第7章 3極GMPをふまえた環境微生物とモニタリング¾®生物モニタリングにおいては,まず標準操作手順書(SOP)を決めておかなければならな
微生物モニタリングに 求められるもの微生物モニタリングに...
Transcript of 微生物モニタリングに 求められるもの微生物モニタリングに...
-
微生物モニタリングに求められるもの
国立感染症研究所 寄生動物部
遠藤卓郎
第10回水環境制御研究センターシンポジウム「水道システムにおける微生物指標の活用と課題」
-
水系集団感染
水系集団感染は原水に病原体が存在する状況で
•
浄水処理に問題が生じた、あるいは
•
施設に瑕疵があるときに発生
水道水の水質基準項目(微生物関連)
• 大
腸
菌
糞便汚染
• 一般細菌
浄水処理/消毒効果
-
Water Safety Plan: Total systems approach to risk management of the safety of drinking water
⇒
食品業界における
HACCP の導入
Know yoursource water
quality
Control thetreatment
Safedrinking water
Know yourcatchment
Protect yourdistribution
-
水系集団感染
水系集団感染は原水に病原体が存在する状況で
•
浄水処理に問題が生じた、あるいは
•
施設に瑕疵があるときに発生
原水中の病原体が把握できれば感染を 防ぐことができる
微生物汚染は「一過性」という既成概念(?)
-
わが国が体験した主な水系感染事例
1937年
大牟田市の赤痢 (水道)患者数:≧21,000名 致命率: 4.1%
1977年
佐賀県基山町のA型肝炎(井戸)患者数: 486名(小学校)
1982年
札幌市 Sストア 集団下痢(井戸)患者数: 7,751名
C. jejuni, E.coli
1990年
埼玉県 幼稚園の O-157患者数: 55名 (2名死亡)
1994年
平塚市クリプトスポリジウム
1996年
越生町クリプトスポリジウム
2003年
北海道クリプトスポリジウム
-
Cryptosporidium Cyclospora Isospora Enterocytozoon
-
(水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針)
クリプトスポリジウム等による汚染の恐れ
1.
レベル4(クリプト等による汚染の恐れが高い)地表水を水道の原水としており、当該原水から指標菌が検出
されたことがある施設
2.
レベル3(汚染の恐れがある)地表水以外の水を水道の原水としており、当該原水から指標
菌が検出されたことがある施設
3.
レベル2(当面、汚染の可能性が低い)地表水等が混入していない被圧地下水以外の水を原水として
おり、当該原水から指標菌が検出されたことのない施設
4.
レベル1 (汚染の可能性が低い)地表水等が混入していない被圧地下水のみを原水としており、
当該原水から指標菌が検出されたことのない施設
-
(水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針)
施設整備
1.
レベル4ろ過池出口の濁度を 0.1度以下に維持することが
可能なろ過施設(急速、緩速、膜ろ過)を整備す ること
2.
レベル3以下のいずれかの施設を整備すること
• ろ過池出口の濁度を 0.1度以下に維持することが可能なろ過施設
• 紫外線処理施設
-
(水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針)原水等の検査
1. レベル4及び3•
水質検査計画に基づき、適切な頻度で原水のクリプト等及び指標菌の検査の実施。ただし、クリプト等の除去又は不活化のために必要な施設を整備中の期間においては、原水のクリプトスポリジウム等を3ヶ月に1回以上、指標菌を月1回以上検査すること
2. レベル2•
3ヶ月に1回以上、原水の指標菌の検査の実施
3. レベル1•
年1回、原水の水質検査を行い、大腸菌、トリクロロエチレン等の地表からの
汚染の可能性を示す項目の検査から被圧地下水以外の水の混入の有無を確認す ること
•
3年に1回、井戸内部の撮影等により、ケーシング及びストレーナーの状況、
堆積物の状況等の点検を行うこと
レベル4及び3の場合、浄水を毎日1回 20L 採取し、ポリタンクに注入 した水または採水した自ら得られるサンプルを 14 日間保存することが
望ましい。そのための採水は浄水施設で行うことが望ましいが、当該浄 水場からの給水を受ける配水系統の給水栓でも差し支えない。
-
Incubation period
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0 2 4 6 8 10 12 14
Days
Fre
quency
Ogose (n=16)Ogose observedHiratsuka (n=299)Hiratsuka Observed
Awaji (n=126)Awaji observed
Number of days since exposure
Freq
uenc
y単回暴露患者におけるクリプトスポリジウム症の発 症 日
(潜 伏 期 間)
越 生(n=16)
平 塚
(n=299)
淡路(n=126)
-
0
20
40
60
80
100
5/1
5/6
5/11
5/16
5/21
5/26
5/31 6/5
6/10
6/15
6/20
6/25
6/30 7/5
0
200
400
600
800
1000
Time in Days
Inci
dent
Cas
es
KTU
(Kao
rin
Turb
idity
uni
t)
越生クリプトスポリジウム集団感染における患 者発生状況と原水濁度の推移
-
0
20
40
60
80
100
120
1405/17
5/22
5/27
6/1
6/6
集団感染初期の患者発生と単回 暴露から推測される患者発生
Time in Days
Inci
dent
Cas
es 6 + 1 日
単回暴露
高濁度
-
0
20
40
60
80
100
120
140
160
180
200
5/1
5/6
5/11
5/16
5/21
5/26
5/31 6/5
6/10
6/15
6/20
6/25
6/30 7/5
7/10
7/15
0
200
400
600
800
1000
水系集団感染は原水に病原体が存在する状況で、浄水処理に
問題が生じたか、施設に瑕疵がある場合に発生する。
越 生
ミルウォーキー カナダ
215人 / 11,619人
-
Outbreak Cases
推定オーシスト数
( / L)
一日の飲水量水道水中の
濃 度
浄水処理から逆算した原水中の濃度
1-log 2-log 3-log
Milwaukee, US 1,000
ml 0.02 0.2 2 20200ml 0.10 1.0 10 100
North Battleford, Canada
1,000 ml 0.01 0.1 1 10200ml 0.05 0.5 5 50
越生, Japan1,000 ml 0.01 0.1 1 10
20ml 0.4 4.0 40 400
集団感染に先行して見られるオーシストの汚染状況
-
Oocyst 監視システム
検 体 : 原水
検 体 量 :200 ~ 1,000 mL (粒子除去能力に応じて)
検出方法 :DNA Amplification (LAMP, PCR)顕微鏡検査
検査頻度 : 1 ~ 2 週間に1回程度
警 告内容 :浄水処理の強化
煮沸勧告
水源管理強化、水源交換
※
急激な気温上昇(飲水量の増加)も集団感染の引き金になり得る
-
Cryptosporidium
集団感染
ウシ型( C. parvum
Genotype II)–
1994年
平塚市
雑居ビルの水道
ヒト型( C. parvum
Genotype I)
–
1996年
越生町
町水道
–
2002年
北海道
原因不明 (兵庫県
高校生の修学旅行)
–
2004年
長野県
水泳プール
-
遺 伝 子 型 n=46 %
C. parvum
ヒト型 29 63
ウシ型 6 13
混合感染 1 2
C. meleagridis 6 13
他 4 9
わが国で分離された遺伝子型(散発例+集団感染例)
-
Re-growth
水系集団感染は原水に病原体が存在する状況で
• 浄水処理に問題が生じた
• 施設に瑕疵があるときに発生
この定義にあてはまらない微生物汚染
-
2005年
07年38週まで
2007年2006年
-
レジオネラの発生源
温泉等入浴施設
冷却塔(空調施設)
水道水は?
-
レジオネラ
アメーバ
環 境 中 で の 増 殖 ヒトへの感染
これまでに明らかになっている点(1)
•
Legionella
は温水中のAmoeba等に 寄生・増殖
-
これまでに明らかになっている点(2)
•
レジオネラはバイオフィルムが発生源
浴槽中のアメーバならびに細菌数の経時変化
1.E+00
1.E+01
1.E+02
1.E+03
1.E+04
1.E+05
1.E+06
1.E+07
12月
16中
止日
直後
12月
16日
消失
後
12月
16日
利用
後
12月
17日
12月
18日
12月
19日
12月
20日
12月
21日
12月
22日
12月
23日
12月
24日
12月
25日
12月
28日
H15,1
月8日
前
1月
8日
後
菌数
/m
l
0
20
40
60
80
100
120
140
160
180
200
アメ
ーバ
数/m
l
浴槽水Am
ドレインAm
レジオネラ
一般生菌
従属細菌
塩素注入停止
-
レジオネラ
浴槽水の中のレジオネラ検出状況と従属栄養細菌数
-
表 1 一般細菌数 100cfu/ml の従属栄養細菌への換算
試料区分 対象試料 相関係数a b r2 対数表記 実数表記(cfu/ml)
全数 349 0.9518 1.302 0.7738 3.2 1605
塩素なし 99 0.8021 1.7494 0.7179 3.4 2257
塩素あり 19 1.1744 0.7711 0.6260 3.1 1318
従属栄養細菌への換算相関式の係数
一般細菌:従属栄養細菌≒ 1:20
-
1
10
100
1000
10000
100000
0 5 10 15
系列1
系列2
系列3
系列4
cfu
/ m
l
培 養 期 間 (日)
従 属 栄 養 細 菌 数
培養時間が長すぎるとの指摘⇒ 培養時間の短縮 ?
-
水道水の微生物モニタリングに求められるもの(まとめ)
浄水処理への feed back•原水の汚染状況の把握(Microbial Index )• 定性から定量へ• リアルタイム モニタリング
製品管理
• 生物/非生物指標( Process and/or Disinfection Indicator )
スライド番号 1水系集団感染スライド番号 3水系集団感染スライド番号 5スライド番号 6スライド番号 7スライド番号 8スライド番号 9単回暴露患者におけるクリプトスポリジウム症の発 症 日(潜 伏 期 間)越生クリプトスポリジウム集団感染における患者発生状況と原水濁度の推移集団感染初期の患者発生と単回暴露から推測される患者発生スライド番号 13スライド番号 14スライド番号 15Cryptosporidium 集団感染スライド番号 17スライド番号 18スライド番号 19スライド番号 20スライド番号 21スライド番号 22スライド番号 23スライド番号 24スライド番号 25スライド番号 26スライド番号 27