第6学年 算数科学習指導案Œ‡導案...第6学年 算数科学習指導案 1 単元 ¡...

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第6学年 算数科学習指導案 1 単元名 「紙飛行機大会を開いて、記録を比べよう(記録の整理)」 2 指導観 〇 本単元は、学習指導要領「Dデータの活用」の「目的に応じてデータを収集、分類整理し、結果を適切に 表現すること」を受けて設定されたものである。データの収集とその分析に関わる数学的活動を通して、代 表値の意味や求め方、度数分布表や柱状グラフの特徴と用い方を理解し、統計的に考察したり表現したりで きるようにすることをねらう。本単元の資料では、児童の生活に馴染みがあり親近感を感じることができる 紙飛行機を取り扱う。紙飛行機の飛行距離は、量的データの不確定さから、自分たちの納得のいく資料を作 る必要性が生まれる。また、飛行傾向を比較することで、目的に応じてデータを収集、分類整理し、結果を 適切に表現するという統計的探究プロセスを実感的に体験することができる。統計的な問題解決は、様々な 分野に用いられている。他教科の学習や児童の生活に関わる事柄でも統計的な問題解決は用いることができ るため、そのよさを感じて、進んで学習や生活に生かそうとする態度も養うことができる教材である。 〇 在籍校の児童は、これまでに棒・折れ線・円・帯グラフを学習してきており、視覚的に調べたことが分 かるというグラフのよさを捉えている。また、第4学年において目的に応じた項目を設定して表に表した り、第5学年において測定値としての平均を利用したりすることで、資料の傾向を読み取る経験をしてい る。これらの既習に関わるレディネステストの結果は次の通りである。 「記録の整理」に関わるレディネステストの結果(11月12日実施) ① 平均の意味や求め方が分かる・・・・・・・・・・・・ 81.3% ② データを基に、平均を求めることができる・・・・・・ 75.0% ③ データを棒グラフに表すことができる・・・・・・・・ 75.0% ④ データを円グラフに表すことができる・・・・・・・・ 56.3% 上記の通り、本単元に関わる既習内容の定着が不十分な児童がいることが分かる。③、④の誤答の傾 向から、それぞれのグラフが何について表しているのかを理解できていないことも分析できる。 レジリエンスに関わるアンケート調査では、実証授業Ⅰ「円の面積」(6月)と実証授業Ⅱ「拡大図 と縮図」(10 月)において、以下のような結果が見られた。 〈資質・能力〉 〈6月授業前〉〈授業後〉 〈10 月授業前〉〈授業後〉 ① 先に向かう意欲・態度 2.99 → 3.01(+0.02) 2.94 → 3.46(+0.52) ② 柔軟に対応する力 2.74 → 2.89(+0.15) 2.91 → 3.31(+0.40) ③ 自分を知る力 2.54 → 2.56(+0.02) 2.15 → 2.91(+0.76) 三つの資質・能力について、実証授業Ⅰ、Ⅱとも、単元後に上昇している。児童のレジリエンスを高 めていくためには、各単元における困難さに対して、児童が主体的に乗り越える経験を繰り返し行わせ ていくことが大切であると考える。そこで、本単元における児童の困難さを以下のように考える。 ・平均の意味や求め方が十分に身に付いていない(内容面)。 ・グラフから読み取った特徴や傾向を基に、問題の結論ついて判断することを苦手としている(内容面)。 ・自分なりの見通しをもった後も、自分の学びに自信がもてずに活動が停滞してしまったり、友達の 意見に流されたりしてしまう傾向がある(先に向かう意欲・態度)。 ・解決に躓いたときに、手掛かりや方法を多面的に考えることができない(柔軟に対応する力)。 ・解決に躓いたときに、なぜうまくいかなかったのか、どうすればうまくいくのかを考えることがで きない(自分を知る力)。 〇 本単元の指導においては、まず、導入段階では、統計的な問題解決の必要感をもたせることをねらう。 そのために、チーム対抗の紙飛行機大会を基に飛行距離を記録し、「散らばり」の観点に気付かせるため の「試す活動」を位置付ける。その際、平均だけでは勝敗を決めることができないことに気付くように、 様々な値の求め方について話し合う場を設定する。このことで、児童に散らばりのあるデータの比べ方を 明らかにしたいという問題意識をもたせていく。次に、展開段階では、度数分布や柱状グラフの特徴を理 解し、活用できるようにすることをねらう。そのために、紙飛行機の飛行距離を測定して、度数分布や柱 ※ 本指導案は、「福岡県教育センター長期派遣研修」における主題研究に基づき作成されています。 教育センターホームページの「長期派遣研修:平成 30 年度:各研修報告書」と併せて御覧ください。

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  • 第6学年 算数科学習指導案

    1 単元名 「紙飛行機大会を開いて、記録を比べよう(記録の整理)」

    2 指導観

    〇 本単元は、学習指導要領「Dデータの活用」の「目的に応じてデータを収集、分類整理し、結果を適切に

    表現すること」を受けて設定されたものである。データの収集とその分析に関わる数学的活動を通して、代

    表値の意味や求め方、度数分布表や柱状グラフの特徴と用い方を理解し、統計的に考察したり表現したりで

    きるようにすることをねらう。本単元の資料では、児童の生活に馴染みがあり親近感を感じることができる

    紙飛行機を取り扱う。紙飛行機の飛行距離は、量的データの不確定さから、自分たちの納得のいく資料を作

    る必要性が生まれる。また、飛行傾向を比較することで、目的に応じてデータを収集、分類整理し、結果を

    適切に表現するという統計的探究プロセスを実感的に体験することができる。統計的な問題解決は、様々な

    分野に用いられている。他教科の学習や児童の生活に関わる事柄でも統計的な問題解決は用いることができ

    るため、そのよさを感じて、進んで学習や生活に生かそうとする態度も養うことができる教材である。

    〇 在籍校の児童は、これまでに棒・折れ線・円・帯グラフを学習してきており、視覚的に調べたことが分

    かるというグラフのよさを捉えている。また、第4学年において目的に応じた項目を設定して表に表した

    り、第5学年において測定値としての平均を利用したりすることで、資料の傾向を読み取る経験をしてい

    る。これらの既習に関わるレディネステストの結果は次の通りである。

    「記録の整理」に関わるレディネステストの結果(11月12日実施)

    ① 平均の意味や求め方が分かる・・・・・・・・・・・・ 81.3%

    ② データを基に、平均を求めることができる・・・・・・ 75.0%

    ③ データを棒グラフに表すことができる・・・・・・・・ 75.0%

    ④ データを円グラフに表すことができる・・・・・・・・ 56.3%

    上記の通り、本単元に関わる既習内容の定着が不十分な児童がいることが分かる。③、④の誤答の傾

    向から、それぞれのグラフが何について表しているのかを理解できていないことも分析できる。

    レジリエンスに関わるアンケート調査では、実証授業Ⅰ「円の面積」(6月)と実証授業Ⅱ「拡大図

    と縮図」(10月)において、以下のような結果が見られた。

    〈資質・能力〉 〈6月授業前〉〈授業後〉 〈10月授業前〉〈授業後〉

    ① 先に向かう意欲・態度 2.99 → 3.01(+0.02) 2.94 → 3.46(+0.52)

    ② 柔軟に対応する力 2.74 → 2.89(+0.15) 2.91 → 3.31(+0.40)

    ③ 自分を知る力 2.54 → 2.56(+0.02) 2.15 → 2.91(+0.76)

    三つの資質・能力について、実証授業Ⅰ、Ⅱとも、単元後に上昇している。児童のレジリエンスを高

    めていくためには、各単元における困難さに対して、児童が主体的に乗り越える経験を繰り返し行わせ

    ていくことが大切であると考える。そこで、本単元における児童の困難さを以下のように考える。

    ・平均の意味や求め方が十分に身に付いていない(内容面)。

    ・グラフから読み取った特徴や傾向を基に、問題の結論ついて判断することを苦手としている(内容面)。

    ・自分なりの見通しをもった後も、自分の学びに自信がもてずに活動が停滞してしまったり、友達の

    意見に流されたりしてしまう傾向がある(先に向かう意欲・態度)。

    ・解決に躓いたときに、手掛かりや方法を多面的に考えることができない(柔軟に対応する力)。

    ・解決に躓いたときに、なぜうまくいかなかったのか、どうすればうまくいくのかを考えることがで

    きない(自分を知る力)。

    〇 本単元の指導においては、まず、導入段階では、統計的な問題解決の必要感をもたせることをねらう。

    そのために、チーム対抗の紙飛行機大会を基に飛行距離を記録し、「散らばり」の観点に気付かせるため

    の「試す活動」を位置付ける。その際、平均だけでは勝敗を決めることができないことに気付くように、

    様々な値の求め方について話し合う場を設定する。このことで、児童に散らばりのあるデータの比べ方を

    明らかにしたいという問題意識をもたせていく。次に、展開段階では、度数分布や柱状グラフの特徴を理

    解し、活用できるようにすることをねらう。そのために、紙飛行機の飛行距離を測定して、度数分布や柱

    ※ 本指導案は、「福岡県教育センター長期派遣研修」における主題研究に基づき作成されています。

    教育センターホームページの「長期派遣研修:平成 30年度:各研修報告書」と併せて御覧ください。

  • 状グラフに表し、自分や自分のチームの飛行距離の傾向について考える場を設定する。その際、区切りの

    範囲を変えた複数のグラフを作成させるようにする。このことで、区間設定によって見いだせる結論が異

    なることに気付くことができるようにしていく。最後に、終末段階では、目的に応じてデータを活用でき

    るようにすることをねらう。そのために、記録の多様な分析の仕方を考える時間と、実際に紙飛行機大会

    を行う時間を、「確かめる活動」として位置付ける。その際、分析に基づいた飛行傾向を基に、飛行距離

    を予想したり使う紙飛行機を選んだりして競わせるようにする。このことで、自分たちが出した統計的な

    結論が妥当なものであるか判断できるようにしていく。

    また、本単元の指導に当たっては、レジリエンスの観点から以下のことに留意する。

    ○ 本単元の内容に関わる平均の意味と求め方、いろいろなグラフの特徴や用い方などの既習の躓き

    を解消するために、レディネステストの結果を基に、休み時間等の課外において、補充プリント等

    を活用した個別指導を行う。

    ○ 自力解決の前に、ペアやグループでの交流活動の機会を設け、自分の解決に生かせる考えを選択

    させたり、考えを練り合う交流活動の前に、自分の考えをきちんともたせて話合いに参加させたり、

    自己選択・決定の機会を保障する。

    〇 問題解決への躓きから自分の学びに自信がもてなかったり意欲が減退したりしている児童に対

    して、ステップアップシート(情意と方略に重点を置いた自己評価表)に称賛や励ましのコメント

    を行い、よさや頑張りを自覚できるようにする。

    算数科の問題解決の過程に、以上のような活動や手立てを仕組み、児童自らが問題解決の過程を振り

    返りながらよりよく解決したり新たな問いを見出したりできるようにしていく。

    3 目 標 ※ 下線部は、主にレジリエンス育成に関わる部分

    〇 目的に応じてデータを集めて分類整理し、適切なグラフに表したり、代表値などを求めたり、統計的

    な問題解決について理解するとともに、自分の問題解決の過程と結果を結び付けながら、学びのよさや

    課題を捉えることができる。 【知識及び技能】

    〇 データのもつ特徴や傾向を把握し、問題に対して必要な考え方や学び方を選択・決定して自分なりの

    結論を出したり、その結論の妥当性について批判的に考察したりできるとともに、多様な考えのよさに

    着目しながらよりよい結論につくり変えることができる。 【思考力、判断力、表現力等】

    〇 統計的な問題解決のよさに気付き、データやその分析結果を生活や学習に活用しようとするととも

    に、難しそうだと感じた問題にも意欲をもって挑戦したり、自分が選んだ方法を基に粘り強く取り組も

    うとしたりすることができる。 【学びに向かう力、人間性等】 4 単元指導計画(7時間)

    段階 配時 ねらい 学習活動と内容 算数科に関する手立て(※)レジリエンスに関わる手立て(□)

    15

    記録の整理の学

    習に関わる既習の

    知識・技能の定着

    について捉えさせ

    る。

    ◇ レディネステストを基に、既習内容

    の定着を確かめる。

    〇 記録の整理の学習に関わる「平均」、

    「棒グラフ」、「円グラフ」の学習を振

    り返ること

    ※ レディネステストを行う趣

    旨と内容について説明する。

    □ 学習動機を高めるために、

    ステップアップシートのシー

    ト①で学び方についての自己

    評価をさせる。

    60

    代表値としての

    平均の意味を捉え

    るとともに、本単

    元の目的を捉え、

    学習への意欲をも

    つことができるよ

    うにする。

    1 クラスを2つのチームに分けて紙飛

    行機大会を行い、気付きを基に本単元

    の学習について話し合う。

    〇 紙飛行機大会の記録を、チーム毎に

    ドットプロットに表し、その比べ方に

    ついて考えること

    【紙飛行機大会のルール】

    ・発射台を使って飛ばし方を揃える。

    ・チーム全体の記録で競い合う。

    ・紙飛行機は作り変えない。

    ※ 本単元のねらいに応じて公

    正にデータ収集・分析が行え

    るように、紙飛行機大会のル

    ールを確認する場を設定す

    る。

    □ 本単元の学習に対する目的

    意識をもたせるために、体験

    を基にした気付きをシート②

    で振り返らせる。

    【試す活動】

  • 30

    度数分布表を読

    み取ったり、かい

    たりすることがで

    きるようにする。

    2 試す活動での紙飛行機大会の記録を

    度数分布表に整理し、記録の特徴を話

    し合う。

    ○ 度数分布表の表し方を捉え、記録の

    特徴について考えること

    ※ 既習を想起させ、落ちや重

    なりをなくすための正の字を

    書くやり方を捉えさせる。

    □ 学び方についての自分の成

    果と課題を捉えさせるため

    に、シート③を使って自己評

    価させる(次時以降継続)。

    45

    柱状グラフの意

    味と表し方を理解

    することができる

    ようにする。

    3 試す活動での紙飛行機大会の記録を

    柱状グラフに整理し、記録の特徴を話

    し合う。

    〇 柱状グラフの意味と表し方を捉え、

    記録の特徴を考えること

    ※ 柱状グラフの意味をしっか

    りと捉えることができるよう

    に、棒グラフと比較させながら

    柱状グラフの特徴を押さえる。

    45

    柱状グラフを基

    に、記録の特徴や

    について読み取る

    ことができるよう

    にする。

    4 前時の柱状グラフを基に、散らばり

    の様子や代表値を読み取り、記録の特

    徴について話し合う。

    ○ 自分やチームの記録について散らば

    りの様子や代表値を調べ、記録の特徴

    を捉えること

    ※ 散らばりの様子や代表値を基

    に分析することができるよう

    に、いろいろな柱状グラフを提

    示して考えさせる。

    □ これまでの学びを生かした紙

    飛行機大会を行うことを予告し、

    確かめる活動への意欲を高める。

    45分

    記録の散らばり

    の様子や代表値を

    用いて問題につい

    ての結論を判断す

    ることができるよ

    うにする。

    5 記録の傾向について話し合い、紙飛

    行機大会を行う。

    (1) 二つの異なるデータを基に、記録の

    特徴や傾向について話し合う。

    〇 記録の散らばりや代表値を根拠に、

    記録の特徴や傾向を考えること

    ※ 多様な分析の仕方を捉えさ

    せるために、特徴や傾向が異

    なる資料を基に考える場を設

    定する。

    □ シート②に蓄積してきた解

    決の手掛かりを基に、考え方

    や学び方を自己選択させる。

    45分 統計的な問題解

    決のよさを味わう

    ことができるよう

    にする。

    (2) 分析に基づいた飛行傾向を基に、飛行

    距離を予想したり使う紙飛行機を選ん

    だりして紙飛行機大会を行う。

    〇 自分たちが出した結論を活動に生か

    し、統計的な問題解決のよさを捉える

    ことができるようにすること

    ※ 統計的な問題解決のよさを

    実感できるように、紙飛行機

    大会の勝敗だけでなく、デー

    タ分析や活用のよさについて

    の振り返りを行う。

    45

    記録の整理の学

    習についての理解

    を確かにできるよ

    うにする。

    7 まとめの練習問題に取り組む。

    ○ 本単元で身に付けた知識・技能を

    生かして練習問題に取り組むこと

    ※ 知識・技能の定着の度合い

    に応じて、補充問題に取り組

    ませたり個別の支援を行った

    りする。

    □ 本単元の成果を自覚させる

    ために、シート①で学び方に

    ついての自己評価をさせ、導

    入時と比較させる。

    【確かめる活動】 1/2

    【確かめる活動】

    2/2

  • 5 本時 平成〇年〇月〇日(火) 〇校時 場所:6年〇組教室

    6 本時目標

    〇 データの特徴や傾向に着目し、散らばりの様子や代表値を根拠に問題の結論について考えることがで

    きる。 【思考力・判断力・表現力等】

    〇 本時の問題解決につながる既習内容や、友達の考えの中から必要な考え方や学び方を選択・決定して、

    自分なりの意見をまとめることができる。 【柔軟に対応する力】

    7 本時指導の立場

    本時は、2時間で設定した「確かめる活動」の第1時にあたる。次時の紙飛行機大会において、飛行距

    離だけでなく飛行傾向にも目を向けながら取り組むことができるように、データの多様な分析の仕方につ

    いて考えることができるようにするとともに、統計的な問題解決において自分なりに判断できるようにす

    ることをねらう。そこで、導入段階では、データを分析する際の観点を捉え、自分なりの予想【最初の考

    え】をもつことができるようにすることをねらう。そのために、データの異なる二つの紙飛行機の記録を

    提示し、「紙飛行機大会で使うとしたらどちらを選ぶか」という学習課題を提示し、どちらの方がよさそう

    か予想を出し合う全体交流を設定する。その際、最大値ではA機、平均値ではB機という学習課題を設定

    しておくことで、資料の数データだけでは判断しにくいことを捉えさせる。このことで、柱状グラフに表

    して散らばりの様子や代表値に着目して比較する必要性を捉えさせ、本時学習への見通しをもつことがで

    きるようにする。次に、展開段階では、データの特徴や傾向を基に、問題に対する自分なりの考え【中間

    の考え】をもつことができるようにすることをねらう。そのために、二つの紙飛行機の記録を柱状グラフ

    に表して、散らばりの様子や代表値を調べる自力解決の場を設定する。その際、これまでの学習ノートや

    掲示物による既習の情報を基に、調べる観点を自分で選択できるようにし、二つの紙飛行機の記録を対比

    させながら調べさせる。さらに、違いからどのような結果が予想できるか発問し、自分なりの結論を見い

    だすことができるようにしていく。最後に、終末段階では、データの多様な分析の仕方やそのよさについ

    て捉え、自分の考え【最終の考え】をまとめることができるようにすることをねらう。そのために、それ

    ぞれの考えを出し合い、データ分析の妥当性について検証する交流活動を設定する。まず、ペアやグルー

    プで、自分の考えを説明する機会をもち、根拠を明確にできるようにする。その後、全体交流で、A、B

    の紙飛行機の特徴をまとめていく。その際、いずれか一方に結論付けるのではなく、散らばりの様子や代

    表値を根拠に判断できている意見を基に、それぞれの紙飛行機の飛行傾向をまとめるようにする。このこ

    とで、データに基づいた分析の大切さに気付くことができるようにしていく。

    8 準 備

    ・紙飛行機A、Bの記録を整理した表の拡大 ・二つの紙飛行機の記録について調べる学習プリント

    9 展 開

    配時

    形態 主な学習活動と内容 教師の支援(○)評価基準(※)

    1 データの異なる二つの紙飛行機の記録を基に話し合い、本時の

    めあてを確かめる。

    (1) 提示された資料を基に二つの紙飛行機の比べ方を考え、どちら

    の紙飛行機の方がよさそうか予想【最初の考え】を出し合う。

    〇 資料から分かること(平均値、最大値)、分からないこと

    (散らばりの様子)を捉え、本時学習に見通しをもつこと

    問題

    紙飛行機大会で使うとしたら、A機とB機のどちらを選びますか。

    ・最大値では、A機9m、B機7mでA機の方がよい。

    ・平均値を求めると、A機5.5m、B機5.6mでB機の方がよい。

    〇 散らばりの様子や代表値

    に着目して比較する必要性

    を捉えさせるために、平均

    値と最大値のいずれか一方

    の値がもう一方を上回る資

    料を提示し、資料のデータ

    だけでは判断しにくいこと

    を捉えさせる。

    ※ 最大値、平均値を基に二

    つの紙飛行機を比べ、自分

    なりにどちらがよいか予想

    をもつことができる【最初

    の考え】。

    一斉

    個別

  • 12

    個別

    20

    →散らばりの様子はどうなっているだろうか。

    めあて

    散らばりの様子を根拠に、紙飛行機の特徴をまとめ、紙飛行機

    大会で使う紙飛行機を選ぼう。

    (2) ステップアップシートに、学びのめあてを立てる。

    〇 見通しを基に、自分の学び方のめあてを設定すること

    2 二つの紙飛行機の記録を柱状グラフに表して散らばりの様子や

    代表値を調べたり、それぞれの特徴や傾向を考えたりして、自分の

    考え【中間の考え】をまとめる。

    〇 散らばりの様子や代表値を用いて、記録の特徴を捉えること

    ・A機は山が二つで、よく飛ぶときと飛ばないときが半々だ。

    ・B機は範囲が狭くて、大きな記録がないかわりに、失敗も少ない。

    3 それぞれの考えを出し合ってデータ分析の妥当性について考

    え、自分の考え【最終の考え】をまとめる。

    〇 散らばりの様子や代表値を根拠に判断できている意見を基に、

    それぞれの飛行機の傾向を捉えること

    (1) 隣同士でペアとなり、互いの考えを説明し合う。

    (2) 全体で、それぞれの紙飛行機の特徴についてまとめる話合いを行う。

    (3) 話合いを基に、自分の考え【最終の考え】をまとめる。

    ・B機は平均値の周りに集まっていて安定感があるから、次も同じ

    ように飛ぶことが予想できそう。

    ・A機は記録が散らばっていて予想が難しいけど、よく飛ぶ可能性を

    もっていると言えるね。

    4 本時の振り返りを行う。

    〇 本時の学びのめあてを基に、がんばりメーターでの数値化し

    た自己評価と、記述による自己評価を行うこと

    ○ 全員が具体的な見通しを

    もって活動に臨めるよう

    に、TTで対応し、シートの

    記述を基に助言を行う。

    ○ 二つの紙飛行機の記録の

    散らばりの様子の違いを捉

    えることができるように、

    調べる観点を示した学習プ

    リントを準備し、二つの紙

    飛行機の記録を対比させな

    がら調べさせる。

    ○ 散らばりの様子や代表値

    を自力で調べることができ

    るように、既習内容を振り

    返ることができる掲示物を

    準備し、必要に応じて助言

    を行うようにする。

    ※ 柱状グラフに表したり散

    らばりの様子や代表値を見

    付けたりして記録の特徴を

    調べ、A、Bのどちらがよい

    か自分の考えをまとめるこ

    とができる【中間の考え】。

    ○ それぞれの紙飛行機の飛

    行傾向について捉えること

    ができるように、散らばり

    の様子や代表値を根拠に判

    断できている意見を取り上

    げ、整理して板書していく。

    ※ 交流を通して見いだした

    紙飛行機の飛行傾向を基

    に、自分の結論をまとめる

    ことができる【最終の考

    え】。

    〇 自分の学び方のよさを見

    つけることができた児童を

    賞賛することで、解決に向

    かう過程を振り返ることが

    できるようにする。

    【児童のめあての例①】 ・これまでの学習を生かして、柱状グラフをかいたり読んだりできるようにがんばる。

    個別

    【児童のめあての例②】 ・自分で調べたり友達の考えを聞いたりして、考えをまとめることができるようにする。

    【児童の自己評価の記入例①】 ・これまでの学習で学んだことを基に、自分で観点を選んで紙飛行機の飛び方を調べることができたのでよかった。

    【児童の自己評価の記入例②】 ・自分で調べたことや友達の考えを根拠にして、自分でどちらの飛行機がよいか選ぶことができたのでよかった。

    個別

    一斉

    ペア

    一斉

    個別

  • 6 年 組 番 名

    1 単元の前後で使う「 シートⅠ」 ~自分の学びをふり返り、 よさや課題をとらえよう!~

  • 2 試す活動と確かめる活動で使う「 シートⅡ」 ~課題に対してめあてを立てたり見直したりしよう!~

    活動のふり返り

    学びの積み上げメモ ~解決の手がかりになりそうなことをメモしていこう!~

    解決すべき課題

  • 3 毎時間の最初と最後に使う「 シートⅢ」 ~毎時間のめあてとふり返りで学びを確かめよう!~

  • 【ステップアップシートの使い方】

    シート①

    シート②

    シート③