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ククククククク ククククククク クククク クククククククク クククク ククククククク ククククク クククク クククク ・・ クククク GLOCOM ククククク ククク AXIES2012 クククク ククククククク 2012.12.18.

description

近年の米国の動向を題材にICT利用による教育オープン化について考えたもの。

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クリエイティブ・コモンズが拓く

オープン・エデュケーション渡辺智暁クリエイティブ・コモンズ・ジャパン 常務理事国際大学 GLOCOM 主任研究員・准教授

AXIES2012 年次大会  於:神戸国際会議場 2012.12.18.

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自己紹介・クリエイティブ・コモンズ・ジャパン: NPO 法人 クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの開発・普及などを行う。 自分はボランティアとして関与:ライセンス、国際連携、組織運営、調査

研究、アウトリーチ(特に学術・政策系)など

・国際大学 GLOCOM :大学の研究所 情報社会についての学際的研究所(社会科学系) フルタイムの研究員として関与:情報社会、米国の ICT 産業、 ICT 関連政策

など

# オープン化に関わったのは 2000 年代前半にウィキペディアに参加してから# 米国の教育オープン化をここ 2 年ほど調査→本日の話題

※ 講演の内容は個人の見解で、所属組織の公式見解などではありません。

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ねらい・ CC ライセンスの詳しい話よりも、それを活

用して進められている教育のオープン化について、論じたい。

・ CC ライセンスを活用したプロジェクトだけでなく、より広い範囲の取り組みについてとりあげ、高等教育の変動の可能性について、紹介・問題提起を試みたい。

※ ライセンスの話も少し入っています。

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お伝えしたいこと1.コンテンツ(教材)のオープン化は、米国で活用例

を生みつつある2.ライセンス選定を含め、いくつかのツボを押さえる

と、エコシステムが育ちやすい3.米国の状況は今後も進展しそう4.学習機会、単位認定、学習成果認定のオープン化は

大きな注目を浴びている5.高等教育の業界秩序を揺るがす可能性もある

→ オープン化の要否について検討すべき 第一歩はおそらく教材オープン化から

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0.要点と、考えていただきたいこと

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教材オープン化の方向性・講義資料は教員による家内制手工業「秘伝のタレ」・教科書は特定少数の書き手から多数の教員へのマス

生産

→共有資源化と、そのリミックスやコラボレーションに。

・無料化、アクセス拡大( Y. Benkler の” Commons-based peer-production” が概念としては有用)

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単位・学位のオープン化・授業を「履修」しなくても学習できる →オープン教材、オンライン教育・教員の採点を受けなくても単位がとれる →能力評価ベースの教育機関や単位認定制度・学位がなくてもよい就職ができる →正規課程以外のスキル認定制度

※無料化・価格破壊、時間・空間制約緩和、新規プレイヤー参入

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米国の動き・トップ校がオープン化を牽引、メディアも注目・オバマ政権、ヒューレット財団、ゲイツ財団などが多量

の資金投入(少なく見積もっても年間 10億円規模か)・エコシステムを構成するプレイヤーも多様:技術者・スタートップ企業NPO(Shuttleworth F., Mozilla F., CC)非典型高等教育機関

・推進力は教育機会拡大と教育コスト抑制

・弱点は党派対立か( Open Ed パイオニア 対 新興MOOCs勢)

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何故オープン化が起きるのか?ICT は、組織や空間を越えた情報流通のコストを下げる →コラボレーションや共有のコストが下がる。

→  内製 より 外注  少数チーム制作 より クラウドソーシング の費用対効果がより大きく改善する。(依然として内製や少数チーム制作の方が優れた

選択肢になっていることも、もちろんある。)

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何故オープン化が起きるのか?・教員は、教材や講義資料作成をコラボレー

ション化するコストが減る。・大学は、優れたカリキュラム編成に、自校

の教員以外の提供する教育・学習機会や成果認定を活用するコストが減る。

※他人の力を借りるコストは減っても、他人の力が役に立たないなら借りる意味はない。

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どこまで行くのか?・オープン化が常に効率的というわけではない。・「 ITバブル」  - 期待過剰かも知れない。・日本では広がらないかも知れない。・(でもそれは国際的に日本の高等教育のレベルを低下させるかも知れない。)

・「百科事典」  - オープン化された教材・教育制度が無視できない勢力になるかも知れない。

・「写真店」  - 大学は原型をとどめないほどに変質するかも知れない。

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大学はどう対応すべきか?・調査と戦略立案は、強くお勧め・様子見のリスク v 実験のリスク・中堅校は存在意義を問われるリスク / 改革

のチャンス・トップ校は事業拡大のチャンス・優秀な教師の大学離れ、学生離れも・各種見直し:教員数、評価基準、収益モデ

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大学はどう対応すべきか?→ オープン化の要否について検討すべき 第一歩はおそらく教材オープン化から

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国はどう対応すべきか?・公益:資源共有やアクセス拡大を推進・教材に使える政府保有データもオープン化・高等教育の国際的な水準を上げる機会・「研究」活動の資金確保は大きな課題になる・測定:学習効果;標準化;インセンティブづ

け・何を教えるべきか、教育は就職のためか、な

どは依然重要な問いになる

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お伝えしたいこと(再掲)1.コンテンツ(教材)のオープン化は、米国

で活用例を生みつつある。2.ライセンス選定を含め、いくつかのツボを

押さえると、エコシステムが育ちやすい3.米国の状況は今後も改善しそう4.学習機会、単位認定、学位認定のオープン

化は大きな注目を浴びている。5.高等教育の業界秩序を揺るがす可能性もあ

る。

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1.コンテンツ(教材)のオープン化は、米国で活用例を生みつつある。

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OCW と OER

OpenCourseWare – 高等教育機関Open Educational Resources-教育全般

・教材、授業のデザイン、演習問題などをオープン化する。

・典型的には CC ライセンスをつけて、再利用可能にする。

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OCW

・コースを単位とした、教育資源のオープン化・米国を中心に、世界中で大学や高等教育機関が授業

に関する情報を公開・英語で提供されているコースは 4,000 科目以上 *・ MIT は特に力を入れている。 2,000程度のコースを

提供 **

*OpenCourseWare Consortium <http://www.ocwconsortium.org/en/courses/browselanguage/browse/language/

English>**< http://ocw.mit.edu/courses/ >

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MIT の OCW トップページ http://ocw.mit.edu/courses/

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MIT OCW サイト内 コースリストhttp://ocw.mit.edu/courses/comparative-media-studies/

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MIT OCWサイト内 シラバスhttp://ocw.mit.edu/courses/anthropology/21a-337j-documenting-culture-spring-2004/syllabus/

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他の米国の大学・カリフォルニア大学バークレー校・イエール大学・ジョンズ・ホプキンス大学・ミシガン大学・米国外のものも含め、英語の OCW を提供し

ている機関は 90以上

→ トップ校を含め、世界中で取り組みがある

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10 年を迎えた・ MIT が 2001 年に開始・ 2002 年にテスト用サイトを公開・ヒューレット財団が 2002 年から大掛かりな支援を

開始。 5 年間に $68mil を投資。 *  現在までアグレッシブに助成金を提供してきた。

※ヒューレット財団も資金投下の焦点を移すため、今後については楽観できないとの見方もある。

*Atkins, Brown & Hammond (2007). A Review of the Open Educational Resources (OER) Movement: Achievements, Challenges, and New Opportunities. Report to the William and Flora Hewlett Foundation. (p.7) http://www.hewlett.org/uploads/files/Hewlett_OER_report.pdf

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日本2005 年にローンチ・大阪大学・京都大学・慶應義塾大学・東京工業大学・東京大学・早稲田大学現在では正会員 20校、ほかに準会員・賛助会員も

最も精力的に展開しているのは東工大。

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日本の活動

日本オープンコースウェア・コンソーシアム「 JOCW について」より転載 (2012.12.16) http://www.jocw.jp/AboutJOCW_j.htm

公開コース数の推移

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OCW コンソーシアム メンバー分布http://ocwconsortium.org/en/members/members

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OER

・ OCW よりも広い範囲が関わるコンテンツ・小学校教育の教材なども含まれる・講義資料やシラバス、リーディングリストだけ

でなく、教科書、学術論文雑誌、各種メディアなども含まれる。

・単位は「コース」ではない・ UNESCO のフォーラムで 2002 年に提唱された。(ちなみにここでも Hewlett 財団はスポンサー)

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各種プラットフォームリミックス・コラボレーション・キュレーション・ Curriki・ Connexions・ MERLOTリポジトリ横断型カタログ・キュレーション・ OER Commons

いずれも数万点規模のモジュールをインデックス/ホストしている

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OCW ・ OER と 2 つのオープン化教材開発のオープン化・講義資料などを誰でも利用可能にする →先生が個別に教材を準備する必要性を減らす。他人の作った教材を改良して更によい教材にすることも可能に。

学習機会のオープン化・コースの内容を誰でも知ることができる。 →他大学や自習者が利用できる。

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オープン化の成果1.教材開発のオープン化

OCW は、現状、個々の大学教員に個人的に利用されることは稀のよう。

組織的な活用例はかなり出てきている。2.学習機会のオープン化

MIT の OCW はかなりの程度「自習者」に利用されている。

3.制度の効率化授業の履修検討段階、大学の入学検討段階で利用す

る者も多い。  →実は重要

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学習機会オープン化: MIT の場合

いずれも MIT "Site Statistics" より (2012.6.21) http://ocw.mit.edu/about/site-statistics/

訪問者の分布(月間訪問者数は 100万人程度)

訪問者の種別

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教材開発オープン化: MIT の場合100万人 /月内 9% が教員 (educator)内 16%程度が OCW を教育に活用したことがある; 31% はその予定がある *・他と組み合わせての利用… 48% *・シラバス… 36% *・課題… 28% *

 シラバスの活用件数は、 100万人中 5000 人程度か。(月間の数字としては扱えないことに注意。過去に活用したことのある者の総数)

* MIT 2011 Program Evaluation Findings Summary より http://ocw.mit.edu/about/site-statistics/11_Eval_Summary_112311_MITOCW.pdf

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組織的な活用の例・ Western Governors University ( WGU )における教材開発。

*  WGU  米国の 19 の州知事が協力して設置 オンラインで能力認定ベースの教育を提供 (試金石的取り組みとして期待されている) 学習目標は雇用主側と密に相談して設定 教材開発には億単位の資金を投じている オープン教材を活用→コスト節約を実現

※ つまり、「雇用主に求められる人材の認定・育成」*2011 年、 2012 年関係者ヒアリングおよび同大学ウェブサイトより

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組織的な活用の例・ Saylor Foundation* 既存のオープン教材を活用し、学部課程のカ

リキュラムを提供。 大学教員を雇用したコース開発 オンラインで完結する学習  200以上のコースを提供 既存大学と提携し、単位認定の道筋を確保 無料、登録不要。

*2011 年、 2012 年関係者ヒアリングおよび同財団ウェブサイトより

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組織的な活用の例・ Washington State Board for Community and Technical

Colleges - Open Course Library *

最も履修者の多い授業を中心に、教材を開発州議会とゲイツ財団が資金提供開発に際しては既存の OER を活用結果は CC ライセンスで提供州内の CTC の学生や州の教科書購入コストの軽減をねら

*2011 年、 2012 年関係者ヒアリングおよび同プロジェクトウェブサイトより

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OER を活用した大学間連携・ OER University  OER を組み合わせ・必要に応じて追加制作 学部と大学院の課程をひとつづつ実現 パートナー機関 20以上(英米豪加印などの大学) ・ Kaleidoscope 無料教材 同教科の教員が大学を超えてコラボレーション 教育効果が向上したとのデータも *

*2012 Open Education Conference での発表。

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他にも・・・・履修者数が多く、複数教員で対応する授業

の質をコントロールするために、統一教材を開発する際のベースとして活用

・コミュニティ・カレッジで、学費よりも教材費が高くなることあるため、コスト抑制のために教材開発。そのベースとして活用

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2.ライセンス選定を含め、いくつかのツボを押さえると、エコシステムが育ちやすい

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OCW のエコシステムを育てる情報のフロー ・レポジトリ ・メタデータ(主題、レベル、品質、言語、 etc. ) 

 ・検索エンジンやレコメンデーション・エンジン ・加工ツール ・共有プラットフォーム※ 公開→発見→加工→再公開が簡単・迅速・低価格になれば、 OCW の利用価値も増大する

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エコシステムを育てる意識と文化(教員) ・「そもそも OCW を知らない」 ・「他人に欠陥を指摘されるのがイヤ」(ブログ以前のマインド)

 ・「独自の講義資料を使いたい」制度(大学) ・教材開発・優れた教育へのインセンティブづけ ・ ICT を使った教育の刷新の模索(競争意識と戦略)

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現にある障壁・コース数が少ない・知られていない

・大学別に存在していて、検索しづらい・ピンポイントの検索ができない

・ PDF も多く、加工しづらい

・授業の流れや学生の文化的背景などを意識した加工が必要になる

・他人の講義資料を使いたくない

・他の者によって改良された教材がネットで公開される例が少ない

*2011 年、 2012 年関係者ヒアリングおよび各種文献より

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ライセンスの重要性・著作権の原則「許諾なくして他人の著作物を利用してはならない」

・ CC ライセンスなど「誰でも一定の条件を守れば使ってよい」

→ ライセンスなくして教材オープン化はできない

※利用:複製や翻案、翻訳、上演、展示などを含む著作権法上の概念。(個人的鑑賞は含まれない。)

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ライセンスの重要性・各大学が「著作権について」「利用規約」などを設定し、独

自のライセンスで教材をオープン化 →利用者は他の教材との組み合わせに支障をきたす。

・複数のライセンスの制約条件を同時に満たせないかも知れない。

・満たせるのかどうかを読み比べて検討する手間が大きい。

・ Flickr の写真や、 YouTube の動画など CC ライセンスで提供されている既存の資源とも組み合わせにも支障をきたす。

→ ライセンスの統一や互換性確立がなければエコシステムは育たない。

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ライセンスの役割・間違えると、エコシステムの成長の芽を摘む

・「ライセンスさえ上手くやればいい」わけではない。

・再利用の手間をできるだけ省くことが重要:

 検索、許諾取得、加工、再公表、全てのステップにあてはまる。

・ CC ライセンスは簡便さと厳密さのバランスを狙っている。

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3.米国の状況は今後も改善しそう

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ブレークスルーの取り組み例・ Learning Resource Metadata

Initiative ( LRMI ) →検索可能性の向上・品質評価指標の研究(コロラド大など) →検索の有用性向上・ OER Glue →検索・加工を容易に

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Learning Resource Metadata Initiative

・教材などに付与するメタデータを標準化・教材にメタデータを付与・検索エンジン側でメタデータを扱う詳細検索機能を用意

- クリエイティブ・コモンズが中心- Google 、 Bing は対応見込み。-ゲイツ財団が資金提供- 教科書など教育関係の図書の 3 大出版社も参加-TAACCCT の助成対象者にメタデータ付与を支援‐5-7 年程度のスパンで効果が期待できる

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TAACCCT・労働省と教育省が共同で実施する職業再訓練を対象とした資金助成プログラム

・ TAACCCT=Trade Adjustment Assistance Community College and Career Training Grant Program

・ 20億ドルを 4 年間かけて提供・作成される教材はすべてクリエイティブ・コモンズのオープンライセンス

の下に提供する義務・ TAACCCT はコミュニティ・カレッジなどを通じて、高所得職業のための訓練を提供

・不動産バブルの崩壊とリーマンショックに端を発した米国の不景気への対策である米国復興・再投資法( America Recovery and Reinvestment Act: ARRA )によって定められ、後のより具体的な法改正を通じて実現*

* U.S. Department of Labor “Trade Act Assistance Community College Career Training (ETA) ” <http://www.doleta.gov/taaccct/> ほか

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品質の指標化 コロラド大学の研究者を中心とする研究チーム:学習アルゴリズムを活用してOERの品質評価

・評価結果をもとにした詳細検索用の検索エンジンを開発・地球科学系の特定のOERレポジトリの教材を対象・七つの品質指標について評価・指標「(扱っている概念・事象について)明確な定義が与えられている」など、形式面

に着目したもの。・品質の評価は人間によるものと学習アルゴリズムによるものとを比較し、両者の間に

大きな差がないことを確認している。・指標の拡大(それらに対応するアルゴリズムの開発)、対象とするOERの範囲の拡大

の二つの課題があるため、簡単には規模が拡大しない。・5年から10年程度のスパンで考えた場合、ある程度の効果が期待できるか。

* Leary, H., M. Recker, A. Walker, M. Recker, P. Wetzler, T. Sumner, & J. Martin [2011], Automating open educational resources assessments: A machine learning generalization study. In Proceedings of the Joint Conference on Digital Libraries, New York: ACM, pp.283-286.

Bethard, P., K. Wetzler, J. Butcher, & T. Martin [2009], Automatically characterizing resource quality for educational digital libraries. In Proceedings of the 2009 Joint International Conference on Digital Libraries, New York: ACM, pp.221-230.

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備考オープン教材の数が少なくても、・品質の高いものが見つけやすい・ピンポイントで必要な部分が検索・発見でき

る・明らかに不要なものを排除できるなどの改善があれば、 OCW ・ OER の利用は

かなり容易になる

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OER Glue

オーサリング・ツールの一種※Glue = 糊・オンラインの教材として加工・組み合わせ・

組み込みなどが容易にできる・ OER を検索できる(独自の検索エンジン)・関係が深い教材を自動的に提示するレコメ

ンデーション機能も備わっている。・検索しながら教材を開発していける

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OCW ・ OER  まとめ・教材作成のオープン化 オープンライセンスがあることのメリットはそれ

ほど享受されていないかも。 (ウィキペディアのように、許諾無しでは成立し

ないコラボ・再利用は多くないかも) 組織的取り組みはあるが、障害も多い。  5 年程度でだいぶ解消されるかも知れない。

・学習機会のオープン化 既に利用例が多くあると思われる。

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4.学習機会、単位認定、学位認定のオープン化は大きな注目を浴びている。

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教育制度のオープン化・ OCW 、 OER は、コンテンツのオープン化

を中心とする取り組み

・教育に関わる意思決定、コミュニケーション活動をより広くオープン化する取り組みも存在している

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教育制度のオープン化オンライン・コース提供(部分的に重複)

・カーネギーメロン大学 OLI ・ Saylor Foundation (既述)・ MOOCs ( Massively Open Online Courses )

自習者コミュニティ・ P2P U 、 OpenStudy 、ほか

認定のオープン化・ Mozilla Foundation オープン・バッジ・イニシア

チブ

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Open Learning Initiative・オンライン上で学習者が使える教材

・実証的な学習効果研究の成果に基づいて開発・教材の効果測定や測定結果に基づいた修正を行っている・教育工学などの専門家が(教材の主題についての専門家と並んで)関与・一部科目では、対面での指導と組み合わせることで、通常の授業に比べて最大

2倍程度の速度で同量のカリキュラムを消化できる。 *

・ゲイツ財団、ヒューレット財団などをはじめ複数の財団の支援を受けた比較的大規模な取り組み

* Lovett, M, O. Meyer & C. Thille [2008], “The Open Learning Initiative: Measuring the effectiveness of the OLI statistics course in accelerating student learning,”

Journal of Interactive Media in Education. <http://jime.open.ac.uk/article/2008-14/351>

C.Schunn&M.Patchan[2009], AnEvaluationofAcceleratedLearningintheCMUOpenLearningInitiativeCourse“Logic&Proofs”

<http://www.phil.cmu.edu/projects/apros/overview/documents/landp_report.pdf>

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自習者コミュニティ

・ OER 、 OCW などを活用できる自習活動用プラットフォーム

・(オープンでない教材も OK )・ OpenStudy は OCW などに埋め込むことで自習者

コミュニティの形成を促せるような仕組みも用意。

・ OpenStudy は NSF 、 NIH も資金提供、 P2PU  はヒューレット財団、 Shuttleworth財団 * も援助

*Ubuntu の創設者 Mark Shuttleworth の財団

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MOOCs

Massively Open Online Courses2012 年に爆発的に流行。メディアでも注目。数分のビデオ + クイズからなる授業の組み立て 理解度に合わせ、表示内容を調整EdX - ハーバード大と MIT が設置、エリート校から申

し込み多数。数十億円規模。バークレー、テキサス大、ペンシルバニア大、等

MITx – MIT独自イニシアチブCoursera – スタンフォード大のスピンアウトUdacity – 同上

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MOOCs の特徴・学習者の行動パターン、学習などを詳細に

データ化、解析、教材開発に活用  (OLI と同じ流れ )・ひとつの授業の履修者が一度に 5万人、 15万人といった例も

・授業は誰にでも履修可能、かつ無料。最終評価や修了証発行は有料。

※ これらと異なる方向を志向する MOOCsもある

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MOOCs の波乱:教育として・オープン教育なのか?:学習は無料、オンライ

ンなのでアクセスしやすいが、 CC ライセンスなどはない。→加工・コピーなどはできない

・ OCW/ OER が単なるコスト抑制だけでなく、コラボレーションを志向していたが、 MOOCs は、Computer Assisted Instruction の単純な延長

※メディア:教育オープン化の革命として扱う パイオニアたち:必ずしもよく思っていない。

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MOOCs の波乱:事業として・エリート校が優れた授業を MOOCs で提供 →中堅校は自前で事業を提供するべきか? 人員・コスト削減をするべきか?・エリート校(スタンフォード)の人気教員がスピンアウト

 →人材流出になるか? (教育者としてのやりがい、収入、研究に費やせる時間等)

・学習効果の測定が詳細化→ 優れた教師と優れた研究者のズレが浮上?

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Open Badges Project

・学習成果・技能などの評価者・評価基準をオープン化(非常に野心的な取り組み!)

・ Firefox などの開発をとりまとめている Mozilla 財団のプロジェクト

・「バッジ」…オンライン・ゲームなどからの着想・ジャーナリズム分野などに強いマッカーサー財団( MacArthur Foundation )が資金援助

・プログラム言語は大学の学位がすぐ古くなる分野

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参加組織例The Manufacturing Institute (Nat’l Manuf. Assoc. の非営利組織 ) – 製造業の労働者にとって有益なスキル・知識の認定にバッジを使う。

退役軍人省( Department of Veterans Affairs ) - 退役軍人の持っている技能などを明らかにし、彼らの就職を支援する

スミソニアン博物館 - 一定の学習を終えた者にはインターンの機会を提供南カリフォルニア大学 - 学生のインターンやボランティアの単位認定に加

えてそれらの活動を通じて得られた技能・知識を認定するパデュー大学 - 学生の学習目標達成を詳細に認定。 モバイルアプリ。

既存の教育機関の他にも業界団体、政府、公共機関など多様な主体が参加。総計約400 。著名組織も含まれている。

* “Badges for Lifelong Learning Competition Stage One Learning Content Winners and Collaborators, ” <http://www.dmlcompetition.net/Competition/4/winning-projects.php?group=dmlc-4b> , <http://www.dmlcompetition.net/media/4/stage-one-content-winners.pdf>

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Open Badge Infrastructure

・学位・単位のように発行・認定機関が保管する情報ではない。

 ウェブ上のさまざまな場所で表示( SNS のプロフィールページなど)

・インフラと規格を Mozilla が担当。(詐称は困難)

・(発行主体と表示サイトの間のコミュニケーションを標準化、個人認証などと組み合わせる。)

・(パッケージ化したオープンソース・ソフトを提供)

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DML コンペティションとの連携HASTAC (新技術と研究・教育の可能性を考えるネットワーク

  McArthur財団の資金提供がある他、 Duke 大、 UC Irvine 、 USC などが特に深く関与)

HASTAC のコンペティション企画: Digital &Media Learning コンペティション

第 4回は Mozilla財団のバッジプロジェクトと連動し、様々な組織・団体の活用案を募った

ローンチ・イベントからは、 Department of Education なども非常に大きな期待を寄せていることが伺える。

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5.高等教育の業界秩序を揺るがす可能性もある。

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着目すべき点単位取得の道・ MOOCs の修了証を単位認定する動きがある。・ Saylor Foundation での学習も同様。

「学位の独占性」への揺さぶり・バッジがより詳細な情報を伝える・雇用主がニーズを細かく表現・指定できる・ MOOCs やバッジで突出した人材を発見しやすくする・「学位よりも就職に有利」な資格になるか?(汎用性の高いエリートの確保がしづらい雇用主から見た場合、エリート校以外からの学位や成績よりも、詳細なスキル・知見・適性などの情報の方が有用な情報に見える可能性が、あるかも知れない。)

・学生にとっては大学教育よりも低コスト、利便性も高い場合がある。

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着目すべき点・無料の学習機会

・能力評価型機関の存在・単位認定、学位相当認定の動き

・学位の独占性への揺さぶり

→ 大学の学生・学費獲得への揺さぶり

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まとめ:教育分野のオープン化大まかな方向・教材を作成する人:授業の担当者→不特定多数

・教える人:授業の担当者→学習者も含む・教わる人:学生(入試合格者)・履修者→誰

でも・知識・技能認定:政府に認定された機関→誰

でも

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まとめ:教育分野のボトルネック

・教材:著作権法による法的独占制度・教育者:学位・研究業績・師弟関係等・学習者:入学試験・学費支払い等・知識・技能認定:政府による教育機関認定制度

オープン化はこれらのボトルネックを解消・緩和し、不特定多数に開放する変化

※質の保証を、資格(入口)やプロセスのコントロールではなく、達成内容(出口)のコントロールに限定する、という傾向がある。

※負の面が伴わないわけではない。

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まとめ:教育オープン化の推進者・ベンチャー企業  OER Glue 、 P2P U, OpenStudy, Udacity, Coursera・財団( IT長者の社会貢献活動) 

Hewlett 、 Gates 、 Saylor 、 Shuttleworth・先進的な著名大学  MIT 、 CMU・連邦政府  TAACCCT 、 VA・ NPO やアクティビスト  Creative Commons 、 Mozilla

評判・資金・人材・専門性・ビジョンなどを提供しあいながら展開するイノベーションのエコシステムを形成している。

※ 日本はベンチャー(技術)、財団(資金)が特に弱い印象。 中央政府のコミット度も不安定か。  JOCW の組織的取り組みは世界的にもトップクラス。

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どうすればいいか?教材のオープン化が第 1 歩- 授業の撮影やコンテンツ化- 教材の著作権処理など、法律面- ライセンス選定- オープン化のマインド(個人・組織)

+ データマイニング + テスト + 認証システムなど=MOOCs

MOOCs が目指すべき未来であるかどうかは、模索中。(科目にもよる)

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どこまで行くのか? (再掲)・オープン化が常に効率的というわけではない。

・日本では広がらないかも知れない。・それは国際的に日本の高等教育のレベルを低下させ

るかも知れない。・「 ITバブル」 あるいは期待過剰かも知れない。・「百科事典」 オープン化された教材・教育制度が無視できない勢力になるかも知れない。

・「写真店」 大学は原型をとどめないほどに変質するかも知れない。

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大学はどう対応すべきか?(再掲)

・調査と戦略立案は、強くお勧め・様子見のリスク v 実験のリスク・中堅校は存在意義を問われるリスク / 改革

のチャンス・トップ校は事業拡大のチャンス・優秀な教師の大学離れ、学生離れも・各種見直し:教員数、評価基準、収益モデ

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国はどう対応すべきか?(再掲)

・公益:資源共有やアクセス拡大を推進・教材に使える政府保有データもオープン化・高等教育の国際的な水準を上げる機会・「研究」活動の資金確保は大きな課題になる・測定:学習効果;標準化;インセンティブづ

け・何を教えるべきか、教育は就職のためか、な

どは依然重要な問いになる

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備考1. 大学についての問い2. 日本で教育のオープン化は進展するの

か?3. オープン化について

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1. 大学についての問い

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大学教育の何が素晴らしいのか?

・生涯賃金にはプラスになる。詳細な理由はわからないところも多い。

・入試で優秀な人材をより分けているだけ? →入試だけを残せばよい・同級生との密な関係構築? →大学である必要がない・授業の内容? →圧倒的な割合が数年で忘れ去られる。・教室での議論や細かな指導? →日本にはあまりあてはまらない。/英語圏では既に安価な個人指導チューターもオンラインで調達可能。

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大学の何が・・・・大学:詳細な裏づけがないが、信頼や伝統がある、という制度?・オープン教育:詳細な裏づけがあるが、伝統がない、というオルタナティ

ブになれる可能性がある。(データの裏づけ、細かな達成度管理等のため)

・雇用主側も、補助金を提供する政府も、学生(や学費を払う保護者)も、問いを投げかけるかも知れない。

・大学の経営者としては、自問して損はなさそう。・「大学には数値で測れない複雑な効果があるのだ」というコンセンサスが続くなら問題ない。

・「出世するような優秀な人材は結局大学をよい成績で卒業している人が圧倒的に多い」でもいい。

・公共政策の観点からは「壊れていないものを直そうとするな」とも言えるし「慣習について費用対効果を問うことは有効」とも言えそう。また、「もっと明白な根拠に基づいて人を選別する社会の方が公平で、やりなおしの機会も豊富なので望ましい」という議論もあるだろう。

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学生や親にとっては・・・・無料・無試験のオルタナティブが発達すれば、学費の心配、学習塾のコストの心配などは減る。

・「受験勉強に明け暮れる時間」も減る・受験戦争を勝ち残り、トップ校に入る人が、社会に出ても有用な

人材である、という傾向 ⇔ 「プロセスはどうであれ、詳細に達成度評価をしてみて必

要な知見・技能を持っている人が有用な人材である」という傾向

 …後者がより有効な指標だとなれば、学歴と受験戦争の重要性は大きく減るかも知れない。

・ただし、データで人間の能力や適性を非常に詳細に把握できるようになることが、人を幸福にするかどうかは、自明ではない。

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2.日本で教育のオープン化は進展するのか?

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教育市場の違い・中途採用市場が発展していない→教育市場

の範囲が米国よりも限られている。→オンライン教育への短期的なニーズが小さい。

・米国のように教材費、学費の高騰が社会問題化していない。→無料教育へのニーズは小さい。

・国土は米国ほど広大ではない→遠隔教育へのニーズも小さい。

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資金の問題・ Hewlett や Gates のような IT長者がいない。・そもそも収入格差が米国ほど大きくない社

会。(経営トップの給与レベルも米国ほど高く

ない)

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AXIES 2012 からの感触・米国での進展が、大きな変革の始まりだと

考える人は多い・日本にとっても対岸の火事とは言えないと

考える人も多い・日本で米国に追いつく、あるいは米国に対抗できるような変革が起こる/起こせると考えている人はとても少ない。

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3 . オープン化について

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オープン化について・一般的には、不特定多数に対して、決定権

を与えたり、影響力の行使を許したりすることを指すのに用いられる。

・もう少し広く、「従来よりも」不特定(多様)、多数に対して、決定権を与えたり、影響力の行使を許したりすることを指すことに用いるとよいと考えている。

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オープン化について:1.著作権

・著作権は独占権。自分の創作した著作物は、自分だけが利用できる。

・それをオープンにすること = 広く利用許諾を与えること。

・不特定多数に、著作物の処遇の決定権を与えることになる。

・オープン化のメリット:  - 他人が思わぬ使い方を見つける  - より優れた作品にしてもらえる

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オープン化:著作権・自分の経済利益(金銭収入)につながる場合もある。※ 特に、経済学で「多面市場」と呼ばれる構造がある場合や、複数の収益源があって、それらが互いに関連している場合。

※典型的には、オープン化→広い層へのリーチ→ライブや有料商品の購買増。(知名度を媒介にした、他の収益源の強化。)

※Nine Inch Nails の Ghost アルバムのように、無料で共有したら、 mp3 やアルバムの売り上げが伸びる場合もある。

・自分の心理的満足につながる場合もある。・公益増進につながる場合もある。・ならない場合もある。

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オープン化:著作権・著作物のオープン化のメリットは、 ICT の

発達・普及で得やすくなっている。・自分の著作物を他人が発見、活用しやすく

なったため。

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オープン化:教育分野と著作物の対比

著作物分野:他人に権限を与えることがかえって自分の得になることがある、という「逆説」がある。

教育分野:オープン化は単に「多くの人に教育機会が提供される」というだけの意味で用いられる場合もある。

→ これらは別種のオープン化なのか?

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オープン化:教育分野と著作物教育分野でも、「逆説」は成り立つことが

ある・大学が自らカリキュラム・授業計画を作る代

わりに他の学習機会・教育サービスに任せる

→ かえって質の高い学習・教育を実現できる・雇用主が認定大学以外の機関・個人にもスキ

ルや知識、適性などの評価を任せる→ かえって精度の高い評価が可能になるなど

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オープン化2: OCW と OER

・ OCW や OER は、オープン化によって、公益を増進させる。

 ‐ 他の教員の講義資料準備時間を減らし、時間の効率的な利用を可能にする。

 ‐ 自習者の機会拡大・オープン化をする側の教員個人にとって、経済的メリットは乏しいかも知れない。

・(感想や質問のメールを受けることに心理的満足を得られる教員はいる。)

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オープン化3:単位・学位認定・大学とその教員がカリキュラムや授業計画、評価基準を考案して認定するの

が単位。学位も同様。・「技能や知識を習得していれば、単位や学位を与える。資格やプロセスは問

わない。」とするのが能力評価ベースの教育機関。 これはカリキュラムや授業計画をオープン化していると言える。入口(入

学・履修資格)や過程(授業内容)を自由に、達成度だけを見ている。・「ある程度の標準に準拠さえしていれば、評価の部分も大学自らが担当しな

くてもよい」などとすれば、単位互換の道が開けることになる。・これらは、決定権をより多様・多数の主体に分散するという意味で、このセク

ションの冒頭に挙げたオープン化の定義にあてはまるもの。・生徒の事情や特性にあった学習・教育カリキュラムを認めることができ、大学

としての費用対効果が効率化される可能性もある。・(公益の観点からは、特に、時間的・空間的・金銭的制約からキャンパスへの通学ができない者の学習活動が効率化される可能性がある。 GWU などの大学はこのような公益の増進を使命にしている可能性も考えられる。)

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オープン化3:単位・学位認定・単位・学位の認定に際して考慮対象になるのは、基本的

には「情報」である: 他の教育機関が下した判断が適当か (そもそもその機関は信頼できるのか) (そもそも本当にその機関が、この人物の知見につい

てこのような評価・認定をしたのか) 数回程度の課題評価や試験で評価・測定できる以上の幅広い知見を、その科目について有しているか

・ ICT の発展・普及によって他の主体との情報のやりとりが容易になることは、ここでもある程度、オープン化を後押しする。

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オープン化3:単位・学位認定・容易に学習記録等が可能であること、評判や信頼の簡便な確認方法があること、なども重要になる。

(単位認定とは別の理由だが、 Mozilla の Open Badges Project はこの点にかなり配慮した設計になっている。)

・ネットの普及に伴って講義資料のオープン化が可能になり、高速インターネットの普及に伴ってビデオを用いた授業の実施が可能になった。( Saylor Foundation 、 MOOCs 、 Kahn Academy など)→学習機会の拡大に対応して、単位認定をオープン化するかが意味のある問いになって来る。

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オープン化4:求職者の資質評価情報源のオープン化

・雇用主にとって、求職者の出身校、学部、成績は重要な判断材料。・(だが、余りにも粒度の粗い情報でもある。)・この学業に関する判断を各大学という特定少数の範囲の主体に任せ

ている状態にある。・ MOOCs 、 Saylor Foundation などの修了証が単位に相当すると雇用主側が認識すれいれば、単位に変換されていないまま受け入れることもありうる。

・ Mozilla Open Badges Project を通じて、もっと異なるタイプの情報が利用可能になるかも知れない。

・汎用性の高いエリート校の優秀な学生を確保しづらい立場にあるような雇用主から見ると、中堅校の学位よりも、スキル・知見・適性を細かく判断できるようなバッジなどの情報の方がよいかも知れない。

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オープン化4:求職者の評価情報源

・オンラインでの学習機会・教育サービスが増え、学習者についての評価情報が生成・流通しやすくなっている。 = 雇用主側にとって、多面的・詳細な評価情報を活用するコストが低下している。

※ダブル・スクールや、様々な資格、課外活動などは従来からも存在してきた。 Open Badges や MOOCs がそれらと比べて大きく違うのかは、検討の余地あり。

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ICT とオープン化・ ICT により、組織や空間を越えた連携・調整

などのコストが下がったので、これまでよりもオープンなやり方が、優れた選択肢になる。(本編で述べたもの)

・ ICT により、価値のある情報を生成する能力が広く分散したので、これまでよりもオープンなやり方が、優れた選択肢になる。

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ICT と教育のオープン化教育のオープン化は ICT によってクローズドな方法に比べて効率性が改善しているか?

・教材のオープン化:共有・連携・調整コストの低下により、他人の教材を利用することの費用対効果が改善している。

・単位・学位の認定オープン化:オンラインでの学習機会・教育サービスの提供コストが下がり、また、その成果情報の共有コストが下がっている。

・雇用主の判断材料オープン化:より多様な主体が、雇用主にとって有益な、(学習達成度などについての)判断材料を提供するようになった。 + それらを収集・吟味する意味が高まった。

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ICT と教育のオープン化1)ネットの普及:講義資料のオープン化 高速インターネットの普及:ビデオを用いた授業の実施( Saylor Foundation 、 MOOCs 、 Kahn Academy など)→ 学習機会の拡大に対応して、単位認定をオープン化するかが意味の

ある問いになって来る。2) SNS のような形でネット上で個人のプレゼンスが確立した→様々な専門家が、様々な形で、「この人はこんな知見を持っている」と判断ができる。→可視化・データベース化し、判断した人・された人以外にも活用しやすい情報に転換できるようになった。→これが単位・学位に対するオルタナティブたりえるかが、意味のある問いになって来る。

3) クラウド・コンピューティングや、オープンソース・ソフトウェアなどが、オンラインでのサービス提供コストを下げた→認定大学以外の教育サービスの活躍の余地が増えた。

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「クリエイティブ・コモンズで拓くオープンエデュケーション」 by 渡辺智暁 この資料は、 CC-BY 2.1 JP (http://creativecommons.org/licenses/by/2.1/jp/ ) でライセン

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