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平成26年度 富山県農林水産総合技術センター 木材研究所 平成27年3月31日発行

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平成26年度富山県農林水産総合技術センター木材研究所

業 務 報 告

平成27年3月31日発行

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1.試験研究成果

 1.1 県産材等の需要拡大を図る技術開発  1.1.1 製材等部材の現場型非破壊検査ツールの開発

  1.1.2 公共建築物における木造化技術の開発

   1.1.2.1 長スパン工法の開発

   1.1.2.2 県産材の強度管理方法の確立とせん断・めり込み性能評価

   1.1.2.3 高温セット処理材への連携乾燥技術の開発

   1.1.2.4 非接着接合による組立て梁の設計法の開発

  1.1.3 富山県産材を用いた公共施設用木質内装材の開発

  1.1.4 木製グライド防止工を用いた防雪林造成法の確立

  1.1.5 竹材を用いた木質釘の需要に関する研究

  1.1.6 スギ樹皮を用いた緑化技術の開発

  1.1.7 スギ間伐材による新しい良施工性治山用木製品の開発

 1.2 地域木材産業と連携した安心安全な木造建築技術の開発  1.2.1 圧縮木材の形状復元挙動を活用した耐震面格子壁の開発

  1.2.2 既存住宅に対応した制振パネル工法の開発

  1.2.3 ラグスクリューボルトを用いた高靱性ラーメン接合部の開発と制振耐力壁の制振効果検証

  1.2.4 富山型伝統的木造建物の耐震・劣化診断手法と加工・設計手法の開発

 1.3 木質系バイオマスの利用技術の開発  1.3.1 木材液化技術を応用した石油代替木質系バイオマス液体燃料の開発

  1.3.2 スギ間伐材を原料としたWPC用スギ木粉の製造技術の確立

  1.3.3 スギ木粉・竹粉複合体の量産化技術の開発

  1.3.4 スギ樹皮を用いた育苗床土、培土の開発

2.一般業務 2.1 沿革 2.2 組織図 2.3 土地 2.4 建物 2.5 主要予算一覧 2.6 産業財産権 2.7 発表 2.8 受賞 2.9 研修(派遣) 2.10 講師派遣 2.11 研修・講習会の開催 2.12 客員研究員招へい 2.13 視察・見学者 2.14 技術相談 2.15 試験検査業務 2.16 共同研究 2.17 応募型研究 2.18 職員一覧表

目 次

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1.試 験 研 究 成 果

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製材等部材の現場型非破壊検査ツールの開発

予算区分 県 単 研究期間 平成26~28年度

担 当 課 木質構造課 担 当 者 園田 里見

1.研究目的

平成 23 年に策定された富山県公共建築物等木材利用推進方針に伴い、木造公共建築物等の建設増

加が見込まれるが、県産構造用JAS製材品は、認証費用の問題から十分な供給体制にない。一方、

国の営繕建築では非JAS材の使用にヤング率の検査を求めており、通常の中・大規模木造の品質

確保にこの検査は重要であるが、検査機器が高額なため、検査手段が現場に普及していない。

そこで本研究では、実務者の利用を想定し、ノートパソコンで行える廉価な非破壊検査システム

を開発し、県産材製品の信頼性向上と需要拡大を図る。

2.全体計画

桟積み状態での測定や密度測定の省略など縦振動法等の実用化に資する技術開発を行う。また、

せん断弾性係数の非破壊測定が可能な TGH 法等の先進的技術の汎用化ツールの開発を検討する。さ

らに、製材品の品質管理等を想定し、強度等の信頼性を定量化する評価方法を開発する。

3.研究内容

振動法や弾性波伝播法等の非破壊測定法では試験体の密度を測定する必要がある。重量測定は実

務的に手間となるため、これまで統計的な密度推定法が提案されてきた。今回、縦振動を受ける試

験体に重量既知な微小質点を付加し、付加/非付加時の固有振動数の違いからヤング率を評価し、

重量測定を省略する方法を検討した。

図1に示すような棒の縦振動において、棒端に質量 M がある境界条件の振動方程式を解き、これ

を整理すると次式(1)が得られる。

𝐸 = − 4𝜋𝜋𝜋𝑓O𝑓

𝐴 tan �𝜋 𝑓𝑓O�

・・・(1)

ここで、A は断面積。f と fOはそれぞれ付加質量がある状態と無い状態の固有振動数。

すなわち、既知の質量が付加された状態と無い状態の固有振動数を測定し、式(1)を適用すると、

理論上は試験体の重量測定を行わずにヤング率 Eが評価できることになる。

L=152cm、38×89 mm 断面の枠組壁工法用製材6体用意し、中央クッション支持し、小鉄板(28.

2 g)、鉄板(174.5 g)、鉄ブロック(309.1 g)の3種類の付加質量をそれぞれ木口面に粘着テー

プで十分に粘着し、樹脂ハンマーの打撃音から f と fOを測定し、本法で評価したヤング率 EAと通常

の縦振動法で求めたヤング率 EOを比較した。

概して EA は低めに評価され、M が小さい方が EO とよく一致した(図2)。小鉄板では、EA の誤差

棒長さ L 質点 M

ヤング率 E

0 L

x

密度 ρ 断面積 A [T = 0] [Ma+T = 0]

図1 付加質量のある自由支持の棒

※[式]は材端における張力 Tの境界条件。aは加速度。

打撃による

縦振動

棒質量 W

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は平均-2%、標準偏差 7%程度であった(両木口面打撃のケースの統計)。M が大きくなるほど誤差は

大きくなる傾向がみられた(図3)。

さらに誤差の原因について検討を行った。試験体質量を W としたとき、質量比 M/W が大きいほど

周波数比 f/f0 は理論値より低下し、誤差が大きくなる傾向がみられた(図4)。その理由について

次の2点が考えられる。1点目は、質量比が大きいほど周波数比の感度が鈍くなり、EA の評価精度

が低下すること。2点目は、付加質量が重いほど試験体との粘着が弱く、周波数の低下と誤差を生

むことである。

一方、付加質量が小さい場合は、評価精度を確保するには周波数の測定精度を確保しなければな

らない。また、付加質量が小さすぎると、節などが質点として影響しやすくなる。今回の実験では

死節が散在する試験体では小鉄片による測定精度の低下がみられた。

図2 真のヤング率と評価ヤング率の関係

図3 質量比と評価ヤング率の誤差 図4 質量比と周波数比の関係

4.今後の課題

以上から、実大の建築構造用木材でも重量測定を省略した縦振動法によるヤング率測定の実用化

が期待できると考えられる。

本法の実用化には、適切な付加質量と付加方法の検討、様々な構造材に適用した場合の知見の収

集、節やほぞ穴などの評価精度への影響について検討する必要がある。

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公共建築物における木造化技術の開発(1)

-長スパン工法の開発-

予算区分 県 単 研究期間 平成24~26年度

担 当 課 木質構造課 担 当 者 柴 和宏

1.研究目的

平成 23 年 4 月に「富山県公共建築物等木材利用推進方針」が策定され、県内の公共建築物に

対する木造化の機運が高まりつつある。公共建築物では、住宅よりも広い空間(スパン 6~12

m)が必要となり、それに対応した長スパン工法の開発が求められる。

2.全体計画

高齢者施設や保育園等の中規模公共建築物で利用しやすく、長スパンに対応した屋根架構法と

して、小屋トラスの開発に取り組む。スパン 7~10mの県産スギ小屋トラスを開発するとともに、

ユニット化を図り、現場での施工性を高めるものとする。

3.研究内容

1)前年度(H25 年度)までの成果

トラス端部接合部については、ラグスクリューボルト(径 35mm、打ち込み深さ 210mm)1 本にコ

ーチスクリュー(径 16mm、打込み長さ 150mm)を適宜補強設置することで設計用せん断耐力を満た

す接合法を検討した。つぎにスパン 7.28m、8.19m、設計積雪深 1.5mのフィンクトラス式の小

屋トラスを設計した。圧縮部材には、汎用性の高い県産スギ平角材(幅 10.5cm×梁せい 21cm、

長さ 4~5m)を用い、引張部材には鉄筋を用いた張弦小屋トラスとした。

2)今年度の成果の概要

【トラス端部接合部の強化】

ラグスクリューボルト(前述の寸法)1 本とコーチスクリュー(前述の寸法)4 本からなるト

ラス端部接合部の 22°方向引張試験を行い、同接合部が設計耐力を満たすことを確認した。

【小屋トラスの実大曲げ試験】

木質構造試験棟の反力床にて、同小屋トラスの曲げ試験を(図 1)、スパンの 1/1200、1/900、

1/600、1/360、1/240 の各変位までの加力と除荷を 1 回ずつ繰り返しながら行った。加力が進む

に従い平角部材の曲げ変形を伴いながら、小屋トラス全体がたわむ様子が観察された(図1)。

中央、荷重点、節点のいずれのたわみも同様の曲線を描き、最後まで粘りがあった。短期 1.5m

積雪荷重(52.2kN:スパン 7.28m、58.7kN:スパン 8.19m)時の中央たわみは、たわみ制限と

なるスパンの 1/300 以内に収まっており良好な性能を示した(図 2)

図 1 8.19m トラスの構造図と試験状況 図 2 荷重とたわみの関係(左図 7.28m、右図 8.19m)

荷重点たわみ 中央たわみ 節点たわみ

0

20

40

60

80

100

120

0 20 40 60

総荷

重(k

N)

たわみ(mm)

中央たわみ

荷重点たわみ

節点たわみ1.5m積雪短期

設計荷重

スパンの

1/30

0たわみ

1/20

0たわみ

スパン 8.19m

0

20

40

60

80

100

120

0 20 40 60

総荷

重(k

N)

たわみ(mm)

中央たわみ

荷重点たわみ

節点たわみ

1.5m積雪短期

設計荷重

スパンの

1/30

0たわみ

スパンの

1/20

0たわみ

スパン 7.28m スギ製材 長さ 5m×幅 12cm×せい 21cm

張弦用鋼材 φ16mm

荷重負担幅 1.82m

スパン 8.19m

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公共建築物における木造化技術の開発(2)

-県産材の強度管理方法の確立とせん断・めり込み性能評価-

予算区分 県 単 研究期間 平成24~26年度

担 当 課 木質構造課 担 当 者 橋本 彰

1.研究目的

本県では平成 23 年 4 月 1 日に「富山県公共建築物等木材利用推進方針」を策定し、県内全体

において木材の利用拡大を図ることとしている。しかし、公共建築物は一般住宅と比べ、広い空

間スペースや大きい設計荷重が必要であること等、建築物の特徴が異なることから、無等級材を

使用する場合の強度管理技術を確立するほか、公共建築物で荷重負担が増大する、せん断・めり

込みに対する性能評価を行う。

2.全体計画

公共建築物は、一般住宅と比べて階高が高く、積載荷重が大きいため、構造材には断面の大き

いものが求められる。また、製材を用いる場合は原則 JAS 材であることが明記されているが、JA

S 材の流通量を考慮すると、無等級材について一定の性能を担保して供給する必要がある。そこ

で、断面が大きい県産スギ材について、機械等級区分、目視等級区分および実大曲げ強度試験を

行い、強度性能因子の関係を比較し、簡易な強度・品質管理法の検討を行う。また、材のせん断、

めり込みに対する負担が大きくなることから、断面が大きい県産スギ材 について、これまで十

分知見が得られていないせん断強度、めり込み強度性能を明らかにし、強度性能因子との関係に

ついて検討する。

3.研究内容

1)前年度(H25 年度)までの成果

ボカスギ心持ち正角材(150mm 角、長さ 4m)について、目視等級区分および機械等級区分に

よる等級付けを行った後、曲げ試験、せん断試験、めり込み試験、実大いす型せん断を実施した。

その結果、曲げ強さの範囲は 27.3~44.8 N/mm2、平均値は 34.7 N/mm2 で、信頼水準 75%の 5%

下側許容限界値(下限値)は 26.1 N/mm2 であり、この値は国土交通省告示に定めるスギ無等級

材の曲げ基準強度 22.2 N/mm2を上回った。また、曲げヤング係数の範囲は 4.75~8.85 kN/mm2、

平均値は 6.25 kN/mm2であった(試験時の含水率の平均は 17.0%)。また、せん断強度について

は、4 等分点 5 点荷重法ではいずれの試験体も曲げによる破壊であったため除外し、いす型せん

断試験の結果から評価したところ、範囲は 3.25~6.39 N/mm2、平均 5.20 N/mm2、5%下限値は 3.

54 N/mm2 であり、国土交通省告示に定めるスギ無等級材のせん断基準強度 1.8 N/mm2 を大きく上

回っており、十分なせん断性能を有していることが明らかとなった。一方、めり込み強度は平均

6.66 N/mm2、5%下限値は 4.3 N/mm2 であり、スギ無等級材のめり込み基準強度である 6.0 N/mm2

を下回った。

2)今年度の成果の概要

タテヤマスギ丸太を製材、人工乾燥後、プレーナー加工した心持ち正角材(150mm 角、長さ 4

m)20 本と心持ち平角材(180×120mm、長さ 4m)20 本を供試した。「針葉樹の構造用製材の

日本農林規格」に準じ、材面の品質調査や、動的ヤング係数等の計測を行い、甲種構造材(構造

用Ⅱ)の基準による目視等級区分および機械等級区分による等級付けを行った。その後、曲げ試

験体、めり込み試験体、実大いす型試験材を採取し、強度試験に供した。

強度試験は、(公財)日本住宅・木材技術センターによる「構造用木材の強度試験マニュアル」

に準拠し、曲げ試験は 3 等分点 4 点荷重法により各 20 本、めり込み試験は材中間部加圧法によ

り各 20 本、実大いす型せん断試験(切り欠き部分長さ 50mm、せん断面積 100×100mm)は各試験

体につき 2 体行った。目視等級により区分した正角材と平角材の含水率 15%に補正した曲げ強

さを表1に示す。2 級材が多く出現し、等級外の 2 本は貫通割れの制限値を越えたためであった。

各等級の曲げ強さは、2 級以外の試験体数が少ないため明確ではないが、等級間の差が目視等級

による区分では明らかではなかった。

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また、機械等級により区分した正角材と平角材の含水率 15%に補正した曲げ強さを表2に示

す。出現した等級の範囲は E50~E130 で、E50~E90 で約 90%を占めた。各等級の曲げ強さは、

目視等級に比べて各等級間の差が明確に見られ、強度等級区分として有効であると認められる。

めり込み試験の結果を表3に示す。めり込み強さの 5%下限値は正角材で 4.4 N/mm2 とスギの

基準強度である 6.0 N/mm2 を下回ったが、平角材では 5.8 N/mm2 と概ね基準強度と同等であった。

また、めり込み降伏強さ、めり込み剛性の 5%下限値は正角材で 1.9 N/mm2、1.36 N/mm2 とス

ギの特性値である 4.0 N/mm2、1.80 N/mm2 を下回ったが、平角材では 3.9 N/mm2、1.86 N/mm2 と

概ね同等であった。

実大いす型せん断試験の結果を表4に示す。せん断強さの 5%下限値は正角材で 3.2 N/mm2、

平角材で 4.6 N/mm2 と国土交通省に定めるスギ無等級材のせん断基準強度である 1.8 N/mm2 を大

きく上回っており、十分なせん断性能を有していることが明らかとなった。

4.今後の課題

スギのめり込み強さが基準強度を下回ることは、他地域産材においても報告されているが、横

架材への負荷を小さくするために、応力の集中を分散させる等の対応が必要である。

含水率 密度 めり込み強さ めり込み降伏強さ めり込み剛性

(%) (kg/m3) (N/mm

2) (N/mm

2) (N/mm

3)

タテヤマスギ正角材 平均値 15.7 431 6.91 3.79 1.88

(n=20) 標準偏差 1.6 43 1.28 0.96 0.27

5%下限値 4.4 1.9 1.36

タテヤマスギ平角材 平均値 13.9 429 8.21 5.77 2.67

(n=20) 標準偏差 1.1 32 1.23 0.99 0.42

  5%下限値   5.8 3.9 1.86

表3 めり込み試験結果

基準強度 試験体数 出現頻度 基準値未満本数

(N/mm2) (本) (%) 平均値 最小値 (本)

E50 24.0 9 23.7 31.0 27.8 0

E70 29.4 12 31.6 34.8 21.1 1

E90 34.8 13 34.2 43.4 34.6 0

E110 40.8 3 7.9 55.9 52.6 0

E130 46.2 1 2.6 57.5 57.5 0

等級曲げ強さ(N/mm

2)

表2 機械等級区分ごとの曲げ強さ

基準強度(N/mm2) 試験体数 出現頻度 基準値未満本数

甲種 (本) (%) 平均値 最小値 (本)

1級 27.0 1 2.6 51.1 51.1 0

2級 25.8 29 76.3 38.4 21.1 1

3級 22.2 7 18.4 40.2 29.7 0

等級外 - 1 2.6 38.8 38.8 0

等級曲げ強さ(N/mm

2)

表1 目視等級区分ごとの曲げ強さ

せん断強さ

(N/mm2)

タテヤマスギ正角材 平均値 4.29

(n=20) 標準偏差 0.58

5%下限値 3.2

タテヤマスギ平角材 平均値 6.16

(n=20) 標準偏差 0.80

  5%下限値 4.6

表4 実大いす型せん断試験結果

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公共建築物における木造化技術の開発(3)

-高温セット処理材への連携乾燥技術の開発-

予算区分 県 単 研究期間 平成24~26年度

担 当 課 木質構造課 担 当 者 坂井 正孝

1.研究目的

住宅瑕疵担保履行法(H21/10 施行)や富山県公共建築物等木材利用推進方針(H23/4 施行)の制

定に伴い、建築サイドからは低コストで乾燥等の品質が明確な製品が求められている一方、県産

スギの新たな構造部材の開発や大工・工務店が信頼して使用できる製品技術の開発が重要な課題

である。本研究では、構造部材として使用割合の高い柱材の低コスト乾燥技術を確立する。

2.全体計画

スギ柱材等の乾燥には、表面割れの抑制効果を狙って高温乾燥(高温セット処理+中温乾燥)

が広く普及してきているが、内部割れの発生に対して懸念されている 1)。この対策例としては、

表面割れを抑える高温セット処理を施し、その後、天然乾燥(以下天乾)を行っている。しか

し、この方法は、天乾期間が長くなり、乾燥コストの増大に繋がる。 本研究では、含水率の平準化や天乾期間の短縮化を図ることを目的に天乾後の中温乾燥を行う

連携乾燥法を検討するとともに、長時間要する天乾期間の含水率経過を簡易に推定する数値シミ

ュレーション技術を開発する。

3.研究内容

1)前年度(H25)までの成果

スギ柱材 13.5 角×長さ 350~300cm、10 本を用い、高温セット処理(蒸煮:95-95℃,6h、高温

セット:120-90℃,18h)を施し、含水率 30%以下を目標とした天乾後、目標仕上がり含水率 20

%以下として中温の連携乾燥(乾燥:60-40℃,108h)を行った。さらに、含水率 15%以下に達

するまで養生し、その後、製品となるモルダー加工(12cm 角仕上がり)を行った。この間の含

水率・表面割れ(4材面の長さ、面積)経時変化を追跡調査した。また、長さ方向における内部

割れの発生状況を観察するため、モルダー加工後の供試材を木口端部より長さ方向 10cm 毎に鋸

断し(1本当たり 27 試片採取)、鋸断面に発生している内部割れは、その横断面を画像解析よっ

て割れの累積面積を求め、横断面の面積に対する比率(面積比)で評価した。

生材時、高温セット処理後の含水率(供試材の平均)は、各々84、48%であった。これらを夏

季 6~8 月の2ヶ月間天乾することによって含水率は、約 30%まで低下した。次に、中温の連携

乾燥による目標低下含水率は 30 から 20%までの 10%減と設定したが、仕上がり含水率 22%と

若干高くなった。その後、8~10 月の約2ヶ月間養生することによって約 13%まで低下させた。

各工程(生材時、高温セット処理直後、天乾、中温の連携乾燥直後、養生、モルダー加工後)

における表面割れは、含水率の低下が進むとともに表面割れが閉塞していくことが判明した。

内部割れの発生状況は、木口端面に発生する割れ(面積比:平均 0.70、最大 2.97~最小

0.08%)が最大を示し、木口面より 20cm 以上離れることによって(面積比:平均 0.07、最大

0.53~最小 0%)激減していくことが判明した。発生した内部割れは、ある程度貫通していると

観察されたが、様々な発生パターンが存在しており、外観(木口端面)より内部割れの発生状況

を推察することは、難しいと考えられた。なお、割れのうち、心割れ、表面割れ、節の影響と思

われる割れと推察できるものは、評価から除外した。

2)今年度の成果の概要

昨年度に引き続き同様なスギ正角材を供試材として、高温セット処理を施した材に対する天

乾中の含水率経過を簡易に推定する数値シミュレーション技術を確立するとともに、実乾燥材の

生産工場への本法の適応性について検証するため、県東部の森林組合にて高温セット材の天乾実

験を冬季の H25.10 下旬から H26.5 下旬と夏季の H26.5 下旬から H26.11 上旬までの2シーズン行

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図2 数値シミュレーションの適合性の例

図1 数値シミュレーションの適応性

った。なお、試験体の寸法は、前者が 140 角×長さ 1,000mm、6本、後者が 135 角×1,500mm、

5本である。

(1)天乾中の含水率経過を推定する数値シミュレーション

数値シミュレーションを行う際には、天然乾燥開始期の含水率、終了時の含水率、拡散係数

(定数)が必要となる。そこで、拡散係数は、既往2)と同様な方法にて求めた。その結果、

0.00028 と計算され、既往では

0.00027 を示しており、再現性が認

められた。

見掛けの拡散係数を 0.00028 とし

て全供試材(10 体)対して数値シ

ミュレーション行った。その結果、

重量法による含水率の観測値と数値

シミュレーションの差(絶対値)

2.0%以内には約 8 割が収まった(図

1)。このことにより、本法での含

水率経過は推定できると判明し、簡

易に天乾終了時点を見極める技術が

開発できた。

(2)実乾燥材の生産現場での数値シミュレーションの適応性

実乾燥現場では、数値シミュレーションに必要な材内部の含水率分布を求める困難であること

から、既往データ等より簡易に含水率分布を求める方法を見出し、材内部の含水率のモデル化を

図り、既往と同様な手順にて見かけの拡散係数を算出した。その結果、夏季と冬季における値は、

各々0.00033 と 0.00011 を示した。因みに、既往の結果では、0.00027 と 0.00012 であった。こ

の違いは、木研での天乾を行っている

環境が囲まれた室内(無風)であり、

一方、実生産現場の場合、小屋根のあ

る風通しの良い場所であった。これが、

乾燥を早めたと考えられた。一方、冬

季の場合、気温が低く、かつ、湿度も

高いことから通風のメリットは顕著に

現れなかったと思われた。

重量法による含水率の観測値と数値

シミュレーションの差は、夏季と冬季

の全試料に対して平均 2.2(最大 7.4~

最小 0)%であった(図2)。これら

のことから、天乾中の任意経過に対す

る含水率は推測できると判明した。

5.今後の課題

富山県内が広範囲にカバーできるように、実乾燥材の生産現場での実証実験数をさらに増や

し、各地域における含水率経過を明らかにするとともに、含水率の推定精度の向上を目指す必要

がある。

参考文献

1)富山県森林・木材研究所協議会:富山県産スギ材活用ハンドブック,2011,pp.39-42.

2)「安全・安心な乾燥材生産技術の開発」研究グループ:安全・安心な乾燥材生産・利用

マニュアル,2012,pp.48-49

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公共建築物における木造化技術の開発(4)

-非接着接合による組立て梁の設計法の開発-

予算区分 県 単 研究期間 平成24~26年度

担 当 課 木質構造課 担 当 者 園田 里見

1.研究目的

平成 22 年 10 月 1 日に施行された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」

を踏まえて、本県においても平成 23 年 4 月 1 日に「富山県公共建築物等木材利用推進方針」

を策定し、県民生活に深く関わりのある公共建築物の木造化・内装木質化に県が率先して取

り組むことで市町村等へも波及し、県内全体において木材の利用拡大を図ることとしている。

しかし、公共建築物は一般住宅と比べ、広い空間スペースや大きい設計荷重が必要であるこ

と等、建築物の特徴が異なることから、それに対応した構法および部材の開発が求められて

いる。

2.全体計画

需要増加が予想されるものの、実務者向けの設計方法が確立されていない非接着組立て梁

の構造設計方法を開発する。床パネルの構造性能の設計用に開発された神谷の計算法を応用

し、組立て梁の実用的かつ簡便な設計法を導く。具体的には、計算法の見直しと改良を行い、

実務で最も利用の多い箱型梁やI型梁といった3層構造の非接着組立て梁の汎用的な構造設

計法を導く。特に、簡便な近似解法の適用精度を明らかにし、近似解法の実用化を目指す。

3.研究内容

1)前年度(H25 年度)までの成果

釘などの機械的接合による組立て梁は、接着剤で接合した組立て梁と比べ、高度な接着管理技

術を要しないため、小規模の工務店や製材工場でも製造可能である。また、接着接合を用いたく

ないという建築家や施主の要望にも応じられる。しかし、接合部にすべり変形を有する不完全合

成梁であるため、設計に必要な応力解析は極めて難しい(図1)。応力解析法としてはコンクリ

ートと鉄の合成構造による橋梁などで用いられてきた連続体解法(Newmark の理論など)が一般的

であった。連続体解法は、数値計算を用いないものの、荷重形式ごとに複雑な微分方程式を解か

なければならず、また、複雑な接合具の配置や特性には対応できないという欠点があった。その

ため、木質構造の実務設計へは普及しなかった。

そこで、24 年度には若干の数値計算を必要とするが、計算簡便な離散解法を検討し、神谷の

離散解法の整理と改良、ならびに数値計算が不要な近似解法の精度検証法の確立を行った。

25 年度には非対称荷重形式に対する拡張を検討した。離散解法はこれまで非対称荷重に対す

る解法が提案されてこなかった。このことは組立て梁の設計法としては大きな問題であるため、

これまで改良を加えた神谷の離散解法を理論的に再検討し、2層梁モデルについて非対称荷重形

式に適用できるように拡張を行った。連続体解法と比較する数値実験により妥当性を確認した。

図1 接着梁(完全合成)、機械的接合梁(不完全合成)、単純重ね梁(非合成)の違い

2)今年度の成果の概要

前年度に非対称荷重形式に一般化した離散解法について、2層梁モデルに加え、一般的な組立

て梁のモデルとなる3層梁モデルを導いた。図2に示すように、実験によるその妥当性を検証し

た。枠組壁工法用製材(樹種群 SPF、KD 材)を CN50 釘で 66 mm 間隔で単列または2列接合した

2層または3層の釘着梁4種4体を、スパン 1320 mm で 1/4 スパンに載荷する3点曲げ試験を行

った。なお、3層梁については両面より釘打ちした。試験材よりサイドマッチした材を用いて、

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釘接合部のせん断力-すべり関係(非線形関係)を求め、ワイブル関数でモデル化した(図3)。

重ね梁の荷重-中央たわみ関係を図4に示す。一般化した離散解法で計算したたわみは実験値

とよく一致し、本法が非対称荷重でも実際に適用できることが確認された。また、連続体解法で

は困難であった接合部の非線形特性が忠実に反映された。

多くの組立て梁は腹材を第2層とする3層不完全合成梁としてモデル化できるので、腹材のせ

ん断変形を考慮すれば、本法は従来よりも簡便で精度の高い汎用的な組立て梁の設計法として活

用できる(図5)。

図2 実験の概要 図3 釘接合部のせん断力-すべり関係

ア)2層梁・単列釘 イ)2層梁・2列釘 ウ)3層梁・単列釘 エ)3層梁・2列釘

図4 3点曲げ試験における荷重-中央たわみ関係

※Nailed:釘打ち、No nail: 釘打ち前、Obs.:実験値、RG.:精算解法、App.:近似解法

図5 重ね梁モデルと各種組立て梁の関係

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富山県産材を用いた公共施設用木質内装材の開発

予算区分 共同研究(大建工業(株)) 研究期間 平成24~27年度

担 当 課 木質製品課 担 当 者 藤澤 泰士、鈴木 聡

1.研究目的

公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律(H22 年法律第 36 号)が策定され、現在、県内公共施設に県産スギ材を積極的に利用することが求められている。本研究では、県産スギ材を用いた公共施設用木質内装材の製造技術の開発を目的に、H26 年

県単研究(H23 ~ 25)で開発したスギ不燃パネルを応用したスギ不燃アルミパネル(壁度は、材)の実生産実験と、パーティション芯材用の高強度スギLVLの製造方法について検討した。

2.全体計画

県産スギ材から公共施設用木質内装材の製造技術の開発するため、スギ材への表面硬さ等の

機能性付与技術および意匠性付与技術を開発し、実用化を目指す。

3.研究内容

1)前年度(H25 年度)までの成果

大面積壁面に適した意匠性を付与した県産スギ不燃パネルの実生産体制を確立することを目的に、H23 ~ 24 年度は不燃材料との複合化技術、H25 年度は高意匠性スギ突板の製造技術を検討し、県産スギ材を用いて大建工業(株)内で実生産実験を行い、安定して生産可能であることを確認した。製造したスギ不燃パネルは、H25.12 に北陸新幹線黒部宇奈月温泉駅のメイン改札口の壁面約 400 ㎡およびホーム待合室天井に施工した。

2)今年度の成果の概要前年度までに開発した県産スギ不燃パネルの複合化技術を応用して、スギ突板をアルミ基材に

積層したスギ不燃アルミ壁材を開発し、大建工業(株)内で実生産実験を実施し、安定した品質で生産可能であることを確認した。製造したスギ不燃アルミ壁材は、H26.6 に北陸新幹線富山駅の正面改札口、メイン通路等の壁面約 200 ㎡に施工した(写真1 。)また、パーティション芯材用の高強度スギLVLの製造技術を確立することを目的に、スギロー

タリー単板を 50 %加熱圧縮して積層したスギ圧縮LVL(写真2)と、比較としてガラスクロスで補強したスギLVLを試作し、強度性能を評価した。その結果、スギ圧縮LVLは、曲げ強さ、曲げヤング係数ともガラスクロス補強スギLVLの 1.5 ~ 2 倍の値を示し、パーティション芯材として満足する強度性能があることが明らかとなった。

4.今後の課題

県産スギ材を用いた公共施設用木質内装材の性能評価および高強度スギLVLの実用的な製造条

件を検討する。

写真1 富山駅に施工したスギ不燃アルミ壁材 写真2 スギ圧縮LVL

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木製グライド防止工を用いた防雪林造成法の確立

予算区分 共同研究(新潟大学) 研究期間 平成26年度

担 当 課 木質構造課 担 当 者 柴 和宏

1.研究目的

本研究では、経年に伴って木製グライド防止工が腐朽により消失し斜面積雪安定機能が減衰し

ていくのを、積雪に抵抗し得るまで成育した植栽木が斜面積雪安定機能を補完していくモデルを

検討し、実際の施工地での成林の可否を評価することを目的とした。

2.全体計画

野外設置(最大 9 年間)した県産スギ間伐材丸棒の曲げ強度データを用いて木製グライド防止

工の経年に伴う斜面積雪安定度の変化を求めるとともに、治山造林地におけるスギ植栽木の成長

曲線を用いて植栽木の経年に伴う斜面積雪安定度の変化の算出を試みた。最後に両者を合計する

ことで斜面積雪安定機能補完モデルを作成し、施工後 10 年程度経過した県内の治山施工地にお

ける植栽木の成育と木製グライド防止工の劣化との関係を評価した。

3.研究内容

経年(t)に伴う斜面積雪安定機能補完モデルの計算結果(表 1)によると、木製グライド防止

工による安定度 α(t)と植栽木による安定度 β(t)を合計した斜面積雪安定度 α(t)+β(t)は、設計

積雪深 2.0m では経過年数にかかわらず概ね 1 以上であり常に安定していることを示したが、2.5

m では施工後 7~10 年の間は安定度が 0.9 以下と推定され、施工地の管理に注意を要することが

推察された。設計積雪深 3.0mでは、9~13 年まで安定度が 0.6 以下となっており、この間植栽

木が根返り等の雪害を受ける危険性が高いことを示唆しており、対策工および植栽工の再検討が

必要と考えられた。

表 1 評価モデルによる木製グライド防止工と植栽木の成育による斜面積雪安定度

※1 野外設置したスギ丸棒の曲げ強度データより設計強度を下回る率 r(t)から、0,5,7,9 年後の木製グ

ライド防止工(2 本の丸棒で斜面積雪を直接受ける構造)の損壊率 D(t) [=2r(t)-r(t)2]、ならびに

残存率[1-D(t)]を算出した。最後に 0,5,7,9 年後の残存率から、回帰曲線により各経過年での残存率

を求めて、これを木製グライド防止工の経年に伴う斜面積雪安定度α(t)[=1-(1-e-0.367t)1/(1-0.956)]と

した。

※2 1ha 当たりのスギ植栽本数 S(=2551 本/ha)に、スギ植栽木の成長曲線に基づいて算出した樹高が設

計積雪深の 2 倍(設計積雪深 2m の場合樹高 4m、2.5m の場合 5m)に達して斜面積雪に抵抗し得る

(雪起こしが不要となる)まで成長した割合 p(t)、および生存率(誤伐や雪害を逃れた率)s(t)を乗

じることで、1ha 当たりの斜面積雪に抵抗し得るスギ植栽木本数を求め、最後に 40°程度の勾配の斜

面積雪を安定させるのに必要な本数 N(=1000 本/ha)で除して、スギ植栽木の経年に伴う斜面積雪安

定度β(t)[=S・s(t)・p(t)/N ]を求めた。

2.0m 2.5m 3.0m 2.0m 2.5m 3.0m5 1.00 0 0 0 1.00 1.00 1.006 0.93 0.04 0 0 0.97 0.93 0.937 0.84 0.20 0.02 0.00 1.04 0.86 0.848 0.72 0.45 0.08 0.00 1.17 0.79 0.729 0.58 0.77 0.25 0.02 1.34 0.83 0.60

10 0.44 0.96 0.44 0.07 1.40 0.88 0.5111 0.32 1.08 0.62 0.15 1.39 0.94 0.4712 0.22 1.21 0.86 0.30 1.43 1.07 0.5213 0.14 1.26 0.99 0.45 1.39 1.13 0.59

施工後経過年

木製グライド防止工

による安定度※1

α (t)

植栽木による安定度※2 β (t) 斜面積雪安定度 α (t)+β (t)設計積雪深 設計積雪深

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竹材を用いた木質釘の需要に関する研究

予算区分 県単(特別重点化枠研究) 研究期間 平成26年度

担 当 課 木質構造課、木質製品課 担 当 者 清水 秀丸、若島 嘉朗、藤澤 泰士

1.研究目的

近年、放置竹林の増加や人工林への竹林侵入が課題となっており、その対策として事業による

竹林の整備が進められているが、伐採竹材の大部分は有効利用されていない。本研究では、新た

な竹材利用の拡大を図ることを念頭に竹材の有望な利用方法である竹釘に着目し、市場における

竹釘の需要調査を行う。現在、竹釘の主な用途は寺社建築の檜皮葺きであるが、構造材および木

製品に用途を拡大した場合の必要性能を調査する。

2.全体計画

本研究を実施するにあたり、既存竹釘の問題点と性能を整理するため、生産性・耐久性・強度

・施工性の 4 項目の確認を行った。生産性・耐久性に関する研究では、既存竹釘の製造工程の確

認と、数十年前に施工された建物の現地調査を行った。強度・施工性に関する研究では、竹釘の

構造性能などを試験によって定量的に確認した。

3.研究内容

・生産性: 既存竹釘の樹種はモウソウチクであることを確認。生産方法は古来よりの伝承のた

め、科学的検討の余地が高い。

・耐久性: 北海道でも高い耐久性を発揮し、屋根材が腐朽した後でも原型を保っていた。

・強度: 鉄釘と比較して、強度性能は同等であるが、靱性能が大きく劣ることを実験より確認。

・施工性: 既存竹釘でも、形状を変化させることで木材(スギ)に施工可能であることを確認。

写真 1 竹釘製造工程(天日乾燥) 写真 2 既存建物調査(北海道) 写真 3 屋根材の腐朽後も健在な竹釘

写真 4 強度試験機によるせん断実験 図 1 せん断力-変位関係の比較 写真 5 形状による貫通力の比較

4.今後の課題

既存竹釘と同等の耐久性を有したまま、施工性・靱性能を改良した新型竹釘を開発することが

可能であれば、竹釘の需要は見込める可能性があることが判明した。

0

0.1

0.2

0.3

0 5 10 15 20

せん断

力(k

N)

変位 (mm)

竹釘(36mm)

鉄釘(N32)

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スギ樹皮を用いた緑化技術の開発

予算区分 県 単(林道公共事務費) 研究期間 平成23~27年度

担 当 課 木質製品課、木質構造課 担 当 者 田近 克司、柴 和宏

1.研究目的

県産スギが製材品として加工される過程で大量に発生する樹皮は、これまでバーク堆肥原料や

燃料として活用されるほかは、未利用のまま産業廃棄物として処分されてきた。そこで本研究で

は、未利用スギ樹皮の活用を促進するために、スギ樹皮を法面吹き付け用緑化資材として利用す

る技術を開発する。

2.全体計画

スギ樹皮の緑化資材としての可能性を示す報告例はあるが、スギの樹皮を緑化基盤材として利

用した場合の草本類及び木本類の発芽や定活着については明らかにされていない。そこで、土木

工事に使用される配合設計で発芽試験を実施して、スギ樹皮の基盤材としての生育特性を明らか

にする。

次に、スギ樹皮を基盤材とした配合材を、実際に吹き付け機械により斜面に試験施工し、施工

機械との適合性、施工の仕上がり、植生状況などを検証し、緑化技術の確立を図る。

3.研究内容

1)前年度(H25 年度)までの成果の概要

H23 年度は、ビニールポットを用いた発芽試験を実施した。スギ樹皮の培地は、バーク堆肥と

同等の発芽率、植被率を示したことから、緑化資材として利用可能なことを確認した。H24 年度

は、滑川市小森地内の作業道の切土法面を対象にモルタル吹付機を用いてスギ樹皮とバーク堆肥

の試験施工を実施した。吹付装置内で樹皮が詰まりやすく、吹付時も樹皮が飛散してロスが大き

いなどの問題点があることが判明した。H25 年度は、含水率の異なるスギ樹皮を用いて吹付施工

を行い、樹皮含水率が 50%の場合、吹付時に資材の飛散が顕著となり、70%の場合は吹付機の

内部や接続ホース内で詰まる現象が頻発したが、60%では概ね良好に吹付施工できることが分か

った。

2)今年度の成果の概要

1)に記述したように、平成 25 年 10 月 29 日に、滑川市小森地内において湿量基準の含水率で①50

%、②60%、③70%に調整したスギ樹皮の吹付施工を行った(写真1、2)。原料の配合比は、表1に示す

とおりである。

今年度は、施工後の植生調査を行った。その結果、発芽した植物は、晩秋施工のためかヤマハ

ギのみだったが、施工後 29 日目(平成 25 年 11 月下旬)までは、各試験区とも植被率等が増加

し、それ以降は概ね低下していった。施工後 151 日目(平成 26 年3月下旬)になると、ヨモギ

等が発芽し、樹皮含水率 50%以外の区ではその後もヨモギの旺盛な成長が続き、植被率も増加

していった(図1)。

施工後 225 日目(平成 26 年 6 月上旬)以降にカモシカが施工地を踏み荒らすアクシデントが

発生したため、調査の継続を断念したが、それまでの植生経過を見る限り、スギ樹皮含水率 60

%の区が最も良好でバーク堆肥区と同等以上の植物生育を示すことが分かった。

また、装置内の詰まりを解消するため、粉砕機のスクリーン穴径を 20mm に設定して粉砕し、

細粒化した樹皮を吹付施工(平成 26 年 10 月3日)したところ、吹付機の出口付近および接続

ホースの詰まりの発生抑制に効果が認められたが、投入口での樹皮の滞留は抑制できなかった。

4.今後の課題

樹皮を細粒化することにより、吹付機の出口付近および接続ホースの詰まりを抑えることがで

きたが、吹付機の投入口での樹皮の滞留現象は解消してないため、改善方法の検討が必要である。

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写真1 モルタル吹付機による原料

の混合

写真2 林道法面への吹付作業状況

表1 吹付材料の配合比(1m3当り)

図1 スギ樹皮の含水率の違いが法面

吹付後の被覆率に及ぼす影響

0

10

20

30

40

50

0 50 100 150 200 250

植被率(%)

経過日数(日)

樹皮(MC50%)

樹皮(MC60%)

樹皮(MC70%)

市販バーク堆肥

H25.12.266

H26.3.286

H26.6.106

原 料 使用材料 数 量

基盤材 スギ樹皮またはバーク堆肥(対照)    2000ℓ

肥 料 高度化成肥料(IB-1号)    6kg

接合剤 アクリル樹脂(クリコート)    4kg

種 子

7種類:草本類(ヨモギ、メドハギ、イタドリ、     ススキ)木本類(ヤマハギ、ヤシャブシ、     ヤマハンノキ)

   1.9kg

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スギ間伐材による新しい良施工性治山用木製品の開発

-県産材パネル型枠の施工性と曲げたわみの検証-

予算区分 県 単(治山公共事務費) 研究期間 平成25~26年度

担 当 課 木質構造課 担 当 者 柴 和宏

1.研究目的

平成 23 年 4 月に策定された「富山県公共建築等木材利用推進方針」に基づき、県産スギ板材

を用いたパネル型枠を開発してきた。平成 26 年度から一部仕様変更(桟木の本数を増やす改

良)した上で県営治山事業で本格的運用されるのにあたり、同パネルのコンクリート打設時の側

圧に伴う曲げたわみについて検証することを目的とした。

2.全体計画

県産材パネル型枠について、施工性について現場で聞き取り調査を行うとともに、治山ダム本

体の仕上がりに影響を及ぼす、コンクリート打設時の側圧に伴う県産材パネル型枠(水表側)の

曲げたわみについて、水裏側に設置されるラワン合板型枠でのたわみと比較しながら検証する。

3.研究内容

1)前年度(H25 年度)までの成果

仕様変更前の県産材パネル型枠の曲げたわみ性能について、継時変化測定や累積頻度分布からラ

ワン合板型枠に比べて遜色ない程度であることを確認した。

2)今年度の成果の概要

各農林振興センターから 1 箇所ずつ選定した合計 4 箇所の治山ダム施工地(写真1)において、

1リフト目の各型枠面について 50 箇所程度(上下方向 3~4 箇所×水平方向 15~20 箇所)を目

標にノギスで内端太間のたわみ測定した(写真2)。その結果、平均内端太う ち は た

間隔が 30cm以内で

あれば、県産材パネル型枠のたわみ累積頻度分布の範囲は概ね 3mm以内となりラワン合板型枠と

同程度あることを確認した(図1)。

4.今後の課題

来年度から水裏側でラワン合板に替わって導入される国産材合板型枠について施工時のたわみ

を検証する。

写真1 治山ダム施工の一例

写真2 打設前後のたわみ測定 図1 4施工地のたわみ累積頻度分布の比較

水裏(下流)側

ラワン合板型枠

水表(上流)側

県産材パネル型枠

デジタルノギス

0%

20%

40%

60%

80%

100%

-1 0 1 2 3 4 5

累積

頻度

たわみ(mm)

水表側

(県産材パネル)

水裏側

(ラワン合板)

0 1 2 3 4 5たわみ(mm)

水表側

(県産材パネル)

水裏側

(ラワン合板)

0%

20%

40%

60%

80%

100%

-1 0 1 2 3 4 5

累積

頻度

たわみ(mm)

水表側

(県産材パネル)

水裏側

(ラワン合板)

0 1 2 3 4 5たわみ(mm)

水表側

(県産材パネル)

水裏側

(ラワン合板)

平均内端太間隔 28cm

平均内端太間隔 22cm

南砺市百瀬川 氷見市頭川

上市町蓬沢 朝日町七重滝

平均内端太間隔 20cm

平均内端太間隔 23cm

平均内端太間隔 43cm

平均内端太間隔 36cm

平均内端太間隔 28cm

平均内端太間隔 35cm

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圧縮木材の形状復元挙動を活用した耐震面格子壁の開発

予算区分 県 単 研究期間 平成26~27年度

担 当 課 木質構造課 担 当 者 清水 秀丸、若島 嘉朗、藤澤 泰士

1.研究目的

県内に多く残る伝統的な木造建物には、現在の耐震基準を満足せず、中には中規模地震でも損

傷する可能性が指摘される建物も存在する。これら伝統的な建物の耐震改修に多く用いられてい

る耐震要素として面格子壁が挙げられるが、面格子壁とは経年変化による格子間の隙間を考慮す

るため初期剛性が低い問題点を有する。本研究の目的は、面格子壁の欠点である初期剛性の低さ

を解決し、圧縮木材の形状復元挙動を活用した耐震面格子壁の開発とする。

2.全体計画

圧縮木材の形状復元挙動が格子間の隙間を埋めることによって、変形初期時に高い耐力(高初

期剛性)を発揮する非全面壁の開発を目標とする。工法的には既存建物の補強であることを考慮

するため、施工性にも配慮したものとする。

3.研究内容

本研究は大きく2つの研究課題から構成され、圧縮木材単体の形状回復挙動の把握(課題1)

と、面格子壁とした場合の初期剛性の確保(課題2)である。課題1ではスギ、構造用合板で作

成した圧縮木材単体の中・長期計測を実施した。結果を図1に示す。絶乾状態としたスギを 90

度で 60%圧縮した S90-1 試験体は約 1 年間を通して初期圧縮状態の変位より大きな変位を保持し

ていた。変位回復挙動時のスギの応力は、構造用合板より小さいものの 1.0N/mm2 程度と、日本

建築学会が示す基準許容応力度(スギ全面圧縮)0.73N/mm2 より高い値を示し、面格子壁に用い

ることが可能であった。次に、課題2として圧縮木材を用いた面格子の静的載荷実験を行った。

図2に示すような圧縮木材(スギ 90 度 60%圧縮)の挿入形状を変化させた面格子(スギ 45×45mm)

とし、図3に示すような 3×3 本の縦横格子が抵抗する機構である。先ず、圧縮木材を用いず、

木材の痩せを再現した試験体(面格子1)の実験を行った。続いて、圧縮木材を挿入した試験体

(面格子2~4)を実施した(図4)。壁評価結果に用いる特性値を表1に示す。圧縮木材を用

いない面格子1試験体と比較して、高い初期剛性が得られた。

4.今後の課題

圧縮木材を用いた初期剛性を有する面格子壁の開発を継続し、実大実験等で検証を行う。

図1 変位回復挙動(課題1) 図4 荷重-変形角関係

表1 試験結果

a) 面格子1 b) 面格子2

c) 面格子3 d) 面格子4

図2 圧縮木材の挿入形状

図3 面格子要素実験概要(課題2)

試験体名

降伏耐力

Py

(kN)

終局耐力

0.2Pu/Ds

(kN)

最大耐力

2/3Pmax

(kN)

特定変形時耐力

P1/150

(kN)

短期基準せん断耐力

Po

(kN)面格子1 - - 1.39 0.04 -面格子2 1.44 1.32 2.01 1.27 1.27面格子3 1.49 0.94 2.15 0.90 0.90面格子4 1.63 0.64 1.89 0.51 0.51

0

1

2

3

4

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1

荷重

(kN)

変形角 (rad)

面格子1

面格子2

面格子3

面格子4

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既存住宅に対応した制振パネル工法の開発

予算区分 県 単 研究期間 平成25~27年度

担 当 課 木質構造課 担 当 者 若島 嘉朗、清水 秀丸

1.研究目的

現在は地震の活動期といわれ、県内で大きな地震がいつ起きてもおかしくない状況といえる。

このようなことから、これまで地震エネルギー吸収能力の高い新築住宅用制振壁を開発した。し

かし、富山県の既存住宅の耐震化率は 65%で、平成 27 年までに 85%とすることを目標としている。

そこで本研究では、これまでに開発した制振壁をベースに、既存住宅の耐震補強用として倒壊

防止、新築住宅用として損傷抑止とする目標性能を定め、これらの性能に適合する制振壁の開発

を目的とする。

2.全体計画

既存住宅の耐震補強に適用する「既存住宅タイプ」としては、主架構と一緒に塑性化する比較

的低剛性の制振壁によって、建物の変形を 1/30rad.程度に抑えることを目標とする。工法的に

は既存建物の補強であることを考慮した、施工性に配慮したものとする。

3.研究内容

木造住宅の耐力壁として一般的な合板耐力壁を対象に、簡易に減衰力を付加する補強方法につ

いて検討した。対象とする合板壁は、9mm 厚の針葉樹構造用合板を N50@150 で軸組に釘打ちし

壁倍率は 2.5 の壁である。本研究では、減衰力を付加するために木材の摩擦を利用したダンパー

を用いた(図 1)。この木製ダンパーは、スギを 67%圧縮した1層(厚さ 10mm)と 60%圧縮し

た2層(厚さ 12mm)を直交積層した厚さ 34mm の圧縮木で、これに鋼製アングルを挿入しボルト

で圧締して摩擦力を発生させた。本試験体仕様では木製摩擦ダンパーと合板の間に高い接合剛性

が必要であるが、現場施工を想定して接着剤は用いず、写真 1 のように圧縮木を枠材で挟み込ん

で接合剛性を補強した。試験結果は図 2 に示す通りで、通常の合板壁に比して耐力で 1.5 倍、減

衰で 1.4 倍の性能が得られた。

4.今後の課題

圧縮木と合板の接合は施工性を考慮してビスで固定し、枠材によって剛性補強を行ったが、そ

れでも接合剛性がやや不足による効果の低下がみられた。今後は施工性を考慮しつつ接着接合を

用いた工法の開発が必要であろう。

図 1 耐震補強用制振壁

図 2 復元力特性

-20

-15

-10

-5

0

5

10

15

20

-0.04 -0.02 0 0.02 0.04 0.06 0.08

荷重

(kN

)

見かけのせん断変形角(rad.)

木製ダンパー

剛性補強枠材

9mm 合板

(N50@150)

写真 1 ダンパー設置詳細

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ラグスクリューボルトを用いた高靭性ラーメン接合部の開発と制振耐力壁の制振効果検証

予算区分 共同研究((株)グランドワークス) 研究期間 平成21~26年度

担 当 課 木質構造課 担 当 者 若島 嘉朗

1.研究目的

近年、木質ラーメン工法のニーズが増えており、これまでにも様々な工法が開発されてきた。

株式会社グランドワークスにおいてもラグスクリューボルトを用いたオリジナルのラーメン工法

を展開している。ラグスクリューボルトを用いたラーメン工法は、金物があまり表に出てこない

ため、多くの工法で採用されている。他方、その破壊形態は部材の破壊によるものが多く、変形

能の欠けた脆性的な性質を示し、耐震性の観点から不安な面もある。

本共同研究では、ラーメンを構成する接合部に変形能を付与する工法について検討し、これに

より耐震性の向上を図り、木質ラーメン工法の更なる普及を目指すものである。

2.全体計画

これまでの研究で、塑性変形能に優れたラーメン接合部を開発したが、一般住宅でより簡易に

利用できるようにするため、ラーメンの柱脚接合部を用いたラーメン柱による補強について検討

した。

3.研究内容

1)前年度(H25 年度)までの成果

回転中心を梁上部および中央の2種類の接合部の加力試験を行った。接合法はラグスクリ

ューボルトで柱と梁に固定された四角柱型の鋼材を、損傷後の交換が可能な曲がり梁形状の

金物で接合するものである。試験結果の結果、いずれも鋼材特有の紡錘型の復元力特性を示

し、大変形後も曲がり梁部の変形以外に損傷は確認されなかった。

2)今年度の成果の概要

試験体サイズは加振方向が 2.73m、直交方向が 3.64m で、写真 1 に示すように4隅を壁倍率

2.5 倍の合板貼り耐力壁とした。試験は写真 1 の試験体を振動台に2体設置し、同時に加振する

ものである。2体の試験体の内の一体(試験体 A)は、写真 2 のようにラグスクリューボルトを

用いたモーメント抵抗接合部を持つラーメン柱を試験体中央に設置した。入力地震動と固有振動

数を表 1 に示す。Kobe100%加振時の復元力は図 1 に、加振における最大応答変位は表 2 に示す通

りで、ラーメン柱の付加により応答変形を大きく低減することができた。

-60

-40

-20

0

20

40

60

-15 -10 -5 0 5 10 15

荷重

(kN

)

変位(cm)

-60

-40

-20

0

20

40

60

-15 -10 -5 0 5 10 15

荷重

(kN

)

変位(cm)

試験体A 試験体B振動数(Hz) 振動数(Hz)

0 Step20gal 5.86 4.88

1 BSL20%2 Step20gal 5.86 4.883 BSL100%4 Step20gal 5.47 3.715 Kobe100%6 Step20gal 3.71 2.547 Kobe100%8 Step20gal 3.719 Kobe100%10 Step20gal 1.76

入力波

入力波 比率

試験体A 試験体BBSL20% 0.27 0.34 0.81BSL100% 1.32 3.01 0.44Kobe100% 3.86 11.56 0.33Kobe100% 6.77Kobe100% 12.39

最大応答変位

cm

写真 1 振動試験体 写真 2 ラーメン柱

図 1 Kobe100%加振時の復元力特性

試験体 A 試験体 B

表 1 入力地震動と固有振動数

表 2 試験結果

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富山型伝統的木造建物の耐震・劣化診断手法と 加工・設計手法の開発

予算区分 科学技術振興対策費 研究期間 平成26~27年度

担 当 課 木質構造課、木質製品課 担 当 者 清水 秀丸、若島 嘉朗、栗﨑 宏

1.研究目的

県内に残るアズマダチから構成される散居村の地域景観を貴重な観光資源と考え、これらを後

世へ安全かつ健全な状態で伝えることを目的とする。建築基準法改正で認められた最新の耐震設

計手法である限界耐力計算を用い、富山型伝統的木造建物の耐震診断・設計及び加工・劣化診断

手法を産学官で研究し、大工・設計者など技術者に伝達する。

2.全体計画

耐震診断、劣化診断、加工・設計手法に関する研究を行う。耐震に関する研究では、木材研究

所の既存実験設備を活用した実験を行い、北陸地方の自然材料で作られる土壁の荷重-変形曲線

を求め、限界耐力計算による設計資料とする。劣化に関する研究では、新築および改修時別に活

用できる劣化診断マニュアルを作成するため、既存建物の現地調査を行う。加工・設計手法に関

する研究では、難易度が高い限界耐力計算を簡易に扱うための計算シートの作成と、大工・設計

者への広報普及活動を行う。

3.研究内容

耐震に関する研究として、アズマダチの縁側部分の耐震補強として、木質ラーメン+制振壁の

振動台実験(写真1、図1)、北陸地方の自然材料で作られる土壁の静的実験(写真2、図2)

を実施した。劣化診断手法に関する研究として、解体予定の既存建物の腐朽・劣化程度に関する

現地調査を行った(写真3)。加工・設計手法に関する研究として、土壁の静的実験を大工・設

計者に公開し、20 名を超える見学者が集った(写真4)。

4.今後の課題

土塗り壁の動的・静的実験など、耐震実験の継続と、本研究の広報普及を積極的に行うことで、

大工・設計者など技術者に研究成果を普及させる。また、既存建物の蟻害・腐朽調査等から多雪

地域である富山県に適した伝統的木造建物の劣化診断手法を検討する。

-15

-10

-5

0

5

10

15

-0.10 -0.05 0.00 0.05 0.10

荷重

(kN)

変形角 (rad)

富山

京都

写真1 木質ラーメン試験体

ラーメン+制振壁

ラーメン+耐震壁

ラーメンのみ

図1 振動台実験結果

写真2 土壁試験体

図2 静的実験結果

写真3 既存建物調査

写真4 公開実験風景

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木材液化技術を応用した石油代替木質系バイオマス液体燃料の開発

予算区分 県 単 研究期間 平成25~27年度

担 当 課 木質製品課 担 当 者 鈴木 聡、藤澤 泰士、田近 克司

1.研究目的

石油価格の高騰、自然エネルギーへの注目、再生エネルギー特別措置法による全量固定価格買い

取り制度(FIT)の施行により、間伐材、林地残材等未利用木質バイオマスのエネルギー利用が求め

られている。汎用のボイラーは、重油等液体燃料の使用が一般的である。しかし、木質系バイオマ

スをエネルギー源として使用する場合、一般的にはチップボイラー等固体燃料用のボイラーが必要

とされる。バイオマスの液体燃料化については、バイオマスエタノール等があるが、ボイラー燃料

として使用するのであれば、重油に近い品質で十分である。そこで、木材の可溶媒液化技術を適用

して、既存重油用ボイラーで使用可能な、石油代替木質系バイオマス液体燃料の技術開発を目指す。

2.全体計画

液化燃料の原料木質系バイオマスとして適切なものを検討する。次に、液化溶媒および手法につ

いて、収率、エネルギー効率等から、適切な手法を開発する。得られた試作品について、熱量、粘

度、燃焼性等、燃料としての性能評価を行い、また、製造に要するエネルギー収支、コスト等につ

いて検討する。

3.研究内容

原料としては、県産スギ由来バイオマスを主に検討するこ

ととした。特にスギ枝葉については林地還元されてしまう場

合が多く、新たな用途が望まれるためである。元素分析によ

り発熱量を試算したところ、スギ針葉部のフェノール液化物

の場合で26.6MJ/kgとC重油より発熱量が低く、発熱量を上げ

るためには既存燃料との混合が必要であると思われた。その

ため、液化溶媒自体の発熱量が高い物質を検討した。実験に

は低コスト且つ入手の容易さから、市販品のアスファルト、

コールタール、クレオソート油を使用した。これらをGCMS

分析した結果、コールタールでナフタリンが検出される等、

液化溶媒として十分に使用可能であることと思われた(図

1)。

そこで、コールタールを液化溶媒として使用し、酸触媒液

化を試みた。その結果、液化できることを確認できたが、得

られた液化物は、常温では固体状であった(写真1)。縮合

反応等が生じてしまっていると思われるため、

高温高圧法による液化手法等、液化条件を検

討する必要があると思われる。

4.今後の課題

より効率的な液化手法や低コストな液化

溶液の検討を行い、実用化をふまえたエネ

ルギー収支、原料収集を含めたコスト等に

ついて検討する必要がある。

上から、市販アスファルト、コールタール、

クレオソート油のTIC

図1 液化溶媒検討のための成分比較

原料スギ針葉 液化物(加熱再融解)

写真1 スギ針葉のコールタール液化

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スギ間伐材を原料としたWPC用スギ木粉の製造技術の確立

予算区分 共同研究(戸出化成(株)) 研究期間 平成23~27年度

担 当 課 木質製品課 担 当 者 藤澤 泰士、鈴木 聡

1.研究目的

国内において、木粉・プラスチック複合体(以下、WPC)は、県産スギ間伐材の新たな用途

として期待されており、現在、デッキ材などの押出成型製品に加工されて、約 3 万トン/年(H22

年度)販売されている。このWPCを汎用の射出成型製品に用いることができれば、その使用量

は非常に大きく(数百万トン/年以上 、木粉の市場規模が飛躍的に拡大することが予想される。)

しかし、WPCは、射出成型に必要な熱流動性が低く、現時点において、製品化まで至っていな

い。そこで、本研究は、スギ木粉を用いた射出成型WPC製品の製造技術を確立するとともに、

スギ間伐材を原料としたWPC用スギ木粉の安定供給体制を確立することを目指す。

2.全体計画

射出成型用スギ木粉の製造技術を確立するために、スギ木粉の性状と射出成型スギWPCの物性と

の関係を評価し、射出成型に適した木粉の性状および木粉と樹脂との複合条件を明らかにする。ま

た、そのデータを製品用途別に整備し、スギ木粉販売促進に活用する。

3.研究内容

1)前年度までの成果

スギ木粉を解繊しながらポリプロピレン樹脂(以下、PP)と混練すること(以下、解繊混練)により、熱流動性の高い射出成型用コンパウンドを製造することが可能であること、また、解繊混練したスギWPCは、通常混練のスギWPCと比較して、材質や色調が均質で、強度性能(引張強さおよび耐衝撃性)に優れていることを明らかにした

2)今年度の成果の概要生産レベルでの射出成形スギWPC用コンパウンドの適正製造条件を把握することを目的に、

スギWPCのに及ぼすスギ木粉率および粒径の影響について検討した。また、射出成形スギWPCの実用化を検討するため、現在、射出成形用リサイクル材料として利用されているフライアッシュ・PP複合体(以下、FPC)との強度性能の比較を行った。その結果、スギWPCの曲げ弾性率は、木粉率が高くなると、また、木粉のアスペクト比が高

くなるほど向上した(図1 。しかし、シャルピー衝撃強さ、曲げ応力および引張降伏応力にお)いては、粒径、アスペクト比による強度差はほとんど認められなかった。また、スギWPCとFPCとの強度性能の比較は、スギWPCが曲げ弾性率、曲げ応力および引張降伏応力にて高い値を示したが、シャルピー衝撃強さでは差が認められなかった(図2 。)

4.今後の課題・実大サイズの生産装置を用いて、射出成型用スギWPCコンパウンドの製造条件を検討する。・解繊混練したスギWPCコンパウンドの補強材としての性能を検討する。

図2 スギ と の性能WPC FPC図1 木粉率別のスギWPCの性能

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スギ木粉・竹粉複合体の量産化技術の開発-竹の自己接着性を利用した 100 %木質複合体の開発-

予算区分 共同研究(シヤチハタ(株)) 研究期間 平成23~27年度

担 当 課 木質製品課 担 当 者 藤澤 泰士、鈴木 聡

1.研究目的

木材研究所とシヤチハタ(株)他 7 機関は、県産スギ未利用材や竹材の利活用を促進するため、

共同で高温の飽和水蒸気による蒸煮処理による竹材の接着剤化に関する基礎技術を開発した(特

願 2010-028844 。)

本研究では、この特許技術の実用化を進めるため、石油由来の材料を一切使用せず、任意の

形状のスギ木粉・竹粉複合体を熱圧成形する製造技術を開発する。

2.全体計画

スギ木粉・竹粉複合体用の竹粉接着剤の製造方法を確立するため、接着剤用の竹材を選定

するとともに、量産可能な蒸煮処理条件を検討する。次に、スギ木粉・竹粉複合体の製造方

法を確立するため、加熱プレス方法による適正な熱圧成形条件を検討する。

3.研究内容

1)前年度(H25 年度)までの成果

木質複合体の加熱プレス成型の基本製造条件を検討し、蒸煮竹粉とスギ木粉との混合割合が5

:5、蒸煮温度 200 ℃、加熱プレス温度 200 ℃で製造した木質複合体が、最も高い寸法安定性を

示し、一般の事務用品の材料として十分使用可能であることが明らかとなった。また、木質複合

体と漆との密着性が良好であることが明らかとなった。

2)今年度の成果の概要

100 %木質複合体の量産化に向けた実生産条件(成形金型の改良、成形時間など)について検

討し、実用化可能な基本的な生産条件を明らかにした。

4.今後の課題

実用化に適した製造条件を検討するとともに、高岡漆器業界と協力し、事務用品としての製品

仕様およびデザイン設計を行う。

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スギ樹皮を用いた育苗床土、培土の開発

予算区分 県 単(特別重点化枠研究) 研究期間 平成25~26年度

担 当 課 木質製品課 担 当 者 田近 克司

1.研究目的

県内のスギ樹皮発生量は、現在 1,500t/年であるが、数年後には 2,500t/年以上に増加するも

のと見込まれる。スギ樹皮の現用途は、バーク堆肥や燃料であり、今後はバイオマス発電への利

用も進められようとしているが、これらの必要量は 1,000t/年程度と見積もられる。したがって、

余剰樹皮の有効活用のためには新規の用途開発が必要である。

一般に、針葉樹樹皮は植物の生育阻害成分(水溶性フェノール等)を含むため、栽培資材等への

利用には、従来、堆肥化処理による無害化で対応してきたが、スギ樹皮は堆肥化なしでも利用で

きるという事例が近年報告されている。堆肥化が不要あるいは簡素化できれば、堆肥化コストが

削減され、より軽量な資材(スギ樹皮の重量はバーク堆肥の約半分)の提供が可能である。

そこで、本研究ではスギ樹皮を栽培資材等に利用するため、スギ樹皮の簡易無害化技術、水稲

育苗用床土、野菜・花き用培土および果樹用マルチ材等の利用技術について検討する。

2.全体計画

本研究では、県の4研究機関が以下の課題を分担して取り組む。木材研究所では、①生育阻害

成分の簡易無害化技術、農業研究所では、②軽量な水稲育苗用床土への利用技術、園芸研究所で

は、③野菜・花き等の培土への利用技術、果樹研究センターでは、④マルチ材としての利用技術

の検討を行う。

3.研究内容

1)前年度(H25 年度)までの成果

スギ樹皮を野外に堆積することにより、生育阻害成分が降雨で溶出され、栽培資材として利用

できるようになるとの報告があるが、詳細な条件等は不明である。そこで、スギ樹皮をH25.10

月中旬に野外に堆積し、阻害成分等の追跡調査を開始した。その結果、堆積後3ヶ月間は、試験

区 の種類に関係なく水溶性フェノールに大きな変化がないことが明らかになった。

2)今年度の成果の概要

原料は、スギの新鮮樹皮粉砕物(スクリーン穴径 20mm通過部)を用いた。試験区として、①樹

皮のみ、②樹皮+消石灰 0.1wt%添加、③樹皮+消石灰 0.3wt%添加の 3 区を設定し、各区ともに、

樹皮粉砕物を載頭円錐形(底面の直径:4 m、上面の直径:1 m、高さ:1.5 m、体積:約 8.2

m )に堆積した。堆積して 0.5 ヶ月、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4.5 ヶ月、6ヶ月、8ヶ月、3

12 ヶ月経過時時に、図1(堆積物の右半分の断面図)に

示す9カ所(A1 ~C4)の位置からハンドオーガーで1

~2 ずつ分析用試料を採取した。各試料について、水ℓ溶性フエノール(Folin-Denis法、フェノール換算 、)

pH、EC等の基本特性を測定した。

その結果、堆積物の水溶性フェノール(平均値)は、

138 日目(2014 年3月)にはいずれの区も 0.06mMまで

減少したが、その後は急激に増加し 243 日目(2014年6

月)に 0.33 ~ 0.35mMとなり、その後は減少して 364 日

目には①区で 0.24mM、②区で 0.14mM、③区で 0.13mM

となった(図2 。)

堆積物のサンプル採取位置ごとの水溶性フェノール

は、堆積物内部では、いずれの区も年間を通じて中位の高さから上部の位置のA2、B2、B3 で低く

推移する傾向があるものの、総じて位置に関係なく大きな変化が見られなかった。一方、表層部

(A1、B1、C1)においては、138 日目までは試験区に関係なく位置による違いはほとんどなかっ

図1 樹皮堆積物のサンプリング位置

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たが、その後は 243 日目にかけて表層部(A1、

B1、C1)の値が特異的に増加した。その後はい

ずれの区も減少するものの、①区が緩慢な変化

を示したのに対し、消石灰を添加した②、③区

は直線的に低下するという違いが見られた(図

3、図4 。表層部で水溶性フェノールが増加)

した原因として、水銀ランプ式退色試験機を用

いた紫外線照射試験により、照射時間とともに

樹皮中の水溶性フェノールが増大したことか

ら、太陽光の紫外線による影響が推察された。

堆積物のpH(平均値)は、図5に示すよう

に、①区は、初期値 6.2 から 15 日目に 7.1 ま

で上昇したが、その後はやや低下し 92 日目に

6.8 となった。92 日目まで、②区はほぼ 7.0 前

後で、③区は 7.2 前後で推移し、大きな変化は

見られなかったが、その後は期間とともに漸減していき、364 日目に各区とも 5.5 前後に収束した。

堆積物のEC(平均値)は、堆積時には各試験区とも 0.5 mS/cmであったが、15 日目に 0.2

mS/cmまで急激に低下した後は緩やかに低下し、138 日目に 0.1 mS/cm前後となった。その後はやや変動があるもののほぼ同水準で推移した(図6 。)

4.今後の課題スギ樹皮を野積放置するだけは水溶性フェノールは低減しなかったことから、その効果を高め

るための方法(定期的な切返しや消石灰の添加率増加等)についてさらに検討する必要がある。

図2 消石灰添加率の異なる野積樹皮の水溶性

フェノール(9カ所の平均値)経時変化

図3 野積樹皮(消石灰0%)の部位別

水溶性フェノールの経時変化

図4 野積樹皮(消石灰0.3%)の部位別

水溶性フェノールの経時変化

図5 消石灰添加率の異なる野積樹皮

のpH経時変化

図6 消石灰添加率の異なる野積樹皮

のEC経時変化

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2. 一 般 業 務

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2.1 沿   革

昭和44年

昭和62年

平成17年

平成18年

平成19年

平成20年 県の機構改革に伴い、農業技術センター、食品研究所、林業技術センター、水産試験場を統合し、農林水産総合技術センターを設置

木材利用普及センターを廃止し、展示館と改称し、森林政策課より移管

富山県木材試験場開設

林業試験場と木材試験場を統合し、富山県林業技術センターを設置

木材試験場性能評価試験棟完成

木材試験場管理棟改修

木材試験場製品開発試験棟及び木質構造試験棟完成(木材試験場再整備事業完了)

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2.2 組織図(平成27年3月31日現在)

・ 庶務、会計などの一般事務、施設の維持管理

・ 乾燥、加工技術の高度化に関する研究及び指導副所長・課長1 ・ 木材並びに木質材料の材質及び強度特性に関する

(10人) 研究及び指導

・ 木質構造の耐震性向上に関する研究所長 1 ・ 居住性向上に関する研究(16人)

・ 木質材料の耐久性などを高める試験研究及び指導

・ 木質材料の家具材料への応用技術の研究課長1 ・ 化学加工製品の生産及び利用技術に関する研究

(5人) ・ 木質資源のマテリアル、エネルギー利用に関する研究及び指導

木材研究所

木質構造課

木質製品課

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2.3 土   地

名 称 面 積 現 住 所

木材研究所  15,364㎡ 射水市黒河新4940

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2.4 建   物

建 物 名 構 造 面 積

木材研究所管  理  棟 鉄筋コンクリート2階建   664㎡

性能評価試験棟 木造2階建   992㎡

製品開発試験棟 木造1部2階建   895㎡

木質構造試験棟 木造1部2階建   648㎡

乾 燥 試 験 棟 鉄筋コンクリート平屋建   172㎡

展 示 館 木造平屋建   470㎡

その他付属建物   330㎡

計 4,171㎡

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2.5 平成26年度主要予算一覧

                  (単位:千円)

決算額 事  業  の  目  的

林業技術費

木材研究所運営費 15,245 木材研究所の管理運営

木材技術開発研究費 13,594

県  単 6,855 圧縮木材の形状復元挙動を活用した耐震面格子壁の開発外4

受  託 2,675 ミクロフィラー化技術の応用による環境対応資源を活用した機能性プラスチックの創成 外1

共同研究 4,064 スギ間伐材を原料としたWPC用スギ木粉の製造技術の確立 外6

2,928 富山型伝統的木造建物の耐震・劣化診断手法と加工・設計手法の開発

治山・林道調査事業 2,002 治山事業:スギ間伐材による良施工性治山用木製品の開発(701)

林道事業:スギ樹皮を用いた緑化技術の開発 (1301)

科学技術振興対策事業 30 夏休み子供科学研究室

事  業  名

科学技術振興対策費(フロンティア研究推進事業)

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2.6 産業財産権

[登録分]

種 類 発 明 等 の 名 称 出願番号 特許番号 登録年月目 発明者

特 許 特願 3452891 2003.7.18 沼田 益朗

2000-319322 田近 克司

水口 吉則

特 許 特願平 3568420 2004.6.25 藤澤 泰士

11-177566 村上 益雄

特 許 特願 3790755 2006.4.7 若島 嘉朗

2003-292313 園田 里見

特 許 特願 3823227 2006.7.7 柴  和宏

2003-296967

  特 許 特願 4108089 2008.4.11 若島 嘉朗

2005-125284 園田 里見

中埜 博之

特 許 特願 43993375 2009.10.30 栗﨑  宏

2005-027903 安達  聖

関根 康雄

  特 許 特願 4727710 2011.4.22 若島 嘉朗

2008-290081

特 許 特願 5481623 2014.2.28 藤澤 泰士

2010-028844 (富山県外5)

特 許 特願 5590319 2014.8.8 栗﨑  宏

2010-196232 岩坪  聡

[出願中]

種 類 発 明 等 の 名 称 出願番号

特 許 木造構造の制振壁 特願

2012-229734

発 明 者

若島 嘉朗

水稲育苗用培地とその製造方法

スギ材・ポリエステル複合体およびその製造方法

木造建築物の制振構造

山間傾斜地における防雪用木製三角枠

柱と梁の接合部及び接合方法

木材防蟻材およびそれを用いる木材処理方法

履歴ダンパおよび木造構造物の壁

木質樹脂組成物及び木質ペレット

木材注入用防腐防蟻処理粒子液の作製方法

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2.7 発   表

研究課題 発表場所・掲載誌 発表月 発表者

県産スギ樹皮によるボード製造の検討

緑-富山の林業-、No.735

2014.5 鈴木 聡

FMCWレーダ装置による土壁の非破壊検査の試み

第31回日本木質文化財科学会大会、奈良市(奈良大学)

2014.7.5~6

栗﨑 宏、他

非対称荷重が載荷された不完全合成梁の離散解法

2014年度日本建築学会北陸支部大会、高岡市(富山大学高岡構内)

2014.7.13 園田 里見

木材の摩擦を用いた高減衰耐力壁の開発 その1 実験と弾塑性地震応答解析

同上 同上若島 嘉朗、清水 秀丸、他

木材の摩擦を用いた高減衰耐力壁の開発 その2 応力緩和挙動と摩擦力

同上 同上若島 嘉朗、清水 秀丸、他

圧縮木材の形状復元挙動を活用した耐震要素の開発に向けた研究

同上 同上清水 秀丸、若島 嘉朗

施工性を考慮した受材仕様鋼製ダンパー付き耐力壁の開発

農林水産総合技術センター木材研究所研究報告、No.6

2014.7若島 嘉朗、清水 秀丸、他

湿式高温ジェットミル法により作成した金属微粒子剤の防腐防蟻性能

同上 同上 栗﨑 宏、他

景観に合った県産スギ防護柵・フェンスの開発

緑-富山の林業-、No.737

2014.7 長谷川 益夫

非対称荷重が載荷された不完全合成梁の離散解法

2014年度日本建築学会大会、神戸市(神戸大学)

2014.9.12~14

園田 里見

木材の摩擦を用いた高減衰耐力壁の開発 その1 振動台実験

同上 同上若島 嘉朗、清水 秀丸

木材の摩擦を用いた高減衰耐力壁の開発 その2 弾塑性地震応答解析

同上 同上若島 嘉朗、清水 秀丸、他

木材の摩擦を用いた高減衰耐力壁の開発 その3 応力緩和挙動と摩擦力の検討

同上 同上若島 嘉朗、清水 秀丸、他

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研究課題 発表場所・掲載誌 発表月 発表者

木質住宅における鋼材ダンパー付き耐力壁の配置法に関する研究

2014年度日本建築学会大会、神戸市(神戸大学)

2014.9.12~14

若島 嘉朗、他

効果的かつ効率的な災害対応訓練施設の設計に関する研究 その1 施設の機能要求の特定検討のための部隊レベルごとの必要訓練項目の整理

同上 同上 清水 秀丸、他

効果的かつ効率的な災害対応訓練施設の設計に関する研究 その2 派遣部隊の活動対象となる木造倒壊建物の特定による機能要求の明確化

同上 同上 清水 秀丸、他

県産スギ樹皮の蒸煮等を利用した成形利用技術の開発

平成26度 木材研究所 試験研究成果発表会

2014.9.29 鈴木 聡

県産スギ樹皮によるボード製造の検討

樹、No.83、富山県森林・木材研究所振興協議会

2014.9 鈴木 聡

県産材パネル型枠の本格利用について

同上 同上 柴 和宏

竹材を用いた木質釘の需要に関する研究

緑-富山の林業-、No.739

2014.9 清水 秀丸

木材研究と森林調査の交差する所

森林科学、No.72 2014.10.1 柴 和宏

伝統的木構造物で使用される銅金物の劣化抑制への寄与-京都三条大橋欄干の蛍光X線分析事例-

2014年度日本木材学会大会中部支部大会、伊那市(伊那市生涯学習センター)

2014.10.16~17

栗﨑 宏、清水 秀丸、他

重量測定を省略する質量付加縦振動法の検討

同上 同上 園田 里見、他

富山県産スギ材パネル型枠の治山ダムにおけるたわみ性能評価

同上 同上 柴 和宏

超音波伝播速度測定によるWPC成型品の野外耐朽性評価

同上 同上 長谷川 益夫、他

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研究課題 発表場所・掲載誌 発表月 発表者

公共建築物における県産スギ材の品質・強度管理方法

杣、Vol.5、富山県建築設計監理協同組合

2014.11.1 木材研究所

富山県産材パネル型枠の本格利用について

会誌、第48号、全国林業試験研究機関協議会

2014.11.5 木材研究所

地域の主要樹種A材利用を考える

第7回日本木材学会地域木材産業研究会、都内(東京ビッグサイト)

2014.11.12 園田 里見、他

県産材パネル型枠の本格利用について

平成26年度富山県農林水産総合技術センター研究成果発表会、富山市(農協会館)

2014.11.19 柴 和宏

県産スギ不燃パネルの開発と施工例 -北陸新幹線駅舎への施工-

同上 同上 藤澤 泰士

金属ソリッド材料による木材の耐久性向上

第44回木材の化学加工研究会シンポジウム、高山市(ひだホテルプラザ)

2014.11.20~21

栗﨑 宏、他

製材の含水率管理について緑-富山の林業-、No.741

2014.11 坂井 正孝

蒸煮竹粉を用い木質樹脂成形物の製造

とやま産学官金交流会2014、富山市(富山国際会議場)

2014.12.2 藤澤 泰士

スギ樹皮の法面吹付用資材としての利用

緑-富山の林業-、No.743

2015.1 田近 克司

Measuring Young’s modulus ofa wooden bar usinglongitudinal vibrationwithout measuring its weight

European Journal ofWood and Wood Products電子版、DOI:10.1007/s00107-015-0884-2

2015.2.6 園田 里見、他

金属ナノ粒子を用いた防蟻処理技術の開発

第273回生存圏シンポジウム 平成26年度DOL/LSF全国・国際共同利用研究成果報告会

2015.2.23 栗﨑 宏、他

Analysis of asymmetricloading layered beams withincomplete interaction

IAWPS Internationalsymposium on WoodScience and Technology2015、都内(タワーホール船堀)

2015.3.15~17

園田 里見

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研究課題 発表場所・掲載誌 発表月 発表者

Development of high dampingshear walls using woodfriction

IAWPS Internationalsymposium on WoodScience and Technology2015、都内(タワーホール船堀)

2015.3.15~17

若島 嘉朗、清水 秀丸、他

Study on seismic grid wallusing compression wood ofshape recovery behavior

同上 同上清水 秀丸、若島 嘉朗

Shaking Table Tests on a TwoStorey & Two Span GlulamFrame Structure Whose Moment-Resisting Joints are Composedof Steel Hybrid Dampers

同上 同上若島 嘉朗、清水 秀丸、他

Analysis of copper contentsat the surface of wood postwith copper metal fitting inKyoto Sanjo-ohashi

同上 同上栗﨑 宏清水 秀丸、他

Study on relationshipsbetween durability of woodenstructures and growth ofplanted trees inafforestation

同上 同上 柴 和宏、他

不完全合成梁の近似解法 その3 非対称荷重が載荷された不完全合成梁の離散解法

第65回日本木材学会大会、都内(タワーホール船堀)

2015.3.16~18

園田 里見

高い初期応力を与えた木材の応力緩和挙動

同上 同上若島 嘉朗、清水 秀丸、藤澤 泰士、他

圧縮木材を用いて初期剛性を確保した面格子壁の開発 その1 要素実験結果

同上 同上若島 嘉朗、清水 秀丸、藤澤 泰士

富山県産スギ樹皮によるボード製造の検討(Ⅲ) ‐長繊維化の検討‐

同上 同上鈴木 聡、藤澤 泰士

スギ間伐材木粉を使用した射出成型スギWPCの強度性能

同上 同上藤澤 泰士、鈴木 聡

振動法によるCLTの弾性係数の非破壊評価

京都大学第277回生存圏シンポジウム 木質材料実験棟全国共同利用研究報告会、宇治市(京都大学宇治構内)

2015.3.24 園田 里見、他

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研究課題 発表場所・掲載誌 発表月 発表者

圧縮木材用いた面格子耐力壁に関する研究

同上 同上清水 秀丸、若島 嘉朗、他

住宅床下における銅板等の劣化抑制効果の検証

同上 同上

栗﨑 宏、清水 秀丸、園田 里見、坂井 正孝、他

山間急傾斜地における木製グライド抑制工と植栽木による斜面積雪安定機能補完モデルの検討

第126回日本森林学会大会、札幌市(北海道大学)

2015.3.26~29

柴 和宏、他

県産材住宅の木材使用実態~とやまの木で家づくり支援事業から見えてきたこと~

樹、No84、富山県森林・木材研究所振興協議会

2015.3 森松 亮

イベント用県産材製品(ベンチ、プランターカバー)の開発

同上 同上 藤澤 泰士

2014年11月22日長野県北部の地震被災調査について

同上 同上 清水 秀丸

県産スギ材のめり込み強度性能について

緑-富山の林業-、No.745

2015.3 橋本 彰

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2.8 受   賞

氏  名 賞     名 受 賞 課 題

栗﨑 宏2014年度日本木材学会中部支部

地域功労賞

2013年度日本木材学会中部支部大会の運営を担当しこれを成功に導くなど支部事業の遂行に多大の貢献があったこと

栗﨑 宏2014年度日本木材学会中部支部大会

優秀発表賞伝統的木構造物で使用される銅金物の劣化抑制への寄与

園田 里見2014年度日本木材学会中部支部大会

優秀発表賞重量測定を省略する質量付加縦振動法の検討

園田 里見他

第8回日本木材学会論文賞非正規確率楕円による木材強度データの2次元表現(第1報)分位等価な変換による非正規確率楕円

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2.9 研修(派遣)

なし

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2.10 講師派遣

題  名 月  日 主催/場所 参加者数 派遣講師

入善統合保育所建設に係る県産スギ製材の乾燥と強度管理に関する検討会 -スギ製材の乾燥方法-

2014.5.15 入善町/木材研究所 10名 坂井正孝

入善統合保育所建設に係る県産スギ製材の乾燥と強度管理に関する検討会 -動的ヤング率の測定方法-

同上 同上 同上 柴 和宏

県産スギの内装材利用について

2014.7.8森と県産材を活かした人づくり事業/木材研究所研修室

20名 藤澤 泰士

第9回木材劣化診断士講習会 2014.8.30公益社団法人日本木材保存協会/コープイン京都

26名 栗﨑 宏

第10回木材劣化診断士講習会 2014.9.16公益社団法人日本木材保存協会/メルパルク東京

40名 栗﨑 宏

「緑の雇用」現場技能育成対策事業林業作業士(フォレストワーカー)3年次集合研修-木材の材質と強度性能-

2014.9.24林業カレッジ/木材研究所

12名 園田 里見

「緑の雇用」現場技能育成対策事業林業作業士(フォレストワーカー)3年次集合研修-木材の乾燥技術-

同上 同上 同上 橋本 彰

「緑の雇用」現場技能育成対策事業林業作業士(フォレストワーカー)3年次集合研修-木材の森林土木利用等-

同上 同上 同上 柴 和宏

森林農地整備センター中部整備局業務現地検討会 -県産材の活用を目指して-

2014.10.15

独立行政法人森林総合研究所森林農地整備センター中部整備局/富山県西部森林組合高岡支所

70名 森松 亮

製材JAS資格者養成研修会-木材の乾燥と強度-

2015.1.20

富山県木材組合連合会、全国木材検査・研究協会/木材研究所展示館

80名 橋本 彰

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題  名 月  日 主催/場所 参加者数 派遣講師

製材JAS資格者養成研修会-木材の乾燥と強度-

2015.1.20

富山県木材組合連合会、全国木材検査・研究協会/木材研究所展示館

80名 園田 里見

富山県木造公共建築物等推進会議土木部会-治山工事でのスギ-ヒノキ型枠用合板のたわみ測定試験-

2015.2.25森林政策課/県庁4階大ホール

43名 柴 和宏

とやま県産材アドバイザー研修 -県産材住宅の木材使用実態-

2015.3.18

神通川・庄川流域森林・林業・木材産業活性化センター/富山県木材研究所

41名 森松 亮

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2.11 研修・講習会

題  名 年月日 主催/場所 参加者数 講  師

第1回林産技術講習会「国産材需要拡大に向けた製材分野の課題と取り組み」

2014.9.29

富山県農林水産総合技術センター木材研究所、富山県森林・木材研究所振興協議会、富山県林政協議会/木材研究所

59名

独立行政法人 森林総合研究所 木材機械加工研究室室長 伊神 裕司

第2回林産技術講習会「マツからスギへ~弱みを強みに変える~」

2015.2.5

富山県農林水産総合技術センター木材研究所、富山県森林・木材研究所振興協議会/パレブラン高志会館

69名宮崎県木材利用技術センター所長 飯村  豊

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2.12 客員研究員招へい

氏 名 所属/職 招へい期間 指導内容

藤田 和彦広島県立総合技術研究所林業技術センター/統括研究員兼副部長

2014.8.20~22広島の過去18年間における木材・木質材料研究についての技術解説と実技指導

伊神 裕司独立行政法人 森林総合研究所 木材機械加工研究室/室長

2014.9.29~10.1スギ製材の新たな方向性、需用分野の課題と取り組み状況についての解説

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2.13 視察・見学

(単位:人)

官公庁 学校 団体 企業その他 計

木材研究所 10 35 12 20 77

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2.14 技 術 相 談

(単位:件)

区 分 木質構造課 木質製品課 計

県 内 22 87 109

県 外 18 22 40

計 40 109 149

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2.15 試験検査業務

試験件数実績(件数)

H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26

木質試験 5 3 1 2 3 9 15強度試験 94 86 53 87 92 38 40実物大強度試験 21 29 36 19 7 18 5表面処理試験 1 0 2 0 1 0 0接着試験 2 0 3 0 2 0 2保存性能試験等 2 3 2 4 4 2 2その他 12 10 24 16 7 4 0

合 計 137 131 121 128 116 71 64

試験体数実績(試験体数)

H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26

木質試験 13 20 16 37 6 38 37強度試験 655 554 683 583 521 515 587実物大強度試験 129 164 108 64 85 85 34表面処理試験 40 0 20 0 4 0 0接着試験 11 0 33 0 2 0 19保存性能試験等 3 3 24 27 22 4 3その他 47 13 43 67 15 25 0

合 計 898 754 927 778 655 667 680

0

200

400

600

800

1000

H20

H21

H22

H23

H24

H25

H26

試験

体数

試験体数の推移

その他

保存性能試験等

接着試験

表面処理試験

実物大強度試験

強度試験

木質試験

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2.16 共同研究

相手先 課 研究期間 研究課題名

戸出化成(株) 木質製品課 H22~スギ間伐材を原料としたWPC用スギ木粉の製造技術の確立

シヤチハタ(株) 木質製品課 H23~スギ木粉・竹粉複合体の量産化技術の開発

(株)グランドワークス 木質構造課 H20~ラグスクリューボルトを用いた高靱性ラーメン接合部の開発と制振耐力壁の制振効果検証

大建工業(株) 木質製品課 H24~富山県産材を用いた公共施設用木質内装材の開発

YKK AP(株) 木質製品課 H26耐久性に優れた木材表面処理技術の研究開発

国立大学法人新潟大学 木質構造課 H26木製グライド防止工を用いた防雪林造成法の確立

富山県森林組合連合会 木質構造課 H26木質バイオマス発電用燃料の原木段階における水分率低下に関する調査

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2.17 応募型研究

募集機関 事業名 研究課題名 研究期間金額

(千円)研究者名

及び共同機関名

富山県フロンティア研究推進事業

富山型伝統的木造建物の耐震・劣化診断手法と加工・設計手法の開発

H26 2,700清水 秀丸【共同機関】富山大学

2,700計

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2.18 職員一覧表 (平成27年3月31日現在)

職 名 氏 名 主 な る 担 当 事 務

所 長 森松  亮 1 木材研究所の総括

副所長木質構造課長

山田 逸郎

1 所長事務の補佐に関すること2 所内事務の総合調整に関すること3 試験研究の総合調整に関すること4 人事及び予算の管理に関すること5 庁舎及び財産の管理に関すること6 木質構造課の事務の総括に関すること7 住宅部材及び工法の開発に関すること8 試験研究、調査の企画調整に関すること9 関係機関との連絡調整に関すること

副主幹研究員 園田 里見1 木造住宅の居住性能及び構造性能に関すること2 中大規模用構造材料の開発と接合性能に関する  こと

主任研究員 橋本  彰1 木材及び木質材料の強度性能の評価に関するこ  と2 住宅部材の接合性能に関すること

同上 若島 嘉朗1 木造住宅の耐震性向上技術に関すること2 中大規模木造建築物の接合性能、設計技術に関  すること

同上 柴  和宏

1 構造用木質材料、耐力部材の開発と性能評価に  関すること2 木材の材質試験に関すること3 構造用部材の耐久性評価に関すること

研究員 清水 秀丸1 在来工法の補強技術・耐震性能の向上に関する  こと2 竹釘の強度性能・加工技術に関すること

主 事 関井 久代 1 住宅部材のデータ整理に関すること

主任専門員 坂井 正孝1 木質材料の機械加工に関すること2 木材の効率的乾燥技術に関すること3 技術情報の収集、整理、提供に関すること

業務技師 早川  宏

1 ボイラーの操作及び点検業務に関すること2 建物、設備等の維持管理に関すること3 各種照会のとりまとめに関すること4 燃料等物品購入に関すること5 試験業務の補助に関すること

嘱 託 平野  弘1 公用車及び場内車両の操車業務に関すること2 自動車等の点検整備に関すること

木質構造課

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職 名 氏 名 主 な る 担 当 事 務

課 長 栗﨑  宏

1 木質製品課の総括に関すること2 試験研究、調査の企画調整及び研究成果に関す  ること3 木材の生物劣化に関すること

副主幹研究員 藤澤 泰士

1 木材の表面処理技術に関すること2 木質内装材の製品化技術に関すること3 スギ木粉-プラスチック複合材の技術に関する  こと

同上 鈴木  聡

1 木材の化学処理技術と利用に関すること2 木質製品の接着性能評価に関すること3 木質材料・製品の化学成分に関すること4 技術情報の発信に関すること

主任専門員 長谷川益夫1 木質製品の開発と耐候性向上技術に関すること2 木材の樹種識別に関すること

同上 田近 克司1 資源の循環利用技術開発に関すること2 技術講習会等に関すること

木質製品課