中学校第3学年 保健体育科(保健分野)学習指導案...中学校第3学年...
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中学校第3学年 保健体育科(保健分野)学習指導案
指導者 教科教諭(T1)
栄養教諭(T2)
1 単元名 健康な生活と病気の予防 【食生活と健康】
2 単元の目標
健康を保持増進するためには、毎日適切な時間に食事をすること、また、年齢や運動量に応じて栄養素のバ
ランスや食事の量などに配慮することおよび運動によって消費されたエネルギーを食事によって補給するこ
とが必要であることを理解できるようにする。
3 単元のめあて
健康を保持増進するためには、食事の時間、栄養のバランス、年齢や運動量に見合った食事の量に配慮する
する必要があることに気付き、食生活の3つのポイントをもとに自身の食生活を見直すことによって食生活の
課題を知り、改善策を考えることができる。
4 単元設定の理由
中学3年生の後期に入ると、部活動を引退、受検勉強の本格化等で大きく生活が変化する。また長時間の学
習による睡眠不足、運動不足や偏食といった体の不調を招く食生活のリズムに陥りやすい。
生活習慣病を予防し生涯にわたって健康に過ごすためには、中学生の時期に望ましい食生活を確立すること
が重要である。そこで本時は自身の食生活を振り返り、課題の改善しようとする意欲を高めたい。
5 生徒の実態
4月に実施した平成 30 年度全国学力・学習状況調査によると、朝食を「毎日食べる」と回答した生徒の割
合は 89%と高い。しかし「食欲がない」、「食べる時間がない」などの理由で朝食を欠食してしまったり、朝
食の内容に不足がみられたりするなど食生活の課題もある。給食の摂取状況では、部活動を引退した2学期か
ら主食を中心に残量が多くなってきている。一方で、好きなものを満腹になるまで食べてしまう生徒もみられ
る。
6 指導の構想
導入では、新潟県の年間発育量(身長)のグラフを提示し、発育量は男子 12歳時、女子9歳時をピークに
徐々に低下することを理解させる。その際、個人差があることを付け加える。続いて年齢別推定エネルギー必
要量のグラフを提示し、中学生から高校生の時期が生涯で最もエネルギーを摂取する必要があることを伝える。
2つのグラフからなぜ発育量のピークは過ぎているのに最もエネルギーが必要なのかという問題意識をもた
せる。生徒は既習事項から「大人になるために必要だから」、「たくさん活動するから」などと答えるだろう。
そこで骨のレントゲン写真を提示し、発育量のピークは過ぎても体の中の成長は続いており、中学生から高校
生の時期は体の基礎が作られる大切な時期であることにおさえる。
展開では、エネルギーが生涯で最も多く必要な時期に食生活で大切にすべきことは何かと問い、どのような
食生活を送るとよいのか考えさせる。パワーポイントを使って食生活のポイントを3つの観点に分けて説明す
る。その際、自身の食生活を振り返りながら説明を聞くように声かけをする。1つ目の「食事の時間」は朝食、
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昼食、夕食のそれぞれの役割を知らせる。さらに朝食を抜いてしまったり、食事を不規則な時間にとったりす
ることによって肥満や生活習慣病を招く恐れがあることから毎日適切な時間に食事をする必要があることを
おさえる。2つ目の「食事の量」については、年齢や活動量によって必要なエネルギー量は変化するため、そ
れに応じた食事の量を摂取する必要があることをおさえる。3つ目の「栄養バランス」では、いろいろな食品
をバランス良く食べることでエネルギーのみならず体に必要な栄養素を満たせることをおさえる。さらに給食
を例に主食・主菜・副菜・汁物をそろえると自然に栄養のバランスが整うことも伝える。その後、自身の食生
活を振り返って3つの視点で良い点、改善点を書き出させる。次に班に分かれ、まなボードを使いながら意見
を共有する。話し合いの時間が十分取れるように配慮する。その後課題を全体で共有する。
まとめでは、今後の食生活で改善が必要なところ、また課題解決に向けて取り組むことを書かせる。その際、
『わたしの課題は「 」です。これからは~したい。』と書き方の指示を出す。時間をみて数名に発表させて
全体で共有する。
7 食育の視点
<食事の重要性><心身の健康><食品を選択する能力>
8 使用する教材 年間発育量、推定エネルギー必要量グラフ・まなボード・骨のレントゲン写真
9 展開 ◎資料 □留意点
学習活動 教師の働き掛け・予想される生徒の反応 留意点等
導入10分
1 新潟県の年間発
育量(身長)と年齢
別推定エネルギー
必要量のグラフか
ら問題意識をもつ。
(5分)
2 骨のレントゲン
写真から体の基礎
が作られる大切な
時期であることを
知る。
(5分)
S 女子の方がはやく高くなる。
S 中3になると、もうほとんど伸びていない。
※ 発育量は徐々に低下していくことを理解させる(個人差があ
ることを付け加える)。
S 中学生から高校生の時期は一番エネルギーが必要だ。
S 身長はあまり伸びないのにエネルギーが高い。*
S 大人になるために必要だから。
S たくさん活動するから。
S 成人の骨は中身がつまっている。
S 13歳の骨は大人と比べて隙間が空いている。
S 身長はあまり伸びなくても体の中の成長は続くのか。*
◎年間発育量、
推定エネルギ
ー必要量グラ
フ
□なぜ発育量の
ピークは過ぎ
ているのに最
もエネルギー
が必要なのか
という問題意
識をもたせる
◎骨のレントゲ
ン写真
T1 グラフからどのようなことがわかりますか。
T1 次のグラフをみてください。これは年齢別のエネルギ
ー必要量を示したグラフです。
T1 発育量のピークは過ぎているのに最もエネルギーが
必要なのはなぜだろう
T2 発育量のピークは過ぎても体の中の成長は続いていま
す。証拠は骨のレントゲン写真です。13歳の頃の写真
と成人の骨を比べるとどうですか。
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展開40分
3 食生活を見直す
3つのポイントを
知る。 (15分)
* 自身の食生活を
振り返りながら
説明を聞く。
4 改善点のみを付
箋に記入し、班で課
題を共有する。
(20分)
S バランス良く食べる。
S 好きなものばかり食べない。
①「食事の時間」:朝食を抜いてしまったり、食事を不規則な時
間にとったりすると肥満や生活習慣病を招く恐れがある。
②「食事の量」:1 日の必要エネルギー必要量は年齢や活動量に
よって変化する。
③「栄養バランス」:主食・主菜・副菜・汁物をそろえると自然
と整う。
S 朝食を抜いてしまうことがあったな。
S 給食は栄養バランスが整っているから残さず食べよう。
S 部活を引退して、活動量が減ったな。
S 朝食を抜いて2食になってしまうことがある。(食事の時間)
S 給食の副菜を減らしている。(栄養のバランス)
S 引退して運動量が減った。(食事の量)
S 朝食はわたしも抜いてしまうことがある。
S 塾が終わってから夕食を食べずに寝てしまう日がある。
◎ PP資料
□ 教科書の内
容に補足す
る
□ 部活動を引
退し、活動
量が減った
ことに気付
かせる
□ 机間巡視を
して、迷っ
ている班に
助言する
□ 良い点はノ
ートに記入
させる
□ 課題を全体
で共有する
まとめ5分
5 これからはどん
なことに気を付け
て食生活を送りた
いか記入する。
(5分)
S わたしの課題は「食事の量」と「食事のバランス」です。今
まで野菜は苦手なので減らして食べていて栄養バランスが悪
かったので減らさずに食べられるようにしたいです。また全体
的に食事の量が少ないのでもう少し量を増やしていきたいで
す。
S わたしの課題は「食事の量」です。部活を引退して活動量が
減ったけれど今まで通り食べていました。これからは食べた分
だけ運動して消費したいです。
・時間をみて数名に発表させる。
◎ 記入用紙
□ 机間巡視を
し、発表者
を選ぶ
□ わたしの課
題は「 」
です。これ
からは~し
たい。と記
入するよう
指示する
10 評価
・食生活と健康について関心を持ち、自身の食生活の課題について考えたり、班での活動で意欲的に発表した
りしようとしている。(関心・意欲・態度)
・食生活と健康について学習したことを実際の食生活に当てはめて考え、課題を見つけ今後の食生活に活かそ
うとしている。(思考・判断)
T2 食生活を見直す3つのポイントは「食事の時間」、「栄
養バランス」、「年齢や運動量に応じた食事の量」です。
T1 今後の食生活で改善が必要なところはどこですか。課
題解決に向けて取り組むことを書きましょう。
T2 みなさんの食生活の課題はどこにありますか?今の食
生活を振り返って良い点、改善点を書き出してみましょう。
T2 みなさんは今エネルギーが生涯で最も多く必要な時期
です。そんなみなさんにとって食生活で大切にすべき
ことはなんですか。
T2 班に分かれてまなボードにポイントごとに付箋を貼っ
て、どんな課題があるのか情報交換してみよう。
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11 板書計画
12 ワークシート等
年間発育量グラフ ※棒グラフ
食生活と健康
1日のエネルギー必要量
=基礎代謝量+活動で消費するエネルギー量
年齢別エネルギー必要量グラフ ※折れ線グラフ *女子は中学時代が最もエネルギーが必要
② 食事の量
・年齢や活動量(運動量)に応じた食事の量をとる。
体の中の成長は続いている
食生活の3つのポイント
① 食事の時間
・毎日適切な時間に食事をとる。
→体のリズムを整える
③ 栄養バランス
・いろいろな食品をバランスよく食べる
→主食・主菜・副菜・汁物をそろえて食べる
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<授業の実際>
学習活動 T 教師の働きかけ(発問等) S 生徒の反応
1 新潟県の年間発
育量(身長)と
年齢別推定エネ
ルギー必要量の
グラフから問題
意識をもつ。
T1 次のグラフからどのようなことがわ
かりますか。
T1 女子は9歳だから小学校中学年くら
いの頃に身長が伸びる人が多いんだ
ね。男子は少し遅れて伸びているな。
T1 エネルギー必要量だからこれくらい
食べないといけないってことだよ。
T1 発育量のピークは過ぎているが最も
エネルギーが必要なのはなぜだろう
〈年間発育量グラフ〉
S 女子の方がピークがはやい
S うちらもう伸びないじゃん
S 女子は9歳くらい、男子は 12 歳く
らいが一番高い
S 男子と女子で差がある
〈推定エネルギー必要量グラフ〉
S 男子は15歳から17歳の頃が一番エ
ネルギーが必要になる
S 女子食べ過ぎ!
S 女子は中学生の時が一番高い
S 成長期だから
S 運動するから
2 骨のレントゲン
写真から体の基
礎が作られる大
切な時期である
ことを知る。
T2 発育量のピークは過ぎても体の中の
成長は続いています。証拠は骨のレン
トゲン写真です。比べてみるとどうで
す か 。
S 8歳のは骨がスカスカ
S 関節がまだしっかりしていない
S 13歳の写真も関節に隙間がある
S 成人になると中身がつまっている
3 食生活を見直す
3つのポイント
を知る。
T2 みなさんは今エネルギーが生涯で最
も多く必要な時期です。そんなみなさ
んにとって食生活で大切にすべきこ
とはなんですか。
T2 食生活を見直す3つのポイントがあ
ります。
S バランスよく食べる
S 好き嫌いしない
S 野菜をしっかり食べる
※ 保健のノートに板書を記入する。
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4 改善点のみを付
箋に記入し、班
で課題を共有す
る。
T2 みなさんの食生活の課題はどこにあ
りますか。今の食生活を振り返って改
善点を書き出してみましょう。
T2 班に分かれてまなボードにポイント
ごとに付箋を貼って、どんな課題があ
るのか情報交換してみよう。
S 主食が苦手で量を少なくしてしま
う(栄養バランス)
S 朝食に副菜を食べていない(栄養バ
ランス)
S 夕ご飯の時間がバラバラ(食事の時
間)
S 食事の量が多い、食べ過ぎる(食事
の量)
S 休日は朝ご飯と昼ご飯が一緒にな
ってしまうことがある(食事の時
間)
5 これからはどん
なことに気を付
けて食生活を送
りたいか記入す
る。
T1 今後の食生活で改善が必要なところ
はどこですか。課題解決に向けて取り
組むことを書きましょう。
※ ワークシートを配布する。
※ 机間巡視をし、発表者を選ぶ。
S 自分の課題は食事の時間です。毎
日、平日に朝食を食べることができ
ていません。なので、朝もう少し早
い時間に起きるようにして朝食を
食べられるようにしたいです。
S わたしの課題は栄養バランスです。
好き嫌いをしていろいろな食品を
バランスよく食べられていないの
で、これからは好き嫌いせずにバラ
ンスよく食べるようにしたいです。
<授業板書>
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<成果と課題>
教科担任より
○板書はあらかじめ内容をラミネートしたり、短冊にしたりしておくことで時間短縮ができた。
○記入用紙を配布することで、教師側も内容を確認し、生徒は返却されたらノートに貼っておけるので振り返り
の際もよい。
▲導入でもう少し引きつけられるとよかった。たとえば、グラフを見せる前に中学生になってどのくらい身長が
伸びたかを数人に聞いてみるなど興味を持たせればよかった。
▲話し合いの際、各自が付箋を貼るだけの作業にならないように食生活のポイントの項目ごとに分けたり、班の
みんなに説明してから貼ったりするなどの指示を明確に出す。
▲時間が押してしまい、話し合いの時間が十分に確保できなかった。
参観者より(ご指導を含む)
○「食事の時間」、「食事の量」、「栄養バランス」と食生活のポイントが明確に示されていたため、話し合いに見
通しがもてた。
○改善点を記入する付箋には「食べ過ぎてしまう」、「好き嫌いをしてしまう」など素直に普段の食生活を振り返
る記述がみられた。
○意見交換の際に改善するための手立てまで考えている班がいた。
○バランスのよい食事の例で給食の写真が使われていて、生徒もイメージしやすかった。
▲人数が多いと話し合いが行いにくいため、班活動は最大4人にする。
▲指導の際は学習指導要領の解説を熟読する。
▲ふせんの配布に時間がかかってしまった。配布方法を工夫する。
▲基礎代謝量が一日に必要なエネルギー量の何割を占めているのか、またそのエネルギー量は食品に置き換える
とどのくらいの量なのか補足があると量を実感しやすい。
▲2つのグラフを比較することは難しいため、2つのグラフを男女に分けて1つにまとめるなどわかりやすくす
るとよい。
▲まなボードを上手に活用する。あらかじめ教師が食生活のポイントを項目ごとに分けた用紙を作成しておき、
その用紙をまなボードに挟むことで生徒の話し合いがスムーズになる。
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0
1
2
3
4
5
6
7
8
5 6 7 8 9 10111213141516
年間発育量の推移(身長)
男子
女子
(㎝)
(歳)
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
1~23~56~78~9 10~
11
12~
14
15~
17
18~
29
30~
49
50~
69
70以
上
男
女
年齢別推定エネルギー必要量(kcal)
(歳)
-
保健編 4章「健康な生活と病気の予防」
食生活と健康
骨のレントゲン写真 手
体の中の成長は続いている!今は体の基礎が
作られる大切な時期
-
食生活ののポイント
①食事の時間朝食 昼食 夕食
・体温を上げて、体の各器官がうまく働くようにする・午前中の活動に必要なエネルギーと栄養素を補う。
・午前中の活動で失われたエネルギーや栄養素を補う。
・体力を補い、疲労を回復させる。
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①食事の時間・朝食を抜くと・・・体はエネルギー不足になる
昼食や夕食でエネルギーを補おうと1回の食事量が多くなってしまう
肥満や生活習慣病につながる
①食事の時間・食事の時間が不規則だと・・・
体の中はいつ食べ物が入ってくるのか不安
なるべくエネルギーを使わずに体に
蓄えようとする
肥満や生活習慣病につながる
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①食事の時間
毎日適切な時間に食事をとる
②食事の量
(生命維持に必要なエネルギー量)
・呼吸をしたり、心臓を動かしたり
体温を維持したりするために使われる
★1日のエネルギー必要量= +
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0
500
1000
1500
2000
2500
3000
1~23~56~78~9 10~
11
12~
14
15~
17
18~
29
30~
49
50~
69
70以
上
男
女
年齢別推定エネルギー必要量(kcal)
(歳)
②食事の量
・年齢・活動量
消費 摂取摂取が上回ると…肥満・生活習慣病
消費が上回ると…疲労・やせバランスが大切
-
③栄養バランス
③栄養バランス
いろいろな食品をバランス良く食べる
-
学校の給食
主食、主菜、副菜、汁物をそろえて食べると自然と栄養のバランスが整う
③副菜野菜、きのこ、果物など
②主菜肉、魚、卵、豆、大豆製品など
①主食ご飯、パン、めん、もちなど
④汁物みそ汁、スープ、牛乳など