Ⅳ.廿日市市・地域新エネルギービジョン73...

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73 Ⅳ.廿日市市・地域新エネルギービジョン 4-1 基本テーマ・基本方針 1.基本テーマ 本市において新エネルギーの導入を推進するうえで、市民・事業者・行政、来訪者にと って共通の目標となる「基本テーマ」を設定します。 本市では、2007 年度に「廿日市市・地域省エネルギービジョン」を策定しています。同 計画は、省エネルギーの観点から地球温暖化防止の取り組みを推進するための計画であり、 本ビジョンとも緊密に連携を図りながら施策を推進するとともに、その内容について整合 をとる必要があります。 こうしたことから、本ビジョンに掲げる基本テーマは、省エネルギービジョンと同じ「『は つかいちエコブランド』を創る」とします。 エコをめざした取り組みが本市のブランドとして認知・定着するよう、豊かな自然環境 を最大限に活用しつつ、情報発信力の高い取り組みを市民・事業者・行政の協働によって 強力に推進します。本市は、世界遺産宮島という国内でも有数の観光地を抱えていること から、新エネルギーの導入、省エネルギーの実践に代表される本市の“エコ”な取り組み に観光客等の来訪者を巻き込むことで、対外的にも強い情報発信効果が期待されます。 「はつかいちエコブランド」 を創る 市 民 事業者 行 政 来訪者 「はつかいちエコブランド」 を創る

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Ⅳ.廿日市市・地域新エネルギービジョン

4-1 基本テーマ・基本方針

1.基本テーマ

本市において新エネルギーの導入を推進するうえで、市民・事業者・行政、来訪者にと

って共通の目標となる「基本テーマ」を設定します。

本市では、2007 年度に「廿日市市・地域省エネルギービジョン」を策定しています。同

計画は、省エネルギーの観点から地球温暖化防止の取り組みを推進するための計画であり、

本ビジョンとも緊密に連携を図りながら施策を推進するとともに、その内容について整合

をとる必要があります。

こうしたことから、本ビジョンに掲げる基本テーマは、省エネルギービジョンと同じ「『は

つかいちエコブランド』を創る」とします。

エコをめざした取り組みが本市のブランドとして認知・定着するよう、豊かな自然環境

を 大限に活用しつつ、情報発信力の高い取り組みを市民・事業者・行政の協働によって

強力に推進します。本市は、世界遺産宮島という国内でも有数の観光地を抱えていること

から、新エネルギーの導入、省エネルギーの実践に代表される本市の“エコ”な取り組み

に観光客等の来訪者を巻き込むことで、対外的にも強い情報発信効果が期待されます。

「はつかいちエコブランド」

を創る

市 民

事業者 行 政

来訪者 「はつかいちエコブランド」

を創る

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2.基本方針

基本テーマの実現に向けて本ビジョンに掲げる基本方針として、以下の 5 つを設定しま

した。

1 豊かな自然を利活用した新エネルギー導入

2 多角的なエネルギー利用

3 公共施設等への率先的な新エネルギー導入

4 世界遺産「宮島」における二酸化炭素排出量の削減

5 市民や事業者の高い環境意識の具体的な新エネルギー導入への結びつけ

基本テーマ

「は

ブ ラ

【基本方針】

中山間地あたたかプロジェクト

太陽光利用促進プロジェクト【重点】

びりびりあつあつプロジェクト

まわるまわる水車プロジェクト

公共施設への太陽光発電導入プロジェクト【重点】

エコアイランド「宮島」実現プロジェクト【重点】

BDF 利用促進プロジェクト

市民参加によるカーボンオフセット活用プロジェクト【重点】

クリーンエネルギー自動車等導入プロジェクト【重点】

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4-2 推進施策

5 つの基本方針に基づいて推進する 9 つのプロジェクトを以下に示します。これらの施

策は「はつかいちエコブランド」を創ることをめざして、市民・事業者・行政・来訪者が

協働で取り組むべきものであることから、各プロジェクトについて主体別の行動計画も示

します。

また、推進する施策の中から、新エネルギー利用可能性に対する評価(図表 3-4-1 参照)

等を踏まえ、本市として積極的に導入を進めるエネルギ-について「重点プロジェクト」

と位置づけます。

基本方針1 豊かな自然を利活用した新エネルギー導入

廿日市市は、中国山地や瀬戸内海をはじめとした豊かな自然に恵まれた地域です。これ

らの自然から得られるエネルギーを有効に活用した新エネルギーの導入を推進します。

■中山間地あたたかプロジェクト

主 体 行 動 計 画

市 民 ●木質バイオマスへの理解を深め、家庭での導入について検討します。

事業者 ●木質バイオマスの供給体制について、行政との連携を検討します。

行 政

●木質バイオマスの導入を検討します。

●木質バイオマス供給体制について、事業者等との連携を検討します。

●木質バイオマスにかかる情報提供・普及促進を行います。

総面積の約 86%を占めている森林を活かす新エネルギーとして木質バイオマス

の持つエネルギーに着目し、地域に密着した新エネルギーとしての利用を検討しま

す。

具体的には、森林整備に伴って発生する林地残材および間伐材等をペレットやチ

ップに加工し、利用することが考えられます。

今後、木質バイオマスを燃料として使用できるペレットストーブやチップボイラ

ーの活用について検討します。

取組

概要

・熱需要の大きい公共施設への木質バイオマス導入

福祉施設や温浴施設など、特に熱需要が高い公共施設への、ペレットストーブや

チップボイラー導入などを検討します。

・木質バイオマス供給体制の検討

市内林業者や森林組合等と連携し、木質バイオマスとして活用できる材料・原料

の確保・運搬・供給の可能性について検討します。

・市民への木質バイオマス利用促進

木質バイオマスについて、利用者の導入メリットなどを、広く PR することで市

民への普及促進を図ります。また、公共施設への利用検討や市民、事業者への情報

提供・普及促進を図ります。

主体別

行動計画

具体的

取組

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■太陽光利用促進プロジェクト 【重点】

主 体 行 動 計 画

市 民 ●太陽光発電や太陽熱温水器の導入を検討します。

事業者 ●太陽光発電や太陽熱温水器の導入を検討します。

●太陽光を利用した機器の情報を積極的に発信します。

行 政

●太陽光を利用した機器の情報を積極的に発信します。

●市独自の補助制度創設について検討します。

●公共施設への率先的な導入を検討します。

太陽光発電は、機器がメンテナンスフリー、家庭への導入実績が多いことなどか

ら、比較的手軽に利用できる新エネルギーの1つであり、太陽熱温水器の利用と合

わせて積極的に利用を促進します。

また、市民アンケートから、 も導入が進んでいる新エネルギー機器は太陽光を

利用したものであるという結果が得られており、他の新エネルギーと比較して導入

が進みやすいと考えられます。

導入費用の負担を軽減するため、費用や効果などの情報を積極的に発信するととも

に、廿日市市独自の補助制度創設についても検討します。

取組

概要

具体的

取組

・情報提供の推進

市民や事業者にとって、関心の高い太陽光発電などにかかる

費用対効果、二酸化炭素排出量の削減などの情報を積極的に発

信し、市民や事業者の導入を推進します。

・廿日市市独自の補助制度創設検討

太陽光発電導入にかかる市民の費用負担を軽減するため、本

市独自の補助制度創設について検討します。また、補助制度を

活用した市民にはモニターとしてその効果を報告していただ

き、その結果を広報などで PR することで、太陽光発電の利用

促進を図ることも考えられます。

主体別

行動計画

約 215 万円

家庭で電力を消費

(年間約4万円)

残りは電力会社へ売電

(年間約8万円)

導入費用

導入による経済効果

年間約 12万円

発電

単純計算で、18 年使用するともと..

とれます(18年×12万円=216万円)

国では、技術開発等により販売価格

を現在の半額程度にすることをめ

ざしています

※気象条件、設置条件などにより実際の発電量、販売料金とは異なる場合があります

一般的な住宅用太陽光発電(4kW)の費用と効果

一般的な住宅用太陽熱利用機器の費用と効果

●ソーラーシステム 約 90 万円 都市ガスの場合:約 4.8 万円の削減 灯油の場合:約 3.8 万円の削減

●太陽熱温水器○○ 約 30 万円 都市ガスの場合:約 2.4 万円の削減 灯油の場合:約 2 万円の削減

【導入費用】 【年 間 節 約 額】

ソーラーシステムも太陽熱温水器も、ともに太陽熱を給湯や暖房に利用するものですが、ソーラーシステムの方が強制的に水

を循環させて暖めるなどの設備・機能を備えている分、効果は大きくなります。

■太陽光発電設置効果の周知

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基本方針2 多角的なエネルギー利用

エネルギー源を石油等の化石燃料のみに頼るのではなく、様々な種類のエネルギーを利

用することで、多角的なエネルギー利用を推進します。

■びりびりあつあつプロジェクト(天然ガスコージェネレーションシステムなどの展開)

主 体 行 動 計 画

市 民 ●エコキュート、エコジョーズ、エコウィルなど家庭用高効率給湯器の導入を

検討します。

事業者 ●病院や福祉施設、温浴施設など、熱需要の高い施設においてコージェネレー

ションシステムなどの導入を検討します。

行 政 ●省エネルギー診断等を活用し、公共施設へのコージェネレーションシステム

などの導入の可能性を検討します。

■まわるまわる水車プロジェクト

主 体 行 動 計 画

市 民

事業者

行 政

●水力発電の利用可能性について、検討を進めていきます。

コージェネレーションシステムは、発電時に発生する廃熱を捨てずに、熱として

利用することでエネルギーの無駄を省くシステムです。また、ヒートポンプは、大

気中の熱を圧縮機を利用して効率よく汲み上げ、冷却や過熱を行うシステムです。

こうした設備の公共施設や事業所への導入の可能性を検討します。

取組

概要

具体的

取組

・公共施設におけるコージェネレーションシステムなどの導入の検討

電気と熱を利用する公共施設において省エネルギー診断等を実施し、コージェネ

レーションシステムの導入の可能性を検討します。

主体別

行動計画

佐伯・吉和地域を中心とした中山間地域では、標高差を利用した中小水力発電の

可能性を見込むことができます。また、水車などを設置して発電することで、環境

貢献はもとより、観光資源として活用することもできます。こうした、水力を活用

した新エネルギー利用の手法を検討します。

取組

概要

具体的

取組

・中小水力発電利用可能性の検討

経済性を確保するためには河川流量、近隣のエネルギー需要、設置コスト負担が

小さくなる環境整備などについて検討する必要があります。今後、これらの可能性

について検討を進めていきます。

主体別

行動計画

市内ガス事業者の工場には、中国地方の都市ガス事業者で唯一の液化天然ガス(LNG=Liquefied

Natural Gas)の受け入れ基地があります。この LNG の冷熱を利用して、近接する市衛生センターで発

生する汚泥を乾燥させ、エネルギーとして活用することが将来的に期待されます。

市内ガス事業者の LNG 冷熱の利用

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基本方針3 公共施設等への率先的な新エネルギー導入

新エネルギーは、導入することで二酸化炭素排出量の削減とエネルギーコストの削減と

いう効果を確実に得られるものですが、導入費用が高いことが課題として挙げられます。

しかしながら、地震などの災害時におけるライフライン確保の観点から、学校、公民館

などの防災拠点に新エネルギー設備を導入することは極めて有意義です。また、市民や事

業者への導入促進を図るため、まず公共施設に率先して新エネルギー設備を導入すること

をめざします。

■公共施設への太陽光発電導入プロジェクト 【重点】

主 体 行 動 計 画

市 民

事業者

●太陽光発電の導入効果について確認し、自宅や事業所への導入について検討

します。

行 政

●シンボリックな公共施設への導入を進めます。

●市民や事業者の導入意識の啓発に努めます。

●避難施設に位置づけられている学校、公民館などの公共施設への太陽光発電

などの新エネルギー導入を検討します。

●その他公共施設への導入可能性について検討します。

公共施設における、太陽光発電システムの早期の導入を検討します。

アンケート結果からも、市民や事業者が公共施設に導入すべき新エネルギーとし

て も多くの声が挙がっています。

市役所や文化センターなどのシンボリックな施設への導入を推進し、市民や事業

者の環境意識の向上を図ります。

また、学校等への設備の導入は児童、生徒への学習活動としての効果も期待でき

ます。

取組

概要

具体的

取組

・導入の対象となる施設の選定

公共施設におけるエネルギー消費量などを参考としながら、啓発効果が見込まれ

る集客力の高い施設を対象に、太陽光発電システムを導入する公共施設の選定を行

います。

・導入効果の PR による市民等への導入意識啓発

公共施設へのシステム導入に併せ、施設内に発電量を表示する設備を設置し、そ

の効果を市民や事業者等、施設を訪れる人たちにとって分かりやすい形で表示し、

太陽光発電の導入意識を高めます。

・防災拠点への導入可能な新エネルギーの検討

避難施設に位置づけられている学校、公民館などの公共施設への太陽光発電など

の新エネルギー導入を検討します。

主体別

行動計画

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■クリーンエネルギー自動車等導入プロジェクト 【重点】

主 体 行 動 計 画

市 民

事業者 ●クリーンエネルギー自動車等の導入について検討します。

行 政

●公用車へクリーンエネルギー自動車等の率先的な導入を図ります。

●啓発効果の高い宮島へ優先的に導入します。

●市民や事業者に対してクリーンエネルギー自動車等の導入啓発を図ります。

現在、地球温暖化問題をはじめとした環境問題を背景として、クリーンエネルギ

ー自動車等に対する関心が高まっています。クリーンエネルギー自動車等の利用

は、環境貢献に加え燃料費の低減が図れることから、今後、維持管理コストの低減

化にも寄与できるハイブリッド自動車などのクリーンエネルギー自動車や軽自動

車の率先的導入を推進します。

取組

概要

具体的

取組

・公用車へのクリーンエネルギー自動車等の率先導入

今後、公用車の買い替え時等に、積極的にクリーンエネルギー自動車等の導入を

図ります。行政が率先的に導入することにより、市民へ積極的なクリーンエネルギ

-自動車等の導入の働きかけもします。

また、啓発効果の高い宮島へ優先的に電気自動車などの導入を推進し、市民などへ

の導入意識の向上を図ります。

主体別

行動計画

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基本方針4 世界遺産「宮島」における二酸化炭素排出量の削減

本市には、世界遺産である厳島神社を含む宮島が立地し、多くの観光客が訪れています。

しかし、観光客の移動や島内での観光行動は、多くのエネルギー消費を伴っています。

そこで、宮島において新エネルギー利用を推進するとともに、省エネルギー施策と複合的

に二酸化炭素排出量の削減に取り組むための手法を検討します。

■エコアイランド「宮島」実現プロジェクト 【重点】

主 体 行 動 計 画

市 民

事業者 ●宮島における新エネルギーの利用に関する取り組みに積極的に参加します。

行 政 ●宮島における新エネルギーの導入に関する施策を推進します。

来訪者 ●宮島における新エネルギーの利用に関する取り組みに積極的に参加します。

【新エネルギー】

●BDF(バイオディーゼル燃料)の使用

●クリーンエネルギー自動車等の使用

●カーボンオフセット等の利用によるハイ

ブリッド型照明等の新エネルギー設備導入

【省エネルギー】

●地域共同のアイドリングストップ

●地産地消

●地域共同の雨水利用

●燃料の共同購入

●3Rの推進

●緑のカーテン運動

●電動自転車の利用

●缶、ビン、エコバッグ等デポジット制度

【新エネルギー】

●海水浴場でのペレット使用によるバーベ

キュー

●学校、集会所、旅館等でのペレットスト

ーブの利用

●来訪者の移動手段として、BDF燃料車やク

リーンエネルギー自動車等の活用

●カーボンオフセット運動への参加

【省エネルギー】

●電動自転車の利用

●缶、ビン、エコバッグ等デポジット制度

宮島において、在住者はもとより、観光客を中心とした来訪者を巻き込んで省エ

ネ・新エネ施策を複合的に実施することで、宮島地域における二酸化炭素排出量の

削減をめざします。

取組

概要

具体的

取組

主体別

行動計画

【来訪者対策】 【在住者対策】

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基本方針5 市民や事業者の高い環境意識の具体的な新エネルギー導入への結びつけ

アンケート調査の結果、市民や事業者のみなさんが、環境に対する高い意識を持ってい

る一方、具体的な行動になかなか移しにくいという現状が明らかになりました。

そこで、この高い環境意識を具体的な新エネルギー導入へ結びつけるための取り組みを

推進します。

■BDF(バイオディーゼル燃料)利用促進プロジェクト

主 体 行 動 計 画

市 民 ●廃食油の回収に協力します。

事業者

●廃食油の回収に協力します。

●廃食油精製の仕組みづくりに協力します。

●BDF の活用について、ノウハウの提供などの協力を行います。

●事業所内での BDF の利用方法を検討します。

行 政

●廃食油回収システムなどを検討します。

●BDF の利用方法について、安定供給等の観点に留意して検討します。

●市民などが行う廃食油の回収などについて、支援を検討します。

家庭や事業所から排出される廃食油は、精製することで軽油の代替燃料などとし

て活用することができます。アンケート調査の結果、85%の市民が廃食油の回収に

協力すると回答しており、誰もが気軽に参加できる新エネルギー利用促進の手法と

して、回収・精製・利用のシステムづくりを検討します。

取組

概要

具体的

取組

主体別

行動計画

・廃食油回収システムなどの構築

廃食油の回収にかかるシステムの構築や BDF に精製するための方法などを検討

します。

・BDF 利用方法の検討

精製した BDF の利用方法などを検討します。公用車や事業者での利用が考えられ

ますが、品質や供給量の安定性、エネルギーとしての安全性等について、十分配慮

する必要があります。

・市民活動などに対する支援

地球環境を守ることを目的に、市民などが行う廃食油の回収などについて、支援

を検討します。

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■市民参加によるカーボンオフセット活用プロジェクト 【重点】

主 体 行 動 計 画

市 民

事業者

●カーボンオフセットの仕組みについて理解し、イベント等開催時の寄付によ

る二酸化炭素排出量削減に協力します。

●カーボンオフセットの寄付金がどのように使われたのかについて、ホームペ

ージや広報等を通じてチェックします。

行 政 ●カーボンオフセットの仕組みについて市民・事業者等へ幅広く周知します。

●寄付金を財源とした新エネルギー設備などの導入を検討します。

来訪者 ●廿日市市を訪問した際に、カーボンオフセットの寄付金に協力します。

本市が主催するイベント等における、カーボンオフセットの取り組みによる寄付

金を財源とし、本市における新エネルギー機器の導入などを推進することで、市民

の誰もが参加可能な新エネルギー設備の活用などによる二酸化炭素排出量削減の

取り組みを推進します。

取組

概要

具体的

取組

・寄付金による新エネルギー導入の検討

寄付金を財源の一部として新エネルギーを導入することを検討します。公共施設

への太陽光・太陽熱利用システムの設置、廿日市市独自の市民向け新エネルギー機

器導入補助金などの財源として活用することが考えられます。

主体別

行動計画

カーボンオフセットで地球温暖化対策

カーボン(炭素)オフセット(埋め合わせ)とは、日常生活や経済活動などから排出さ

れる二酸化炭素(CO2)等の温室効果ガスについて、まずできるだけ排出量削減努力を行

い、それでも削減困難な排出量については、投資もしくは実践などによる他の場所での排

出削減・吸収で、その全部または一部を埋め合わせることをいいます。

埋め合わせの方法としては、化石燃料を使わない(CO2を発生しない)太陽光発電、風

力発電などの再生可能エネルギーへの投資や、CO2の吸収量を増加させるための植林や間

伐などの費用負担、活動支援等があります。

(こども環境白書 2009(環境省)を参考にイラストを一部修正)

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4-3 新エネルギー導入目標

1.導入目標の考え方

本章に掲げる各プロジェクトを実施することで得られるエネルギー導入量および二酸化

炭素(CO2)削減量を設定します。

地域省エネルギービジョン、環境基本計画との整合を図るため、基準年度を 2006 年度、

中間目標年度を 2014 年度、 終的な目標年度を 2019 年度とします。

2.各プロジェクトの導入目標

(1)中山間地あたたかプロジェクト

本プロジェクトは、木質バイオマスエネルギ-を活用するプロジェクトです。

アンケート調査結果では、導入を検討している世帯はありませんでしたが、補助金や

優遇税制があればペレットストーブの導入を検討すると回答した世帯は、5,077 世帯(=

47,446 世帯×10.7%)という結果が得られました。

※総世帯数(47,446 世帯)は 2008 年 10 月 1 日現在の値です

ここでは、5,077 世帯のうち、中間目標である 2014 年度までに約 10%にあたる 500 世

帯に、 終目標年度である 2019 年度までに約 30%にあたる 1,500 世帯に、ペレットス

トーブ等の導入をめざします。

■導入による効果の試算

木質バイオマスエネルギーの利用可能量は 13,004GJ/年と推定しています(2 章参照)。

【二酸化炭素発生量】

13,004(GJ/年)×0.0678(t-CO2/GJ)=882(t-CO2/年)【灯油換算】

10%の世帯(500 世帯)に導入した場合(2014 年度目標)

【エネルギー導入量】

13,004(GJ/年)×10(%) =1,300(GJ/年)

【二酸化炭素削減量】

882(t-CO2/年)×10(%) =88(t-CO2/年)

30%の世帯(1,500 世帯)に導入した場合(2019 年度目標)

【エネルギー導入量】

13,004(GJ/年)×30(%) =3,901(GJ/年)

【二酸化炭素削減量】

882(t-CO2/年)×30(%) =265(t-CO2/年)

■図表 4-3-1 中山間地あたたかプロジェクトによる目標値

エネルギー導入量 二酸化炭素削減量 区 分

2014 年度 2019 年度 2014 年度 2019 年度

木質バイオマス

エネルギー導入 1,300GJ 3,901GJ 88t-CO2 265t-CO2

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(2)太陽光利用促進プロジェクト

a.太陽光発電の導入

アンケート調査結果から、全市民の 1,803 世帯(=47,446 世帯×3.8%)が太陽光発

電を導入しているという結果が得られました。

また、導入を検討している世帯が 1,376 世帯(=47,446 世帯×2.9%)、補助金や優遇

税制があれば導入を検討する世帯が 20,354 世帯(=47,446 世帯×42.9%)という結果

が得られました。

ここでは、21,730 世帯のうち、2014 年度までに約 7%にあたる 1,500 世帯に、 終目

標年である 2019 年度までに約 14%にあたる 3,000 世帯に、新たに太陽光発電を導入す

ることをめざします。

これは、全世帯の約 6.3%にあたり、現在導入している 3.8%とあわせると全体で

10.1%となります。

■導入による効果の試算

太陽光エネルギーの利用可能量は 294,666GJ/年と推定しています(2 章参照)。

【エネルギー導入量】

294,666(GJ/年)/(3.6×10-3(GJ/kWh))=81,851,667(kWh/年)【電気換算】

【二酸化炭素発生量】

81,851,667(kWh/年)×0.67×10-3(t-CO2/kWh)=54,841(t-CO2)【電気換算】

7%の世帯(1,500 世帯)に導入した場合(2014 年度目標)

【エネルギー導入量】

294,666(GJ/年)×7(%) =20,627(GJ/年)

【二酸化炭素削減量】

54,841(t-CO2/年)×7(%)=3,839(t-CO2/年)

14%の世帯(3,000 世帯)に導入した場合(2019 年度目標)

【エネルギー導入量】

294,666(GJ/年)×14(%) =41,253(GJ/年)

【二酸化炭素削減量】

54,841(t-CO2/年)×14(%)=7,678(t-CO2/年)

■図表 4-3-2 太陽光利用促進プロジェクト(太陽光発電)による目標値

エネルギー導入量 二酸化炭素削減量 区 分

2014 年度 2019 年度 2014 年度 2019 年度

太陽光発電導入 20,627GJ 41,253GJ 3,839t-CO2 7,678t-CO2

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b.太陽熱温水器の導入

アンケート調査結果から、全市民の 5,314 世帯(=47,446 世帯×11.2%)が太陽熱利

用機器を導入しているという結果が得られました。

また、導入を検討している世帯が 1,518 世帯(=47,446 世帯×3.2%)、補助金や優遇

税制があれば導入を検討する世帯が 15,467 世帯(=47,446 世帯×32.6%)という結果

が得られました。

ここでは 16,985 世帯のうち、2014 年度までに約 10%にあたる 1,700 世帯に、 終目

標年である 2019 年度までに約 20%にあたる 3,400 世帯に、新たに太陽熱温水器を導入

することをめざします。

これは、全世帯の約 7.2%にあたり、現在導入している 11.2%とあわせると全体で

18.4%となります。

導入に際しては、ガス給湯器(燃料 LPG)からの代替と仮定します。

■導入による効果の試算

太陽熱エネルギーの利用可能量は 106,117GJ/年と推定しています(2 章参照)。

【二酸化炭素発生量】

106,117(GJ/年)×0.0598(t-CO2/GJ )=6,346(t-CO2)【LPG 換算】

10%の世帯(1,700 世帯)に導入した場合(2014 年度目標)

【エネルギー導入量】

106,117(GJ/年)×10(%) =10,612(GJ/年)

【二酸化炭素削減量】

6,346(t-CO2/年)×10(%)=635(t-CO2/年)

20%の世帯(3,400 世帯)に導入した場合(2019 年度目標)

【エネルギー導入量】

106,117(GJ/年)×20(%) =21,223(GJ/年)

【二酸化炭素削減量】

6,346(t-CO2/年)×20(%)=1,270(t-CO2/年)

■図表 4-3-3 太陽光利用促進プロジェクト(太陽熱)による目標値

エネルギー導入量 二酸化炭素削減量 区 分

2014 年度 2019 年度 2014 年度 2019 年度

太陽熱温水器導入 10,612GJ 21,223GJ 635t-CO2 1,270t-CO2

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(3)びりびりあつあつプロジェクト

具体的実施に向けた施策の検討がこれからであることからここでは具体的な数値目標

は設定しません。

2009 年度以降、各主体との調整を行い、具体的な取り組みを開始するまでに、数値目

標を設定し、ビジョンの目標値に追加します。

(4)まわるまわる水車プロジェクト

本プロジェクトでは、佐伯、吉和地域に中小水力発電を導入することをめざします。

したがって、ここでは 2章で推計した 6 か所の選定地のうち、2014 年度までに 1か所

(地点 C)、2019 年度までに、計 2か所(地点 C,D)の中規模な中小水力発電導入による

効果を試算します。

ただし、実際の導入にあたっては、選定した箇所について詳細な検討をする必要があ

ることなどから、より正確な数値に目標値を見直す必要があります。

■導入による効果の試算

想定した 6か所での中小エネルギーの利用可能量は 27,537GJ/年と推定しています(2

章参照)。

1 か所に導入した場合(2014 年度目標)

【エネルギー導入量】:地点 C

2,367(GJ)/(3.6×10-3(GJ/kWh) =657,500(kWh)

【二酸化炭素削減量】

657,500(kWh)×0.67×10-3(t-CO2/kWh) =441(t-CO2)【電気換算】

計 2 か所に導入した場合(2019 年度目標)

【エネルギー導入量】:地点 C+D

2,367(GJ/年)+2,367(GJ/年)=4,734(GJ/年)

2,367(GJ)×2 か所/(3.6×10-3(GJ/kWh)) =1,315,000(kWh)

【二酸化炭素削減量】

1,315,000(kWh)×0.67×10-3(t-CO2/kWh)=881(t-CO2)【電気換算】

■図表 4-3-4 まわるまわる水車プロジェクトによる目標値

エネルギー導入量 二酸化炭素削減量 区 分

2014 年度 2019 年度 2014 年度 2019 年度

中小水力発電導入 2,367GJ 4,734GJ 441t-CO2 881t-CO2

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(5)公共施設への太陽光発電導入プロジェクト

本プロジェクトでは、公共施設に率先的に太陽光発電システムを導入することをめざ

しますが、具体的に導入する施設の選定はこれからです。

したがって、ここでは 2014 年度までに市役所・文化センターへの導入を仮定し、太陽

光発電導入による効果を試算します。そのうえで、随時他の公共施設への導入も推進し、

目標年である 2019 年度までに、市役所・文化センターを含め 3施設程度への導入をめざ

すこととします。

ただし、実際の導入にあたっては、選定した公共施設によってシステムの出力等に差

が生じることなどから、より正確な数値に目標値を見直す必要があります。

■導入による効果の試算

太陽光発電システムの効果:定格出力 1kW あたり年間 1,000kWh の電力を発電とする。

○市役所・文化センターに導入すると仮定した場合の出力:100kW

100(kW)×1,000(kWh/(年・kW))=100,000(kWh/年)※NEDO 新エネルギーガイドブック 2008

【エネルギー導入量】

100,000(kWh/年)×3.6×10-3(GJ/kWh) =360(GJ/年)

【二酸化炭素削減量】

100,000(kWh/年)×0.67×10-3(t-CO2/kWh) =67(t-CO2/年)【電気換算】

○市役所・文化センター以外の 2 か所に 40kW を導入した場合の出力:40kW×2

40(kW)×2 か所×1,000(kWh/(年・kW)) =80,000(kWh/年・kW)

【エネルギー導入量】

80,000(kWh/年)×3.6×10-3(GJ/kWh) =288GJ/年

【二酸化炭素削減量】

80,000(kWh/年)×0.67×10-3(t-CO2/kWh) =54t-CO2/年【電気換算】

■図表 4-3-5 公共施設への太陽光発電導入プロジェクトによる目標値

エネルギー導入量 二酸化炭素削減量 区 分

2014 年度 2019 年度 2014 年度 2019 年度

市役所庁舎等への太陽光発電導入

360GJ 648GJ 67t-CO2 121t-CO2

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(6)クリーンエネルギー自動車等導入プロジェクト

アンケート調査結果から、全世帯(47,446世帯)のうち522世帯(=47,446世帯×1.1%)

がクリーンエネルギー自動車等を導入しているという結果が得られました。

また、導入を検討している世帯が 2,183 世帯(=47,446 世帯×4.6%)、補助金や優遇

税制があれば導入を検討する世帯が 20,117 世帯(=47,446 世帯×42.4%)という結果

が得られました。

ここでは、全世帯のうち、22,300 世帯(=47,446 世帯×47.0%[導入を検討している、

補助金や優遇税制があれば導入を検討する世帯の合計割合])がクリーンエネルギー自動

車へ切り替え、1世帯が1台の自動車を保有すると仮定し、22,330 台を可能台数として

設定しました。

2014 年度までに可能台数の約 6%にあたる 1,400 台を、2019 年度までに約 12%にあた

る 2,600 台をクリーンエネルギー自動車等への切り替えをめざします。

■導入による効果の試算

1 台あたりの年間走行距離を 10,000km と仮定した場合、普通自動車の平均燃費約

13.0km/L(国土交通省データ)より、年間使用燃料は 769L となります。

クリーンエネルギー自動車等の燃費向上率は、新エネルギー財団の資料より約 40%で

あるため、約 300L/台・年が燃料の削減量と考えられます。

【エネルギー導入量】

300(L/(台・年))×34.6×10-3(GJ/L) =10.4(GJ/(年・台) 【ガソリン換算】

【二酸化炭素発生量】

10.4(GJ/(台・年))×0.0671(t-CO2/GJ) =0.7(t-CO2/台・年))【ガソリン換算】

6%にあたる 1,400 台導入した場合(2014 年度目標)

【エネルギー導入量】

10.4(GJ/(台・年))×1,400(台) =14,560(GJ/年)

【二酸化炭素削減量】

0.7(t-CO2/(台・年))×1,400(台) =980(t-CO2)

12%にあたる 2,600 台導入した場合(2019 年度目標)

【エネルギー導入量】

10.4(GJ/(台・年))×2,600(台) =27,040(GJ/年)

【二酸化炭素削減量】

0.7(t-CO2/(台・年))×2,600(台) =1,820(t-CO2)

■図表 4-3-6 クリーンエネルギー自動車等導入プロジェクトによる目標値

エネルギー導入量 二酸化炭素削減量 区 分

2014 年度 2019 年度 2014 年度 2019 年度

クリーンエネルギー自動車等導入

14,560GJ 27,040GJ 980t-CO2 1,820t-CO2

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(7)エコアイランド「宮島」実現プロジェクト

具体的実施に向けた施策の検討がこれからであることから、ここでは具体的な数値目

標は設定しません。

2009 年度以降、各主体との調整を行い、具体的な取り組みを開始するまでに、数値目

標を設定し、ビジョンの目標値に追加します。

(8)BDF 利用促進プロジェクト

アンケート調査結果から、廃食油の回収について 39,665 世帯(=47,446 世帯×83.6%)

の市民が「協力したい」と回答しています。ここでは、このうち 2014 年度までに約 15%

にあたる世帯(約 6,000 世帯)から、2019 年度までに約 30%にあたる世帯(約 12,000 世

帯)からの廃食油回収を目標として掲げます。

■導入による効果の試算

食品バイオマス(廃食油)エネルギーの利用可能量は 3,300GJ/年と推定しています(2

章参照)。

3,300GJ/年×0.0686t-CO2/GJ=226t-CO2/年【軽油換算】

15%の世帯が回収に協力した場合(2014 年度目標)

【エネルギー導入量】

3,300GJ/年×15%=495GJ/年

【二酸化炭素削減量】

226t-CO2/年×15%=34t-CO2/年

30%の世帯が回収に協力した場合(2019 年度目標)

【エネルギー導入量】

3,300GJ/年×30%=990GJ/年

【二酸化炭素削減量】

226t-CO2/年×30%=68t-CO2/年

■図表 4-3-7 BDF 利用促進プロジェクトによる目標値

エネルギー導入量 二酸化炭素削減量 区 分

2014 年度 2019 年度 2014 年度 2019 年度

廃食油回収による

BDF 利用 495GJ 990GJ 34t-CO2 68t-CO2

(9)市民参加によるカーボンオフセット活用プロジェクト

カーボンオフセットの対象とするイベント等の選定がこれからであること、イベント

等によっては来場規模や自家用車での来場者数などの差が大きいことから、ここでは具

体的な目標値は設定しません。具体的な取り組みを開始した後に、新たに目標値を加え

ます。

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3.本市の新エネルギー導入目標

プロジェクトの実践による本市の新エネルギー導入目標および二酸化炭素(CO2)排出削

減量は下記のとおりとなります。

終目標年度における新エネルギー導入目標量の総量は 0.8%(2006 年度の本市のエネ

ルギー消費量比)、二酸化炭素(CO2)排出削減量は 1.4%(2006 年度の本市の二酸化炭素

(CO2)排出量比)となります。

■図表 4-3-8 新エネルギーの導入目標および二酸化炭素(CO2)排出削減量の総括

新エネルギー導入目標 本市のエネルギー消費量・ 二酸化炭素(CO2)排出量

(2006 年度) 2014 年度【中間】 2019 年度【最終】

12,996,329GJ 50,321GJ

【エネルギー消費量の約 0.4%】

99,789GJ

【エネルギー消費量の約 0.8%】

861,708t-CO2 6,084t-CO2

【二酸化炭素排出量の約 0.7%】

12,103t-CO2

【二酸化炭素排出量の約 1.4%】

■図表 4-3-9 各プロジェクトによる新エネルギーの導入目標および二酸化炭素(CO2)排出削減量

2014 年度 2019 年度

区 分 エネルギー 導入量 (GJ)

CO2削減量

(t-CO2)

エネルギー 導入量 (GJ)

CO2削減量

(t-CO2)

中山間地あたたかプロジェクト 1,300 88 3,901 265

太陽光利用促進プロジェクト【重点】 31,239 4,474 62,476 8,948

びりびりあつあつプロジェクト - - - -

まわるまわる水車プロジェクト 2,367 441 4,734 881

公共施設への太陽光発電導入

プロジェクト【重点】 360 67 648 121

クリーンエネルギー自動車等導入

プロジェクト【重点】 14,560 980 27,040 1,820

エコアイランド「宮島」

実現プロジェクト【重点】 - - - -

BDF 利用促進プロジェクト 495 34 990 68

市民参加によるカーボンオフセット

活用プロジェクト【重点】 - - - -

合 計 50,321 6,084 99,789 12,103

(重点プロジェクトのみ) 46,159 5,521 90,164 10,889

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4-4 推進スケジュール

本ビジョンに掲げる施策については以下のスケジュールに基づき実施します。

■図表 4-4-1 ビジョン推進スケジュール

区 分 2009~2012 年度

【短期】

2013~2016 年度

【中期】

2017~2019年度

【長期】

中山間地あたたかプロジェクト

太陽光利用促進プロジェクト【重点】

びりびりあつあつプロジェクト

まわるまわる水車プロジェクト

公共施設への太陽光発電導入

プロジェクト【重点】

クリーンエネルギー自動車等導入

プロジェクト【重点】

エコアイランド「宮島」実現

プロジェクト【重点】

BDF 利用促進プロジェクト

市民参加によるカーボンオフセット

活用プロジェクト【重点】

検討、調査 実施等

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4-5 推進体制、進捗管理体制

1.ビジョンの推進体制

本ビジョンに掲げる施策を確実に推進するため、市民・事業者・行政、さらに来訪者が

協働し、計画の推進、進捗管理を担う体制を整備します。

また、ビジョンの推進にあたっては、廿日市市・地域省エネルギービジョン(2007 年度)、

廿日市市環境基本計画(2008 年度)との整合をとりながら、必要に応じて施策の見直しを

図ります。

■図表 4-6-1 ビジョン推進体制イメージ

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2.ビジョンの進行管理

本ビジョンに掲げる施策の実行を確実に

担保するため、PDCA サイクルによってその

進行を管理します。

Plan(計画)

「廿日市市・地域新エネルギービジョン」

にあたります。

Do(実行)

重点プロジェクトを中心として、市民・事

業者・行政 来訪者が協働し、取り組みを推

進します。

Check(確認)

廿日市市環境基本計画においては、環境都市推進委員会が、毎年度、前年度の進捗状況

の確認、翌年度の重点目標の設定を行っています。本ビジョンは、地域省エネルギービジ

ョン同様、廿日市市環境基本計画をエネルギーの面から具体化するものであり、その一部

として位置づけられます。本ビジョンにおいても環境都市推進委員会が中心となって進捗

状況を確認することとします。

Action(見直し・改善)

確認結果に基づき、環境都市推進委員会において課題や問題点を解決するための手段を

検討し、実施します。ビジョンに掲げる目標が達成できない場合は、施策内容の変更、新

しい施策の立案など目標の再設定を行います。

Plan 【計画】

Do 【実行】

Check 【確認】

Action 【見直し、改善】

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