勉強会コミュニティでのコラボレーション事例 ~同じテーマを異なる視点で捉えることの意味~ 20150308@DIGRA2014
第62回経済政策勉強会 テーマ:データエコノミー...
Transcript of 第62回経済政策勉強会 テーマ:データエコノミー...
第62回経済政策勉強会テーマ:データエコノミーの本質
課題図書:データ資本主義(野口悠紀雄著)
TSEP運営メンバー 新沼進
1
データ資本主義ー21世紀のゴールドラッシュの勝者は誰か野口 悠紀雄著
第1章 ビッグデータは日常と「天文学的に」違う
第2章 ビッグデータによるパタン認識
第3章 ビッグデータによるプロファイリング
第4章 理論駆動科学からデータ駆動科学へ
第5章 データサイエンスの役割
第6章 データ資本主義とプラットフォーム企業
第7章 プラットフォーム企業の対抗力にどう対抗するか
第8章 ビッグデータの将来
第9章 監視社会への道
課題図書紹介
2
GAFA概要
◆Google 検索エンジン スマートフォンOS インターネット広告
◆Apple スマートフォンなどのハードだけではなくOS、ソフト配信など
◆Facebook SNS 将来はデジタル通貨にも進出
◆Amazon ネットショップ・コンテンツ配信、直近では実店舗にも進出
GAFAを筆頭としたプラットフォーマーへの最近の規制や問題
支配力に対する規制 独占禁止法/競争法
データプライバシー規制
デジタル課税
GAFAの概要
3
サービス利用頻度 アンケート
4
Google Apple Facebook Amazon
Yahoo LINE 楽天
利用頻度が多いサービスに〇を優劣つけられない場合は双方に△を書いてください
日経平均株価推移
5
1. エクソンモービル2. ウォルマート・ストアーズ3. GE4. NTT5. アルトリアグループ6. AT&T7. コカ・コーラ8. パリパ銀行9. 三菱銀行10.メルク13.トヨタ自動車(441億ドル)
世界時価総額ランキング推移
1. マイクロソフト2. アップル3. アマゾン4. アルファベット(Google)5. パークシャー・ハサウェイ6. フェイスブック7. アリババホールディングス8. テンセントホールディングス9. JPモルガン・チェース10.ジョンソン&ジョンソン42.トヨタ自動車(1,904億ドル)
1992年12月末 2019年9月末
トヨタの時価総額は4.3倍に伸長しているが、順位は大幅に下落 イエローの企業は1992年当時は存在していない
6
ビッグデータ AI(人工知能)新たな
経済価値
データエコノミー概要
スマートフォン普及
✓ SNS✓ 写真✓ Gmail✓ EC(購買データ)✓ 位置情報
個々のデータにはさほど価値はない
ニューラルネットワークによるディープラーニングでパタン認識が容易になる
✓ 顔認証✓ 音声認識✓ 自動運転
AIの思考過程を人間が理解できない
✓ ターゲティング広告✓ レコメンド✓ テレマティクス保険
✓ プロファイリング✓ 信用度スコアリング✓ 監視社会
リクナビ問題は・・・
7
⚫個々のデータに価値はない
⚫活用しても減らないストック型の資産である
⚫構造化できない、非構造化データが増加している
ビッグデータそのものの特徴
8
従来の情報産業とGAFAの相違
情報機器関連企業
帳簿などの情報を扱う企業
経済的価値ある情報を提供する
企業
情報送受信のインフラ企業
製造業(※IBM)
銀行など金融会社
投資顧問メディア産業
通信会社
• 単なる情報伝達ではない
• 情報から経済的価値を引き出している
• 大量のデータ収集により
経済的価値創出(個々の情報に価値はない)
従来の情報産業 プラットフォーマー(GAFA)
9
理論駆動型からデータ駆動型への転換
(仮説)ミネラルウォーターの注文増加
→(仮説条件)明日は暑い
→(仮説検証)今日の気温が例年より高い
(データ)気温と気圧が例年より高い
→(結論)明日は暑く、雨である
→(行動)ミネラルウォーターと傘の注文を増やす
何をしたいか考えてから、必要なデータを収集する
モデル(理論)なきデータはクズである
データを集め、そこを判断の出発点にする
新たなデータが得られるたびに新たな推論が開始するため変化への対応が容易
理論(仮説)駆動型 データ駆動型
10
⚫ ニューラルネットワークによるディープラーニングの採用によりパタン認識が急速に進歩
⚫ パタン認識によって自動運転、顔認証、音声認識などが可能となる
– ニューラルネットワーク
• 人間の神経細胞(ニューロン)と似た働きをする仕組み
– ディープラーニング
• 潜在的な特徴から正確で効率的な判断を実現させる技術や手法
– パタン認識
• コンピュータが図形や自然言語を認識し理解すること
⚫ AI進歩による問題点
– 人間がAIの思考過程を理解できない
– 顔認識と本人データが結びつくことで監視社会が訪れるリスク
AIの進歩
11
プロファイリングとは
✓ コンピュータが個人の属性・性格・嗜好などを推測すること
✓ 個人の行動を予測できることにより、個人にカスタマイズした対応が可能となる
✓ その結果、経済活動などで匿名性のデメリットを排除できる
データエコノミーの問題点①プロファイリング
デジタル行動
“いいね”
• メール内容
• 購買履歴
• 閲覧履歴
推論
• 人種
• 政治志向
• 宗教
• 性的思考
• 健康状況
カスタマイズ
• 広告
• テレマティクス
保険
• 信用度
スコアリング
12
データエコノミーの問題点②支配力
データの
収集
AI強化
新たな
価値創出
研究開発
人材確保
データインフラの先行者利益ネットワーク効果
データ量の優位性機会学習の精度の向上
イノベーション創出による収益の拡大
高報酬で優秀人材募集可能多額な研究開発費も捻出
寡占による支配力強化
13
⚫ 厳格なEU
– 一般データ保護規制(GDPR)の施行
• 世界で最も厳しいプライバシー規制
• プロファイリングされない権利を認める
• 欧州経済領域で取得個人データの持ち出し禁止(莫大な制裁金)
⚫ プライバシーに寛容な中国
– ビッグデータの収集に社会的制約が無い
• インターネットも検閲されている
– 民間企業のAI開発に国家が積極的に関与
• ベンチャー企業が政府機関の協力を受けて顔データにアクセス可能
• 「新世代のAI開発計画」で2030年にAIで世界をリードする目標
– プライバシー意識が弱い国民性
• 顔認証技術にも寛大な国民性(プライバシーより便利を優先)
• 監視カメラの増設も“国に守られている”感覚
ビッグデータにおける世界の潮流
14
プラットフォーマにおける世界の特徴
アメリカ
• GAFAの母国
• GAFAは
欧・米・日で
大きな存在感
• 5G通信における米
中摩擦
中国
• 政府が積極関与
• 国民総数を背景に
BATHなどがGAFA
を猛追
• 国内ではGAFAの
存在感は小さい
• スマホ決済(キャッ
シュレス)が世界で
最も進んでいる
EU
• GAFAに対抗すべき
企業は無い
• GDPRで
世界に先駆け
規制を強化
15
⚫ 情報銀行
– 個人に代わり妥当性を判断の上、データを第三者(他の事業者)に提供する事業
⚫ データ取引所(エブリセンスジャパン)
– 中立的な運営者として取引ルールを定めるほか決済サービスなどを提供する。データの売り手から手数料を受け取る。
日本の取り組み
16
⚫ GAFAを筆頭とするプラットフォーマーはオンラインでは強大な支配力があるが現状オフラインではオンラインほど影響力はない
⚫ 日本人は他国と比較して匿名性を望んでいる
⚫ GAFAと比較して中国企業(BATHなど)は国民数を背景として利用者数などを伸ばしている
最後に 個人的な主観
17