161 一一福島県における事業所・従業員分布の特質と変化一 …...161...
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Meiji University
Title福島県における事業所・従業員分布の特質と変化-事業
所統計分析-
Author(s) 栗田,健
Citation 明大商學論叢, 49(8): 161-175
URL http://hdl.handle.net/10291/5819
Rights
Issue Date 1966-08-31
Text version publisher
Type Departmental Bulletin Paper
DOI
https://m-repo.lib.meiji.ac.jp/
-
(s69)一一 福島 県におけ る事業所 ・従業員分布 の特質 と変化 一一161
福島県における事業所
・従業員分布
の特質と変化
は
し
が
き
1
事
業
所
統
計
分
析
1
栗
田
健
本稿
は明治大学社会科学研究所の共同研究としてすすめられてきた
「『経済成長』と地域開
発」
に
ついての調査研究
のうち、労働部門を担当
したグ
ループ
による実態調査
の
一部
であり、
現地調査
に基づく分析
を行なうための予備的作
業としての既存統計分析
のうち、
人
口なら
びに労働力統計
による労働力供給構造
の分析の対極として、福島県におけ
る労働力
の吸収
の態様
を見出すために行なわれた分析
である。事業所
の産業別、規模別分類
を必要
としたため、総
理
府統計局の
「事業所統計調査報告」
によ
った。年次別変化
を明らかにするため、昭和三二年、三五年、三八年
の三時
点
をとりあげたが、
この三回の調査
は単位およ
び集計方法が同]なため、比較上
の誤差
はな
い。
〔付記〕
われわれの共同研究は行政および財政、農業、産業経営、労働の各班に分か,れて行なわれているが、労働班以外のグル
ー・プの研究成果の
一部はそれぞれ次のように発表されているので参照されたい。
.茜尾孝明
〔『高度成長政策』下の地方政治]常磐
・郡山新産業都市の指定をめぐって4」(『法学新報』第七
一巻第、一〇号)
、
-
162
熊谷
一男
「新産業都市『常磐
・郡
山』地帯
の工業開発
についてー『常磐
・郡山』地帯
の資本循環
・資本類型と企業誘致の条件1」
(『経営論集』第
=
一巻第四号)
松村善四郎
「経済成長
における農業協同組合
の役割」
(『政経論叢』第三四巻
第
一号)
田中館照橘
「新産業都市と行政問
題ー
とくに常磐
・郡山地区を中心にー」(近刊)
渡辺睦「『新産業都市』の建設と中
小企業H;
常磐
・郡山地区の金属
・機械
工業を中心として」(『経営論集』第
一三巻第四号)
一
叢 一 一輪耐
学一 商(870)
われわれが分析対象とした常磐
・郡山新産業都市は、戦前には強壮な兵士と低廉な農業生産物の供給地として、日
本資本主義の文字通りの土台としての役割を心ならずも引受けてきた
「後進県」福島が、戦時中の独占資本の疎開工
場を手がかりに、高度成長の剰余の
一部を享受しようとする試みとして打ち出した
「構想」である。それが
「構想」
という言葉の持
つ空虚なひびきを克服しうるか否かは、なお今後の経過によ
って検証されるべき事項に属するが、
こ
の構想によ
って意図されている具体的な内容は、
一つは大資本の県内
への投下による税収1
とくに固定資産税1
の増加であり、他
の
一つは労働力の流出
という後進県的特徴
を止揚し
て県
民所得
の水準を引き上げる
ことにあ
る、
と
見てよ
いであ
ろう。
この二
つの目標
のいずれが計画推進
の主要
な
モテ
ィー
フとな
って
いるかによ
っては、地域開発が、
住
民
の生活環境に少しも貢献することなく、ただ自治体
の歳
入増加を計るために既存
の地元経済
の解体
11大資本
の進
出
が強行される、
と
いう
こと
に終
る可能性がな
いわけ
ではな
い。
工場用地
の整備
や港湾
・道
路その他
の公共施設拡充
た
ト
のために地元資金の投下が膨大な金額に達している現状や、それによ
って誘致された大工場が雇用に関するかぎり極
めて僅かな需要を提供するにすぎない場合などを考慮すると、この可能性は決して小さくはない。そして最悪の場合
として想定されるものは、大資本の誘致が巨額の県市町村財政の負担によ
って達成され、その資本の固定資産税など
-
(871)一 福島県における事業所 ・従業員分布の特質と変化163
第1表 事 業 所 ・従 業 員 数 の 推 移
事 業 所 数 従 業 員 数
32135138 32135138
全 国実数
指数
3460545
100
3561743
1q3
3903149
113
19582128
mO
23158446
118
27346517
139 1
福 島 県実数
指数
70587
100
71277
101
75748
m7
306142
100
338358
1佃
388710
127
神奈川県実数
指数
101315
100
106940
105
125928
124
773108
100
979714
127
1290875:
167
千 葉 県実数
指数
74393
100
77011
103
85612
115
288567
100
341364
118
463702…
161
による財政
への還流
によ
って自治体財政
に
一応
の安定
が達せられ
たにも
かかわらず、当初
の支出
を支えたはず
の県民は、依然として県外
への労
働力供給によ
って辛うじて生活を維持す
るに過ぎな
い、と
いう結果であ
る。もしも地元
への資本投下
11雇用増加
の速度
が他県
におけるそれを凌
駕し得な
い場合
には、程度
の差
こそあれ、
これは現実に起
こりうる事態
である。
第1表は事業所統計調査報告書
によ
って事業所数と従業員数
の推移
を
全国集計と福島、神奈川、千葉の三県
に
ついて示し
たも
のであ
る。
三二
年
を
一〇〇とす
る指数によ
ってみると、三二年~三八年
の六年間
に全国
で事業所数は
二ニパー
セント、従業員数
は三九パー
セントの増加とな
っ
て
いるが、
これと比
べて福島県
におけるそれぞれの伸
び率
は七パー
セン
ト、
二七パー
セントではるかに下まわ
っている
ことが注目されよう。
工
業化
がめざましか
ったと思
われる他
の二県
に
ついての数値と比較す
ると
き、その特徴
は
一層明ら
かになる。とくに千葉県
は三
二年
において福島
県
とほぼ同じ状態にあ
ったこと
に注目す
ると、
六年間
に極めて大きな差
異がこの両県
の間
にあらわれ、
一方は全国的な工業化
の進展の中
で後進
性を脱す
るにいた
ったのに対
し、
一方ではその後進性
をさらに強
めたと
いう
ことができる。福島県
が全
国の中
に占
める比重の推移
を示した第
2
-
㎡叢 一一」L-Pt -、164:
第2表 福 島 県 の 全 国 比(%)
論
、学、一一 商(872う
32 35 38
1.94
1;42
xぬ
鴻
9臼
噌⊥
2.04
1.56 .
所
員
業
業、
事
従
第3表 一事業所当り平均従業員数(A)
〔32135138{38/32(%〉
全 国
福 島
神奈川
千 葉
5.7
4.3
7.6
3.9
6.5
4.7
9.2
4.4
:7.0.
5.1
10.2
:5.4
123
118"'
134
138
.」第4表
は便宜上七段階
に区分
した経営規模段階別
に、
年度
の事業所数、従業員数
を整理したも
のであ
る。
年間
に各規模別
の事業
所
・従業員数
の増加率を指数
(三二年11
一〇〇)化
したも
のであり、
分布を全国
および各県
に
ついて百分比
により
示したものであ
る。
増加率
は三〇~九九人規模
でピークを示しているが、
三〇〇~九九九人規模
で最大
の増加
が示されている。
従業員
の全国平均を下まわる増加
は、
水準
から後退したと
いう
ことができ
る。
全国平均
より
小
・零細
規模
への集中
を示し
ており、
.表は
この間
の状態を良く物
語
っている。国民経
済におけ
る福島県
の地位
は、
・高度蓄積過程でむ
しろ低
下してきて
いるのである。
この立ち遅
れの
]つの原因
は、福島県
における従業員
の集中
が遅れてい
・るζとにあると考えられる。第3
表は第1表
から
一事業
所当りの従業員数
を算出
したものであ
るが、福島県は終始
全国平均を下まわ
って
いるばかり
ではなく、
三二年度
に福島県以下
の水準
にあ
った千葉県
にも遅
れをと
って
いる。そし
てその集中テ
ンポが著しく低
いことは、三二年を
一〇〇とする
三八年度の指数
によ
って明らかである。
この観点
から、まず福島県
におけ
る事業所
の規模別分布
に
ついて考察を加えてみよう。
全国および上掲の三県に
ついて、三二年度、三五年度、三八
そ
して第5表
は第4表
の数値
にもとつ
いて三二年
から三八年
の六
第6表は三八年度
の規模別
第
5表
の示すよう
に、福島
県の事業所
・従業員数
の
全国平均
では
一〇〇~
二九九人規模、神奈川、千葉の両県
では
したが
ってこの
六年間
に福島県
にお
いて見
られた事業所
およ
び
むしろ小規模事業
所を中
心とし
て起
こ
ったも
のであり、量的
にも質的にも全国
そ
の結果とし
て、第
6表
に見
るよう
に、事業所およ
び従業員
の規模別分布は、
千葉県との比較にお
いても劣位に立
っているのであ
る。
-
(873)一 福島県における事業所 ・従業員分布の特質と変化 一
第4表 従業員規模別事業所数 ・.従業員数の推移
165
事 業 所 従 業 員規 模(人) 年
全 国 1鵜 1神奈川1千葉 全 国1 福 島 1神奈川 1千 葉32 1021542 25234 26648 26533 1021542 25234 26648 2653
1 35 1015799 24681 25753 26425 1015799 24681 25753 2642
38 1072277 25054 29528 27649 1072277 25054 29528 27649
32 2126484 41184 64213 43636 7129351 131053 225633 14206
2~9 35 2174800 41559 68218 45429 7387273 133894 242889 14881
38 2374627 44,365 79224 50655 8097443 142331 285660 16908
32 236844 3265 7630 3436 3706715 50274 119533 5121
10~29 35 270547 3874 9058 4056 4277457 60310 144016 61241
38 326139 4772 11581 5448 5171282 75309 183528 8476`
32 60465 703 2112 656 2936836 32742 103875 3143
30~99 35 79626 932 2912 890 3903235 44755 146558 4326
38 103666 1262 4160 1466 5081738 61463 206600(注) 7237
32 11555 142 516 111 1852016 23967 83264 1751
100~299 35 15903 161 699 177 2554255 26540 112286 2780
38 20453 226 1022 323 3264986 36473 166947 5028
32 2944 48 143 16 1449580 21609 72543 696、
300~999 35 4126 60 229 29 2039943 29104 117051 1530
38 4957 58 325 62 2415407 26845 158318 2989
32 711 11 53 5 1485569 20830 139736 1284
1000以 上 35 942 10 71 5 1980463 17162 191139 18504
38 1030 11 88 9 2243384 21235 260337 29642
(注)30~49人 規模の1事 業所(農 林業)の 従業 員数が伏せられているので,非 農林業の合計にこの規模の
中間値40人を加えた。以下これに準ずる。
次に事業所
・従業員
の年次別変化を産業の
視点から眺めてみよう。
第7表は産業大分類別
に全国と前掲三県につ
いて三年次の実数をあ
げたものである。僅か
ながら農林漁業の事業
所および従業員が計上
されており、これを資
料上の都合で掲示して
いないため、各産業の
総計は全産業の数値を
若干下まわるが、当面
の考察には支障がない。
いまこの表から三八年
について産業ごとの百
分比を全国および三県
-
(874)7一 商 学 、論 叢 一166
第5表 規模別事業所 ・従業員数 の増加指数32年 ~38年(32年=100)
4
◇∨
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0
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99
99
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似
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0
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0
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0130ハUOfエOO-
第6表 事業所 ・従業員教の規模別分布38年(%)
規 模事 業 所 従 業 員
全 国/福 ∋ 神奈川{千 葉 全 国已 ∋ 神奈川1千 葉1
6.0
36.4
18.3
15.6
10.8
6.5
6.4
2.3
22.0
14.2
16.0
12.9
12.3
20.2
6.5
36.6
19.6
15.8
9.4
6.9
5.5
3.9
29.6
18.9
18.6
11.9
8.8
8.2
㌶
鴛
㍑
O
23.4
62.8
9.2
3.3
0.8
0.3
0.1
33.2
58.6
6.3
1.7
0.3
0.1
0.0
27.5
60.8
8.4
2.6
0.5
0.1
0.0
1
2~9
10・-29
30~99
100~299
300~999
1000以 上
それぞれについて計算すると第8表の通り
である。福島県の事業所および従業員の産
業別分布が全国平均を上まわ
っている産業
は鉱業、建設業、卸小売業、サービス業な
どであり、工業化の中心をなしている製造
業は大幅に下まわ
っている。神奈川、千葉
両県との比較においても同じことが指摘さ
れる。三二年
から三八年までの間に起
った
変化を指数化して表示した第9表によ
って
その特徴を指摘すれば、まず鉱業に急激な
減少が、特に従業員
について起
っているこ
と1
言うま
でもなく炭鉱
の疲弊
によるー
ー
に注意
を向ける必要
があ
るであろう。製
造業
の伸
びは事業所数、
従業員数とも
に低
位
であり、神奈
川、千葉両県
との比較
にお
いて遅れをとるば
かりではな
く、全国平均
の伸
び率にも達
していな
いことが明らかに
さ
れている。実数
をとれば、農業を除
いて
-
167 福島県における事業所 ・従業員分布の特質と変化
第7表 産業(夫 分類)別 事業所 ・従業員数の推移
(875)
産業年
事 業 所 従 業.員
全 ⇒ 福島 '神 奈 川 千葉 全 国 福 島 1神 奈川1 千 葉
全産業
32
35
38
3460545
3561743
3903149
70587
71277
75748
101315
106940
125928{85
74393
77011
612
19582128
23158446
27346517
306142773108288567
338358979714341364
3887101290875463702
鉱
業
3210157
359874
3810273
384
354
357
96
ユ02
120
55526038
76506213
79367857
27141
22320
17987
13791層057
20271515
20851623
建設業
32
35
38
176003
195661
240599
5274
5630
6468
4428
4857
6929
6255
6613
7441
1241503
1700846
2183654
2642641328
3078458390
3870881643
18375
23073
36529
製造業
32
35
38
544417
552845
619403
7691
7867、
8377
9413
10030
12872
7750
7871
8548
7444321
8905564
10415178
80714
89696
107852
32493083343
444677102595
610919153412
卸32小35売業38
1806272
1849151
1961685
36622
37384
39021
58116
61340
67721
39866
40969
44443
5967451
6790116
7984758
101702
111497
125264
212643
248585
304349
113356
125466
152942
32金保
険35融業38
50530
51301
54788
986
1031
1085
1304
1476
1740
909
854
943
606542
762605
938257
7813
9611
11636
16949
22099
32968
87641
11154
13787
不32
警35業38
23169
38481
80215
131
171
445
995
1702
4981
314
844
2778
93268
180862
61293381
258
899
2486
4168
9842
679
1577
5125
運輸通信業
32
35
38
66774
66590
76231
1525
1328
1357
1781
2643
17271157
1156'1433
970096
1241924
1484314
11927
14382
17509
54621
74744
89567
11409
15093
21468
電水気・道
ガス業
32
35
38
6488
7658
8182
133
268
305
148
144
152
93
110
124
155172
166014
172422
3631
4402
3793
5602
601ユ
7191
2060
2597
3274
サ
|ビ
ス
業
32
35
38
776735
790134
848803
17841
17244
18265
25088
25506
28564
17994
18518
19679
2609533
2989818
3514163
47037
53176
61558
112215
119009
149710
50040
57492
71485
(注)全 産業の数字は農林漁業を含むため各産業の合計値 とは一致しない。
-
(876) 一 商 学 論 叢 一一 168
第8表 各産業の全産業に対する比率38年(%)
事 業 所 従 業 員業産
全国1⇒ 神奈川 千葉 全 司 福 ∋ ㈱ ・d千 葉
鉱 業 0.3 0.5 0.1 0.1 1.3 4.6 0.2 0.4
建 設 業 6.2 8.5 5.5 8.7 8.0 9.7 6.3 7.9
製 造 業 15.9 11.1 io.2 10.0 38.2 27』 47.3 33.1
卸 小 売 業 50.2 51.5 53.8 51.8 29.1 32.1 23.6 33.0
金 融 ・保険業 1.4 1.4 1.4 1.1 3.3 3.0 2.6 3.0
不 動 産 業 2.1 0.6 3.9 3.3 0.7 0.2 0.8 1.1
運 輸 通 信 業 2.0 1.8 2.1 1.7 5.4 4.5 6.9 4.6電 気 ・ガ ス ・水
道 業0.2 0.4 0.1 0.1 0.6 1.0 0.6 α7
サ ー ビ ス 業 21.7 24.2 22.6 23.0 12.9 15.8 11.6 15.4
第9表 各産業の増加 指数32年 ~38年(32年=100)
`
1
3
8
4
5
8
4
8
9
365983・558541111117111
,
7
1
8
8
3
5
5
4
8
465984996231111113111
員業従
葉千-
川奈神-
島福ー
国全
駕
㍑
㌶
漂
㍑
c
;
蓋
塁
曇
1
1
1
1
1
2
1
1
1
5
3
9
0
1
4
6
4
3
9
;
:
慧
膓
:
所業事
葉千ー
川奈神1
島福ー
国全
4
5
6
7
6
3
1
3
3
4
膓
‖u
‖
;H
前
93
匁
。9
。6
:
89
護
1
1
1
1
1●
令∨
り6
1
3
1
6
4
9
8
5
4
7
9
u
駕
;
皿
34
H
u
-。
業
業
業
業
業
業
業
業水
業
売
徽
産
£
ス
産
設
造
・
通ガ
ビ
小融動
難
芭
全
鉱
建
製
卸
金
不
運電道サ
八万人弱
の従業員
および津
業主
の増加は、建設
一・二
万、製造二
・七万、卸
小売
二
・四万、
サー
ビス.一・五
万、そ
の他
一万
の増
加が鉱
業九千
の減少と相殺ざれて
いるのであり、
六年間に製
造
業
に吸収された労働者
又
は事業主
は僅
か二万七千人
に過ぎず、増
加分
の約=ニ
パー
セントを占
めるにとど
ま
って
いる。千葉県
におけ
る増
加は製造業七万、卸小
売四万、
サー
ビス業
二
・一
万、建設業
一・八万など
で
構成されており、製造業
に
おける従業員
の増加
は全体
の増加分
の四
一パーセ
ント
-
(877)一 福 島県における事業所 ・従業員分布 の特質 と変化、169
に達
している。
これら
の数値
から、福島県
における事業所
の増加
とそれにともなう従業員
の増加
は、,かな
ら
ず
し
も
「玉業化」と
いう方向
への経
済構造の変化を意味
していな
い、と
いえ
るであ
ろう。
二
ここで製造業をとり出してその規模別事業所数と従業員数の推移を比較してみよう。第10表は三二年と三八年の製
造業について抽出して表示したものであり、第11表は第10表からこの六年間におけるそれぞれの規模での増加を三二
年を
一〇〇として指数化したものである。とくに従業員数の変化において見られるように、福島県における製造業は
三〇人規模から二九九人規模までの間で大きく伸びており、全国平均から見てやや小規模の事業所における増加によ
って特徴づけちれる。これに対して神奈川県においては三〇人~九九人規模以上
一〇〇〇人以上規模にいたるまで平
均して増加しており、
一〇〇~二九九人規模および
一〇〇〇人以上規模の事業所にピークが見られる。千葉県におい
てもピークは三〇〇~九九九人規模であり、
一〇〇人以上、
一〇〇〇人以上の規模でも大幅な増加が記録されている。
これによ
って明らかなごとく、福島県における製造業は、その全体的な伸びが低位にとどまるだけではなく、その規
模別構成についても全国水準を下まわる中小規模における増加という、
いわば質的に劣位な内容をともな
っているの
であり、集中による工業生産力の伸展を期待することは困難である。
増加分だけをと
ってみても、
第12表に示したように、
福島県製造業において増加した従業員数二七、二二八人は
一
〇~二九人規模でその二ニパーセツトが吸収され、三〇ぱ九九人規模に二七パーセント、そして
一〇〇~二九九人規
模で二八パーセントがそれぞれ吸収されている。これに対して神奈川県では増加人員二八万余人の四四パーセントは
一〇〇〇人以上の規模の事業所に吸収されており、三〇〇人以上で合計六〇パーセント以上が吸収されている。千葉
-
(878) 商 学 論 叢 170
第10表 製 造 業 規 模 別 構 成 の.推移
1}
ー
1|
9̀
規 模
総 、 数
1
年事 業 所
全 国 1福島1神酬 雀
㍉1寄;;76919413
837712872
従 業 員
ll;2~9
61786
67410
1㍑PO
5
にU
1
0
4
1当
全 ⇒ 福 島
瓢1;44432180714
415178107852
調当61786
67410
1255
1356
匡1;㌶幽㍑謂1・-2g已
30~99
94625
116133 1当1当1;;
1440757
1551526
神奈∋ 千 葉
324930
610919 (83343
153412
当Q∨
nδ
OO
β0
ワ・
◎O
誤;ピ婿1
}㌶当16407
22232
;1已当 当1947
619 劉446572
134222
22366
22609
:1当 墓㍑
1㍑;111当;㌶1
1・・-2ggl
3・・L・-999)
1000以 上
りρ
00
り0
00 当
5
00
[0
01 当1鴛132
38
1776
2864
30
33
105
217
12
41
り白
OO
今0
3
513
760 ;,l/
llll∋886886
1445871
51083270
91722427
当 瓢2111114149
16708
55442
107794
5976
20620
6483
9907
125343
251884
12843
29642
第11表 製造業の規模別増加指数32~38年 (32==100)
事 業 所 従 業 員
全 国 福 島 神奈川 千 葉 全 国 福 島 神奈川 千 葉
総 数 114 109 137 110 140 134 188 184
1 109 108 104 109 109 108 104 109
2~9 108 101 124 98 108 101 126 101
10~29 123 133 148 137 124 135 149 141
30~99 .145 150 171 202 147 161 196 207
100~299 161 187 197 277 161 176 201 261
300~999 161 110' 206 342 163 "8 197 344
1000以 上 148 140 178 180 159 153 201 231
-
(879)一 福島県における事業所 ・従業員分布の特質と変化 一171
県
においても七〇
パー
セント近く
が
一〇〇人
以上
の規模
の事業所における増加
であり、全国平均
をと
っても三〇〇人
以上で四
一パーセ
ント、
一〇〇人以上では六ニパー
セントが占
められている。
三〇〇人以上の規模
の製造業
の伸展が
低滞
しているところに福島県
の特徴
があり、福島県製造業がその集中
の度合
においてますます全国水準
から低下して
ゆく傾向
をここに見
ることができる。
このよう
な規模別の動態
の結
果は、第13表
にあらわされているような規模別分布
を形成している。すな
わち福島県
における製造業
の従業員
が最も集中し
ている規模
は
一〇~二九人と
いう零細規模
であり、
これ
は全国平均
のピーク三
第12表 製造業従業員増加数の規模別分布32~38年
規 模1全 国1福 島1神 奈川1千 葉
70069(IOO%)
74
(0%)
243
(0%)
7524
(11%)
14522
(21%)
16486
(24%)
14644
(21%)
ユ6299
(23%)
285989(100%)
37(0%)
6063
(2%)
17146
(6%)
40972
(14%)
43160
(15%)
52352
(18%)
126541
(44%)
27138(foe%)
101
(0%)
270
(1%)
5825
(22%)
7377(2T%)
7651(28%)'2559
(9%)
3424(13%)
2970817(100%)
1624
(o%)
110769(3%)
357891(12%)
687650(23%)
610812(21%)
558985(19%)
639157(22%)
総 計
-⊥
9~2
10~29
30~99
100~299
300~999
1000以 上
○~九九人、神奈川
の
一〇〇〇人以上、千葉
の三〇~九九お
よび
一〇〇〇人以上
への集中と比
べて、著しく小規模
への片
寄
りが認
められ、全体の
バラ
ンスも福島県製造業
の零細性
を
明瞭
に示している。
そしてこの傾向
は、
この数年間
の変化
が
物語
るよう
に、さら
に拡大し
ていく方向をたど
っているので
あ
る。
最後に福島県製造業
の業種構成を見
てみよう。三二年
から
三
八年までの六年間に最大
の増加
を見
た業種
は電気機器製造
業
であり、全体
での二
・七万人の増加
のうち四
七〇〇人余り
の労働者を吸収
しており、そ
の比率
は
一七
パーセ
ント強
を示
して
いる。その増加比率も三二年
から二
=
一パーセント増
で
最高とな
っており全業種
の中
で量的
にも増加
テ
ンポ
において
-
172一 商 学 論 叢 一
第13表 製 造 業 の 規 模 分 布(%)
(880)
規 模事 業 所 従 業 員
全 国1福 島1神 奈川1千 葉 全 国1福 島1神 奈∋ 千 葉
1
2~9
10~29
30~99
100~299
300~999
1000以 上
ユ0.9
61.2
18.8
6.9
L6
0.5
0.1
16.2
60.9
16.5
4.7
1.2
0.4
0.1
6.9
49.8
24.4
12.6
4.0
1.7
0.6
10.1
62.1
18.9
6.4
1.9
0.5
0.1
0.7
14.9
18.0
20.4
15.5
13.9
16.5
1.3
19.0
20.4
18」
16.4
15.5
9.2
0.1
4.8
8.5
13.6
14.1
17.6
41.2
0.6
14.8
16.7
18.3
17.0
13.4
19.3
il
i{|
1:
…
…
も最も急速
な成長を遂
げ
ていると
いう
ことができる。
これに
っぐ
ものは絶対数
では食料品製造業
の四
二七〇人
(一六パーセント)、窯業
の三五〇
六人
(一三パー
セント)。木材の三〇
六四(=
パーセント)、金属製品製造業の二四四三人
(九パ
ーセント)
など
であるが、増加比率
では五〇〇人以上
の増加
のあ
ったも
のの中
では電気…機器に
つぐも
のとして衣服製造業
の
一八四
パー
セント増
があり、金属
製品製造業
」(一七九パーセント増)、窯業
(六六パーセント増)、計量器その他製造
・業
(六〇パーセント増)、
パルプ、紙(五ニパーセント増)などがそれに次
いでいる。
電気機器、金属製
晶、窯業
の三業種
が福島県における就業構造
の工業化
に最も
大きな貢献をした業種と見ることができるであろう。化学工業1
それは臨海
工業地帯の中心と目されているものであるがー
はむしろこの時期には減少し
ており、労働需要
と
いう側面
から見
るかぎり、
この産業が福島県
に及ぼす効果
は著
しく小さ
いと見
なければならな
い。その理由
は、第二次大戦中
にここに定
着した化学
工業
の多く
が硫安
など肥料ある
いは農薬生産
を中
心とするものであ
って、農業
の縮
小がこの産業
の拡大を抑制
して
いるためと見られる。
電機、窯業、金属加
工など、福島県製造業
の展開の主要な動力とな
っている
業種とならんで注目す
べきも
のは、食料品、木材、衣服製造など、在来産業と
目される業種
が依然として製造業従業員増加のかなり
の部分
を吸収し
ているこ
とである。
このことは、産業別
の変化
に関連してべ高度成長過程
が福島県
では
-
173 ・一一 福 島県における事業所 ・従業員分布の特質 と変化 一 一(881)
第14表 福島県製造業(中 分類)事 業所 ・従業員数の増減32~38年
事 一 業 所 従 業 員:
32「351
38 1(38)一
(32)32 35 38 (38)一(32)
合 計 17691786718377{686 80714 89696 107852 27138食 料 品 製 造 業 2103 2076 2104 1 13003※ 14646 17273 4270
繊 維 工 業 ・ 699 842 1083 584 15386※ 15718 17146 1760
表服,そ の他の繊維 製品製造業
107 109 179 72 847 1111 2398 1551
木材,木 製品製造業(家具 を除 く)
1582 1459 1478 △104 10459 11139 13523 3064
家 具,装 備 品 製 造 業 559 639 535 △240 .2989 3545 2947 △42
パルプ,紙,紙 加工品製
造業378 359 345 △33 2462※ 2833 3439 977
出 版,層印 刷,同 関 連 産 業' 231 246 271 40 2588 30363385 797
化 学 工 業 71 75 57 △14 8920 88208004 △416
石油,石 炭製 品 製 造 業 4 7 5 1 38 74123 85
ゴ ム 製 品 製 造 業 8 6 7 △'1 416 604542
`
126
皮 革,同 製 品 製 造 業 18 17 21 3 50 106205 155
窯業,土 石製 品 製 造 業 513 470 564 51 5309 57338815 3560
鉄 鋼 業 28 32 36 8 2867 30982951 84
非 鉄 金 属 製 造 業 13 16 15 2 2295 29192935 640
金 属 製 品 製 造 業 160 198 259 99 1358 15653,801
'2443
機械製造業(電 気機械を除 く)
148 166 186 38 3879 44974869
6943
990
4721電 気 機 械 器 具 製 造 業 23 25 38 15 2222 3394
輸送用機械器 具 製 造 業 78 69 72 △6 1236※ 1518 1208 △28
計量器,測 定器,測 量機械医療 機械,理 化学機械, 30 51 50 20 1362 1440 2183 821光学 機械,時 計製造業
武 器 製 造 業 一 1 一 一 一 7 一 一
そ の 他 の 製 造 業 938 10041072 134 3436 3675 5162 1726
※印はそれぞれ1事 業所の従業員数が伏せられているので,そ の規模での中間値または推定値 をもって代えてある。誤差は合計で92人である。
労働市場分析の
ための予備的作
本稿は今後の
す
ること
ができ
るのであろう。
か
ったことを示
して
いると理解
「工業化」とは
ならなか
った
こ
とを指摘したが、
それと照応して、
製造業
の若干
の
、
伸展も、大幅
な
構造変化
をとも
なうものではな
かな
ら
ず
し.も、
-
174
業であり、この段階で何らかの結論を得ることを意図していない。福島県の就業構造の
一般的特徴を明らかにするた
めには、なお就業労働者の年令、性別、地位別構成などを明らかにしなければならない。ここでは事業所統計を加工
することによ
って得られた産業別、規模別の動態の特徴について要約しておくにとどめよう。
叢一
論学一 商
臼
福島県における事業所数およびそれに含まれる従業員数の増加テンポは極めて低位にとどま
っており、全国平
(注
)
均
にも達して
いな
い。
この事実
は、事業所
の増加がかりに雇用関係
の拡
がりを意味するものとすれば、福島県を
その範囲とする経済圏
における資本および雇用労働者
の集積
が未
発達
であり、か
つ後進的
であることを意味して
いる。
(注)
「従業員」
のうち
「常雇」のみをとり出せばこの関係はより鮮明になるであろうが、資料上の制約で
「従業員総数」を
とらざるを得なかった。
、ロ
増加した事業所
・従業員は中規模ないし小規模に集中しており、福島県の経済組織を大幅に変えることがなか
った。すなわち資本および労働の集中傾向は微弱である。
日
事業所および従業員の産業別構成には、鉱業の減退を除いて、全国平均よりも微弱な変動しか起こっていない。
「工業化」のテンポは停滞的と表現しうる範囲にとどま
っている⇔
⑭
工業化の中心である製造業内部の構成には多少の変動があるが、その変動は電機、金属など
「近代的」業種と
福島県における伝統的産業である食料品、衣服、木̀材などの業種の両面的発展としてあらわれている。
(882)
以上の特徴に見られるとおり、三二年から三八年にわたる全国的な経済成長の中で、福島県は全体として停滞状態
-
(883)福島県における事業所 ・従業員分布の特質と変化 一
から幾ばくも脱しておらず、従来の労働力供給先
であ
った京浜工業地帯の発展テンポ、産業構成の工業化と比べて著
しい落差を見せている。人口移動およびその中での新規学卒労働人口の動態との比較がなお必要ではあるが、これだ
けの指標からも、福島県が依然として
「労働力供給県」という性格から脱していないことは容易に推察することがで
きる。
も
っとも、三九年三月に県下常磐
・郡山地区が新産業都市として指定され、それと前後してこの地帯の工業化が精
力的に追及されたことの成果は、われわれの資料にはあらわれていない。三八年以降の実績については、われわれの
共同研究の他の分野を担当している諸氏がすでに発表した報告においてくわしくとりあげているので、参照されたい。
175