207V 7 劔剩ニ6 - TOK203)WE...先月号では全体の回路設計と,各段の構成について...

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先月号では全体の回路設計と,各段の構成について も,ファーストリカバリーダイオードの採用,配線 解説したが今回は主に製作について解説する.筆 材に4NのOFCやグラスファイバーチューブを使用 者は本機で初めて既成品のシャシーを用いたが するなど,音質最優先で部品の選択にこだわりめい 板からのビスとめをさけ,サブパネルに各部をまと たアンプである. WE421人 422A+ハシモトトラ めて取り付けるなど,独自の工夫を施している.ま ンスの組み合わせと,吟味した部品により,本機 た,本機はトランスを橋本電気製で統一したほかに は押しつけるところのない,自然な再生音が得られた. 前回は,本機の設計および主要 部品について詳しく解説しました 今回は主に製作に関して述べます 那,全回路図を図1に再掲載して おきます. 配線材について 音を左右する部品の一つに配線 材があります.本機に用いる線材 は, 4NのOFC(6Nはオーテリオ 的な音となります)で 0.8mmの 単線です.メッキはされていなく, 伸線加工をしたものにグラスファ イバーを被せたものです.特許出 願準備中ということで 誌面で詳 細をお伝えできません力†興味の ある方のために,入手先を表1に 記載しておきます. ビニール,およびテフロン被覆 の線はお薦めできません.化学的 素材による被覆なので 音は高域 でランダム現象を起こし,濁った 音になってしまいます. 52 また,細い線をよせ集めた撚り 線では,中高域にエネルギーが片 寄り,キンキンした傾向の音にな ります.また低域では芯線の一本 一本力蒲円いので ボケ気味となり がちです. メッキされた線材は,そのメッ キのキャラクターが音として出て きてしまいます.一方皆さんが良 いという絹巻線は,筆者には派手 な音に感じ,中高域に癖があって 全体的に音抜けが悪い,という印 象があります. 以上の理由で 本機では配線材 に「股品を使用していません. シャシーとその加工 シャシーは鈴蘭堂のSL-15HG を使用しました 以前は職業訓練 校の教官の友人に頼んでいたので すか 都合により頼めなくなり, 今回初めて既製品を用いました. この鈴蘭堂のシャシーの良い点 は梓と天板が分かれているので, 穴開けや,組み立ての際に便利な ことです.特に材質がアルミなの 穴開けも楽で アマチュア向 きのシャシーといえます, しかし,今回は初めて使ったの うっかりして枠の上側に10 mmつばがあることを忘れたまま, 天板の穴開けをしてしまいました したがって,枠のつばにあたる部 分を図2のように切り落して使用 しています.なお,穴開け寸法は, 図3, 4に示すとおりです.穴開 けの面倒な方は,鈴蘭堂に加工を 依頼することもできます. 図5はシャシー内部に使ってい る3枚のサブパネルです.このパ ネルを使って部品を取り付ければ アルマイト加工の美しい天板にビ ス止めをせずに済み,見た目がき れいに仕上がります.面倒な方は 省略しても構いませんが,その際 は20kQのVRの取り付けを工夫 MJ 二回l

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Page 1: 207V 7 劔剩ニ6 - TOK203)WE...先月号では全体の回路設計と,各段の構成について も,ファーストリカバリーダイオードの採用,配線 解説したが今回は主に製作について解説する.筆

先月号では全体の回路設計と,各段の構成について   も,ファーストリカバリーダイオードの採用,配線

解説したが今回は主に製作について解説する.筆   材に4NのOFCやグラスファイバーチューブを使用

者は本機で初めて既成品のシャシーを用いたが 天   するなど,音質最優先で部品の選択にこだわりめい

板からのビスとめをさけ,サブパネルに各部をまと   たアンプである. WE421人 422A+ハシモトトラ

めて取り付けるなど,独自の工夫を施している.ま   ンスの組み合わせと,吟味した部品により,本機

た,本機はトランスを橋本電気製で統一したほかに   は押しつけるところのない,自然な再生音が得られた.

前回は,本機の設計および主要

部品について詳しく解説しました

今回は主に製作に関して述べます

那,全回路図を図1に再掲載して

おきます.

配線材について

音を左右する部品の一つに配線

材があります.本機に用いる線材

は, 4NのOFC(6Nはオーテリオ

的な音となります)で 0.8mmの

単線です.メッキはされていなく,

伸線加工をしたものにグラスファ

イバーを被せたものです.特許出

願準備中ということで 誌面で詳

細をお伝えできません力†興味の

ある方のために,入手先を表1に

記載しておきます.

ビニール,およびテフロン被覆

の線はお薦めできません.化学的

素材による被覆なので 音は高域

でランダム現象を起こし,濁った

音になってしまいます.

52

また,細い線をよせ集めた撚り

線では,中高域にエネルギーが片

寄り,キンキンした傾向の音にな

ります.また低域では芯線の一本一本力蒲円いので ボケ気味となり

がちです.

メッキされた線材は,そのメッ

キのキャラクターが音として出て

きてしまいます.一方皆さんが良

いという絹巻線は,筆者には派手

な音に感じ,中高域に癖があって

全体的に音抜けが悪い,という印

象があります.

以上の理由で 本機では配線材

に「股品を使用していません.

シャシーとその加工

シャシーは鈴蘭堂のSL-15HG

を使用しました 以前は職業訓練

校の教官の友人に頼んでいたので

すか 都合により頼めなくなり,

今回初めて既製品を用いました.

この鈴蘭堂のシャシーの良い点

は梓と天板が分かれているので,

穴開けや,組み立ての際に便利な

ことです.特に材質がアルミなの

で 穴開けも楽で アマチュア向

きのシャシーといえます,

しかし,今回は初めて使ったの

で うっかりして枠の上側に10

mmつばがあることを忘れたまま,

天板の穴開けをしてしまいました

したがって,枠のつばにあたる部

分を図2のように切り落して使用

しています.なお,穴開け寸法は,

図3, 4に示すとおりです.穴開

けの面倒な方は,鈴蘭堂に加工を

依頼することもできます.

図5はシャシー内部に使ってい

る3枚のサブパネルです.このパ

ネルを使って部品を取り付ければ

アルマイト加工の美しい天板にビ

ス止めをせずに済み,見た目がき

れいに仕上がります.面倒な方は

省略しても構いませんが,その際

は20kQのVRの取り付けを工夫

MJ

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WE421Aプッシュプル20Wパワーアンプ

5691 ×3 (6ユニット)                      421A/5998

202V                               310V

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MJ

二回1]本機の仝回路図(

本捻内机 下が出力段まありで 左右に出力トラ

ンス,中央部に42lAを

配置. 42lAは,固定バ

イアス調整用VR(41回)ど

ともにサブパネルに取り

付ける.上部は右から電衰トランスPT-270, 422

Aと電解コンデンサー47

i.F+47FLF,増幅部の6

本の5691.左上はチョークコイルと2個のフイ

ルムコン47FLF+47FLF

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より再掲載) �8ク42�+X�エB��3#�b�

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してください.         f・,アンフェノール(USA)のモ  品に分かれています. I)ング状の

真空管ソケットとラグ端子-ルドタイプです.このソケット  スプi)ングでソケット本体と金具

は普通の物と違い,取り付け金具  を固定する仕組みで,実によく考

本機に使っているソケットは,  が固定されておらず,本体,取り  えられたソケットです.本機では,

すべて8ピンのオクタルソケット  付け金具,スプリングの3つの部  取り付け金具は使わず,リングス

2003/2 53

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wE421Aプッシュプル20Wパワーアンプ

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入力歪圧lVI

こ図6]入出力特性

しいといった特性ではありません

が,まず問題はありません.一万

10kHzの方形波応答特性で負荷

がオープンの場合はlllF以上か

ら微妙に変おりだす程度で 安定

妻抜群のアンプとなっています.

」, R独立式B電源と

フィルターコンデンサー

今回使用したB電源L R別供

註式での音は コンデンサー容量

が少ないのか原因なのか,軽くて

明るい言草足立つという感じです.

ここはやはり,大容量のコンデン

サーを入れた方が低域の締まりも

まく,テンションが若干でも下が

るので ベターといえます.した

がって,モノーラルアンプの場合

ら,このコンデンサーの容量は大

きい方が当然良いということにな

ります.

一方,ここのフィルターコンデ

ンサーは,今回はフイルムコンデ

ンサーと電解コンデンサーの2通

りとなっています.ニチコン製オ

ーディオ用電解コンデンサーは,

エルナーのセラファインと上醸し

て,中高域の張り出さないところ

が良い点です.またサン・オーデ

ィオ製メタライズド・フイルム・

2003/2

料1鵬

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[図7]歪率特性

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周波数(]Z)

[図9]ダンピングファクター特性

コンデンサーも中高域カキ甲さえ気

味となっていて,優しい音がしま

す.アンプにおいて高域の音の細

かさは,大きな魅力です.

試 聴

300Bが最高と語る人ならば

何てたわいない音,というかもし

れません.艶やかを音が当たり前

の直熟管アンプの音とは明らかに

違った,地味な音のアンプです.

くどいようです力†テンションが

実に低いのです.

しかし,真剣に耳を傾けている

ど-ツとするところがありました

シングルアンプの音がこびりつい

ていた私の耳を揺るがしたのです.

それは,さり気なく張り出してく

る中音と下まで伸びた低音でした.

そして非常に細かな音がします.

これはアンプが作り出すのか,そ

れとも真空管の個性なのかわかり

ません. WE42lAは純粋なオー

ディオ管ではないにしろ良い真空

管です. 42lAと422Aば WE

末期にセットで走電圧電源のレギ

ュレーター管として使われていた

というとおり,組み合わせの良さ

59

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書室田U,丑 o

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(a) i 00Hz方形波

方形波応答波形(負荷80)

tgiEt聖瞳重責

(a)10kHz, l〟F

容量負荷時の方影波応答波形

かもしれません また,吟味を重

ねた部品が二役も二役も買ってい

るのでしょう.特に,トランスに

ついては, 40数年前,なけなしの

小遣いをはか,て買った山水の名

田カトランスBW-743,あの感

動が再び到来したような思いです.

決して押し付けるところがなく,

(b) l kHz方形波

要語重LT _.彊EtE

(b)10kHz, 2.2/`F

自然そのものの音とはこのことを

いうのかもしれません.まさに音

は理屈ではないといえます. 「ス

タインウェイカ歌った,夕映えの

山嶺にこだまするが如く」

試聴スピーカー:オンケン・ 3ウ

ェイ・-ーモカプリス

(C) 1 0kHz方形波

(C)10kHz, 4.7/lF

なお,本機は次回行う試聴会にて

披露する予定です.

お詫びと訂正

本態解説の1月号(前編) 121ページ

中, 「ニチコン・ゴールドの開発者,

元同社役員の内山公雄氏」というのは

誤りで 正しくは「元日本ケミコンの

役員で また元ニチコン勤務の内山公

雄氏」です.ご迷惑をおかけしました.

関係者の皆様にお詫び申し上げます.

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