和田 勝

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和和 和和和和和和和和和和和 和和和和和和和 和和和 和和 和和和 和和和 、、

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細胞と多様性の 生物学. 第9回 修復、変異、多様化. 和田 勝. 東京医科歯科大学教養部. 個体、細胞、タンパク質. 個体の活動=∑(細胞の働き). 細胞の活動=∑(タンパク質の働き). タンパク質の機能はその構造に依存. 構造=アミノ酸の配列. アミノ酸の配列←遺伝子 DNA の塩基配列. 一塩基置換による点突然変異. DNA の塩基 ATGC の1つが別のものに置換しておこる点突然変異. 1)変わったコドンが指定するアミノ酸は変わらない( silent mutation ). - PowerPoint PPT Presentation

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Page 1: 和田 勝

和田 勝和田 勝

東京医科歯科大学教養部東京医科歯科大学教養部

細胞と多様性の生物学

細胞と多様性の生物学

第9回 修復、変異、多様化第9回 修復、変異、多様化

Page 2: 和田 勝

個体、細胞、タンパク質個体、細胞、タンパク質

細胞の活動=∑(タンパク質の働き)細胞の活動=∑(タンパク質の働き)タンパク質の機能はその構造に依存タンパク質の機能はその構造に依存

構造=アミノ酸の配列構造=アミノ酸の配列

アミノ酸の配列←遺伝子 DNA の塩基配列アミノ酸の配列←遺伝子 DNA の塩基配列

個体の活動=∑(細胞の働き)個体の活動=∑(細胞の働き)

Page 3: 和田 勝

一塩基置換による点突然変異一塩基置換による点突然変異

DNA の塩基 ATGC の1つが別のものに置換しておこる点突然変異DNA の塩基 ATGC の1つが別のものに置換しておこる点突然変異

1)変わったコドンが指定するアミノ酸は変わらない( silent mutation )

1)変わったコドンが指定するアミノ酸は変わらない( silent mutation )2)変わったコドンは別のアミノ酸を指定するが、機能は変わらない( synonymous mutation )

2)変わったコドンは別のアミノ酸を指定するが、機能は変わらない( synonymous mutation )

Page 4: 和田 勝

3)変わったコドンは別のアミノ酸を指定し、アミノ酸は機能を果たさない( missense mutation )

3)変わったコドンは別のアミノ酸を指定し、アミノ酸は機能を果たさない( missense mutation )

4)変わったコドンが終止コドンになる( nonsense mutation )4)変わったコドンが終止コドンになる( nonsense mutation )

影響大きい影響大きい

Page 5: 和田 勝

点突然変異であっても点突然変異であってもPromotorPromotor

Exon1Exon1 Exon2Exon2 Exon3Exon3

プロモーターだと転写不能になるプロモーターだと転写不能になる

XX

エクソンだと上述の影響が出る可能性エクソンだと上述の影響が出る可能性

XX XX XX

イントロンだと影響はでないイントロンだと影響はでない

XX XX

Page 6: 和田 勝

たとえばキモトリプシンたとえばキモトリプシンキモトリプシンは、セリンプロテアーゼの一つで、膵臓から不活性型のキモトリプシノーゲンとして十二指腸へ分泌される

キモトリプシンは、セリンプロテアーゼの一つで、膵臓から不活性型のキモトリプシノーゲンとして十二指腸へ分泌される

10 20 30 40 50 60 1 CGVPAIQPVL SGLSRIVNGE EAVPGSWPWQ VSLQDKTGFH FCGGSLINEN WVVTAAHCGV 60 61 TTSDVVVAGE FDQGSSSEKI QKLKIAKVFK NSKYNSLTIN NDITLLKLST AASFSQTVSA 120121 VCLPSASDDF AAGTTCVTTG WGLTRYTNAN TPDRLQQASL PLLSNTNCKK YWGTKIKDAM 180181 ICAGASGVSS CMGDSGGPLV CKKNGAWTLV GIVSWGSSTC STSTPGVYAR VTALVNWVQQ 240241 TLAAN

10 20 30 40 50 60 1 CGVPAIQPVL SGLSRIVNGE EAVPGSWPWQ VSLQDKTGFH FCGGSLINEN WVVTAAHCGV 60 61 TTSDVVVAGE FDQGSSSEKI QKLKIAKVFK NSKYNSLTIN NDITLLKLST AASFSQTVSA 120121 VCLPSASDDF AAGTTCVTTG WGLTRYTNAN TPDRLQQASL PLLSNTNCKK YWGTKIKDAM 180181 ICAGASGVSS CMGDSGGPLV CKKNGAWTLV GIVSWGSSTC STSTPGVYAR VTALVNWVQQ 240241 TLAAN

ウシのキモトリプシンの一次構造ウシのキモトリプシンの一次構造

Page 7: 和田 勝

突然変異の位置突然変異の位置

Page 8: 和田 勝

一塩基置換による疾病例一塩基置換による疾病例

この関係がもっとも直線的で明瞭な例は鎌状赤血球貧血症 (sickle cell anemia) だろう

この関係がもっとも直線的で明瞭な例は鎌状赤血球貧血症 (sickle cell anemia) だろう

Page 9: 和田 勝

鎌状赤血球貧血症のヘモグロビンは、正常のヒトのヘモグロビンと異なるヘモグロビン S で、溶解しにくく、繊維状となるために赤血球が変形する

鎌状赤血球貧血症のヘモグロビンは、正常のヒトのヘモグロビンと異なるヘモグロビン S で、溶解しにくく、繊維状となるために赤血球が変形するこの遺伝子は相互(共)優性で、ホモだと溶血や血栓などが起こり、長くは生きられない。

この遺伝子は相互(共)優性で、ホモだと溶血や血栓などが起こり、長くは生きられない。

一塩基置換による疾病例一塩基置換による疾病例

Page 10: 和田 勝

ヘモグロビン S の一次構造を調べると 6 番目のアミノ酸グルタミン酸がバリンに変わっていることが明らかになった

ヘモグロビン S の一次構造を調べると 6 番目のアミノ酸グルタミン酸がバリンに変わっていることが明らかになった

ヘモグロビン遺伝子に突然変異

ヘモグロビン遺伝子に突然変異

ヘモグロビン Sヘモグロビン S

鎌状赤血球鎌状赤血球

ATG/GTG/CAC/CTG/ACT/CCT/GAG/GAG/AAG/TCT/GCC/GTT/... ATG/GTG/CAC/CTG/ACT/CCT/GAG/GAG/AAG/TCT/GCC/GTT/... ATG/GTG/CAC/CTG/ACT/CCT/GTG/GAG/AAG/TCT/GCC/GTT/... ATG/GTG/CAC/CTG/ACT/CCT/GTG/GAG/AAG/TCT/GCC/GTT/...

VHLTPEEKSAV… VHLTPEEKSAV…

VHLTPVEKSAV…VHLTPVEKSAV…11p15.5 11p15.5

一塩基置換による疾病例一塩基置換による疾病例

Page 11: 和田 勝

遺伝子型と表現型の関係遺伝子型と表現型の関係しかしながら、それほど単純では無いしかしながら、それほど単純では無い

分子A分子A

分子 B分子 B 分子 C分子 C

酵素A酵素A

酵素 B酵素 B 酵素 C酵素 C

分子D分子D

酵素 A から C はタンパク質で、対応する遺伝子がある。この遺伝子のどれかに突然変異が起こっても、この代謝経路は止まってしまう。

酵素 A から C はタンパク質で、対応する遺伝子がある。この遺伝子のどれかに突然変異が起こっても、この代謝経路は止まってしまう。

Page 12: 和田 勝

遺伝子型と表現型の関係遺伝子型と表現型の関係

形質形質

前のスライドの例のように一つの形質の発現には多くのたんぱく質が関与する。

前のスライドの例のように一つの形質の発現には多くのたんぱく質が関与する。

遺伝子遺伝子遺伝子遺伝子遺伝子遺伝子遺伝子遺伝子

タンパク質タンパク質タンパク質タンパク質タンパク質タンパク質タンパク質タンパク質たとえば花の色(紫かピンクか

白か )たとえば花の色(紫かピンクか白か )

Page 13: 和田 勝

遺伝子型と表現型の関係遺伝子型と表現型の関係反対に、 1 つの遺伝子が多くの形質の発現に関与する場合もある。反対に、 1 つの遺伝子が多くの形質の発現に関与する場合もある。

遺伝子遺伝子 タンパク質タンパク質

形質1形質1形質2形質2形質3形質3形質4形質4

たとえばアルビニズム( albinism )たとえばアルビニズム( albinism )

Page 14: 和田 勝

メラニンの代謝メラニンの代謝人の体色は、黒色素細胞( melanocyte )中の黒色素顆粒( melanin granule )によっている。

人の体色は、黒色素細胞( melanocyte )中の黒色素顆粒( melanin granule )によっている。

tyrosinetyrosine DOPADOPADOPAquinoneDOPAquinone

tyrosinasetyrosinase

TRP1,2TRP1,2

Pheo-melaninPheo-melanin

tyrosinasetyrosinase Eumela-ninEumela-nin

Page 15: 和田 勝

黒色素芽細胞の移動 黒色素芽細胞の分化黒色素細胞での黒色素顆粒合成速度黒色素顆粒の大きさメラニン合成の速度黒色素細胞の突起の数顆粒をケラチン層へ送り込む速度  などの因子(遺伝子)が関与する

黒色素芽細胞の移動 黒色素芽細胞の分化黒色素細胞での黒色素顆粒合成速度黒色素顆粒の大きさメラニン合成の速度黒色素細胞の突起の数顆粒をケラチン層へ送り込む速度  などの因子(遺伝子)が関与する

これ以外にもこれ以外にも

Page 16: 和田 勝

一塩基対の挿入・欠失による一塩基対の挿入・欠失による

DNA の塩基配列中に塩基対が挿入あるいは欠失によりおこる突然変異DNA の塩基配列中に塩基対が挿入あるいは欠失によりおこる突然変異

読み取り枠がずれるため、突然変異が起こった場所以降の意味が変わってしまう( frameshift mutation)

読み取り枠がずれるため、突然変異が起こった場所以降の意味が変わってしまう( frameshift mutation)

影響大きい影響大きい

Page 17: 和田 勝

突然変異の種類突然変異の種類

Page 18: 和田 勝

染色体突然変異染色体突然変異切断( breakage )欠失( deletion )逆位( inversion )転座( translocation )重複( duplication )

 によって大きな影響が出る

切断( breakage )欠失( deletion )逆位( inversion )転座( translocation )重複( duplication )

 によって大きな影響が出る

Page 19: 和田 勝

体細胞突然変異と    生殖細胞突然変異体細胞突然変異と    生殖細胞突然変異

突然変異は、体細胞系列の細胞に生じることも、生殖系列細胞の細胞に生じることもある。

突然変異は、体細胞系列の細胞に生じることも、生殖系列細胞の細胞に生じることもある。

前者を体細胞突然変異( somatic mutation )、後者を生殖細胞突然変異( germline mutation )という。

前者を体細胞突然変異( somatic mutation )、後者を生殖細胞突然変異( germline mutation )という。

Page 20: 和田 勝

突然変異のおこるとき突然変異のおこるとき自然突然変異( natural mutation )自然突然変異( natural mutation )

複製時の誤り複製時の誤り活性酸素による障害活性酸素による障害

誘発突然変異( induced mutation)誘発突然変異( induced mutation) 紫外線、放射線、化学物質

の暴露による紫外線、放射線、化学物質の暴露による

Page 21: 和田 勝

突然変異を防ぐため突然変異を防ぐため自然突然変異( natural mutation )自然突然変異( natural mutation )

複製時の誤り←修復機構複製時の誤り←修復機構活性酸素による障害←修復機構活性酸素による障害←修復機構

誘発突然変異( induced mutation)誘発突然変異( induced mutation) 紫外線、放射線、化学物質

の暴露による←修復機構紫外線、放射線、化学物質の暴露による←修復機構

Page 22: 和田 勝

防ぐのに失敗すると防ぐのに失敗すると体細胞突然変異体細胞突然変異

癌化につながるが癌化につながるが次世代に影響を及ぼすことは無い次世代に影響を及ぼすことは無い

生殖細胞突然変異生殖細胞突然変異

次の世代に伝わる次の世代に伝わる

Page 23: 和田 勝

再び DNA polymerase再び DNA polymerase

複製は DNA-dependent DNA polymerase が行なっているが、哺乳類のこの酵素にはたくさんの種類がある。

複製は DNA-dependent DNA polymerase が行なっているが、哺乳類のこの酵素にはたくさんの種類がある。

DNAポリメラーゼ α: RNA プライマー合成 DNAポリメラーゼ δ:ラギング鎖合成DNAポリメラーゼ ε:リーディング鎖合成

DNAポリメラーゼ γ:ミトコンドリアで

DNAポリメラーゼ α: RNA プライマー合成 DNAポリメラーゼ δ:ラギング鎖合成DNAポリメラーゼ ε:リーディング鎖合成

DNAポリメラーゼ γ:ミトコンドリアで

Page 24: 和田 勝

複製過程における校正複製過程における校正

DNAポリメラーゼは、鋳型鎖の塩基と相補的な塩基を持ったヌクレオチドを取り込んで、合成を進める。

DNAポリメラーゼは、鋳型鎖の塩基と相補的な塩基を持ったヌクレオチドを取り込んで、合成を進める。

塩基のミスマッチがおこると、少し戻ってその部分を DNAポリメラーゼに同居しているエクソヌレアーゼが切り取って、正しいヌクレオチドを入れなおす。

塩基のミスマッチがおこると、少し戻ってその部分を DNAポリメラーゼに同居しているエクソヌレアーゼが切り取って、正しいヌクレオチドを入れなおす。

Page 25: 和田 勝

DNAポリメラーゼ η:チミンダイマーを越             えて合成を進める DNAポリメラーゼ κ:損傷乗り越え型

DNAポリメラーゼ β:切り取り修復DNAポリメラーゼ λ:修復

DNAポリメラーゼ η:チミンダイマーを越             えて合成を進める DNAポリメラーゼ κ:損傷乗り越え型

DNAポリメラーゼ β:切り取り修復DNAポリメラーゼ λ:修復

この他に修復機構この他に修復機構

Page 26: 和田 勝

DNAポリメラーゼ βDNAポリメラーゼ β

Page 27: 和田 勝

DNAポリメラーゼ β は、誤り部分を切り出して、正しい塩基に置き換える。

DNAポリメラーゼ β は、誤り部分を切り出して、正しい塩基に置き換える。

DNAポリメラーゼ βDNAポリメラーゼ β

Page 28: 和田 勝

再び突然変異再び突然変異このように、DNAは複製の過程の誤りを正し、損傷を修復して、 DNA を次の世代に伝えてきた。

このように、DNAは複製の過程の誤りを正し、損傷を修復して、 DNA を次の世代に伝えてきた。

しかしながら、 DNA の誤りがまったく伝わらなかったわけではない。どこかで変異がおこり、それが伝えられたからこそ、現在見られるようにさまざまな生物が地球上に生息しているのである。

しかしながら、 DNA の誤りがまったく伝わらなかったわけではない。どこかで変異がおこり、それが伝えられたからこそ、現在見られるようにさまざまな生物が地球上に生息しているのである。

Page 29: 和田 勝

変異は一定の割合で、、変異は一定の割合で、、DNA の塩基配列を比較することにより、 DNA の塩基の変異は一定の割合で起こっていることがわかっている。

DNA の塩基配列を比較することにより、 DNA の塩基の変異は一定の割合で起こっていることがわかっている。生殖細胞の複製の過程で起こるミスマッチが訂正されなかったり、突然変異が起こったのであろう。

生殖細胞の複製の過程で起こるミスマッチが訂正されなかったり、突然変異が起こったのであろう。

Page 30: 和田 勝

変異の固定変異の固定ダーウィンは遺伝の実体も遺伝子の存在も知らなかったが、この変異がどのように世代から世代に伝えられていくかを示した。

ダーウィンは遺伝の実体も遺伝子の存在も知らなかったが、この変異がどのように世代から世代に伝えられていくかを示した。

ある変異が、生息している環境に適応していれば子孫を残せる(自然選択)という考え方である。すなわち、、

ある変異が、生息している環境に適応していれば子孫を残せる(自然選択)という考え方である。すなわち、、

Page 31: 和田 勝

自然選択により変異が伝わる自然選択により変異が伝わる1)生物の集団に変異( variations)が 存在すること

1)生物の集団に変異( variations)が 存在すること2)変異は親から子に伝わること2)変異は親から子に伝わること

3)環境の収容力が繁殖力よりも小さ いこと

3)環境の収容力が繁殖力よりも小さ いこと4)その環境のもとでは、変異に応じて 次世代に子を残す期待値に差が生 じること

4)その環境のもとでは、変異に応じて 次世代に子を残す期待値に差が生 じること

Page 32: 和田 勝

変異の固定変異の固定個体群が、何らかの理由で分かれて、両者の個体間で自由な交配ができなくなる(隔離)。

個体群が、何らかの理由で分かれて、両者の個体間で自由な交配ができなくなる(隔離)。

環境に適応した変異が個体群の中で広がっていく。環境に適応した変異が個体群の中で広がっていく。

元の個体群とは異なる表現型を持った種ができる(種分化)。元の個体群とは異なる表現型を持った種ができる(種分化)。

Page 33: 和田 勝

個体群内の変異個体群内の変異

Page 34: 和田 勝

個体群内の変異個体群内の変異

ヒトの場合、背の高さ、体重、皮膚や髪の毛の色など複数の遺伝子がかかわる。

ヒトの場合、背の高さ、体重、皮膚や髪の毛の色など複数の遺伝子がかかわる。

Page 35: 和田 勝

変異、自然選択、進化変異、自然選択、進化

変異は DNA のレベルで起こる。変異は DNA のレベルで起こる。

自然選択は個体のレベルで起こる。決して遺伝子のレベルでは起こらない。

自然選択は個体のレベルで起こる。決して遺伝子のレベルでは起こらない。進化は個体群で起こる。決して個体のレベルでは起こらない。進化は個体群で起こる。決して個体のレベルでは起こらない。

Page 36: 和田 勝

集団遺伝学集団遺伝学

そこで個体群 (集団、 population )を対象とした、集団遺伝学の考えが重要になる。

そこで個体群 (集団、 population )を対象とした、集団遺伝学の考えが重要になる。

集団遺伝学では、次のように考える。集団遺伝学では、次のように考える。

Page 37: 和田 勝

集団遺伝学集団遺伝学

個体群を構成している各個体は、すべての遺伝子座について、全く同一な対立遺伝子( allele )を持つのではない。

個体群を構成している各個体は、すべての遺伝子座について、全く同一な対立遺伝子( allele )を持つのではない。個体群を構成する各個体の持っているすべての遺伝子座の対立遺伝子を合わせたものを、その個体群の遺伝子プール( gene pool )と呼ぶ。

個体群を構成する各個体の持っているすべての遺伝子座の対立遺伝子を合わせたものを、その個体群の遺伝子プール( gene pool )と呼ぶ。

Page 38: 和田 勝

遺伝子プール内の変異は、それぞれの遺伝子座に対応する対立遺伝子の相対的な比率で表すことができる。

遺伝子プール内の変異は、それぞれの遺伝子座に対応する対立遺伝子の相対的な比率で表すことができる。

これを、対立遺伝子頻度あるいは単に遺伝子頻度( gene frequency )と呼んでいる。

これを、対立遺伝子頻度あるいは単に遺伝子頻度( gene frequency )と呼んでいる。

この遺伝子頻度を取り扱うのが集団遺伝学。この遺伝子頻度を取り扱うのが集団遺伝学。

Page 39: 和田 勝

ハ ディ-・ワインベルグの法則ーハ ディ-・ワインベルグの法則ー「一定の理想的な状況のもとでは、有性生殖をおこなう集団における対立遺伝子の頻度は、一世代で一定となり、その後、世代を越えて一定に保たれる。また、遺伝子型の頻度は、この遺伝子型を構成する遺伝子の頻度の積で表すことができる。」

「一定の理想的な状況のもとでは、有性生殖をおこなう集団における対立遺伝子の頻度は、一世代で一定となり、その後、世代を越えて一定に保たれる。また、遺伝子型の頻度は、この遺伝子型を構成する遺伝子の頻度の積で表すことができる。」

1908年に標記 2 人が独立に発見。1908年に標記 2 人が独立に発見。

Page 40: 和田 勝

成立の条件成立の条件1)新しい対立遺伝子が生じない1)新しい対立遺伝子が生じない2)離脱・流入個体がなく、新しい対立遺 伝子が入ることも、出て行くこともない

2)離脱・流入個体がなく、新しい対立遺 伝子が入ることも、出て行くこともない3)個体群は十分大きく、頻度の有意な 変化が偶然におこることはない

3)個体群は十分大きく、頻度の有意な 変化が偶然におこることはない4)すべての個体が繁殖可能になるまで 生き残って同等に繁殖する

4)すべての個体が繁殖可能になるまで 生き残って同等に繁殖する5)有性生殖によってランダムに混ぜ合 わせられる

5)有性生殖によってランダムに混ぜ合 わせられる

Page 41: 和田 勝

具体的に具体的にある個体群の遺伝子プールが次のような対立遺伝子を持つとすると、ある個体群の遺伝子プールが次のような対立遺伝子を持つとすると、

A と aA と a

AA 、 Aa 、 aaAA 、 Aa 、 aa

遺伝子型は遺伝子型は

となる。となる。

Page 42: 和田 勝

具体的に具体的にそれぞれの遺伝子型を持つ個体が同数いるとすると、それぞれの遺伝子型を持つ個体が同数いるとすると、

AA = Aa = aa = 0.3333AA = Aa = aa = 0.3333

A= a= 0.5A= a= 0.5

したがって A とa の頻度はしたがって A とa の頻度は

これが親の代。それでは F1 は?これが親の代。それでは F1 は?

Page 43: 和田 勝

組み合わせは 9通り組み合わせは 9通りAA  x AAAA  x AaAA  x  aaAa   x AAAa x  AaAa x  aaaa x AAaa x Aaaa x aa

AA  x AAAA  x AaAA  x  aaAa   x AAAa x  AaAa x  aaaa x AAaa x Aaaa x aa

Page 44: 和田 勝

F1世代は?F1世代は?AAx AAAAx AaAAx aaAa x AAAa x AaAa x aaaa x AAaa x Aaaa x aa

AAx AAAAx AaAAx aaAa x AAAa x AaAa x aaaa x AAaa x Aaaa x aa

AAxAAAAxAA

AA AA

AA

AA

AAAA AAAA

AAAA AAAA

4 x AA4 x AA 雄の配偶子雄の配偶子

雌の配偶子雌の配偶子

Page 45: 和田 勝

F1世代は?F1世代は?AAx AAAAx AaAAx aaAa x AAAa x AaAa x aaaa x AAaa x Aaaa x aa

AAx AAAAx AaAAx aaAa x AAAa x AaAa x aaaa x AAaa x Aaaa x aa

4 x AA4 x AA2 x AA 2 x AA 2 x AA 2 x AA

4 x Aa 4 x Aa 2 x AA 2 x Aa 2 x AA 2 x Aa 1 x AA 2 x Aa 1 x aa 1 x AA 2 x Aa 1 x aa 2 x Aa 2

x aa 2 x Aa 2 x aa 4 x Aa4 x Aa2 x Aa 2 x aa 2 x Aa 2 x aa 4 x

aa 4 x aa

Page 46: 和田 勝

F1世代は?F1世代は?4 x AA4 x AA2 x AA 2 x AA 2 x AA 2 x AA

4 x Aa 4 x Aa 2 x AA 2 x Aa 2 x AA 2 x Aa 1 x AA 2 x Aa 1 x aa 1 x AA 2 x Aa 1 x aa 2 x Aa 2

x aa 2 x Aa 2 x aa 4 x Aa4 x Aa2 x Aa 2 x aa 2 x Aa 2 x aa 4 x

aa 4 x aa 合計 合計 9 x A

A9 x AA

18 x Aa18 x Aa

9 x aa 9 x aa

Page 47: 和田 勝

F1世代は?F1世代は?遺伝子型の比は遺伝子型の比は

AA: Aa: aa = 9: 18: 9= 1: 2: 1AA: Aa: aa = 9: 18: 9= 1: 2: 1

表現型の比は表現型の比は

( AA+ Aa ): aa = 3: 1( AA+ Aa ): aa = 3: 1

遺伝子頻度は A = 9x 2+ 9 、  a = 9+ 9x 2 でともに 27 で頻度は 0.5

遺伝子頻度は A = 9x 2+ 9 、  a = 9+ 9x 2 でともに 27 で頻度は 0.5

Page 48: 和田 勝

F2世代は?F2世代は?AAx AA     Aa x AAAAx Aa     Aa x AaAAx Aa Aa x AaAAx aa Aa x aaAa x AA aa x AAAa x Aa aa x AaAa x Aa aa x AaAa x aa aa x aa

AAx AA     Aa x AAAAx Aa     Aa x AaAAx Aa Aa x AaAAx aa Aa x aaAa x AA aa x AAAa x Aa aa x AaAa x Aa aa x AaAa x aa aa x aa

の 16通りの組み合わせの 16通りの組み合わせ

Page 49: 和田 勝

F2世代は?F2世代は?AAx AAAAx AaAAx AaAAx aaAa x AAAa x AaAa x AaAa x aaAa x AAAa x AaAa x AaAa x aaaa x AAaa x Aaaa x Aaaa x aa

AAx AAAAx AaAAx AaAAx aaAa x AAAa x AaAa x AaAa x aaAa x AAAa x AaAa x AaAa x aaaa x AAaa x Aaaa x Aaaa x aa

AA     Aa      aaAA     Aa      aa4  

2 2    2 2 4 2 21 2 11 2 1 2 22 21 2 11 2 1 2 2 4 2 2 2 2 4

4   2 2    2 2 4 2 21 2 11 2 1 2 22 21 2 11 2 1 2 2 4 2 2 2 2 4

Page 50: 和田 勝

F2世代は?F2世代は?

合計 合計 16 x AA16 x AA

32 x Aa32 x Aa

16 x aa 16 x aa

遺伝子型の比は遺伝子型の比はAA: Aa: aa = 16: 32: 16 = 1: 2: 1AA: Aa: aa = 16: 32: 16 = 1: 2: 1表現型の比は表現型の比は

( AA+ Aa ): aa = 3: 1( AA+ Aa ): aa = 3: 1

遺伝子頻度は A = 16x 2+ 16 、 a = 16+ 16x 2 でともに 48 で頻度は 0.5

遺伝子頻度は A = 16x 2+ 16 、 a = 16+ 16x 2 でともに 48 で頻度は 0.5

Page 51: 和田 勝

ハ ディ-・ワインベルグの法則ーハ ディ-・ワインベルグの法則ー「一定の理想的な状況のもとでは、有性生殖をおこなう集団における対立遺伝子の頻度は、一世代で一定となり、その後、世代を越えて一定に保たれる。」

「一定の理想的な状況のもとでは、有性生殖をおこなう集団における対立遺伝子の頻度は、一世代で一定となり、その後、世代を越えて一定に保たれる。」「また、遺伝子型の頻度は、この遺伝子型を構成する遺伝子の頻度の積で表すことができる。」

「また、遺伝子型の頻度は、この遺伝子型を構成する遺伝子の頻度の積で表すことができる。」

Page 52: 和田 勝

ハ ディ-・ワインベルグの法則ーハ ディ-・ワインベルグの法則ー

0.50.5 0.50.5

0.50.5

0.50.5

0.250.25 0.250.25

0.250.25 0.250.25

( AA+2Aa ) :aa = 0.75: 0.25となる。

( AA+2Aa ) :aa = 0.75: 0.25となる。

Page 53: 和田 勝

法則の一般化法則の一般化対立遺伝子の頻度を文字を使って表して、対立遺伝子の A の頻度を p 、a の頻度を q とする。

対立遺伝子の頻度を文字を使って表して、対立遺伝子の A の頻度を p 、a の頻度を q とする。

当然、 p+ q = 1当然、 p+ q = 1

Page 54: 和田 勝

法則の一般化法則の一般化

(A) p(A) p (a) q(a) q

pp

qq

pp22 pqpq

pqpq qq22

(p+q)2= p2+2pq+q2(p+q)2= p2+2pq+q2

(pA+qa)2 = p2AA+2pqAa+q2aa(pA+qa)2 = p2AA+2pqAa+q2aa

Page 55: 和田 勝

法則の応用法則の応用ハーディー・ワインベルグの平衡状態にある個体群では、対立遺伝子の頻度から遺伝子型の頻度を計算できる。

ハーディー・ワインベルグの平衡状態にある個体群では、対立遺伝子の頻度から遺伝子型の頻度を計算できる。たとえば、 A(p) を 0.60 、 a(q) を 0.4としてみよう。たとえば、 A(p) を 0.60 、 a(q) を 0.4としてみよう。

AA の頻度= p2 = (0.60)2 = 0.36aa の頻度= q2 = (0.40)2 = 0.16Aa の頻度= 2pq = 2x(0.60)x(0.40) = 0.48

AA の頻度= p2 = (0.60)2 = 0.36aa の頻度= q2 = (0.40)2 = 0.16Aa の頻度= 2pq = 2x(0.60)x(0.40) = 0.48

Page 56: 和田 勝

法則の応用法則の応用上に述べた対立遺伝子の頻度を持った 500頭の個体群がいたとすると、それぞれの遺伝子型をもった個体の数はどうなるだろうか。

上に述べた対立遺伝子の頻度を持った 500頭の個体群がいたとすると、それぞれの遺伝子型をもった個体の数はどうなるだろうか。

AA の個体数= 0.36x500 = 180Aa の個体数 = 0.48x500 = 240aa の個体数 = 0.16x500 = 80

AA の個体数= 0.36x500 = 180Aa の個体数 = 0.48x500 = 240aa の個体数 = 0.16x500 = 80

Page 57: 和田 勝

法則の応用法則の応用逆に遺伝子型の頻度がわかれば、遺伝子頻度が計算できる。逆に遺伝子型の頻度がわかれば、遺伝子頻度が計算できる。

集団遺伝学では、このハーディー・ワインベルグの法則を出発点とする。

集団遺伝学では、このハーディー・ワインベルグの法則を出発点とする。日本人全体を一つの近似的に理想的な個体群とみなして、遺伝子頻度の計算に数学的な取り扱いを適用する。このような集団をメンデル集団と呼ぶ。

日本人全体を一つの近似的に理想的な個体群とみなして、遺伝子頻度の計算に数学的な取り扱いを適用する。このような集団をメンデル集団と呼ぶ。

Page 58: 和田 勝

複対立への法則の拡張複対立への法則の拡張

ABO式血液型ABO式血液型

糖鎖の違いである糖鎖の違いである

Page 59: 和田 勝

ABO式血液型ABO式血液型-・・・- Gal-GlcNAc-Gal ( ABO抗原の前駆糖鎖)-・・・- Gal-GlcNAc-Gal ( ABO抗原の前駆糖鎖)

-・・・- Gal-GlcNAc-Gal ( H ( O )型糖鎖)                   |                   Fuc

-・・・- Gal-GlcNAc-Gal ( H ( O )型糖鎖)                   |                   Fuc

Gal-GlcNAc-Gal-GalNAc ( A 型糖鎖)            |            Fuc

Gal-GlcNAc-Gal-GalNAc ( A 型糖鎖)            |            Fuc

Gal-GlcNAc-Gal-Gal ( B 型糖鎖)            |            Fuc

Gal-GlcNAc-Gal-Gal ( B 型糖鎖)            |            Fuc

フコース転移酵素(酵素H )フコース転移酵素(酵素H )

アセチルガラクトサミン転移酵素(酵素 A )アセチルガラクトサミン転移酵素(酵素 A )

ガラクトコース転移酵素(酵素 B)

ガラクトコース転移酵素(酵素 B)

Page 60: 和田 勝

ABO式血液型ABO式血液型この3種の酵素を遺伝子がコードしている。この3種の酵素を遺伝子がコードしている。

血液型血液型 遺 伝 子型遺 伝 子型 酵素酵素 赤血球

表面糖鎖赤血球表面糖鎖

血清中の抗体血清中の抗体

A 型A 型 IAIA, IAiIAIA, IAi "H", "A""H", "A" A, HA, H anti-Banti-B

B 型B 型 IBIB, IBiIBIB, IBi "H", "B""H", "B" B, HB, H anti-Aanti-A

AB型AB型 IAIBIAIB "H", "A", "B""H", "A", "B" A, B, HA, B, H なしなし

O 型O 型 iiii "H""H" HH anti-A, anti-Banti-A, anti-B

Page 61: 和田 勝

ABO式血液型ABO式血液型

A と B の間には優劣関係がなく、 Aと B は O に対して優性である。A と B の間には優劣関係がなく、 Aと B は O に対して優性である。

ABO 遺伝子は、第9染色体上にある( 9q34 )。 A 遺伝子は A 酵素を、 B遺伝子は B 酵素をコードしている。354 アミノ酸。

ABO 遺伝子は、第9染色体上にある( 9q34 )。 A 遺伝子は A 酵素を、 B遺伝子は B 酵素をコードしている。354 アミノ酸。O 遺伝子は、 A 遺伝子の 88 番目のコドンの G 塩基が欠失しフレームシフトが起こり 117個のアミノ酸、酵素活性ない。

O 遺伝子は、 A 遺伝子の 88 番目のコドンの G 塩基が欠失しフレームシフトが起こり 117個のアミノ酸、酵素活性ない。

Page 62: 和田 勝

法則の拡張法則の拡張

(pA+qB+rO)2 =        p2AA+2prAO+        q2BB+2qrBO+        2pqAB+        r2OO

(pA+qB+rO)2 =        p2AA+2prAO+        q2BB+2qrBO+        2pqAB+        r2OO

表現型 A表現型 A表現型 B表現型 B表現型 AB表現型 AB表現型 O表現型 O

Page 63: 和田 勝

具体例具体例

日本人の献血者の全国資料によると、 A 型は 1,725,950 人、 B 型は 988,996 人、 AB 型は 444,979 人、 O 型は1,305,924 人(合計 4,465,349 人)

日本人の献血者の全国資料によると、 A 型は 1,725,950 人、 B 型は 988,996 人、 AB 型は 444,979 人、 O 型は1,305,924 人(合計 4,465,349 人)

A 型 = 0.386521 ( p2+2pr )B 型 = 0.221482 ( q2+2qr )AB 型= 0.099540 ( 2pq)O 型 = 0.292457 ( r2 )

A 型 = 0.386521 ( p2+2pr )B 型 = 0.221482 ( q2+2qr )AB 型= 0.099540 ( 2pq)O 型 = 0.292457 ( r2 )

Page 64: 和田 勝

具体例具体例

ここから r はすぐに求められる。ここから r はすぐに求められる。

r2 = 0.292457 なのだからr2 = 0.292457 なのだからr = SQRT( 0.292457) = 0.540793r = SQRT( 0.292457) = 0.540793

Page 65: 和田 勝

具体例具体例

p と q はチョット工夫をしてp と q はチョット工夫をしてq = 1-( p+ r)= 1-SQRT( (p+ r)2) = 1- SQRT( p2+ 2pr+ r2) = 1- SQRT( 0.386521+0.292457) = 0.175999

q = 1-( p+ r)= 1-SQRT( (p+ r)2) = 1- SQRT( p2+ 2pr+ r2) = 1- SQRT( 0.386521+0.292457) = 0.175999p = 1-( q+ r)= 1-SQRT( (q+ r)2) = 1- SQRT( q2+ 2qr+ r2) = 1- SQRT( 0.221482+0.292457) = 0.283104

p = 1-( q+ r)= 1-SQRT( (q+ r)2) = 1- SQRT( q2+ 2qr+ r2) = 1- SQRT( 0.221482+0.292457) = 0.283104

Page 66: 和田 勝

具体例具体例

したがって、日本人というメンデル集団の ABO式血液型を支配する遺伝子 A( IA )、 B ( IB )、 O ( i )の頻度は、それぞれ 0.283 、 0.176 、 0.541である。

したがって、日本人というメンデル集団の ABO式血液型を支配する遺伝子 A( IA )、 B ( IB )、 O ( i )の頻度は、それぞれ 0.283 、 0.176 、 0.541である。この遺伝子頻度は、民族によってそれぞれ異なっている。この遺伝子頻度は、民族によってそれぞれ異なっている。

Page 67: 和田 勝

集団遺伝学集団遺伝学集団遺伝学では、遺伝子型頻度でなく遺伝子頻度を基本の数量とする。集団遺伝学では、遺伝子型頻度でなく遺伝子頻度を基本の数量とする。

これは、遺伝子頻度のほうが不連続性がない、集団の中の遺伝子頻度は変化しにくいので数量化モデルをあてはめやすい、ためである。

これは、遺伝子頻度のほうが不連続性がない、集団の中の遺伝子頻度は変化しにくいので数量化モデルをあてはめやすい、ためである。

集団遺伝学は、交配実験が行なえない集団に対して有効。集団遺伝学は、交配実験が行なえない集団に対して有効。

Page 68: 和田 勝

実際には実際にはハーディー・ワインベルグの法則が成り立つのは、 5 つの条件を備えた理想的な個体群においてである。

ハーディー・ワインベルグの法則が成り立つのは、 5 つの条件を備えた理想的な個体群においてである。

しかし、実際にはこのような個体群はありえない。しかし、実際にはこのような個体群はありえない。

突然変異によって新たな対立遺伝子が生じ、個体群間の個体の移動によって遺伝子の流入や離脱が起こる。

突然変異によって新たな対立遺伝子が生じ、個体群間の個体の移動によって遺伝子の流入や離脱が起こる。

Page 69: 和田 勝

実際には実際にはまた、すべての個体が繁殖に参加できるとは限らないし、個体群の大きさによっては、偶然的は変動が起こることがある。

また、すべての個体が繁殖に参加できるとは限らないし、個体群の大きさによっては、偶然的は変動が起こることがある。

すなわち、遺伝子頻度に変化が起こる。すなわち、遺伝子頻度に変化が起こる。これは、進化が起こるということである。これは、進化が起こるということである。

Page 70: 和田 勝

進化は進化は1)新しい対立遺伝子が生じない1)新しい対立遺伝子が生じない2)離脱・流入個体がなく、新しい対立遺  伝子が入ることも、出て行くこともない

2)離脱・流入個体がなく、新しい対立遺  伝子が入ることも、出て行くこともない3)個体群は十分大きく、頻度の有意な  変化が偶然におこることはない

3)個体群は十分大きく、頻度の有意な  変化が偶然におこることはない4)すべての個体が繁殖可能になるまで  生き残って同等に繁殖する

4)すべての個体が繁殖可能になるまで  生き残って同等に繁殖する5)有性生殖によってランダムに混ぜ合  わせられる

5)有性生殖によってランダムに混ぜ合  わせられる

突然変異( mutation )遺伝子流( gene flow )

遺伝的浮動( genetic drift )

自然選択( natural selection )

非ランダム交配( non-random mating )

Page 71: 和田 勝

進化は進化は「進化」を集団遺伝学の立場から見るとこれらの5つの要因が、単独あるいは複合して個体群にはたらき、遺伝子頻度に変更を加えることだと定義することができる。

「進化」を集団遺伝学の立場から見るとこれらの5つの要因が、単独あるいは複合して個体群にはたらき、遺伝子頻度に変更を加えることだと定義することができる。

Page 72: 和田 勝

遺伝子頻度変化の要因は遺伝子頻度変化の要因は新しい対立遺伝子が生じるのは新しい対立遺伝子が生じるのは

突然変異、遺伝子流突然変異、遺伝子流

遺伝子が世代を受け渡されるとき変更が生じるのは遺伝子が世代を受け渡されるとき変更が生じるのは

自然選択、遺伝子浮動非ランダム交配自然選択、遺伝子浮動非ランダム交配

Page 73: 和田 勝

変異、自然選択、進化変異、自然選択、進化

変異は DNA のレベルで起こる。変異は DNA のレベルで起こる。

自然選択は個体のレベルで起こる。決して遺伝子のレベルでは起こらない。

自然選択は個体のレベルで起こる。決して遺伝子のレベルでは起こらない。進化は個体群で起こる。決して個体のレベルでは起こらない。進化は個体群で起こる。決して個体のレベルでは起こらない。