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132.

612. 357. 71

膽 嚢 膽 汁 ノ 水 素 「イ オ ン」濃 度 卜

膽 嚢 機 能 ト ノ 關 係 ニ 就 テ

(第3報 告)

(炎衝 ト停滯 ニ因ル膽嚢膽汁 ノ水素「イオ ン」濃度 ニ就 テ)

岡山醫科大學泉外科教室(主 任泉教授)

大 庭 九 一 郎

[昭和8年1月14日 受稿]

Aus der I. Chirurgischen Klinik der Okayama Medizinischen Fakultat

(Direklor: Prof. Dr. Goro Izumi).

Uber die Beziehnngen zwischen der Wasserstoffionen-Konzentration der Blasen-Galle and der Gallenblasenfunktion.

III. Nitteilung.

Von

Kuichiro Ooba.

Eingegangen am 14. Januar 1933.

Nach Naunyn ist die Entstehung der Galleusteine auf Gallenstauung and Bakterieninfektion zuruckzufuhren, Rous, Kato, Inoue und Oota auf Veranderungen in der Wasserstoffionen-Konzentration der Galle. Verf. hat deshalb experimentell bei Gallenstauung and Bakterieninfektion die Ph des Gallenblaseninhaltes untersucht and ist dabei zu den nachfolgenden Schlussen gekommen:

1) Es ist sicher, dass die Ph des Gallenblaseninhaltes bei Bakterieninfektion

(Bac. coli commune) and Gallenstauung verandert wird and zwas zunachst nach der alkalischen Seite. Die Alkalitat ist zwei bis funf Tage nach der Infektion am starksten, dann scheint es ale ob eine allmahliche Abnahme nach der sauren Seite bin stattfindet.

2) Bei der Gallenstauung and Bakterieninfektion (Bac. coli commune) entstehen

quantitative Veranderungen in der Zusammensetzung der Blasen Galle, bezuglich ihres Gehaltes an Bilirubin, Cholesterin And Gallensaure. Im Vergleich dieses Ergebnisses

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zu meinen fruheren Ergebnissen mit nur experimenteller Stauung der Gallenblase

komme ich dabei zu den nachstehenden Schlussfolgerungen:

a.) Bei Gallenstauung nimmt der Bilirubingahalt zu, dagegen nimmt er bei

kombinierter Stauung and Infektion leicht ab.

b.) Bei nur Gallenstauung nimmt der Gehalt der Blasengelle an Cholesterin

mit dem Zeitverlauf allmahlich zu and diese Zunabme halt auch nach der Infektion

weiter an.

c.) Die Gallensauremenge nimmt mit dem Zeitverlauf bei Gallenstauung ab and

diese Abnahme geht auch nach der Infektion unvermindert vor sick.

3) Bei aseptischer Cholecystitis and Gallenstauung wendet sich die Ph der Blasen

galle nach der alkalischen Seite.4) Verf. nimmt an, dass zwischen dem Grade der Entzundung der Gallenblasen

wand and der Ph der Ballenglass ein bestimmter zusammenhang besteht. Bei akuter

Entzundung wendet sich die Ph nach des alkalischen Seite, bei subakuter Entzund

ung odes wenigstens wenn das histologische Bild subakuter Entzundung vorliegt, tritt

im Gegenteil eine allmahliche Wendung nach der sauren Seite ein.

5) Mehr noch als lurch die Veranderungen in der Zusammensetzung der Blasen

galle wird die Ph durch die pathologischen Veranderungen der Gallenblasenwand beeinflusst. (Auroreferal).

目 次

緒 言

第1節  文獻摘要

第2節  膽嚢 ニ大腸菌注入後膽嚢膽汁 ノ水素 「イ オ

ン」 濃度 ノ移動

第1項  實驗 方法及 ビ材料

第2項  實驗成績

第3項  本節總 括

第3節  膽嚢膽汁 ノ停滯及 ビ細菌感染 ニ據 ル膽汁 ノ

性状及 ビ主要成分 ノ變化

第1項  實驗方 法及 ビ材料

第2項  實驗成績

第3項  本節總 括

第4節  膽嚢 内及 ビ試 驗管内 ノ膽汁 ニ大腸菌 ヲ注加

セル場合 ノ膽 汁水素「イ オン」濃度 ノ趨移觀

第1項  實驗方法及 ビ材料

第2項  實驗成績

第3項  本節總括

第5節  無菌性膽嚢炎 ノ場 合 ノ膽嚢膽汁 ノ水素 「イ

オ ン」濃度 ニ就テ

第1項  實驗方 法及 ビ材料

第2項  實驗成績

第3項  本節 總括

第6節  膽嚢膽汁 ノ膽嚢 内停滯 ト大腸菌感染 後 ノ水

素「イ オ ン」濃度 ト膽嚢壁 ノ組 織學 的所見 ト

ノ關 係

第1項  實 驗方 法及 ビ材料

第2項  實驗成績 及 ビ本節總括

第7節  本實驗總 括

第8節  結 論

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膽嚢膽汁ノ水素「イオン」濃度ト膽嚢機能 トノ關係ニ就テ(第3報 告) 2381

緒 言

曩ニ余ハ膽嚢膽汁ノ水素「イオ ン」濃度 ト膽嚢機能 トノ關係ヲ論 ジ,膽 嚢膽汁ハ膽嚢内ニ停滯

スル時 ハ其ノ時間 ト共 ニ水素「イオ ン」濃度ハ酸性側ニ移動 ス.其 ノ主因ハ膽嚢壁ノ生理的機能

ニ因ル結果ナルコ トヲ報 告セリ.尚 ホ膽嚢内膽汁停滯時ノ膽汁主成分ノ消長 ト水素「イオ ン」濃

度 トノ關係ヲ檢索セシニ,「 ピリル ピン」及ビ「コレステリン」ハ停滯 ト共ニ濃縮サ レルモ,獨 リ

膽汁酸ハ却テ減少ス.而 シテ膽嚢膽汁 ノ膽汁酸減少スル時ハ水素「イオン」濃度ハ概 シテ酸性側

ニ移動 セルヲ知 リ得タ リ.仍 テ余ハ膽嚢膽汁ニ細菌ヲ感染 セシム レバ膽嚢内膽汁ノ水素 「イオ

ン」濃度ハ如何様ニ趨移 スルカ,而 シテ其ノ變動 ガ膽汁自體 ノ變化 ニ因ルカ,或 ハ膽嚢壁 自體

ノ變化ニ據ルカテ探究 シ以テ膽嚢膽汁ル水素「イオン」濃度 ト膽嚢機能 トノ關係ヲ闡明 セン トセ

リ.

尚ホ又本實驗ニ由 リ膽石形成ニ膽汁ル水素「イオ ン」濃度ノ變化ヲ必要 トスル膠質化學的見知

ヨリRous,井 上,太 田及 ビ加藤氏等ノ説 ガ如何ナル符合ヲ齎 ラスモノナルヤヲ窺知 セントセリ.

以上ノ企圖ニ基キ聊カ小實驗ヲ遂行 シタルヲ以テ,是 ヲ爰 ニ報告 シ以テ諸賢 ノ御叱 正ヲ仰 ガン

ト ス.

第1節  文 獻 摘 要

Naunyn (1892)ガ 膽 石 形 成 ニ對 ンテ細 菌 感 染 説 ヲ

出 シテ ヨ リ其 ノ證 明 ニ對 スル 實 驗 的 竝 ニ臨 牀 的 研 究

ニ枚擧 ニ遑 ア ラザ ル有 様 ナ リ.爾 來 膽 石 症 患者 ノ膿

嚢 膽 汁 ヨ リ檢索 サ レ タル細 菌 多 々 ア ルモ,主 トシテ

大 腸菌 ナ リ(三 宅 博 士96.6%,問 田82.2%, Wagner

及 ビMayer 54.5%,永 井76.9%横 田89.1%滋 野 井

90.9%)膽 嚢 内細 菌 感 染 徑 路 ニハ 血 行 性,上 行 性 及 ビ

淋 巴性 ノ3様 ア リ. Triesleben (1928)氏 ハ 血 行 性 ニ

ハ 腸「チ フス」菌,「 パ ラ チ フス」菌,葡 萄 状球 菌 及 ビ

連鎖 状球 菌 ヲ,上 行 性 ニハ大 腸 菌 及 ビ腸 管球 菌 ヲ擧

ゲ タ リ.上 行性 感 染 ニ關 シNetta, Duchaux及 ビ三 宅

博 士等 ハ總 輸膽 管下 部 ニハ 多 ク ノ場 合 腸 管 ヨ リ侵 入

セ ル細 菌 ヲ存 ス トセ リ.殊 ニ三宅 博士, Ehret及 ピ

stolz氏 等 ハ動 物 實 驗 ニ ヨ リ一 度 ビ膽 道 系 統 ニ鬱 滯

現 象起 レパ忽 チ 細 菌 ノ侵 入 ヲ蒙 ル モ ノナ リ トセ リ.

Naunynハ 膽 道 系 ノ感 染 ナ ク シテ 膽 石 形 成 ナ ジ ト主

張 シ,膽 汁 内「コ レステ リ ン」ハ肝 細 胞 ヨ リ分 泌 サ ル

ル外,尚 ホ膽 嚢 上皮 細 胞 ガ炎 症 ニ ヨ リ壊 死 崩 壞 シ,

其 ノ胞 體 内 ニ含 有 セ ル 「コ レステ リ ン」 ヲ膽 汁 内 ニ

放 出 シ,漸 次 蓄積 シテ 膽 石 ノ形 成 ニ資 ス ト論 セ リ.

Lichtwitz氏(1907)ハ 膽 汁 ノ完 全 ナ ル物 理 的 状 態 ハ

蛋 白或 ハ細 菌 ノ侵 入 ニ因 リ變 化 サ レ「ピ リル ピ ン」石

灰,燐 酸 石 灰 或 ハ炭 酸 石灰 等 ヲ沈 澱 セ シム ト. Rous

氏(1924)ハ 犬 ノ實 驗 的膽 石症 ニ於 テ 膽 汁 ノ水 素 イ

オ ン」濃 度 ノ意 義 ヲ探 究 セ リ,犬 ノ肝 膽 汁 ノ水 素 「イ

オ ン」濃 度 ハPH7.F-8.5ニ シテ,平 均PH8.2ナ リ,

膽 嚢 膽 汁 ハPH 5.18-6.0内 外 ナ リ,尚 ホ炭 酸 「カ ル チ

ウ ム」 ノ溶解 性 ハ之 ヲ含 有 セ ル液 體 ノ反 應 ニ據 ツテ

著 シ ク影 響 サ レ,炭 酸 「カ ル チ ウ ム」ノ沈 澱 ス ル傾 向

ヲ有 ス ル常 態 ノ肝 膽 汁 ハ 「アル カ リ」 性 ニ シテ平 均

PH8.2ナ リ ト云 ヘ リ.

角 田 隆 氏(大 正15年)ハ 實 驗 的 動 物 膽 石 症 ニ就 キ

テ ノ宿 題 報 告 ヲナ セ シ際,膽 嚢 粘 膜 ノ分 泌 液 ハ 酸 性

(Klebs氏)ニ シテ膽 汁 内 ニハ 那 篤 倫(Thenurd氏)

ヲ含 有 シ之 ニ由 リ,膽 汁 ハ 常 ニ 中 和 サ レ居 ル モ ノナ

リ,故 ニ膽 汁 内 ノ亞 爾加 里 性 減 少 ス ル トキ ハ 膽 汁 ハ

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酸 性 トナ リテ,膽 結 石 ヲ生 ズル トセ ラ レ タル モ如 斯

ハ實 驗 上 否 定 ス べ キ モ ノナ リ,何 ン トナ レバ家 兎 及

ピ犬 ノ膽 石 症 ニ於 テ ハ 膽 嚢 膽 汁 ハ 中 性 ニ シテ酸 性 ナ

ル モ ノ ヲ認 メズ トセ リ.加 藤 氏 ハ非 膽 石 症 患 者 ノ膽

嚢 膽 汁 ハ 平 均PH 8.1,膽 石 症 患 者 ハ平 均PH 6.7ト 稱

シ,膠 質 化 學 的 檢 索 ニ據 リ膽 石 形 成 ニ ハ膽 汁 ノ酸 性

ナ ル ヲ要 ス.而 シ テ之 ニハ 膽 汁 中 ノ鹽 類 及 ビ 「ビ リ

ル ビ ン」,「 コ レステ リ ン」 ノ濃 度 ガ關 係 ス ル モ ノナ

リ ト主 張 セ リ.井 上 及 ビ太 田 氏(1926)ハ 「コ レス テ

リ ン」及 ビ「コ レス テ リ ン,エ ステ ル」ガ 「ヒ ドロ ゾ ー

ル」 ノ凝 結 ニ對 シ テ酸 ノ影 響 強 キ ト説 ケ リ.黒 河 内

氏 ハ(1930)膽 汁 ノ鬱 滯 ト炎 症(大 腸 菌)ト ヲ惹 起 セ

シ メ,第1日 ハ 酸 性 ニ時 日 ノ經 過 ト共 ニ鹽 基 性 ニ傾

ク トセ リ.(氏 ノ所 論 ニ對 シ余 ハ 第4囘 實 驗 消 化 器 病

學 會 席 上 ニ於 テ 實 驗 的 ニ膽 嚢 膽 汁PHヲ 測 定 スル ニ

當 リ膽嚢 頸部 ヲ結紮 スル時,局 所 ノ血管,淋 巴管及

ビ神經 ヲ共 ニ結紮 スル ト否 トハ膽嚢膽 汁 ノPHノ 變

化ニ重大 ハ影響 ヲ來 スモ ノナル ヲ追加 シ置 ケ リ),

斯 ク觀 シ來 レパ膽石形 成ニ對 シ,臨 牀的 ニ且又實

驗的 ニ細 菌感染 ノ必要要件 ノー ナルハ敢テ論 ヲ俟 タ

サル所 ナルガ如 シ.尚 ホ又膠質 化學的方面 ヨ リ膽嚢

膽汁水素「イオ ン」濃度 ガ酸性 タル事モ亦事實ナルガ

如 シ.而シテ加藤 氏 ノ説 ク處 ヲ以 テス レバ此PHノ 變

化 ハ膽 汁内含 有成分 ノ變 化 ニ關 係ス トセ リ.余 ノ實

驗(第2報 告)モ 亦之 ニ符合 スル所 ア リ.特 ニ余 ノ

實驗 ニ於 テハ膽嚢 膽汁中膽汁酸 ノ消長 ガPHノ 變 動 ニ

關係 アルモ ノナル ノ結果 ヲ得 タ リ.然 ラバ此膽 汁酸

ノ消長 ガ何ニ由來 スルカ,膽 汁停滯 カ,或 ハ細 菌感

染 力,或 ハ尚 ホ他 ニ其 ノ原因 ヲ存 スルカ,余 ハ漸次

下記 ノ實驗 ヲ重 ネ タリ.

第2節  膽嚢膽汁内ニ大腸菌注入後ノ膽嚢膽汁

水素「イオン」濃度ノ移動

膽嚢炎 ヲ惹起セ シム レバ膽嚢膽汁 ノ水素「イオ ン」

濃 度ハ如 何様 ニ移動 ナスカヲ窺 知セ ンタメ本實 驗 ヲ

企 ツ.

第1項  實驗方法及ビ材料

實驗動物 ハ健康犬 ヲ用 ヒ, 3%「 モル ヒン.ス コボ

ラ ミソ」溶液毎kg 0.5cc内 外皮下 注射 ヲナ シ手術 ス.

手術 ハ持 ニ嚴重 ナル消毒操 作 ノ下 ニ行 フ.正 中上腹

開腹 シ,先 ヅ膽嚢管部 ニ於テ膽嚢 ニ走ル主要ナル血

管,淋 巴管及 ビ神經等 ヲ分離排除 シ之 ヲ障 碍セザ ル

膽 嚢管 ヲ結紮 ス,然 ル後膽嚢底 部ニ於 テ血管 ヲ避 ケ

1ccノ 「ツペルク リン」注射器 ヲ以テ穿 刺 シ,膽嚢膽

汁 ヲ0.5cc乃 至1cc採 集 ス.直 チニ該 膽嚢膽汁 ノ水

素「イ オン」濃度 ヲ測定 ス.一 方助手 ヲシテ此穿刺 孔

ヨ リ一定 ノ菌量 ヲ入 レタル1ccノ 「ツペルク リン」注

射 器 ヲ以テ膽嚢内 ニ次記 ノ細 菌 ヲ注入ス,穿 刺孔 ハ

注意 深 ク結紮縫 合 シ5%ノ 沃度 丁幾 ヲ局部 ニ塗布 シ

菌 ノ腹腔 ニ漏 レザ ル様注意 セ リ.

膽嚢 管部結紮方法 ニ關 シテ ハ余 ノ實驗(膽 嚢膽汁

水素 「イ オン」濃度 ト膽嚢機能 トノ關 係,第1報 告)

ニ於 テ既ニ詳細 記載 セシヲ以テ茲 ニ略ス.尚 ホ膽嚢

管結紮 ノ際 血管,淋 巴管及 ビ神經 ヲ避 ケ結紮 ヲナス

コ トノ膽嚢 機能試驗 ニ最 モ必要 ナルハ既 ニ報告 セ シ

所 ナ リ.本 實驗 ニ於 テモ最モ此點 ニハ深心 ノ注意 ヲ

拂 ヘ リ.一 定所要時間 ヲ經 過 シ再 ビ開腹 シ膽嚢周圍

状態 ヲ精査 シ何等炎症症状 ナカ リシモ ノニ於 テ膽嚢

底 ヲ昇汞水 ニテ輕 ク清拭 シ「ツベルク リン」注射器 ヲ

用 ヒテ,膽 嚢膽汁 ヲ採集 ス,直 チニ水素「イ オ ン」濃

度 ヲ測定 シ且一方 ニ於テハ塗 抹標本 ヲ作 リ菌 ノ有無

竝 ニ形 状 ヲ精査セ リ.

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膽嚢膽汁 ノ水素「イ オ ン」濃度 ト膽嚢機能 トノ關係 ニ就 テ(第3報 告) 2383

水素「イオ ン」濃度測定

板野氏「キ ンヒ ドロ ン」水素「イオ ン」濃度測定裝置

ノ被檢液瓶 ノ改變 ヲ行 ヒ.被 檢液微 量ヲ以テ測定 ナ

シ得 ル方法 ヲ以テ セ リ(詳 細 ハ余 ノ實驗膽嚢膽 汁水

素「イ オ ン」濃度 ト膽嚢機能 ノ關係第1報 告 ニ圖解セ

シヲ以テ茲 ニ記載 ヲ避 ク).

膽嚢炎 ヲ惹起 サス ニ用ヒ タル菌株

小原某 ノ膽嚢粘膜 ヨ リ分離培養 ヲナ シ,塗 抹標本

及 ビ培養檢索 ニ由 リ, B. Coli Communisト 決定セ シ

モノヲ毒力檢査 ヲ行 ヒ, 0.5mg菌 量 ヲ以 テ20時 間

以 内3頭 ノ南京鼠 ヲ全部 殺ス菌 カヲ有 スルモ ノヲ以

テセ リ.菌 毒力弱 クナ リタル場 合ハ南京鼠腹腔中 ニ

注入シ菌 ノ活性 ヲ促 シタリ.

余 ノ用 ヒタル小原大腸菌 ノ性状

塗抹標本所見  菌型 ハ染色 可良 中等大 ノ短桿菌多

數ヲ占 メ運 動活溌

培 養 所 見  寒 天 平 盤 培 養 集 落 中 型 圓 形 膨 隆 シ帯 灰

色 半 透 明,濕 潤 シ光 澤 ア リ,緻 密 ナ ル集 落 ヲ見 ル.

「ゲ ラ チ ン」穿 刺 培 養 液 化 セ ズ,「 ブ イ ヨ ン」培 養 溷 濁,

「イ ン ドー ル」 産 生(+),牛 乳 培 養 凝 固(+),「 ラ ク

ム ス モ ル ケ」赤變,乳 糖 「ブ イ ヨ ン」瓦 斯 形 成(+),

葡 萄 糖 「ブ イ ヨ ン」,瓦 斯 形 成(+),遠 藤 氏培 養 赤 變.

「ノイ トラ ー ル ロ ー ト」寒 天 瓦 斯 及 ビ還 元(〓),「 ド

リガ ロ ス キ ー」氏培 養 赤變,「 サ ツハ ロ ーゼ.ラ クム

ス.ブ イ ヨ ン」培 養 赤變.

膽 嚢 内注 入 菌 量  犬 ノ膽 嚢 ノ大 小 ハ 個 々 ニ ヨ リ相

違 ア リ.普 通 膽 嚢 内 膽 汁 ハ15乃 至20cc位 收 容 セ ル

ヲ以 テ膽 汁 量 ニ據 リ注 入 ス ル菌 量 ヲ加 減 セ リ.故 ニ

余 ノ經 驗 ニ據 リ見 積 内容 ニ ヨ リ斜 面 寒 天 培 養(20時

間 前 後)ノ 菌 量2.0mgヲ0.85%生 理 的 食 鹽 水2.0cc

ニ浮 遊 セ シ メ夫 レヲ膽 汁2.0ccニ ッキ菌 量0.1ccノ

割 ニ注 入 セ リ.

第2項  實 驗 成 績

大腸菌ヲ使用 シ膽嚢内膽汁ヲ停滯 ト細菌感染 トヲ惹起セシメタル20例 ノ犬 ヲ施術後滿24時

間ヨリ滿10日 間ニ亙 リ夫 レ夫 レノ膽嚢膽汁水素「イオ ン」濃度ヲ測定 セシニ次 ノ實驗成績 ヲ示

セリ.

第1表

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正常時膽嚢ノ水素「イオ ン」濃度ハ「アルカリ」性亦ハ酸性 ヲ呈 セシモノガ,大 腸菌感染 ニヨリ

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膽嚢 膽汁 ノ水素「イ オン」濃度 ト膽嚢機能 トノ關係 ニ就 テ(第3報 告) 2385

一 般 ニ「アル カ リ」性 側 ニ移 動 ヲ示 セ リ.殊 ニ次 ノ圖 ニ示 ス通 リ細 菌 感染 後滿2日 ヨ リ5日 間 ハ

最 モ「アル カ リ」度 強 ク,以 後 ハ漸 次 酸性 側 ニ移 行 ヲ示 ス.此 初 メ「アル カ リ」性 ナル 事 ハ試 驗 管

内實 驗 ト異 ナル所 ニ シテ膽 曩 ノ 生 活的 妙 機 ヲ示 ス所 此 處 ニ存 スル モ ノ ナ ラ ンカ.

第1圖

第3項  本 節 總 括

正常犬ノ膽嚢管 ヲ結紮 シ,大 腸菌ニ據 リ細菌感染 ヲ起 サセシ停滯膽 嚢膽汁ノ水素「イオ ン」濃

度 ノ趨移ヲ測定 セシニ時間的經過 ト共ニ膽嚢膽汁ガ「アルカ リ」性測 ニ移動 シ, 2日 ヨリ5日 間

ニ最モ其ノ度強 ク,後 漸次 日數 ノ經過 ト共ニ酸性側ニ移行スルヲ知 リ得 タリ.

第3節  膽 嚢 膽汁 ノ停滯 及 ビ細 菌感 染 ニ據 ル

膽嚢 膽 汁 ノ性 状 及 ビ主要 成分 ノ變 化

余ハ前實驗 ニ於テ,膽 嚢膽汁 ノ停滯及 ビ細菌感染

トヲ同時ニ惹起 セシムル トキハ,膽 嚢膽 汁 ノ水素「イ

オ ン」濃度ハ初期 ニ於テ 「アル カ リ」性 ニ停滯 時間 ヲ

經 ルニ從 ヒ酸性側 ニ移動 スル ヲ知 リ得 タ リ.然 ラバ

共 ノ間,膽 嚢内膽汁 ノ主成分 タル「ビ リル ビン」,「コ

レステ リン」及 ビ膽汁酸等 ガ如 何様ニ變化 スルカ,

且又之 ヲ單 ニ膽嚢膽汁 ノ停滯 ノ ミニヨル之等主要 成

分 ノ變 化 ト對比考察 セパ,膽 石形 成 ニ關 スル諸 家 ノ

説 ヲ吟味 スル上 ニ意義 アルペキ ヲ信 ジ本實驗 ヲ企テ

タ リ.

第1項  實驗方法及 ビ材料

1.實 驗動物 ハ正常 犬ヲ用 ヒ,細 菌 ハ大 腸菌(小

原菌株)ヲ 用 フ.初 メニ膽嚢膽 汁4ccヲ 採集 シ,次

ニ膽嚢管 ヲ局所 ノ血管,淋 巴管及 ビ神經 ヲ障碍 セズ

結紮 ス.小 原菌2mg(斜 面寒天20時 間培養)ヲ2cc

ノ生理的食鹽水 ニ浮游 セ シメ,所 謂 見 積 膽 嚢 膽 汁

2ccニ 對 シ0.1ccア テ ノ割 合 ニ膽嚢内 ニ注入 シ,一定

所要時間後再 ビ開腹 シ,膽 嚢膽 汁 ヲ採集 ス.此 大腸

菌注入前及 ビ再開腹後 ニ採 集セ ル膽嚢膽汁 ニ就 キ其

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2386 大 庭 九 一 郎

ノ水 素 「イ オ ン」濃 度 「ビ リル ビ ン」,「コス テ リン 」及

ビ膽 汁酸 等 ヲ測 定 及 ビ定 量 ス.勿 論 水 素「イ オ ン」濃

度 及 ビ「ビ リル ビ ン」量 ハ 採 集 後 直 チ ニ迅 速 ニ測 定 セ

リ.之 等 ハ 採 集後 ノ時 間 經過 ト共 ニ刻 々其 ノ度 量 ヲ

變 化 スル モ ノナ レパナ リ.

2.水 素 「イ オ ン」 濃 度 測 定 方 法.前 節 ニ記 載 セ

リ.

3.粂 川氏 「カ フエ イ ン」 法 ニ據 リ膽 汁 ヲ處 置 シ

Autbenriethノ 比色 計 ヲ用 ヒ「ビ リル ビ ン」ヲ定 量 ス.

4.「 コ レステ リ ン」定 量余 ハAuthenrieth Funke

氏 法 ヲ選 ビ 「コ レステ リ ン」 ヲ定 量 ス.尚 ホ 浸 出 用

「ク ロ ロ ホ ル ム」ハ 其 ノ純 精 ヲ期 セ ンガ タ メ毎 常 蒸 餾

精 製 ス.

犬 ノ膽 嚢 膽 汁 ハ「ク ロ ロホ ル ム」浸 出 中 往 々 乳 化 様

トナ リ膽 汁 ト浸 出 液 ト ノ分 離 困 難 ヲ 來 ス コ トア リ,

斯 ル モ ノハ 實 驗 例 ヨ リ除 外 ス.

5.膽 汁 酸.犬 膽 汁 ノ膽 汁 酸 ノ主 體 タル 「タウ ロ

コ ー ル」 酸 ノ測 定 ニ最 モ合 理 的 ニ ンテ 正 確 ナ リ ト認

メ ラ レ タルFoster Hooper氏 瓦 斯 測 定 法 ニ據 リ測 定

ス.

第2項  實 驗 成 績

膽 嚢膽 汁 停 滯 ト膽 嚢 ニ細 菌 感 染 ヲ惹起 セ シ メタ ル前 後 ノ「ビリル ビ ン」,「 コ レス テ リ ン」膽 汁

酸 及 ビ水 素「イオ ン」濃 度 ヲ滿2日 ヨ リ5日 間 ニ 至 ル 實 驗 成績 ヲ表 示 ス レバ次 ノ如 シ.表 中 ノ濃

縮 倍 數 トハ膽 嚢 膽 汁 ニ細 菌 感 染 ヲ惹 起 ス 前 ニ採 集 セ シ 「ビ リル ビ ン」含 有 量(mg%)ヲ 以 テ細

菌 感 染 後 一定 時 間 經 過 セル後 採 集 セ シ同 一膽 汁 ノ 「ビ リル ビ ン」含 有 量(mg%)ヲ 除 シタル モ

ノ ナ リ.「 コ レス テ リン」ノ濃縮 倍 數 モ之 ニ準 セ シモ ノ ナ リ.

第2表

以上實驗成績 ハ次 ノ事項ヲ以 テ記 シ得べシ.即 チ

1)膽 嚢膽汁ノ水素「イオ ン」濃度ハ常態ニ於テ酸性或ハ「アルカ リ」性 ヲ呈セシモノガ膽嚢膽

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膽嚢膽汁 ノ水素「イ オ ン」濃度 ト膽嚢機能 トノ關 係 ニ就テ(第3報 告) 2387

汁 ノ停 滯 ト大 腸菌 感 染 トニ據 リ強 ク「アル カ リ」性 ニ移動 ヲ ナ ス コ ト前 節 實 驗 成 績 ト同 ジ所 見 ヲ

示 ス.

2)膽 嚢 膽 汁 内「ビ リル ビ ン」量 ノ消 長 ヲ觀 ル ニ,施 術 後 滿2日 ニ於 テ1.9及 ビ1.4ノ 濃 縮 倍 數

ラ示 ス ニ滿5日 後 ニ於 テハ1.4及 ビ1.1ノ 濃 縮 倍數 ヲ示 ス.即 チ膽 嚢膽 汁 内 「ビ リル ビン」ハ 停

滯 ト細 菌 感染 ニ據 リ濃 縮 倍 數 ハ小 トナ ル ガ如 シ.

3)膽 嚢膽 汁 内 「コ レス テ リ ン」量 ノ消 長 ヲ觀 ル ニ施 術 後滿2日 ニ於 テ1.4及 ビ1.3ノ 濃 縮 倍

數 ヲ示 シ,滿5日 後 ニ於 テ3.7及 ピ3.8ノ 濃 縮 倍 數 ヲ示 シ,膽 嚢膽 汁 内 「コ レス テ リ ン」ハ停 滯

ト細 菌 感染 ニ據 リ増 量 ヲ來 タ セ リ.

4)膽 嚢 膽 汁 内膽 汁酸 量 ノ消 長 ヲ觀 ル ニ施 術 後 滿2日 ニ於 テ11.846mg及 ビ5.969mgノ 減

少 ヲ來 シ,滿5日 後 ニ於 テ32.083mg及 ビ71.433mgノ 減 少 ヲ來 シ,膽 嚢 膽 汁 ノ 停滯 ト細 菌感

染 トハ膽 汁酸 量 ノ減 少 ヲ招 來 ス.尚 ホ余 ガ曩 ニ發 表 セ シ膽 嚢膽 汁 ノ膽 嚢 内 停 滯 ニ據 ル膽 嚢 膽 汁

ノ性 状及 ビ主 要 成 分 ノ消 長 ニ就 キテ ノ實驗 的研 究 成 績 ト膽 嚢膽 汁 ノ膽 嚢 内 停滯 ト大 腸 菌 感 染 ニ

據 ルレ膽 嚢 膽 汁 ノ性 状 及 ビ主要 成 分 ノ消 長 トテ比 較 考 察 スル ニ次 表 ノ如 シ.

第3表

膽 嚢 膽 汁 停 滯 ト大 腸 菌 感 染 ニ據 ル膽 嚢 膽 汁 ノ主 要 成 分 ノ消 長

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2388 大 庭 九 一 郎

膽嚢膽汁停滯ノ膽嚢膽汁ノ主要成長 ハ消長

1)水 素「イオ ン」濃度 單ニ膽嚢膽汁 ノ膽嚢内ニ停滯 スル時 ハ水素「イオ ン」濃度ハ停滯時間

ト共ニ酸性側 ニ移動スルニ,膽 嚢膽汁ノ膽嚢内停滯 ト大腸菌感染 トアル トキハ經過時間 ト共ニ

先ヅ「アルカ リ」性側 ニ強ク傾向ス.

2)「 ビリルレピン」量ノ消長 單ニ膽嚢膽汁ノ膽嚢内ニ停滯スル時ハ「ビリル ビン」量ハ停滯時.

間 ト共 ニ濃縮 サレ濃縮倍數大 トナルモ,膽 嚢膽汁ノ膽嚢内停滯 ト大腸菌感染 トアル時ハ經過時

間 ト共ニ稍々濃縮倍數小 トナ リ,滿5日 間ル停滯 ニ於テモ左程 ノ濃縮 ヲ示 サズ.

3)「 コレステ リン」量ノ消長  單ニ膽嚢膽汁ノ膽嚢内ニ停滯スル トキ「コレステリン」量ハ停

滯時間 ト共ニ濃縮 サレ,濃縮倍數1.3乃 至3.6倍 ヲ示スニ,他 方膽嚢膽汁ノ膽嚢内停滯 ト大腸菌

感染 トアルレ時ハ1.3乃 至4.0ノ 濃縮倍數 ヲ示 シ,其 ノ間(2日 ヨリ5日 迄)一 般ニ前者 ヨリ濃縮

倍數稍々高率ヲ示 ス.

4)膽 汁ト酸量ノ消長 單ニ膽嚢膽汁 ノ膽嚢内ニ停滯スル トキハ,膽 汁酸量ハ減少 ヲ來 ス,他

方膽嚢膽汁 ノ膽嚢内停滯 ト大腸菌感染 トアル時 ハ前者 ヨリ尚ボ一層減少度張 シ.

第3項  本 章 總 括

本實驗ヲ總括スレバ即チ膽嚢内膽汁ノ停滯(2日 ヨリ5日 間ノ觀察)ト 大腸菌感染 トニ據 リ,

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膽嚢膽汁 ノ水素「イオ ン」濃 度 ト膽嚢機能 トノ關係 ニ就テ(第3報 告) 2389

膽 嚢膽 汁 ノ水 素「イオ ン」濃 度 ハ先 ヅ「アル カ リ」性 側 ニ移 動 ス.「 ビ リル ビ ン」量 ハ濃 縮 サ レル モ

停 滯時 日 ヲ經 ル ニ從 ヒ濃 縮 倍 數 少 ク,「 コ レス テ リ ン」ハ停 滯 時 日 ヲ經 過 スル ニ從 ヒ其 ノ濃 縮 倍

數 大 トナ ル モ,獨 リ膽 汁酸 ハ經 過 時 日 ト共 ニ其 ノ減 少 度 ヲ増 加 ス.之 ヲ 余 ガ既 ニ發 表 セ ル單 ニ

膽 嚢膽 汁 ノ膽 嚢 内 停 滯 ニ據 ル水 素 「イオ ン」濃 度 ノ「ビ リル ビ ン」,「コ レス テ リン」及 ビ膽 汁 酸 ノ

消 長 ト比 較 考 察 セ シニ,其 ノ水 素 「イオ ン」濃 度 及 ビ主要 成 分 ノ量 的 關係 ニ相 違 ア ル ヲ知 レ リ.

即 チ水 素 「イオ ン」濃 度 ハ 單 ニ膽 汁 ノ膽 嚢 内 停 滯 ノ ミノ場 合 ハ漸 次 經 日的 ニ酸 性 ニ移 行 スル モ,

大 腸菌 感染 ヲ伴 フ場 合 ニハ先 ヅ「アル カ リ」性 側 ニ 移 行(5日 間迄 ノ檢 索)ス.「 ビ リル ピ ン」量 ニ

於 テ ハ,前 者 ノ場 合 ハ 停 滯時 日 ト共 ニ濃 縮 サ ル ル モ,後 者 ノ場 合 ハ 經 過 時 日 ト共 ニ漸 次 濃 縮 倍

數 小 トナル.「 コ レ ステ リ ン」量 ハ兩 者 ノ場 合 トモ停 滯 時 日 ト共 ニ濃 縮 倍 數 大 トナ リ,殊 ニ大 腸

菌感 染 ノ場 合 ハ濃縮 倍 數 稍 々大 ナ リ.膽 汁 酸 量 ハ兩 者 ノ場 合 トモ停 滯 時 日 ト共 ニ漸 次 減少 ヲ示

シ,大 腸菌 感染 ノ場 合 ハ尚 ホ ヨ リ減 少 ヲ來 セ リ.

以 上 ノ所 見 ニ於 テ,細 菌性 膽 嚢炎 テ惹 起 セバ,膽 嚢 膽 汁 ノ主成 分 ノ量 的 増 減 ノ著 シキ ヲ知 レ

リ.特 ニ本 實 驗 ニ於 テ「コ レステ リン」最 ノ増量 著 明 ナ リ.是 レ膽 汁酸 減 少 ニ ヨ リ膽 汁 ノ膠 質 状

態 破壊 サ レ「コ レス テ リ ン」ノ析 出 旺 盛 トナ リタル 爲 メカ,或 ハNaunyn氏 ノ説 ク如 ク,膽 嚢

粘 膜 上 皮細 胞 壊 死崩 壊 シ其 ノ細 胞 中 ニ含 マ レタル「コ レス テ リン」ノ膽 汁 中 ニ放 出 サ レタル タ メ

ナル カバ敢 テ余 ノ茲 ニ推 論 セ ン トスル モ ハ ニハ 非 ザ レ ドモ,膽 嚢 内 ニ大 腸 菌 感 染 ヲ惹 起 セ シメ

タ ル場 合膽 嚢 粘 膜 ニ可 成 ノ壊 死 崩 壊 ヲ示 セル ハ,後 述 スル 實 驗 ニ於 テ,余 ノ實 驗 ス ル所 ナ リ.

尚 ホ伊 藤 氏(1930)ハ 肝 膽 汁 ノ水 素 「イオ ン」濃 度 ト膽 汁酸 量 トハ 平 行 ヲ示 シ,肝 膽 汁 ノ「アル カ

リ」度 ニ膽 汁 酸 ガ關係 アル ヲ報 告 セ リ.余 モ膽 嚢 内膽 汁停 滯 ニ據 リ,其 ノ水 素 「イオ ン」濃 度 ト

膽 汁酸 量 ノ消 長 ハ概 シテ平 行 ヲ示 シ,膽 汁 酸減 少 セバ其 ノ水 素 「イオ ン」濃度 ハ酸性 側 ヲ示 スハ

既 ニ報 告 セ シ トコ ロナル ニ,本 實 驗 ニ於 テ 膽嚢 膽 汁 ノ膽 嚢 内 停 滯 ト細 菌 感染 トヲ惹 起 サ セ タル

ニ,膽 汁酸 ハ 甚敷 減 少 ス ル ニ拘 ラ ズ,膽 嚢 膽 汁 ノ水 素 「イオ ン」濃 度 ハ却 テ「アル カ リ」性 ヲ 呈 ス

ル ヲ知 レ リ,是 レ吾 人 ノ一顧 ヲ要 スル 問題 ナ ル モ,其 ノ批 判 ハ後 節 ノ實 驗 ヲ俟 ツ テ論 評 スル 所

ア ル ベ シ.

第4節  膽嚢内及ビ試驗管内ノ膽汁ニ大腸菌 ヲ注加セル

場合ノ膽汁水素 「イオン」濃度ノ趨移觀察

上述 ノ實驗的檢索 ニヨリ膽嚢膽汁 内 ニ大腸菌 ヲ感

染セシムル時ハ, 24時 間ニ シテ以前「アルカ リ」性 ナ

リシモ ノハ勿論酸性 ナ リシモ ノモ膽嚢膽汁 ガ 「アル

カ リ」性 ニ移動 シ. 2日 ヨ リ5日 間 ガ最モ其 ノ度強

ク,後 漸次 日數 ノ經過 ト共 ニ酸性側 ニ傾 クヲ知 リ得

タ リ.然 ルニ膽嚢機能 ヲ除 キ單 ニ膽嚢膽汁 ヲ試驗管

ニ注入 シ,大 腸菌 ヲ注加 セ シ場合,其 ノ水素 「イ オ

ン」 濃度 ハ如 何様 ニ移動 スルカ,且 又同一膽嚢膽汁

ノ膽嚢 内ニ於テ ノ水素「イオ ン」濃度 ノ移動 ト之 ト比

較 觀察セパ以テ膽嚢 ノ炎症時 ニ於 ケル機能瞭 カニナ

シ得 ペ ント信 ジ本實驗 ヲ企テ タ リ.

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2390 大 庭 九 一 郎

第1項  實驗方法及 ビ材料

本實驗 ニ用 ヒ タル大腸菌 ハ小 原菌株 ニシテ,其 ノ

菌量0.5mgヲ 用 ヒテ南京 鼠3頭 ヲ20時 間内ニ殺ス

菌力 ヲ有 セシモ ノナ リ. 0.85%ノ 生理的 食鹽水2cc

中 ニ2.0mgノ 菌量(科 面寒天20時 間培養)ヲ 浮游

セ シメ,膽 汁2ccノ 中 ニ其 ノ0.1cc即 チ0.1mg菌 量

ノ割合 ニ混和 セ リ.

實驗 動物ハ正常犬 ヲ用 ヒ,膽 嚢管 ヲ血 管,淋 巴管

及 ビ神經 ヲ障碍 セザ ル様 ニ結 紮 シタル後,膽 嚢底 ヨ

リ注射 器 ニヨ リ膽嚢膽汁6ccヲ 吸 引セ リ,吸 引後該

穿刺 孔 ヨリ見 積膽 嚢 膽 汁 量 ニ比例 シ大腸菌 ヲ注入

ス.穿 刺孔ハ細小絹絲 ニテ結紮縫合 ン輕 ク1000倍 ノ

昇 汞水 ニテ該 部 ヲ清拭 ス.他 方吸引 セシ膽 汁 ノ水素

「イオ ン」濃度 ヲ迅速 ニ測定 シ餘 リノ膽 汁5.0ccヲ 清

浄乾燥滅菌 セル「エナ」製硝子試驗管 ニ注入セ リ.直

チニ大腸菌 ヲ注加 シ滅菌 セ ル「コルク」程ニテ試驗 管

ヲ密閉 ス.尚 ホ水 素 「イ オ ン」濃度 ヲ測定セ シ「ブィ

オ ン」培養基 ニモ大腸菌注加 シ,水 素 「イオ ン」濃度

ノ移動 ヲ對比觀 察ス.勿 論本實驗 ニ於 テモ使用器具

操作 ハ無菌 ノ清 淨乾燥 セ ルモ ノヲ使 ヒ,他 ノ雜菌混

入及 ビ水素「イ オン」濃度 ヲ左右 スルガ如 キ事 項 ヲ注

意 セルハ勿論 ナ リ,各實驗試驗管 ハ37℃ ノ孵卵器 ニ

入 レ, 24時 間 及 ビ48時 間 ニ取 リ出 シ水素「イオ ン」

濃度 ヲ測定 ス.

第2項  實 驗 成 績

第1例  犬 體 重22.3kg 〓 手 術4/VII 1930

膽 嚢 膽 汁(PH 7.15)「 ブ イオ ン」培 養 基(PH 7.3)及 ビ生理 的 食 鹽 水(PH 7.07)ノ 水 素 「イオ ン」濃

度 ヲ示 セ シモ ノニ大 腸菌 注 加 ヲナ シ, 24時 間48時 間 ノ水 素 「イオ ン」濃 度 ヲ測 定 セ シ成 績 次 ノ

如 シ.

第4表

膽 嚢内膽 汁(PH 7.15)ハ24時 間 及 ビ48時 間 共 「アル カ リ」性 側 ニ移 行 ヲ示 シ, 48時 間 ニ於 テ

「アル カ リ」度 強 シ.試 驗 管 内膽 汁(PH7.15)ハ24時 間 及 ビ48時 間 共 酸性 側 ニ移 行 ヲ示 ス.「 ブ

イオ ン」培 養 基 ニ於 テ ハ, 24時 間 及 ビ48時 間 兵酸 性 側 ニ移 行 ヲ示 ス.生 理 的食 鹽 水 ハ24時 間

及 ビ49時 間 共「アル カ リ」性 二移 行 シ其 ノ移 動 圏 内 僅 少 ナ リ.

第2例  犬 體 重24.4kg 〓 手 術6/VII

膽 嚢 膽 汁(PH 7.42)「 プ イオ ン」培 養 基(PH 7.3)及 ビ生碑 的 食 鹽 水(PH 7.03)ノ 水 素 「イオ ン」濃

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膽嚢膽汁 ノ水素「イオ ン」濃度 ト膽嚢機能 トノ關 係 ニ就 テ(第3報 告) 2391

度 ヲ示 セーレモ ノニ大 腸 菌 注 加 ヲナ シ24時 間及 ビ48時 間 ノ水 素 「イオ ン」濃度 ヲ測 定 セ シ成 績 次

ノ如 シ.

第5表

膽 嚢 膽 汁(PH 7.42)ハ24時 間及 ビ48時 間 トモ 「アル カ リ」性 側 ニ 移 行 ヲ示 シ,時 間 經 過 セ シ

程 「アル カ リ」度 高 シ.試 驗 管 内膽 汁(PH 7.421ハ24時 間 及 ビ48時 間 トモ酸 性 側 ニ移 行 ヲ示 ス.

「ブ イオ ン」培養 基 ニ於 テハ24時 間 及 ビ48時 間 トモ酸 性 側 ニ 移行 ヲ示 シ,試 驗 管 内膽 汁 ノ水 素

「イオ ン」濃 度 ノ移 動 ヨ リ其 ノ圈 内 大 ナ リ.

第3項  本 節 總 括

犬 ノ膽嚢内ニ大腸菌ヲ注入 シ,他 方同一犬ノ膽嚢膽汁 ヲ試驗管 ニ採 リ,之 ニ大腸菌 ヲ注加 シ,

之ヲ密閉シ37℃ ノ孵卵器 ノ中ニ置キ時間的ニ兩者ノ水素 「イオ ン」濃度ノ移動方向ヲ檢索セシ

ニ次イ結果ヲ得タリ.即 チ膽嚢内ニ於テハ24時 間及 ビ48時 間ニ於 テ漸次「アルカリ」性側ニ移

行スルニ反 シ,試 驗管内ニ於テハ漸次酸性側ニ移行ヲ示 セリ.尚 ホ「ブイオ ン」培養基ニ於テハ

漸次酸性側 ニ移行ヲ示ス.

試驗管内ノ膽汁ニ大腸菌 ヲ注加 セシニ時日ノ經過 ト共 ニ其ノ水素「イオ ン」濃度ハ酸性側 ニ移

行シ,膽 嚢内ニ於テハ水素「イオ ン」濃度 ヲ「アルカリ」性側 ニ移行スルハ,試 驗管 ト膽嚢 トノ

活力相違ガ之 ヲ齎 ラセシモノナルヲ提唱セントス.如 何 トナレバ兩實驗ハ同一犬ノ膽嚢膽汁 ヲ

一ハ試驗管内ニテ,一 ハ膽嚢内ニテ略ボ同一條件ニ置キテ檢索 セシモノナル ニ,尚 ホ且此相違

ヲ來セバ ナリ.茲 ニ於 テ當然吾人ハ膽嚢壁 ノ機能 化 ヲ顧慮 セザルレべカラズ.少 クトモ膽嚢壁

ノ炎症 ニ因ル粘膜 上皮等ノ崩壞混入,亦 ハ加答兒性滲出物 ノ混入等 ニ據 ルモノニ非 ズヤ ト思惟

ス.

第5節  無菌性膽嚢炎ノ場合ノ膽嚢膽汁ノ

水素「イオン」濃度ニ就テ

前節 實驗 ニ於テ膽嚢細 菌感染 セバ,其 ノ膽嚢膽汁

ノ水素「イオ ン」濃度 ハ強 ク「アルカ リ」性 ニ變 移スル

ヲ知 レリ.然 ラバ無菌性膽嚢炎 ノ場合水素「イオ ン」

濃度ハ如何様 ニ變移 スルカ,是 レ亦探究 スペキ必須

的問題 ナ リ.

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2392 大 庭 九 一 郎

第1項  實驗方法竝 ニ材料

實驗 動 物 ハ 正 常 犬 ヲ用 フ,無 菌 往 膽 嚢 炎 ヲ惹 起 ス

ニTerpentinolヲ 用 ヒ,其 ノ注 入 量 ハRosenthal氏 ノ

實 驗 量 ヲ採 用 セ リ.膽 嚢 管 ヲ血 管,淋 巴 管 及 ビ神 經

トヲ障 碍 セザ ル様 ニ結 紮 シ タル 後膽 嚢 内 ニTerpen

tinol 0.3ccラ 注 入 セ リ.注 入 後 直 チ ニ膽 嚢 膽 汁 ヲ1cc

吸引採集 シ,水 素「イオ ン」濃度 ヲ測定 ス.他 方24時

間經過後再 ビ膽嚢膽 汁 ヲ採集 シ,其 ノ水素「イ オン」

濃度 ヲ測定 セ リ.勿 論 本動物實驗中ハ使用器具 操作

ハ無菌 ノ清 静 乾 燥 セルモノヲ使 ヒ細 菌感 染 ヲ避 ケ

リ.

第2項  實 驗 成 績

Terpentinolヲ 膽嚢中ニ注入セシ3例 ノ實驗成績ヲ示 セバ下表 ノ如 シ.

第6表

即 チTerpentinolヲ 注 入 シ無 菌 性 膽 嚢 炎 ヲ惹 起 セ パ膽 嚢 膽 汁 ハ「ア ル カ リ」性 側 ニ趨 移 スル ヲ

知 リ得 タ リ.尚 ホ余 ハ本 實 驗 ニ於 テ膽 嚢 炎 ノ加 答 兒性 浸 出 物 質 ノ水 素「イオ ン」濃 度 ヲ測 定 セ リ.

實 驗 方 法  膽 嚢 内 ニTerpentinolヲ 注 入 ス. 24時 間 經 過 後 注 射 器 ニ テ膽 嚢 内膽 汁 ヲ全 部 吸引

除 去 シタ ル後,滅 菌 蒸 餾 水(PH 7.2)ヲ10cc注 入 セ リ.穿 刺 孔 ヲ 入 念 ニ結 紮 シ,閉 腹 ス. 5時 間

經 過 後 膽 嚢 内液 テ採 集 シ,水 素 「イオ ン」濃 度 ヲ測 定 セ リ.他 方對 照 トシ正常 犬 ノ膽 嚢 内膽 汁 ヲ

排 出 セル後,膽 嚢管 ヲ血 管,淋 巴 管 及 ビ神經 トヲ障碍 セザ ル様 結紮 ス,然 ル後 滅 菌 蒸 餾 水10cc

ヲ膽 嚢内ニ注 入 シ其 ノ水 素 「イオ ン」濃 度 ノ移 動 ヲ窺 ヘ リ.實 驗 成 績 ハ次 ノ如 シ.

第7表

仍テ無菌性膽嚢炎ノ加答兒性浸出物質ハ「アルカリ」性 ナルレコトヲ知 レリ.

第3項  本 節 總 括

Terpentinolヲ 以テ無菌性膽嚢炎ヲ惹起セシ本實驗 ニ於 テ其 ノ膽嚢内膽汁ハ時間ノ經過 ト共

ニ「アルカ リ」性側 ニ移行セリ.尚 ホ膽嚢炎ヲ惹起 セシ場合ノ膽嚢壁 ヨリノ加答兒性浸出物質ハ

「アルカ リ」性 ナル コトヲ知 レリ.

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膽嚢膽汁ノ水素「イオン」濃度ト膽嚢機能トノ關係ニ就テ(第3報 告) 2393

第6節  膽嚢膽汁ノ膽嚢内停滯 ト大腸菌感染後 ノ水素 「イオ ン」

濃度 ト膽嚢壁 ノ組織學的所見 トハ關係

前節實驗 ニ於 テ謄嚢膽 汁 ヲ試 驗管 ニ採 リ之 ニ大腸

菌 ヲ注加 セシニ,其 ノ液 ノPHハ 酸性 ニ移行 セ シニ拘

ラズ膽嚢内 ニ於 テ感染 セ シメ タルモ ノハ却 テ 「アル

カ リ」性 ニ移行 スル ヲ認 メタ リ.而 シテ余 ハ此相 違

ガ炎症 性膽嚢壁 ノ産出物 ニ由來スルモ ノナル ペキヲ

論 セ リ,仍 テ余 ハ果 シテ然 ルペキ カ否 カヲ知 ラ ンガ

爲其 ノ膽嚢壁 ヲ組織學的 ニ檢索 シ以テ其 ノ推定 ヲ炳

カナラ シメ ン トセ リ.

第1項  實驗方法及ビ材料

實 驗動物 ハ正常犬 ヲ用 ヒ開腹 シ,局 所 ノ血管,淋

巴管及ビ神經 ヲ障碍セザル様膽嚢管 ヲ結紮 シ,膽 嚢

底 ヨリ「ツペル クリン」注射器 ニ據 リ膽汁 ヲ2cc吸 引

シ,其 ノ後該穿 刺孔 ヨリ菌 ヲ注入 ス.穿 刺孔 ハ入念

ニ細小絹絲 ニテ結紮 シ, 1000倍 昇汞水 ニテ輕 ク清拭

ス.採 集 セル膽嚢膽汁ハ直 チニ水素「イオ ン」濃度 ヲ

測定ス.一 定 ノ所要時間後再 ビ開 腹 シ,膽 嚢 剔出 ヲ

行 ヒ,膽 嚢 内膽汁水素「イ オン」濃度 ヲ測定 ス.剔 出

膽 嚢 ハ「ツ エ ロイ ジ ン」包埋 切片 作 製 「ヘ マ トキ シ リ

ン.エ オ ジ ン」重 染 色 ヲ行 ヒ鏡 檢 ス.注 入細 菌 ハ 本 實

驗總 テ ニ用 ヒ タル大 腸 菌(小 原 菌 株)ヲ 南 京 鼠 ニ毒 力

試 驗 ヲ行 ヒ,菌 量0.5mgヲ 以 テ20時 間 以 内 ニ3頭

ヲ斃 死 セ シム ル菌 力 ノモ ノ ヲ0.85%食 鹽 水2.0ccニ

2.0mg(斜 面 寒 天 培 養20時 間)ヲ 浮 游 シ膽 嚢 内膽 汁

見 積 量 ニ據 リ2ccニ 對 シ0.1mgノ 割 合 ニ注 入 ス.

第2項  實驗成績及 ビ本節總括

第8表

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2394 大 庭 九 一 郎

膽嚢管ヲ局所ノ血管,淋 巴管及 ビ神經 ヲ障碍 セザル様結紮 シ,停 滯膽汁ニ大腸菌ヲ注入シ,

其 ノ膽嚢膽汁ノ水素「イオン」濃度 ヲ滿24時 間 ヨリ滿14日 間經過 セル各犬ニ就キ測定セシニ,

一般ニ 「アルカリ」性側ニ移動ヲナセルテ見タ リ.只10日 以後 ノ2例 ニ於 テ酸性側 ニ移動セ

リ.

各膽嚢壁 ノ粘膜 上皮ハ剥脱壞 死亦ハ萎縮 ニ陷 リ,各 組織層浮腫及 ピ充血ヲ示 シ,多 核白血球

及 ビ淋巴球細胞ノ浸潤等 アリテ,急 性 亦亞急性炎衝症状ヲ膽嚢壁ニ示セリ.膽 嚢壁ノ炎衝程度

ト,膽 嚢膽汁ノ水素「イオ ン」濃度 トノ間 ニハ一定 ノ關聯 アル モノノ如 シ.即 チ粘膜 上皮脱落,

浮腫,充 血及 ビ細胞浸潤等 ノ比較的高度ニシテ,急 性炎衝所見テ示 セル例ニ於 テハ,其 ノ水素

「イオン」濃度「アルカリ」性側ニ増強 シ,粘 膜上皮脱落,浮 腫,充 血反 ビ細胞浸潤 比較的輕度ニ

シテ,亞 急性炎衝所 見ヲ示セル例ニ於 テハ,其 ノ水素 「イオ ン」濃度ハ 「アルカ リ」性 ナルモ前

者 ヨリ小ナ リ.粘 膜上皮萎縮 シ,炎 衝性細胞浸潤 ノ消退 セル例 ニ於 テハ,酸 性側 ニ移傾 ヲ示 セ

リ.即 チ本實驗ニ於 テ其ノ膽嚢膽汁ノPHガ 「アルカ リ」性側 ニ移動 天ルハ膽嚢壁 ノ炎衝 ト密接

ノ關係アルヲ知 レリ,

第7節  本 實 驗 總 括

余 ハ停滯セル膽嚢膽汁 ニ細菌感染 ヲ惹 起セシメ夫 レノ水素「イオ ン」濃度 ガ停滯時 間ノ經間 ト

共 ニ如何様 ニ變化スルカ,又 此際膽嚢膽汁 ノ主要成分が如何 ニ消長 スル カニ就 キ檢索 シ,以 テ

膽石形成 ニ對 スルNaunyn氏 ノ膽嚢炎症説或 ハRous派 ノ膠質化學的意見 ニ如何 ナル關係 ヲ有

スルカヲ知ラントセリ.

實驗 ノ結 果ハ細菌感染セル停滯膽嚢膽汁 ノ水素「イオン」濃度 ハ感染初期ニ於 テハ「アルカリ」

性側ニ移動 ス,其 ノ度ハ滿2日 ヨリ5日 間最モ強 ク,後 漸次時 日ノ經過 ト共ニ酸性側ニ移行ス.

ル ヲ知 リ得タ リ.又 上記同様 ノ實驗ニ於 テ膽 嚢膽汁ノ水素「イオ ン」濃度及 ビ其 ノ主要成分タル

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膽嚢膽汁 ノ水素「イオ ン」濃度 ト膽嚢機能 トノ關係 ニ就 テ(第3報 告) 2395

「ビ リル ビン」,「 コ レス テ リン」及 ビ膽 汁酸 ノ變 化 ヲ時 々 經 過 ニ從 ヒ測 定 セ シニ,「 ビ リル ビ ン」

量 ハ停 滯 時 日 フ經 過 ス ル ニ從 ヒ濃 縮 倍 數 少 ナ ク,「 コ レス テ リ ン」ハ其 ノ倍 數 大 トナ レ リ.然 ル

ニ膽 汁 酸 ハ停 滯 時 日 ヲ經 過 スル ニ從 ヒ其 ノ量 ヲ減 少 ス.之 ヲ余 ガ既 ニ發 表 セ シ實 驗(單 ニ膽 嚢

膽 汁 ノ膽 嚢 内停 滯 ニ據 ル水 素 「イオ ン」濃 度 「ビ リル ビ ン」,「コ レス テ リ ン」及 ビ膽 汁 酸 ノ消 長)

ト比 較 ス ル ニ,後 者 ニ於 テハ 其 ノ水素 「イオ ン」濃 度 ハ時 日 ノ經 過 ト共 ニ漸 次 酸 性 側 ニ移 行 シ,

「ビリル ビ ン」量 ハ停 滯時 日 ト共 ニ益 々濃 縮 サ レ,「 コ レス テ リ ン 」量 ハ兩 者 トモ略 ボ 同様 ニ増 大

ス ル モ,膽 汁酸 量 ハ前 者 ニ於 テ特 ニ減 少 著 明 ナ リ.

伊 藤氏(1930)ハ 肝 膽 汁 ノ水 素[オ ン」濃 度 ト膽 汁酸 量 トハ 平 行 ヲ示 シ,肝 膽 汁 ノ「アル カ リ」

度 ニ膽 汁酸 ガ關 係 アル ヲ報 告 セ リ.余 モ常 態 膽 嚢 内 膽 汁 停滯 ニ據 リ其 ノ水 素 「イオ ン」濃 度 ト膽

汁酸 量 ノ消 長 ハ概 シテ李 行 ヲ示 シ,膽 汁 酸 減少 ヲ示 セ シ モ ノハ 其 ノ水 素 「イオ ン」濃 度 ハ酸 性 側

ニ移 動 ヲ示 ス ハ既 ニ報 告 セ シ所 ナ リ.然 ル ニ之 ニ大 腸 菌 感 染 ヲ惹 起 サ セ シ實 驗 ニ於 テ ハ,膽 汁

酸 ハ著 シク減 少 ヲ來 ス ニ拘 ラズ膽 嚢膽 汁 ノ水 素 「オ イ ン」濃 度 ハ「アル カ リ」性 側 ニ移 行 ス.コ ノ

疑 問 ヲ探 求 セ ンタ メ犬 ノ膽 嚢 内 ニ大 腸 菌 ヲ注 入 シ,他 方 同 一 犬 ノ膽 嚢膽 汁 ヲ試 驗管 ニ大 腸 菌 ヲ

略 ボ同 一量 ニ注 加 シ試 驗 管 ヲ密 閉 シ, 37℃ ノ孵 卵 器 ノ中 ニ置 キ兩 者 ノ水 素 「イオ ン」濃 度 ノ移 動

ヲ時 間 的 ニ檢 索 セ リ.其 ノ結 果膽 嚢 内 ニ於 テハ24時 間 及 ビ48時 間 ニ於 テ 「アル カ リ」性 側 ニ移

行 スル ニ試 驗 管 内 ニ於 テハ酸 性 側 ニ漸 次 移 行 ス ル ヲ認 メタ リ.尚 ホ此 大腸 菌 ヲ注 加 セ シ 「ブ イ

オ ン」培 養 基 ノ水 素 「イオ ン」濃度 ハ漸 次 酸 性 側 ニ移 行 ヲ示 スモ ノナ ル ヲ實 驗 セ リ. Terpentinol

ノ注 入 ニ據 リ無 菌性 炎 症 ヲ惹 起 サ シタ ル實 驗 ニ於 テ モ,膽 嚢膽 汁 ノ水 素 「イオ ン」濃 度 ハ「アル

カ リ」 性 側 ニ變 移 ス.余 ハ之 ニ對 シ炎 症 セル 膽 嚢 壁 ヨ リノ産 出 物 ガ之 ヲ然 ラ シムル ニ非 ザ ル ヤ

ヲ想 像 セ リ.仍 テ余 ハ 滯 セ シメ タ ル膽 嚢膽 汁 ニ細 菌 感染 ヲ ナ サ シ メタル 膽嚢 壁 ノ組 織 的變 化

ヲ經 日的 ニ檢 索 シ,其 ノ病 變 程度 ヲ,其 ノ膽 汁 ノ水 素 「イオ ン」濃 度 ノ程 度 ト比 較 觀 察 セ リ.然

ル所膽 嚢 壁 ニ於 テハ 炳 カニ急 性或 ハ亞 急 性 ノ炎 症 アル ヲ知 レ リ.而 シテ膽 嚢 膽 汁 ノ水 素 「イオ

ン」濃 度 「アル カ リ」性 ニ傾 ケル程,壁 ノ炎 症 ハ急 性 ニ シテ,亞 急 性 ナ ル ニ從 ヒ漸 次 酸 性 側 ニ移

行 ス ル傾 向 アル モ ノナ ル ヲ知 レ リ.膽 嚢 壁 ニ急 性 炎症 アル場 合其 ノ壁 ヨ リ炎 症 性 物 質 ノ浸 出 ス

ル ハ當 然 ナ リ.而 シテ此 浸 出物 質 ハ「ア ル カ リ」性 ナ ル ヲ以 テ 其 ノ膽 汁 ガ「ア ル カ リ」性 ニ 傾 ク ハ

敢 テ怪 シム ニ足 ラザ ル ナ リ.

由是 觀之 停 滯 膽 嚢膽 汁 ノ水 素 「イオ ン」濃 度 ハ其 ノ主 要 成 分 ノー ナル膽 汁 酸 ノ減 少 ト共 ニ酸 性

側 ニ移行 ス ル モ,之 ニ膽 嚢 炎 ヲ惹 起 セ シ メタル トキ膽 嚢 膽 汁 ノ「アル カ リ」性 側 ニ移 行 ス ル ハ 膽

嚢 膽 汁 自體 ノ變 化 ヨ リモ膽 嚢壁 自體 ノ變 化 ニ基 因 ス ル コ ト大 ナ ル ヲ知 レ リ.而 シテ膽 嚢炎 ノ時

日經 過 ト共 ニ其 ノ膽 汁 ガ漸 次 酸性 側 ニ移 行 スル時 膽 嚢 壁 ノ炎 衝症 状 梢 々稍 退 ノ傾 向 ヲ示 シ浸 出

物 ノ減 退 ヲ示 ス ハ 尚 ホ上 記 所 見 ヲ立 證 スル モ ノ ト云 フベ シ.

膽 石 形 成 ノ原 因 ヲNaunyn氏 一 派 ハ膽 汁 ノ鬱 滯 ト膽 嚢 ノ炎 衝 ヲ必 要 ト設 キ,亦Rous,加 藤,

井上 及 ビ太 田氏 等 ハ膽 汁 ノ水 素「 イオ ン」濃 度 ノ變 調 ヲ必 要 ナ リ ト設 ク.然 ラバ 之等 ノ要 約 即 チ

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2396 大 庭 九 一 郎

膽嚢膽汁ノ鬱滯竝ニ膽嚢ノ炎衝 ノ場合膽嚢膽汁ノ水素「イオ ン」濃度ノ變調ハ余 ノ實驗的檢索ニ

據 リ次ノ事項ヲ掲ゲルヲ得タ リ.

1)膽 嚢内ニ膽嚢膽汁ガ長時間停滯スルコ トニ據 リ膽嚢膽汁ノ水素「イオ ン」濃度ハ酸性側

ニ變移ス.

2)膽 嚢ニ細菌感染(大 腸菌)ト 膽汁停滯 トヲ同時 ニ惹起 セシ場 合ノ膽 嚢膽汁 ノ水素「イオ

ン」濃度ハ初期 ニ於テ「アルカリ」性側 ニ變移ス.其 ノ「アルカリ」度ハ滿2日 ヨリ5月 間最モ

強 ク,後 漸次時 日ノ經過 ト共ニ酸性側 ニ移行ス.

然ルニ從來諸家ノ實驗 ニ徴スルニ膽嚢結石アル場合其 ノ膽嚢膽汁ハ酸性 ヲ呈 シPH 8.0前 後ヨ

リPH 6.0前 後ニ移行スルモノ トセラル.然 ラバ此事實竝 ニ余 ノ行ヘル種 々ノ實驗成績 ト照 シテ,

恐 ラク膽石形成ヲナスガ如キ場合ノ膽嚢膽汁 ノ水素「イオ ン」濃度 ノ變化ハ膽汁ノ停滯及 ビ細菌

感染等 ニ因ル膽汁自體ノ變化ニ據ル事アルペキハ勿論ナルモ尚ホ膽嚢壁 自體 ノ變化ニ基因 スル

事 ノ大 ナルコ トアルべ シト思惟ス.

第8節  結 論

I)膽 嚢ニ細菌感染(大 腸菌)ト 膽嚢膽汁ノ停滯 トヲ同時ニ惹起 ス時 ハ,膽 嚢膽汁ノ水素「イ

オ ン」濃度 ニ變調ヲ來ス.即 チ感染初期 ニ於 テハ,「 アルカリ」性側ニ變移ス.其 ノ「アルカ リ」

度 ハ滿2日 ヨリ5日 間最モ強ク,後 漸次時 日ノ經過 ト共ニ酸性側 ニ移行ス.

II)膽 嚢 ニ細菌感染(大 腸菌)ト 膽嚢膽汁ノ停滯 トヲ同時ニ惹起 ス時 ハ,其 ノ膽嚢膽汁ノ主

要成分即 チ「ビリルビン」,「コレステ リン」膽汁酸量 ニ變調ヲ來 ス.單 ニ膽嚢 ニ膽汁ノ停滯ノミ

ヲ惹起 セシ場合 ト比較スルニ

1)「 ビリル ビン」量ハ單ニ停滯ノミナル時ハ時間 ト共 ニ濃縮倍 數大 トナルモ,之 ト共ニ大

腸菌感染 ヲ惹起 シタル場合ハ,其 ノ濃縮倍數却テ小ナリ.

2)「 コレステ リン」量ハ單ニ停滯ノ ミナル時ハ,時 間 ト共ニ濃縮 サルモ,之 ト共 ニ大腸菌

感染 ヲ惹起 シタル場合ハ,濃 縮倍數前者 ヨリ高率ヲ示ス.

3)膽 汁酸量ハ單ニ停滯ノミナル時 ハ,時 間 ト共ニ減少ヲ來 スモ,之 ト共ニ大腸菌感染ヲ

惹起 シタル場合ハ,前 者 ヨリ尚ホ一層減少ス.

III)無 菌性膽嚢炎 ヲ惹起 シ同時 ニ膽嚢膽汁ノ停滯 ヲ起ス時ハ,其 ノ膽嚢膽汁ノ水素 「イオ

ン」濃度 ハ變調ヲ來 シ,「アルカリ」度 ヲ増強ス,

IV)膽 嚢内ニ大腸菌感染 ト膽嚢膽汁ノ停滯 トヲ同時 ニ惹起 シタル場合,其 ノ膽嚢壁 ノ炎症

程度 ト,其 ノ膽嚢膽汁ノ水素「イオ ン」濃度 トノ間 ニハ,一 定ノ關聯 アルモノノ如 シ.即 チ組織

學的ニ炎症急性 ナル時 ハ,「アルカ リ」性側ニ移傾 ヲ示 シ,惡 急性 ナルニ從 ヒテ,漸 次酸性側 ニ

移傾スルモノノ如 シ,

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大 庭 論 文 附 圖

Fig. 1.

Fig. 2.Fig. 3.

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膽嚢膽汁 ノ水素「イ オ ン」濃度 ト膽嚢機能 トノ關係 ニ就テ(第3報 告) 2397

V)膽 嚢 膽 汁 ノ水 素 「イオ ン」濃 度 ハ,膽 汁 ノ停 滯 及 ビ細 菌 感染 等 ニ因 ル 膽 汁 自體 ノ變 化 ニ據

ル 事 アル ベ キハ勿 論 ナル モ,膽 嚢壁 自體 ノ變 化 ニ基 因 スル 事 亦大 ナ リ.

擱筆 スルニ臨 ミ本研究 ヲ御下命下サ レ終始御懇篤ナル御 指導 ト御校閲 ヲ辱 フセ シ恩 師泉教 授 ニ謹 ミテ

滿腔 ノ謝意 ヲ捧 グ.

尚ホ同時 ニ本實驗中多 大 ノ御助言 ヲ賜 ハ リシ當教室 前助教 授榊 原博士 ノ御厚意 ヲ深謝 ス.

文 獻

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附 圖 説 明

Fig. 1.犬 膽嚢内 ニ大 腸菌 ヲ感染 セ シメ滿3日 間

經過セ ル膽嚢壁.

Fig. 2.犬 膽嚢 内ニ大腸菌 ヲ感染 セ シメ滿7日 ヲ

經過 セル膽嚢壁.

Fig. 3.犬 膽嚢内 ニ大腸菌 ヲ感染 セ シメ滿10日

ヲ經過セ ル膽嚢壁.

擴 大  Zeiss Okul. 7, Objek. 40, Kl. 30.

染 色  Hamatoxylin-Eosin染 色

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