150705 カリキュラム学会

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日本カリキュラム学会第 26 回大会 自由研究発表 II-3 分かち合い,共に未来を創造する子どもの育成 異学年合宿に見る「創造活動」の実際 文部科学省 国立教育政策研究所 総括研究官 やま もり こう よう (教育心理学) [email protected] 平成 27 7 5 この内容は個人的見解であり 国立教育政策研究所の公式見解ではありません

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日本カリキュラム学会第 26回大会自由研究発表 II-3

分かち合い,共に未来を創造する子どもの育成異学年合宿に見る「創造活動」の実際

文部科学省国立教育政策研究所

文部科学省

国立教育政策研究所

総括研究官やま山もり森

こう光よう陽

(教育心理学)[email protected]

平成 27年 7月 5日

この内容は個人的見解であり国立教育政策研究所の公式見解ではありません

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自己紹介と本日のスライド

▶ 専門:教育心理学▶ 学級規模▶ 学習評価

▶ 附属高松小学校との関わり▶ 10年前の少人数学級の実験的実施

▶ パフォーマンス課題による評価の導入

▶ 問題解決的思考

本日のスライド

http://www.slideshare.net/

koyoyamamori/150705

附属高松小学校「創造活動」 日本カリキュラム学会第 26 回大会 平成 27 年 7 月 5 日 2 / 14

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アウトライン

1. 研究開発と実践に関与して

2. 教育心理学的な検討

3. 今後の展開

附属高松小学校「創造活動」 日本カリキュラム学会第 26 回大会 平成 27 年 7 月 5 日 10 / 14

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研究開発と実践に関与して

観察された子どもの姿

異学年合宿で▶ 6年生:「1年生でもうどんを打てる!」,4年生:「1年生が眠そうだから早く寝よう」,5年生:「2年生のベッドメイキング」,6年生:「話しかけてもらって楽しい」

▶ 同年齢集団以上に異質性の高い集団における気づき

学校での縦割り創造活動で▶ 学年の上下関係を感じない「同じ問題を解決する仲間」としての言葉のやりとり

▶ 縦割り集団の中で自分だけではなく「他の人にも楽しんでほしい」

▶ 下級生が「上級生にもよろこんでほしい」

附属高松小学校「創造活動」 日本カリキュラム学会第 26 回大会 平成 27 年 7 月 5 日 11 / 14

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教育心理学的な検討

理論的な説明をどうつけるか

社会的相互依存 [1]個人の成果は自己と他者の行動に影響を受ける。前向きなものの場合目標達成につながる。

ピアチュータリング [2]教師の指導の代替 <付加,同年齢 <異年齢,教える・教えられるともに d = .60前後。

心理的コミュニティ感覚 [3]他者との共通点や相互依存,相互承認関係の認知とその関係を維持しようとする意欲,信頼でき安定的な人間関係に属しているという感覚

異種混成,定期的な出会いという点では整合的だが小集団ではない。

表面的な理解を促すことは知られているが思考を深めるかが疑問。

動機づけ,態度,学力との関係が想定されているが日本での研究が少ない。

附属高松小学校「創造活動」 日本カリキュラム学会第 26 回大会 平成 27 年 7 月 5 日 12 / 14

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教育心理学的な検討

理論的な説明をどうつけるか

社会的相互依存 [1]個人の成果は自己と他者の行動に影響を受ける。前向きなものの場合目標達成につながる。

ピアチュータリング [2]教師の指導の代替 <付加,同年齢 <異年齢,教える・教えられるともに d = .60前後。

心理的コミュニティ感覚 [3]他者との共通点や相互依存,相互承認関係の認知とその関係を維持しようとする意欲,信頼でき安定的な人間関係に属しているという感覚

異種混成,定期的な出会いという点では整合的だが小集団ではない。

表面的な理解を促すことは知られているが思考を深めるかが疑問。

動機づけ,態度,学力との関係が想定されているが日本での研究が少ない。

附属高松小学校「創造活動」 日本カリキュラム学会第 26 回大会 平成 27 年 7 月 5 日 12 / 14

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今後の展開

「創造活動」で見られる児童の姿の説明の試み

活動の場で何が起こっているのか▶ 「縦割り活動」に関する実証的研究の不在▶ 30人前後の集団全体での児童間,児童-教師間相互作用が未解明

実証的なデータから理論的な説明を試みるために▶ PSOCの測定の低学年児童への適用可能性の検討▶ 児童の考えを引き出す関わり方や基準の開発▶ センシング技術を用いた児童間,児童-教師間相互作用のログ取り

附属高松小学校「創造活動」 日本カリキュラム学会第 26 回大会 平成 27 年 7 月 5 日 13 / 14

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引用文献

[1] D. W. Johnson and R. T. Johnson.Cooperation and competition: Theory and research.Interaction Book Company, Edina, MN, 1989.

[2] J. Hattie.Visible learning: A synthesis of over 800 meta-analysesrelating to achievement.Routledge, London, 2009.

[3] S.B. Sarason.The psychological sense of community: Prospects for acommunity psychology.Jossey Bass, San Francisco, 1974.

附属高松小学校「創造活動」 日本カリキュラム学会第 26 回大会 平成 27 年 7 月 5 日 14 / 14