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A Practical Guide to Working

with AlphaScreen™

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A Practical Guide to Working with AlphaScreen

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目次

Ⅰ AlphaScreenの概要……………………………………………………………1

イントロダクション………………………………………………………………1

AlphaScreenとは?………………………………………………………………1

AlphaScreenの特徴………………………………………………………………3

AlphaScreenの測定:プレートと測定装置………………………………………3

Ⅱ AlphaScreenアプリケーション……………………………………………5

Ready-to-Useアッセイキット……………………………………………………5

ジェネリックディテクションキット……………………………………………5

カスタムコンジュゲーション……………………………………………………5

アッセイフォーマット……………………………………………………………6

ビーズに結合させるアッセイコンポーネントとして利用可能なもの………7

Ⅲ AlphaScreen使用諸注意……………………………………………………13

入門………………………………………………………………………………13

測定装置の設置環境……………………………………………………………13

試薬の保存と使用時の注意……………………………………………………13

実験プロトコル………………………………………………………………13

アッセイデザイン………………………………………………………………13

シグナルの減少か?上昇か?…………………………………………………13

アッセイコンポーネントの組み合わせ…………………………………………15

アッセイコンディション………………………………………………………16

プレートの選択………………………………………………………………16

初期検討…………………………………………………………………………16

最適な試薬濃度の検討…………………………………………………………16

データの取得…………………………………………………………………17

アッセイを最適化する…………………………………………………………17

アッセイフォーマット…………………………………………………………17

添加の順序……………………………………………………………………18

バッファーの選択……………………………………………………………18

塩、界面活性剤、イオン………………………………………………………19

細胞培地と血清………………………………………………………………19

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分注操作………………………………………………………………………19

試薬濃度とアッセイの少量化…………………………………………………19

Ⅳ AlphaScreenアッセイの開発............................................................21

初期検討…………………………………………………………………………21

自動分注装置のプログラム……………………………………………………21

平衡タイムコース……………………………………………………………21

適切な実験環境…………………………………………………………………22

光コンディション……………………………………………………………22

温度……………………………………………………………………………23

その他の推奨事項………………………………………………………………23

ミニチュアライゼーション……………………………………………………23

化合物の干渉……………………………………………………………………23

Ⅴ トラブルシューティング.................................................................27

Ⅵ 参考文献.............................................................................................27

AppendixⅠ Fusion αクイックガイド...................................................31

AppendixⅡ AlphaQuest-HTSクイックガイド.....................................33

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表のリスト

Table 1: AlphaScreen試薬……………………………………………………8

Table 2: 様々なアッセイタイプとセットアップ例………………………9

Table 3: プレートの選択……………………………………………………16

図のリスト

Figure 1: 結合がある場合……………………………………………………2

Figure 2: 結合が無い場合……………………………………………………2

Figure 3a: ダイレクトフォーマット…………………………………………6

Figure 3b: ダイレクトフォーマット…………………………………………6

Figure 4: インダイレクトフォーマット……………………………………7

Figure 5: Hooking効果………………………………………………………14

Figure 6: IgG検出……………………………………………………………15

Figure 7: チロシンキナーゼとビオチン化基質濃度の最適化……………17

Figure 8: バッファーコンディションとビオチン化抗体濃度の最適化…18

Figure 9: 平衡に達するまでにかかる時間の確認…………………………21

Figure 10: グリーンフィルター………………………………………………22

Figure 11: グリーンフィルターの効果………………………………………22

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Ⅰ AlphaScreenの概要

AlphaScreen とは?

AlphaScreenは分子間相互作用をマイクロプレートフォーマットで検出するために用いられるビーズベー

スのケミストリです。AlphaScreenのALPHAとは増幅(Amplified)発光(Luminescent)近接(Proximity)

ホモジニアス(Homogeneous)アッセイ(Assay)の頭文字を取ったものです。この名前が示すように

AlphaScreenは非放射性のホモジニアス近接アッセイです。ビーズ上に捕捉された分子同士の結合により、

ビーズの一方からもう一方にエネルギーの伝達が起きシグナルが発生します。AlphaScreenはDade Behring,

Incにより開発されたLOCI®(Luminescent Oxygen Channeling Immunoassay)テクノロジーを基にしていま

す。LOCIテクノロジーに関する論文はUllmanらにより1994年に発表されています1)。PerkinElmerは生命科

学研究分野におけるAlphaScreenテクノロジーの独占販売権の下にAlphaScreenビーズおよび関連試薬を製

造販売しています。

AlphaScreenシグナル発生のメカニズムについて理解するには、このテクノロジーで用いるビーズの性質

について知る必要があります。AlphaScreenアッセイではDonorビーズとAcceptorビーズという2種類のビー

ズを用います。それぞれのビーズは非特異的な結合またはビーズ同士の会合を最小限に抑えるためにハ

イドロゲルでコーティングされています。このハイドロゲルにはアルデヒド官能基が含まれており、ビ

ーズ表面に各種生体分子を結合させるときにはこのアルデヒド基を利用します。ビーズはラテックス製、

直径約250 nmで、SPA(2~10 µm)やFMAT™(6~20 µm)などの他のビーズベースのアッセイで使用す

るビーズに比べてはるかに小さいものです。ビーズサイズが小さいということには、懸濁状態を保ち沈

殿を起こさない、またチップ先端に詰まったりしない、といった大きな利点があり、自動分注装置によ

る処理も容易に行うことできます。重量あたりの表面積が比較的大きく、一般にSPAビーズの濃度(mg/ml)

より低い濃度(µg/ml)で使用されます。一方AlphaScreenビーズは遠心分離あるいはフィルトレーション

するには十分に大きいため、分子を結合させた後の精製においてクロマトグラフによる分離を行う必要

がなく、単に遠心分離するだけで高い収率で簡単に精製・回収することができます。またビーズそのも

のは懸濁状態でも非常に安定で、高温条件下(95℃)においてさえ凍結乾燥状態と同じように安定して

います(ビーズに結合した分子に関してはその限りではない)。

DonorビーズとAcceptorビーズはそれぞれAlphaScreenテクノロジーに重要な異なる化合物のミクスチャー

(特許)を含んでいます。Donorビーズはフォトセンシタイザー“フタロシアニン;phthalocyanine”を含

みます。フタロシアニンは680 nmの光を受けて周囲の酸素を励起状態の酸素“一重項酸素;singlet oxygen”

に変換します。一重項酸素は、最外郭の電子の1つのスピンが反転した状態でありラジカルとは異なりま

す。他の励起状態の分子と同じように、一重項酸素は一定の時間(寿命)で基底状態(三重項酸素)に

戻ります。一重項酸素の寿命は4 µsecで、その間水溶液中を約200 nm拡散します。Acceptorビーズが近接

して200 nmの範囲内に存在する場合、エネルギーが一重項酸素からAcceptorビーズに含まれるチオキシン

誘導体に伝達されAcceptorビーズから520~620 nmの光が発生します。Acceptorビーズが200 nmの範囲内に

ない場合、一重項酸素はAcceptorビーズに到達する前に基底状態に戻りシグナルは発生しません。

AlphaScreenのホモジニアスという性質は、この近接に依存した化学エネルギーの伝達を基にしています。

1. Luminescent oxygen channeling immunoassay: Measurement of particle binding kinetics by chemiluminescence.

Ullman, EF, et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 91, pp. 5426 – 5430, June 1994.

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AcceptorビーズのDonorビーズへの接近は、それぞれのビーズ上に結合した分子の生物学的相互作用に依

存します。一般的なAlphaScreenアッセイは、Donorビーズ上のある分子(例えばレセプター)と、Acceptor

ビーズ上のバインディングパートナー(例えばリガンド)で構成されます。それぞれのビーズ上の分子

が相互作用する(たとえばレセプターがリガンドを捕捉する)と、化学エネルギーがDonorからAcceptor

ビーズに伝達されシグナルが生じます(Figure 1)。この他に、競合アッセイまたは開裂(分解)アッセ

イはシグナルの減少として測定することができます(Figure 2)。バインディングパートナーの一方(A)

をビオチン化することによりDonorビーズに効率的に捕捉することができるため、Donorビーズは通常ス

トレプトアビジン(SA)が結合したものを提供しています。Acceptorビーズは様々な種類、主に抗体

(Anti-species IgG、Anti-His、Anti-FLAG、Anti-phosphopeptideなど)が結合したものを提供しており、も

う一方のバインディングパートナー(B)はこれらの抗体に対応する抗原を持っている必要があります。

各ビーズは未標識のものが利用可能で簡単な還元アミノ化法でバインディングパートナーをビーズに直

接コートすることができます。

Figure 1:結合がある場合

生物学的な“パートナー”の結合によりDonorとAcceptorビーズが近接(< 200 nm)すると

520~620 nmのシグナルが発生します。

Figure 2:結合がない場合

結合がない場合、DonorとAcceptorビーズは近接しません。

一重項酸素はAcceptorビーズに到達する前に減衰してシグナルは発生しません。

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AlphaScreenの特徴

・ 高感度

シグナルはDonorビーズ中に高濃度含まれるフォトセンシタイザーとAcceptorビーズ中の高密度チオ

キシン誘導体と蛍光物質により起こるカスケード反応で生じます。680 nm励起により、各Donorビー

ズは1秒あたり60,000個の一重項酸素分子を発生させシグナルは大きく増幅されます。増幅カスケード

反応により生じる強いシグナルにより、AlphaScreenは最小femtomolarまでのバインディングパートナ

ーの相互作用を検出することができます。

・ 低バックグラウンド

AlphaScreenのバックグラウンドは、

(1)時間分解測定

680nmの励起光照射の20 msec後に測定を開始することによりアッセイコンポーネントおよびプ

レートからの蛍光をほぼ全て除くことができます。

(2)測定波長

AlphaScreenシグナルは励起波長よりも短波長側を測定します。自家蛍光などのバックグラウン

ドは励起波長域あるいはより長波長域で生じるためAlphaScreenシグナルとして検出されません。

(3)励起波長

励起波長が680 nmと長波長であるため、アッセイで用いる化合物の干渉をほとんど受けません。

以上3つの理由により事実上プレートおよびアッセイコンポーネントからの自家蛍光が起こらないた

め、非常にバックグラウンドが低く高感度な測定が可能です。

・ 高いS/B比

シグナルが強くバックグラウンドが小さいため、AlphaScreenでは高いシグナル/バックグラウンド比

が達成されます。

・ アッセイの少量化

AlphaScreenアッセイは試薬濃度を変更するなどアッセイ条件の再検討を行うことなく、またアッセイ

の精度を犠牲にすることなく5 µL以下にまで少量化することができます。少量化はぞれぞれの試薬添

加量を同じ割合で減らすことによって簡単に行えます。

・ 低コスト

高いS/B比が得られる上アッセイの少量化が可能なため、AlphaScreenアッセイではビーズその他の試

薬使用量を減らして1ウェル当たりのアッセイコストを抑えることができます。

・ 多彩なアッセイデザイン

AlphaScreenでは、酵素活性・レセプター-リガンド相互作用・低親和性相互作用・セカンドメッセン

ジャーレベル・レセプターファンクショナルアッセイ・DNA/RNA/タンパク質/ペプチド/糖/低分子化

合物の検出など様々なアッセイに応用が可能です。

・ 低親和性から高親和性の相互作用まで検出可能

AlphaScreenでは極めて広範囲の相互作用を検出することでき、他のテクノロジーに比べて低親和性相

互作用の検出にも適しています。Donorビーズには1個当たり3,000個のストレプトアビジンが、

Acceptorビーズには300個の抗体が結合しています。バインディングパートナーが個々に標識されてい

る他のテクノロジーでは、親和性の低い結合を検出するためには高濃度の標識物が必要になります。

AlphaScreenは個々のビーズに複数のバインディングパートナーを結合させることができるため、高濃

度のバインディングパートナーを用いなくても低親和性の相互作用を検出することができます。

AlphaScreenの測定:プレートと測定装置

AlphaScreenアッセイはプレートの自家蛍光の影響を受けないため、白色不透明の96-/384-/1536-ウェルプ

レートを使用して高収率にシグナルを検出することができます。

AlphaScreenはFusionα マルチラベルリーダーあるいはAlphaQuest-HTSマイクロプレートアナライザーで

検出することができます。Fusionαは吸光度/発光/蛍光など様々な検出を行うことが可能で、アッセイ開

発を行うのに適した測定装置で、他のケミストリの検出とは完全に独立したAlphaScreen用の検出器を備

えています。AlphaQuest-HTSは4本の検出器を持つAlphaScreen専用の測定装置でハイスループットスクリ

ーニング(以下HTS)向けにデザインされています。1536ウェルプレートを約8分(Fusionαの4倍以上の

速さ)で測定することができます。FusionαとAlphaQuest-HTSはAlphaScreen測定に関してまったく同じ光

学系を装備しており、測定スピード以外のパフォーマンスは同等です。

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Ⅱ AlphaScreenアプリケーション

このセクションでは一般的なAlphaScreen製品のアプリケーションについて紹介します。

AlphaScreenテクノロジーには4つの製品ファミリーがあります:

・ Ready-to-Useアッセイキット

・ ジェネリックディテクションキット

・ Unconjugatedビーズ

・ カスタムラベルビーズ

Ready-to-Useアッセイキット

Gタンパク質共役型レセプターと細胞内シグナル伝達系は、現在広く研究されています。このような研究のニーズ

に合わせてPerkinElmerではReady-to-Useアッセイキットシリーズを用意しています:

・ cAMPアッセイ

・ IP3アッセイ

・ チロシンキナーゼアッセイ(PY20/P-Tyr-100/PT66抗体)

cAMPアッセイキットは細胞またはメンブレンを用いて、GPCRファンクショナルアッセイ、オーファンレセプターのリ

ガンド同定、GαsおよびGαi共役型レセプターアゴニストスクリーニングなどを行うことができます。チロシンキナー

ゼアッセイキットはいくつものチロシンキナーゼの研究に汎用性があります。チロシンキナーゼ以外にも、リン酸化

セリン/スレオニンに対する抗体をProtein Aビーズなどを用いて間接的に捕捉することにより、AlphaScreenをあら

ゆるキナーゼ研究に利用することができます。

Ready-to-Useアッセイキットには、AlphaScreenアッセイを行うための必要なコンポーネントがほとんど含まれていま

す。例えば、cAMPキットにはストレプトアビジン-Donorビーズ、抗cAMP抗体-Acceptorビーズ、ビオチン化cAMP

が含まれています。

ジェネリックディテクションキット

AlphaScreenのジェネリックディテクションキットは、様々なアッセイに汎用的に用いることができます。これらは、エ

ピトープタグディテクションキット・ケミカルラベルディテクションキット・一次抗体ディテクションキットに大別されます。

このディテクションキットに、ストレプトアビジン-Donorビーズと特異的抗体-Acceptorビーズが含まれます。Donorビ

ーズはストレプトアビジンでコートされているので、アッセイコンポーネントの1つはビオチン化されている必要があ

ります。

カスタムコンジュゲーション

アッセイデザインの過程で特殊な試薬(DNA、抗体、タンパク質など)をDonorあるいはAcceptorビーズに直接結

合させる必要が生じた場合、2つの選択肢があります。第一のオプションはUnconjugatedビーズに標識を行うこと

です。標識はビーズ上のアルデヒド基と標識する分子のアミノ基を結合させることにより行います。AlphaScreenビ

ーズは遠心分離が可能なので標識手順が単純です。Unconjugatedビーズのパッケージには標準的な抗体の標

識方法が同梱されます。第二の選択肢は弊社カスタムサービスで目的のビーズをオーダーメイドするものです(カ

スタムサービスの詳細はお問い合わせください)。このサービスは厳密な秘密保持契約下で行われます。カスタム

ラベルビーズの使用によりアッセイデザインの選択性はさらに広がります。

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アッセイフォーマット

AlphaScreenはダイレクトフォーマットとインダイレクトフォーマット、2つのアッセイフォーマットが選択可能です。ダ

イレクトアッセイフォーマットは二次抗体の特異性やその量を考慮する必要が無くアッセイのコントロールが容易で

すが、キットのAcceptorビーズの種類には限りがあり、Unconjugatedビーズをご自分で標識するか弊社カスタムサ

ービスで標識したカスタムラベルビーズを用いない限り、必ずしもこのフォーマットが適用できるとは限りません。そ

のためジェネリックディテクションキットを用いたインダイレクトアッセイフォーマットがしばしば用いられます。

ダイレクトフォーマット

ダイレクトフォーマットとは一次抗体を介さずにAcceptorビーズにコートされた抗体に捕捉されるビオチン化コンポ

ーネントそのもの(Figure 3a)、あるいはビオチン化コンポーネントとAcceptorビーズにコートされた抗体に捕捉され

るタンパク質の相互作用(Figure 3b)を、ストレプトアビジンDonorビーズとAcceptorビーズにコートされた抗体で検

出するものです。ダイレクトフォーマットは、その単純なデザインとバインディングパートナーのストイキオメトリのコ

ントロールが比較的簡単であるという利点があります。しかしカスタムラベルビーズを用いてアッセイデザインする

場合、インダイレクトフォーマットで使用するよりも大量の抗体が必要な場合があります。ダイレクトアッセイフォー

マットの例としてcAMPキットがあります(Figure 3a)。ビオチン化されたcAMP、ストレプトアビジン-Donorビーズ、抗

cAMP抗体-Acceptorビーズを使用します。ビオチン-ストレプトアビジン相互作用は非常に親和性が高いため(fM

レンジ)、この例のAlphaScreenシグナルは事実上ビオチン-cAMPと抗cAMP抗体の結合によって決定されます。

Figure 3a:ダイレクトフォーマット

もう1つの例として、TNFR1とTNFαのようなレセプターとリガンドの相互作用があります(Figure 3b)。このアッセイで

用いられている可溶性のTNFRタイプ1(sTNFR1)は、55 kDaの切断型TNFR-60タイプBレセプターです。

AlphaScreenシグナルはAcceptorビーズにコートされたAnti-sTNFR1抗体によるsTNFR1の捕捉と、ビオチン化さ

れたTNFαとsTNFR1の結合の結果生じます。

Figure 3b:ダイレクトフォーマット

Excitation 680 nm

Emission 520-620 nm

Streptavidin-coated Donor Beads

Anti-cAMP conjugated Acceptor Beads

Biotinylated cAMP

Excitation 680 nm

Emission 520-620 nm

Biotin-TNFα

Streptavidin-coated Donor Beads

Anti-TNFR1 conjugated Acceptor Beads

sTNFR1

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インダイレクトフォーマット

このフォーマットではビオチン化されたコンポーネントあるいはビオチン化コンポーネントと相互作用するタンパク

質が一次抗体に結合し、これが Acceptor ビーズにコートされた二次抗体あるいは Protein A によって捕捉されま

す。使用する分子の種類は多くなりますが Acceptor ビーズの種類に制限されないためより汎用的に用いることが

できます。インダイレクトフォーマットでは少なくとも 2つ以上の分子がビーズ間に存在します。AlphaScreenでエネ

ルギー伝達が起きる距離(200 nm)は、結合が起きない限りエネルギー伝達が起きない距離ですが、ビーズ間に

いくつもの分子が介在してもエネルギー伝達が起きる十分に大きな距離です。インダイレクトフォーマットの例を

Figure 4に示します。ビオチン化ペプチド基質は Aktにリン酸化されたときに特異的な抗リン酸化セリン抗体に認

識されます。抗リン酸化セリン抗体は Acceptorビーズにコートされた Protein Aにより捕捉されます。

Figure 4:インダイレクトフォーマット

ダイレクトあるいはインダイレクトフォーマットを使用した一般的なアプリケーション(プロテアーゼアッセイ・イムノア

ッセイ・タンパク質-タンパク質/タンパク質-DNA相互作用アッセイなど)を Table 2にリストアップしました。

ビーズに結合させるアッセイコンポーネントとして利用可能なもの

・ ビオチン化化合物

・ ケミカルラベル(FITC、Digoxigenin)

・ エピトープタグ(HA、His、c-myc、GST、FLAG)

・ 一次抗体

先に述べたようにジェネリックディテクションキットを使用する場合、コンポーネントの1つをビオチン化する必要が

あります。ほとんどのペプチド/タンパク質(抗体)/DNAはビオチン化することができます。

FITCやDigoxigeninで様々な生体分子を化学的に修飾することができます。エピトープタグの利用はタンパク質ま

たはペプチドコンポーネントに制限されます。他のアッセイ法でもいえることですが、エピトープタグやケミカルラベ

ルは、発現したフュージョンタンパク質の生物学的なパラメータ(結合能、親和性など)を変化させることがありま

す。

Excitation 680 nm

Emission 520-620 nm

Biotin-GSK3

Streptavidin-coated Donor Beads

Protein A conjugated Acceptor Beads

Anti-(pS) GSK3 IgG

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Table 1は試薬のリストです。

Table 1:AlphaScreen試薬

AlphaScreen Reagent Part Number

cAMP Detection Kit † 6760625D/M/R

IP3 Assay Supplement (Use with GST Detection Kit) 6760621C/M

Phosphotyrosine (PY20) Detection Kit † 6760601C/M/R

Phosphotyrosine (PT66) Detection Kit † 6760602C/M/R

Phosphotyrosine (P-Tyr-100) Detection Kit † 6760620C/M/R

GST (Glutathione-S-Transferase) Detection Kit † 6760603C/M/R

DIG (Digoxin/Digoxygenin) Detection Kit † 6760604C/M/R

FITC (Fluorescein) Detection Kit † 6760605C/M/R

HIS6 (6-Histidine-Nickel Chelate) Detection Kit 6760619C/M/R

c-Myc Detection Kit † 6760611C/M/R

HA (Hemagglutinin) Detection Kit † 6760612C/M/R

FLAG™ (M2) Detection Kit † 6760613C/M/R

Mouse IgG Detection Kit † 6760606C/M/R

Rabbit IgG Detection Kit † 6760607C/M/R

Protein A Generic IgG Detection Kit 6760617C/M/R

AlphaScreen Conjugation Kit (Uncon. Acc. + Don.) 6760000K

Streptavidin-Coated Donor Beads 6760002S /6760002 /6760002B

Unconjugated Acceptor Beads 6762001 /6762002 /6762003

AlphaScreen Biotinylated-GST 6760305M

AlphaScreen Biotinylated-HIS 6760303M

Unibeads standard kit 67606UNI

All kits contain both strepdavidin-Donor beads and the respective Acceptor bead type.

† Acceptor beads are coated with antibody conjugate with specificity for detection of respective epitope.

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Table 2:様々なアッセイタイプとセットアップ例

アッセイタイプ 使用するAlphaScreenビーズとアッセイコンポーネントの例

レセプター-リガンド

TNFα-sTNFR1(インダイレクト)

ファンクショナルアッセイ

cAMP(ダイレクト)

IP3(ダイレクト)

キナーゼ

EGFR(ダイレクト)

Akt(インダイレクト)

Protein Aビーズによる一次抗体の捕捉によ

る間接的検出

Streptavidin coated Donor Beads

Biotinylated-TNFα

sTNFR1

Anti-TNFR1 IgG

Protein A conjugated Acceptor Beads

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アッセイタイプ 使用するAlphaScreenビーズとアッセイコンポーネントの例

タンパク質-タンパク質

p53/HDM2(ダイレクト)

タンパク質はタグ付で発現

イムノアッセイ

TNFα検出(ダイレクト)

TNFα検出(インダイレクト)

プロテアーゼ

Cathepsin D(ダイレクト)

Cathepsin Dによる特異的基質開列によるシ

グナル減少

ACE(ダイレクト)

AngiotensinⅠがACEの作用による

AngiotensinⅡの開列

Streptavidin coated Donor Beads

Biotinylated anti-TNFα

(monoclonal)

TNFα

Anti TNFα conjugated Acceptor Beads

Streptavidin coated Donor Beads

Biotinylated and digoxigenin labeled substrate

Anti-digoxin conjugated Acceptor Beads

Biotinylated AngiotensinⅡ

Anti-AngiotensinⅡIgG (monoclonal) conjugated

Acceptor Beads

ACE

AngiotensinⅠ AngiotensinⅡ

Biotin-DRVYIHPFHL Biotin-DRVYIHPF

Streptavidin coated Donor Beads

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アッセイタイプ 使用するAlphaScreenビーズとアッセイコンポーネントの例

タンパク質-DNA相互作用

ERE-ERα相互作用(ダイレクト)

DNA-DNA

Helicase(ダイレクト)

* Anti-species = anti-mouse IgG, anti-rabbit IgG

** Label = anti-FITC, anti-digoxin/ digoxigenin

*** Epitope-tag = anti-c-myc, anti-6-Histidine, anti-Glutathione-S-transferase, anti-Hemagglutinin, anti-FLAG™

上に示したアッセイデザインは、チロシンやセリン/スレオニンキナーゼアッセイ・プロテアーゼアッセイ・ヘリカーゼ

アッセイ・低親和性/高親和性タンパク質-タンパク質バインディングアッセイ・サイトカイン定量アッセイ・SNP検出・

ファージディスプレイアッセイ・タンパク質-DNAバインディングアッセイ・抗体検出・メンブレン/セルベースセカンド

メッセンジャーアッセイ・cAMP調節・ヌクレアーゼ活性・DNA定量など広範囲のアッセイの開発に利用されていま

す。

Streptavidin coated Donor Beads

Biotinylated ERα

Digoxigenin ERE Anti-digoxin conjugated

Acceptor Beads

Streptavidin coated Donor Beads

Digoxigenin-DNA duplex (3’ overhang)

Biotinylated capture oligo

Anti-digoxin conjugated Acceptor Beads

unwinding annealing

Helicase

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Ⅲ AlphaScreenの使用諸注意

入門

測定装置の設置環境

FusionαあるいはAlphaQuest-HTSは温度変化がない環境に設置してください。特に直射日光が当たる場所は避

けてください。可能ならば、薄暗い(< 100 Lux)あるいはグリーンフィルター(セクションⅣ “HTSアプリケーション

の実験環境”参照)を付けた照明下に設置してください。測定装置と同じように、分注装置も直接光が当たる環境

は避けてください(セクションⅣ参照)。処理数が少ない場合はAlphaScreen実験は通常の研究室環境下で行うこ

とができます。

試薬の保存と使用時の注意

AlphaScreenビーズは4℃で保存します。内容物に光が当たらないようにしてください、通常のパッケージ(遮光チ

ューブ+プラスチックケース)のまま保存すれば安全です。ビーズは懸濁状態を保つようにデザインされています。

また防腐剤としてProclin 300(Sigma-Aldrich)を含んでいます。ビーズのロスを防ぐため開封時にはチューブを軽

く遠心した後、ピペッティングあるいは緩やかにボルテックスしてから使用することをお勧めします。ビーズ(色素お

よびハイドロゲル層)は95℃の熱にも安定です(Beaudet et al., Genome Res. 2001; 11(4); 600-8)が、ビーズ上にコ

ートされた抗体などのタンパク質は熱により変性する恐れがあります。

実験プロトコル

ほとんどのAlphaScreenアッセイは、アッセイコンポーネントを同時に添加するか、酵素反応などのためにインキュ

ベーションを行い、続いて検出試薬を添加して測定するという簡単なプロトコルで行うことができます。アッセイコ

ンポーネントを添加する順序やインキュベーション時間は、相互作用するバインディングパートナーの性質やシグ

ナル/バックグラウンド比などに応じて決定します。

アッセイデザイン

シグナルの減少か?上昇か?

検出する方法としては、検出する目的の分子の濃度上昇に従ってシグナルが上昇するタイプと、競合アッセイの

ようにシグナルが減少するタイプがあります。アッセイのタイプを選択する際には、最低検出限界・レンジ・感度・ア

ッセイコンポーネント/サンプルの組成とそのソース・分注機の性能など各種のアッセイパラメータを考慮に入れる

必要があります。シグナル上昇タイプのアッセイは、アッセイコンポーネントの特異性が高く非特異的な結合が起

きにくい場合に、比較的フォルスポジティブが出にくい傾向があります。また一般にシグナル上昇タイプのアッセイ

は減少タイプのアッセイより高感度です。感度はターゲット分子に対するバインディングパートナーあるいは抗体

に左右されます。検出する目的のターゲット分子に対する2つ以上の抗体を用いてシグナル上昇タイプのアッセイ

をデザインすることも可能です。ビオチンやFITCなどAlphaScreenに用いることができる様々な種類の修飾された

抗体が市販されています。

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A Practical Guide to Working with AlphaScreen

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一方で、シグナル減少アッセイは抗体の認識とターゲット分子の結合に依存した多くのイムノアッセイに共通する

効果である“hooking effect”の制約を受けません。シグナル上昇のアッセイでは“hooking effect”により、ある点ま

でターゲット分子濃度の上昇にしたがってシグナルが上昇し、それ以降ターゲット分子がシグナル発生の阻害に

働きます。その理由はAlphaScreenビーズ上のターゲット分子が結合可能な部位が飽和してしまうためです

(Figure 5)。

Figure 5:Hooking Effect

過剰濃度のターゲット分子 ↓

最大シグナルに比べ シグナル発生が抑制されている

過剰量のターゲット分子によりビーズの近接が抑制されている

最適なターゲット分子濃度 ↓

最大シグナルが発生

ビーズの近接が最大限 起こっている

ターゲット分子の濃度が低い ↓

ターゲット分子の濃度に応じて シグナルが発生

ビーズの近接はターゲット分子 の濃度により制限されている

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A Practical Guide to Working with AlphaScreen

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アッセイコンポーネントの組み合わせ

AlphaScreenアッセイのデザインを行うためには、アッセイに求められる機能・感度レンジ・特異性・解析するサンプ

ルの性質などの多数のパラメータについて検討する必要があります。コスト・試薬調製の簡便さ・試薬の有効性・

相互作用するバインディングパートナーの親和性・アッセイコンポーネントの安定性/不安定性などは全てアッセイ

のパフォーマンスに影響します。アッセイのフォーマットや使用するアッセイコンポーネントに応じて使用する

AlphaScreenビーズの種類を選択します。例えばIgG濃度を検出するシグナル上昇アッセイは、Protein A

Acceptorビーズ(A)あるいは抗-species IgG Acceptorビーズ(B)の何れかを用いて行うことができます(Figure 6)。

A. Protein Aビーズと抗IgG抗体を用いたIgGの検出

B. 抗IgG抗体ビーズを用いたIgGの検出

Figure 6:IgG Detection

キナーゼアッセイは医薬探索・臨床・研究開発分野でますます重要なアッセイになっています。AlphaScreenを用

いたチロシン、セリン、スレオニンキナーゼアッセイを行うには様々な選択肢があります。リン酸化チロシンを検出

するアッセイでは3種類のキットが選択できます(Table 1;ページ9)。これらの試薬が適さない場合は選択性の異

なる抗リン酸化チロシン抗体を使って、これをProtein AビーズあるいはAnti-species IgGビーズで捕捉することによ

って新しいチロシンキナーゼアッセイを構築することができます。キナーゼアッセイは酵素の特異性および活性に

応じて異なる基質が用いられます。Biotin-poly-(Glu, Tyr)やBiotin-poly-(Glu, Ala, Tyr)のような合成ビオチン化基

質はしばしば生体内の特異的な基質よりも効率的にリン酸化されます。内在性タンパク質の配列に由来する合成

ビオチン化ペプチドを用いることにより、より特異性の高いアッセイが行えることがあります。また基質として全長タ

ンパク質を用いる必要がある場合もあります。全長タンパク質にビオチンを付加するには、化学反応(NHS-biotin

を使ったビオチン化など)あるいはin vivoまたはin vitroでラベルされるビオチン化配列を含んだ組み換えタンパク

質を設計する(例:Biotin Avi Tag system、Avidity LLC.)という2つのアプローチがあります。2つめの選択肢はバ

インディングパートナーをより特異的に標識することができます。

No signal

No signal

Signal

Signal

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A Practical Guide to Working with AlphaScreen

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アッセイコンディション

目的の分子の量あるいはそのような分子の相互作用を直接測定することが必ずしも可能なわけではありません。

例としては非常に発現量の小さい細胞表面レセプターがあります。発現量の低いレセプターに対するリガンド相

互作用は、高比活性の125I放射性標識リガンドを用いたときでさえ極めて困難です。このような場合、相互作用を

直接検出する代わりにレセプター-リガンド相互作用の特異的な下流生成物を測定する方法があります。下流生

成物測定の例としてcAMPアッセイがあります。このアッセイは細胞のGPCR活性化から生じるセカンドメッセンジャ

ーの定量に用いられます。

アッセイコンディションは、アッセイコンポーネントの安定性を保持する条件と、目的の相互作用に適した条件の両

方を満たす必要があります(ページ21の“バッファーの選択”参照)。多くのタンパク質やその他の生物学的分子

の立体構造そして生物学的活性は、pH・イオン強度・コファクターの存在など様々な要素に依存します。

プレートの選択

AlphaScreenの測定には白色不透明のマイクロプレートを使用します。黒色プレートは光を吸収しシグナルを大き

く減少させます。Table 3にAlphaScreenで推奨するプレートのタイプを記載しました。

Table 3:Plate Choice

Plate Type Supplier Maximum Working

Volume Capacity Catalog No.

1536-well OptiPlate™ PerkinElmer 10 µL 6005228

384-well OptiPlate™ PerkinElmer 80 µL 6007290

384-well CulturPlate™ PerkinElmer 80 µL 6005254

384-well ProxiPlate™ PerkinElmer 20 µL 6006280

96-well OptiPlate™ PerkinElmer 350 µL 6005290

96-well CulturPlate™ PerkinElmer 350 µL 6005680

96-well ProxiPlate™ PerkinElmer 100 µL 6006290

初期検討

最適な試薬濃度の決定

適切なバッファー系を選び、各バインディングパートナーの濃度を検定して最適な濃度を確定してください。相互

作用が効率的に起きるようにアッセイコンポーネントの添加順序を変える必要がある場合があります。初期検討で

はDonor、Acceptorビーズそれぞれの最終濃度を20 µg/mlで使用することをお勧めします。一般に、ほとんどの

AlphaScreenアッセイでは、ビオチン化バインディングパートナーは最終濃度nMレンジ(各ビーズ20 µg/mlの場

合)で使用されます。AlphaScreenビーズ上の分子(抗体、ストレプトアビジンなど)と直接結合する各バインディン

グパートナーの濃度レンジは、バインディングパートナーの親和性とラベルの効率に依存しますが、通常nMから

µMレンジです(各ビーズ20 µg/mlの場合)。AlphaScreen PY20抗リン酸化チロシンAcceptorビーズを使ったチロシ

ンキナーゼアッセイの条件検討の例をFigure 7に示します。この例では酵素とビオチン化基質濃度のみ検討しま

した。実際のキナーゼアッセイでは、コファクターやATP濃度も重要な要素です。一般的には十分なシグナル/バ

ックグラウンドが得られる最小の試薬濃度が選択されます。例えばFigure 7では、biotin-poly-GT濃度0.5 nM、

c-Src 酵素濃度0.01 U/wellで143という大きいS/B比が得られています。このキナーゼアッセイはシグナル上昇タイ

プのアッセイであり、アッセイの感度はAcceptorビーズによるリン酸化チロシンの捕捉と、ストレプトアビジンDonor

ビーズによるビオチン化基質の捕捉の結果起こるビーズの近接の数に左右されます。

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Figure 7:c-Srcチロシンキナーゼとビオチン化Poly-(Glu, Tyr)基質濃度の最適化

データの取得

AlphaScreenアッセイの開発にかかる時間は、アッセイ自体が簡単でデータが短時間で得られるため比較的短く

すみます。例えばcAMPアッセイでは以下のようなステップで行われます;1)アッセイプレートへの薬剤あるいはリ

ガンドを分注、2)細胞とAcceptorビーズを添加、3)10~30分間インキュベーション、4)Lysisバッファーに懸濁した

DonorビーズとビオチンcAMPを添加、5)1時間インキュベーション後測定。この全行程は2時間以内に実行するこ

とができます。

AlphaQuest-HTSあるいはFusionαのデータアウトプットはタブ区切りあるいはコンマ区切りのTextファイルとして保

存されます。Microsoft® ExcelやGraphPad Prism®などのアプリケーションを用いてデータの解析を行ってくださ

い。

アッセイを最適化する

アッセイフォーマット

アッセイフォーマットは重要な検討事項であり、アッセイのパフォーマンス・スループット・1ウェルあたりのコストに大

きく影響します。試薬の添加量・分注回数・試薬調製にかかる時間・自動分注装置の能力などは最適なアッセイ

フォーマットの選択で考慮すべき事項です。AlphaScreenアッセイは96ウェルフォーマットより384ウェルあるいは

1536ウェルフォーマットの方が適している場合があります:

・ ProxiPlate™のような低容量プレートや1536ウェルプレートはサンプルがディテクターに接近するようにデザ

インされているため、高いシグナルが得られます。

・ 測定装置内でサンプルの励起と測定はプレートの上方から行われます。測定されるシグナルはある程度プ

レートに反射されたエミッションシグナルを含みます。そのためプレートの反射特性はシグナルに影響します。

高密度のプレートはウェル面積が小さく、反射光がより効率的にPMT(光電子増倍管)に検出されます。

・ 励起レーザーのビーム幅は、ウェル密度の異なるプレートを用いても一定(1 mm)です。高密度マイクロプレ

ートはウェル中のサンプル全体の大部分がレーザービームの照射を受ける(ほとんどのビーズが励起され

る)ため、より効率的にシグナルが発生します。

・ AlphaScreenアッセイはプレートの密度をより高くした際に試薬濃度を再度検討する必要がありません。従っ

て高密度マイクロプレートの使用により大幅に試薬の使用量を減らしてコストを抑えることができます。

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A Practical Guide to Working with AlphaScreen

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添加の順序

試薬を添加する順序はシグナルに影響することがあります。アッセイコンポーネントがより理想に近い状態で相互

作用するために最適な順序について検討することをお勧めします。アッセイコンポーネントの添加順序によっては、

立体障害などによって他のバインディングパートナーとの結合が妨げられることがあります。これは特に比較的小

さい分子上のエピトープを認識する2つの異なる抗体を使ったサンドイッチタイプのアッセイで起こります。抗体の

結合が立体障害となってその他のコンポーネントの結合を妨げることがあります。一般には抗原-抗体の結合はビ

オチン-ストレプトアビジンの結合より先に行います。cAMPアッセイはこのルールの例外です。このアッセイは

Acceptorビーズに結合した抗cAMP抗体に対して、細胞内で生成される内在性cAMPがビオチン化cAMPに競合

する競合タイプのシグナル減少タイプのアッセイです。ビオチン化cAMPは比較的小さい分子で、ストレプトアビジ

ンDonorビーズに結合する前にcAMP抗体に結合すると、ビオチン分子の一部が抗体によって覆われるためシグ

ナルが顕著に減少します。加えてフリーのストレプトアビジンは溶解した細胞の構成成分と相互作用して

AlphaScreenシグナルを減少させるので、ビオチン化cAMPはストレプトアビジンDonorビーズに予め結合させます。

細胞培養培地あるいは細菌培養液中に存在するフリーのビオチンはAlphaScreenシグナルを減少させます。この

ような場合、培地あるいは細菌培養液を添加する前にビオチン化cAMPとDonorビーズをプレインキュベーション

すると、フリーのビオチンによるシグナルクエンチングが大幅に改善されます。

バッファーの選択

バッファーは非常に重要な要素の1つです。目的とするアッセイコンポーネント間の相互作用に適したpH・緩衝

能・塩濃度を選択してください。酵素活性にコファクターが必要な場合、それらのコンポーネントの濃度検討を行

ってください。ほとんどの場合非特異的な結合は0.1 % BSA(w/v)で十分に抑えることができます。過度の非特異

的結合が観察された場合は、 Tween 20(0.01 – 0.1 %)、Triton X(0.01 – 0.1 %)、CHAPS(0.1 %以下)などの界

面活性剤をBSAと併用します。やや高濃度のBSAあるいは低分子量デキストランやゼラチンのような他のブロッキ

ング試薬が必要な場合もあります。アジ化物は強力な一重項酸素スカベンジャーでありAlphaScreenシグナルを

阻害するので防腐剤としてアジ化ナトリウムを使用することは避けてください。防腐剤・抗菌剤としてはProclin 300

(Sigma-Aldrich)をお勧めします。

バッファー組成の違いによって最適なバイディングパートナー濃度が異なることがあります。マウスIgG検出のバッ

ファー最適化の例をFigure 8に示しました。バッファーCは最も高いシグナルが得られ、且つバッファーAに比べて

低濃度のビオチン-マウスIgGで高いシグナルが得られます。バッファーコンディションはS/Bだけでなくアッセイの

感度とダイナミックレンジにも大きく影響します。

Figure 8:バッファーコンディションとビオチン化Mouse-IgG濃度の最適化

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A Practical Guide to Working with AlphaScreen

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塩、界面活性剤、イオン(Fe2+、Fe

3+、Cu2+、Ni

2+、Zn2+などの遷移金属イオン)

アッセイバッファー中の塩と界面活性剤は目的とする特異的な生物学的相互作用とアッセイパフォーマンスに大

きく影響することがあります。シグナルウィンドウが小さい、あるいはバックグラウンドが高いといった場合、塩の種

類・塩濃度の異なるバッファーを試したり試薬や界面活性剤の量を変更したりしてみましょう。遷移金属イオン

(Fe2+、Fe3+、Cu2+、Ni2+、Zn2+)を高濃度で使用することはお勧めしません。これらの金属はmM~sub-mM(Fe2+は

100 µM)レンジでシングレットオキシゲンクエンチャーとして働きます。

細胞培地と血清

RPMI 1640培地は最終濃度1 %以下で使用した場合AlphaScreenシステムに影響しません。しかし10 %の培地添

加はシグナルを約30 %減少させます。その原因としては恐らく培地中のビオチンが考えられます。この問題はビ

オチン化バインディングパートナーとストレプトアビジンDonorビーズをプレインキュベートすることによって解決さ

れます。MEMとDMEMに関してもRPMI 1640と同様の結果が得られています。

同様に10 %の牛胎児血清(FCS)を使用した場合、恐らくはその鉄含有量のためにシグナルが約25 %減少します。

PBSなどの適当なバッファーで培地を洗い流して細胞を使用することをお勧めします。

分注操作

分注誤差は最終的なシグナルの誤差に反映されます。

自動分注装置の使用については23ページを参照してください。

試薬濃度とアッセイの少量化

AlphaScreenは少量化が簡単です。プレート密度を高くしたときやアッセイ容量を小さくしたときに試薬濃度を再検

討する必要がありません。高密度マイクロプレートの使用により大幅に試薬コストを抑えることができます。

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A Practical Guide to Working with AlphaScreen

21

Ⅳ AlphaScreenアッセイの開発

初期検討

自動分注装置のプログラム

自動分注装置を用いる場合、AlphaScreenアッセイを行う前に実際に使用するバッファー・チップ・プレートを使っ

て蛍光物質などを分注して、自動分注装置のプログラムを確認することをお勧めします。分注操作に起因するバ

ラツキを確認して、必要であれば分注するときの高さ・分注量・プレート・チップなど分注プログラムの検討を行っ

てください。

平衡タイムコース

AlphaScreenシグナルは複数のアッセイコンポーネント(バインディングパートナーあるいは抗体)の結合によって

生じます。それぞれの系によりビーズの近接が平衡に達するのに必要な時間(シグナルが一定になる時間)は異

なります。インキュベーション時間の異なるサンプルを測定して、目的のAlphaScreen反応系が平衡に達するまで

の時間を確認してださい(Figure 9)。平衡に達するまでの時間は温度に依存し、低温条件下ではより長時間のイ

ンキュベーションを必要とします。複数枚のプレートで実験を行う場合、全てのプレートが平衡に達するまでインキ

ュベーションした後で測定を行うか、プレート毎にリファレンスとなるコントロールサンプルを設定するなどの対応が

必要です。

Figure 9: 平衡に達するまでにかかる時間の確認

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A Practical Guide to Working with AlphaScreen

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適切な実験環境

光コンディション

AlphaScreenビーズの活性は光の影響を受けるため、光量の抑制された環境下(100 Lux以下)で実験を行うのが

理想的です。しかし実際のHTS研究室でこの環境を保つのは困難な場合があります。可能ならば、AlphaScreen

ビーズに影響する波長をカットする緑色のフィルターを備えた光源下で実験を行ってください(Figure 10 推奨フ

ィルター Roscolux Chroma Green #389 from Rosco; fluorescent tube sleeves, Cat. #: 4812-389; or filter roll, Cat.

#: R389. Rosco Labs: www.rosco.com;詳しくは弊社にお問い合わせください)。

Figure 10

グリーンフィルターを用いることにより、光の影響を受けずに実験を行うことができます(Figure 11)。

Figure 11

ビーズを添加した後のプレートのインキュベーションでは、サンプルプレートに空プレートを重ねるなどしてサンプ

ルに光が当たらないようにしてください。実際に分注操作を行う環境下で分注作業中の光暴露がAlphaScreenシ

グナルに与える影響について確認してください。必要に応じて分注装置周辺の光コンディションをコントロールし

てください。

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A Practical Guide to Working with AlphaScreen

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温度

AlphaScreenシグナル発生の過程で起こる化学発光反応は温度依存性です。AlphaScreenシグナルは1℃あたり

8 %変化します。AlphaQuest-HTSあるいはFusionαが設置された部屋の温度の変動はAlphaScreenシグナル強

度に大きく影響します。

AlphaScreenシグナルの正確な測定を行うためには、試薬とプレートの温度が測定装置周辺の温度と平衡である

ことが重要です。AlphaScreen測定装置はプレートを測定装置周辺温度に保つためのペルチェ冷却装置を装備

しています。プレート(そこに含まれるサンプル)が測定装置周辺の温度と異なっていると、測定中にサンプル温

度が上昇あるいは下降してカウントが変化します。サンプルの入った一般的な384ウェルプラスチックプレートは、

測定装置周辺温度と3~4℃の差があった場合、平衡に達するまでに15~30分かかります。

PMT(光電子増倍管)のノイズは高温になると増加します。測定装置の設置された部屋の温度が高い(30℃以上)

と高いバックグラウンドが観察されることがあります。

その他の推奨事項 ・ 全てのプレートで一貫した結果を出すためには、インキュベーション時間・温度・光コンディションなどが一定

の環境下で実験を行ってください。

・ 一度に複数枚のプレートを調製して測定を行う場合、プレートに試薬を分注後AlphaQuest-HTSあるいは

Fusionαのプレートスタッカーにプレートをセットし一番上のサンプルプレートに黒色プレートを重ねて遮光し

てください。

ミニチュアライゼーション

AlphaScreenでは、特定の反応ボリュームでアッセイ開発を行った後でも、試薬の濃度など条件を再検討すること

なく添加量を減らすだけで少量化することができます。384ウェルの低容量プレートあるいは1536ウェルプレートの

使用は、感度やアッセイパフォーマンスを損なうことなくウェルあたりのコストを大幅に削減し、貴重な試薬/サンプ

ルの使用量を抑えます。サンプルの蒸発とそれによるシグナルのバラツキを防ぐために必ずプレートシールを使

用してください。TopSeal-A(PerkinElmer Cat. #:6050185)はAlphaScreenシグナルに影響せずプレートにシールを

貼ったままで測定することができます。

化合物の干渉

化合物の中にはAlphaScreenシグナルに干渉するものがあります。AlphaScreenシグナルへの化合物干渉の主な

メカニズムとしては、1)一重項酸素のクエンチング、2)ビオチンとストレプトアビジン間の相互作用への競合、3)イ

ンナーフィルター、の3つがあります。一重項酸素クエンチャーとしては、µMレンジの遷移金属(Fe2+、Fe3+、Cu2+、

Ni2+、Zn2+、Al2+)、アジ化物やアスコルビン酸などの抗酸化剤、チオフェンベースの構造を持つ化合物(100 µM

~10 mM)、ヘムを含む遷移金属(ヘモグロビンなど)があります。ビオチンとストレプトアビジン間の相互作用に競

合する物質としてはビオチン様構造物、インナーフィルターとして作用する物質としては520~620 nm(エミッショ

ン)あるいは680 ± 5 nm(エキサイテーション)波長を吸収する化合物(青/緑色のもの)があります。Donorあるいは

Acceptorビーズのアナログとして働く化合物も、AlphaScreenシグナルに干渉します。Donorのアナログは一重項

酸素を発生させDonorビーズが近接していなくてもAcceptorビーズを刺激する能力がある構造です。これらは

porphyrin;ポルフィリン(phthalocyanine;フタロシアニンなど)のように芳香族構造をもちます。Acceptorアナログは

一重項酸素と反応し、520~620 nmの光を放出するものです。これらは芳香族複素環化合物(nodulisporic acidな

ど)や可溶性の天然抽出物に存在します。しかし現在までのところDonorとAcceptorアナログはそれぞれのビーズ

に比較して僅かな活性を持ったものしか見出されていません。またイミダゾール様の構造物はAlphaScreen HIS6

検出キット(6760610または6760619)に影響します。

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A Practical Guide to Working with AlphaScreen

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AlphaScreen アッセイで予期しないほど高いヒット率が観察された場合、キットに付属のポジティブコントロールか

そのアッセイに関連したご自身のポジティブコントロールを用いて確認してください。このコントロールは HTS ライ

ブラリーの化合物干渉の評価にも用いられます。化合物干渉の確認には Unibeads とビオチン化 Acceptorビーズ

(カスタムメイドプロダクトとして利用可能です、詳細はお問い合わせください)を用いることもあります。SA-Donor

ビーズと化合物をプレインキュベーションして、その後ビオチン-Acceptor ビーズを添加して測定を行うことにより、

化合物がビオチンとストレプトアビジン間の相互作用の競合物として働くかどうかの確認ができます。また予め結

合したビオチン-Acceptor ビーズと SA-Donor ビーズに化合物を添加して測定を行うことで、化合物が一重項酸素

のクエンチャーとして働くかどうかを確認できます。Unibeads は Donor と Acceptor に含まれる物質を両方含み、1

種類のビーズ内でAlphaScreenシグナル反応プロセスが起きるものです。そのためUnibeadsを用いて化合物がイ

ンナーフィルターとして働くかどうかが確認できます。これらはスクリーニングで高いヒット率が生じた場合に、それ

がフォルスポジティブかどうかを確認するために行われます。

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A Practical Guide to Working with AlphaScreen

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Ⅴ トラブルシューティング

問題 原因 改善方法例

シグナルが低い 光暴露によるDonorビーズの

フォトブリーチ

ビーズを調製しなおす。

バインディングパートナーが

ビーズに結合していない

バインディングパートナーの1つがビオチン化されている

ことをHABA-Avidin法(Pierce社)などを使って確認。

ビオチン化バインディングパートナーがAcceptorビーズ

に直接結合しない場合は、DonorあるいはAcceptorに結

合するバインディングパートナーをそれぞれキットに付

属のポジティブコントロールと競合させてシグナルが減

少することを確認する。

バインディングパートナーが

相互作用しない

添加順序を変更するなどアッセイを再検討する。ビオチ

ン化やフュージョンタグを付けることによりアフィニティー

が低下していないことを確認する。

バッファー中にクエンチャー

が混入している

アジ化物、遷移金属(Fe2+/Cu2+/Zn2+/N2+)などの一重項

酸素クエンチャーや520~680 nmの光を強く吸収する化

合物の使用を避ける。

プレート 透明プレートや黒色プレートなど不適切なマイクロプレ

ートの使用。標準的な白色不透明マイクロプレートを使

用する(PerkinElmer、Costar、Greiner、Nuncなど)

測定装置 測定装置のエラー。測定装置マニュアルを参照するか、

弊社カスタマーサービスに連絡する。Fusionαを使用時

にはディテクションモードにAlphaが選択されていること

を確認する。

AcceptorあるいはDonorビー

ズ濃度が低い

初期検討時は推奨ビーズの濃度20 µg/mLで使用する。

バインディングパートナーの

濃度が不適切

各バインディングパートナーの濃度検討を行う。

不適当な保存状態によるビ

ーズ上の分子の分解/失活

ビーズは遮光して4℃で保存する。

アッセイ バインディングパートナー、AlphaScreenビーズの添加順

序を再検討する。

不適当なアッセイバッファー組成。pH・緩衝能・塩濃度・

還元剤・界面活性剤・キレーター・金属コファクター・ブロ

ッキング試薬・酵素阻害剤などを確認する。

ビーズ添加後のインキュベーション時間、酵素反応時

間・刺激時間・バインディングパートナーのプレインキュ

ベーション時間などを確認する。

温度 測定装置が設置されている部屋の温度が低い、あるい

はインキュベーション温度を確認する。

高いバックグラウンド値 アッセイコンポーネント間の

非特異的結合

ブロッキング試薬BSA(0.1 %以上)あるいはTween-20

(3 %まで)などの界面活性剤を使用する

測定直前の光暴露 測定直前の光暴露によりAcceptorビーズがシグナルを

発する。測定前に5分程度暗所に置く、黒色プレートで

カバーあるいはアルミホイルなどで遮光してインキュベ

ーションする。

温度 測定装置が設置されている部屋の温度が高いことによ

る、バックグラウンドシグナルの増加(ページ25参照)。

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A Practical Guide to Working with AlphaScreen

26

シグナルのバラツキ プレートエッジで起こる蒸発

によるボリュームの不均一

サンプルの蒸発を抑えるためプレートシールを使用す

る。高温化でのインキュベーションを避ける。

バッファーコンポーネント、特

にBSAなどのブロッキング試

薬の分解

バッファーを調製しなおす、バッファーの保存はBSAを

添加しない状態で行う、3~4日程度で使い切る、など。

BSAは0.1 %(w/v)を推奨。

試薬の混合 96ウェルプレートではシェーカーなどを用いて混合す

る。高密度プレートでは分注量・分注スピードを検討す

る。

ウェル内に気泡が存在 電動ピペット・自動分注装置を使用して気泡の混入を抑

える。

分注装置 ピペッティング/分注エラー。ピペッター・分注装置の較

正を行う。自動分注機では分注する高さ、スピード、プロ

グラムの最適化を行う。

プレート 歪んだプレートの使用。プレートに大きな荷重が掛かっ

ていないか、熱源の近くに置かれていないか、など保存

条件を確認する。

遮光条件下でインキュベーションを行う。

バッチ間のシグナル差 操作が一様でない 実験手順/条件を一定に保つ;試薬調製・インキュベー

ション時間/温度を一定にする。

プレート全体にわたる

シグナルの勾配

プレートの温度が測定装置

周辺温度に対して平衡でな

プレートを測定装置近傍かプレートスタッカー内で30分

間程度インキュベーションする;多数枚積み重ねられた

プレートは温度が平衡に達するのにより多くの時間が必

要なことがある。

分注装置 UnibeadsあるいはAlphaScreen以外の試薬等を使って分

注装置の精度を確認する。

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A Practical Guide to Working with AlphaScreen

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タンパク質相互作用アッセイ

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ファージディスプレイ

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Phage Display. Cambridge - MA, April 22-24 (2002) (PerkinElmer Literature Poster Ref# S3875).

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その他

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A Practical Guide to Working with AlphaScreen

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A Practical Guide to Working with AlphaScreen

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Appendix I: Fusion α™クイックガイド

A. AlphaScreenアッセイ測定の設定

1. システムの起動

a) 測定装置右側面の奥にあるスイッチで本体の電源を入れた後、PCを起動します*)。

b) Windows®のスタートメニューからFusion Instrument Controlを立ち上げます(自動で立ち上がるように設定さ

れている場合もあります)。

c) 「connecting to instrument」→「downloading」→「initializing instrument」というメッセージが現れます。測定装置

の初期化が正常に終了するとシステムステータスウィンドウに「normal」と表示され使用可能になります。この操

作には数分かかります。

* 測定装置内温度の安定性のため、測定の少なくとも30分前にシステムを起動してください。

2. アッセイの定義

a) Fusion Instrument ControlソフトウェアのツールバーにあるFileメニューからnewを選択するとnew assay

definitionウィンドウが開きます。

このウィンドウで以下の設定を行います:

Assay Name: 任意のアッセイ名を入力します

Detection mode: Alpha

Number of labels: one

Plate density: 96, 384, 1536

設定後、OKをクリックするとassay definitionウィンドウが開きます

assay definitionウィンドウは5つのタブに分けられています。

► Assay properties

プレートタイプとレポート作成(プリントアウト、ファイルのアウトプット)の設定をします。

► Sample map

プレートの測定範囲を設定します。create new sample mapをクリックして任意のマップ名を入力して測定

するウェルを設定してください。

► Alpha parameters

測定時間と、新しいプレートあるいはバッチの測定をスタートしてから実際に測定を開始するまでの時間

(ディレイタイム)を設定します。

► Sample handling

使用しません。

► External programs

測定終了後にExcelなど他のプログラムを実行する場合に設定します。

B. アッセイの実行

a) Fusion Instrument ControlでOpenアイコンをクリックするか、FileメニューからOpenを選択します。Open Assay

Definition/ Sample Mapウィンドウが開きます。使用するアッセイとマップを選択してOKをクリックします。

b) Eject Plateアイコンをクリックするか、ControlメニューからLoad/Eject Plateを選択すると測定からプレートキャリ

アがイジェクトされます。

c) 測定するプレートのA1ウェルが左手奥になるようにプレートキャリアにセットします。

d) StartアイコンをクリックするかControlメニューからStart Readingを選択すると測定が始まります。

e) 測定が終了するとCounting Completeウィンドウが現れます。同じ条件で続けて測定を行う場合はStart

Countingを、終了する場合はEnd Batchをクリックしてください。

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A Practical Guide to Working with AlphaScreen

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C. その他

1. アッセイプロトコル/データの消去

a) Fusion Instrument ControlのToolsメニューからLaunch Assay Definition EditorをクリックしてAssay Definition

Editorを開きます。

b) Assay Definition EditorのFileメニューからDelete Assayを選択します。

c) Delete AssayウィンドウでAssay Listから消去するアッセイを選択して、All Data and Assay Definition(データと

アッセイの両方を消去)あるいはData Only(データのみ)をクリックしてからDelete Assay(またはDelete Data)を

クリックします。確認のウィンドウが開きますので消去する場合はOKをクリックしてください。アッセイあるいはデ

ータを消去してもすでに出力されているファイルデータは消えません。

2. 過去のデータの出力

a) Fusion Instrument ControlのToolsメニューからLaunch Result ViewerをクリックしてResult Viewerを開きます。

b) Result ViewerのFileメニューからOpen Assayを選択します。

c) Open Assayウィンドウで任意のアッセイを選択してOKをクリックすると、選択したアッセイで測定したデータが

開きます。

d) Result ViewerのFileメニューからEdit File Reportsを選択してファイルの形式、保存場所などを設定します。

e) Result ViewerのFileメニューでGenerate File Reportsを選択するとファイルが再出力されます。

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A Practical Guide to Working with AlphaScreen

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Appendix II: AlphaQuest®-HTS クイックガイド

A. 新しいアッセイの設定

1. 装置の起動

a) 測定装置本体の電源を入れます*)。

b) PCの電源を入れコントロールソフトウェアを起動します。

c) 測定装置の初期化とコントロールPCとの接続が正常に終了するとAlphaQuest Instrument Controlのステータス

表示が“Normal”になります。

* 測定装置内温度の安定性のため、測定の少なくとも30分前にシステムを起動してください。

2. アッセイの定義

a) AlphaQuest instrument controlのApplicationメニューからAssay Definitionを選択してAssay Definitionウィン

ドウを開きます。

b) Assay definitionウィンドウのツールバーにあるFileメニューからNewを選択しNew assayウィンドウを開きます。

このウィンドウで以下のパラメータを設定します:

Assay name: 任意のアッセイ名を入力します

Assay #/Bar code: バーコードを使用する場合は、バーコードに対応するアッセイNo.を入力します。

バーコードを使用しない場合任意の文字列を入力します

Assay type: Alpha

Plate type: 96/384/1536

Description: 必要ならば任意のインフォメーションを入力します

設定後OKをクリックすると、Assay definitionウィンドウで設定のサマリーが表示されます。

c) 設定を変更するにはAssay definitionウィンドウのツールバーにあるParametersメニューからAssayを選択し、

Assay parameterウィンドウを開きます。

ここではAssay nameとPlate type以外のパラメータが変更できます。

OKをクリックするとAssay definitionウィンドウに戻ります。

d) Assay definitionウィンドウのツールバーにあるParametersメニューからReport definitionを選択し、Report

definition ウィンドウを開きます。

Report definition ウィンドウは以下のタブに分かれています:

► Printer output

► ASCII file output

► Printer output screening

► ASCII file screening

それぞれのタブでは以下のパラメータについて選択します:

Printer output

Sample types: unknown

Data groups: leave as is

Report layout: matrix single line

Data alignment: justify full

Include/exclude items: sample well counts only

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A Practical Guide to Working with AlphaScreen

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ASCII file output

Sample types、data groups、included/excluded itemsについてはPrinter outputと同じ

Data layout: matrix (single line)

File format: excelまたはtext

Directory: データを保存する任意のフォルダを選択

Filename: 任意のファイル名を入力

3. 測定装置パラメータの設定

a) Assay definitionウィンドウのツールバーにあるParametersメニューからInstrumentを選択し、Instrument

parametersウィンドウを開きます。

Instrument parametersウィンドウは以下のタブに分かれています:

► General

► Automatic reporting

► User programs

それぞれのタブでは以下のパラメータについて選択します:

General

Count time: 1 sec

Barcoding active、Apply crosstalk correction factors、Perform normalization on next plate counted(ノーマリゼ

ーションに関してはセクションE-2を参照)についてはここでは使用しない(チェックボックスをクリックしない)。

Well read order: by row

Position A1: upper left

Automatic reporting

Enable printed report: プリントアウトが必要な場合はチェックボックスをクリックします。

Enable ASCII data files: ファイル出力が必要な場合はチェックボックスをクリックします。

User programs

別のアプリケーションプログラムを起動するときに設定します。詳細はユーザーマニュアルを参照してくださ

い。

b) Assay definitionウィンドウを閉じてInstrument controlウィンドウに戻ります。

B. 測定方法

a) Instrument controlウィンドウで任意のAssay nameを選択します。

b) Ejectをクリックしてプレートキャリアをイジェクトします。

c) A1ウェルが左奥になるようにプレートをキャリアーに置きます。

d) Startをクリックして測定を開始します。

e) 測定中にPauseをクリックすると測定を一時停止することができます。一時停止後は測定を再開するかそのまま

中止するか選択します。中止した場合でもそれ以前に測定したデータは保存されます。

C. サンプルマップの設定

a) Instrument controlウィンドウのツールバーにあるApplicationメニューからSample mappingを選択して

Sample mapウィンドウを開きます。

b) Sample mapウィンドウのツールバーにあるFileメニューからNewを選択してNew sample mapウィンドウを開きま

す。

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A Practical Guide to Working with AlphaScreen

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New sample mapウィンドウでは新たにサンプルマップを作成するアッセイ名を選択し、任意のマップ名を入力

します。OKをクリックしてSample mapウィンドウに戻ります。

未設定のサンプルマップが現れるので、測定する領域を選択してUnknownラベルをダブルクリックします。

Saveした後Sample mapウィンドウを閉じてInstrument controlウィンドウに戻ります。

新しいサンプルマップが選択可能になります。

D. その他

1. アッセイの消去

a) アッセイを消去すると、データベースに保存されているデータも失われます。ただし出力したファイルデータは

残ります。

b) Instrument controlウィンドウのツールバーにあるApplicationメニューからAssay definitionを選択してAssay

definitionウィンドウを開きます。

c) Assay definitionウィンドウのツールバーにあるFileメニューからDeleteを選択してDelete assayウィンドウを開き

ます。

Delete assayウィンドウではデータのみ消去するか、データを含むアッセイの設定全てを消去するか選択しま

す(すでに出力したデータファイルは失われません)。

d) Deleteを選択すると確認のメッセージが表示されるのでYesをクリックします。

2. データの再出力

a) データ取得後にデータ出力がされるよう設定されていないと、データファイル/プリントアウトは作成されません。

測定データはResults analysisで確認し、ここから出力することができます。

b) まずAssay definitionウィンドウを開いて、データの保存先など必要な設定を行います(セクションB-3参照)。

c) Instrument controlウィンドウのツールバーにあるApplicationメニューからResults analysisを選択してResults

analysisウィンドウを開きます。

d) Results analysisウィンドウのツールバーにあるFileメニューからPrint assayを選択してPrint assayウィンドウを

開きます。

Print assayウィンドウで、出力するデータを取得したアッセイ名を選択し、続いて出力するデータを選択します。

プリントかファイル出力かを選択してOKをクリックします。

E. IPA とノーマリゼーションの実行

1. データの再出力測定装置のパフォーマンス評価(Instrument performance assessment;

IPA)

► 測定装置のパフォーマンスを評価します。

► IPA測定の結果はデータベースに保存されます。

► 定期的にIPAを実行することにより測定装置のパフォーマンスを追跡記録することができます。

a) IPAプレートをキャリアーに置きます。右手前に“right front”の文字が現れることを確認してください。

b) プレートの中央にあるスイッチをOnにします。

c) Instrument controlウィンドウのAssay nameからIPAを選択します。

d) Startをクリックして測定します。

e) Instrument controlウィンドウのIPA statusを確認します。テストが正常に終了すると“IPA status: pass”と表示さ

れます。

IPAの結果についての詳細はユーザーマニュアルを参照してください。

2. ノーマリゼーション

► ノーマリゼーションは4本のディテクター間の測定値を補正するために行います。

► ノーマリゼーションはアッセイ毎に行います。

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a) ノーマリゼーションを行う前にIPAを実行して測定装置のパフォーマンスを確認します。

b) Assay definitionウィンドウを開きます。

c) ツールバーのParametersメニューからInstrumentを選択してInstrument parametersウィンドウを開きます。

d) Instrument parametersウィンドウのGeneralタブを選択し、“perform normalization on next plate counted”をチェ

ックします。

ここがチェックされていると、そのアッセイで次に測定したカウントを基にノーマリゼーションが行われ、それ以

降の測定値には設定されたファクターが適用されます。

OKをクリックします。

e) ノーマリゼーション用のプレートを調製します。Normalization mapに従いプレートを調製します。サンプルはそ

のアッセイのポジティブコントロールを用いることをお勧めします。プレートのタイプ、サンプル容量、ビーズ/試

薬濃度は目的のアッセイに準じてください。

Normalization mapを確認するには:

► Sample mapウィンドウを開きます。

► ツールバーのFileメニューからOpenを選択します。

► Open sample mapウィンドウから、ノーマリゼーションを行うアッセイを選び、サンプルマップリストから

Normalization mapを選択します。

► OKをクリックするとそのアッセイのNormalization mapが表示されます。

f) Instrument controlウィンドウでノーマリゼーションを行うアッセイとNormalization sample mapを選択して測定を

行います。

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