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経済連携協定(原産地規則) 大阪税関業務部 平成29年6月20日 19回輸出セミナー&情報交換会

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経済連携協定(原産地規則)

大 阪 税 関 業 務 部

平成29年6月20日

第19回輸出セミナー&情報交換会

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概 要

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EPAとは何か?

日本

A国

B国

C国

D国

10%

10%

10%

10%

WTO加盟国である場合、すべての国の産品に対して同じ関税率を適用しなければならない

日本

A国

B国

C国

D国

0%

10%

10%

10%

A国の産品に対しては、MFN税率よりも低い関税率を適用することが、WTO協定において一定の条件の下で許容されている。

WTO協定の下での原則=最恵国待遇 (Most-Favoured Nation Treatment)

では、どんな条件なのか?

例外

2

MFN税率

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日本

A国

B国

C国

D国

0%

10%

10%

10%

WTO協定に整合するFTA(Free Trade Agreement=自由貿

易協定)を締結すること

A国の産品に対しては、MFN税率よりも低い関税率を適用することが、WTO協定において一定の条件の下で許容されている。

(注)なお、我が国では貿易の自由化に加え、投資保護、知的財産保護、競争政策におけるルール作り等の貿易関連非関税分野についても対象とするものを特にEPA(Economic Partnership Agreement=経済連携協定)と呼んでいます。

EPAとは何か?

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0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

シンガポール メキシコ マレーシア チリ タイ インドネシア ブルネイ ASEAN フィリピン スイス ベトナム インド ペルー

EPA前 EPA後①相手国から日本に輸入する場合の日本の関税の無税化率

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

シンガポール メキシコ マレーシア チリ タイ インドネシア ブルネイ フィリピン スイス ベトナム インド ペルー

EPA前 EPA後

EPAでどのくらい関税が安くなるの?

我が国のEPA締結前後の自由化率(貿易額ベース)

②日本から相手国へ輸出する場合の相手国の関税の無税化率

※ EPA後の無税化率は、EPA発効後10年以内の関税撤廃の割合を意味する。

※ EPA前の無税化率は、それぞれのEPA交渉において基準とした一定の時点での関税無税の割合を意味する。4

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国 我が国 米国 カナダ 豪州 NZ シンガポール

品目数ベース 95% 100% 99% 100% 100% 100%

貿易額ベース 95% 100% 100% 100% 100% 100%

国 メキシコ チリ ペルー マレーシア ベトナム ブルネイ

品目数ベース 99% 100% 99% 100% 100% 100%

貿易額ベース 99% 100% 100% 100% 100% 100%

TPP交渉参加各国の関税撤廃率

(参考)日本の直近のEPA(日豪EPA)における関税撤廃率:89%(注)NZ、シンガポール、ブルネイについては、全ての品目について関税撤廃。

[TPP:内閣官房作成資料]

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GDP※2

(十億ドル)ライン数 即時撤廃※3 2~11年目まで※4

撤廃12年目以降撤

廃非撤廃

(TRQ・削減等)

米国 16,663 2058 55.5% 37.8% 5.5% 1.2%

カナダ 1,839 1566 86.2% 7.9% 0.0% 5.9%

豪州 1,497 941 99.5% 0.5% 0.0% 0.0%

メキシコ 1,262 1387 74.1% 17.2% 5.1% 3.6%

マレーシア 323 3324 96.7% 1.2% 1.7% 0.4%

シンガポール 302 1400 100.0% 0.0% 0.0% 0.0%

チリ 277 1634 96.3% 3.2% 0.0% 0.5%

ペルー 202 1155 82.1% 11.9% 2.0% 4.0%

NZ 185 1287 97.7% 2.3% 0.0% 0.0%

ベトナム 171 1431 42.6% 52.3% 4.5% 0.6%

ブルネイ 18 1400 98.6% 1.4% 0.0% 0.0%

11カ国平均 - - 84.5% 12.3% 1.7% 1.5%

(参考)日本 4,920 2328 51.3% 27.5% 2.2% 19.0%

※1:日本以外の国の農林水産品については、国際的な商品分類(HS2007)において1~24、44及び46類に分類される農林水産物であって、農林水産省所管品目とは一致しない(日本のライン数には含まれていない財務省所管の酒・たばこ類が含まれる)。

※2:2013年(出典:IMF)※3:即時撤廃には既に無税の物品を含む。※4:我が国の既存EPAの自由化率は11年目までに撤廃されるライン数の割合とされているため、11年目までで区分。

農林水産品※1の日本以外の国の関税撤廃等の状況(対日)[TPP:内閣官房作成資料]

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: 共同研究等

: 交渉

2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

韓国(注1)

GCC(注2)

ASEAN(注3)(投資・サービス)

カナダ

コロンビア

日中韓

EU

RCEP(注4)

トルコ

5月

4月

9月

3月

4月

11月

5月

3月

11月

11月

12月

9月

12月

4月

4月

12月

10月

各国との交渉中EPAの進捗状況 (2016年6月時点)

※発効又は署名済みEPAシンガポールメキシコマレーシアチリタイインドネシアブルネイ

ASEAN(物品貿易)

2002年11月発効 (2007年9月改定)2005年 4月発効 (2012年4月改定)2006年 7月発効2007年 9月発効2007年11月発効2008年 7月発効2008年 7月発効2008年12月発効

フィリピンスイスベトナムインドペルー豪州モンゴルTPP(注5)

2008年12月発効2009年 9月発効2009年10月発効2011年 8月発効2012年 3月発効2015年 1月発効2016年 6月発効2016年 2月署名 (未発効)

(注1)日韓EPA : 1998年からシンクタンクによる共同研究を経て、2004年11月以降、交渉中断。

(注2)GCC(湾岸協力理事会) : アラブ首長国連邦、オマーン、カタール、クウェート、サウジアラビア、バーレーン(計 6か国)。2009年以降、交渉延期。

(注3)日・ASEAN包括的経済連携協定 : 物品貿易については署名・発効済(インドネシアとの間では未発効)であるが、投資・サービスについては、2010年から交渉中。

(注4)RCEP(東アジア地域包括的経済連携) : ASEAN加盟国(インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス)、

日本、中国、韓国、豪州、ニュージーランド、インド(計 16か国)。

(注5)TPP(環太平洋パートナーシップ) :シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイ、米国、豪州、ペルー、ベトナム、マレーシア、カナダ、メキシコ、日本(計12か国)。 7

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中小企業によるEPAの活用事例

出典:「経済連携協定の効果 ~貿易・投資の動向~」(外務省経済局作成資料)

(www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/pdfs/kouka.pdf)

2008年7月インドネシアEPA発効

⇒インドネシアの取引先から、EPAによる関税削減のメリットを受けられるよう、原産地証明書の取得の要請あり。

⇒難しそう、と一旦は断ったものの、セミナーに参加し、消火器メーカーと協力して調査開始

⇒2011年3月~原産地証明書を付して消火器等防災製品を輸出

徐々に適用対象製品を拡大

EPA活用の効果

関税削減効果(見込み)は、2011年度100万円

→関税が撤廃される2018年には400万円

→「経営戦略として、積極的に取り組む価値あり!」

現地パートナーからは歓迎の声

……「超円高(ルピア安)下において、少しでも為替損失を埋めることができた。」

……「輸入通関での支障はなく、手続きも簡素。」

関税撤廃の例:インドネシアの消火器の関税は12.5%、EPAにより10年間で関税を撤廃

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WTO と EPA/FTA の関係

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WTO=世界貿易機関(World Trade Organization)

●164の加盟国・地域

加盟国・地域が多い

扱う分野が広い

自由化がより進んでいる

EPA=経済連携協定(Economic Partnership Agreement)

●モノ・サービスに加え、投資の自由

化、規制の緩和、制度の調和等、幅

広い経済関係を強化。

FTA=自由貿易協定(Free Trade Agreement)

●一部の国・地域の間

●モノ・サービスの貿易自由化や

貿易関連のルール作り(知的財

産のルール等)を行っている。

●モノ・サービスの貿易を自由化

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EPA税率を適用するためには

EPA全般

関税分類

原産地規則

必要となり得る知識

EPA譲許表

EPA/FTA税率利用までのプロセス概略

産品の生産工程

必要となり得る情報

原材料に係る情報(HS番号、価格等)

企業の経営判断

出典 : 通商白書2014(第Ⅲ-1-4-13図)に基づき作成

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商工会議所

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番号 基本 暫定 WTO協定 特恵 特別特恵 シンガポール メキシコ マレーシア チリ タイ インドネシア ブルネイ アセアン

H.S. code General Temporary WTO GSP LDC Singapore Mexico Malaysia Chile Thailand Indonesia Brunei ASEAN

09.02 茶(香味を付けてあるかないかを問わない。)

 0902.10 000     緑茶(発酵していないもので、正味重量が3キログラム以下 20% 17% 無税 6.4% 5.3% 1.5% 6.4% 7.4% 7.4% 7.4%

    の直接包装にしたものに限る。)

 0902.20     その他の緑茶(発酵していないものに限る。)

100        1 くず(飲用に適するものを除く。) 無税 (無税) 無税 無税 無税 無税 無税 無税 無税 無税 無税

200        2 その他のもの 20% 17% 無税 6.4% 5.3% 1.5% 6.4% 7.4% 7.4% 7.4%

 0902.30     紅茶及び部分的に発酵した茶(正味重量が3キログラム以 20% 無税

    下の直接包装にしたものに限る。)

010     - 紅茶 12% 1.1% 無税 1.1% 1.1% 2.2% 2.2% 2.2%

090     - その他のもの 17% 6.4% 5.3% 1.5% 6.4% 7.4% 7.4% 7.4%

 0902.40     その他の紅茶及び部分的に発酵した茶

100        1 くず(飲用に適するものを除く。) 無税 (無税) 無税 無税 無税 無税 無税 無税 無税 無税

       2 その他のもの

210            (1)紅茶 5% 3% 2.5% 無税 無税 無税 無税 無税 無税 無税 無税

220            (2)その他のもの 20% 17% 無税 6.4% 5.3% 1.5% 6.4% 7.4% 7.4% 7.4%

09.03

 0903.00 000 マテ 20% 12% 6% 無税 1.1% 無税 0.5% 0.5% 1.1% 2.2% 2.2%

関税率(経済連携協定)

Tariff rate (EPA)

第2部 植物性生産品

  第9類 コーヒー、茶、マテ及び香辛料

統計番号

Statistical code 品名

Description

関税率

Tariff rate

物品を日本に輸入する場合のEPA税率は、

税関のウェブサイトの「実行関税率表」で調べることができます。

⇒ 「実行関税率表」で検索! (http://www.customs.go.jp/tariff/)

EPA税率

EPA税率の確認(輸入)

WTO税率

HS 0 9 0 2 . 1 0 – 0 0 0

11HS条約: 商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約

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メキシコに自動車(8703.90)を輸出する場合。

日本貿易振興会(JETRO)が契約してい

るWorld Tariffを使えば、日本に居住し

ている方は、我が国がEPAを締結してい

る国を含む175カ国の関税率を調べるこ

とができます(JETROのページからユー

ザー登録が必要です(無料))。

(JETRO 世界各国の関税率)

http://www.jetro.go.jp/theme/trade/tariff/

メキシコに自動車(8703.90)を輸出する場合。

EPA税率の確認(輸出)

日メキシコEPAを利用すれ

ば、メキシコにおいて、関税なしで輸入することができる。

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HS番号をどのように確認するのか?

HS番号(HSコード、関税分類番号)の確認

具体的には

・ 過去に輸出入実績があれば、許可された輸出入申告書に記載されて

いるHS番号を調べる。

・ 税関の『関税率表解説・分類例規』で調べる。

http://www.customs.go.jp./tariff/kaisetu/index.htm

・ 近隣の税関に問い合わせる。

・ 輸入者を通じて輸入国の税関に問い合わせる。

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原 産 地 規 則

※ 内容をご理解していただき易いよう、協定・法令等の文言とは異なる部分や

説明を簡略化したところがあります。また、関税分類、材料及び製造工程等

が実際とは異なる場合があります。

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日本

A国

(EPA相手国)

第3国

単なる

積替え等

EPA税率不適用

原産地規則の必要性

15

EPAは、国と国との間の経済的な結び付きを強化しようというもの

⇒お互いの国民の利益となることが必要

⇒EPA締約国において、本当に生産された(又は、これぐらいであればEPAに基づく

利益を与えても差し支えないと認められる程度の生産がされた)産品に対してのみEP

A税率を適用することが必要。

もしもこれを 日本産 と偽って、EPA税率を適用されると?しかも、「真の」日本産より安価だったら?

このような判断を行えるようにするためのルールとして、原産地規則が必要。

EPA税率適用

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他の国

① 輸出入される産品に関し、EPA税率が設定されていること

(EPA税率の場合、協定の譲許表)

輸出国

② 生産された貨物が、「原産品」である

と認められること(=原産地基準を満たしていること)

③ 運送の途上で「原産品」という資格を失っていないこと(=積送基準を満たしていること)

④ 税関に対して、②、③に関する書類を

提出するなど、必要な手続き(手続要件)を行うこと

輸入国

4つの条件をすべて

満たさなければいけない!

どうしたらEPA税率を利用できるのか

リキュール

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完全生産品

実質的変更基準を満たす産品

実質的変更基準の例外

累 積

関税分類変更基準

加工工程基準

付加価値基準

僅少の非原産材料

原産資格を与えることとならない作業

原産材料のみから生産される産品

実質的変更基準

(材料:非原産材料を使用)

(材料:原産材料のみ)

(材料:[自然]または

完全生産品のみ)

原産地規則の3つの構成要素

3種類の原産品

原産地規則

原産地基準

積送基準

手続的規定

EPA原産地規則の構成(概要)

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完全生産品

実質的変更基準を満たす産品

実質的変更基準の例外

累 積

関税分類変更基準

加工工程基準

付加価値基準

僅少の非原産材料

原産資格を与えることとならない作業

原産材料のみから生産される産品

実質的変更基準

(材料:非原産材料を使用)

(材料:原産材料のみ)

(材料:[自然]または

完全生産品のみ)

原産地規則の3つの構成要素

3種類の原産品

原産地規則

原産地基準

積送基準

手続的規定

EPA原産地規則の構成(概要)

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3 種類の原産品(タイEPA)

品目別規則(タイEPAの例)

第28条 原産品

1 この章に別段の定めがある場合を除くほか、次のい

ずれかの産品は、締約国の原産品とする。

(a) 当該締約国において完全に得られ、又は生産され

る産品であって、2に定めるもの

⇒ (完全生産品)

(b) 当該締約国の原産材料のみから当該締約国におい

て完全に生産される産品

⇒ (原産材料のみから生産される産品)

(c) 非原産材料をその全部又は一部につき使用して当

該締約国において完全に生産される産品であって、

附属書2に定める品目別規則及びこの章の他のすべ

ての関連する要件を満たすもの

⇒ (実質的変更基準を満たす産品)

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(ベトナムEPAの例)

第26条 完全には得られず、又は生産されない産品

1 第24条(b)の規定の適用上、次に掲げる産品は、締約国の原産品とする。

(a) 次条に定める計算式を用いて算定する当該産品の原産資格割合(以下この協定において「LVC」という。)が40パーセン

ト以上の産品であって、生産の最終工程が当該締約国において行われたもの

(b) 当該産品の生産に使用されたすべての非原産材料について、当該締約国において統一システムの関税分類の変更(以

下この協定において「CTC」という。)であって4桁番号の水準におけるもの(すなわち、項の変更)が行われた産品

(略)

2 1の規定にかかわらず、品目別規則の対象となる産品は、附属書2に定める適用可能な品目別規則を満たす場合には、

原産品とする。 ・・・ (略)

⇒ (実質的変更基準を満たす産品)

協 定 名

アセアンEPA

ス イ ス EPA

ベトナムEPA

イ ン ドEPA その他のEPA

品目別規則に規定のない産品は、一般ルールを適用する。 品目別規則を適用

一般ルール

他の項の材料からの変

又は

付加価値40%以上

他の号の材料からの変更

及び

付加価値35%以上

品目別規則一部の産品について品目

別規則が規定されている

一部の産品について品目

別規則が規定されている

全ての産品について品目

別規則が規定されているた

め一般ルールは存在しない

項:Tariff Heading(4桁):(例)第22.08項 号:Tariff Sub-heading (6桁):(例)第2208.70号

一般ルール

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完全生産品

実質的変更基準を満たす産品

実質的変更基準の例外

累 積

関税分類変更基準

加工工程基準

付加価値基準

僅少の非原産材料

原産資格を与えることとならない作業

原産材料のみから生産される産品

実質的変更基準

(材料:非原産材料を使用)

(材料:原産材料のみ)

(材料:[自然]または

完全生産品のみ)

原産地規則の3つの構成要素

3種類の原産品

原産地規則

原産地基準

積送基準

手続的規定

EPA原産地規則の構成(概要)

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(a) 完全生産品(タイEPA)

(a) 生きている動物であって、当該締約国において生まれ、かつ、成育されたもの(家畜等)

(b) 当該締約国において狩猟、わなかけ、漁ろう、採集又は捕獲により得られる動物(捕獲野生動物等)

(c) 当該締約国において生きている動物から得られる産品(牛乳、卵等)

(d) 当該締約国において収穫され、採取され、又は採集される植物及び植物生産品(切り花等)

(e) 当該締約国において抽出され、又は得られる鉱物その他の天然の物質( (a) から(d)までに規定するものを除く。 )(原油等)

(f) 当該締約国の船舶により、他方の締約国に属しない海から得られる水産物その他の産品(公海で捕獲した魚等)

(l) 当該締約国において(a)から(k)までに規定する産品のみから得られ、又は生産される産品( (a)に該当する牛を屠殺して得

られた牛肉等)

(g)~(k) 略

タイEPA 第28条2

22

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A国産スーツ

その「生産」に1ヵ国のみが関与する(=「生産」が1ヵ国で完結している)産品

A国産(締約国)原油

A国産(締約国)の材料(合成繊維等)

参 考

23

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完全生産品

実質的変更基準を満たす産品

実質的変更基準の例外

累 積

関税分類変更基準

加工工程基準

付加価値基準

僅少の非原産材料

原産資格を与えることとならない作業

原産材料のみから生産される産品

実質的変更基準

(材料:非原産材料を使用)

(材料:原産材料のみ)

(材料:[自然]または

完全生産品のみ)

原産地規則の3つの構成要素

3種類の原産品

原産地規則

原産地基準

積送基準

手続的規定

EPA原産地規則の構成(概要)

24

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A国産スーツA国産(締約国)の材料

(合成繊維等)

生産に使用された材料はすべて原産材料であるため、

外見上は1ヵ国*で生産・製造が完結しているように見えるが、

実際には他の国の材料(非原産材料)を使用しているもの

( *アセアンEPAの場合は、1又は2以上の締約国 )

B国産(非締約国)

原油

(b) 原産材料のみから生産される産品

25

A国 原産材料

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2次材料

原産材料

原産材料原産材料

非原産材料

産品B

日本

1次材料

タイEPA 第28条 原産品

この章に別段の定めがある場合を除くほか、次のいずれかの産品は、締約国の原産品とする。

(b) 当該締約国の原産材料のみから当該締約国において完全に生産される産品

原産材料

タイ又は日本のいずれか一方

(b) 原産材料のみから生産される産品(タイEPA)

26

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完全生産品

実質的変更基準を満たす産品

実質的変更基準の例外

累 積

関税分類変更基準

加工工程基準

付加価値基準

僅少の非原産材料

原産資格を与えることとならない作業

原産材料のみから生産される産品

実質的変更基準

(材料:非原産材料を使用)

(材料:原産材料のみ)

(材料:[自然]または

完全生産品のみ)

原産地規則の3つの構成要素

3種類の原産品

原産地規則

原産地基準

積送基準

手続的規定

EPA原産地規則の構成(概要)

27

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この「大きな変化」を「実質的変更」と呼び、「実質的変更」が起こった国を原産地とする考え方を「実質的変更基準」と呼ぶ。

そして、このような産品を「実質的変更基準を満たす産品」と呼ぶ。

産品(材料) 新たな産品

最初の産品と違う性質を持っている産品

(非原産のもの)

大きな変化

(c) 実質的変更基準を満たす産品(実質的変更基準とは?)

28

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原産材料

原産材料原産材料

産品C

日本

2次材料 1次材料

タイEPA 第28条 原産品

この章に別段の定めがある場合を除くほか、次のいずれかの産品は、締約国の原産品とする。

(c) 非原産材料をその全部又は一部につき使用して当該締約国において完全に

生産される産品であって、附属書2に定める品目別規則及びこの章の他のすべての関連する要件を満たすもの

原産材料

非原産材料

非原産材料

(c) 実質的変更基準を満たす産品(タイEPA)

29

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実質的変更基準には、評価の方法により、以下の3つの基準が存在する。

(1)関税分類変更基準

最終製品の関税分類番号と、すべての非原産材料の関税分類番号とが異なることとなるような製造が行われた国を原産地とするもの

(2)加工工程基準

すべての非原産材料にある特定の加工工程が施されて最終製品が得られた国を原産地とするもの

(3)付加価値基準

製造工程において付加される価値が、要求される条件を満たした国を原産地とするもの

実質的変更基準の種類

30

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完全生産品

実質的変更基準を満たす産品

実質的変更基準の例外

累 積

関税分類変更基準

加工工程基準

付加価値基準

僅少の非原産材料

原産資格を与えることとならない作業

原産材料のみから生産される産品

実質的変更基準

(材料:非原産材料を使用)

(材料:原産材料のみ)

(材料:[自然]または

完全生産品のみ)

原産地規則の3つの構成要素

3種類の原産品

原産地規則

原産地基準

積送基準

手続的規定

EPA原産地規則の構成(概要)

31

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関税分類変更基準(CTC: Change in Tariff Classification )

32

すべての非原産材料と産品の関税分類番号に特定の変化があれば、実質的変更があっ

たとする基準(HS2桁、HS4桁及びHS6桁の変更がある)。

加工等 産 品

(関税分類番号○○)

原産材料 (関税分類番号1)

原産材料 (関税分類番号2)

非原産材料(関税分類番号3)

非原産材料(関税分類番号4)

非原産材料(関税分類番号5)

(参考)1905.40のHSレベル➣ HS2桁の変更: ○○の産品への他の類の材料からの変更 19類➣ HS4桁の変更: ○○の産品への他の項の材料からの変更 1905項➣ HS6桁の変更: ○○の産品への他の号の材料からの変更 1905.40号

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関税分類変更基準の基本的考え方(マレーシアEPA)

上図において、すべての非原産材料の関税

分類番号と、最終製品の関税分類番号とが異

なることとなる製造が日本で行われている。

このような製造が行われた国(この例では日

本)を原産地と認める(又は、この製品はその

製造が行われた国の原産品であると認める)と

いうのが関税分類変更基準。

日 本

マーマレード

マレーシア

第20.07項

A国

第08.05項

オレンジ

B国

第17.01項

砂糖

非原産材料 最終製品

A国で収穫されたオレンジ

B国で製造された砂糖

マーマレード

第08.05項 第17.01項 第20.07項

(甘しゃ糖の粗糖)

品目別規則:他の類の材料からの変更

33

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完全生産品

実質的変更基準を満たす産品

実質的変更基準の例外

累 積

関税分類変更基準

加工工程基準

付加価値基準

僅少の非原産材料

原産資格を与えることとならない作業

原産材料のみから生産される産品

実質的変更基準

(材料:非原産材料を使用)

(材料:原産材料のみ)

(材料:[自然]または

完全生産品のみ)

原産地規則の3つの構成要素

3種類の原産品

原産地規則

原産地基準

積送基準

手続的規定

EPA原産地規則の構成(概要)

34

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すべての非原産材料にある特定の加工工程が施されて最終製品が得ら

れた国を原産地とするもの

例 タイEPA 第2916.12号(アクリル酸エチル)の品目別規則

加工工程基準(タイEPA)

2914.11-2918.13

① 第2914.11号から第2918.13号までの各号の産品への当該各号以外の号の材料から

の変更、

② 原産資格割合が40%以上であること(第2914.11号から第2918.13号までの各号の

産品への関税分類の変更を必要としない。)又は、

③ 使用される非原産材料についていずれかの締約国において化学反応、精製、異性

体分離の各工程若しくは生物工学的工程を経ること(第2914.11号から第 2918.13

号までの各号の産品への関税分類の変更を必要としない。)

(抜粋)

35

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・第2916.12号:③化学反応、精製、異性体分離若しくは生物工学的工程

日本

タイ

A国(非原産品)

第2207.10号

エタノール(C2H5OH)

第2916.12号

B国(非原産品)

アクリル酸

(CH2=CHCOOH) アクリル酸エチル(CH2=CHCOOC2H5)

第2916.11号

加工工程基準(タイEPA)

36

アクリル酸エチル(第2916.12号)は、非原産材料

であるアクリル酸、エタノールの化学反応により、

新たな構造を有する分子を生じていることから、

加工工程基準を満たし日本の原産品と認められる。

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完全生産品

実質的変更基準を満たす産品

実質的変更基準の例外

累 積

関税分類変更基準

加工工程基準

付加価値基準

僅少の非原産材料

原産資格を与えることとならない作業

原産材料のみから生産される産品

実質的変更基準

(材料:非原産材料を使用)

(材料:原産材料のみ)

(材料:[自然]または

完全生産品のみ)

原産地規則の3つの構成要素

3種類の原産品

原産地規則

原産地基準

積送基準

手続的規定

EPA原産地規則の構成(概要)

37

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①原産材料

②労務費

③製造経費

④利 益

⑤その他

⑥非原産材料

円グラフの全体が産品の価額

③④⑤

域内原産割合

RVC :メキシコ 及び アセアンEPA

(Regional Value Content)

原産資格割合

LVC :ベトナムEPA

(Local Value Content)

QVC :メキシコ、アセアン、ベトナム 及び スイス以外 の EPA

(Qualifying Value Content)

付加される価値と産品の価額とを比較して判断

付加価値基準

38

この部分が 「付加される価値」

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①原産材料

②労務費

③製造経費

④利 益

⑤その他

⑥非原産材料

原産材料価額 + 直接労務費 + 利益 + 直接経費

産品の価額

第1の方法:これらの構成要素を1つ1つ積み上げていく(積上げ方式)

第2の方法:非原産材料の価額を利用する

「付加される価値」をどのようにして算出するか?

算出方法は、大まかには以下の2つの方法に大別される。

≧ Ⅹ%

(例)

≧ Ⅹ%原産材料価額

産品の価額

≦ Ⅹ%非原産材料価額

産品の価額

(例)

≧ Ⅹ%産品の価額-非原産材料価額

産品の価額

③⑤

(控除方式)

①原産材料

②労務費

③製造経費

④利 益

⑤その他

⑥非原産材料

39

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他の価格構成要素

(経費等) 200円

リキュール

FOB 1000円

原産材料

CIF 500円

非原産材料

CIF 300円

この場合「付加された価値」は70%であり、品目別規則に規定された40%を超えているので、協定上の原産品と認められる。

付加価値基準(タイEPA)

≧産品の価額 – 非原産材料価額

産品の価額40 %

CIFFOB

1000

1000-300

= 70 %

タイEPA品目別規則(第2208.70号(リキュール))

① 第2208.70号の産品への他の項の材料からの変更(第22.07項の材料からの変更を除く。) 又は、

② 原産資格割合が40%以上であること(第2208.70号の産品への関税分類の変更を必要としない。)。

40

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完全生産品

実質的変更基準を満たす産品

実質的変更基準の例外

累 積

関税分類変更基準

加工工程基準

付加価値基準

僅少の非原産材料

原産資格を与えることとならない作業

原産材料のみから生産される産品

実質的変更基準

(材料:非原産材料を使用)

(材料:原産材料のみ)

(材料:[自然]または

完全生産品のみ)

原産地規則の3つの構成要素

3種類の原産品

原産地規則

原産地基準

積送基準

手続的規定

EPA原産地規則の構成(概要)

41

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実質的変更基準の例外

• 本来は実質的変更基準を満たさない産品について、原産品として認められ

る範囲を広げる規定

(いわゆる救済的な規定)

- 累積

- 僅少の非原産材料

- 原産資格を与えることとならない作業

• 特定の作業が行われることのみをもって品目別規則に定める関税分類変更

基準又は加工工程基準を満たすものとはしないという規定

(いわゆる除外的な規定)

42

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累積を適用する(タイEPA)

日本

原産材料

タイ

産品

日本

産品

日本の

非原産材料

非原産材料

累積の規定を適用する場合は、 で示される生産には実質的変更基準を考慮

する必要がない。 (原産材料には、実質的変更基準は適用しないため。)

→ 原産品として認められるものの範囲が広くなる

(※原産地証明書に「ACU」の記載が必要)

生産

生産

(本来であれば)タイの原産品は、日本にとっては非原産材料であるので、日本で産品の生産に使用する場合は、実質的変更基準を満たす必要がある。

タイの

原産品

累積を適用することで日本の原産

材料とみなすことができる

タイの原産品は、日本の非原産

品(材料)となる。

43

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A国

B国

第7類たまねぎ

第25類

第2103.20号

生鮮のトマト

(日本原産)

第7類

非原産材料の玉ねぎ(第7類)が品目別規則を満たしていないことから、製品は日本の原産品と認められない。

たまねぎの価額はトマトケチャップの価額の5%

→ タイ協定の場合、7%以下なら

僅少の非原産材料の規定が適用可能

製品は日本の原産品と認めることが

可能となる。

¥5

¥2

¥100

関税分類変更基準を満たさない非原産材料があったとしても、それがごく僅かなものなら無視しようという考え方

タイEPA 品目別規則 第21類 (各種の調製食料品)

2103.20第2103.20号の産品への他の類の材料からの変更

(第7類又は第20類の材料からの変更を除く。)

日本

※原産地証明書に「DMI」の記載が必要

僅少の非原産材料(タイEPA)

44

トマトケチャップ

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僅少の非原産材料の適用対象品目の比較表 *適用できる品目、閾値はEPAごとに異なる。

第1類 第2類,

第3類

第4類-

第8類第9類

第10類-

第14類第15類 第16類 第17類 第18類 第19類 第20類 第21類 第22類 第23類 第24類

日シンガポール

日メキシコ産品の取引価額の

10%以下(※1) × ×

日マレーシア日インドネシア日ブルネイ日フィリピン

2008.92:産品の

FOB価額の10%以下

2008.92以外:産品

のFOB価額の7%以

日タイ

1803.10,1803.20,

1805.00:産品の

FOB価額の10%以下

2103.90:産品のFOB

価額の7%以下

その他:× その他:×

日スイス

0901.21,0901.22:

産品のFOB価額の

10%以下

1803.10,1803.20,

1805.00:産品の

FOB価額の10%以下

2103.90:産品のFOB

価額の7%以下

その他:× その他:× その他:×

1604.20,1605.20 ,

1605.90:×2101.11, 2101.20,

2106.10, 2106.90:× 2207.10,2207.20:×

日ペルー産品のFOB価額の

10%以下(※2) × ×

日オーストラリア

日モンゴル

※1:産品の生産に使用する非原産材料が協定第25条の規定に従って原産品とされる産品と異なる号に掲げられる場合に限り適用される。

※2:産品の生産に使用する非原産材料が協定第44条の規定に従って原産品とされる産品と異なる号に掲げられる場合に限り適用される。

※3:産品の生産に使用する非原産材料が協定第3・4条の規定に従って原産品とされる産品と異なる号に掲げられる場合に限り適用される。

※4:産品の生産に使用する非原産材料が協定第3・6条の規定に従って原産品とされる産品と異なる号に掲げられる場合に限り適用される。

産品のFOB価額の10%以下(※3)

産品のFOB価額の10%以下(※4)

産品のFOB価額の7%

以下

産品のFOB価額の7%以下

産品のFOB価額の10%以下 産品のFOB価額の10%以下

×

×

産品の取引価額の10%以下(※1)

× 産品のFOB価額の7%以下 ×

日チリ

産品のFOB価額の10%以下× 産品のFOB価額の10%以下× ×産品のFOB価額の

10%以下

産品の取引価額の10%以下(※1)

×

日アセアン包括

日ベトナム

×

×産品のFOB

価額の7%

以下

産品のFOB価額の

7%以下

×

産品のFOB価額の10%以下(※2) 産品のFOB価額の10%以下(※2)

その他:産品の

FOB

価額の7%以下

産品のFOB

価額の7%

以下×

×産品のFOB価額の

10%以下

産品の工場渡し価額の7%以下

×

その他:産品の

FOB価額の7%以下

日インドその他:産品の

FOB

価額の7%以下

産品のFOB価額の7%以下

45

参 考

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僅少の非原産材料の適用対象品目の比較表 *適用できる品目、閾値はEPAごとに異なる。

第25類 第26類-

第27類第28類 第29類

第30類-

第34類第35類

第36類-

第37類第38類

第39類-

第45類第46類

第47類-

第49類第50類 第51類 第52類 第53類

第54類-

第63類第64類-第97類

日シンガポール産品のFOB価額の

10%以下

日メキシコ産品の取引価額の

10%以下

日マレーシア日インドネシア日ブルネイ日フィリピン

産品のFOB価額の

10%以下

日タイ産品のFOB価額の

10%以下

日スイス産品の工場渡し価

額の10%以下

2501.00:産品の

FOB価額の7%以下

2906.11, 2918.14,

2918.15,2940.00:産品のFOB価額の7%以下

3505.10,3505.20:

産品のFOB価額の

7%以下

3809.10,

3824.60:

産品のFOB価額の

7%以下

4601.29, 4601.94,

4602.19:

×

5001.00,

5003.00:

×

51.02,

51.03:

×

52.01ー

52.03:

×

53.01,

53.02:

×

2905.44:×3502.11,3502.19:

×

その他:産品の

FOB価額の10%以下

その他:産品の

FOB価額の10%以下

日ペルー産品のFOB価額の

10%以下

日オーストラリア産品のFOB価額の

10%以下

日モンゴル産品のFOB価額の

10%以下

※1:産品の生産に使用する非原産材料が協定第25条の規定に従って原産品とされる産品と異なる号に掲げられる場合に限り適用される。

※5:産品の関税分類を決定する材料に含まれる特定の繊維又は糸が所定の関税分類変更を満たしていないことを理由として当該産品が原産品と認められない場合に限り適用される。

※6:例外として,第32.04項及び第34.02項は,産品と同じ項に属する非原産材料については工場渡し価額の20%以下の場合と規定されている。

産品のFOB価額の10%以下 産品の重量の10%以下

産品のFOB価額の10%以下 産品の重量の10%以下

×

×

産品のFOB価額の10%以下 産品の重量の 7%以下日チリ

日アセアン包括

日ベトナム

産品のFOB価額の

10%以下

産品の

FOB価額

の10%以

産品の重量の 7%以下

産品のFOB価額の10%以下 産品の重量の10%以下

産品の工場渡し価額の10%以下(※6)

×産品のFOB価額の

10%以下

×その他:産品の

FOB価額の10%以下

その他:産品の

FOB価額の10%以下

産品のFOB価額の

10%以下

産品のFOB価額の10%以下 産品の重量の10%以下産品のFOB価額の

10%以下

産品のFOB価額の10%以下 産品の重量の 7%以下

産品の重量の10%以下

関税分類を決定する材料に含まれる特定の繊維又は糸の総重量が当該材料の総重量の7%以下である場

合(※5)

産品の重量の 7%以下

×

×

産品の取引価額の10%以下

(※1)産品の取引価額の10%以下

産品のFOB価額の10%以下

産品のFOB価額の10%以下

×

産品の重量の10%以下産品のFOB価額の10%以下

日インド

その他:× その他:産品の重量の7%以下

産品の重量の7%以下

産品の

FOB価額

の10%以

産品の

FOB価額

の10%以

産品の

FOB価額

の10%以

産品の

FOB価額

の10%以

46

参 考

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日本A国

包帯

第30.05項

はさみ

第82.13項

原産資格を与えることとならない作業(タイEPA)

タイEPA 第31条

(a) 輸送又は保管の間に産品を良好な状態に保存することを確保する作業 ( 乾燥、冷凍、塩水漬け等 ) 等

(b) 改装及び仕分

(c) 組み立てられたものを分解する作業

(d) 瓶、ケース及び箱に詰めることその他の単純な包装作業

(e) 一の産品として分類される部品及び構成品の収集

(f) 物品を単にセットにする作業

(g)(a)から(f)までの作業の組合せ

日本で単に物品をセットにしただけの場合、日本の原産品とは認められない。

第3006.50号の品目別規則 : 他の項の材料からの変更

項 (4桁の関税分類番号)救急箱(セット)

第3006.50号

47

特定の作業が行われることのみをもって、品目別規則に定める関税分類変更基準又は加工工程基準を満たすものとはしないという規定

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あなたの会社が(日本で)生産した産品が、あるEPAの下で、日本の原産品と認められるか否かを

判断するためには、どのような情報が必要か?

以上をまとめると(原産地基準)

48

上記の説明には、必ずしも充分ではない部分があります。それらも含め、ご不明な点は、原産地調査官までお問い合わせください。(スライド 74)

① あなたの会社で生産している(扱っている)産品についての関税分類番号(6桁)及び、その関税分類番号に対応する品目別規則

② あなたの会社で生産している(扱っている)産品の材料・部品の生産国

材料・部品が日本で生産されている場合

③ その材料・部品が日本の原産品であるかを判定する必要あり

完全生産品

産品(材料)の育成、捕獲、収穫または採取された場所

材料・部品が日本以外で生産されている場合

④ 日本以外で生産されている材料・部品の全てが、①で確認した産品の品目別規則を満たしているか判定する必要あり

関税分類変更基準

材料・部品の関税分類番号(6桁)

加工工程基準

材料・部品の加工・生産工程

スライド 22

付加価値基準

産品のFOB価額及び日本

以外で生産された材料・部品のCIF価額の総額

スライド 32 スライド 35 スライド 38

除外的な規定

スライド 47

救済的な規定

スライド 43、44

スライド 25

材料・部品の生産に日本以外で生産された材料が使われている産品

右記④のグループの情報

原産品(日本)であることを判断するための情報(概要)

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完全生産品

実質的変更基準を満たす産品

実質的変更基準の例外

累 積

関税分類変更基準

加工工程基準

付加価値基準

僅少の非原産材料

原産資格を与えることとならない作業

原産材料のみから生産される産品

実質的変更基準

(材料:非原産材料を使用)

(材料:原産材料のみ)

(材料:[自然]または

完全生産品のみ)

原産地規則の3つの構成要素

3種類の原産品

原産地規則

原産地基準

積送基準

手続的規定

EPA原産地規則の構成(概要)

49

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貨物が相手国に到着するまでに原産品としての資格を失っていないか

どうかを判断する基準

直接運送されること

第三国を経由する場合には、当該第三国において許容される作業

は、積卸し及び産品を良好な状態に保存するために必要なその他の

作業のみ

積 送 基 準

相手国日本

第三国

50

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日本から輸出されたあなたの会社の産品(日本で生産し、日本の原産品と認められるもの)が、

積送基準を満たしているか否かを判断するためには、どのような情報が必要か?

以上をまとめると(積送基準)

51

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完全生産品

実質的変更基準を満たす産品

実質的変更基準の例外

累 積

関税分類変更基準

加工工程基準

付加価値基準

僅少の非原産材料

原産資格を与えることとならない作業

原産材料のみから生産される産品

実質的変更基準

(材料:非原産材料を使用)

(材料:原産材料のみ)

(材料:[自然]または

完全生産品のみ)

原産地規則の3つの構成要素

3種類の原産品

原産地規則

原産地基準

積送基準

手続的規定

EPA原産地規則の構成(概要)

52

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第三者証明制度 輸出国の発給機関

②原産性の事前審査

③ 発給

輸出国

① 申請

生産者

必要な情報

原産地証明書

「原産品であること」の証明方法

輸出者

輸入国税関

(EPA税率)

⑤輸入申告 原産地

証明書

輸入国

輸入者

(※ スイス、ペルー及びメキシコ協定で導入)

輸出国

④ 輸 出

④ 輸 出③ 認定輸出者

の認定

① 申請

生産者

必要な情報

輸出者

輸出国の権限のある政府当局

② 認定輸出者としての資格審査

原産地申告

認定輸出者申告制度

(

EPA税率)

⑤輸入申告

輸入国

輸入者

輸入国税関

原産地申告

自己申告制度

輸出国

② 輸 出

生産者

必要な情報

輸出者

①原産品申告書作成可

①原産品申告書作成可

(

EPA税率)

③輸入申告

輸入国

輸入者

輸入国税関

④ 原産性の審査及び事後確認

①原産品申告書作成可

原産品申告書

その他

の資料

53

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○ 次の1、2、3の書類のうち、いずれかの書類

輸出国の政府・関係機関が発給するもの

1 原産地証明書

ご自身でご用意いただけるもの

2 認定輸出者による自己証明(原産地申告)*1

(日スイスEPA、日ペルーEPA 及び 日メキシコ

EPAをご利用の場合)

3 原産品申告書等

(日豪EPAの自己申告制度をご利用の場合)

“手続的規定を満たすこと”をどのように確認するのか?

輸入国において必要な書類の準備

○ 貿易取引に関する書類

通し船荷証券の写し等

輸入国の税関

提出

(※)EPA税率の適用を受ける際に必要な書類は、EPAにより異なる場合があります。

*1: 原産地申告を記入したインボイス等の商業上の書類

54

(原産地基準)

(積送基準)

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55

特 定 原 産 地 証 明 書(日本からの輸出) 原 産 地 証 明 書(日本への輸入)

参 考

( ※ ) 各 E P A で 様 式 は 異 な り ま す 。

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以上をまとめると(手続的規定)

日本から輸出されたあなたの会社の産品(日本で生産し、日本の原産品と認められるものであり、かつ、積送基準を満たしているもの)が、原産品であり、かつ、積送基準を満たしていることを立証するためには、どのような情報・手続が必要か?

① 税関に対して、原産地基準を満たしていることの証明・申告

イ 第三者証明制度 ・・・・・ 商工会議所等の公的機関が証明する原産地証明書

(全協定で採用)

ロ 認定輸出者申告制度 ・・・ 輸出国の政府が認定した者による原産地申告

(スイス、ペルー、メキシコ協定で採用(「イ」と併用))

ハ 自己申告制度 ・・・・・・ 輸入者、輸出者又は生産者が自ら作成した原産品申告書

(オーストラリア協定で採用(「イ」と併用))

② 税関に対して、積送基準を満たしていることの証明

第三国を経由して輸入される場合には、次のいずれかの書類

イ 通し船荷証券の写し

ロ 貨物について積替え、一時蔵置若しくは博覧会等への出品がされた当該第三国の税関

その他の権限を有する官公署が発給した証明書

56

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(イ)輸入者に対し、貨物が原産品であることを示す情報を要請/質問検査。(ロ)輸出締約国の発給機関又は税関当局に対し、原産性の事後確認のための情報を要請。(ハ)輸出者や生産者に対し、貨物が原産品であることを示す情報を要請。(ニ)輸出者や生産者の施設に原産性の事後確認のための訪問を実施。

(注)上記(イ)~(ニ)までの事後確認手続に優先順位はない。

◆ 輸入者、輸出者又は生産者が十分な情報を提供しない場合等はEPA税率の適用を否認。

「原産品であること」の事後確認

輸入国税関

輸出国

(ニ) 訪 問

(ハ)情報要請

(イ)情報要請 / 質問検査(ロ)’情報要請 / 質問検査

輸出国の当局

輸入国

生産者 輸出者 輸入者

(ロ)情報要請

57

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原産地認定のケーススタディ

① エビの調製品(輸入:累積)

② パスタソース(輸出:僅少の非原産材料)

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材 料 名 HS番号 原産国等

① エビ 03.06 タイ産

② イトヨリ 03.02 タイ産、インド産、又は 日本産

③ たまねぎ 07.12 タイ産

④ 豚肉 02.03 メキシコ産

⑤ 小麦粉 11.01 カナダ産

①エビの調製品(輸入:タイEPA)

輸入者は、エビの調製品を輸入します。以下の材料を使用して、タイ

で製造されたエビの調製品(第1605.20号)が、タイEPA上のタイ原

産品として認められるか検討してみましょう。

59

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エビの調製品(1605.20)

えび(3類)タイ産

小麦粉(11類)カナダ産

イトヨリ(3類)タイ産

豚肉(2類)メキシコ産

たまねぎ(7類)タイ産

タイEPA 第1605.20号 品目別規則

第1605.20号の産品への他の類の材料からの変更(第3類の非原産材料を使用する場合には、当該非原産材料のそれぞれが東南アジア諸国連合の加盟国である第三国において漁ろうにより得られ、又は東南アジア諸国連合の加盟国である第三国において登録され、かつ、当該第三国の旗を掲げて航行する船舶により当該第三国の領海に属しない海から得られる場合に限る。)

60

タイ

①エビの調製品(輸入:タイEPA)

タイEPA上のタイ原産品と認められる。

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エビの調製品(1605.20)

えび(3類)タイ産

小麦粉(11類)カナダ産

豚肉(2類)メキシコ産

たまねぎ(7類)タイ産

タイEPA 第1605.20号 品目別規則

第1605.20号の産品への他の類の材料からの変更(第3類の非原産材料を使用する場合には、当該非原産材料のそれぞれが東南アジア諸国連合の加盟国である第三国において漁ろうにより得られ、又は東南アジア諸国連合の加盟国である第三国において登録され、かつ、当該第三国の旗を掲げて航行する船舶により当該第三国の領海に属しない海から得られる場合に限る。)

61

タイ

①エビの調製品(輸入:タイEPA)

イトヨリ(3類)インド産

アセアン加盟国ではない

タイEPA上のタイ原産品と認められない。

東南アジア諸国連合 : シンガポール、ベトナム、ミャンマー、ラオス、 ブルネイ、マレーシア、タイ 、カンボジア、 フィリピン、インドネシア (10カ国)

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エビの調製品(1605.20)

えび(3類)タイ産

小麦粉(11類)カナダ産

豚肉(2類)メキシコ産

たまねぎ(7類)タイ産

タイEPA 第1605.20号 品目別規則

第1605.20号の産品への他の類の材料からの変更(第3類の非原産材料を使用する場合には、当該非原産材料のそれぞれが東南アジア諸国連合の加盟国である第三国において漁ろうにより得られ、又は東南アジア諸国連合の加盟国である第三国において登録され、かつ、当該第三国の旗を掲げて航行する船舶により当該第三国の領海に属しない海から得られる場合に限る。)

62

タイ

①エビの調製品(輸入:タイEPA)

イトヨリ(3類)日本産

東南アジア諸国連合 : シンガポール、ベトナム、ミャンマー、ラオス、 ブルネイ、マレーシア、タイ 、カンボジア、 フィリピン、インドネシア (10カ国)

アセアン加盟国ではない。ただし、日本原産品については、累積の規定が適用可能。 累積の規定

の適用によりタイEPA上のタイ原産品と認められる 。

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第3類 魚

日本原産品

日本

タイ

タイEPA 第29条 累積産品が一方の締約国の原産品であるか否かを決定するに当たり、当該一方の

締約国において当該産品を生産するための材料として使用される他方の締約国の原産品は、当該一方の締約国の原産材料とみなすことができる。

累積を適用することによってタイの原産材料とみなすことができる

エビの調製品

相手国の原産品を自国の原産材料とみなすという考え方

非原産材料

63

累 積

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材 料 名 HS番号 原産国等

① パプリカ粉末 09.04 アメリカ産

② 塩 25.01 ブラジル産

③ にんにくの粉 20.05 チリ産

④ オリーブ油 15.09 チリ産

⑤ ナス 07.09 日本産

②パスタソース(輸出:メキシコEPA)

輸出者は、メキシコにパスタソースを輸出します。以下の材料を使用

して、日本で製造されたパスタソース(第2103.90号)が、メキシコEP

A上の日本原産品として認められるか検討してみましょう。

ナス以外は全て非原産材料 64

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メキシコEPA 第21.03項-第21.04項 品目別規則

第21.03項から第21.04項までの各項の産品への他の類の材料からの変更(第7類または第20類の材料からの変更を除く)

ソース(2103.90)

パプリカ粉末(9類)アメリカ産

②パスタソース(輸出:メキシコEPA)

65

日本

ナス(7類)日本産

塩(25類)ブラジル産

にんにくの粉(20類)チリ産

オリーブ油(15類)チリ産

メキシコEPA上の日本原産品と認められない。

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メキシコEPA 第21.03項-第21.04項 品目別規則

第21.03項から第21.04項までの各項の産品への他の類の材料からの変更(第7類または第20類の材料からの変更を除く)

ソース(2103.90)

100円パプリカ粉末(9類)

アメリカ産

②パスタソース(輸出:メキシコEPA)

66

日本

ナス(7類)日本産

塩(25類)ブラジル産

にんにくの粉(20類)チリ産 5円

オリーブ油(15類)チリ産

僅少の非原産材料の規定の適用によりメキシコEPA上の日本原産品と認められる。

産品と規則を満たさない非原産材料の価額が上図のような場合

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非原産材料のにんにく粉(第20類)が品目別規則を満たしていないことから、製品は日本の原産品と認められない。

仮に、にんにく粉の価額が右図のとおりとすると、にんにく粉の価額はパスタソースの価額の5%

➡ メキシコEPAの場合、10%以下なら僅少の非原産材料の規定が適用可能(ただし、当該材料が製品と異なる号に掲げられることを要件とす

る)。

製品は日本の原産品と認めることが可能となる。

関税分類変更基準を満たさない非原産材料があったとしても、それがごく僅かなものなら無視しようという考え方

※原産地証明書に「DMI」の記載が必要

僅少の非原産材料

67

メキシコEPA 第21.03項-第21.04項 品目別規則

第21.03項から第21.04項までの各項の産品への他の類の材料からの変更(第7類または第20類の材料からの変更を除く)

パスタソース(2103.90)100円

原産材料(日本産)

非原産材料

にんにくの粉(20類)

5円

日本

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参 考

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出所:内閣官房ホームページ「環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定)の概要」(内閣官房TPP政府対策本部作成資料)

○TPP協定が2015年10月に大筋合意された。2016年2月4日に署名。

第3章. 原産地規則及び原産地手続

輸入される産品について、関税の撤廃・引下げの関税上の特恵待遇の対象となるTPP域内の原産品として認められるための要件及び特恵待遇を受けるための証明手続等を定める。

本章のルールにより、例えば以下のようなメリットが考えられる。

(1) TPP特恵税率の適用が可能な12か国内の

原産地規則の統一(事業者の制度利用負担の緩和)

(2) 輸出者、生産者又は輸入者自らが原産地証明書を作成する制度の導入(貿易手続の円滑化)

(3) 完全累積制度の実現

TPP協定においては、複数の締約国において付加価値・加工工程の足し上げを行い、原産性を判断する完全累積制度を採用。日本が締結済みのEPAにおいても、メキシコ、ペルー等で完全累積制度を採用している。

(参考)「完全累積制度」概念図

(4) 広域FTA化による原産品輸送の容易化(立証負担の緩和)

二国間のFTAにおいては、産品の輸送の際に第三国を経由した場合には、当該貨物の原産性が維持されているか否かについて輸入国税関に対し立証する負担がある。一方で、TPPは全ての締約国を一つの領域とみなす広域FTAであり、全ての締約国の領域内を移動する限りにおいては、貨物の原産性が維持されることになる。

TPP原産地規則の概要

70

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『輸出入の手続き』をクリック

『事前教示』はここをクリック

『各EPAの協定条文・品目別規則』はここをクリック⇒次のページへ

71

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『輸出入の手続き』をクリック

『不備のある原産地証明書等の取扱い』『各EPAの協定条文・品目別規則』はここをクリック

⇒次のページへ

品目別規則

原産地証明書記載要領説明会資料

『協定・法令等』をクリック

72

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輸入者の皆様へ

輸入通関をよりスムーズに行い、一層の正確性を期すため、

原産地認定 についての

「文書による事前教示」とは、輸入を予定している貨物の原産地を税関に文書で照会し、文書で回答を受けることができる制度で、

●事前に一般特恵税率や経済連携協定税率の適用が可能か知ることができる

●輸入申告時に回答書を添付することにより、原産地の認定がスムーズに行われ、貨物の引取りが早くなる

●回答内容は、照会された商品の輸入通関審査に際し、3年間尊重される

などのメリットがあります。

◎ 《 文書による事前教示照会書の様式の入手方法 》

・税関ホームページ(http://www.customs.go.jp)からダウンロードできます。

・トップページのピックアップ中「 輸出入手続 税関様式・記載要領」

→「関税法関係[C]」で様式の一覧表が表示されます。

○ 原産地については、事前教示に関する照会書(原産地照会用) (C-1000-2)」

◎ 《 具体的な手続等に関しては、関税法基本通達7-17、7-18、7-19-2をご参照ください。》

・税関ホームページ( http://www.customs.go.jp )からご覧になれます。73

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照 会 先

● EPA、原産地規則に関してご質問がある場合

・ 大阪税関業務部原産地調査官

メールアドレス : [email protected]

電話番号 : 06-6576-3196

● 一般的な輸出入手続きに関してご質問がある場合

・ 大阪税関業務部税関相談官

メールアドレス : [email protected]

電話番号 : 06-6576-3001

74

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ご清聴ありがとうございました