20161126_インハウス広報の視点から考える「ことば」と「広報計画」

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自己紹介

2010-2015PR と コミュニケーションディレクター@デザイン会社

@個人 キロクと発信、コンテクストデザインの仕事

2007-2010IR と電子書籍編集者 @出版社グループ

2015 - 現在PO と コミュニケーションデザイン担当 @文化財団

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一言でいうと

“ インハウス広報”です。

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“ インハウス広報”ってなんだ?

組織 インハウス=組織内の

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  世の中 

“ インハウス広報”ってなんだ?

いろいろなメディア広報=対話を生む職種

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“ インハウス広報”ってなんだ?

いろいろなメディア

チーム内と外の両方で対話を重ね活動の価値を可視化していく人

なんかいつもちょっと外側にいるよ

(たまに寂しい)組織世の中 

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今日お話しすること

↑② ことば探し

① 心がまえ↓

いろいろなメディア

↑③ 届け方

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〈 広報:ことばと計画 〉

① 心がまえ

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心がまえ

冷静と、情熱と、孤独。

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“ わかりあえないというところから歩きだそう”

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– 平田オリザ『わかりあえないことから』

“ 美しく湿潤な島国で育った私達には、それを受け入れることはつらく寂しいことかもしれない。「柿くへば」を説明することは、とても虚しいことかもしれない。しかし、おそらくそこから出発する以外に、私たちの進む道はない”

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対話と会話のちがい

対話Dialogあまり親しくない人同士の価値観や情報の交換価値観が異なるときのすり合わせ

会話Conversation近い者同士のおしゃべり

“ 対話的な精神とは、異なる価値観を持った人同士と出会うことで、自分の意見が変わっていくことを潔しとする態度のこと”(平田オリザ)

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価値観の異なる人関心のない人にも届けたいから大事にするのは「対話」です。そのために、チームやプロジェクトに対してある種引いた視線(冷静さ)も人を巻き込む勢いと想い入れ(情熱)もどちらも持たなくてはいけません。

結果、ちょっと孤独な役回り。それが、インハウス広報の心がまえ。※ ナカタ的解釈ですが

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〈 広報:ことばと計画 〉

② ことばを見つける

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[work] どこに惹かれた?グループで持ち寄ったことばの「どこに惹かれた?」をインタビューしあおう

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わたしはこんなことばに惹かれました

( 最近のノートから )

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わたしはこんなことばに惹かれました\仲間をみつけるワーディング/(シューレ大学チラシより)

「自分にのっぴきならないこと」

「生き難さに穴を穿ち」

「あなたに応募してほしい」

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わたしはこんなことばに惹かれました\なぜユニークなのかが明確/( TAKAO599 MUSEUM, 写真のシバタ冊子より)

「殺生禁断の思想=東京なのに自然豊か」「生命の山」

「日常の写真はほとんどない」

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わたしはこんなことばに惹かれました\なじみのある表現でわかりやすく/( BEPPU PROJECT チラシより)

「個展形式の芸術祭」「国際的に活躍する1組のアーティスト」

「登録型の市民文化祭」

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わたしはこんなことばに惹かれました\設計が美しい!/(慶応 SDFC 加藤文俊先生の授業冊子より)

「爽やかな解散」

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わたしはこんなことばに惹かれました\「アート」の捉え方だって様々/(としまアートステーション構想、 TERATOTERA祭り 2016パンフレットより)

「もともと「技」意味」「多様な価値観を担保するもの」「活動もアートです」

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ことばの強度は価値の強度

• なぜやるのか(社会的・組織的・個人的〉• 誰にとって関係あるのか / ないのか• どこがユニークなのか

おそれずにメスをいれるべし

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[work] 校長  の文章に赤字を入れてみる言いたいことは伝わる?

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お題:学校のアニュアル「はじめに」(原文)

ポイント・「はじめに」の役割は何か?・素読して意味が通じるか?・言い換えるべきことばはないか?・ブロックの順序は論理的か?

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答え合わせ(答えはないけれど)

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リーダーやディレクターが描くビジョンこそ、最も重要な「柱」です。でも、彼 /彼女が毎回、完璧に思惑通りのことばを書いたり話したりできるとは限りません。(だって人間だもの)言いたいこと、考えていることと、発することばを揃えていくのもインハウスの広報の使命。

日頃から信頼関係を築き、たくさんのことばを交わしましょう。

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[case] 広報としてことばを編む広報やコミュニケーションディレクションを担当した事例から思考の順序をご紹介します。

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事業の基礎となることば[case1] FabCafe 開店プレスリリース

Photo: FabCafe

課題:未知のサービスを表現する

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事業の基礎となることば[case1] FabCafe プレスリリース

2012年 2月 29 日 プレス発表!

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事業の基礎となることば[case1] FabCafe プレスリリース

• 2012年 3月 7 日、日本で初めてレーザーカッターが主役のデジタルものづくりカフェ「 FabCafe 」をオープンいたします。• 世界で広がっている「ものづくり革命」のムーブメント、 "FAB" 。そこには、大量生産やマーケットの論理に制約されない「 FABrication( もの づくり)」と「 FABulous(愉快な、素晴らしい)」の 2 つの意味が込められており(略)• FabCafe はその” FAB" スピリットを楽しく、おいしく、わかりやすく伝える場所。若いエネルギー溢れる渋谷という場所で、レーザーカッターをはじめ様々なデジタル工作機器を備えることで、多くの人々がワクワクしながら新しいものづくりを楽しむ空間を提供します。

↓枕詞

↓定型コンセプト文

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リリースはコピペで使われていくもの。誰もが使い回せるフレーズを織り交ぜましょう。

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なぜ?に答えることば[case2] USIO Design Project コンセプト文

課題:納得感とワクワク感の両立

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なぜ?に答えることば[case2] USIO Design Project コンセプト文

なぜ、観光課が名産品デザインなの?

なぜ、島のデザイナーを使わないの?

なぜ、東京の会社がやってるの?

なぜ、竹富島でも西表島でもなく?

なぜ、台湾なの?

なぜ、公募に応募するべきなの?なぜ、リデザインが必要なの?

なぜ、やるの?

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なぜ?に答えることば[case2] USIO Design Project コンセプト文

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なぜ?に答えることば[case2] USIO Design Project コンセプト文

異なる文化がぶつかる交点に、豊かさが宿るあたらしい形の「地域× デザイン」プロジェクト「 USIO Design Project 」は、デザインの力を通して、石垣島の魅力を再発見するプロジェクト。 石垣島は、日本最南端に浮かぶ八重山諸島の「玄関口」です。 古くから、琉球文化と日本文化、台湾文化の交わる場所として、独自の文化を育んできました。 今も多くの観光客が訪れる石垣島の魅力は、その多様性によって磨かれてきたのです。 目指すのは、海の「潮」のように人が行き来し、「潮目」のように豊かな交点を生み出すこと。 石垣・東京・台北の3拠点を中心に、 島で生まれるモノ、働くヒト、育まれる知恵と、 世界中のデザイナーの想像力を掛け合わせていきます。 地域を知り、名産品に触れ、アイデアを出し合い、対話を重ね、明日につながる物語をつむいでいくーー。 そんなあたらしい形の「地域× デザイン」プロジェクトに挑戦します。

価値発見としてのデザイン多文化のアイデンティティ潮=交点のメタファー

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詩的なだけのコンセプト文は弱いもの。背景と文脈をどの厚みで盛り込むかに頭を使いましょう。

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チームを熱くすることば[case3] 季刊 LOFTWORK メディア企画書

課題:クリエイターを口説く

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チームを熱くすることば[case3] 季刊 LOFTWORK メディア企画書 / クリエイター依頼文

ひとりぼっちでブレスト…

おびき寄せるため張り出す

楽しそうにしておく→

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チームを熱くすることば[case3] 季刊 LOFTWORK メディア企画書 / クリエイター依頼文

企画書 Ver.1

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チームを熱くすることば[case3] 季刊 LOFTWORK メディア企画書 / クリエイター依頼文

←「想い」の補足

クリエイターへの依頼メール

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チームを熱くすることば[case3] 季刊 LOFTWORK メディア企画書 / クリエイター依頼文

←なぜ、あなたなのか?

←正直

←正直

クリエイターへの依頼メール

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チームを熱くすることば[case3] 季刊 LOFTWORK メディア企画書 / クリエイター依頼文

似顔絵を描いて懇願→

企画書 Ver.1

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チームを熱くすることば[case3] 季刊 LOFTWORK メディア企画書 / クリエイター依頼文

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プロジェクトチームのモチベーションは、品質に関わってきます。そしてモチベーションとはつくりだすもの。頼む / 話すことばも大切に。

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構造を明らかにすることば[case4] 東京アートポイント計画 パンフレット

課題:「仕組み」のビジュアル化

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構造を明らかにすることば[case4] 東京アートポイント計画 パンフレット

「なにを」ではなく「なぜ」を中心にしたツールづくりで事業価値を言語化する対話の機会を設けました。(事業パンフレットは 7年間一度もつくる機会がなかったらしい!)

※初回ブレスト時のメモ

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構造を明らかにすることば[case4] 東京アートポイント計画 パンフレット

→新しい議論へ拠点形成の成功イメージは?

本当にNPO だけ?

PO の職能 /専門性って?

東京らしさって?

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気にするべきは表に出ている「抽象:具体」のバランス。個別具体的な活動ばかりが発信されている取り組みなら、ビジョンの再言語化をすることで新しい視点が生まれたりも。

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–山田ズーニー『伝わる・揺さぶる!文章を書く』

“ 今日も、そうした教科書には載らない名文が、どこかで書かれている。おかげで、電車は走り、ビルは建ち、宅配便が届き、世の中が回っていく”

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まとめ

文章の7つの要件1 意見2 望む結果3 論点4 読み手5 自分の立場6 論拠7 根本思想(山田ズーニー『伝わる・揺さぶる!文章を書く』)

広報がことばをつくればいい…は間違い。適切なメンバーを集め、議論を起こし、形に落とすのが仕事!

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つかれました?\ 休 憩 /

ゆっくりやすんで。

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〈 広報:ことばと計画 〉

③ 届け方をたくらむ

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  世の中 

後半は広報計画について考えます

組織 いろいろなメディア

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広報が動き出すとき

こんな企画が動いていて、●月●日頃に発表できそう !

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そのとき広報の脳内は…

新ネタきたー !! / トーンはフレンドリー? ラグジュアリー? / 開く? 閉じる? / 短期戦? 長期戦? / プロセスの記録いらない? / 画になる? / 季節・時流的にどう? / ウリは何? ゲストかしらテーマかしら会場かしら / 素材ある?つくる? / プレスリリースは出す? 軽めにニュースリリース? / 誰が拡散してくれるだろう? / 後でポートフォリオの代表事例として使える? 撮影予算つけるべき? / 前パブ・記録・後パブどこに注力しよう? / この担当者は出世しそうだから素材多めに残しておこうかな / 拡散するワードは何かな / コラボレーターに拡散力高い人いないかな / 参加者がシェアしたくなる仕掛けは / あのメディアは欲しがりそう / この企画何回ネタにできる ?

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広報計画はクリエイティブな作業

いろいろなメディア

ターゲットを設定→ネタの内容鮮度・トーンを精査↓

   ↑届ける方法タイミングを計画

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広報計画はクリエイティブな作業

沢山イメージする→ 5W1H設計→施策へ

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[work] 広報計画ブラッシュアップ架空のイベントを題材に広報リーダーになったつもりで計画をテコ入れしてみる

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お題:架空のプロジェクトの広報計画に赤入れ!

ポイント・狙い通りに届くか?・体制的に可能か?・他にチャネルはないか?

モチモチだんごツアーズ

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もしもわたしだったら…

• 2日限りで地域密着のプログラムをいかに盛り上げ、残すか• チラシ→ウェブ→ SNS というありがちな思考順序を見直す• SNS のアカウント多すぎるのでは? • ウェブはもっと早くだせるのでは?• 事前イベント等他の手段もあるのでは?• リリースを雑誌や協賛 /地元新聞社に持ち込むタイミングで設計?• リリースを数段回にわけては?• 当日取材の働きかけをして後パブを出せない?• ボランティア募集はどこではじめる?• 画になるポイントはどこでつくる?

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# まとめインハウス広報をまじめにやると事業も育つ

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# まとめ“思考と対話と技術”は広報も大事

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