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52 産総研 TODAY 2005-07 AIST Network タイ王国 Suvidhya Simaskul 駐日特命全権大使 産総研つくばご訪問 会談の後、展示施設「サイエンス・ スクエア つくば」を視察され、つづい て太陽光発電研究センターの発電研究 施設、食品廃棄物を用いた水素・メ タン併産パイロットプラントを訪問さ れました。最後に、ジメチルエーテ チェコ共和国 Dr. Kolar 教育省副大臣 産総研つくばご訪問 ノルウェー王国 Clemet 教育・研究省大臣 産総研つくばご訪問 2005年5月11日、タイ王国 Suvidhya Simaskul 駐日特命全権大使が、同国 の公使(産業、農業担当等)とともにつ くばセンターを訪問されました。小玉 副理事長、松尾国際部門長、神本研究 コーディネーターから産総研の研究戦 略、アジア戦略についての説明があり、 昨年結んだ同国研究機関との包括協定 に基づき、日タイ共同研究の推進に向 けて活発な意見交換が行われました。 大使からは共同研究の推進のために予 算面での支援をタイ側でも検討したい との積極的なお話をいただきました。 ル(DME)を燃料として用いるディー ゼルエンジンをご覧になった際には、 DMEディーゼルのマイクロバスにも 試乗されました。 移行、現在も続いている改革について 説明を行いましたが、チェコ側からも、 多くの質問に加えて、数百年の伝統を 誇る大学の改革や社会体制の変化によ る研究所の変化における困難さなど、 率直に状況が語られました。 2005年5月25日、 チ ェ コ 共 和 国 Dr. Kolar 教育省副大臣が、同国の科学ア カデミー、大学、研究所の関係者を伴っ てつくばセンターをご視察になられま した。小玉副理事長、松尾国際部門長 から、政府機関から独立行政法人への その後、「サイエンス・スクエア つ くば」に場所を移し、計測標準関連技 術、ロボット技術、環境対策技術、医 工連携技術等、産総研の研究成果を 熱心にご視察になられました。特にロ ボット関連技術については、「ロボッ ト」と言う言葉の語源がチェコ語に由 来するとのこともあり、大きな関心を 示されました。副大臣は「是非とも産 総研の代表団を同国に派遣し、研究開 発の状況を理解して、密接な協力関係 を構築して欲しい。」とのコメントを残 して、ご視察を終えられました。 も含むノルウェーとの研究交流につい て、プレゼンテーションを行いました。 大臣は、プレゼンテーションへの賛辞 に加えて、研究協力への若い世代の参 加の重要性について述べられました。 2005年5月30日、 ノ ル ウ ェ ー 王 国 Clemet 教育・研究省大臣が、Grutle駐 日大使らを伴って、つくばセンターを ご視察になりました。始めに小玉副理 事長、松尾国際部門長らから産総研の 改革や研究戦略について説明を行い、 科学技術の研究開発に関する活発な議 論がなされました。大和田野部門長に よるエネルギー技術研究部門の研究概 要の紹介に続き、ノルウェー側からの 強いご要望によって当日同席した同 研究部門燃料電池グループの酒井主任 研究員が、研究紹介、自身の留学経験 会談は終始友好的な雰囲気で進めら れましたが、産総研における女性科学 者の割合が少ない事への指摘など、率 直なご意見をいただき、お帰りの際に は、「大変フランクで、実り多いディ スカッションができた。」とのお言葉を 残されました。 国際部門長の説明に耳を傾ける Clemet 大臣(右) 会議の場で意見交換される Dr.Kolar 大臣(左) 小玉副理事長の歓迎を受ける Suvidhya 大使(左)

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52 産総研 TODAY 2005-07

AIST Network

タイ王国 Suvidhya Simaskul 駐日特命全権大使 産総研つくばご訪問会談の後、展示施設「サイエンス・

スクエア つくば」を視察され、つづいて太陽光発電研究センターの発電研究施設、食品廃棄物を用いた水素・メタン併産パイロットプラントを訪問されました。最後に、ジメチルエーテ

チェコ共和国Dr. Kolar教育省副大臣 産総研つくばご訪問

ノルウェー王国 Clemet教育・研究省大臣 産総研つくばご訪問

2005年5月11日、タイ王国 Suvidhya Simaskul 駐日特命全権大使が、同国の公使(産業、農業担当等)とともにつくばセンターを訪問されました。小玉副理事長、松尾国際部門長、神本研究コーディネーターから産総研の研究戦略、アジア戦略についての説明があり、昨年結んだ同国研究機関との包括協定に基づき、日タイ共同研究の推進に向けて活発な意見交換が行われました。大使からは共同研究の推進のために予算面での支援をタイ側でも検討したいとの積極的なお話をいただきました。

ル(DME)を燃料として用いるディーゼルエンジンをご覧になった際には、DMEディーゼルのマイクロバスにも試乗されました。

移行、現在も続いている改革について説明を行いましたが、チェコ側からも、多くの質問に加えて、数百年の伝統を誇る大学の改革や社会体制の変化による研究所の変化における困難さなど、率直に状況が語られました。

2005年5月25日、チェコ共和国 Dr. Kolar 教育省副大臣が、同国の科学アカデミー、大学、研究所の関係者を伴ってつくばセンターをご視察になられました。小玉副理事長、松尾国際部門長から、政府機関から独立行政法人への

その後、「サイエンス・スクエア つくば」に場所を移し、計測標準関連技術、ロボット技術、環境対策技術、医工連携技術等、産総研の研究成果を熱心にご視察になられました。特にロボット関連技術については、「ロボット」と言う言葉の語源がチェコ語に由来するとのこともあり、大きな関心を示されました。副大臣は「是非とも産総研の代表団を同国に派遣し、研究開発の状況を理解して、密接な協力関係を構築して欲しい。」とのコメントを残して、ご視察を終えられました。

も含むノルウェーとの研究交流について、プレゼンテーションを行いました。大臣は、プレゼンテーションへの賛辞に加えて、研究協力への若い世代の参加の重要性について述べられました。

2005年5月30日、ノルウェー王国 Clemet 教育・研究省大臣が、Grutle駐日大使らを伴って、つくばセンターをご視察になりました。始めに小玉副理事長、松尾国際部門長らから産総研の改革や研究戦略について説明を行い、科学技術の研究開発に関する活発な議論がなされました。大和田野部門長によるエネルギー技術研究部門の研究概要の紹介に続き、ノルウェー側からの強いご要望によって当日同席した同研究部門燃料電池グループの酒井主任研究員が、研究紹介、自身の留学経験

会談は終始友好的な雰囲気で進められましたが、産総研における女性科学者の割合が少ない事への指摘など、率直なご意見をいただき、お帰りの際には、「大変フランクで、実り多いディスカッションができた。」とのお言葉を残されました。

国際部門長の説明に耳を傾ける Clemet大臣(右)

会議の場で意見交換されるDr.Kolar 大臣(左)

小玉副理事長の歓迎を受けるSuvidhya大使(左)

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「日本の地球化学図」が環境賞を受賞産総研 地質調査総合センターが出版

した「日本の地球化学図 元素の分布から何がわかるか?」が、2005年度の環境賞の優良賞を受賞しました。「環境賞」とは、わが国の環境保全活

動の発展を図るために、1974年に当時の環境庁の後援を得て、国立環境財団と日刊工業新聞社との共催で設立された賞です。

今回の受賞は、地球化学図の作成によって、ヒ素・水銀・カドミウム・鉛といった有害元素を含む53元素について、日本全国における濃度分布を明らかにし、環境汚染を評価する際の基準となる自然の元素レベル(バックグラウンド)を示したことが高く評価されたものです。

全国をカバーした地球化学図のプロジェクトは、平成11年に開始されました。10km四方あたり1試料の密度で日本全国から合計3024個の河川堆積物を採取し、53元素の化学分析を行ってまとめられた成果が、今回の出版物です。

このプロジェクトに続いて、2004年

度より「日本沿岸地球化学図」作成プロジェクトとして、沿岸海域も含めた広範囲の地球化学図を作成が開始されています。

Grid World 2005 を開催5月11日~12日、東京国際フォーラ

ムにおいてGridWorld2005(グリッド協議会共催、産総研グリッド研究センター後援)が開催されました。

昨年を上回る約2500名の来場者、23団体を集めた本イベントでは、次世代情報システムとして期待されるグリッド技術に焦点を当て、展示会、講演、パネルディスカッション、チュートリアルなどが実施されました。慶大村井

純教授によるネットワーク技術最新動向とグリッドとの関係、Globus Grid Forum 議長 Mark Linesch 氏によるグリッド技術の標準化に関する講演を始めとして、企業へのグリッド導入事例や、グリッドの課題に関するパネルディスカッションが行われ、聴衆の高い関心を集めました。

産総研も展示会場にブースを設け、GridASPを始めとする研究成果を紹介

化学・バイオつくば賞を受賞6月9日に、産総研を会場として、化学・

バイオつくば賞の表彰式と記念講演会が行われました。今年度の受賞は2テーマで、そのいずれにも産総研の研究者が中心になっています。「NMRによる超高分子量系の生体分子

間相互作用解析法の開発」は、生物情報解析研究センターの高橋栄夫主任研究員、バイオ産業情報コンソーシアム、味の素ライフサイエンスらによってなされた研究の、これまで困難とされていた超高分子の立体構造の解析と、標識効果の高いタンパク質の安価な分泌生産法の開発成功が評価されたものです。「細胞工学技術を用いた骨・軟骨再生

実用化研究」は、セルエンジニアリング研究部門の大串 始研究グループ長と物質・材料研究機構生体材料研究センターとの共同研究で進められ、人工関節の固着を高めるための再生培養骨形成技術の開発と、その臨床応用などが評価

(A4版 209頁 価格¥4,515)http://www.gsj.jp/Map/JP/jm100.htm

されたものです。いずれの成果も、産総研と企業ある

いは他の法人機関との共同研究によるもので、産総研のめざすイノベーションハブの考え方を具体化する例としても喜ばしいものです。

し、実用化に向けて企業との交流を図りました。

共同研究者と共に受賞をよろこぶ、高橋氏(右から3番目)と大串氏(右から7番目)

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産総研一般公開 「社会のために」

★ 特別講演 「科学する心」   解剖学者 養老 孟司 氏

● 地質標本館特別講演「人の暮らしと自然を結ぶ -地質図の世界」小玉 喜三郎 (産総研 副理事長)● 科学教養講座「巨大地震と津波 -スマトラ型の津波は日本でも発生するか-」佐竹 健治 (活断層研究センター)「仮想データに触る」山下 樹里 (人間福祉医工学研究部門)

7月23日 つくばセンター 9時30分~16時00分 (入場受付終了:15時30分)問い合わせ:広報部 展示業務室 TEL:029-862-6214 Eメール:[email protected]

● サイエンス実験ショー・化学の不思議・電気の不思議● チャレンジコーナー・熱を電気に変える・洗剤(界面活性剤)の働き・シャボン玉で遊ぼう・Aimulet(アイミュレット)を作ろう!・火山を作って噴火の謎を考えよう・量りを作り、標準に触れよう! :他● 研究成果コーナー・戦う兵隊アブラムシがもつ毒物質・自分で自分を組み替えるロボット

・探査型ヒューマノイドロボットHRP-2    No.10・人工骨・人工関節などの人体への安全性 :他● 施設見学ツアー・役に立つ衝撃技術・光学トンネル、三次元測定機、メートル原器・空中を飛行するロボット・バーチャルリアリティ加工技術・スーパークリーンルーム :他

● 特別講演・光触媒・家がロボットになったら? -未来の暮ら しを考えてみよう-● 子供科学教室・無重力を体感する・巨大地震がやってくる● 実験・体験コーナー

7月29日 関西センター 10時00分~17時00分 (入場受付:9時30分~16時30分)問い合わせ:関西産学官連携センター TEL:072-751-9606

・身近な食べ物からDNAをとってみよう・電池を作ろう・グリーンプラで遊ぼう・ロボットを作ろう● 体験コーナー・ヒヤリハットを体験しよう● 展示・体験コーナー(18テーマ)・ガスから作ったダイヤモンド

・メダカの実験・生きている神経回路で動くロボット・光る!ウミホタルショー・オリジナル分光器を作ろう :他● パネル展示・大工試-大工研-関西センター研究成果

池 田サイト

● 実験・体験コーナー・ニオイを嗅ぎ分ける・光と色の実験・測ってみよう明るさ・海や川の小さな生き物・プログラミング体験・巨大地震がやってくる・地震体験

8月4日 関西センター 10時00分~17時00分 (入場受付:9時30分~16時30分)問い合わせ:尼崎事業所 業務推進室 TEL:06-6494-7854

・身の回りの色・発光物質・パロちゃんと遊ぼう● 子供科学教室・人口イクラをつくろう・巨大地震がやってくる・無重力を体験しよう● 展示コーナー

・おちない風船・いろいろな錯視・錯覚・間葉系幹細胞を利用した再生医療・いろんな細胞を見てみよう・筆算のからくり・ガスから作ったダイヤモンド・巨大地震がやってくる

尼 崎サイト

7月30日 中部センター 10時00分~16時00分問い合わせ:中部産学官連携センター TEL:052-736-7063

● 体験コーナー・オリジナルはんこ作りに挑戦!「はんこ名人」 がやってきた!・おもしろ自転車、スピード車いすに乗ってみよう・プラスチック何でも鑑定所・超先端金属材料チタンをカラーコーディネート・金属の活性化・ぴっかぴかメダルを作ろう

「遊ぼう!学ぼう! ここは不思議の研究所」

・なんでもできる、ねんりょうでんち!● 展示コーナー・液体万華鏡と立体万華鏡 -覗いてびっくり、そこには宇宙が- 重さで見る金属のいろいろ・君の体温で発電できるか? -熱を電気に変える技術-・調光ガラスって何?

・光で環境浄化、光触媒・においを感じるセンサ・ギネス認定!癒し系ロボット「パロ」● 教室コーナー・体験型実験教室 無重力を体感しよう・工作教室 立体万華鏡を作ってみよう

社会のために 科学の力を

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AIST Network

※日程や内容は予定です。変更される場合があります。

● わくわくサイエンス実験ショー・DNAってどんなもの?・ハイドレートってどんなもの?  他● 特別展示・メートル原器・キログラム原器  -長さをはかる!重さをはかる!-

8月6日 北海道センター 9時30分~16時00分(入場受付終了:15時30分)問い合わせ:北海道産学官連携センター TEL:011-857-8428

● おもしろ体験コーナー・はんこ名人21 -自分の絵がはんこになる!-・もぐる金魚をつくろう!・光るスライムをつくろう!・おたから岩石鑑定団・-あなたの思い出の石をプロが鑑定します!-

● 研究紹介コーナー 当センターの研究内容をわかりやすく紹介 します。

● 特別展示 ギネス公認! 癒し系ロボット  「パロ」● 移動地質標本館● 体験型サイエンス実験ショー● 公開ブース・極小空間で起こる化学反応のふしぎ発見!

8月6日 九州センター 9時30分~16時30分(入場受付終了:15時30分)問い合わせ:九州産学官連携センター TEL:0942-81-3606

・地球温暖化の救世主 -マグネシウム-・水や空気がこんなにキレイに!・細胞をピカッ !と光らせてみよう・ユビキタスエコーでのぞくあなたのカラダ・光で表面を見る:簡単な光センサー・フイルムセンサーによる脈波測定!

・どうなっているの?いろんな色のおもしろ 実験室・未来をひらく植物の利用技術● 九州センターの紹介● 技術相談コーナー

10月21日 中国センター 9時30分~16時00分問い合わせ:中国産学官連携センター TEL:0823-72-1944

● サイエンスショー科学捜査隊 西村隊長のおもしろサイエンスショー● 科学講座みんなのヒーローを科学する&なんでも子供相談室空想科学読本でおなじみSF作家の柳田理科雄先生が素朴な疑問にお答えします!

「なんでも科学する心」● 体験型実験教室伝説の授業再び・・・!牧原博士の「無重力を知ろう!」● 研究紹介バイオマスのほか、当センターの研究成果をご紹介します

● 瀬戸内海大型巨大模型世界最大級の水理模型で、瀬戸内海を一周してみませんか?!● 特別展示ギネス認定世界一の癒しロボット パロ 再登場です!

8月20日 東北センター 10時00分~16時00分(入場受付終了:15時30分)問い合わせ:東北産学官連携センター TEL:022-237-5218

● 特別展示 ギネス公認!! 癒し系ロボット「パロ」● Dr.産総研のおもしろ科学講座・無重力を体感する・化学の不思議・電気の不思議・ペットボトルでリサイクル

● 実験・体験コーナー・光る絵の具でお絵かき・二酸化炭素の化学・粘土でできた世界最大スクリーン・膜でつくる、ビールからウオッカ

・極微量物質を目で見て測ろう● 研究紹介展示コーナー 当センターの研究内容をご紹介します。

6月10日現在http://www.aist.go.jp/aist_j/event/event_main.html

● は、産総研内の事務局です。

期間 件名 開催地 問い合わせ先

EVENT Calendar

7 July 13日 産総研特別講演会  瀬戸 052-736-7064●

13~15日 自治体総合フェア 2005  東京 029-861-3549●

19日 福岡ナノテクNOW 2005  福岡 092-643-3434 31~8/5日 第11回 極低温検出器国際会議 東京 029-861-5685●

8 August 5~7日 環境広場 さっぽろ 2005  北海道 011-272-1282 25~26日 第19回 流動層技術コース 北海道 029-861-8223●

9 September 11~13日 EJIPAC 2005 ワークショップ 東京 03-5452-5332 18~20日 地質情報展 2005 きょうと -大地が語る5億年の時間- 京都 029-861-3754●

 

2005年7月   2005年9月

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鈴木 良一極微欠陥評価研究グループ長(左)、大平 俊行極微欠陥評価研究グループ主任研究員(右)

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編集・発行 独立行政法人産業技術総合研究所 問い合わせ 広報部出版室 〒305-8568 つくば市梅園1-1-1 中央第2 Tel:029-862-6217  Fax:029-862-6212  E-mail:[email protected]ホームページ   http://www.aist.go.jp/● 本誌掲載記事の無断転載を禁じます。● 所外からの寄稿や発言内容は、必ずしも当所の見解を表明しているわけではありません。

2005 July Vol.5 No.7

(通巻54号)平成17年7月1日発行

計測フロンティア研究部門の鈴木良一さん、大平俊行さんの両名が、「エネルギー可変短パルス陽電

子ビームの形成とそれを用いた材料評価技術の研究」で市村学術賞(貢献賞)を受賞されました。

「市村学術賞」とは 市村賞は、リコー(株)の創業者・市村清氏(1900年~1968年)

の生前の意志によりその私財を投じて昭和43年に設立された新技

術開発財団が、優秀な国産技術の育成に功績のあった事業経営者な

らびに技術開発者に対して表彰を行っているもので、科学技術の進

歩と産業経済の発展に寄与することを目的としています。市村学術

賞は、大学ならびに研究機関で行われた研究のうち、学術分野の進

展に貢献し、実用化の可能性のある研究に功績のあった者に対して

行います。本年度、鈴木 大平 両氏の「エネルギー可変短パルス陽

電子ビームの形成とそれを用いた材料評価技術の研究」が市村学術

賞(貢献賞)の栄誉に輝きました。

受賞のコメント高機能材料開発やデバイスプロセス開発では、原子レベル~ナノレベルの構造をこれまでよりも詳しく評価できる物性計測

ツールが必要とされています。私達の研究部門では、この課題に応えるため各種量子ビームをプローブとした革新的計測ツー

ルの開発を行っています。特に電子加速器を用いて発生した短パルス低速陽電子ビームは、電子デバイスや高機能材料で重

要な薄膜や表面近傍の極微構造を測定できることから、産業界から注目される技術となりました。今回の受賞は、大変光栄

であると同時に、これからの研究開発の励みにもなります。

今後は、陽電子ビームを用いた物性計測・評価法をさらに高度化し適用範囲を拡大するとともに、コンパクトな普及型装置

の開発を進めていく予定です。さらに、産業界と連携し、本計測技術の高機能材料開発やデバイスプロセス開発への利用を

進め、社会の発展に寄与したいと考えています。

受賞の対象となった両氏の成果電子の反粒子である陽電子は、その特異な性質を利用して画期的な物性計測プローブとしての可能性が期待されていました

が、従来は放射性同位元素から得られる陽電子を直接利用しており、材料開発で重要な薄膜や表面近傍を短時間に精度良く

計測することは困難でした。この問題を解決するため , 電子加速器を用いて発生した高強度の低速陽電子ビームを材料計測

に適した短パルス陽電子ビームとし、このビームを利用した陽電子寿命測定・寿命運動量相関測定・飛行時間型陽電子消滅

励起オージェ電子分光法などの新しい測定法の開発に成功し、薄膜や表面近傍の原子~ナノレベルの空孔構造や物質最表面

の不純物や電子状態等を評価できる計測技術を確立しました。

産総研は、愛・地球博にさまざまな技術を提供していますhttp://www.aist.go.jp/aist_j/pr/expo/