理 自 に い と の は 性 す 独 激 化 専 冒 〈研究論 …...後 〈研究論文11〉...

13
〈研究論文11〉 西 ――二十世紀物理学と後 西 西 西 西 稿 西 西 西 における一部a1をとり出し、観察可能なa1の状態を、他の部分a2 の状態と比較し、両者の物質的関係を明らかにする。これがa1と a2の間の物理学的『作用』を説明することになる。他方、Aそれ 自然 哲 学 後期西田の 135 ヒサキ

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〈研究論文11〉

後期西田の自然哲学

――二十世紀物理学と後期西田の場所的論理――

冒頭に申して

おくことであるが、西田は二十世

紀物理学

につい

専門的な研

究を為して

いたわけで

はない。自らの場所

的論理を

深化させゆく過程において、西

田は同時代・異分野の研

究成果

刺激を求め、旺盛な知識欲をも

ってその一部を吸収して

いた。西

田独自の哲学的直観にと

って同時代

の数理・自然科学の成果を吸

収すること

は、後期の「場所的論理」

に鋭利

な論理的整合性・構

築性を賦与しようとす

る試み

につなが

った。「哲学第六

論文集」

には、未完のまま素材として提示され

た原案が縷

々見られ

る。独

自の「場所的論理」が、自然科学の

立場をも広く網羅する構造論

理として成立することを志向しつつ、西田

は強靭な模索を展開し

いた。本稿で

はその点

につ

いて論述してみ

たい。

一 

西

西

「物

界」

いて

スウ

学概

。(西

田全築十一巻、岩波版、一九六五年、「物理の世界」第

二章、二二頁以下

。)

に述

る。「物

は研

ら始

る。

原子

ら自

物質

的対

を網

体系

的な

るも

なら

い。

の内

における一部a1をとり出し、観察可能なa1の状態を、他の部分a2

の状態と比較し、両者の物質的関係を明らかにする。これがa1と

a2の間の物理学的『作用』を説明することになる。他方、Aそれ

の体

に別

系B

とす

る。

自然哲学後期西田の135

橋  ヒサキ

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態b1叭をAの体系の一部の状態叭と比較し、両者の物質的関連性を

観点に厳密にしぼられる。それ以外の何らか――たとえば、「自

群――は、物理学の分野そのものからははずれることになる。

西

たりえない両者の問題群を常に純粋哲学の立場から照射していた、

西

によって、刻々変容しゆく世界全体における確実な一点―西田

西

辺 

「真の客観的世界即

ち実在界と

は、我

々の自己に対し

、外

に見ら

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西

。)

西

綿

er

tr

an

 

sse

ll, "

In

tro

du

tio

 

to

Mathematical Philosophy", Chap. 13: 「無限公理と論理タイプ」を論述

。)

B. R

usse

ll,

"D

ie

elt

der

 

niversalien", 

in: "

Pro

blem

der

hilosophic",

Frankfurt a. M. 1976.初版: "The Problems of Philosophy",London,

1912.大橋良介、「西田哲学の世界」、Ⅱ.2. 一〇三頁。)

西

西

西

。)

二 

西田哲学におけ

る「時間・空間」の意義

――カンドーヘーゲルとの異同

西田哲学における時間・空間の位置づけを考察してみよう。カ

与えるものである(カント「純粋理性批判」B 37ff., A 22ff., B 46ff.,

A 30ff.)。ヘーゲルの自然哲学ではカントの時間・空間論に顕著

| 後 期西田の 自然哲学137

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づける観念として用いられる(Hegel, "Enzyklopadie der philoso-

phischen Wissenschaften", Teil 

tu

rp

ilos

op

ie"

 

§

 

54-

1.)。

西

の立場からの批判がある"Sein und Zeit" § 82

.。

西

る。

念な

間を

に、

して

覚す

る場

。(西

田全集

十一巻、二五四頁

、三

八頁。)

西

、「

に自

を表

、「こ

に反

にど

自己

をも

つ、

自己

の方

る。

西

「物

」・「数

と論

理」

・空

・絶

現在

シェ

マを

いる

そこ

識内

容と

々変

る時

空間

一体

った

「時

空間

己」

立場

目す

。(西田全集十一巻「数学の哲学的

基礎付け」

二五四

頁、「生

命」三四

八頁。)分

カテ

ーで

、西

にお

「現

真実

一体

のも

の」

、「

・空

・自

絶対

的同

理学

・演

は、

西

は即

、「

いう

な場

、物

る自

て明

に照

し出

る」

なが

、「そ

な自

う巨

一点

か」

う問

る。

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三 

I 

アイン

シュ

タイ

ン相対性理論

物理的

エネルギ

ーは形態の

いかん

にかかわらず本来保存す

るも

のである。静止状態の物体が落下す

るとしよ

う。落下し

たボール

によ

って地上

に張られ

た網が

一定時間湾曲す

る。

ボールという球

面体A

の静止

干不ルギーが運動

干不ルギーに変換し、地上

の物体

(網)

に対して

(物理

学的な)仕事をし

たこと

になる。西

田は

これを、「物

はアルバイ

トをす

ることにお

いて

自己自身

の実在

表現す

る」と把握す

る(西田全集十一巻、三〇頁以下)。

位置

エネル

ギーという静止形態

が、それ自らの否

定することによって、運動

于不ルギーに変換する。

干不ルギー量は運動状態において保持さ

れ不

変である。これを西

田は物理的

干ス・ル

ギーの「矛盾的自己同

一体」ととらえる。プリズ

ムによる光の屈折で、波長の差

によ

つの色彩が

プリズ

ムから現

れる。こ

の現

につ

いて西

は、

「プリ

ズム実験を行なう以

前に、波長

によ

って

色彩が異

なると

う真実

は存在して

いた」と

考え

るが、「七種

の色彩と

いう事実は、

まさ

にプリズ

ム実験

・観測

を行

なうということ

そのも

のによ

って

解明し

たのであ

る」と

する(全集十一巻六二頁以下)。〈光の波

長変

に基づく

色彩の非

同一性〉

いう物

理学的

真実

が、実

・観

・演算と

いう物理学

的作

業の場において明示

される。西田の語

でいうなら、「世界

の真実の

一端が物理

学作業と

いう場所

を通

して明らか

に照らし出

された」ということ

になろう。「物来

たっ

て我を照らす」であるが、我を照らし出すもの・物に照らし出さ

れる我

は、照

らし出され

る真実を相互

に支えあ

う「場所」として

自覚され

る。

lb

ert

 E

in

ste

in

ber

 d

ie

 sp

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 u

 

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Jeru

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19

56「

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de

 1

99

7.

1.4.

。)

。)

。)

後期西 田の 自然哲学139

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を考えたが実証は可能でなく、収縮説のみが残った。(Lorentzの

in

kow

i, 

ins

te

in

 

la

tiv

ita

ts

rinz

ip"

。)

ころ」Ⅰ.1.-1.4.)光の速度は観測者の運動状態いかんにはかかわら

」。

「相対性理論は不思議でない」一九八七年。Einstein,Lorentz,

Minkowski "Das Relativitatsprinzip", Berlin,Leipzig

, 

91

識論的取り組みがあり、実証主義からはライヒエンバッハが詳述を行なっ

ている。以下の文献参照: Ernst Cassirer,

"

 E

in

ste

in

sc

he

 R

la

tiv

ita

ts-

he

ie

 ,

in:

mo

dern

hy

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ta

99

4.

an

ic

he

bac

h,

ie

iloso

isc

he

de

tu

 

der

la

tiv

ita

ts-

theone", Braunschweig, Wiesbaden 1979.田辺 元、「相対性理論の弁

」、

je

har

 

Sc

hw

arz

,K

aum

 u

 Z

it -

 A

ls

 n

atur

iloso

isc

es

 

Pro

b-

Wien 1972. Dieter Wandschneider:"Raum

Zeit, Relativitat-Grund―

bestimmungen der Physik in der Perspektive der Hegelschen

Naturphilosophie" 

Frankfurt a. M. 1982.)

相対

一端を

く概

。物

の運

は古

は空

三方

(水

y、

って座

に標

る。

、物

の運

かか

・時

(観

に誤

一律

ので

るが

って、

観測

によ

(Einstein

§

11, 12, Anhang 1.内山、前出1.7)。変化が提示されるのは古典力

いう

(水

(時

)座

系Σ

て等

状態

の物

Σ

系Σ

測す

と、

体r

は、

運動

て、

れ自

の運

速度

に対

一定

の比

する。逆に運動体'Σに固定したものさしを基本系として観測する

静止

はず

の系

Σ

観測

系r

反対

に向

て運動しているように映る。この場合、'Σ観測系から見ると、Σ

140

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所と観測者・観測体の運動状態によって(Σ、'Σ)というIセッ

(和田、前出1.2.,1.3.)(古典力学では、運動系'Σから観測した場合

静止状態の系Σが'Σと逆方向に運動していることは認められるが、

一つの系のめもり(たとえばΣ)が他の系('Σ)に対して短縮す

る。)他方、相対論における時間の概念に注目してみよう。静止

系をΣと置き、運動系を'Σと置く。運動する系'Σにくくりつけら

れた時計'tと、静止系Σに固定された時計tを比較すると、運動

系の時計t'は静止系の時計tに比べ遅れて進む。時計のめもりが、

(Einstein, a.a.O. § 12.和田’a.5.)。遅延の度合いは物体の運動速度

「運

(杉本

下)。

。(い

わゆ

「双

」・「浦

られる逆説。パラドックスの設定と解釈には多様なものがあり、一つの解

釈自体が哲学的にはさらなるパラドックスを提示することがある。ここで

は江里囗、前出二九―四二頁参照。)いいかえるならば、従来の古典

来のガリレイ・ニュートンカ学でもそれほど破綻は大きくならず、

, = x

 ― vt.

y='y. z='z . t = 't。とするのが古典力学の立場だが、相対論を使うとこの

きかえられなければならない。特殊相対論では、

■■■前

(x

, y

, z

, t)

のポジションを示し、その四つの基本成分を(X1, X2, X3,X4)

の組み合わせで表記する。(Einstein, a.a.O., §17.)通常X4が光速

り{)

(リ

学)

。(Einstein。 a.a

.O.。 §25.)相

後期西田の自然哲学141

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なくて、物体同士の相互作用――いいかえるならば重力場各地点

と物体の運動状態によって空間自体が異なる形態をとる――相対

い方

ると

のも

る、

る。(一般

相対性

理論の重要項。

藤井

保憲・江

里口良

治「今こ

そ相対

性理

論」

第十章。江里口「時空のゆがみとブラッ

クホール」一九

九二年、第三

章、

第四章。)

よう

は、

の度

った

、運

・観

って

ル四

分のうち時間と空間の値が変化するので、X1, X2, X3, X4を一ま

にし

で表

絶対

の尺

度t

くて

光によって伝達されるIまとめの情報で、その基本成分は(X1,

X2, X3

, X4」

の運

状態

応じ

算出

るも

ので

以上

めて

シュ

相対

2 

相対性

理論

と場所

的論理

の比較

(1) 純粋物理論と場所的哲学の異同

一般向け

の解説

書にはよく引用され

る相対性理

論の一

例をあ

てみよう。進行中

の列車

の中央

から光を発射す

る。光

速度不変

になる。列車の最前部αと最後部βという二つの領域(物理学的

ら観測すると、βに光が到達する時刻t'とαに到達する時刻rは

β

α

時刻とみなされるはずのtがそれぞれ異なる数値をとる。(t≠t'

t'≠t''. t≠t".)

とt'を関連づけるローレンツの変換式からt'が決定されるのであ

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西

(物理学面についてはEinstein, a

.a.

.。

§ 9,. 和田 前出Ⅰ. 3.参照。観測

(2)② 叡智体験と解明の場所

所的構造論と相対性理論におけ

る構造論

西

田の場

所的論理で

は、「座標軸を

定める」と

いう物理

学上の

操作そのものが、観測

された物理学上の事実をありのまま自己の

意識の野

に映し出

し、物理学的な真実の自覚の原

点を定め

ること

につながる。物理学的に真実を解明す

ることが、観測者としての

自覚

の場所を定

めるこ

とに

なる、と前述

た。

ここ

いう

「場

所」とは物理学的観測地

点そのものと同

一で

はない。観測

点に立

ち観測を行なう自己の存在がtを観測し、tとt'の関係式からt'

を明晰な数値で表す。tとt'の関係においてtがt'を限定し、t'

がtに限定される。西田においては、〈tとt'の関連解明におい

て明

らかに照らし出

される自己の意識〉がここで不可欠に入

って

くるので、〈tとt'の関連性〉において照らし出される自己は

〈tとt'の関連によって限定される自己〉である。西田において

は、(t, t’)を「限定」することで自己の「意識の野」も(t, t')

の関

連を

直視し関

連解明の場に位置づけられることになる。よ

て、

考察対象

たる(グ

气)を物理学的演算で操作する自己

の存在

が(t, t’)を離れ局外にあるという見方は基本的に行なわない。

(t, t’)と自己が完全に同一の考察の場におかれ、演繹を行なう

ことで〈t-t' ―自己〉が真理解明に向けて求心的な一場のものと

なることが示

される。前述した光

のプリズ

ム実験と波長の変化

基づく色彩の分化

について

も、「実験

を行

なう我

々が

色彩の原理

を発見した」とは西田

はと

らない。「光の波長

によって変化す

色彩」という根源的事実は「実験を行なう前に既にあ

った。

それ

が、実験を施行するという行為

によって明らかに提示

されたので

ある」と述べる。真実が現実のも

のとして提示され、それを自覚

する自己が現実の存在において解明され

る真理と不可分のも

のと

なる。物理学

における対象物体と物理

的真実を論述する自己が一

つの場を形成し、両者が関連することから真実が究明される。真

理を解明す

ることは、西田

においては人間の行為

・経験の中で最

も芳醇

なも

のとして理解

される(西田全集一巻、『純粋経験』の章参

照)。物理学的真

理を究明す

るのも真理体験

の一つの

ありかたで

ある。

こうした

〈真理体験を実現

せしめる場

、真理

に照らし出さ

れ認識に達する自己の自覚、そうした自覚的認識を生起せし

める

根源的な時間・空間・自己

の実在〉を包括して西田

は「場所」と

表す。「場所」は

ヘーゲルの絶対智

の精神

にある一点で

は近似す

る。「絶対智」はそれそのものが人

格化

されう

ることはな

いが、

包括的で広範囲な領域(宗教、芸

術、哲学、学術)にわたって真

後期西田の自然哲学143

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eg

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ha

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, 

§

 

37

7-

38

6, 

§

 

55

3-

57

7, 

am

bu

rg

1969. Hegel,

Phanomen0l0gie des Geistes", Kap. VIII 'Das Abso-

lute Wissen, Hamburg 1988.)西田の「場所」は実在し真実を認識

西

西

る。(西田全集第九巻、四―七頁、同十二巻一三-一四頁。藤田正勝「場

西

西

西

定しあいつつ渾然一体とな

った「矛盾的自己同一体」を成立させ

いるのが「場所」であるといえよう。

(3) 場所的論理に映しだされた二十世紀物理学

――相対性理論と場所論

ここで再

び相対

性理論と場所

的論理

の関係を考察す

る。西田の

場所論では、個々の事物

がそれ

自らの運動によって、自ら

の実在

を限定する。自ら

の運動

によって自・他が分かれ、他者と自らと

いう相対

的な関連

の場

において、自己が自らを限定す

ると同時に

他者

に逆限定

され

る。自

・他の弁別も、自己の限定・他者による

逆限定も、それぞれ

に生き

る人間の自覚の立場を通して初めて認

識と

して確

立す

る。こ

の場

合の「認

識」

は、

いわゆ

る「対

理」的な認識論で

はなくて、「自・他という相対的関連の場所が、

世界と

いう全一的な場所においてどのような位置にあり、どう世

に関与して

いるのか」と

いう無言の問いかけを常に含んだもの

なくてはなら

ない。特

定の時間・

空間

に限定

され

る自己

が、

「場所」としての自らの存在

を「世界」と

いう巨視

的な場

にど

映すか。それが、真実体験の「場所」

究明

に常に課せられた課題

であろう。「場所」

の究明は自己の究明

(己事究明)・自他と世界

の相互

関連の場

の究明で

ある。西田哲学

の理解に

は欠

かせ

「自覚」

の立場

が前提

になるわけ

だが、前述したよう

に本来の物

理学で

は「自覚す

る自己」

の領域

は問題群に含まれない。自己

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はあ

・測

・演算

・演

の正

・無

西

「物

かつ

合的

「全

向す

い、

自己

いう

いて

西

「物

る人

のみ

。既

(実

作)

通し

西

る。

操作

いた

が出

(「も

を照

」)

所で

る。(「実証」

と「自

覚」

の関連性

については、西田「論理と数理」全集十一巻、七三-

四頁

参照

。)物

は叡

西

〈操

義〉(○perationalismus)

に傾

い。

まで

た叡

「場

かが

、上

「真

は全

シュ

タイ

ンは

に物

向と時間(x

, y, Z, t)ならぬIまとめの時空(x1,x2, x3, x4)

れる。(和田、前出 Ⅰ.3.3., 1.3.4. Einstein, a.a.O., § 17, Anhang”.

in

ow

i,

aum

un

 

it 

, 

in:

as

 

la

tiv

ita

ts

rinz

ip",

 

hrsg.

vo

 L

ren

tz

,  

in

te

in, 

in

i( a

.a.

O.

西

理論参照。Einstein, a. a. 0., Teil II.内山、前出Ⅱ.20.江里口・藤井、

後期西田の自然哲学145

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。既

たと

おり

アイ

タイ

対性

「自

覚」

の問

は全

(一

「絶

る光

、時

る物

の運

って

それ

に限

か」

ると

って

い。

西

にも

二十

物理

の革

。「人

は非

い」

西

る。(西田、

全集十一

九-

五〇頁。)

って

つ最

の速

にそ

って

され

る。

(Minkowski, a.a.O.)西田の考えかたにそって言えば、先験的な時

のと

ので

事象

って

の時

の値

の場

の時

一つ

の場

の時

る。

それ

が物

に基

って

「場所

を形

、個

相互

の連

とが

能で

る。

西

、「物

いて

る場

る」

いう

び付

、「

二十

の対

離れ

、人

に還

ので

る」

を示

。(西

田、全集十

一巻四

三|

五〇

頁。)

西

。「身

「経

験と

う場

って

立場

。(全集十一巻「物理の世界」第三章、同「論理と数理」

七二頁以下

参照。西

田の真実在の探求と認識のありかたはごく初

期の論文

にも

繰り返

し論述

される。全集一

巻、五

二-

八二頁

。)

二十

学が

律性

立場

たこ

と、

れの

で示

、固

、西

は包

めて

、『時

って

々の

た』

(十一巻、五〇

頁)と

う。

入ら

いま

にI

空理

をま

にI

たま

に示

。「

って

観測

る系

の数

る」

こと

「観

る物

学的

の場

的自

す西

から

めて

、「量

に深

めら

た」

推測

。(全集十一

巻四一頁以下。

同五〇-

五五頁。)こ

たと

始し

いる

、西

が素

のま

途上

書き

ころ

にこ

学と

より

理で

る、

筆者

考え

白の

西

部分

述し

量子

は個

Page 13: 理 自 に い と の は 性 す 独 激 化 専 冒 〈研究論 …...後 〈研究論文11〉 期 西 田 の 自 然 哲 学 ――二十世紀物理学と後期西田の場所的論理――

論究の必要があるので、後日

に譲り

たい。末尾

にな

るが、以下

点を一言補足する。西田は「私の場所論から見ると、相対性理論

は今な

お古典的物理学の対象論理思

考をひきず

って

いる。

ある意

味では対象論理的物理学的力学論

の極

致であ

る」とし、それ

に対

して「量子論

に至

って初

めて場所的自覚

の立場

への道

程が始ま

た」とする。(全集十一巻五〇頁。)これ

はき

わめて

飛躍的

で直観

はあるが、相対論と量子論の異同

を端的

についた言であ

る。

対論では観測系の状態が定義され

ることで観測体との

相対的

な関

連性が決定する。この関連性は

ローレンツの関数を含む変換式

明示

され、その限りでの値は絶対的なものである。観測者

・観測

系に量子

論の基本を為す不

確定性原理が混入することは、原則と

してありえない、西

田の直観の鋭利さと独自性。他方、秀

逸な直

観が構成途上、未完のまま模索と試論

の段階でとぎれて

いること

そしてそれらによって示

唆される構

築的

な哲学体系

への可能

性。

さらなる研

究課題を今後に示

唆してくれ

る分野である。以上

、紙

幅の関係でき

わめて概略ではあるが、後期西田

の自然科学

への取

り組みを相対

論との異同

から考察した。

付記

‥ 本稿での

註・並びに引用

文献は、紙面の関係で文末註形式を敢

えてと

らず、そ

のつど本文

の該当箇所に( 

)を設け、小型字体で記

た。西田全集

から

の引用

は一貫

して岩波書店、一九六五年刊行の版

による。

なお、相対性

理論をはじめとする物理学に関

する部分につい

()。 Univ.-Prof. Dr. Herbert Pietschmann, ao. Univ.-Prof.

Dr. Ro

bert Beig

(以

)、

)。

(はし・ひさき、哲学・比較思想、

147 1 後期西田の 自然哲学