人口減少社会白書...2012(H24)年3月 大阪府 大阪府 人口減少社会白書...

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2012(H24)3 大阪府 大阪府 人口減少社会白書 ~大阪の人口動態の変化における社会的対応~

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2012(H24)年 3月

大阪府

大阪府

人口減少社会白書

~大阪の人口動態の変化における社会的対応~

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はじめに

2012(H24)年 1 月に発表された国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」の

出生中位(死亡中位)の推計では、日本の人口総数は、30年後の 2040(H52)年には 1億 728

万人、50年後の 2060(H72)年には 8,674万人と、現在の約 3分の2になると見込まれてい

ます。

大阪では、2011(H23)年 8月に公表された住民基本台帳に基づく人口(H23.3.31現在)

において、自然増減が高度成長期*以降、初めてマイナスになりました。2010(H22)年 10 月

に実施された国勢調査では、大阪の人口総数は約 887万人と、5年前の調査より 5万人程度増

加したものの、今後、自然減の幅の拡大が見込まれることから、減少基調に転ずると予想されま

す。

このため、大阪は、三大都市圏で最も早く人口減少を迎え、30年後には約 163万人減少し、

724 万人になると見込まれます。また、高齢者人口が今後 30 年間で、約40%増えるなど、

全国を大きく上回るスピードで高齢化が進み、数の面でも人口構成の面でも将来にわたって大き

く変化することが予測されます。高度成長期の急激な人口増加を背景に経済成長を遂げ、豊かさ

を実現してきた大阪は、まさに今、日本の大都市がかつて経験したことのない「人口減少社会」

への入り口に差し掛かったといえるでしょう。

人口減少社会においては、高齢化による生活不安の増大、生産年齢人口*の減少による経済成

長への悪影響、人口減少・世帯数の減少による空き家・空き地の増加等、府民の生活や経済、

都市構造等において、様々な「負の影響」が指摘されています。これらの変化に対して、何も

対策を講じず、人口増加期の制度や仕組み、一人ひとりの考え方やライフスタイル*を改めなけ

れば、行政サービスの低下や地域コミュニティ*の弱体化による地域力の低下、医療や介護、生

活保護等の社会保障需要の増大、そしてそれに伴う負担の増加など、現在から将来にわたって

厳しい未来が到来するおそれがあります。

一方、人口減少社会の到来には、高齢者市場の拡大や土地利用制約の緩和等のプラス要因も

存在します。高度成長期における膨張・過密化の歪みを是正する等、これまでの大都市・大阪

が抱えてきた課題を変革する大きなチャンスでもあります。また、府民一人ひとりの意識の面

においても、「絆」の再認識、社会参加意識の向上、多様性の尊重、環境への配慮など、これま

でのライフスタイルを見直し、成熟社会にふさわしい新たな価値観を育む転換期と言えます。

このように、これから迎える人口減少社会は、府民生活、経済、都市等、様々な分野にマイ

ナス面、プラス面で大きな影響が予測されます。人口減少社会が及ぼす影響のマイナス面をプ

ラス面に転じるため、今回の国勢調査等を機に、今後の人口減少や人口構成の変化が生活、経

済、都市に与える影響や課題を分析・整理し、中長期的な観点からの対応の方向を明らかにす

る「人口減少社会白書」を策定することにしました。

白書を通じて、人口減少社会に対する影響、課題や対応の方向性について、府民をはじめ、

市町村、経済界等オール大阪*で共有し、それぞれの役割分担のもと、様々な取組を進めること

によって、「明るく笑顔あふれる大阪」を実現していきたいと考えています。

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目 次

はじめに ······································ 1

目次 ········································ 2

大阪における「人口減少」の潮流 ··························· 4

1.人口変化のポイント ······························ 4

(1)人口総数の減少 ······························· 4

(2)人口増減の要因 ······························· 5

(3)地域別人口の推移 ······························ 7

(4)人口構成の変化 ······························ 11

(5)世帯数と世帯構成の変化 ·························· 19

2.他地域との比較 ······························· 20

(1)東京都・愛知県との比較 ·························· 20

(2)大阪府の周辺府県との比較 ························· 21

(3)東京都の周辺県との比較 ·························· 22

(4)関西圏と他圏域との比較 ·························· 23

(5)地方部との比較(島根県) ························· 23

人口減少社会の影響と課題 ····························· 26

1.基本的な考え方 ······························· 26

(1)変革のチャンス ····························· 26

(2)将来への備え ······························ 27

(3)持続的発展 ······························· 27

2.分野別の影響と課題 ····························· 27

(1)生活 ··································· 28

①暮らし ·································· 30

◆社会参加意欲の高いアクティブシニア(元気高齢者)の増加 ········· 30

◆高齢者の生活不安解消の必要性の高まり ·················· 32

②健康・医療 ································ 34

◆高齢者の健康意識の高まり ························ 34

◆医療需要の増大 ····························· 36

◆医療需要の多様化 ···························· 38

◆救急医療ニーズの多様化 ························· 39

③福祉 ··································· 40

◆介護需要の増大 ····························· 40

◆福祉・介護需要の多様化 ························· 42

◆福祉・介護人材の育成・確保の必要性の高まり ··············· 44

◆要援護者見守りの必要性の高まり ····················· 46

④結婚・子育て ······························· 48

◆未婚者・晩婚者の増加 ·························· 48

◆子育てへの負担感による出産数の低下 ··················· 50

◆高齢出産の増加 ····························· 52

◆子育て世帯の孤立化 ··························· 53

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⑤教育 ···································· 54

◆ライフステージを通じた教育の必要性の高まり ················ 54

◆子どもの減少による教育環境の変化 ····················· 56

⑥コミュニティ ································ 58

◆既存コミュニティの減少と新たなコミュニティの増加 ············· 58

⑦防犯・防災 ································· 62

◆犯罪弱者の増加 ······························ 62

◆高齢者等による犯罪の増加 ························· 63

◆災害弱者の増加 ······························ 64

◆地域の防犯力・防災力の機能低下の懸念 ··················· 65

◆交通弱者の増加 ······························ 66

(2)経済 ··································· 68

①市場 ···································· 70

◆国内市場の規模の縮小 ··························· 70

◆国内市場の構造面の変化 ·························· 72

②雇用・人材 ································· 74

◆生産年齢人口減少による労働力の減少 ···················· 74

◆トランポリン型の(再挑戦可能な)セーフティネットの構築の必要性の高まり ··· 78

◆高度専門人材の育成・呼び込み ······················· 80

③企業 ···································· 82

◆企業経営における生産性向上の必要性の高まり ················ 82

(3)都市 ··································· 84

①都市・インフラ ······························· 86

◆都市の持続的発展のための計画的誘導の必要性の高まり ············ 86

◆都市インフラの需要の変化 ························· 88

◆都市魅力の向上 ······························ 90

②住宅・まちづくり ······························ 94

◆住宅供給の過剰、需給のミスマッチ ····················· 94

◆高齢者に対応した住宅・まちづくりの必要性の高まり ············· 96

◆担い手減少による農地・森林の荒廃 ···················· 100

③環境・エネルギー ····························· 102

◆エネルギー消費の減少 ·························· 102

◆汚染物質・温室効果ガス・廃棄物排出量の減少 ··············· 104

対応の方向性 ·································· 106

1.目指すべき方向性 ····························· 106

2.実現に向けて ······························· 106

(1)オール大阪での取組 ··························· 106

(2)各分野の方向性・目標の共有化 ······················ 106

(3)人口減少社会における行財政運営のあり方 ················· 106

用語の解説 ··································· 108

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大阪における「人口減少」の潮流

1 人口変化のポイント

(1)人口総数の減少

大阪府の人口は 2010(H22)年 10月の国勢調査では 887万人と、2005(H17)年の同調査から約

5万人増加しました。しかし、今後は減少期に突入し、30年後の 2040(H52)年には 724万人とな

り、30 年間で 163 万人の急激な減少を見込んでいます。これは、高度成長期*である 1968(S43)

年の 722万人に相当する人口であり、1968(S43)年から 1998(H10)年までの 30年間で増加した

人口(159 万人)が、その後、10 年あまり維持され、今後 30 年間で同程度減少すると予測されて

います。

ポイント 大阪府の人口は、2010(H22)年を境に減少基調に

出典:2010(H22)年までは総務省「国勢調査」。将来推計については、大阪府「大阪府の将来推計人口の点検について」(H21.3)における大阪府の

人口推計(ケース2)を基に、府試算。

【人口構成について】

この白書では、人口構成を示す用語を下記のとおり定義することとします。

*年少人口 0歳~14歳

*生産年齢人口* 15歳~64歳

*高齢者人口 65歳以上

人口減少社会においては、総人口の減少に加え、年少人口・生産年齢人口の減少および高齢者

人口の急激な増加という「人口構成の変化」が生じ、様々な方面に大きな影響を及ぼすと考え

られています。

666

762

828847

867 873 880 881 882887

871853

828798

763 724

500

550

600

650

700

750

800

850

900

950

1,000

1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040

S40 45 50 55 60 H2 7 12 17 22 27 32 37 42 47 52

人口

(万人)

大阪府の人口推移と将来推計 (1965(S40)~2040(H52))これまで これから

高度成長期

人口は急増 人口減少期

2010(H22)より

163万人減少

1968年 722

1998年

881

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(2)人口増減の要因

①自然増減

大阪府の死亡数は増加傾向が続き、2010(H22)年には 1970(S45)年の約 2倍まで増加しました。

一方、大阪府の出生数は、1970(S45)年に戦後のピークを迎えて以降減少が続き、2010 年(H22)年

には、死亡数が出生数を上回り、「自然減少」に転じました。

合計特殊出生率*をみると、団塊ジュニア世代*の誕生以降低い値で推移してきましたが、近年わずかな

がら改善の傾向にあります。しかし、今後も人口を維持するのに必要とされる水準(人口置換水準*(国

立社会保障人口問題研究所(2009):2.07))を下回って推移するとみられ、出産年齢を迎える女性その

ものの数が減少することも相まって、出生数の減少は続くと見込まれます。これらの傾向により、人口総

数の減少に加え、人口構成が大きく変化すると予測しています。

2.14 2.131.91

1.75 1.761.54

1.42 1.361.26

1.391.21 1.23 1.23 1.24 1.25

2.20 2.17

1.901.67 1.69

1.461.33 1.31 1.21 1.33 1.17 1.17 1.18 1.19 1.201.00

1.50

2.00

2.50

1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035

S40 45 50 55 60 H2 7 12 17 22 27 32 37 42 47

全国 大阪府

これまで これから

1次オイルショック

2次オイルショック

(1973) (1979)

バブル期

(1980年代

後半~)

バブル崩壊期

(1990年代

前半~)

合計特殊出生率の推移と将来推計(1965(S40)~2035(H47))(大阪府・全国)

ポイント 出生数は減少、死亡数は増加の一途

ポイント 合計特殊出生率も低い値で推移

団塊ジュニア 誕生!

出典:合計特殊出生率:2010(H22)年までは厚生労働省「人口動態統計」。 将来推計については、国立社会保障・人口問題研究所「日本の都道府県別将来推計人口」(H19.5) 完結出生児数:国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」(H23.10)を使用。

17

7 4 4

8

13

0

5

10

15

20

1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040

S40 45 50 55 60 H2 7 12 17 22 27 32 37 42 47 52

(

万人)

出生数 死亡数(1965(S40)~2040(H52))これまで これから

出典:2010(H22)年までは厚生労働省「人口動態統計」。将来推計については、「大阪府の将来推計人口の点検について」(H21.3)

出生数

死亡数

戦後の ピーク!

1970(S45)の

約 1/4に減少

1970(S45)の

約 2/5に減少

1970(S45)の

約 3倍に増加

1970(S45)の

約 2倍に増加

大阪府の出生数・死亡数の推移と将来推計(1965(S40)~2040(H52))

完結出生児数とは 「夫婦の最終的な出生子ども数」。 (結婚持続期間 15~19年の初婚どうしの夫婦の平均出生子ども数)

晩婚化等の影響により、更

に減少するおそれがあり

ます。

(全国) (近畿)

2.21 ―

2.21 ―

2.23 2.28

2.09 1.97

1.96 集計中

2002(H14)

2005(H17)

2010(H22)

完結出生児数年

1992(H4)

1997(H9)

完結出生児数*の推移

(1992(H4)~2010(H22))

1965(S40)1960(S40)年~2040(H52)年の人口構成

(p12参照)を右下端に連続で掲載しています。 (注)5歳年齢別に仮想的な 1歳別の変化(5年間の移動平均)を各年代に加

算しているため、見かけ上、滑らかに見えない場合があります。

団塊の世代 ⇓

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②社会増減

大阪府と他の都道府県との転出入の状況をみると、1976(S51)年以降、1995(H7)年を除き、一貫

して転出超過傾向が続いていました。2011(H23)年は、東日本大震災の影響もあり、転出者数は

151,156人、転入者数は 156,059人と、転入者が転出者を上回る「社会増」となりました。年代別に

みると、15~24歳は転入が多いのに対し、他の年代は概ね転出超過の傾向で、特に 30~39歳は転出

者数が多くなっており、中堅世代の人口流出による労働力の減少、活力の低下が懸念されています。

圏域別にみると、東京圏への人口流出が顕著です。2011(H23)年には、大阪府からは 38,592 人が

東京圏へ転出した一方、東京圏からの転入は 34,468人と約 4,000人の転出超過でした。

全国的に出生数の減少が続く中、今後も大幅な人口流入は見込みにくい状況にあります。東京圏への転

出超過と近隣府県からの転入超過が一定続くと仮定すれば、大阪府は東京圏に比べて増加率は小さいもの

の、緩やかな社会増で推移すると予測されます。

出典:総務省「住民基本台帳人口移動報告」

ポイント 転出者数は減少傾向

ポイント 中堅世代の転出が顕著

大阪府の年齢階層別転入超過数(「-」は転出超過)(2011(H23))

大阪府の転出入状況の推移(「-」は転出超過)(全国・対東京圏・対名古屋圏・対関西圏:1966(S41)・1999(H11)~2011(H23))

-14,509-4,124

-50,000

-40,000

-30,000

-20,000

-10,000

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011

H11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23

対東京圏

東京圏転入者 東京圏転出者 東京圏転入超過

(人)

34,468

-38,592

-17,246 -630

1,366 560 682 932

2,822

-100,000

-80,000

-60,000

-40,000

-20,000

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011

H11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23

対関西圏

関西圏転入者 関西圏転出者 関西圏転入超過

(人)

60,090

-57,268

-1,424 -599

1,008 624 674

-20,000

-15,000

-10,000

-5,000

0

5,000

10,000

15,000

20,000

1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011

H11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23

対名古屋圏

名古屋圏転入者 名古屋圏転出者 名古屋圏転入超過

(人)

12,232

-11,558

(注)・東京圏:東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県 ・名古屋圏:愛知県、岐阜県、三重県 ・関西圏:滋賀県、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県

-47,271-41,476

76,31926,352

1,323

-26,653 -20,265 -36,874

11,748

-23,182 -3,568 -2,273

-3,570

4,903

-400,000

-350,000

-300,000

-250,000

-200,000

-150,000

-100,000

-50,000

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

350,000

400,000

1966196719681969197019711972197319741975197619771978197919801981198219831984198519861987198819891990199119921993199419951996199719981999200020012002200320042005200620072008200920102011

S41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 H元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23

対全国

転入者 転出者 転入超過

(人)

156,059

-151,156

-2,000 -1,000

01,0002,0003,0004,0005,0006,0007,000

0~4歳

5~9歳

10~

14歳

15~

19歳

20~

24歳

25~

29歳

30~

34歳

35~

39歳

40~

44歳

45~

49歳

50~

54歳

55~

59歳

60~

64歳

65~

69歳

70~

74歳

75~

79歳

80~

84歳

85~

89歳

90歳以上

(人)

総数 男性 女性

転入超過数

10,274人 (15~24歳)

転出超過数

2,207人 (30~39歳)

全年齢階層では

男性:1,469人転入超過 女性:3,434人転入超過

総数:4,903人転入超過

出典:総務省「平成 23年住民基本台帳人口移動報告」

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(3)地域別人口の推移

大阪府では、高度成長期*には地方からの流入者増加と持ち家志向により、鉄道沿線を中心に放射状に

市街地が拡大しました。そのため、郊外の人口が急増した一方、大阪市の人口は急減しました。その後、

大阪市地域等の人口が微増するなどの動きが見られますが、将来的にはすべての地域で減少が予測されま

す。

最も減少率が高いのは南河内地域で、30年後は 3割以上の減少が予測され、生産年齢人口*は、約半

数になると見込まれます。また、大阪市地域では都心回帰の動きがみられる中で、人口減少は他の地域に

比べ緩やかに進むと考えられます。

このように、地域によって人口減少および人口構成の変化のスピードは異なりますが、大阪府の特徴と

して、高度成長期に大量に流入してきた団塊の世代*および団塊ジュニア世代*が一斉に高齢化することな

どが挙げられます。

今後、地域の特性を踏まえながら、人口減少社会の到来に備えていくことが重要です。

ポイント 今後、各地域とも、人口は減少傾向に

出典:2010(H22)年までは総務省「国勢調査」(年齢不詳を含む)。将来推計については、「大阪府の将来推計人口の点検について」(H21.3)における

大阪府の人口推計(ケース 2)を基に、府試算

<参考>大阪市地域:大阪市 北大阪地域:吹田市、高槻市、茨木市、摂津市、島本町、豊中市、池田市、箕面市、豊能町、能勢町

東部大阪地域:守口市、枚方市、寝屋川市、大東市、門真市、四條畷市、交野市、八尾市、柏原市、東大阪市

南河内地域:富田林市、河内長野市、松原市、羽曳野市、藤井寺市、大阪狭山市、太子町、河南町、千早赤阪村

泉州地域:堺市、泉大津市、和泉市、高石市、忠岡町、岸和田市、貝塚市、泉佐野市、泉南市、阪南市、熊取町、田尻町、岬町

316

298

278

265 264 262 260 260 263 267 263 260 255 250

242 234

93

127

154

164 172 175 175 174 174 176

175 172 168 162

155 147 123

170

194 201 205 206 209 207 205 204

198 192

184 175

164 153

30

43 53

58 62 66 69 70 65 64 61 58 55 52 48 44

104 125

149 159

164 164 167 170 175 176

174 171 166 160

152

146

0

50

100

150

200

250

300

350

1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040

S40 45 50 55 60 H2 7 12 17 22 27 32 37 42 47 52

(万人)

地域別 人口推移と将来推計 (1965(S40)~2040(H52))

大阪市地域 北大阪地域 東部大阪地域 南河内地域 泉州地域

これまで これから

大阪市地域

北大阪地域

泉州地域 東部大阪地域

南河内地域

郊外への移住

人口減少

自然減や社会減

人口減少

◆高度成長期 地方から流入 ◆ニュータウン 開発

人口増加

1967(S42)

Page 10: 人口減少社会白書...2012(H24)年3月 大阪府 大阪府 人口減少社会白書 ~大阪の人口動態の変化における社会的対応~ 1 はじめに 2012(H24)年1

8

[5地域別の人口の動き]

大阪市地域

大阪市地域は、大都市大阪の中心部として古くから経済や交通の要となってき

ました。高度成長期*には郊外への人口流出が続いていましたが、近年は中央区、

北区などの都心部を中心に都心回帰の動きが見られます。今後も、他の地域に比

べ、人口減少のスピードは緩やかに進むことが予測されます。しかし、生産年齢

人口割合は他の地域より高い値で推移するものの、合計特殊出生率*が低いことか

ら、30年後の年少人口割合は南河内に次いで少ないと見込まれます。 (2005(H17))

合計特殊出生率 1.19

出典:2010(H22)年は総務省「国勢調査」。将来推計については、「大阪府の将来推計人口の点検について」(H21.3)における大阪府の

人口推計(ケース 2)を基に、府試算。

ポイント 地域によって、生産年齢人口*の減少率に差

地域別生産年齢人口の減少率の将来推計(2010(H22)年を 1.0とした場合)

0.74

0.67

0.61

0.54

0.68

0.50

0.60

0.70

0.80

0.90

1.00

2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040

H22 27 32 37 42 47 52

大阪市地域 泉州地域 北大阪地域

東部大阪地域

南河内地域

21.9 18.1 11.7 9.4 8.8

73.5 71.665.7 61.4 55.3

4.610.3

22.7 29.2 36.0

0%

20%

40%

60%

80%

100%

1965 1985 2010 2025 2040

S40 S60 H22 H37 H52

年齢別構成比

年少人口 生産年齢人口 高齢者人口

これまで これから

2010(H22)より 高齢者は

13.3㌽増加 年少者は

2.9㌽減少

6948 31 24 20

232

189

173157

129

14

2760

75

84

0

50

100

150

200

250

300

350

1965 1985 2010 2025 2040

S40 S60 H22 H37 H52

人口

(万人)

年齢別人口

年少人口 生産年齢人口 高齢者人口

これまで これから 全体では

2010(H22)より

33万人減少 (12.4%減)

Page 11: 人口減少社会白書...2012(H24)年3月 大阪府 大阪府 人口減少社会白書 ~大阪の人口動態の変化における社会的対応~ 1 はじめに 2012(H24)年1

9

北大阪地域

北大阪地域は、国土軸に位置し、大学・研究機関等が集積するとともに、交通利

便性も高い地域です。高度成長期*には、ニュータウンが開発され、府内外から多

くの人が移り住み、人口が増加しました。今後は人口減少が進むものの、社会減の

傾向は他の地域に比べ緩やかであると予測されます。 (2005(H17))

合計特殊出生率*

豊能地域 1.23 三島地域 1.29

東部大阪地域

(2005(H17))

合計特殊出生率

北河内地域 1.29中河内地域 1.24

東部大阪地域は、北部は家電産業、東部はものづくり中小企業が集積するとと

もに、学研都市等の研究開発拠点も立地している地域です。近年は、社会減少の

傾向が続いており、30年後は、5地域中、南河内に次ぐ人口減少率が予測されま

す。

22 39 24 17 14

67

121 113

99 76

4

12 37

52

58

0

50

100

150

200

250

1965 1985 2010 2025 2040

S40 S60 H22 H37 H52

人口

(万人)

年齢別人口

年少人口 生産年齢人口 高齢者人口

これまで これから

23.3 22.9 13.9 10.1 9.4

72.3 70.264.7

58.9 51.5

4.46.9

21.4 31.1 39.1

0%

20%

40%

60%

80%

100%

1965 1985 2010 2025 2040

S40 S60 H22 H37 H52

年齢別構成比

年少人口 生産年齢人口 高齢者人口

これまで これから

全体では 2010(H22)より

29万人減少 (16.3%減)

2010(H22)より 高齢者は

17.7㌽増加 年少者は

4.5㌽減少

29 46 27 17 14

88

144

127 108

78

5

14 46

59

62

0

50

100

150

200

250

1965 1985 2010 2025 2040

S40 S60 H22 H37 H52

人口

(万人)

年齢別人口

年少人口 生産年齢人口 高齢者人口

これまで これから

23.8 22.7 13.4 9.5 9.0

72.0 70.2

63.758.7 50.7

4.27.1

22.8 31.8 40.3

0%

20%

40%

60%

80%

100%

1965 1985 2010 2025 2040

S40 S60 H22 H37 H52

年齢別構成比

年少人口 生産年齢人口 高齢者人口

これまで これから

全体では 2010(H22)より

51万人減少 (25.1%減)

2010(H22)より 高齢者は

17.5㌽増加 年少者は

4.4㌽減少

1968(S43)

*

Page 12: 人口減少社会白書...2012(H24)年3月 大阪府 大阪府 人口減少社会白書 ~大阪の人口動態の変化における社会的対応~ 1 はじめに 2012(H24)年1

10

南河内地域

南河内地域は、森林・農用地が約 6 割と自然に恵まれた地域で、古墳群等の歴

史・文化資産も豊富です。しかし、社会減少が既に進んでおり、30年後の人口減

少率は、5地域中、最も高くなると見込まれます。

また、他の地域に比べ、合計特殊出生率*が低いことから、年少人口および生産

年齢人口*割合が低くなるとともに、高齢者の割合が高くなると予測されます。

(2005(H17))

合計特殊出生率 1.18

泉州地域

泉州地域は、国土軸から遠く、緩やかに都市化してきた地域ですが、関西国

際空港開港を機に開発が進みました。5 地域中、年少人口割合が最も高く、他

地域に比べ社会減少が少ない地域です。高い合計特殊出生率を背景に、比較的

緩やかに人口減少が進むと予測されます。

(2005(H17))

合計特殊出生率

泉北地域 1.39 泉南地域 1.42

※5地域中、最も出生率が高い。

※全体人口は、年齢不詳を含んでいるため、年齢別人口の合計と異なる。

出典:2010(H22)年までは総務省「国勢調査」。将来推計については、「大阪府の将来推計人口の点検について」(H21.3)における大阪府の人口推計(ケース 2)を基に、府試算。

合計特殊出生率:総務省「国勢調査」(H17)および厚生労働省「人口動態統計」(H18~21)

7 13 9 5 4 20

41 40 31 21

2

5 15 19

19

0

50

100

1965 1985 2010 2025 2040

S40 S60 H22 H37 H52

人口

(万人)

年齢別人口

年少人口 生産年齢人口 高齢者人口

これまで これから

24.8 22.4 13.6 9.1 8.4

69.6 69.5

62.956.3 48.6

5.58.1

23.534.6 43.0

0%

20%

40%

60%

80%

100%

1965 1985 2010 2025 2040

S40 S60 H22 H37 H52

年齢別構成比

年少人口 生産年齢人口 高齢者人口

これまで これから

2010(H22)より 高齢者は

19.5㌽増加 年少者は

5.2㌽減少 全体では 2010(H22)より

20万人減少 (30.8%減)

26 38 26 18 15

75

115 111

97 75

5

13 39 51

56

0

50

100

150

200

250

1965 1985 2010 2025 2040

S40 S60 H22 H37 H52

人口

(万人)

年齢別人口

年少人口 生産年齢人口 高齢者人口

これまで これから

24.1 22.9 14.7 10.8 10.5

71.0 69.163.3

58.4 51.5

4.98.0

22.0 30.8 38.0

0%

20%

40%

60%

80%

100%

1965 1985 2010 2025 2040

S40 S60 H22 H37 H52

年齢別構成比

年少人口 生産年齢人口 高齢者人口

これまで これから

2010(H22)より 高齢者は

16.0㌽増加 年少者は

4.2㌽減少

全体では

2010(H22)より

30万人減少 (17.2%減)

Page 13: 人口減少社会白書...2012(H24)年3月 大阪府 大阪府 人口減少社会白書 ~大阪の人口動態の変化における社会的対応~ 1 はじめに 2012(H24)年1

11

(4)人口構成の変化

①世代別人口の構成比

高齢者人口の割合は年々増加し、2040(H52)年には、全体の 38.4%を占めると見込まれます。一方、

生産年齢人口*の割合は、減少を続け、2040(H52)年には、現在の 64.4%から 52.4%まで減少し、年

少人口の割合は、全体の 1割未満の 9.3%にまで減少すると予測されます。総人口の減少に加え、この

ような人口構成の変化は、社会保障や経済活動、府民の暮らしなど幅広い分野で影響を及ぼすことが考え

られます。

高齢者人口(65 歳以上)の割合は高まり、生産年齢人口(15 歳~64 歳)・年少

人口(15歳未満)の割合は低下

出典:2010(H22)年までは総務省「国勢調査」(年齢不詳を除く)。将来推計については、「大阪府の将来推計人口の点検について」(H21.3)における大阪府

の人口推計(ケース 2)を基に、府試算。

ポイント

年少人口の割合

2010(H22)→2040(H52)

13.3% → 9.3%に減少

生産年齢人口の割合

2010(H22)→2040(H52)

64.4% → 52.4%に減少

高齢者人口の割合

2010(H22)→2040(H52)

22.4% → 38.4%に増加

22.9 23.9 25.6 24.4 21.4 17.3 15.0 14.2 13.8 13.3 11.9 10.7 9.8 9.5 9.4 9.3

72.5 70.9 68.3 68.3 70.4 73.0 73.0 70.8 67.5 64.4 60.5 59.5 59.4 58.0 55.6 52.4

4.6 5.2 6.1 7.2 8.3

9.7 11.9 15.0 18.7 22.4 27.6 29.8 30.9 32.5 35.0 38.4

0%

20%

40%

60%

80%

100%

S40 45 50 55 60 H2 7 12 17 22 27 32 37 42 47 52

1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040

大阪府の世代別人口の構成比の推移と将来推計(1965(S40)~2040(H52))

0~14歳 15~64歳 65歳以上

これまで これから

1970(S45)

Page 14: 人口減少社会白書...2012(H24)年3月 大阪府 大阪府 人口減少社会白書 ~大阪の人口動態の変化における社会的対応~ 1 はじめに 2012(H24)年1

12

0

20

40

60

80

100

0~4歳

5~9歳

10~

14歳

15~

19歳

20~

24歳

25~

29歳

30~

34歳

35~

39歳

40~

44歳

45~

49歳

50~

54歳

55~

59歳

60~

64歳

65~

69歳

70~

74歳

75~

79歳

80~

84歳

85~

89歳

90歳以上

人口

(万人)

0

20

40

60

80

100

0~4歳

5~9歳

10~

14歳

15~

19歳

20~

24歳

25~

29歳

30~

34歳

35~

39歳

40~

44歳

45~

49歳

50~

54歳

55~

59歳

60~

64歳

65~

69歳

70~

74歳

75~

79歳

80~

84歳

85~

89歳

90歳以上

人口

(万人)

0

20

40

60

80

100

0~4歳

5~9歳

10~

14歳

15~

19歳

20~

24歳

25~

29歳

30~

34歳

35~

39歳

40~

44歳

45~

49歳

50~

54歳

55~

59歳

60~

64歳

65~

69歳

70~

74歳

75~

79歳

80~

84歳

85~

89歳

90歳以上

人口

(万人)

②人口構成の変動

大阪府の人口構成の変化を世代ごとにみると、昭和 30年代に大阪府に大量に流入してきた「団塊の

世代*」(2010(H22)年現在:71 万人)と「団塊ジュニア世代*」(2010(H22)年現在:約 72 万人)

が人口の多い世代となっています。これを 10年ごとの推移でみると、二つの世代がまるで“人口の波”

のように高齢化していくのが分かります。

今後は、「団塊の世代」の高齢化に伴い、65 歳以上の高齢者が更に増加し、その後 75 歳以上の高齢

者のボリュームも大きく変動していくと見込まれます。さらに、その先には、団塊ジュニア世代が同じよ

うな変化を人口構成に与えていく第二の“人口の波”が訪れると予測されます。

0

20

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35~

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70~

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85~

89歳

90歳以上

人口

(万人)

団塊 高度経済成長に伴い、就職や進学などで

地方から大阪に移り住む人が急増し、大

幅な社会増。ニュータウンなどを次々と

開発し、住宅地が郊外に拡大。

人口増加のスピードは減速傾向。

団塊の世代が生産年齢人口*の中核に。

また、団塊ジュニア世代の誕生により、

年少人口は増加。

団塊の世代が 40~44歳、団塊ジュニア

世代が 15歳以上になり、総人口に占める

生産年齢人口の割合が増加。

人口は 880 万人前半を横ばいで推移。

団塊の世代は 50~54歳、団塊ジュニア

世代が 25~29歳になり、生産年齢人口

の中核に。

現在→団塊の世代が高齢化、30年後→団塊ジュニア世代も高齢化 ポイント

団塊ジュニア 団塊

団塊

団塊ジュニア 団塊

団塊ジュニア

■1970年(S45) 団塊の世代が地方から大阪府へ

■1990年(H2) 団塊世代・団塊ジュニア世代とも生産年齢人口に

■1980年(S55) 団塊ジュニア世代の誕生

■2000年(H12) 人口は横ばいで推移

Page 15: 人口減少社会白書...2012(H24)年3月 大阪府 大阪府 人口減少社会白書 ~大阪の人口動態の変化における社会的対応~ 1 はじめに 2012(H24)年1

13

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0~4歳

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19歳

20~

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89歳

90歳以上

人口

(万人)

0

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0~4歳

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70~

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75~

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80~

84歳

85~

89歳

90歳以上

人口

(万人)

0

20

40

60

80

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0~4歳

5~9歳

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34歳

35~

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55~

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65~

69歳

70~

74歳

75~

79歳

80~

84歳

85~

89歳

90歳以上

人口

(万人)

団塊

■2010年(H22) 団塊の世代*が定年を迎え始める

団塊ジュニア世代が高齢期に突入し、労働

力不足と社会保障等の負担増大が一層深

刻化するおそれ。

75 歳以上高齢者の増加により、介護需

要、医療需要が増大し、健康長寿へのニー

ズが一層高まる可能性。

また、高齢単独世帯が増加。

団塊の世代が定年退職を迎え始める。団塊

ジュニア世代*は子育て期。

生産年齢人口*の減少に伴い、労働力人口*

が減少。

高齢者数の増加により、現役世代*の社会

保障負担などが増大。高齢期に突入した団

塊の世代を中心に、元気高齢者も増加。

出典:2010(H22)年までは総務省「国勢調査」。将来推計については、「大阪府の将来推計人口の点検について」(H21.3)における大阪府の人口推計(ケース 2)を基に、府試算。

団塊ジュニア 団塊

来るべき「人口減少社会」を誰もが暮らしやすい社会としていくためには、このような人口構成

の変動を見据え、将来への備えや新たな価値の創出を行っていくことが必要。

現在

1972(S47)

団塊ジュニア

0

20

40

60

80

100

0~4歳

5~9歳

10~

14歳

15~

19歳

20~

24歳

25~

29歳

30~

34歳

35~

39歳

40~

44歳

45~

49歳

50~

54歳

55~

59歳

60~

64歳

65~

69歳

70~

74歳

75~

79歳

80~

84歳

85~

89歳

90歳以上

人口

(万人)

団塊 団塊ジュニア

団塊ジュニア 団塊

■10年後:2020年(H32) 団塊の世代がすべて高齢期に突入

■20年後:2030年(H42) 団塊の世代が 75歳以上の高齢期に突入

■30年後:2040年(H52) 団塊ジュニア世代も高齢期に突入

Page 16: 人口減少社会白書...2012(H24)年3月 大阪府 大阪府 人口減少社会白書 ~大阪の人口動態の変化における社会的対応~ 1 はじめに 2012(H24)年1

14

③世代別人口の推移

[高齢者(65歳以上)人口]

高齢者人口をみると、2010(H22)年では 196万人であるのに対し、2040(H52)年では 278万

人と、30年間で 82万人増加し、高齢化率は 22.4%から 38.4%まで上昇する(p11参照)と見込

まれます。

また、75歳以上の人口については、2010(H22)年の 83万人が、10年後の 2020(H32)年には

高齢者人口の半数を超え、30年後の 2040(H52)年には 156万人になると予測されます。

団塊世代*に続いて、更に団塊ジュニア世代*も高齢期に突入する中、平均寿命*は伸び続け、

2040(H52)年には、女性 88歳、男性 82歳と人生 90年時代に近づくと予測されます。しかし、大

阪府は、平均寿命が全国平均に比べて短いだけでなく、高齢者が健康で暮らせる期間(健康余命*)も

全国平均に比べて短い状況(女性はワースト1)です。また、高齢者の生活保護率が高い大阪府では、

高齢期を迎えることに対して生活不安を感じる人も多いと考えられます。

大阪府が抱えるこれらの課題に対して、今から必要な対策を講じることによって、予測される激変を

少しでも緩和させていくことが重要です。そして、健康で心豊かに年を重ねることのできる社会、高齢

者が培ってきた能力や技能を活かすことのできる社会を目指すことによって、高齢者の増加がどの世代

にとってもプラスに作用するようなまちづくりを進めることが求められます。

8 10 14 19 2433 40

4965

83

111

136

161 165 159 156

30 39

50 61 72

84 105

132

163

196

240 254 255 259 267

278

0

50

100

150

200

250

300

1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040

S40 45 50 55 60 H2 7 12 17 22 27 32 37 42 47 52

人口

(万人)

高齢者(65歳以上)の人口推移と将来推計 (1965(S40)~2040(H52))

75才以上 65才以上

これまで これから

出典:2010(H22)年以前のデータは総務省「国勢調査」(年齢不詳を除く)。将来推計については、大阪府「大阪府の将来推計人口の点検について」

(H21.3)における大阪府の人口推計(ケース2)を基に、府試算。

今後 30年間で、高齢者人口(65歳以上)は 82万人の増加 ポイント

高度成長期*

緩やかに増加

団塊世代 が65歳以上に

団塊世代 が75歳以上に

団塊ジュニア が65歳以上に

大阪府の高齢者人口(65歳以上)の推移と将来推計(1965(S40)~2040(H52))

Page 17: 人口減少社会白書...2012(H24)年3月 大阪府 大阪府 人口減少社会白書 ~大阪の人口動態の変化における社会的対応~ 1 はじめに 2012(H24)年1

15

出典:大阪府「生活保護統計」、厚生労働省「被保護者全国一斉調査」

ポイント 大阪府の平均寿命*は、全国平均より短い

ポイント 大阪府の健康余命*は、男性 46位(ワースト 2)・女性 47位(ワースト 1)

ポイント 大阪府の生活保護者のうち、約4割が高齢者

75.02

78.21

81.66 81.16

85.20

88.48

75.92

78.56

82.09 81.90

85.52

88.86

70.00

75.00

80.00

85.00

90.00

1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040

H2 7 12 17 22 27 32 37 42 47 52

(歳)

男性(大阪府) 女性(大阪府) 男性(全国) 女性(全国)

これまで これから

2005(H17)

全国の中で

男性:36位 女性:44位

平均寿命の推移と将来推計(大阪府・全国)(1990(H2)~2040(H52))

0.9

2.9

1.0

5.0

1.61.4

0%1%2%3%4%5%6%

1965 ・・ 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2009

S40 ・・ 50 55 60 H2 7 12 17 21

大阪府・大阪市・全国の生活保護率の推移(1965(S40)~2009(H21))

大阪市

大阪府

全 国

2009(H21)の

被保護人員数は

大阪市 12万人 大阪府 24万人

出典:厚生労働省「平成 17年都道府県別生命表」(H19.12)、厚生労働省「第 20回完全生命表)」。将来推計は、厚生労働省「都道府県別生命表の概要」、「大阪府の将来推計

人口の点検について」(H21.3)、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」より試算。

出典:瀬上清貴「平成21年の都道府県別自立調整健康余命の算出とその活用」

*自立調整健康余命:健康で身体

的な能力を発揮できると期待

される寿命。要介護度*別の自立

度を基に、ある特定年齢から完

全に自立して生活できる残余

年数を示しています。

都道府県名 男性(年) 順位 女性(年) 順位

全 国 16.892 20.182

大阪府 16.001 46 19.293 47

東京都 16.942 23 19.837 43

愛知県 16.678 39 19.918 41

自立調整健康余命(65歳以降)(2009(H21) )

36.137.0 37.1 37.3 37.3 37.6 38.9 40.3 41.3 40.7

0%

10%

20%

30%

40%

50%

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

H12 13 14 15 16 17 18 19 20 21

大阪府の生活保護人員の高齢者割合の推移(2000(H12)~2009(H21)) 高齢者が

4割

1973(S48)

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16

[生産年齢(15歳~64歳)人口*]

生産年齢人口は、2010(H22)年の 565万人が 2040(H52)年には 379万人と、30年間で 186

万人減少し、全人口に占める割合は 64.4%から 52.4%まで低下する(p11 参照)と見込まれてい

ます。生産年齢人口は、労働力人口*や子どもを産む女性の年代とも重なるため、生産年齢人口の減少

は大阪の経済、社会に大きな影響を及ぼすと考えられます。(☜コラム参照)

生産年齢人口減少の要因としては、出生数の減少といった全国的な状況に加え、大阪府固有の要因と

して高度成長期*に流入した団塊の世代*および団塊ジュニア世代*が今後高齢期に突入すること、25~

39歳の年齢層の流出が続いていることなどが挙げられます。

労働力人口*は 1995(H7)年をピークとして減少を続けており、今後の生産年齢人口の減少を受けて、

更なる労働力減少が見込まれます。また、大阪府の女性の労働力率*は年々上昇しているものの、子育

て期の離職の多さを表したM字カーブの谷は全国に比べ深くなっています(p75参照)。

生産年齢人口の減少が社会に及ぼす影響を最小限にとどめ、人口減少が進む中にあっても誰もがいき

いきと暮らせる社会とするため、女性や高齢者、若者、障がい者など、働く意欲のあるすべての人が就

業のチャンスを得られるよう、潜在的労働者層の活躍機会の拡大が求められます。

483

541 565 578

609 635 641

622 591

565

527508

491463

424379

300

350

400

450

500

550

600

650

700

1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040

S40 45 50 55 60 H2 7 12 17 22 27 32 37 42 47 52

人口

(万人)

生産年齢(15~64歳)の人口推移と将来推計 (1965(S40)~2040(H52))

これまで これから

ポイント 今後 30年間で、生産年齢人口(15歳~64歳)は 186万人の減少

高度成長期

増加

団塊ジュニア が65歳以上に

団塊ジュニア が15歳以上に

出典:2010(H22)年以前のデータは総務省「国勢調査」(年齢不詳を除く)。

将来推計については、大阪府「大阪府の将来推計人口の点検について」(H21.3)における大阪府の人口推計(ケース2)を基に、府試算。

団塊世代 が65歳以上に

大阪府の生産年齢人口(15歳~64歳)の推移と将来推計(1965(S40)~2040(H52))

Page 19: 人口減少社会白書...2012(H24)年3月 大阪府 大阪府 人口減少社会白書 ~大阪の人口動態の変化における社会的対応~ 1 はじめに 2012(H24)年1

17

一般的に、生産年齢人口は 15歳~64歳、

高齢者は 65歳以上という設定が用いられ

ています。これは、現在より平均寿命*が

低かった 1950 年代に設定されたもので

す。(1955年(S30)年の日本の平均寿命:

男性 63.60歳、女性 67.75歳)(内閣統計

局および厚生労働省「完全生命表」)

近年の大学進学率の高まりや、元気高齢

者の増加を踏まえると、一律に 15歳~64

歳を「支える側」、65歳以上を「支えられ

る側」とするのではなく、人生 90年時代

にふさわしい多様な年齢のくくり方につ

いて考えていく必要があると思われます。

現在、国の検討会においても、65 歳以上

を一律「高齢者」とする区分が実態に合わ

なくなってきていると指摘しています。

様々な制度について、健康や所得など実

態に即した年齢のくくり方をしていくこ

とが求められます。

仮に、生産年齢人口を 20~69歳とすると、2040(H52)年の大阪府の生産年齢人口は 418万人となり、

現行の 15歳~64歳の設定よりも 39万人多くなります。

出典:総務省「国勢調査」

生産年齢人口*の減少に伴い、労働力人口*も減少

330

374 383394

420 442

466445

433

300

350

400

450

500

1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005

S40 45 50 55 60 H2 7 12 17

(万人)

1995(H7)より

33万人 減少

ピーク

大阪府の労働力人口の推移(1965(S40)~2005(H17))

コラム ~生産年齢人口*の考え方~

出典:2012(H24)年 2月 22日付日本経済新聞記事をもとに大阪府作成

出典:2010(H22)年までは総務省「国勢調査」(年齢不詳を除く)。将来推計については、大阪府「大阪府の将来推計人口の点検につ

いて」(H21.3)における大阪府の人口推計(ケース2)を基に、府試算。

ポイント

現行の「高齢者」に関する各種制度の区分

仕事 企業定年は 8割が 60歳

住宅 サービス付き高齢者住宅の入居要件は原則

60歳以上

60歳

雇用制度 定年の定めの廃止、定年の引き上げ、

継続雇用制度の導入を奨励

年金 基礎年金は原則 65歳から支給

介護 介護保険は原則 65歳以上が利用可能

医療 病院窓口負担は 70歳以上は 1割に軽減(現

役並み所得者を除く) ※70~74 歳の窓口負担については、平成 24 年度までの特例措置、平成 25年度以降は未定

65歳

70歳

2.88人

高齢者 1人を支える現役世代は何人?

15歳~64歳を現役世代とした場合 1.37人

20~69 歳を現役世代とした場合1.96人

2010(H22)年

2040(H52)年

1975(S50)

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18

30代の出産増など、近年、合計特殊出生率は上昇しています。しかし、合計特殊出生率の高まりが将来の子

どもの数の増加に直接つながるわけではありません。大阪府の推計(「大阪府の将来推計人口の点検について」

(H21.3))では、団塊ジュニア世代が出産期を迎えた後、出産年齢に達する女性(15 歳~49 歳)の数が今後

30年で 78万人減少すると予測されています。そのため、合計特殊出生率が上昇しても、母親になる可能性の

ある人の数が減少していくため、生まれてくる子どもの人数も減少すると予想されています。また、晩婚化や

生涯未婚率の高まりも一層少子化を招く要因となっています。

「社会保障国民会議 最終報告」(H20.11.4)参考資料によると、既婚者および結

婚希望のある未婚者の“希望子ども数”が一定程度実現したと仮定した場合(つま

り子どもを産みたい人が産める状況になった場合)、2040(H52)年の国の合計特殊

出生率は 1.75 まで上昇すると見込まれていますが、それでも人口を維持するのに

必要な水準(2.07)には及ばず、年少人口の減少は進むと考えられています。

※人口を維持するのに必要とされる水準(人口置換水準)国立社会保障・人口問題研究所の 2009年にお

ける値(2.07)を使用

「子どもを産み育てなければならない」という価値観をすべての女性にあてはめ

ることが誰もが暮らしやすい社会とは言えません。重要なのは、「結婚か仕事か」「仕

事か子育てか」という選択に迫られることなく、豊かなワークライフバランス*のも

と、女性自身が自らの意思で人生設計を描けるような環境を作ることです。

そのためには、性別や世代を問わず、すべての人々の意識やライフスタイル*を今

一度見つめなおすことが必要です。

[年少(15歳未満)人口]

年少人口をみると 2010(H22)年の 117万人が 2040(H52)年には 67万人と、30年間で 50万

人減少し、全人口に占める割合は 13.3%から 9.3%まで低下する(p11参照)と見込まれます。

合計特殊出生率*は、近年わずかではありますが、上昇の傾向にあります。しかし、今後も人口を維

持するのに必要とされる水準(人口置換水準*:2.07)を下回って推移すると見込まれています。(☜

コラム参照)

未婚化・晩婚化や、若者を取り巻く厳しい経済状況、核家族の増加等による子育てへの不安などが背

景にあると考えられ、結婚できる環境づくりや安心して子どもを産み育てられる環境づくりが求められ

ています。

153

182

212 207

185

150

132 125 121 117 104

91 81

75 72 67

0

50

100

150

200

250

1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040

S40 45 50 55 60 H2 7 12 17 22 27 32 37 42 47 52

人口

(万人)

年少(15歳未満)の人口推移と将来推計 (1965(S40)~2040(H52))

これまで これから

2010(H22)より

50万人 減少

高度成長期*

急増

出生数

減少

団塊ジュニア* 誕生!

ポイント 今後 30年間で、年少人口(15歳未満)は 50万人の減少

出典:2010(H22)年以前のデータは総務省「国勢調査」(年齢不詳を除く)。

将来推計については、大阪府「大阪府の将来推計人口の点検について」(H21.3)における大阪府の人口推計(ケース2)を基に、府試算。

コラム ~合計特殊出生率が高くなっても、人口は増えない?!~

大阪府子育て応援キャラクター

すこやん

大阪府の年少人口(15歳未満)の推移と将来推計(1965(S40)~2040(H52))

Page 21: 人口減少社会白書...2012(H24)年3月 大阪府 大阪府 人口減少社会白書 ~大阪の人口動態の変化における社会的対応~ 1 はじめに 2012(H24)年1

19

(5)世帯数と世帯構成の変化 大阪府では、核家族化や単身世帯の増加によって一世帯当たりの人員が減少する中で、世帯数は増加

を続け、2010(H22)年の一般世帯数は約382万世帯、1世帯当たりの人員は2.3人となっています。

今後、総人口の減少により、世帯数も減少に転じ、人口ほど急激には減少しないものの 2035(H47)

年には 347万世帯になることが予測されます。

一方、高齢者の増加に伴い世帯主が 65歳以上の高齢世帯は増加が見込まれ、2010(H22)年の 118

万世帯から、2035(H47)年には約 150万世帯にまで増加すると見込まれます。

また、2010(H22)年では、一般世帯のうち 36%が単独世帯(うち約 3割が高齢者)となっていま

すが、高齢化に伴う配偶者との死別や未婚者の増加などにより、単独世帯の更なる増加が見込まれます。

その結果、2035(H47)年には、単独世帯が一般世帯の 4割以上を占めるまで増加し、高齢単独世帯

は一般世帯の 5世帯にほぼ 1世帯の割合にまで増加すると見込まれます。

出典:2010(H22)年までは総務省「国勢調査」。将来推計については、大阪府住宅まちづくり部推計。

世帯数は減少、高齢単独世帯は増加 ポイント

(注)高齢世帯数のデータは 1980年(S55)以降とする。

世帯 一般世帯

施設等の世帯

単独世帯 高齢単独世帯

非単独世帯 非高齢単独世帯

一般世帯 高齢世帯

非高齢世帯

*世帯の分類

246

268275

288304

327

345359

382375 375 369

360347

2839

45

6575

90

103115

137 135142

147 149143

3 4 7 10 13 1826

3443

53 59 61 64 66

28 3342

56

75

96

118

142148

146 146150

0

50

100

150

200

250

300

350

400

1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035

S45 50 55 60 H2 7 12 17 22 27 32 37 42 47

世帯数

(万世帯)

一般世帯数 単独世帯数 高齢単独世帯数 高齢世帯数

これまで これから

高齢単独世帯は

一般世帯の

11%

高齢単独世帯は

一般世帯の

19%

単独世帯は

一般世帯の

36%

単独世帯は

一般世帯の

41% 高齢世帯は

一般世帯の

31%

高齢世帯は

一般世帯の

43%

一世帯当たりの

人員は減少 世帯数は増加

大阪府の世帯数・世帯構成の推移と将来推計(1970(S45)~2035(H47))

1977(S52)

Page 22: 人口減少社会白書...2012(H24)年3月 大阪府 大阪府 人口減少社会白書 ~大阪の人口動態の変化における社会的対応~ 1 はじめに 2012(H24)年1

20

1,087

1,1411,167 1,162

1,183 1,186 1,1771,206

1,258

1,316 1,306 1,310 1,305 1,2911,270

480

539

592622

646669

687704

725 741 739 736 728 715 699666

762

828847

867 873 880 881 882 887 871853

828798

763

1,291

737

881

400

500

600

700

800

900

1,000

1,100

1,200

1,300

1,400

1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035

S40 45 50 55 60 H2 7 12 17 22 27 32 37 42 47

人口

(万人)

大都市の人口推移と将来推計 (大阪府・東京都・愛知県)(1965(S40)~2035(H47))これまで これから

2 他地域との比較

(1)東京都・愛知県との比較 大阪府は、東京都・愛知県と比較して最も早く人口減少社会に突入すると予測されています。

国立社会保障・人口問題研究所の「日本の都道府県別将来推計人口」(H19.5)(以下「社人研推計」

という。)によると、愛知県は 2015(H27)年ごろ、東京都は 2020(H32)年ごろにそれぞれ人口総数

のピークを迎えるとの予測に対し、大阪府は 2005(H17)年ごろをピークに減少すると見込まれてい

ました。大阪府が独自に行った推計(「大阪府の将来推計人口の点検について」(H21.3)。以下「大阪

府推計」という。)でも、2005(H17)年を人口のピークと想定していました。

2035(H47)年までの人口構成の変化をみると、都市部に共通して生産年齢人口*割合の減少が急速

に進みますが、大阪府は最も顕著であり、急激な人口減少、人口構成の変化への対応が求められます。

大阪府は、3大都市の中で最初に人口減少社会を迎える都市として、その対応が日本およびアジアの

モデルとなる可能性があります。

4.3

20.4

30.7

5.3

20.3

29.7

4.6

22.4

35.0

20.4

11.4 8.0

24.0

14.5

10.4

22.9

13.3

9.4

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

40.0

1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035

S40 45 50 55 60 H2 7 12 17 22 27 32 37 42 47

(%)年少・高齢者人口割合の推移と将来推計(1965(S40)~2035(H47))

これまで これから

高齢者

年少

75.3

68.2

61.4

70.765.2

59.9

72.5

64.4

55.6

50.0

55.0

60.0

65.0

70.0

75.0

80.0

1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035

S40 45 50 55 60 H2 7 12 17 22 27 32 37 42 47

(%)生産年齢人口割合の推移と将来推計(1965(S40)~2035(H47))

これまで これから

ポイント 3大都市の中で最も早く人口減少時代に突入する大阪府

出典:2010(H22)年までは総務省「国勢調査」。2010(H22)年以降の将来推計については、大阪府については、「大阪府の将来推計人口の点検について」(H21.3)

における大阪府の人口推計(ケース 2)。その他の府県については、国立社会保障・人口問題研究所「日本の都道府県別将来推計人口(平成 19年 5月

推計)」。

社人研推計

国勢調査結果

大阪府推計

国勢調査結果

社人研推計

国勢調査結果

大阪府

愛知県

東京都

Page 23: 人口減少社会白書...2012(H24)年3月 大阪府 大阪府 人口減少社会白書 ~大阪の人口動態の変化における社会的対応~ 1 はじめに 2012(H24)年1

21

666

887

763

881

300

400

500

600

700

800

900

1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035

S40 45 50 55 60 H2 7 12 17 22 27 32 37 42 47

人口

(万人)

0

50

100

150

200

250

300

1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035

S40 45 50 55 60 H2 7 12 17 22 27 32 37 42 47

大阪府は、周辺の他府県からの通勤・通学者などが多いことから、関西全体として人口減少社会の

影響や課題を共有し、取り組んでいくことが重要です。

国勢調査および社人研推計、大阪府推計によると、府県により人口変動に差が見られます。

奈良県・和歌山県は、既に生産年齢人口*・年少人口の減少が著しく、関西の中でも人口減少が顕著

です。滋賀県の人口増減の時期は、大阪府の動きを追いかける形で進行し、1970 年代ごろから人口

増加が続いており、2015(H27)年ごろまでは微増を続け、以降減少期に入ると見込まれています。

大学や企業などの立地により、生産年齢人口が集まっていることが要因のひとつと考えられます。

出典:2010(H22)年までは総務省「国勢調査」。2010(H22)年以降の将来推計については、大阪府については、「大阪

府の将来推計人口の点検について」(H21.3)における大阪府の人口推計(ケース 2)。その他の府県については、

国立社会保障・人口問題研究所「日本の都道府県別将来推計人口(平成 19年 5月推計)」。

(2)大阪府の周辺府県との比較

大阪府推計

国勢調査結果

大阪府

兵庫県

京都府

滋賀県

奈良県

和歌山県

徳島県

鳥取県

社人研推計

ポイント 大阪府の周辺の府県でも人口変動に差

大阪府の周辺府県の人口推移と将来推計(1965(S40)~2035(H47)) これまで これから

※ここでは、大阪府の周辺府県として、関西広域連合の構成団体(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、鳥取県、徳島県)と奈良県を対象に分析。

96.2 100.8

105.5

95.188.7

97.8

100.2 99.7

80.0

90.0

100.0

110.0

滋賀県

京都府

大阪府

兵庫県

奈良県

和歌山県

鳥取県

徳島県

(%)大阪府の周辺府県の夜間人口比率 2005(H17)

昼間の人口が多い

1978(S53)

Page 24: 人口減少社会白書...2012(H24)年3月 大阪府 大阪府 人口減少社会白書 ~大阪の人口動態の変化における社会的対応~ 1 はじめに 2012(H24)年1

22

1,087

1,316

1,270

1,291

200

300

400

500

600

700

800

900

1,000

1,100

1,200

1,300

1,400

1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035

S40 45 50 55 60 H2 7 12 17 22 27 32 37 42 47

人口

(万人

東京周辺県の人口推移と将来推計 (1965(S40)~2035(H47))

(3)東京都の周辺県との比較

国勢調査および社人研推計、大阪府推計によると、大阪府は、埼玉県・千葉県などの東京都周辺県

と同様の人口の動きが見られます。

2020(H32)年ごろから人口減少期を迎える東京都に先行して、埼玉県・千葉県は 2010(H22)

年ごろから、神奈川県は 2015(H27)年ごろから人口減少期に突入すると見込まれています。

特に人口減少率が大きいのは、千葉県・埼玉県で、東京のベッドタウンとして造成された大規模住

宅地の高齢化、都心回帰による東京への人口流出などが要因のひとつと考えられます。

大阪府

埼玉県

千葉県

東京都

4.3

20.4

30.7

5.2

20.4

33.8

6.4

21.5

34.2

4.6

22.4

35.0

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

40.0

1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035

S40 45 50 55 60 H2 7 12 17 22 27 32 37 42 47

(%)高齢者人口割合の推移と将来推計(1965(S40)~2035(H47))

これまで これから

国勢調査結果

社人研推計

大阪府推計

出典:2010(H22)年までは総務省「国勢調査」。2010(H22)年以降の将来推計については、大阪府については、「大阪府の将来推計人口

の点検について」(H21.3)における大阪府の人口推計(ケース 2)。その他の府県については、国立社会保障・人口問題研究所

「日本の都道府県別将来推計人口(平成 19年 5月推計)」。

大阪府

埼玉県

神奈川県

千葉県

東京都

ポイント 東京の周辺県は大阪府と同様の人口変動

これまで これから

Page 25: 人口減少社会白書...2012(H24)年3月 大阪府 大阪府 人口減少社会白書 ~大阪の人口動態の変化における社会的対応~ 1 はじめに 2012(H24)年1

23

666

762

828847

867 873 880 881 882 887

871853

828

798

763

881

600

700

800

900

1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035

S40 45 50 55 60 H2 7 12 17 22 27 32 37 42 47

人口

(万人)

人口推移と将来推計 (大阪府・島根県)(1965(S40)~2035(H47))

これまで これから

2,696

4,347

3,961

1,578

2,090

1,763

4,287

2,071

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035

S40 45 50 55 60 H2 7 12 17 22 27 32 37 42 47

人口

(万人)

地方別人口推移と将来推計 (1965(S40)~2035(H47))

これまで これから

島根県は、高度成長期*に大阪府などの都市部に人

口流出が続き、1960年代から既に人口減少に直面

しています。社人研推計によると、今後も人口減少

が予測され、高齢化率も高まります。今後、人口減

少社会を迎える大阪府は、島根県がたどってきた道

のりを更に上回る速さや規模で人口減少・高齢化が

推移すると予測され、それに伴う急激な社会変化も

見込まれます。

都市部ならではの課題や影響を分析し、備えるこ

とが重要です。

社人研推計によると、30年後(2035(H47)年)

は、すべての圏域で人口減少が予測されています。

特に、関西圏は、関東圏や中部圏に比べ人口減少率

が大きく、激変への備えが求められます。

一方、中国圏・四国圏などは既に人口減少時代を

迎えており、今後、緩やかに変化していくと見込ま

れます。

また、関東圏や九州・沖縄圏のうち沖縄地域など

は、今後急速に高齢者人口の増加を迎えることが予

測されています。

出典:2010(H22)年までは総務省「国勢調査」。2010(H22)年以降の将来推計については、大阪府については、「大阪府の将来推計人口の点

検について」(H21.3)における大阪府の人口推計(ケース 2)。その他の府県については、国立社会保障・人口問題研究所「日本の

都道府県別将来推計人口(平成 19年 5月推計)」

全国的に人口は減少 大阪府の人口減少・高齢化は、これまでの地方の人口減少を上回る速さと規模

社人研推計

国勢調査結果

社人研推計

国勢調査結果

(注)関西圏:滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県

ポイント ポイント

関東

関西

中部

九州

沖縄

東北

中国

北海

四国

北陸

(4)関西圏と他圏域との比較 (5)地方部との比較(島根県)

大阪府

大阪府推計

国勢調査結果

82

77 7778 79 78 77 76

74

7269

6662

59

5550

60

70

80

90

1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035

S40 45 50 55 60 H2 7 12 17 22 27 32 37 42 47

島根県

社人研推計

9.711.2 12.5 13.7

15.318.2

21.724.8

27.129.1

4.6 5.2 6.1 7.2 8.3 9.7 11.9

15.0

18.7

22.4

6.3 7.17.9 9.1

10.312.1

14.617.4

20.223.0

0.00

5.00

10.00

15.00

20.00

25.00

30.00

35.00

1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010

S40 45 50 55 60 H2 7 12 17 22

高齢化率の推移 (大阪府・島根県・全国)(1965(S40)~2010(H22))

島根県 大阪府 全国

8 9 10 11 12 14 17 19 202130 39

50 61 7284

105132

163

196

0

50

100

150

200

250

1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010

S40 45 50 55 60 H2 7 12 17 22

人口

(万人)

高齢者人口の推移 (大阪府・島根県)(1965(S40)~2010(H22))

島根県 大阪府

圏域別人口推移と将来推計(1965(S40)~2035(H47))

1980(S55)

Page 26: 人口減少社会白書...2012(H24)年3月 大阪府 大阪府 人口減少社会白書 ~大阪の人口動態の変化における社会的対応~ 1 はじめに 2012(H24)年1

24

我が国は既に人口減少社会に突入したと言われています。そして、国によって差はありますが、近い将

来にはアジアの国々も人口減少社会に突入すると見込まれています。ここでは、韓国、中国、シンガポー

ル、インドを例に挙げて、アジアの国々の人口の変遷とその特徴についてみていきます。

韓国の人口は 2029年にピークの 5,034万人(2010年比で 215万人、4.5%増)となると見込まれていま

す。韓国の人口構成で特徴的なのは急速な高齢化です。我が国は、高齢化率が 7%である「高齢化社会」

から高齢化率が 14%となる「高齢社会」に突入するまでは 24年を要しましたが、韓国では、1999年に「高

齢化社会」に突入した後、わずか 18年後の 2017年に「高齢社会」に突入すると予測されています。

韓国社会は儒教的意識の影響から、高齢者の生活の支援は家族に頼ってきたと言われています。しかし、

近年は女性の社会進出や核家族化の影響から、介護の社会化の機運が高まっており、2008年 7月に、日本

の介護保険制度にあたる「老人長期療養保険制度」が導入されました。

一方で、韓国では 2005年には合計特殊出生率*が 1.08まで落ち込むなど、晩婚化や離婚率の高まりを受

けて少子化も進行しています。このような状況の下、少子化問題に対する取組もなされており、中央政府

による政策プログラムのほかにも、地方自治体が独自に、多子家庭に協力的な地域社会づくり、出産奨励、

保育・養育費支援などを行っています。

中国の人口のピークは、2026 年の 13 億 9,557

万人(2010年比で 5,454万人、4.0%増)となり、

韓国より早く人口減少社会に突入するものと見

込まれています。現在の高齢者人口は 1億人を超

えたばかりで、高齢化率も 8%程度ですが、2025

年に「高齢社会」に突入し、2028年には高齢者人

口が年少人口を上回る 2億 1,380人に達するもの

と見込まれています。

中国が高齢化社会に突入するにあたって、「未

富先老」が課題となっています。「未富先老」と

は、「豊かになる前に老いる」という意味で、経

済が成熟する前に高齢化社会に突入してしまう

中国の課題を示しています。中国は一人っ子政策

の影響もあり、2010 年代半ばには生産年齢人口*

がピークとなることが見込まれており、他の新興

国に比べていち早く人口ボーナス*期が終わり、成

熟社会に突入、急速な高齢化が進むことになりま

す。

しかし、中国では一人っ子政策の影響で高齢者に対する家族介護が期待できない一方、社会保障制度は

都市の一部にしか行き渡っておらず、高齢者の多い地方部の農業従事者を支えるには十分ではないとの指

摘があり、今後の中国社会の大きな課題であると言えます。

コラム ~アジアの国々における高齢化社会~

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

1975 1985 1995 2005 2015 2025 2035 2045

韓国

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

160,000

1975 1985 1995 2005 2015 2025 2035 2045

中国

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

1975 1985 1995 2005 2015 2025 2035 2045

(万人 )日本

総人口 うち年少人口

うち生産年齢人口 うち高齢者人口

(年)

Page 27: 人口減少社会白書...2012(H24)年3月 大阪府 大阪府 人口減少社会白書 ~大阪の人口動態の変化における社会的対応~ 1 はじめに 2012(H24)年1

25

シンガポールの人口は 2041 年にピークを迎え、615 万人(2010 年比で 106 万人、20.9%増)となると

見込まれています。

シンガポールの合計特殊出生率*は 1.22(2009年)であり、我が国と同様に低出生率に直面しています。

1980年代半ば以降、シンガポール政府は結婚奨励や子育て支援策を打ち出していますが、未婚率の増加や

晩婚化の進行、出産年齢の上昇に歯止めがかかっているとは言えない状況にあり、引き続き今後の課題で

あると言えるでしょう。

インドの人口は 10 年後の 2021 年に 14 億人に達し、中国を抜いて世界トップになると予測されていま

す。半世紀後の 2062年には、ピークとなる 17億 1,871万人(2010年比で 4億 9,409万人、40.3%増)ま

で増加するものと見込まれており、今後も人口ボーナス*が継続する模様です。

今日のインドにおける高齢化の特徴としては、農村部への集中、女性比の高さ、80歳以上の高齢者の急

増、低所得者の多さ等が指摘されています。インドでは皆年金も皆保険も実現していないため、高齢者へ

の社会保障システムに対する国の関与は限定的であり、州によって社会保障サービスに差異が生じていま

す。慈善団体等や民間企業による取組も存在しますが、網羅的ではなく、家族によるサポートの比重が大

きいと指摘されており、安定した社会保障制度の構築は今後の課題となっています。

このように、インドを除き、アジア諸国も日本の後を追うように、人口減少・超高齢社会を迎えること

となります。日本、そして大阪における人口減少社会への対応が、今後のアジア諸国のモデルケースとな

るとも言われています。

〔参考文献〕

「韓国における高齢化の進展と介護保険制度の導入」(ニッセイ基礎研生活研究部門 金明中、2009年)

「佛教大学社会福祉学部論集 韓国における低出産対策とその課題」(朴光駿、2010年 3月)

「平成 23年度版子ども・子育て白書」(内閣府、2011年)

「人口ボーナス論からみた中国経済の現状と展望 ~人口構造変化からみた改革開放政策の課題~」(日本総合研究所 大泉啓一

郎、2006年)

「近年にみる東アジアの少子高齢化」(若林敬子、2006年)

「インドの高齢者と生活保障システム」(太田仁志、2009年)

〔人口推計〕

韓国、中国、シンガポール、インドのデータについては、国連 World Population Prospects The 2010 Revision

日本の人口については、「日本の将来推計人口(平成 24年 1月推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)

0

100

200

300

400

500

600

700

1975 1985 1995 2005 2015 2025 2035 2045

シンガポール

0

50,000

100,000

150,000

200,000

1975 1985 1995 2005 2015 2025 2035 2045

インド

1982(S57)

Page 28: 人口減少社会白書...2012(H24)年3月 大阪府 大阪府 人口減少社会白書 ~大阪の人口動態の変化における社会的対応~ 1 はじめに 2012(H24)年1

26

人口減少社会の影響と課題

1 基本的な考え方

「大阪における人口減少の潮流」で示したように、我が国の人口構造は、数の面でも構成の面でも将来

にわたって大きく変化することが予測されます。特に、大阪にあっては、都市部で最も早く人口減少を迎

えるとともに、高齢者人口が今後 30年間で、約40%増と全国を大きく上回るスピードで高齢化が進む

見込みです。

人口減少社会においては、高齢化による生活不安の増大、生産年齢人口*の減少による経済成長ヘの悪

影響、人口減少・世帯数の減少による空き家・空き地の増加など、府民の生活や経済、都市構造などにお

いて、様々な「負の影響」が指摘されています。これらの変化に対して、何も対策を講じず、人口増加期

の制度や仕組み、そして一人ひとりの考え方やライフスタイル*を改めなければ、行政サービスの低下や

地域コミュニティ*の弱体化による地域力の低下、医療や介護、生活保護等の社会保障の需要増大、そし

てそれに伴う負担の増加など、現在から将来にかけて厳しい未来が到来するおそれがあります。

しかし、景気や災害などと異なり、人口の変化は長期にわたって一定の傾向を予測することが可能であ

り、それに向けた対策を講じることが可能です。

【人口減少社会に向けた対応】

●人口減少社会の到来にむけて、すでに制度疲労を起こしている高度成長期*等につくられた制度や仕組

み、そして考え方やライフスタイルを改革する。 ⇒「変革のチャンス」

●将来顕在化、あるいは、今後ますます深刻となることが見込まれる課題に対して、しっかりと備える。

⇒「将来への備え」

●プラス面を見出し、新たな価値の創造につなげることによって持続的発展の実現を目指していく。

⇒「持続的発展」

人口減少社会の到来は未曽有の変化をもたらし、今後数十年単位で続くものです。しかし、府民一人ひ

とりが人口減少期に即したライフスタイルや考え方へと転換し、「変革のチャンス」「将来への備え」「持

続的発展」の3つの観点からしっかり対策を講じることによって、この変化をマイナスにとどめることな

く、プラスにしていくことが重要です。

(1)変革のチャンス

人口増加、人口ボーナス*を前提としたこれまでの様々な制度や仕組みが、人口減少、人口オーナス*の

時代に合わなくなってきており、見直しの必要が生じています。もはやこれまでの制度や考え方に甘んじ

ていてはなりません。今という機会を逃さず、あるべき姿を求め、これまでの制度・仕組み・考え方を大

胆に転換することが必要です。

例えば、今後の人口構造の変化を踏まえ、人口ボーナス期につくられた高齢期の社会保障制度を、人口

オーナス期でも持続可能なものに変え、年をとっても安心して暮らせる社会をつくる。人口減少を踏まえ、

都市の拡大を前提とした仕組みから、今ある都市ストック(資本・資源)を長く効果的に使う仕組みに変

える。さらに、生産年齢人口の減少を踏まえ、出産・子育て中や子育てを終えた女性が活躍できるととも

に、少子化をできるだけくい止める社会へ転換する、ことなどが考えられます。

人口減少社会の到来は、こうした制度疲労を起こしている従来の制度や仕組み・考え方を、成熟社会に

ふさわしいものへと大きく変革しなければならない契機であり、それができるチャンスでもあるのです。

Page 29: 人口減少社会白書...2012(H24)年3月 大阪府 大阪府 人口減少社会白書 ~大阪の人口動態の変化における社会的対応~ 1 はじめに 2012(H24)年1

27

(2)将来への備え

今後、団塊の世代*、団塊ジュニア世代*が年を重ねるにつれて、大阪をはじめとする大都市では高齢者

が急激に増加すると予測されます。一方、これまでの少子化の影響もあり、生産年齢人口*は大きく減少

すると見込まれます。

こうした変化が急激に起こると、大阪の社会がその変化に十分に対応できず、私たちの暮らしや経済に

大きな支障をきたすおそれがあります。例えば、介護については、要介護度*の高い高齢者の増加に対す

る社会的な備えとともに、できるだけ要介護状態に陥らないよう早いうちから、一人ひとりが健康づくり

に取り組むことが大切です。また、高齢単独世帯の急増に対しては、地域社会が増加する高齢単独世帯を

サポートできるよう、今のうちから地域コミュニティ*を再生していくことが求められます。

こうした将来の急激な変化などに大阪の社会がしっかりと対応できるよう、人口減少社会の到来に向け

て、今から準備していくことが重要です。

(3)持続的発展

人口減少社会においても、大阪が成長エンジンとして日本経済をリードし、府民一人ひとりが豊かに暮

らすためには、大阪経済の持続的な成長が必要です。

高齢者の増加による高齢者市場の拡大、ニーズの多様化などは新しい市場につながります。また、人口

減少によって生まれる余剰な空間やストックは、新たなサービスや産業の資源となる可能性があります。

一方、豊かさには、経済的な豊かさに加えて、精神的な豊かさ、質的充足も重要です。東日本大震災の

あと、住民同士の「絆」が再び認識され、お互いを支えあおうとする動きも活発化する中で、ソーシャル

キャピタル*は重要な要素であり、人口減少社会において幸せに暮らせる成熟社会の基盤ともなりえます。

このように、人口減少・高齢化のプラス面を活かしながら、大阪の持続的な発展を目指すことが重要で

す。

2 分野別の影響と課題

この項では、「生活」「経済」「都市」の3つの側面に分けて、分野ごとにマイナス・プラスの両面か

ら影響・課題を分析し、人口減少社会に向けて大阪が取り組むべき方向性について、「変革のチャンス」

「将来への備え」「持続的発展」の3つの観点から提示していきます。

生 活 経 済 都 市

①暮らし

②健康・医療

③福祉

④結婚・子育て

⑤教育

⑥コミュニティ

⑦防犯・防災

①市場

②雇用・人材

③企業

①都市・インフラ

②住宅・まちづくり

③環境・エネルギー

1983(S58)