの古代文明遺跡より出土し た土器類の岩石学的・鉱物学的研究,太平洋北フィージー海盆の海底熱水活動産物の研究, 兵庫県夏梅鉱山の鉱石鉱物の研究など 1年生のときに配布した配属条件などに留意して! 積極的な取り組みが不可欠です。研究計画をしっかり立て,研究日誌をつけてください。人数の多い 場合には,進化関係履修科目(とくに,岩石鉱物学実験など)の成績順で絞り込みます。

Transcript of 卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明...

Page 1: 卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明 目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査•実験などの体験,研究成果の発表などを通して,問題解決能力を身につける。

卒業研究(シラバス)

清水 正明

目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査•実験などの体験,研究成果の発表などを通して,

問題解決能力を身につける。

成績評価:以下の評価項目において,以下の判定基準に基づき,判定します。

1)目標達成のため,継続的•計画的学習を行う意欲を持っている。

2)卒業研究を行うため,長期(1年),中期(数ヶ月),短期(数週間)の適切な学習目標を設定できる。

3)長期,中期,短期の学習計画を立てることができる。

4)学習計画に基づき,実行できる。

判定基準:

A:1)から4)のすべてがすぐれている。

B:1)から4)のすべてを満たしている。

C:1)から4)のうち,2項目を満たしている。

D:1)から4)のうち,1項目以下しか満たしていない。

基本方針:自主性を発揮して!

卒業研究のテーマは,みなさんからの提案に基づいて,話し合って,決定します。みなさん自身で,研

究目的や意義付けを明確に示し,何をどこまで明らかにするのかを説明してください。その達成を目指

して,研究計画を立案します。地質学演習(英文 100 ページ程度の和訳)のテーマについても,相談の

上,決定します。

テーマ:資源・鉱物・花崗岩などに関することなら,どんなことでも OK! 例として,

(1) (山梨県・埼玉県・長野県境付近の)花崗岩類の岩石学的研究

(2) 能登半島に産出する海緑石の地質学的・鉱物学的研究

(3) 富山県松倉鉱山,下田鉱山などの地質と新第三紀火山活動に伴う金・銀・銅鉱化作用

(4) 飛騨変成帯の地質と鉱化作用

(5) 野外調査よりも室内作業を希望する人には,たとえば,北部ペルーの古代文明遺跡より出土し

た土器類の岩石学的・鉱物学的研究,太平洋北フィージー海盆の海底熱水活動産物の研究,

兵庫県夏梅鉱山の鉱石鉱物の研究など

1年生のときに配布した配属条件などに留意して!

積極的な取り組みが不可欠です。研究計画をしっかり立て,研究日誌をつけてください。人数の多い

場合には,進化関係履修科目(とくに,岩石鉱物学実験など)の成績順で絞り込みます。

Page 2: 卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明 目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査•実験などの体験,研究成果の発表などを通して,問題解決能力を身につける。

専攻セミナー(シラバス)

清水 正明

授業目的:

課題に対する思考,レポート作成,実験•実習の体験,学習成果の発表などを通して,

卒業研究を行う能力を身につける。授業内容の予習•復習と質問の繰り返しなど,積

極的な取り組みが不可欠です。

授業内容:

1)資源地質学会編集•発行「資源環境地質学」, 499 p., 2003 から,話し合って,分野

を決め,輪読します。このテキストは,著者割り価格(4000 円)と引き換えで,9月はじめ

に配布します(予定)。受講生ごとに担当する分野(課題)が異なります。

2)指定した地球進化講座の談話会に参加し,積極的に議論に加わります。学習成果

を発表します。

3)都合がつけば,野外調査を実施します。

4)希望により,各種の実験•実習を実施します。

成績評価基準:

課題(輪読,実験•実習)のレポートおよび学習成果の発表に基づき,判定します。

受講人数制限および制限基準:

3名までとします(それ以上の場合は,相談しましょう。)。1年生のときに配布した配

属条件に準拠しますので,留意してください。

Page 3: 卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明 目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査•実験などの体験,研究成果の発表などを通して,問題解決能力を身につける。

火山地質学・火山岩岩石学に関する「卒業研究」「専攻セミナー」

地球進化学講座 石崎泰男

卒業研究

1.目標

(1)火山噴出物から過去の噴火の噴火様式と規模,噴火の推移とその原因等を解き明かす。

(2)岩石試料からマグマの発生から噴火に至るまでのマグマの歴史と挙動を解き明かす。

以上の 2 点が卒業研究の目標です。(1)は長期的な視野での噴火予知や火山災害の軽減にもつながり,社

会にも貢献できると考えられます。また,(2)では,噴火の原動力,噴火様式を決めた要素,噴火がなぜ始

まったのか(なぜ止まったのか),といった火山学の未解明の問題に明快な答えを与えることを目指します。

2.方針

特定の火山または噴火を題材とした卒業研究を予定しています。現地での地質調査,採取した岩石試料の分

析,文献調査を通して自分で問題を特定し,卒業論文としてまとめるようにしています。卒論の進め方につい

ては可能な限り学生の自主性を尊重しますが放任主義ではありません。大よその研究方針はこちらで示します

ので,後は学生各自の自主的な努力をまちたいと思います。

私の研究室では原則として年間 2~3 週間程度のフィールドワークを義務付けていますが,例年、学生に経

済的負担があまりかからないよう配慮しています。室内実験を主体とした卒論も可能ですが、その場合にも試

料採取で 1週間程度は野外に出てもらう予定です。

3.手法

卒論では主に野外地質調査と薄片観察に重点をおきます。野外地質調査では,噴出物の産状を徹底的かつ定

量的に記載します。秋には膨大なデータが溜まるので,データ自身が“噴火現象の実体”を語り始めてくれる

と思います。また,薄片観察では,“岩石の成因”や“噴火現象の理解”と直結するような観察法を一緒に勉

強していきたいと考えています。研究手法についての詳細については、研究室の成果の一つである増渕・石崎

(2011)を参照いただければと思います(希望者に別刷りを配布します)。

4.テーマ

私の研究室では,3年後期に文献調査を通してターゲットとする火山または噴火を絞り、「ターゲットが面

白い火山(噴火)か否か,言い換えれば,モノになるか否か」を検討し,テーマ(フィールド)を最終決定

します。テーマについては「私と学生が興味をもて,火山に関係するものなら何でも OK!」という方針をと

っていますが、基本的には 4 年で卒業する学生に対しても卒論+修論の 3 年計画でまとめられ、学会で活躍

できる、あるいは専門家として生きていける下地になるようなテーマを与えたいと思います。現時点では、

新潟焼火山、妙高火山、白山火山を含む両白山地、医王山流紋岩など、富山周辺の火山(多くは活火山)を

研究対象にする予定でいます。研究室 OB・OG の約半数が学術論文を公表しており、「得られた成果は社会に

還元する」という心意気を求めます。

5.こんな学生を歓迎します

野外調査が好きな人,顕微鏡をのぞくのが好きな人,ハンマーで石を割ることが好きな人,山(火山)が好

きな人を歓迎します。雄大な火山地域で寝泊りして調査・研究することは,独自の自然観を養う上でも特別な

体験になると思います。なお受け入れ可能人数を最大3名までとさせてもらいます。

6.就職について

就職はおおむね順調にいっています。地球科学の他の分野に比べ、火山学を専攻した学生の受け入れ口はや

や広いのではないかと思います。公務員を目指しているのなら(ただし、試験にパスすればですが)気象庁、

国土地理院、農業試験場など、民間では地質・環境系コンサルタント、これらの就職先では専門を十分に生か

せる可能性があります。極めて狭き門ですが、学芸員も地質分野ならではの就職先となっています。最近では、

進化学講座の OB3名が博物館に就職しています。

専攻セミナー

授業目的:火山学(主に火山地質学・火山岩岩石学)の基礎を習得し、4年次の卒業研究にスムーズに移行で

きるようにしたいと考えています。

授業内容:日本語で書かれた火山学・岩石学関連の論文の講読とゼミでの論文紹介、卒論フィールドの選定を

目的とした日帰り巡検などを予定しています。

成績評価基準:講読論文の理解度、ゼミ発表の出来具合によって評価します。

受講人数制限:受講者は 4年次に火山地質学または火山岩岩石学に関連した卒業研究を視野に入れている学生

に限ります。最大3名まで。

Page 4: 卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明 目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査•実験などの体験,研究成果の発表などを通して,問題解決能力を身につける。

卒 業 論 文 シ ラ バ ス

地球進化学講座 大藤 茂

研究テーマ:アジアの中・古生層分布域の綜合的地質調査と年代測定

対象学年:4年 単 位 数:12単位(必修)

連 絡 先:[email protected]

関連ウェブ・ページ:http://www3.u-toyama.ac.jp/shige/otoh5-j.html#B4

<授業概要(目的やねらい)>

野外調査と室内実験を通じて地質学の研究課題の解決を試み,研究成果をまとめて卒業論文を

作成し,学科の卒業論文発表会で発表する。その過程において,科学的技術や手法,論理的思考

法,総合的思考法,論文作成法,口頭発表の技術などを習得し,問題発見能力と問題解決能力を

身につけることを目的とする。

<理解度・達成目標>

1. 問題発見能力と,発見した問題の解決能力を養成する。

2. 科学的な手法や論理的思考法を身につける。

3. 論理的で明快な論文作成法を身につける。

4. 他人が聞いてわかりやすい口頭発表の方法を習得する。

5. 指導教員の指導のもと,より短期的な達成目標を常に立てておくことで,内容の充実した卒論

文につながるはずである。

<研究の基本方針>

全地球史・全地球テクトニクスの綜合的理解を最終

目的とする。さしあたり,我々に一番身近な日本列島

の地質体の起源と集積過程を解明し,アジア大陸形成

史におけるその時空的位置づけを考察する。すなわち,

研究対象とする地域が,(1) いつ(時間軸上のどこで),

(2) プレート配置図およびリソスフェアー断面図上の

どこで(あるいはどういう経路上で)形成されたもの

かをしっかりと考察し,全地球史・全地球テクトニク

ス研究史上に一里塚を築いて欲しい。勿論,意欲ある

人にはアジア大陸自体を研究対象として欲しい(Help!

モンゴル地質図作成プロジェクト)。日本列島の地質には,

数々の重要な難問が未解決のまま残されている。国内

のどの地域でも,調査して新知見が得られることは間

違いない。実際,当研究室の卒業・修士研究で新知見

が得られ,学会賞を受賞した例もある。ただし,面白

さがわかるまでに最低2年はかかるようなので,大学

院への進学を強くお奨めします。

Page 5: 卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明 目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査•実験などの体験,研究成果の発表などを通して,問題解決能力を身につける。

<手 法(全部できるのは,修士になるころ)>

日本列島を構成する地質体の起源を知るには,①比較層序学的,②古生物地理的,および③古

地磁気学的手法が有効であろう。また,④各地質単元にしっかりとした年代軸を入れないと,日

本列島形成の歴史を明らかにすることはできない。さらに地質体の移動・集積に関する情報は,

⑤地質体の境界付近の変形構造に残されていることが多い。卒業研究,修士研究では,①~⑤を

初めとする様々なデータを綜合していく必要がある。すなわち,(1) 研究対象地域に少しでも関連

する論文は読破し,(2) 地質調査をしたら,層序と地質構造がよくわかる地質平面図,地質断面図,

および柱状図を作成し,(3) 深い考察および(数多くの専門家,指導教員,先輩,同級生等との)

議論を通じて,研究対象とする地質体の形成・発達史を編んで欲しい。

<更に具体的な研究テーマ>

陸成層や“陸棚相”海成層の調査・研究:最近の日本の研究は,いわゆる付加体に集中しすぎて

おり,陸成層や“陸棚相”の海成層の研究は疎かにされている。特に,これらの地層の詳細な

形成年代は判明していない。詳細な年代が判明すると,テクトニクスを語る上で重要なデータ

となる。また,O–S 境界,F–F 境界など,大量絶滅層準が日本で発見できるかも知れない。

例:南部北上帯,飛騨外縁帯,舞鶴帯,黒瀬川構造帯,福井~岐阜県手取層群等々。

付加体の研究:とはいえ付加体の形成・上昇・再配列過程や,付加体空白期に想定される構造浸

食,横すべり運動,Magmatic Hiatus 等との関係も,決してわかっているわけではない。地質体

の構成岩類の年代,産状,および変形構造の観察等から,上記の問題を考えてみよう。

より具体的なテーマは,個別相談で決定します。

<授業計画(卒業論文作成の具体的な日程)>

1. 3年次3月:既存文献の調査,既存の地質図の読図。

2. 3年次3月:入山式=大藤とともに予察調査。(女子学生の場合は,3人以上で行動します。)

3. 4月:室内実験=入山式で採取した岩石試料で,薄片作成・観察,微化石抽出。

4. ゴールデンウィーク:予察調査=初めて一人で調査…お気をつけて。

5. 5月中旬~6月上旬:講座談話会で,卒論予察報告(上記 1~3 の結果報告)。

6. 6月中旬~7月:室内実験=予察調査で採取した岩石試料で,薄片作成・観察,放射年代決

定。ルートマップ,ルート柱状図,ルート断面図等の清書。

7. 夏休み:本調査=地層の分布追跡と地質図作成,変形構造の記載,室内実験用試料の採取。

8. 夏休み・本調査後:室内実験=本調査で採取した岩石試料で,6 を更に改善する。

9. 10 月~11 月:講座談話会で,卒論中間報告(上記 6~8 の結果報告)。

10. 11 月~12 月:続室内実験=本調査で採取した岩石試料で,薄片作成・観察,放射年代決定。

11. 12 月~2月上旬:卒業論文執筆=総合的な地史解析,日本やアジアにおける調査地域の位置

づけの考察を含むこと。

12. 1月下旬~2月上旬:講座談話会で,卒論最終報告(1年間の研究成果を洗いざらい話す)。

13. 2月上旬(10 日頃):卒論提出!

14. 2月中旬:地球科学科全体の卒論発表会(10 分~12 分の短く濃い発表)。

<成績評価基準> 講座教員の合議で評価しますが,私は以下の 1~3 を重視します。

1. 月~金曜日は 1 日 8 時間以上,土曜日は 4 時間以上大学で作業に専念したか。

2. 講座談話会で予察報告,中間報告,最終報告をし,卒論を提出し,卒論発表会で発表したか。

3. 2 のそれぞれのレベルはどうだったか。

Page 6: 卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明 目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査•実験などの体験,研究成果の発表などを通して,問題解決能力を身につける。

専攻セミナーシラバス

地球進化学講座 大藤 茂

対象学年:3年後期

単 位 数:2単位(必修)

連 絡 先:[email protected]

<授業概要(目的やねらい)>

野外実習,室内実験,レポート作成,談話会での議論,および学習成果の発表を通じて,卒業

論文作成へ向けた研究の遂行能力を身につけることを目的とする。地質学の研究課題の解決を試

み,研究成果をまとめてレポートを作成し,地球進化学講座の談話会で発表する。その過程にお

いて,科学的技術や手法,論理的思考法,総合的思考法,レポート作成法,口頭発表の技術など

を習得し,問題発見能力と問題解決能力を身につける。

<授業内容>

次の 1~4 の内のいくつかを行って,レポートを作成し,その内容を地球進化学講座の談話会

で発表する。大前提として,学期初めに,指導教員と研究内容を話し合い,研究計画を立案する。

また,N週間に1回(N=受講者数),大藤研ゼミで研究進行状況を発表する。また,毎週1回の

大藤研ゼミに参加して,発表を聞き,その内容に関する討論を行う。課題は,以下の通り。

1. 2~3日の野外実習を通じた,ルートマップ,ルート柱状図,およびルート断面図の作成と,

岩石の観察・記載。特に,岩石に残された一次的,二次的構造の観察・記載。

2. 岩石の薄片作成および観察・記載。岩石の成因に関する指導教員との議論。

3. ジルコンの U–Pb 年代測定,およびその意義に関する指導教員との議論。

4. 地質学分野の英語文献の講読。4年次に「地質学演習」という進化必修の科目があり,そこ

では,英語文献 100 ページの全訳が6月末日締切で課せられる。大藤研では,3月末日まで

に「地質学演習」を完成させることを奨励する。

また,上とは別に,地球進化学講座の談話会に毎回参加し,積極的に議論に加わる。

<成績評価基準>

実習・実験の理解度(教員の質問にどれだけ的確に答えられたか),計画実行能力(自分で立て

た計画をどの程度実行できたか),談話会での発言内容,レポートおよび談話会での発表の内容…

これらを総合的に判断して成績を評価する。

<受講人数制限>

やる気のある学生なら,何人でも受け入れる。ただし,「列島地質」の単位を取得し,「地質調

査法実習」に参加済みであること。また,「地質学巡検」の9月の長期巡検に参加していることが

望ましい。

Page 7: 卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明 目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査•実験などの体験,研究成果の発表などを通して,問題解決能力を身につける。

専攻セミナーシラバス(2011 年度)

地球進化学分野 柏木健司

主題:〈調査から考察まで〉

【学習目的・内容】

卒論を行う上での基礎学力習得のため,放散虫化石を主題に,以下の作業

を一連の流れとして実施します. Ⅰ 野外調査(2 回程度) 1:野外調査とそれに伴う柱状図や路線岩相分布図の作成. 2:効果的な試料採取手法の習得. Ⅱ 室内実験 3:採取試料のフッ酸処理. 4:実体顕微鏡下での放散虫化石の拾い出し. 5:電子顕微鏡観察と写真撮影. Ⅲ 化石の鑑定 6:文献を用いた放散虫化石の鑑定と時代決定の概念の習得.

また,英語で書かれた基礎的な放散虫文献の読解も並行して行います. ななおお,,不不明明なな点点はは電電子子メメーールル((kkaassiiwwaaggii@@ssccii ..uu--ttooyyaammaa..aacc..jjpp))ににてて連連絡絡すするるかか,,

研研究究室室((理理学学部部 AA221144 号号室室))にに質質問問ににききてて下下ささいい..電電子子メメーールルににはは必必ずず氏氏名名をを記記入入

ししてて下下ささいい..

Page 8: 卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明 目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査•実験などの体験,研究成果の発表などを通して,問題解決能力を身につける。

卒業研究シラバス(2012 年度)

地球進化学分野 柏木健司

研究テーマ:〈放散虫化石生層序学〉

[研究テーマ]

今年度は,以下の研究主題を卒論に考えています.

○「手取層群海成層の微化石層序学」:ジュラ紀の東アジア東縁の大陸棚周辺

の海生生物相を,微化石の視点から復元を試みます.

○「手取層群礫岩中の微化石層序学」:ジュラ紀の東アジア東縁の地層分布の

うち,とくに堆積岩類を対象に,手取層群中の礫岩中の堆積岩礫を用いて,

時系列的かつ平面的に復元を試みます.

[手法]

卒業研究の具体的な手法は,おおよそ以下のようになります.

研究主題・地域の選定:研究を進めるにあたり,主題と地域の選定を行い

ます.調査地域は主題を基に選定,ないし地域を決めてそこから主題を選定

となります.

既存文献の調査:これは,①の作業と同時並行的になります.この地域で

は何が問題とされているのか,この主題ではさらにどのような点を突き詰め

ていけばよいのか,文献から読み解きます.

野外調査:研究対象の路線ないし露頭において,路線図や柱状図,露頭見

取り図を作成し,そこに採取した化石等の試料の採取場所を記入していきま

す.

室内実験:野外で分からなかった岩石を薄片で観察し,細粒堆積岩をフッ

酸処理して放散虫化石年代を決めます.

総合的な地史の構築:以上の作業を通して,そこから地層の形成史(地史)

や対象とする古生物の進化過程を読み取る作業に入ります.卒論を進めるに

当たっては,常にデータをまとめながら,作業を進めていく必要があります.

ななおお,,不不明明なな点点はは電電子子メメーールル((kkaassiiwwaaggii@@ssccii ..uu--ttooyyaammaa..aacc..jjpp))ににてて連連絡絡すするるかか,,

研研究究室室((理理学学部部 AA221144 号号室室))にに質質問問ににききてて下下ささいい..電電子子メメーールルににはは必必ずず氏氏名名をを記記入入

ししてて下下ささいい..

Page 9: 卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明 目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査•実験などの体験,研究成果の発表などを通して,問題解決能力を身につける。

専攻セミナーおよび卒業研究のシラバス 地球圏物理学講座 酒井

<専攻セミナーについて>

1. 概要と目的

卒業研究にもつなげることができる課題で,野外での実習や室内実験も含めて学習します.私

の同授業では,電磁気の探査と岩石磁気の基礎に関する課題が主となります.そして,セミナーでの

成果はレポートにまとめて,一連の学習過程を経験し,卒業研究に取り組む際の能力を身につけるこ

とを目的とします.

2. 具体的な内容

(1) 研究課題は,個別に相談して決めます(下記の卒論シラバスの内容も参考に).

セミナーの一部として,近隣のフィールドでの調査も何度か行います.立山カルデラ(立山カルデラ博物館),

岐阜県焼岳(京大防災研穂高観測所),長岡雪氷防災研究センター,神通川水系の河川,遺跡(富山,新

潟)などを対象に考えており,そのうちの幾つかを選んで実施する予定です.それぞれ,他の大学

や研究機関との共同研究を行っている中での調査であり,各大学の先生や学生達との交流により,

異分野の研究にも触れて貰います.詳細は,個別に説明します.

(2) 課題に関連する文献等も紹介しますので,それらも自習し,実習や実験とも結びつけることも,

授業の内容となります.

3. 成績評価

行った学習や実習・実験の理解度や,提出されたレポートを総合的に判断して,評価します.

<卒業研究について>

研究室では,磁気物性学と電磁気探査を研究方法として,地球から考古学の遺跡,生物まで様々な

対象での研究を行っています.以下では,卒業研究で可能な幾つかの課題を紹介します.多くは,

修士課程の研究としても継続できるものです.

①古い時代の地磁気の研究 -地磁気変動,古環境とテクトニクス-

海(日本海,太平洋,南極海)や湖(国内,モンゴル等)の堆積物から地磁気の逆転や変動を調べる研究

では,磁気物性と化学分析を併せた環境変動も対象になります.また,地質時代の岩石の磁化か

ら,大陸移動,プレートテクトニクス,より古く地球中心核やスノーボールアースに関する研究も行えます.

②考古・歴史時代の地磁気の研究

人が関与した時代の自然や環境の研究は,将来を考える上でも必要です.地球物性の,唯一の過

去の記録として,各種の物質の残留磁化が,年代や環境の研究に活用できます.

地磁気から探る過去のオーロラの研究,建築学の方位決定の研究なども課題にできます.国内外(チン

ギスハン,インダス文明等)の遺跡での,環境変動も併せる考古地磁気研究では,教科書を変える成果も期

待できます.地磁気のデータは地球中心核の研究につながるので,上記の研究で得られるデータはそ

れ自身が貴重であり,後世まで残る情報となります.

Page 10: 卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明 目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査•実験などの体験,研究成果の発表などを通して,問題解決能力を身につける。

③地球電磁気学による過去の地震・火山・洪水等の研究

地球科学では自然災害も重要な対象であり,磁気物性と探査学を活用して,年代,変形や履歴か

ら過去の自然災害を研究する課題があります.野外調査やモデル実験も行い,新規方法も開発しな

がら研究を進めます.災害の軽減も目的となり,地盤工学の専門家の指導も受けられます.

火山地域では,岐阜県焼岳や新潟県焼山などでの研究を以前より行っていますが,他大学や研究

機関とのプロジェクト研究が新たに立ち上がり,災害対策も目指す総合研究の中で,岩石磁気と探査

による研究も再開されています.

過去の自然災害が注目されるなかで,遺跡で見つかる災害の痕は,人への影響を真に研究できる

場として重要視されています.探査, 磁気物性,室内実験を方法として,社会に貢献する研究がで

きます.地震の痕からは,過去の未報告の地震も発見されるかも知れません.地震動発生装置も

用いて,最近話題の液状化の機構を磁化から探る課題も可能です.<京大防災研・金沢大等>

④雷現象や環境電磁場の研究

従来,地面より上を対象に行われてきた雷の研究には,未解決の問題が多く残っています.大

地からのオリジナルな研究として,電磁誘導と磁化を用いる雷の物理学の研究課題があります.

雷電流の地中伝播は未知の分野であり,その研究は,雷被害軽減の実用研究にもつながります.

また,高層圏での雷現象(スプライトやエレバス)の解明は,地球環境にも絡んだ研究になります.<電気

関係の大学や機関との共同研究>

⑤電磁気による探査や観測

研究室の充実した電磁気探査装置は様々な分野で有用であり,例えば雪氷分野では,立山や北アル

プスでの積雪構造,その時間変動を非破壊で探る課題に利用できます.遺跡・河川や地震・電磁気の

調査観測もオリジナルな研究として実施できる体制となっています.

⑥環境電磁場の研究 電磁場の生物への影響として,植物や走磁性バクテリアの研究も,生物学の先生と

の共同指導で行えます.生物学にも興味がある方には,ぜひ挑戦してみて下さい.

★卒業研究を行うにあたって,実験・野外調査に積極的で,また協調性があることが望まれます.

Page 11: 卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明 目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査•実験などの体験,研究成果の発表などを通して,問題解決能力を身につける。

卒業研究シラバス

楠本成寿

野外での観測,室内実験,数値シミュレーション等をとおして,地殻変動やテ

クトニクスの解明に取り組んでいます.

現在,以下のテーマに取り組んでいます

ダイクや鉱脈の形状(厚さ)から,それらを形成したときのマグマや熱水の圧力

分布を推定し,①ダイクや鉱脈の進行が停止する条件は何かということと,②

圧力源に求められる力学モデルの構築 を目指しています.また,次の段階とし

て,これらの問題をテクトニクスの観点から眺めてみたいと考えています.

陥没カルデラはどのようにして形成されるのか? カルデラ形成の物理的条件は

何か? ということを,力学的な視点から眺めています.また,カルデラ形成が,

周辺地域のテクトニクスに与える影響や,広域応力場がカルデラ形成に与える

影響などについても議論しています.

重力異常や地形,地質構造は,過去の地殻活動の化石であるという視点に立ち,

アナログ実験や数値シミュレーション(有限要素法や個別要素法)により,これ

らの復元を試みます.この復元作業を通して,テクトニクスや地下構造の成因

の解明を試みます.現在は,堆積盆地の形成(伝播)プロセスの数値シミュレー

ションに力を入れています。また,新しい実験方法の提案なども面白いかもし

れません.

これらの他,重力計(相対重力計)を用いた研究,例えば,断層を横断する重力

測定を行い,断層の落差や傾きを推定する調査・研究や,重力の時間変化(非潮

汐変化)の検出を目指す研究もチャレンジングで面白いと思います.

[卒業研究のテーマ]

卒業研究のテーマは,個別に相談して決めることになるかと思います.

[私からの希望]

一般的な地球科学の他,基礎的な弾性力学,破壊力学の知識が必要になるかと

思います.しかし,今はこれらの知識が無くても,必要になれば頑張って勉強

しようという意欲があれば大歓迎です.

Page 12: 卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明 目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査•実験などの体験,研究成果の発表などを通して,問題解決能力を身につける。

専攻セミナー シラバス

楠本成寿

電気探査や重力探査,これらの探査で得られるデータ解析をとおして地球物理学でよく

用いられる解析手法について学びます.体と頭をよく使って,セミナー仲間と議論しなが

ら,物理探査の実施の心構え(如何に準備が重要か等),計測誤差,データ解析手法,モ

デルの適用限界についての理解を深め,自分ならこうするといった提案を出してみて欲

しいと思います.また、関連する論文の紹介にも取り組んでもらえればと思います.基本

的に毎週水曜日の午後2コマ(3-4 時限あるいは 4-5 時限)を専攻セミナーの時間にあてる

予定ですが,状況により変更の可能性もあります.

[内容]

具体的な課題は以下のようになります

1. データの隙間を埋める [補間法の基礎]

2. データの時間・空間変化率を調べる [数値微分と数値積分]

3. データ間の規則や関係を知る [最小二乗法]

4. データの周期性と頻度を調べ,不要なデータを取り除く[スペクトル解析とフィルタ]

5. 重力異常の解析実習 [ブーゲー異常(重力異常)から地下構造を推定する]

6. 重力測定実習 [呉羽山断層を横断する測線上での重力測定実習]

7. 比抵抗電気探査実習 [順解析解を用いたフォワード・モデリング,逆解析手法によ

るインバース・モデリング]

8. コンピュータシミュレーション実習 [断層運動やプレート運動に伴う地殻の変形場や

応力場の変化を計算で見積もる,有限要素法,個別要素法による地盤の変形シミュ

レーション]

項目 1-5 は,項目 6,7 を実施する中で,逐次,解説しながら進めていく格好になるかと思

います。

[成績・評価]

成績評価は,提出されたレポート,セミナーへの参加度等から判断されます.

Page 13: 卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明 目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査•実験などの体験,研究成果の発表などを通して,問題解決能力を身につける。

[2012 年度] 卒業研究シラバス July.2011版 竹内 章 [email protected]

構造地質・海洋地質・地震・テクトニクス・環境・資源などに関連した研究分野で

す。内容的に次の3つに大別され,この中から各自の興味にマッチするテーマを選択

して取組みます。もちろん,例示以外の卒論テーマの提案でも大丈夫です。

A.テクトニクス関係の研究

日本海の誕生や島弧衝突,日本海東縁プレート境界説の検証,島

弧の形成や変形・進化のプロセス解明,断層破砕帯の実態と地震発

生のしくみの究明など,多様なテーマから選択できます。東北地方

太平洋沖地震の発生メカニズムや,中越地震や中越沖地震,能登半

島地震など内陸のひずみ集中帯で起きる直下型地震の原因を探ろう。

研究テーマ例:「海岸生物による地震性隆起の測定」

「地震による‘深層崩壊’の発生」

B.海洋地質関係

JAMSTEC の調査船に乗船して海底地形データやサンプルを入手す

ることができます。潜水船や探査機で撮影された映像記録の解析や,

底質試料から気候変動や海底環境の変遷を明らかにする研究です。

海底のガスハイドレートや活断層関連のテーマも取り組めます。

研究テーマ例:「富山トラフのガスハイドレートの露頭記載」

「富山湾近海における津波堆積物調査」

C.観測技術系 ①GPS 観測,②浅層反射法地震探査,③ ESR 年代測定など。観測

データの解析だけでなく,観測手法の比較や測定法の開発を目的に

した卒論に取り組むことも可能です。

研究テーマ例:「東日本大震災の予効変動をモニターする」

「魚群探知機による塩淡境界層マッピング」

「ガウジによる活断層の年代測定」

研究指導と成績評価では,地球科学者の卵としての主体性・自主性を重

視します。卒業論文を提出し、卒論発表会で口頭発表するまでに至れば

合格です。

海洋関係や土木系に就職希望の人、大学院進学志望の人は、集まれ!!

Page 14: 卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明 目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査•実験などの体験,研究成果の発表などを通して,問題解決能力を身につける。

[2011 年度] 専攻セミナー July.2011 版 竹内 章 [email protected]

このセミナーは,構造地質学・海洋地質学に関連する分野を専攻しよう

とする諸君を対象としています。内容としては地殻変動・防災・環境・

資源などを含みます。

2012 年度の卒業研究に役立つスキルとして,下記の演習4課題から基

本と発展を少なくとも1つずつ選択します。どの課題も入門レベルなの

で楽しみながら取り組むことができます。

基本A: GMT入門と海底精密地形データの処理

地図作成ツール GMT を使って海底地形図を作成する。

基本B: 地理情報システムGIS入門

「生まれ故郷の活断層と歴史地震」を表示する。

発展1: キネマッティックGPS入門

単独測位方式の GPS よりも高い精度の測量法を学ぶ。

発展2: 反射法地震探査データ解析ソフトウェアSPW入門

既存の反射法探査データを使用して、

上越沖のガスハイドレートや活断層などを解析してみる。

また,当研究室で毎年,立山町浄土平にある富山大学立山施設で実施し

ている GPS 観測に参加し,自分でデータを取得する実習を行います。さ

らに,自分が希望する研究分野の教科書や学術論文を読み進めます。

毎週の研究室セミナーでの報告で進み具合を確かめながら,年度末の達

成度で成績を評価します。

Page 15: 卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明 目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査•実験などの体験,研究成果の発表などを通して,問題解決能力を身につける。

2012 年度卒業研究について (渡邊)

現在の研究

地震の発生をはじめとする地球内部ダイナミクスには,“水“が大きく関わっていると考えられてい

ます.この”水”を地震学的観測や電磁気学的観測からどのようにして捉えるか?それが現在のテーマで

す.(捉えられれば,どこで地震が起こりそうか,わかるはず)この目的のため,水を含んだ岩石の物

性(地震波速度や電気伝導度)を実験室で調べています.

なぜ“水”か?

1.近年,新潟県中越や能登半島で大きな内陸

地震が起きました.これらは,通常,プレート

どうしの衝突による圧縮によって生じた逆断

層であると説明されます.しかし,話はそう簡

単ではありません.これらの断層は,本当は非

常に滑りにくいはずなのです.では,なぜ断層

滑りが起きたのか?地下に存在する“水”が断

層の摩擦強度を下げていると考えられています.

2.沈み込んでいく海洋プレート(スラブ)内部では,深さ 700km まで地震が起きています.一般に

深くなるほど,圧力も温度も高くなるため,物質は流動するようになり,破壊は生じにくくなります.

なぜ,スラブではこのような深さで地震が起きているのでしょうか?ここでも,”水“が断層の摩擦強度

を下げるのだと考えられています.スラブに含まれる含水鉱物(例えば,蛇紋石)が,沈み込みに伴っ

て高温高圧状態になると,脱水反応を起こすようになります.これで発生した”水”が地震の原因となっ

ていると考えられているのです.(深さ 300-700km の“深発地震”に関しては,”水“が原因とは考えに

くく,”変形不安定“が原因ではないか,と考えられています.これは未だによくわかっていない.)

3.スラブから放出された水は,上方のマントルのカンラン岩と結びついて蛇紋岩を形成し,プレート

境界地震の発生やマントルの流れに影響を与えます.蛇紋岩はスラブに引きずられて深部に持ち込まれ

ますが,高温になると脱水し,上方のマントルに水を放出します.この水によってマントルの融点が下

がり,沈み込み帯のマグマが発生します.このように,ごく少量の水が地球内部ダイナミクスにおいて

大きな役割を果たしていると考えられています.

4.新潟と神戸を結ぶ幅 100km ほどのゾーンは,その外側に比べて地殻変動の速さが大きく,歪集中

帯と呼ばれています.このゾーンに歪が集中する原因として,マントルから供給された水による下部地

殻の軟化が提案されています.しかし,まだ実態はほとんどわかっていません.地質学的情報(日本列

島の形成史など)から,どんな物質がこのゾーンの下部地殻に存在しているのか?を絞り込んだうえで,

そこに水がどのような状態で存在しうるのか?それが下部地殻の軟化を引き起こすのか?明らかにし

たいと考えています.

内陸地震 プレート境界地震

スラブ地震

蛇紋岩

マントル

Page 16: 卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明 目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査•実験などの体験,研究成果の発表などを通して,問題解決能力を身につける。

卒業研究のテーマ

内陸地震や歪集中帯

・間隙流体圧と地震波速度,電気伝導度

・地殻構成岩石の地震波速度と岩石組織

・地殻構成鉱物の弾性定数,電気伝導度

スラブ地震やマントルの水

・スラブ地殻物質の地震波速度と岩石組織

・蛇紋岩の地震波速度と岩石組織

・蛇紋石や他の含水鉱物の弾性定数,電気伝導度

に関係するテーマが考えられます.具体的なことは,現在の研究の進行状況によって変わってきます.

どのようなテーマであれ,実験がメインです.関心のある方はぜひ話に来てください.

進めかた

(1)関連する文献を読みながら,テーマを絞る.

(2)実験,解析の手法を習得する.

(3)ミーティングやセミナーを通して発表,討論のトレーニング.

(4)論文作成のトレーニング.

実際には,(1),(2)は3年後期の専攻セミナーと並行して進め,早い時期から卒業研究のテーマを

絞り込みたいと考えています.

きちんと目標を設定し,その達成のためにどのようにスケジュールをたてて仕事をすべきか?絶えず考

えながら進めることが重要です.この経験は,将来どんな仕事に就こうと必ず役立つはずです.

推薦図書

地震やマントル・ダイナミクスに関するもの

・地震発生と水,笠原・鳥海・河村編,東京大学出版会 (必須)

・内陸地震はなぜ起こるのか?,飯尾 能久著,近未来社

岩石物性に関するもの

・岩波講座,地球科学,2地球の物質科学Ⅰ―高圧高温の世界―,秋本・水谷編(絶版)

図書室にあるはずなので,第1章をコピーしておくこと.

・岩波講座,地球惑星科学,5地球惑星物質科学,鳥海・他編(これはまだ入手可能だろう)

・岩石物性入門,Y.ゲガーン,V.パルシアウスカス著,シュプリンガー・ジャパン

・連続体の力学,佐野 理著,裳華房

その他

・理科年表...あると便利

・物理学とは何だろうか,朝永振一郎著,岩波新書...騙されたと思って読んでみて

Page 17: 卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明 目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査•実験などの体験,研究成果の発表などを通して,問題解決能力を身につける。

2011 年度後期 専攻セミナー (渡邊)

目的:日本列島のような沈み込み帯の深部において

水がどこに,どのような状態で存在しているのか?

海洋プレートの沈み込み,マントルの流動によって水はどのように移動するのか?

水が地震活動や火山活動にどのように関わっているのか?

何が問題なのか?

どのような研究がいま必要なのか?

を理解することを目指します.これが卒業研究の下地となります.

また,セミナーを通して,文献の読み方,説明の仕方,説明の聞き方などもトレーニングしたいと

考えています.

内容:次のテキストの輪講を行います.

地震発生と水―地球と水のダイナミクスー,河村・鳥海・笠原編,東京大学出版会

(少々高いし 古い部分もあるが,広く知るにはベスト.5040 円の価値は十分ある.)

読むのは

第1章 地球内部の水とその循環

1.1.沈み込み帯の水の役割

1.2.沈み込み帯の温度構造と水循環・火成作用

1.3.水が関係した相転移と部分溶融

第3章 地震発生と水

3.1.岩石破壊と水

3.2.沈み込み帯の地震発生と水の挙動

3.3.蛇紋岩ダイアピル

3.4.脱水不安定とスラブ地震

3.5.内陸の地震での水の関与

3.6.電気比抵抗と水

方法:毎回1名のレポーターが担当部分について Power Point 等を使って説明します.また,発表のため

のレジュメも用意する必要があります.

テキストの内容が専門的すぎる場合は,レポーターは基礎的な事項を適宜補う必要があります.

また,引用されている文献を読む必要も出てくるでしょう.

毎週1回のペースで行います.1つのセクションは,丁寧にやれば2週分ぐらいあります.

そのくらいじっくり読みたいと考えています.

実際に岩石試料を見たり,実験を行って,実感をもって理解できるようにしたいと考えています.

成績評価:セミナーへの貢献度(説明,質問)を重視します.

Page 18: 卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明 目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査•実験などの体験,研究成果の発表などを通して,問題解決能力を身につける。

地球圏物理学分野 雪氷学研究室     (担当教員)島田 亙 (A320室)

2012年度通年 『卒業研究』 シラバス

● 当研究室の研究内容

 「雪・氷結晶などの核生成・成長に関する実験的研究(室内実験)」 「積雪・融雪に関する調査・観察(フィールド調査)」

● 当研究室で考えられる『研究テーマ』の例

・ 氷晶の核生成・成長に関する実験 過冷却水滴から氷晶が形成する過程を詳しく観察し、氷晶の成長過程を明らかにする。

・ 雪結晶の成長に関する実験 雪結晶の成長過程を詳しく観察する。例えば、低温型雪結晶の三次元構造の解析など。

・ 樹枝状成長に関する実験 雪結晶や過冷却水から成長する氷結晶の形態形成機構。例えば、二次枝形成機構など。

・ Clathrate hydrate結晶の核生成・成長に関する実験 Clathrate hydrate結晶の核生成、もしくは成長形態の観察。例えば、核生成の条件、結晶成長機構の解明など。

・ 立山室堂平における積雪化学成分の解析実験 4月上旬に実施する立山室堂での積雪断面観察で、冬季の積雪の化学成分分析を行い、その年の飛来物質などの分析・飛来経路の解析を行う。

・ その他 雪・氷・hydrate結晶に関する成長・分解・変質に関するテーマ。例えばチンダル像、雪えくぼ、雪庇形成、復氷現象など。できるだけ早く相談してください。

● 注意点

1. 目的に応じた実験装置の製作から取り組む必要があります。2. 気水圏セミナーに参加し、先行研究(論文)の紹介・研究発表を行ってもらいます。3. 雪氷ゼミに参加し、関連する教科書(日本語・英語)の輪講を行ってもらいます。4. 天然の降雪結晶を扱うテーマなどは、3年次の冬に実験観察を行う必要があります。5. 冬期の野外観測を伴うテーマは、基礎的な冬山技術を持っている人に限ります。6. 卒論テーマは、希望どおりにならない場合があり得ます。

2011年度後期 『専攻セミナー』 シラバス

● 授業内容

・セミナーへの参加(聴講ではなく、議論に参加する)・ゼミへの参加(1回は研究テーマに関する論文を読んで発表する)・次年度の研究テーマに関する打合せ(4年生との実験手法などの引継を含む)

● 評価基準

・セミナー・ゼミへの参加度、ゼミでの論文紹介、研究テーマの打合せ状況

● 注意点

1. 受講を希望する学生は、研究テーマなど早めに研究室へ相談に来てください。2. 受講許容人数は、3名程度としますが、研究テーマにより増減があり得ます。3. 受講許容人数を超える場合は、雪氷学関連授業の単位取得状況、雪氷関連行事(ゼミ・

雪結晶観察・積雪調査ほか)への参加度、研究テーマへの熱意を総合して判断します。

Page 19: 卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明 目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査•実験などの体験,研究成果の発表などを通して,問題解決能力を身につける。

地球圏物理学分野 海洋物理学研究室 平成 24年度卒業研究シラバス(担当教員) 松浦知徳

[研究分野の動向]

・海洋は地球表面のほぼ 70%を占め、地球システムの中で大気等と流体圏のサ

ブシステムを構成し、地球環境問題や海洋災害と関連する分野です。

・観測としては国際的プロジェクトにもとづく(アルゴ計画)観測、また富山高

専等の実際の観測に基づくデータを解析することによって未知の海洋現象の

解明が可能です。

・海洋変動現象の研究は海洋観測データ解析だけでなく現象の解明のために地

球流体力学的室内実験や数値実験によって単純化した研究も必要です。

・最近では大気における天気予報に匹敵する海況予報の発展がめざましく現実

を模擬したデータの解析が可能です。

・海洋において人間生活と関連の深い沿岸の汚染や沿岸災害や海洋生態系の環

境問題の研究が今後ますます注目されます。

[研究室の方向性]

富山大学という地域に密着した富山湾の研究。

この研究に関しては「なぜ富山湾は恵まれた海の生物資源があるのかについ

ての海洋物理的観点からの解明」(学術的研究)、「環境問題として富山湾のこの

恵まれた自然をどのように守っていくのかの方向付けの研究」(環境的研究)、

「最近話題になっている寄り回り波のような沿岸災害からの研究」(災害研究)

があります。この研究では富山高専等の観測船による実際の海洋観測が含まれ

ます。富山湾の海洋物理現象の海洋生態系との関連も研究の視野に入れていく

予定です。

日本海という閉鎖的な海に関して大気・陸域・海洋の相互作用の研究。

日本海の海洋構造の長期の変動を過去のデータ解析や数値シミュレーション

によって研究していきます。特に、対馬暖流の変動や日本海固有水の形成過程

の研究は興味深いものです。

地球流体力学の研究

世界でも最も強い海流である黒潮や黒潮続流域の長期の変動や気候変動との

関連を非線形力学の観点から数値的・理論的に研究することが可能です。また、

密度成層流対中の室内実験も行っています。

海洋の研究は観測データや海洋の客観解析データが必要であり、学外研究機

関、気象庁気象研究所、防災科学技術研究所、地球フロンティア、九州大学、

富山高専等と協力して研究を推進していきます。

Page 20: 卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明 目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査•実験などの体験,研究成果の発表などを通して,問題解決能力を身につける。

☆ 海洋現象の解明、海洋の介在する気候、地球環境、災害に興味のある学生で、

自分で問題を解決していく意欲のある学生を歓迎します。大学院への進学、

4年生で就職する学生、将来の進路をそれぞれの学生が考えていると思いま

すが、卒業研究が将来の糧になるよう工夫しながら指導していく予定です。

卒研テーマの例としていくつか参考に列挙します。

① 寄り回り波等の波浪の研究 ・海底地形が寄り回り波に与える影響を中心に波浪観測データの解析や寄り

回り波のシミュレーションの結果の解析を行います。 ② 富山湾の季節変動特性と海洋環境関連研究

・富山高専との観測及び観測から得られたデータの解析による富山湾の海況

変化の研究を行います。 ③ 過去の長期観測データ、海洋客観解析データおよび数値シミュレーションに

よる日本海の海洋構造の長期変動や水塊形成の研究 ・気象庁から日本海観測長期データ(1964 年―2007 年)の解析や海洋大循

環シミュレーションを予定しています。 ④ 黒潮・黒潮続流域の非線形現象の解明研究

・特に気象研究所の海洋同化モデルの結果及び海洋大循環モデルによるシミ

ュレーション結果の解析を行います。 なお、過去の卒研生や研究内容に関しホームペー

ジ http://www.sci.u-toyama.ac.jp/earth/matsuura/index.html を参考にしてください。

Page 21: 卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明 目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査•実験などの体験,研究成果の発表などを通して,問題解決能力を身につける。

地球圏物理学分野 海洋物理学研究室 地球科学専攻セミナー(H23後期)(担当教員) 松浦知徳

[授業目的]

卒業論文に着手する前段階として当分野の基礎的知識を深めるとともに卒業

論文研究の手順を把握します。具体的に、研究課題の発掘、研究手法の理解、

研究の進め方を担当教員と議論しながら習得します。また、発表会等での議論

の仕方を身に着けることも授業の目的とします。

[授業内容]

・ 担当教員と相談しながら各学生の専攻セミナーでの課題の選定。

・ 選定した課題に関連した文献の読破。

・ 当分野の研究手法について担当教員から説明および実習からの理解。

・ 研究室の卒業研究生の報告会に参加し,卒業研究がどのようなものか把握。

・ 授業の最後にセミナーで各人が実施した成果の発表。

[成績評価基準]

実施した成果のプレゼンテーション及び、レポートの作成を行い、その結果

から総合的に評価します。

[受講人数]

受け入れ人数は 3~4名を予定しています。

[その他]

担当教員の行ってきた研究や今後実施予定の研究の内容は研究室(A322、

在室の場合はいつでも可)で説明します。海洋そのものの現象やそれに関連す

る地球環境や災害に関心の在る学生は質問等に応じますのでぜひ来室してくだ

さい。

Page 22: 卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明 目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査•実験などの体験,研究成果の発表などを通して,問題解決能力を身につける。

地球ダイナミクス分野 気象学・気候力学研究室

Ⅰ.平成24年度卒業研究シラバス (担当教員) 川村隆一

【気象学とは】

気象学は地球物理学分野の中で最も整備された観測網の全球的な展開によって支えられています。地上観測・高

層観測・衛星観測など多種多様な観測データを収集し解析することで物理プロセスを理解し、数値モデル等を駆使し

て異常気象のメカニズムの解明や地球環境の将来予測に挑んでいます。台風や強風、雷雨、大雪、集中豪雨などの

現象を日々の生活の中で直に体験していることが既に天然の実験場に皆さんが居るということに他なりません。

【研究室の取組み】

本研究室では、グローバルスケールの分野では、東アジア地域を中心とした異常気象の解明、エルニーニョ現象や

モンスーン循環の変動メカニズムの解明、陸面ー大気ー海洋相互作用を軸とした気候システムの研究に取り組んで

います。一方では、北陸地方は全国的にみても激しい気象が頻繁に生じる地域です。なぜこのような気象学的特異性

が生じるのでしょうか。フェーン現象やメソ対流システム、冬季雷、爆弾低気圧のようなローカル・シノプティックスケー

ルの激しい大気現象についても修論・卒論の指導を行っています。また、学外の研究機関(防災科学技術研究所、気

象研究所、熊本大学、東京大学、富山県環境科学センター等)と積極的に協力して共同研究を実施しています。

平成22年度から文科省の新学術領域研究という大きな研究プロジェクトに参画して、「東アジアモンスーンと中緯度

大気海洋相互作用」の研究を推進しています。学生の皆さんも積極的に参加してみませんか。

【研究室のスタッフ】

平成23年度から、研究室に新しいスタッフが加わりました。研究員の早崎さんと研究支援員の菊地さんです。

早崎さんは気象ゼミにも参加してくれて、研究を進める上で適切なアドバイスをしてくれます。また、データ処理やプ

ログラミングに関しても相談に乗ってくれます。また、菊地さんは気象データベースの構築が主な仕事ですが、研究室

の秘書として事務的な仕事もサポートしています。学生の出張や謝金業務などでお世話になる事もあるかと思います。

研究室の各種イベントにも参加すると思います(?)。

【研究室の設備】

卒業研究に必要なコンピュータ設備(ワークステーション、データサーバー)が利用できます。

高層気象観測用のGPSゾンデ・受信機、大気境界層観測用の小型ウインドプロファイラもあるので、局地気象の観測

をしたい人は是非観測に使用してみてください。研究室のメンバー全員で仲良く(?)観測をする事も貴重な体験となり

ます。

【卒論の研究テーマ】

これまでの研究室の学生(OG/OB)の卒論や修論の研究課題は気象学全般(ローカル気象からグローバル気象ま

で)です。研究手法はデータ解析、数値シミュレーション、観測に大別されます。下記URL

http://www.sci.u-toyama.ac.jp/earth/j-kawamura/member/member3b.html

を参照して下さい。大学院へ進学して自分の作品(研究論文)を学術誌に発表している皆さんの先輩達も居ます。皆さ

んの精魂込めた大切な作品を世界に発信することにワクワクしませんか。

【卒業後の進路】

卒業後の進路は大学院進学と就職に分かれます。富大大学院進学を推奨していますが、早く社会に出たい人(就

職)の職種は公務員(気象庁他)やコンピュータ関連の企業など多岐にわたっています。

(詳細はhttp://www.sci.u-toyama.ac.jp/earth/j-kawamura/member/member5.html を参照して下さい)。

Page 23: 卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明 目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査•実験などの体験,研究成果の発表などを通して,問題解決能力を身につける。

地球ダイナミクス分野 気象学・気候力学研究室

Ⅱ.地球科学専攻セミナー(H23後期) (担当教員) 川村隆一

【授業目的】

卒業研究を進める上で必要な、研究分野の基礎的知識を深めると同時に、研究分野の最先端を知る機会をもつこ

とで、学生自身の卒業研究のテーマ設定・研究手法・研究の進め方などについて3年後期に実質的な準備を行いま

す。卒業研究のための準備段階の授業と位置づけています。

【授業内容】

修士研究および卒業研究のための研究室ゼミナール(以下、気象ゼミと呼ぶ)に参加し、先輩たちの研究の中間発

表・最終発表を聴講しながら発表内容の理解に努めます。理解できない点は質問するなどして気象ゼミの討論に積極

的に参加します。並行して、興味のある学術論文、解説や総合報告(レビュー)を選んでその読解を進めます。授業の

最後には、ゼミや自主学習(論文読解等)で学んだことを基にして、学生自身の卒業研究テーマと関係した簡単なプレ

ゼンテーションを行います。

【成績評価基準】

気象ゼミの参加状況、自主学習、プレゼンテーションなどを総合的に評価します。

【受講人数制限】

研究室仮配属の性格をもっているため、自ずから受入人数に上限があります。研究室HP

(http://www.sci.u-toyama.ac.jp/earth/j-kawamura/member/member3b.html)

を参照して下さい。最近は5名から8名の間で推移しています。

【その他①】

【必須】受講希望の学生は後期履修登録前に前もって研究室に相談に来てください。

まずは、研究室に相談に来てください。もし万一受け入れ人数の許容範囲を大きく逸脱する事態が生じた時には、

本意ではありませんが、許容範囲内に収めるために、私が担当する授業科目の成績や進路希望、個別面談の結果

などを総合的に判断して受講可・不可を決める可能性もあります。

【その他②】

ゼミナールや卒業研究・修士研究で学んだ学問やスキル、そしてゼミの仲間達と切磋琢磨した経験は社会の多種

多様な分野で活躍していく上での大きな糧となると信じています。この授業の受講者は気象ゼミの(オブザーバーでは

なく)構成員として扱いますので、特にゼミでは、知的好奇心と向上心をもって、先輩たちと担当教員やスタッフから多

くの知識を吸収してほしいと思います。構成員ですので、ゼミで沈黙している事はあり得ません。毎回積極的に発言し

ましょう。

Page 24: 卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明 目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査•実験などの体験,研究成果の発表などを通して,問題解決能力を身につける。

地球科学科 大気物理学研究室

担当教員: 青木 一真 (あおき かずま)

☆2011年後期 専攻セミナーシラバス(青木担当分)

授業概要: 青木研ゼミ(毎週金曜日10時~12時まで(予定))に参加し、

卒論への基礎知識の習得及び、大気物理学分野の論文紹介や研究発表を行う。

受入人数: 若干名:青木研で卒業研究を行いたいと考えている学生(受け入れ人数は要相談)。

注意事項: 受講希望の学生は、事前に、必ず青木まで連絡(相談)してください。

1年生の時に配布した「卒業研究の配属について」を参照のこと。

研究内容は、下記の2012年度卒業研究シラバスやウェブを参照(下記)のこと。

☆2012年度 卒業研究シラバス(青木担当分)

青木研究室概要

青木研究室は、雲や大気中に浮遊する微粒子(エアロゾル)の光学的特性の時間・空間変動をリモートセ

ンシング技術により物理計測を行っています。それらの気候影響について、物理学的な手法を用いて解

析・研究し、地球温暖化等の地球環境問題の解明に取り組んでいます。本研究室は、大気放射観測ネット

ワーク(SKYNET)を中心に、国内外の大学(主に、北大、東北大、東大、千葉大、東京海洋大、金沢大、九

大、長崎大、ソウル大学等)や研究機関(主に、環境研、極地研、気象研、JAXA/EORC、NASA/GSFC 等)

と多くの共同研究を行っています。特に、本研究室は、SKYNET/Sky radiometerの世界の解析拠点となって

います。研究対象地域は、全世界です(現在は、極域から熱帯まで。海洋から山岳まで。)。上記に加えて、

バイオエアロゾル分野、温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT/JAXA)等の関連研究も進めています。

青木研究室は、以下のような学生を求めています。

1 基礎的な知識も必要ですが、それ以上に、大気物理学は目で見て、肌で感じられる自然科学の学

問のひとつです。大気現象に興味を持ち、なぜ?なに?という好奇心のある学生を求めています。

2 1に示すように、物理学、数学、語学の基礎的な知識を習得済み及び、興味のある学生。

3 本研究室は、様々な大学・研究機関と共同研究を行っています。元気があり、協調性や挨拶が出

来る(出来るようになりたい)学生を求めています。

4 本研究室は、地上・山岳・海洋のフィールド観測を行っています。体力に自信のある学生も歓迎。

5 コンピュータに興味ある学生も歓迎です。基本的には、Mac/UNIXを使用しています。

6 卒業後の進路は様々です(大学院進学、技術職等)。大学院進学希望者は、大歓迎です。

7 研究テーマは、上記の研究室概要のような研究を行っていますが、大気物理学・地球環境科学分

野の範囲以内でしたら要相談です。詳しくは、青木まで相談に来てください。(他分野との共同研

究も行っています。例:雪氷分野、植生分野等)

研究室/連絡先・ホームーページ

理学部1号館3階A326室 青木 一真(kazuma @sci.u-toyama.ac.jp) ホームページ: http://skyrad.sci.u-toyama.ac.jp/Aoki_lab/

Page 25: 卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明 目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査•実験などの体験,研究成果の発表などを通して,問題解決能力を身につける。

地球科学専攻セミナー(H23 後期)(担当教員) 串田圭司

[授業目的]

・ 卒業論文の研究を行う能力を身につける。 ・ 科学的技術や手法を身につける。 ・ 論理的思考法,総合的思考法を身につける。 ・ 科学的なレポート作成法を身につける。 ・ 口頭発表の技術などを身につける。

・ 問題発見能力と問題解決能力を身につける。

[授業内容]

・ 担当教員と相談しながら受講生の専攻セミナーでの課題を選定する。

・ 研究課題について、関連する参考書、論文を読み、研究課題との関連およ

び考察した内容を発表する。その際に、研究を進める上での、疑問点、問

題点の報告を行う。また、それらについての議論を行う。

・ 研究課題の手法や研究の進め方について、担当教員と相談しながら習得す

る。

・ 最後に受講生が実施した成果の発表を行う。

・ 雪氷—植生—大気の相互作用の研究、原野・森林火災の研究、リモートセンシングを用いた環境の研究への理解を深める。

[成績評価基準]

授業内容の項目の達成度から総合的に評価します。

[受講人数]

受け入れ人数は 3名以内を予定しています。

[その他]

担当教員の行っている研究の内容は研究室(A223、在室の場合はいつで

も可)で説明します。

Page 26: 卒業研究(シラバス) - u-toyama.ac.jp卒業研究(シラバス) 清水 正明 目的:課題に対する思考,卒業論文作成,野外調査•実験などの体験,研究成果の発表などを通して,問題解決能力を身につける。

平成 24年度卒業研究シラバス(担当教員) 串田圭司 研究室の方向性 原野・森林火災の研究 世界の原野・森林火災が燃焼時に放出する CO2の量は、人為起源の CO2放出

量(炭素換算で毎年 7.2ギガトン)の 20~60%であると推定されています(IPCC (気候変動に関する政府間パネル)第 4次報告書)。火災後、森林や植生が回復すれば CO2が吸収され、再びその土地の植物や土壌に炭素(C)が蓄積されます。しかし、火災が高い頻度で起こるようになると、その土地が蓄えている炭素の量

が減ります。このことは、陸域から大気へその分の CO2が放出することを意味

します。極東地域、北方森林、熱帯泥炭地域で、「気候・気象が原野・森林火災

に及ぼす影響」、「原野・森林火災が陸域̶大気システムに及ぼす影響」について、

リモートセンシングを用いて研究しています。 北陸地域の環境変動のリモートセンシングの研究 北陸地域は世界の積雪域の中でも、平均気温が高いにも関わらず積雪量が多

いことによって特徴付けられます。今後温暖化の進行により、積雪量の減少と、

それに伴う環境の変化が予想されています。さまざまな衛星画像を使ったリモ

ートセンシングにより、環境(積雪、植生ほか)の広域評価を行うことにより、

この変化の兆候の検知や影響評価を行います。 雪氷—植生—大気の相互作用の研究 ツンドラ帯では、今後温暖化が進むと、灌木の増加、冬期の積雪量の増加、

夏期の降水量の増加、流出や蒸発散の増加、土壌の乾燥化などが進むことが予

想されています。地上観測と衛星観測とにより、これらの相互作用を研究して

います。 卒研テーマの例としていくつか参考に挙げます。 ① 衛星画像 AMSR-E, MODISによる日本の積雪分布の変動 ・マイクロ波や可視—近赤外光の衛星画像により 2000年以降の日本の積雪の地理的分布の変動を研究します。

② 原野・森林火災後の植生変化のリモートセンシング ・ 極東ロシアなどでは、原野・森林火災が頻発していますが、火災後に植

生が回復しているかどうかは、まだはっきりとは分かっていません。リモ

ートセンシングにより、森林火災後の植生変化の研究を行います。 ③ 世界の原野・森林火災の火災規模、温度の特徴の衛星画像による把握 ・ 衛星の熱画像を用いて、世界各地の原野・森林火災について、火災規模、

温度の分布の特徴を見積もります。この知見は世界の火災の変動や火災と

気候との関係の解析に用いることができます。 ④ 世界の原野・森林火災と気候との関係 ・ 世界各地の原野・森林火災の発生状況と気象データから、どういった気

象条件で大規模な火災が起こってきたかを解析します。 ⑤ 衛星画像MODISによる北極域の植生変化の解析 ・ 可視—近赤外光の衛星画像により 2000年以降の北極域の植生の変化を解析します。