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第10次千葉県卸売市場整備計画 平成28年8月 千葉県

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第10次千葉県卸売市場整備計画

平成28年8月

千葉県

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目 次

第1 計画策定の趣旨‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1

第2 本県卸売市場の現状と課題

1 卸売市場の現状‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1

2 卸売市場の課題‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3

第3 卸売市場整備の基本的な考え方

1 県内卸売市場の役割‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 4

2 県内卸売市場の取り組むべき施策‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 5

第4 計画期間‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 8

第5 卸売市場の適正な配置の方針

1 生鮮食料品等の流通事情‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 8

2 品目別流通圏の設定‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥12

3 卸売市場配置計画‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥12

第6 近代的な卸売市場の立地並びに施設の種類、規模、配置及び構造に

関する基本的指標‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥13

第7 取引及び物品の積卸し、荷さばき、保管等の合理化並びに物品の

品質管理の高度化に関する基本的な事項‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥17

第8 卸売業者及び仲卸業者の経営の近代化の目標‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥21

第9 その他‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥24

(第1表) 卸売市場流通量の現状と見通し‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥26

(第2表) 品目別流通圏の設定‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥27

(第3表) 卸売市場配置計画‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥28

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第1 計画策定の趣旨

卸売市場整備計画は、適正かつ健全な市場取引を確保するため、卸売市場

法に基づき、概ね5年ごとに卸売市場の計画的な配置や機能強化等について

定めるものであり、今後の卸売市場整備・運営の基本となるものである。

近年、卸売市場を取り巻く環境は、消費者ニーズの多様化、市場外流通の

拡大や産地の大型化、量販店等大口需要者の増大に加え、輸入生鮮食料品等

の増大、IT(情報通信技術)を活用した商流・物流の進展等、大きく変化し

ている。

このような中、県では、国の卸売市場整備基本方針等を受け、開設者や卸

売業者の意向確認及び学識経験者からの意見聴取等を踏まえ、生鮮食料品等

流通の拠点施設である県内卸売市場の機能強化等を図る基本指針として、第

10次千葉県卸売市場整備計画を策定し、公表するものである。

第2 本県卸売市場の現状と課題

1 卸売市場の現状

卸売市場は、地域における生鮮食料品等の流通拠点として、622万県民

の健康で、豊かな食生活の維持・向上に重要な役割を果たしている。(県内

卸売市場数70、うち消費地市場32・産地市場38)

卸売市場を取り巻く本県の生鮮食料品等の生産・流通の特徴を見ると、次

のような点が挙げられる。

○県内卸売市場については、中央卸売市場は配置されておらず、消費地市場・

産地市場ともに、比較的規模の小さなものが多数配置されている。また、

公設卸売市場に入場する卸売業者には、東京都中央卸売市場の卸売業者と

の資本提携の関係にあるものも多く、系列業者間での取引も多い。

○県内卸売市場の経営状況については、取扱高は減少傾向にあり、平成26

年度では、消費地市場の卸売業者の大半が営業損失を計上している。同時

に、平成26年度の県内公設卸売市場(7市8市場)の決算を見ると、開

設7市全てが一般会計からの繰入れを行っている。

○食料消費の形態については、単身世帯の増加や、女性の社会進出等の生活

スタイルの多様化を背景として、外食機会の増大や、家庭における調理を

惣菜等の中食で代替させる等、大きく変化している。加工品需要が高まっ

ており、県内量販店等では加工機能の整備等負担が増加している。

○流通構造の変化については、県外卸売市場と県内実需者間との取引、直売

所・産地直送・通信販売等の市場外流通、商社・問屋による実需者への販

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売、仲卸業者の直荷等、県内卸売市場を経由しない多様な流通経路が拡大

している。市場外流通の多くは契約取引であり、対応できる産地は、経営

規模を有する生産者・生産者組織に限られる。

○本県は膨大な人口を抱える東京都に隣接する地域であり、生鮮食料品等流

通の広域化に伴い、県西部の都市地域については、東京都の商業圏に組み

入れられている。

○県内産地については、本県は全国屈指の農林水産県であり、県内で多種多

様な品目が生産されている。一方、出荷組織の大型化・物流コストの上昇

等に伴う、大ロットの出荷や物流コストの削減に取り組む傾向から、出荷

先は絞り込まれており、大規模な首都圏市場に出荷が集中している。

○県内産地の一部では、生産者の減少・高齢化の傾向がみられ、生産基盤の

脆弱化や集落機能の維持が懸念されている。それに伴い、地域によっては

担い手不足がより顕在化し、耕作放棄地の更なる増加も懸念されている。

○県内実需者については、量販店のシェアが拡大している。県内大型量販店・

外食チェーンは、品揃えや配送の効率性等から、大規模な首都圏市場から

の一括仕入を行っており、県内市場利用率は高くない。

○近年、海外の需要の取り込みを目指した国産農林水産物の輸出等の取組が

全国で展開されている。しかしながら、産地が単独で取り組むには、設備

面・手続き面等の課題が多い。

また、品目別の生産・流通の特徴をみると、次のような点が挙げられる。

(1)青果

市場取扱量・市場経由率については、食の外部化を背景に加工品が増加

し、市場外流通が拡大したこと等により減少している。

県内産地については、本県は大消費地である東京都に隣接していること

から、青果物の共販率は40%程度で推移しており、個人出荷によるもの

の割合が比較的高い(全農千葉県本部取扱共販比率 44.8% 平成25

年実績)。また、生産者が高齢化している産地では、無選別・バラ詰め・

コンテナの利用等、出荷にかかる労力の削減に取り組んでいる。一方、産

地による出荷先の絞り込みが増長しており、県内卸売市場は大規模な首都

圏市場のサテライト的な位置付けになっている。

(2)水産物

全国の市場外流通を含めた水産物の総流通量は長く減少してきたが、こ

こ数年は横ばい傾向である。水産物については、調理に手間がかかること

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から敬遠される傾向がある一方、近年は健康に良いということが浸透し、

消費の追い風になっている。

また、消費地市場での市場取扱量は、中央卸売市場では減少、地方卸売

市場では横ばいで推移している。市場経由率は、青果と同様に食の外部化

を背景に加工品が増加し、市場外流通が拡大したこと等により減少してい

る。

産地市場では、水揚量の伸び悩み等により取扱量は減少しているが、漁

獲物の種類が多く、天候や漁業資源の動向等により漁獲量が変動する漁業

にとって、集荷・選別・決済等、依然として重要な役割を果たしている。

(3)花き

総流通量については、国内産地の縮小や若年層を中心とした花き離れ等

により減少している。市場経由率については、品目・品種が非常に多く、

小売構造が零細であるため高い。一方で、近年、インターネットや物流セ

ンターのみの取引を行う等市場外流通も見られる。

このような動向に対し、県内卸売市場では消費宣伝や、自社で簡易な加

工を行う等実需者の負担軽減に取り組んでいる。

2 卸売市場の課題

このような卸売市場の現状を踏まえ、卸売市場の機能強化に向けて、今後

取り組むべき課題としては、次の点が挙げられる。

(1)県内卸売市場の適正な配置

地方卸売市場の集荷力を維持・強化することは、地域における生鮮食

料品等の円滑な供給を図る上で大きな課題であり、県内卸売市場の適正な

配置を通じ、卸売市場流通全体を活性化することは急務である。

(2)各卸売市場における経営戦略の確立

消費形態の多様化が進展し、産地・実需者が卸売市場に求める役割が

変化している中、卸売市場ごとに立地・顧客特性に応じた機能強化に取り

組むことが必要であり、開設者及び市場関係業者は、各卸売市場のあり方

等を明確化した経営展望の策定等により、各卸売市場の経営戦略を確立す

ることが重要である。

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(3)卸売業者等の機能強化

卸売業者等は、立地・顧客特性等を踏まえつつ、選択と集中による機能

の高度化等を進めることで、卸売市場流通全体として、求められる機能の

強化を図ることが必要である。なお、機能強化を図る際は、顧客ニーズ主

導で検討を行っていくマーケットイン型の発想をとることが重要である。

ア 魅力的かつ特色ある品揃えの確保

実需者の多様なニーズに対応するため、多種多様な品揃えを行ったり、

実需者のニーズを事前に把握したりすることが必要である。

イ 流通の効率化及び活性化

生鮮食料品等の流通の中間に位置する立場として、出荷コストの削減、

優位性を発揮できるサービスの提供、円滑な情報伝達等によるニーズのマ

ッチングや新規需要の喚起等に取り組むことにより、流通の効率化及び活

性化の実現に寄与することが、継続的に産地や実需者に選ばれる市場を運

営していくうえで必要である。

ウ 卸売業者及び仲卸業者の経営体質の強化

卸売業者及び仲卸業者は、卸売市場の機能を実際に担う主体であること

から、卸売市場の機能強化を図るためには、卸売業者及び仲卸業者の経営

体質を強化し、健全かつ安定した経営を行うことが必要である。

エ 社会的要請への適切な対応

卸売市場は、生鮮食料品等の流通の要として、本県農林水産業の振興

に寄与することが求められており、また、その社会的な信頼を引き続き確

保、向上させるため、様々な社会的な要請に積極的かつ適切に対応するこ

とが必要である。

第3 卸売市場整備の基本的な考え方

1 県内卸売市場の役割

このような状況の下、県では、生鮮食料品等の安定供給や集荷・分荷機能、

公正な価格形成機能を持つ県内卸売市場を、引き続き生鮮食料品等の基幹的

な流通ルートと位置付け、今後も生鮮食料品等流通の要としての役割を果た

せるように取り組んでいく。

ただし、県内卸売市場は、引き続き、県民に対し安定的に生鮮食料品等を

供給する使命を果たしていくとともに、卸売業者等の経営基盤の安定・強化

及び卸売市場全体の活性化のため、その手段の一つとして、各卸売市場の立

地条件や強み等を生かした新たな需要開拓に取り組むことも必要である。

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2 県内卸売市場の取り組むべき施策

1で述べた役割を果たすため、第2の2で述べた課題に対して次の施策に

取り組む。

(1)県内卸売市場の適正な配置

県内卸売市場における集荷力の低下傾向を踏まえ、地域における生鮮食

料品等流通の核となる市場を、地域拠点市場として整備する等、適正な配

置を行う。

(2)各卸売市場における経営戦略の確立

ア 経営展望の策定

開設者及び市場関係業者は、市場毎の実情に応じ、目指すべき卸売市場

としてのビジネスモデルの方向等の基本戦略や、具体的な行動計画を定め

た経営展望を一体となって策定し、経営戦略的視点に立った創意工夫ある

取組をより一層強化、徹底する。

イ 経営展望に対する継続的な協議

経営展望の実効性を高め、卸売市場を取り巻く情勢変化に的確に対応す

る観点から、開設者及び市場関係業者が一堂に会して協議できる場を定期

的に設ける等により、行動計画の遂行状況について定期的にレビューを行

い、必要に応じて経営展望の見直しに取り組む。

(3)卸売業者等の機能強化

ア 魅力的かつ特色ある品揃えの確保

(ア)県内産地からの集荷強化

本県は全国屈指の農林水産県であり、県内で多種多様な品目が生産

されており、特に青果では、鮮度が良く安全・安心のイメージがある

地場産品は実需者からの需要が高い。そこで、県内出荷団体・個選農家

と連携強化を図りながら、県内産地からの集荷を強化する。

(イ)市場間連携の構築

特色ある地場産品等を集荷し大規模な首都圏の市場と取引をする等、

複数の卸売市場間で、卸売市場ごとの強みを十分に発揮した共存・共栄

関係の構築に努め、双方向・相互融通での荷揃えを効果的に推進する。

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イ 流通の効率化及び活性化

(ア)産地に対する施策

a 流通コストの削減

生産者の高齢化等の現状を踏まえて、本県農林水産業の振興のため、

また、産地の負担低減・経営改善により生鮮食料品等の流通構造を改善

するため、流通コストの削減に取り組む。

青果・花きは、出荷にかかる労力の削減に寄与するため、巡回集荷、

通い容器の導入、出荷規格の簡素化等を導入する。水産物産地市場は陸

送による荷の集約等、流通コストの削減に取り組む。

b 輸出に取り組む産地との連携強化

本県農林水産業の振興及び新たな需要の開拓のため、国際空港・国際

貿易港等に近い立地条件にある卸売市場等は、農林水産物の輸出に係る

拠点としての積極的な機能発揮に努める。また、周辺市場は、輸出拠点

機能を有する市場と連携し、輸出に取り組む産地からの集荷を行う。

(イ)実需者に対する施策

a 付加サービス機能の発揮

実需者のニーズに応じた多様なサービスを提供するため、パッケー

ジ・小分け機能、一次加工・下処理機能、物流機能等の強化に資するよ

う、施設等の整備・配置を行う。又は、事業の円滑な発展を図る観点か

ら、関連ノウハウを有する加工業者等、市場外事業者の取り込みや活用

等を行う。

特に水産物産地市場では、付加価値の向上等、多様なニーズに対応し

た機能の強化に努める。

b リテイルサポートの推進

県内量販店等の県内実需者との連携を強化するため、市場関係者から

主体的な企画提案を行い、販促ツールの作成や店頭 PR 活動を行う等、

リテイルサポートを行う。

(ウ)産地・実需者に共通する施策

a 積極的な情報の受発信

顧客ニーズ主導で検討を行っていくマーケットイン型の発想に基づ

き、産地に対して実需者のニーズに合った産品の作付けを促したり、実

需者に対して産地の出荷動向・商品情報等の情報発信をしたりする等、

川上・川下双方向に対するコーディネート機能を十分に発揮する。その

ために、卸売業者・仲卸業者間で多様な情報を共有するよう努める。

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b 衛生・品質管理の高度化

取扱物品の付加価値向上等のため、自らの経営状況等を考慮しつつ、

コールドチェーンの確保や規範の策定等を通じて、産地・実需者から求

められる衛生・品質管理が徹底された物流システムを計画的に構築する。

特に水産物産地市場は、衛生管理の高度化を図るために、設備の充実

や市場関係者の意識啓発等を推進する。

ウ 卸売業者及び仲卸業者の経営体質の強化

(ア)経営コストの低減

経営の健全性を確保し卸売市場に対する信頼性を高めるため、計画的

な経営管理システムの整備等を図り、経営コストの低減に努める。

(イ)人的資源の強化

生産性の向上のため、経営を担う人材の育成等を強化すると同時に、

職員の労働環境の更なる改善に努めること等により、人的資源を強化す

る。

一方で、情報技術の導入等高度に専門的な分野については、専門ノウ

ハウを有する市場外事業者の活用も視野に入れながら、人材配置の最適

化を図る。

(ウ)大型化及び財務体質の強化

産地・実需者の大型化が進展していることを踏まえて、信頼ある市場

取引を維持発展していくため、経営規模の大型化や、財務体質の強化を

図る。

エ 社会的要請への適切な対応

(ア)本県農林水産業の振興

本県農林水産業の振興に資するよう、産地に対して実需者のニーズに

合った産品の作付けを促す等、産地の所得向上に資する取組を行う。そ

の際、耕作放棄地の活用を促す等、長期的な視点も取り入れること。

(イ)食の安全の確保

取扱食品の安全性と消費者の信頼を確保するため、基本的な衛生管

理の徹底に加え、HACCP の考え方を採り入れた品質管理や外部監査を伴

う品質管理認証、トレーサビリティシステムの導入等、取扱物品の品

質管理の高度化に向けた施設・体制の整備や、コンプライアンス等に

係る規範の策定・徹底等を重点的かつ積極的に推進するとともに、こ

れらの取組状況について、消費者へ積極的かつ効果的に情報を発信し

ていくことに努める。

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(ウ)市場運営に伴う環境負荷の低減

太陽光発電等による新たなエネルギーの産出とその活用、食品廃棄

物・容器包装等のリサイクル、通い容器の導入等による物流業務の効率

化に努めること等によって、環境負荷の低減を促進する。

(エ)災害時等の緊急事態に対する対応機能の強化

卸売市場が災害時等の緊急事態に際しても生鮮食料品等の安定的な

供給という重要な役割を果たせるよう、防災性に配慮した施設整備を

行うとともに、平時から災害発生時を見据えた取組を行う。

(オ)市場の意義の発信

県内卸売市場の生鮮食料品等の流通に果たす重要な役割・機能に対

する理解を醸成するため、産地・実需者等に対し、大規模な首都圏市

場等と比較した特色等について情報発信に努める。

第4 計画期間

平成28年度から平成32年度

第5 卸売市場の適正な配置の方針

1 生鮮食料品等の流通事情

(1)需要の現状と見通し

ア 供給対象人口の推計

本県の人口は、昭和58年に500万人を突破し、その後も増加を続け

て平成14年には600万人を超え、平成27年には622万人(平成

27年国勢調査結果速報)に達しているが、近年においては、少子高齢化

の進展や、長期間にわたる景気の低迷等を背景として、人口増加率は鈍化

する傾向にある。「千葉県将来人口の推計結果」によれば、平成32年に

は612万人となっている。

イ 品目別需要の現状と見通し

生鮮食料品等の今後の需給見通しについて、野菜、果実、水産物につい

ては、「食料需給表(平成25年度)(農林水産省)」を、花きについて

は、「花き生産出荷統計(平成25年産)(農林水産省)」のデータを用

いて、平成16年度から25年度までの動態を近似式で解析して推計する

と次のとおりとなる。

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(ア)青果物

青果物の1人当たり消費量は、野菜は減少傾向、果実は緩やかな減少

傾向で推移している。

a 野菜

本県の平成32年度の需要量は、平成25年度の62万2千トンに対

比して、6.6%減の58万1千トンと推計した。

b 果実

本県の平成32年度の需要量は、平成25年度の29万3千トンに対

比して、11.4%減の26万トンと推計した。

(イ)水産物

水産物の1人当たり消費量は減少傾向にあり、本県の平成32年度の

需要量は、平成25年度の28万6千トンに対比して、20.8%減の

22万7千トンと推計した。

(ウ)花き

花きの需要は、緩やかな減少傾向で推移している。

a 切花

本県の平成32年度の需要量は、平成25年度の1億9千8百万本に

対比して、18.2%減の1億6千2百万本と推計した。

b 鉢物

本県の平成32年度の需要量は、平成25年度の1千2百万鉢に対比

して、22.0%減の9百万鉢と推計した。

(2)卸売市場流通及び市場を経由しない流通等の見通し

ア 卸売市場流通(第1表)

卸売市場流通量の現状と見通しについて、次の方法で県内市場供給量を

推計し、県内市場供給率を算出した。

a 県内市場供給量の算出

① 県内卸売市場取扱量に県内仕向率を乗じて算出し、平成16年度か

ら25年度までの県内卸売市場取扱量の動態を近似式で解析して推

計した。(花きについては、平成18年度から25年度)

② 平成27年度卸売市場データ集(農林水産省)の平成16年度から

平成25年度までの動態を近似式で解析して推計した。

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b 県内市場供給率の算出

県内市場供給量を需要量で除して算出した。

(ア)青果物

県内には公設地方卸売市場8、民営地方卸売市場15、小規模卸売

市場4の計27の卸売市場が設置されている。

平成25年度における県内市場供給量は、30万6千トン(野菜24

万1千トン、果実6万5千トン)で、県内需要量に対する県内市場供給

率は、33.5%(野菜38.8%、果実22.1%)であった。

平成32年度の県内市場供給率の設定に当たっては、減少傾向にある

ことから、県内市場供給量については、25万4千トン~26万9千ト

ン(野菜21万6千トン~22万3千トン、果実3万8千トン~4万6

千トン)で、需要量に対する県内市場供給率は30.3~32.1%(野

菜37.2~38.5%、果実14.8~17.9%)と推計した。

表:県内卸売市場(消費地市場)の青果物取扱量と県内市場供給率 (単位:t)

項 目

野 菜 果 実 青果物合計

平成25年度

(基 準 年)

平成32年度

(目 標 年)

平成25年度

(基 準 年)

平成32年度

(目 標 年)

平成25年度

(基 準 年)

平成32年度

(目 標 年)

需要量

(25 年度対比) 622,170

580,803

(93.4%) 293,200

259,713

(88.6%) 915,370

840,516

(91.8%)

市場流通量

(県内市場取扱量) 349,459

313,088~

※ 323,250 90,900

53,993~

※ 65,175 440,359

367,081~

※ 388,425

県内市場供給量

(県内向け割合)

241,476

(69.1%)

216,334~

※ 223,365

(69.1%)

64,721

(71.2%)

38,443~

※ 46,405

(71.2%)

306,197 254,777~

※ 269,770

県内市場供給率 38.8% 37.2~

※ 38.5% 22.1%

14.8~

※ 17.9% 33.5%

30.3~

※ 32.1%

「※」は、「平成27年度卸売市場データ集(農林水産省)」の平成16年度から平成25年度までの動態

を近似式で解析して推計した。

(イ)水産物

a 消費地市場

県内には公設地方卸売市場5、小規模卸売市場1の計6の卸売市

場が設置されている。

平成25年度における県内市場供給量は、5万2千トンで、県内

需要量に対する県内市場供給率は18.1%であった。

平成32年度の県内市場供給率の設定に当たっては、減少傾向に

あることから、県内市場供給量については、1万8千トン~3万3

千トンで、需要量に対する県内市場供給率は、7.9~14.5%

と推計した。

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表:県内卸売市場(消費地市場)の水産物取扱量と県内市場供給率 (単位:t)

項目

水 産

平成25年度

(基 準 年)

平成32年度

(目 標 年)

需要量

(25 年度対比) 286,163

226,752

(79.2%)

市場流通量

(県内市場取扱量) 57,804

20,057~

※ 36,706

県内市場供給量

(県内向け割合)

51,850

(89.7%)

17,991~

※ 32,925

(89.7%)

県内市場供給率 18.1 7.9~

※ 14.5%

「※」は、「平成27年度卸売市場データ集(農林水産省)」の平成16年度から平成25年度までの動態

を近似式で解析して推計した。

b 産地市場

県内には、地方卸売市場24、小規模卸売市場14の計38の卸売

市場(産地市場)が設置されている。

平成25年度の市場取扱量は、32万3千トンであり、県内業者

向けには、51%に当たる16万6千トンが出荷された。

平成32年度の市場取扱高は、現状維持を目標として、市場取扱

量を32万トン、県内向け取扱量を17万トン前後とした。

(ウ)花き

県内には公設地方卸売市場2、民営地方卸売市場3、小規模卸売市

場1の計6の卸売市場が設置されている。

平成25年度における県内市場供給量は、切花が4,216万本、

鉢物が90万鉢で、県内需要量に対する県内市場供給率は、切花が

21.3%、鉢物が7.7%であった。

平成32年度の県内市場供給率の設定に当たっては、引き続き減少

傾向にあることから、県内市場供給量については、切花が3,377

万本~3,672万本、鉢物が54万鉢~72万鉢で、需要量に対す

る県内市場供給率は、切花が20.9~22.7%、鉢物が5.8~

7.9%と推計した。

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表:県内卸売市場の花き取扱量と県内市場供給率 (単位:千本、千鉢)

項目

切 花 鉢 物

平成25年度

(基 準 年)

平成32年度

(目 標 年)

平成25年度

(基 準 年)

平成32年度

(目 標 年)

需要量

(25 年度対比) 197,557

161,621

(81.8%) 11,767

9,183

(78.0%)

市場流通量

(県内市場取扱量) 56,824

※ 45,516

~49,488 1,006

597~

※ 806

県内市場供給量

(県内向け割合)

42,163

(74.2%)

※ 33,772

~36,720

(74.2%)

902

(89.7%)

536~

※ 723

(89.7%)

県内市場供給率 21.3% ※ 20.9

~22.7 7.7%

5.8~

※ 7.9%

「※」は、「平成 27 年度卸売市場データ集(農林水産省)」の平成 16 年度から平成 25 年度までの

動態を近似式で解析して推計した。

イ 卸売市場を経由しない流通

今後も、首都圏市場による県内への販売攻勢の激化、県内一般小売店の

減少とともに、直売所・宅配の増加等により、県内卸売市場を経由しない

流通は増加していくものと見込まれる。

2 品目別流通圏の設定(第2表)

本県の生鮮食料品等の流通は、千葉・東葛飾地域の卸売市場を中心に生

産・流通の大型化が引き続き進展すると予想されることから、整備計画の策

定に当たっては、各品目とも県下全域を1流通圏として、市場供給対象人口

や需要量等を設定する。

3 卸売市場配置計画(第3表)

(1)消費地市場

他市場との統合・連携、また、これらの措置に取り組むことが困難な

場合は産地や実需者との連携による市場機能の強化等に計画的に取り組

んでおり、地域内の生鮮食料品等流通において重要な役割を担う県内卸

売市場を、地域拠点市場として位置付け、必要な取組を積極的に促進す

る。

また、県内卸売業者の経営実態等を適切に把握し、適正かつ健全な運

営が確保されるように指導、情報提供をするとともに、経営基盤の強化

のための統合大型化等や、産地・実需者のニーズに十分に対応するため

に市場間での役割分担・連携強化等を図る市場に対して適切に助言をす

る等、再編について配慮する。

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(2)水産物産地市場

消費者・実需者のニーズの変化、情報化の進展等により、消費地市場

経由率の低下が続く一方、水産物産地市場の集荷(品揃え)機能、価格形

成機能、代金決済機能、情報発信機能は、生産者、実需者のいずれに対し

ても重要である。そのため、次の方針に沿って水産物産地市場の機能強化

を推進する。

○需要の動向や漁港の整備計画との整合性を図りながら、首都圏に位置す

る産地としての優位性を生かし、高鮮度、高品質かつ高度衛生管理に対

応した施設の充実等を推進する。

○漁業協同組合の合併等に対応して、市場の統合整備等に取り組み、経営

体質の強化を図る。

第6 近代的な卸売市場の立地並びに施設の種類、規模、配置及び構造に関す

る基本的指標

1 立地に関する事項

卸売市場の立地については、大規模小売業者、外食産業事業者等の広域

チェーン展開等による生鮮食料品等流通の広域化、大都市圏等の交通混雑等

を勘案し、開設者及び卸売業者等の円滑かつ安定的な業務運営が確保される

よう十分な見通しを踏まえて行う。この場合、特に次の事項について留意す

る。

(1)周辺の土地利用との調整を考慮し、都市計画等との整合性が確保され

ること。特に、流通業務市街地の整備に関する法律(昭和 41 年法律第

110 号)に基づく流通業務施設の整備に関する基本方針との関連性に配

慮すること。

(2)道路等生鮮食料品等流通に関連する公共インフラの整備計画との整合

性が確保され、かつ、災害時等も考慮して交通事情が良好な場所である

こと。

(3)各種施設が適切に配置され、施設利用の効率性が確保され得る地形で

あること。

(4)生鮮食料品等の安全・衛生上適切な環境にある地域であること。

2 施設の種類に関する事項

施設の種類は、次に示すとおりとし、商品・小売の形態や取引方法の変

化・多様化、情報化の進展、物流技術の進歩、食の安全や環境問題に対す

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る社会的要請の高まり等に対応して必要となる施設を計画的に整備する

とともに、整備された施設の効率的な利用及び維持管理の適正化に十分配

慮する。

売場施設

駐車施設

貯蔵・保管施設

輸送・搬送施設

衛生施設

情報・事務処理施設

管理施設

加工処理施設

福利厚生施設

関連事業施設

以上の施設に附帯する施設

なお、水産物産地市場については、以上のほかに、海水浄化施設、水揚・

選別機械設備、計量施設等を実情に応じ整備する。

3 施設の規模に関する事項

国の卸売市場整備基本方針の「卸売市場施設規模算定基準」に基づき、

適正な施設規模を確保する。

4 施設の配置、運営及び構造に関する事項

卸売市場施設の配置、運営及び構造については、生産者及び実需者のニ

ーズや社会的要請に的確に対応する必要があることを踏まえ、卸売市場で

取り扱う生鮮食料品等の品質管理の向上や加工処理等の機能の強化、さら

には環境問題へのより積極的な取組や災害時等の緊急事態への対応機能

の強化等に向けて、特に次の事項に留意する。

その際、公設卸売市場においては、公営企業の経営原則を踏まえ、健全

な市場会計が確保されるよう適切な施設整備と運営の合理化に努め、特に、

施設整備における PFI 事業の活用、施設管理における民間委託の推進や地

方自治法(昭和 22 年法律第 67 号)に基づく指定管理者制度の活用を通じ、

整備・運営コストと市場使用料の抑制等に努める。さらに、卸売市場の利

用者が受ける便益等に応じた費用負担の適正化の観点から、施設の使用料、

入場料等の徴収についても検討する。

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(1)卸売市場施設については、その導入に当たっての費用対効果や市場経

営に及ぼす影響、共同施設の利用に関する卸売業者、仲卸業者等の市場

関係業者間の調整、それら業者の経営への影響等を考慮しつつ、当該卸

売市場の経営戦略に即した計画的な整備・配置を推進すること。

(2)産地との連携強化により魅力的かつ特色ある商品の品揃えを充実させ、

それらに係る集荷・販売力を強化するため、高品質な生鮮食料品等の円

滑かつ効率的な集荷、選果・選別等に対応可能な貯蔵・保管施設、輸送・

搬送施設等の整備・配置を計画的に推進すること。

(3)よりきめ細かなサービスを求める大規模小売業者、専門小売業者、外

食産業事業者等のニーズへの対応を強化するため、提供する多様なサー

ビスに応じた加工処理施設、貯蔵・保管施設、輸送・搬送施設等の整備・

配置を計画的に推進すること。また、施設の配置に当たっては、関連ノ

ウハウを有する加工業者等の市場外業者との連携も考慮すること。あわ

せて、消費者ニーズに応える商品供給のため市場関係業者が一体となっ

て行うリテイルサポート(小売支援活動)等の取組に配慮した施設の運

営に努めること。

(4)コールドチェーンの確立を含めた卸売市場における品質管理に対する

生産者及び実需者のニーズに対応するため、低温の卸売場や荷さばき場、

温度帯別冷蔵庫等の低温(定温)管理・多温度帯管理施設や、衛生施設

等の品質管理の高度化に資する施設の整備・配置を計画的に推進するこ

と。その際、HACCP(食品製造等に関する危害要因を分析し、特に重要

な工程を監視・記録するシステム)の考え方を採り入れた品質管理や、

外部監査を伴う品質管理認証の取得に取り組む卸売市場にあっては、必

要となる施設の早急な整備・配置に努めること。また、施設の整備・配

置に当たっては、取扱物品の構成、生産者や実需者のニーズ、施設整備

に伴う場内物流の効率性への影響、卸売業者や仲卸業者のコスト負担、

立地条件、地域性等を勘案した導入の効果や必要性等も考慮しつつ、卸

売市場ごとに低温(定温)管理施設の整備に係る数値目標や方針を事前

に策定すること。さらに、施設運営に当たっては、コールドチェーンシ

ステムの確立を含めた取扱物品の品質管理を徹底する観点から、適切な

温度管理の徹底に十分配慮すること。

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(5)新規需要の創出を通じた市場関係業者の経営体質の強化、さらには市

場取引の活性化を図る観点から、立地条件等を踏まえつつ、卸売市場が

国産農林水産物の輸出に係る拠点としての機能を発揮するため、必要に

応じて、輸出先が求める品質管理、小分け・包装、多品目混載等に対応

可能な施設を整備・配置すること。

(6)太陽光発電等による新たなエネルギーの産出とその活用、省電力設備

の導入のほか、食品廃棄物、容器包装等のリサイクルに資する施設や塵

埃及び汚水の処理施設の整備・配置、さらには通い容器の導入等による

物流業務の効率化に努めること。また、新たな投資についての卸売業者

や仲卸業者の負担を考慮しつつ、実態を十分に踏まえ、卸売市場ごとに、

温室効果ガスや廃棄物の削減等環境負荷の低減に係る数値目標や方針

を事前に策定した上で、計画的に取り組むこと。

(7)取扱数量の増大が見込まれる卸売市場にあっては、各種施設の増設余

地の確保、施設の立体化等に努めること。特に、大都市にある卸売市場

においては、土地の高度利用を図る観点から、立体的かつ効率的な施設

の配置とすること。

(8)大規模増改築等卸売市場施設の新設に当たっては、原則として外気の

影響を極力遮断する閉鎖型の施設とすること。

(9)施設配置に当たっては、場内搬送経路の最適化を十分考慮するととも

に、必要に応じて自動搬送施設の導入等を行うこと。また、場外におけ

る交通渋滞等を緩和するため、車両誘導の効率化等を図ること。

(10)卸売市場の運営の効率化と卸売市場における物流業務の効率化を図る

ため、

ア 生産者や実需者とのデータ連携や取引の効率化に資する生鮮 EDI 標

準(受発注等の情報を電子的に交換する方法の標準的な取決め)の導入

及び電子タグ(メモリ機能を有する極小の IC チップとアンテナを内蔵

した荷札(タグ))等の情報通信技術の活用

イ 産地や実需者と連携して、流通コストの削減や流通における環境負荷

の軽減に資する通い容器等の導入

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に積極的に取り組むこととし、必要に応じて市場内における LAN(構内

情報通信網)や通い容器に対応した搬送施設の整備と通い容器の一時保

管場所の確保に努めること。

(11)卸売市場施設の構造については、流通事情の変化や情報通信技術の進

展に柔軟に対応できるものとすること。

(12)卸売市場に対する理解醸成とともに、卸売市場の多様な機能の発揮を

図る観点から、必要に応じて、展示・見学施設、研修施設、多目的ホー

ル、アメニティー機能(快適性)を持つ施設等関連施設の整備を図るほ

か、周辺環境との調和を図る観点から可能な限り緑地帯等を設置するこ

と。

(13)公設卸売市場においては、市場運営の効率化の観点から、必要に応じ

て、市場関係者の意向に十分に配慮しつつ、市場の民営化について検討

すること。

第7 取引及び物品の積卸し、荷さばき、保管等の合理化並びに物品の品質管

理の高度化に関する基本的な事項

1 取引の合理化に関する事項

卸売市場における公正な取引と透明性をもった適切な価格形成を引き続

き確保する。その際、卸売市場における取引規制の基本原則は維持しつつ、

特に次の事項に留意して、効率的な取引の確保や卸売業者、仲卸業者等の負

担軽減のための措置を講じ、卸売市場における取引を生産者及び実需者のニ

ーズに的確に対応させるとともに、その活性化を図る。

(1)各卸売市場においては、当該卸売市場の経営戦略に即した機能の強化

等に向けた取組を的確に遂行するため、市場取引委員会の場等を活用し

て十分な議論を行い、卸売業者と仲卸業者との連携の下、それぞれの卸

売市場に適合したバリューチェーン(生産から加工、流通、販売に至る

まで、各事業が有機的につながり、それぞれの工程で付加価値を生み出

していくプロセス)の構築やサプライチェーンマネジメントシステム(商

品供給最適管理システム)の確立等による市場流通の効率化に積極的に

取り組むこと。

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(2)卸売市場の集荷力の低下や産地と実需者間における直接取引の拡大に

対応するため、集荷の共同化、双方向・相互融通での荷揃え、販売の相

互連携等の複数の卸売市場間における効果的な連携や新商品の開発等の

ための産地や実需者との連携を推進し、集荷・販売力の向上を通じた市

場取引の活性化を図ること。なお、市場間連携に取り組むに当たっては、

卸売市場における取引秩序に混乱を来すことのないよう、市場取引委員

会の場等を活用して利害関係者の意見を十分に聴くとともに、協定等の

締結や資本関係の構築等を積極的に行うことにより、卸売市場ごとの強

みを十分に発揮した共存・共栄関係の構築に努めること。

(3)卸売市場における売買取引の方法については、各卸売市場の経済的な

地歩、取扱品目の性質、売手・買手の特徴等の実態を反映するとともに、

実需者の要望や地元生産者及び中小買受人の安定的な取引機会にも配慮

しつつ、卸売市場及び品目ごとの特性に応じた合理的な方法を設定し、

これを遵守すること。なお、売買取引の方法については、市場取引委員

会の場等において不断の検証を行い、必要に応じて見直しを行うこと。

(4)生産者や実需者のニーズに対応した迅速かつ的確な取引を推進するた

め、必要に応じて、法令で定められた取引ルールに係る例外措置の適切

な活用を図ること。特に、商取引を含む社会全体の電子化の進展に対応

して卸売市場の売買取引における情報通信技術の利用を一層推進するた

め、電子商取引の導入を推進するとともに、電子商取引に係る商物一致

原則の例外措置の適用が可能な売買取引においては、その活用に努める

こと。

(5)開設者においては、売買取引に係る事務手続について、市場取引委員

会の場等を活用して利害関係者の意見を十分に聴き、当該卸売市場の経

営戦略も踏まえて、法令の範囲内でより迅速かつ簡易なものとする等柔

軟な運用に努めること。特に、生産者や実需者のニーズへの的確な対応

と卸売業者や仲卸業者の負担軽減を図るため、法令に基づかない事前承

認、各種書類の提出・報告の義務付け等について、その必要性を十分に

検証した上で、法令に規定されていない事務手続の原則廃止、法令に規

定されている事務手続と密接な関連を有する事務手続の電子化への移行

等を積極的に講じ、事務手続の簡素化を徹底すること。また、生産者か

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ら実需者に至るまでの流通全体を通じた情報通信技術の活用や生鮮 EDI

標準の導入、様式・書式の統一等による事務の効率化に向けた取組を推

進すること。

(6)相対取引が増加している中で、卸売市場における価格形成の透明性を

維持、向上し、公正な取引を推進するため、あらかじめ、開設者、卸売

業者、仲卸業者等の市場関係者間において十分な議論を行った上で、開

設者や卸売業者は、日ごと、月ごとの時系列で整理したデータの提供や

インターネット上における検索機能の充実、データ保存期間の延長等、

仲卸業者や専門小売業者その他の実需者、生産者等幅広い関係者のニー

ズや利便性にも可能な限り配慮した取引情報の提供に努めること。

(7)大規模小売業者等の優越的な地位の濫用により、卸売市場における価

格形成において需給以外の要素で価格が形成されることのないよう、各

卸売市場においては、取引条件の明確化、書面化の促進等について積極

的に取り組むとともに、優越的な地位の濫用が疑われる行為があった場

合に行政の相談窓口の積極的な活用を図ることにより、卸売市場におけ

る適正な取引環境の形成に努めること。

(8)卸売市場における売買取引について、円滑・確実な決済を確保するこ

と。また、各卸売市場においては、それぞれの取引実態等をよく踏まえ

た上で、決済事故に対するリスクを軽減する方策について十分な議論を

行うこと。

(9)市場関係者の専門的な知見を十分に活用しつつ、公正な取引と機動的

かつ効率的な市場運営を確保するため、開設者は、各卸売市場の実態に

応じて、市場取引委員会について、実務担当者から成る部会の設置等に

よる機動的・弾力的な開催や、卸売市場全体の利益を考えることができ

る幅広い視野を有する学識経験者等への委員委嘱等を通じ、適切な調査

審議がなされるよう努めるとともに、経営戦略的な視点から卸売市場全

体としての統一的な意思決定を的確に行うよう努めること。

(10)取扱物品に対する消費者等の信頼を確保し、その安心につなげていく

ため、

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ア 原産地表示の徹底等による公正な取引の確保

イ 生産履歴情報等の適切な確認・伝達

ウ 食品衛生上不良な食品の流通防止に向けた検査体制の充実

エ 生鮮食料品等の仕入先及び仕入日、販売先及び販売日等の入出荷に係

る記録の適切な作成・保存を通じたトレーサビリティの確保

に取り組むこと。なお、その際には業務の効率化を通じたコストの削減に

最大限努力すること。

(11)卸売市場に対する生産者、実需者、さらには消費者の信頼の確保と向上

に向けて、卸売市場関係業界における自主行動計画や、卸売業者及び仲卸

業者における企業行動規範の策定を推進すること等により、コンプライア

ンス(法令遵守)の徹底に努めること。

2 物品の積卸し、荷さばき、保管等の合理化に関する事項

商品管理の適正化、食品衛生の確保、ロジスティクス(戦略的物流管理シ

ステム)の展開方向、市場労働の省力化等に配慮し、特に次の事項に留意す

る。

(1)商品形態の変化、多温度帯流通の進展、卸売市場の休業日の増加等に

対応した施設の整備を図るとともに、商品の特性に応じた荷さばき、保

管等に努めること。

(2)加工処理施設、貯蔵・保管施設及び輸送・搬送施設の整備に当たっては、

電子商取引、予約相対取引や見本取引の進展等取引方法の変化、小売形

態の変化、荷さばき、保管、搬送等の効率化等に配慮すること。また、

場外保管施設の適切な活用を推進すること。

(3)自動荷さばき・搬送システム、パレット輸送システム、自動倉庫等の

体系的利用により、荷役労働の省力化を計画的に推進すること。

3 物品の品質管理の高度化に関する事項

開設者、卸売業者、仲卸業者等は、施設の整備と併せて、生鮮食料品等の

鮮度保持のための温度管理、市場内の施設や用具等の洗浄・殺菌、場内搬送

車両の無公害化、品質管理の責任者の設置と責務の明確化等の品質管理の高

度化のための措置に取り組むとともに、当該措置を内容とする品質管理高度

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化規範の策定、同規範の内容及び遵守状況についての不断の検証並びに社内

遵守体制の強化を推進することにより、荷受けから卸売、仲卸、配送に至る

までの各段階において品質管理の高度化に取り組む。

この場合、水産物を取り扱う卸売市場においては、食品衛生法(昭和22

年法律第233 号)に基づく公衆衛生の見地から必要な施設の基準や公衆衛生

上講ずべき措置の基準を遵守する。

さらに、卸売市場における品質・衛生管理の質的向上を図り、その機能と

信頼を向上させる観点から、各卸売市場においては、基本的な衛生管理の徹

底のみならず、HACCPの考え方を採り入れた品質管理や外部監査を伴う品質

管理認証の取得等を通じたより組織的・体系的な品質管理体制の構築を図る。

特に、輸出に取り組む卸売市場にあっては、輸出先の法令で求められるHACCP

に基づく衛生管理の導入等の品質管理の高度化に取り組む。

第8 卸売業者及び仲卸業者の経営の近代化の目標

卸売業者及び仲卸業者については、集分荷機能、情報受発信機能等の卸売

市場の機能を実際に担う主体であることを踏まえ、卸売市場ごとの経営戦略

に即した機能強化、卸売市場に対する信頼の確保等に向けて、特に次の事項

に留意し、その経営体質の強化等を図る。

1 卸売業者

(1)卸売の業務の適正かつ健全な運営を確保し、十分な卸売機能を果たし

ていくため、経営規模の拡大及び経営体質の強化を図ることとし、特に

資本の充実、従業員の資質の向上、省力化システムの導入等による生産

性の向上に努めること。

その際、市場間、市場内、市場外流通等による競争実態、情報システム

の整備状況等を踏まえつつ、合併や営業権の譲受け等による統合大型化や

株式上場による資本強化、さらには卸売市場を越えた卸売業者間の資本関

係の構築等による連携関係の強化を図ること。

(2)経営状況の悪化に対処し、経営の健全性を確保し、卸売市場に対する

信頼性を高めるため、増資等により財務体質の強化を図るとともに、経

営再編によるコストの低減や経営多角化による経営改善に取り組むこと。

県の指導監督を受けて、経営状況の評価と経営の早期改善を図ること。

また、業務の適正かつ健全な運営を確保する観点から、開設者、県は、

適切な指導を行うとともに、長期にわたって改善が図られない卸売業者

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に対して、必要に応じて改善時期や改善事項をより明確化させる等の指

導をする。

さらに、卸売業者の経営の安定を図るため第三者による適時適切な経営

評価の実施に努めること。

(3)管理部門について、計画的な経営管理システムの整備、責任体制の確

立等を図り、事業の計画的かつ一体的な運営の確保と経営コストの縮減

に努めること。

(4)卸売業者の経営は、手数料収入に大きく依存している場合も依然とし

てあることから、その提供する機能・サービスの充実に努め、それに見

合った手数料収入を通じて経営体質の強化に努めること。

2 仲卸業者

(1)仲卸しの業務の適正かつ健全な運営を確保し、十分な仲卸機能を果た

していくため、経営規模の拡大及び経営体質の強化を図ることとし、そ

の際、各卸売市場や取り扱う商品の実態、従業員の高齢化、後継者の有

無等を踏まえ、合併や営業権の譲受け等による統合大型化を図るととも

に、必要に応じて仲卸組合の共同事業として廃業する仲卸業者の営業権

の取得等に取り組むこと。

(2)経営状況の悪化に対処し、経営の健全性を確保し、卸売市場に対する

信頼性を高めるため、財務体質の強化を図るとともに、経営改善に取り

組むこと。その際、開設者が定める指導監督に係る指針、財務基準等を

踏まえ、経営状況の評価と経営の早期改善を図ること。また、業務の適

正かつ健全な運営を確保する観点から、開設者は、指導監督に係る指針

に即して適切な指導を行うこと。

(3)小売業者、外食産業事業者等の仕入ニーズの適切な把握に努め、これ

に対応した商品の小分けや事前処理、保管・配送等の販売業者機能を強

化することにより、小売業者への支援を図ること。また、就労体系の整

備等により小売業者等の営業の動向に対応した卸売市場の休業日におけ

る営業の実現に努めること。

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(4)情報通信機器の活用等による経営管理システムの確立や、経営再編等

による経営合理化、共同配送等により、コストの削減を進めること。

3 卸売業者及び仲卸業者に共通する事項

(1)生産者の生産状況や実需者の需要状況に対応した計画的かつ安定的な

集荷・販売力の強化に向けて、現状における経営上の強み・弱み等を分

析の上、

ア 消費者、実需者等の需要動向を踏まえた産地に対する営農指導、出荷支

援のほか、地域特産物のブランド化、特色ある地場産品や規格外品等の流

通特性も踏まえた品揃えの強化、新商品の開発、小売や加工・業務用需要

とのマッチング等に関する産地との連携強化

イ 大規模小売業者、専門小売業者、外食産業事業者等のニーズに対応した

加工処理、貯蔵・保管、輸送・搬送、リテイルサポート等の機能強化による

実需者との連携強化

に積極的に取り組むこと。

(2)生鮮食料品等の流通の中間に位置する立場を生かし、卸売業者・仲卸

業者の相互連携の下、川上・川下双方に対するコーディネート機能を発

揮し、国内産の農林水産物の新たな需要の喚起と需要に対応した供給体

制の確立に努めること。その際、価格動向のほか、実需者ニーズ、産地

の出荷動向・出荷戦略、商品情報等の多様な情報について、情報通信技

術の積極的な活用を通じて、その把握と産地や実需者へのフィードバッ

クを的確に行う等、情報受発信の取組を強化すること。

(3)卸売業者、仲卸業者、生産者、実需者等の関係業者間における提携関

係の強化を図りつつ、大型産地・大型ユーザーとの対等な取引関係の構

築に努めるとともに、予約相対取引の活用等により、産地における計画

的かつ安定的な生産・出荷に対するニーズや、食品加工業者、外食産業

事業者、大規模小売業者等における定時・定量・定質・定価格での安定

的な取引に対するニーズへの積極的な対応を図ること。その際、天候不

順等により契約数量の確保が困難な場合のリスク負担のあり方等につい

て契約当事者間で十分に協議すること。

(4)取扱物品の付加価値を高め、販売力の強化や新規需要の創出を通じた

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- 24 -

経営体質の強化を図るため、市場関係業者の新たなビジネス機会の創出

に資する場合は、卸売市場が有する集荷機能や販売先に関する情報受発

信機能等を生かし、国内産の農林水産物の輸出に係る拠点としての積極

的な機能発揮に努めること。その際、産地、他の卸売市場、関連機関等

との連携強化を図り、品揃え、数量、リードタイム、出荷期間等の取引

先のニーズに対応できる集出荷体制の構築と、輸出先の法令で求められ

る衛生・品質管理に取り組むこと。

(5)産地情報と消費者・実需者のニーズの双方に通じ、求められる商品特

性や多様な販路に係る知見等を有するといった強みを生かし、市場関係

業者の新たなビジネス機会の創出に資する場合は、生産者が行う6次産

業化への取組に対する積極的な参画に努めること。

(6)卸売業者や仲卸業者が機能強化や経営の合理化に向けた取組を進める

に当たっては、共同出資会社の設立、資本提携等両者の連携・協働に十

分留意して行うこと。

(7)経営能力を有する人材の育成、新規労働力の確保とその教育、熟練労

働力、若手及び女性の活用等を通じた人的資源の強化に取り組むととも

に、責任体制の確立に努めること。

第9 その他

以上のほか、卸売市場の運営等については次の事項に留意して行う。

1 情報化は、取引の公開性を高め、多様な取引方法の導入に資する等、迅

速かつ的確な取引を推進する前提となることに加えて、市場行政の効率化、

取引事務のペーパーレス化、物流の省力化等市場運営及び関係業者の経営

の合理化に直結することから、早急にその推進を図ること。

2 最新の物流システムの導入、福利厚生施設の充実等卸売市場の労働環境

の改善を通じた魅力ある職場づくりに努めること。

3 関連事業者については、卸売市場が食料品総合卸売センターとしての機

能や、加工、配送、保管等のニーズに対応した機能の充実を図る上でも重

要なことから、その体質改善と経営の活性化を図ること。

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4 災害時等の緊急事態に際し卸売市場が果たす機能の重要性に鑑み、防災

性に配慮した施設整備を行うとともに、協定締結等を通じた自治体等関係

機関との連携強化や災害発生時に備えた複数市場間におけるネットワーク

構築等を通じて、緊急事態に際しても、卸売市場の機能が可能な限り維持

されるよう努めること。特に、開設者、卸売業者、仲卸業者等は、緊急事

態に際しても業務を確実に継続できるような体制を確立するため、BCP(事

業継続計画)の策定に取り組むこと。また、食の安全に係る事件、事故等

が発生した場合でも、客観的事実や科学的根拠に基づき、公正な取引の確

保及び適切な価格形成に努めること。

5 市民のための卸売市場の役割を重視し、卸売市場への理解を醸成し、「食」

や「日本食文化」に関する卸売市場の知見を消費者に効果的に提供する観

点から、食のイベント、学校教育のための市場見学会等の市民と卸売市場

との交流を深める機会の確保や消費者を対象とした表示等に関する講習会、

料理教室等の機会の提供等の取組を推進すること。その際、卸売市場は生

鮮食料品等の卸売を行う場であることを前提としつつ、卸売業務への影響

や市場内の衛生管理、入場者の安全の確保等に十分留意するとともに、事

前に関係者間で十分な調整を図ること。また、卸売市場が生鮮食料品等を

地域内に安定的に供給するための基幹的な社会インフラであるとの認識の

下、地域社会との共生や地域の小売業者等との協働にも配慮すること。

6 卸売市場に関する情報については、取引結果及び卸売業者の財務を適切

に公表するとともに、広く消費者に対し卸売市場の役割、生鮮食料品等に

対する知識、消費者の信頼向上に向けた市場関係者の取組状況等について

発信・普及するため、インターネット等を活用し、卸売市場に関する様々

な情報を効果的・効率的に広く公開・提供するよう努めること。

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(第1表) 卸売市場流通量の現状と見通し

1 青 果 物 (単位:t,%)

項 目

野 菜 果 実 青 果 物 合 計

平成25年度 (基 準 年)

平成32年度 (目 標 年)

平成25年度 (基 準 年)

平成32年度 (目 標 年)

平成25年度 (基 準 年)

平成32年度 (目 標 年)

需 要 量 (A) (平成25年度対比)

622,170 580,803

(93.4%) 293,200

259,713 (88.6%)

915,370 840,516

(91.8%)

県内市場供給量(B) (平成25年度対比)

241,476 216,334 ~※ 223,365

(89.6~※ 92.5%) 64,721

38,443 ~※ 46,405

(59.4~※ 71.7%) 306,197

254,777 ~※ 269,770

(83.2~※ 88.1%)

県内市場供給率 (B)/(A)×100

38.8 37.2~※ 38.5 22.1 14.8~※ 17.9 33.5 30.3~※ 32.1

2 水 産 物 (単位:t,%)

項 目 平成25年度 (基 準 年)

平成32年度 (目 標 年)

需 要 量 (A) (平成25年度対比)

286,163 226,752

(79.2%)

県内市場供給量(B) (平成25年度対比)

51,850 17,991

~※ 32,925 (34.7~※ 63.5%)

県内市場供給率 (B)/(A)×100

18.1 7.9~※ 14.5

3 花 き (単位:千本,千鉢,%)

項 目

切 花 鉢 物

平成25年度 (基 準 年)

平成32年度 (目 標 年)

平成25年度 (基 準 年)

平成32年度 (目 標 年)

需 要 量 (A) (平成25年度対比)

197,557 161,621 (81.8%)

11,767 9,183

(78.0%)

県内市場供給量(B) (平成25年度対比)

42,163 ※ 33,772 ~36,720

(※ 80.1~87.1%) 902

536 ~※ 723

(59.4~※ 80.2%)

県内市場供給率 (B)/(A)×100

21.3 ※ 20.9~22.7 7.7 5.8~※ 7.9

「※」は、「平成 27 年度卸売市場データ集

(農林水産省)」の平成 16 年度から 25 年度

までの動態を近似式で解析して推計した。

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(第2表)

品目別流通圏の設定

品目名 流通

圏域

供給対象人口 1人1年当たり

需要量 需要量 県内市場供給量 県内市場供給率 備 考

平成

25年度

(基準年)

平成

32年度

(目標年)

平成

25年度

(基準年)

平成

32年度

(目標年)

平成

25年度

(基準年)

平成

32年度

(目標年)

平成

25年度

(基準年)

平成

32年度

(目標年)

平成

25年度

(基準年)

平成

32年度

(目標年)

〈算出根拠〉 1 「供給対象人口」

(1)野菜・果実・水産物 基準年=「ア~オの合計値÷3食÷365

日」で算出した。

目標年=基準年に「日本の地域別将来推 計人口(平成32年)」の減少率 を乗じた。

ア県内常住者兼県内就業通学者・未就業通 学者の年間食事回数

イ県内常住者兼県外就業通学者の 〃

ウ県外常住者兼県内就業通学者の 〃 エ観光入込客数(日帰り)の 〃 オ観光入込客数(宿泊)の 〃

(2)切花・鉢物 「千葉県毎月常住人口調査(平成25年10月1日)」及び「日本の地域別将来推計

人口(平成32年)」のデータを用いた。 2 「1人1年当たり需要量」 (1) 野菜,果実,水産物について、「食料需給

表(平成25年度)」を、花きについては、「花き生産出荷統計(平成25年産)」のデータを用いた。

(2) 平成32年度について、平成16年度から25年度までの動態を近似式で解析して推計した。

3 「需要量」=供給対象人口×1人1年当たり需要量

4 「県内市場供給量」=県内向取扱量

(県外搬出量は除く) 平成32年度について、平成16年度から25

年度までの動態を近似式で解析して推計

した。(花きは、18年度から25年度) 5 「県内市場供給率」 =県内市場供給量÷需要量×100

6 「※」は、「平成27年度卸売市場データ集(農林水産省)」の平成16年度から25年度までの動態を近似式で解析して推計した。

7 「鉢物」は、前計画では鉢物以外に「苗もの」が含まれているが、国統計廃止に伴い、本計画では鉢物のみで推計した。

野 菜

県下

全域

千人

5,864

千人

5,683

Kg

106.1

Kg

102.2

622,170

580,803

241,476

216,334

※ 223,365

%

38.8

%

37.2

※ 38.5

果 実

Kg

50.0

Kg

45.7

293,200

259,713

64,721

38,443

※ 46,405

%

22.1

%

14.8

※ 17.9

水産物

Kg

48.8

Kg

39.9

286,163

226,752

51,850

17,991

※ 32,925

%

18.1

%

7.9

※ 14.5

切 花

千人

6,193

千人

6,122

31.9

26.4

千本

197,557

千本

161,621

千本

42,163

千本

※ 33,772

36,720

%

21.3

%

※ 20.9

~22.7

鉢 物

1.9

1.5

千鉢

11,767

千鉢

9,183

千鉢

902

千鉢

536

※ 723

%

7.7

%

5.8

※ 7.9

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(第3表)

卸 売 市 場 配 置 計 画

1 消費地市場

(1)青果物

流通圏

当 該 流 通 圏 既 存 市 場 整 備 方 針 その他

取扱品目 市町村名 市 場 名 区 分 市場の整備計画 区 分 整備予定年度

今期 以降

千 葉 市 1. 千葉市地方卸売市場 公地方 存置

(地域拠点市場) 公地方 水産物

船 橋 市 2. 船橋市地方卸売市場 公地方 存置整備

(地域拠点市場) 公地方 28~ 水産物

市 川 市 3. 市川市地方卸売市場 公地方 民営化を検討 民地方 30 花き

松 戸 市 4. 松戸市公設地方卸売市場北部市場

公地方 廃止 公地方 28

5. 松戸市公設地方卸売市場南部市場 民営化を検討 民地方

柏 市 6. 柏市公設総合地方卸売市場 公地方

4 と統合

・存置整備

(地域拠点市場)

公地方 28~ 水産物

花き

7. 沼南中央青果㈱地方卸売市場 民地方 存置 民地方

成 田 市 8. 成田市公設地方卸売市場 公地方 移転整備

(地域拠点市場) 公地方 28~31 水産物

八 街 市 9. 印東青果地方卸売市場

民地方 存置 民地方

10. 八街青果地方卸売市場

四街道市 11. ㈱四街道青果市場 小規模 存置 小規模

佐 倉 市 12. 立田屋佐倉青果市場 小規模 存置 小規模

香 取 市 13. 佐原青果地方卸売市場 民地方 存置 民地方

銚 子 市 14. 銚子中央青果地方卸売市場 民地方 存置 民地方

旭 市 15. 旭青果食品地方卸売市場 民地方 存置 民地方

匝 瑳 市 16. 八日市場青果地方卸売市場

民地方 存置 民地方

17. 武井地方卸売市場

東 金 市 18. 東金青果地方卸売市場

民地方 存置 民地方

19. 上総青果食品地方卸売市場

茂 原 市 20. 地方卸売市場㈱金坂青果 民地方 存置 民地方

館 山 市 21. 館山中央青果地方卸売市場㈱ 民地方

存置

(連携強化)

民地方

22. ㈱館山丸一青果市場 小規模 小規模

南房総市

23. 千倉青果地方卸売市場 民地方 民地方

24. ㈲中印千倉青果地方卸売市場

25. 南房総食品卸売市場 小規模 小規模

鴨 川 市 26. 鴨川青果地方卸売市場 民地方 存置 民地方

木更津市 27. 木更津市公設地方卸売市場 公地方 再整備を検討

公地方 水産物

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(第3表)

卸 売 市 場 配 置 計 画

(2)水産物

流通圏

当 該 流 通 圏 既 存 市 場 整 備 方 針 その他

取扱品目 市町村名 市 場 名 区 分 市場の整備計画 区 分 整備予定年度

今期 以降

千 葉 市 1. 千葉市地方卸売市場 公地方 存置

(地域拠点市場) 公地方 青果物

船 橋 市 2. 船橋市地方卸売市場 公地方 存置整備

(地域拠点市場) 公地方 28~ 青果物

柏 市 3. 柏市公設総合地方卸売市場 公地方 存置整備

(地域拠点市場) 公地方 29~

青果物

花き

成 田 市 4. 成田市公設地方卸売市場 公地方 移転整備

(地域拠点市場) 公地方 28~31

青果物

館 山 市 5. 館山丸魚㈱魚市場 小規模 存置 小規模

木更津市 6. 木更津市公設地方卸売市場 公地方 再整備を検討 公地方 青果物

(3)花き

流通圏

当 該 流 通 圏 既 存 市 場 整 備 方 針 その他

取扱品目 市町村名 市 場 名 区 分 市場の整備計画 区 分 整備予定年度

今期 以降

市 川 市 1. 市川市地方卸売市場 公地方 存置整備

・民営化を検討 民地方 28~30

青果物

松 戸 市 2. 松戸市花卉地方卸売市場 民地方 存置 民地方

柏 市 3. 柏市公設総合地方卸売市場 公地方 存置整備

(地域拠点市場) 公地方 28~

青果物

水産物

成 田 市 4.地方卸売市場上野生花市場成田 民地方 存置 民地方

香 取 市 5. ㈲佐原生花市場 小規模 存置 小規模

銚 子 市 6.地方卸売市場上野生花市場銚子 民地方 存置 民地方

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(第3表) 卸 売 市 場 配 置 計 画

2 水産物産地市場

流通圏

当 該 流 通 圏 既 存 市 場 整 備 方 針 その他

取扱品目 市町村名 市 場 名 区 分 市場の整備計画 区 分 整備予定年度

今期 以降

銚 子 市 1.銚子市漁協地方卸売市場

地方 存置整備

長期的には統合 地方 30~

2.銚子市漁協外川支所地方卸売市場

旭 市 3.海匝漁協地方卸売市場 地方 存置 地方

九十九里町 4.九十九里漁協地方卸売市場 地方 存置 地方

いすみ市 5.夷隅東部漁協地方卸売市場 地方 当面存置 地方

御 宿 町 6.御宿岩和田漁協地方卸売市場 地方 当面存置 地方

勝 浦 市

7.新勝浦市漁協川津地方卸売市場

地方

存置整備

統合に向け検討 地方 29~

8.新勝浦市漁協豊浜地方卸売市場

9.勝浦漁協地方卸売市場

10.新勝浦市漁協西部地方卸売市場

11.新勝浦市漁協鵜原小規模卸売市場

小規模 12.新勝浦市漁協興津小規模卸売市場

13.新勝浦市漁協浜行川小規模卸売市場

14.新勝浦市漁協大沢小規模卸売市場

鴨 川 市

15.東安房漁協小湊地方卸売市場

地方

当面存置

長期的には統合 地方

16.東安房漁協天津地方卸売市場

17.東安房漁協浜荻地方卸売市場

18.鴨川市漁協地方卸売市場 存置

長期的には統合 地方

19.鴨川市漁協江見支所地方卸売市場

20.鴨川市漁協太海支所地方卸売市場

南房総市

21.東安房漁協和田地方卸売市場 地方

存置整備

統合に向け検討 地方 29~

22.東安房漁協白子瀬戸支所魚市場 小規模

23.東安房漁協中央地方卸売市場 地方

24.東安房漁協千田販売所

小規模

25.東安房漁協七浦支所魚市場

26.東安房漁協乙浜魚市場

館 山 市

27.館山市布良漁協魚市場

小規模 当面存置

統合に向け検討 地方

28.館山市相浜漁協魚市場

29.館山市相浜漁協富崎支所魚市場

30.館山船形漁協地方卸売市場 地方

31.館山船形漁協館山支所地方卸売市場

南房総市 32.岩井富浦漁協地方卸売市場 地方 当面存置整備

統合に向け検討 地方 29~

33.岩井富浦漁協魚市場 小規模

鋸 南 町 34.鋸南町勝山漁協地方卸売市場

地方 当面存置 地方

35.鋸南町保田漁協地方卸売市場 当面存置 地方

富 津 市

36.天羽漁協金谷支所魚市場 小規模 存置整備

統合に向け検討 地方 29~

37.天羽漁協萩生支所魚市場

38.天羽漁協竹岡支所地方卸売市場 地方