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0・0x)講義スケジュール
04 第1週 (9/19) 生態学と生物(1章&2章) 第2週 (9/26) 進化生態学の基礎(3章[〜3.3]) 第3週 (10/3) 分子進化と生態学(3章[3.4〜]&付録2 ) 第4週 (10/10) 生活史の適応(4章[〜4.2] ) 第5週 (10/17) 性の意義(4章[4.3〜]: 第1回小テスト) 第6週 (10/24) 生理生態特性の適応(5章) 第7週 (10/31) 行動の適応(6章) 第8週 (11/7) 社会の適応(6章) 第9週 (11/14) 種内競争と個体群(7章 第10週(11/21) 種間競争と個体群(7章: 第2回小テスト) 第11週(11/28) 捕食・寄生と個体群(7章) 第12週(12/5) 種間相互作用と生物群集(8章) 第13週(12/12) 生態系機能(9章) 第14週 (12/19) 応用生態学(10章) 第15週 (1/16) 第3回小テスト
◆進化の定義は?
◆進化を引き起こす3要因は?
◆自然選択の3条件は?
◆自然選択の4類型は? 定量化する指標は?
◆種の生物学的定義は? 種分化のメカニズムは?
3)進化生態学の礎:お願いだから覚えておいてほしい事
〜3)進化生態学の礎:お願いだから覚えておいてほしい事
◆進化の定義は?
遺伝子頻度が世代を超えて変化すること →方向性は限定しない(退化的進化も含む)、遺伝子を次世代に残せない「負け組」がいる
◆進化を引き起こす3要因は?
突然変異、自然選択(性選択を含む)、遺伝的浮動
◆自然選択の3条件は?
個体間変異がある、変異が遺伝する、変異が適応度に影響する
◆自然選択の4類型は? 定量化する指標は?
安定化選択、方向性選択、分断化選択、頻度依存選択
選択差、選択反応
◆種の生物学的定義は? 種分化のメカニズムは?
互いに交配可能な生物個体の集合
地理的隔離→生殖隔離
交配前生殖隔離 交配後生殖隔離
第4回:内容とキーワード
1)生存と繁殖のスケジュール
2)繁殖の戦略
3)r-K選択
4)表現型=遺伝+環境+遺伝×環境
生存、成長、繁殖のスケジュール
・・・いつ、どれだけ、どんな子を残すか
☆形態や生理と同様に、
・種間・種内に変異がある
・遺伝する
・生存に影響する
→自然選択を受け、適応進化する
4・1a)生活史とは:生存と成長と繁殖のスケジュール
生活史 life history
生物が生まれてから死ぬまで(一代のみ)
4・1a)繁殖のスケジュール:大卵少産 vs 小卵多産
卵のサイズはどんな大きさが理想的?
Q1:大きい卵は適応度が高い?
Q2:たくさん産めば適応度が高い?
適応度 fitness
自然淘汰に対する個体の有利・不利の程度
特定の遺伝子型または表現型の適応度は、
それに属する個体あたりの
生きのびて生殖年齢に達する子の数で表す
4・1a)繁殖のスケジュール:大卵少産 vs 小卵多産
両立できる?
卵のサイズはどんな大きさが理想的?
大きい卵は生存率が高い→次世代を残しやすい
たくさん産めば子が増える→次世代を残しやすい
卵数
卵サイズ
等適応度線
同じ適応度を実現する
形質の組合せを結ぶ線
高
中
低
適応度
最高
4・1a)繁殖のスケジュール:大卵少産 vs 小卵多産
両立できる?
卵のサイズはどんな大きさが理想的?
大きい卵は生存率が高い→次世代を残しやすい
たくさん産めば子が増える→次世代を残しやすい
No, ‘cos’ 繁殖に配分できる資源は無限ではない
実際は、有限の資源をどう配分するかが重要
トレードオフ trade off
形質間にみられる拮抗的な関係のこと
例文: 卵数と卵サイズにはトレードオフの関係がある
卵数
卵サイズ
4・1a)繁殖のスケジュール:大卵少産 vs 小卵多産
卵のサイズはどんな大きさが理想的?
大きい卵は生存率が高い→次世代を残しやすい
たくさん産めば子が増える→次世代を残しやすい 両立できる?
反比例
No, ‘cos’ 繁殖に配分できる資源は無限ではない
実際は、有限の資源をどう配分するかが重要
オプションセット option set
生理的な制約の中での選択肢
卵数
卵サイズ
4・1a)繁殖のスケジュール:大卵少産 vs 小卵多産
卵のサイズはどんな大きさが理想的?
大きい卵は生存率が高い→次世代を残しやすい
たくさん産めば子が増える→次世代を残しやすい 両立できる?
No, ‘cos’ 繁殖に配分できる資源は無限ではない
等適応度線
同じ適応度を実現する
形質の組合せを結ぶ線
実際は、有限の資源をどう配分するかが重要
高
中
低
適応度
最高
卵数
卵サイズ
4・1a)繁殖のスケジュール:大卵少産 vs 小卵多産
卵のサイズはどんな大きさが理想的?
大きい卵は生存率が高い→次世代を残しやすい
たくさん産めば子が増える→次世代を残しやすい 両立できる?
No, ‘cos’ 繁殖に配分できる資源は無限ではない
実際は、有限の資源をどう配分するかが重要
最適な形質の組合せは
オプションセットの曲線と
等適応度線が接するところ
子の大きさ
子の生存率
子は大きいほど生存率が高いが、効果は頭打ち
4・1a)繁殖のスケジュール:大卵少産 vs 小卵多産
最適な卵サイズモデルの実際(Smith-Fretwell)
子の大きさ
子の生存率
母親の適応度=子の数×生存率=生存率/子の大きさ=傾き
傾
子は大きいほど生存率が高いが、効果は頭打ち
4・1a)繁殖のスケジュール:大卵少産 vs 小卵多産
最適な卵サイズモデルの実際(Smith-Fretwell)
子の大きさ
子の生存率 傾最大
最適な子の大きさ
4・1a)繁殖のスケジュール:大卵少産 vs 小卵多産
母親の適応度=傾きが最大になるのは原点を通る接線の接点
子は大きいほど生存率が高いが、効果は頭打ち
子の生存率ではなく、
母親(投資配分個体)の
適応度を最大に!
「トレードオフ」
最適な卵サイズモデルの実際(Smith-Fretwell)
子の大きさ
子の生存率
最適な子の大きさ
子の大きさと生存率の関係が変わると、
最適な子の大きさも変わることが分かる
4・1a)繁殖のスケジュール:大卵少産 vs 小卵多産
最適な卵サイズモデル(Smith-Fretwell)の利点
1回繁殖=全ての資源を繁殖に投資
多回繁殖=一部だけを繁殖に投資し、残りは生存と将来の繁殖へ
4・1b-c)繁殖のスケジュール:一回繁殖 vs 多回繁殖
「繁殖と成長にどれだけ投資配分するか」
1回繁殖=全ての資源を繁殖に投資
多回繁殖=一部だけを繁殖に投資し、残りは生存と将来の繁殖へ
「繁殖と成長にどれだけ投資配分するか」
キー:繁殖のコスト(一度にたくさん産むリスク)
◆繁殖コストが小さい条件 ・毎回の産仔数 →増やすと適応度が向上(≒前提) ・繁殖開始 →若齢化すると適応度が大幅に向上
・寿命 →延ばしても適応度には僅かな貢献のみ
(世代の回転率を高めることが有効)
◆繁殖コストが大きい条件 ・毎回の産仔数 →減らすと適応度が向上(≒前提) ・繁殖開始 →高齢化すると適応度が向上
・寿命 →延ばすと適応度が向上
繁殖と無関係のコスト(環境変化や捕食圧)の増加は、
繁殖コストを軽減するのと同じ効果をもつ
理論予想
4・1b-c)繁殖のスケジュール:一回繁殖 vs 多回繁殖
トカゲ →p65図4・1
トレードオフ trade off
形質間にみられる拮抗的な関係のこと
4・1d)r-K選択説:生活史形質間のパターン
生活史形質は互いに関係する
↓
パターンがあるのではないか?
卵サイズ 小さい 大きい
卵数 多い 少ない
繁殖回数 少ない 多い
生存スケジュール III型 I型
個体の成長 早い 遅い
性成熟 早い 遅い
体サイズ 小さい 大きい
世代時間 短い 長い
総合戦略 増殖力重視 競争力大
4・1d)r-K選択説:生活史形質間のパターン
r戦略 K戦略 MacArthur & Wilson (1967)
トレードオフ trade off
形質間にみられる拮抗的な関係のこと 生活史形質は互いに関係する
↓
パターンがあるのではないか?
r戦略者 K戦略者
死亡要因 突発的、壊滅的 競争
(運が大事) (努力が大事)
種内競争 おだやか 激しい
例 川(洪水・大水) 湖
砂漠 湿潤地域
草地(遷移初期) 森林(遷移後期)
総合環境 不安定 安定
4・1d)r-K選択説:生活史形質間のパターン
r戦略、K戦略はどのような環境で適応的か?
r選択 K選択
Pianka
自然増加(無制限)
dN
dt r 1
N
K
N
dN
dt rN
ロジスティック曲線(種内競争あり)
N:個体数、t:時間、r:内的自然増加率、K:環境収容力
t
N
N
4・1d)r-K選択説:名前の由来(7章:個体群生態学)
発展)繁殖後のケアはrかKか?:カエルの子育ての多様性
・生みっぱなしの種類
・オタマジャクシを
背中に乗せたり
胃の中(!)に入れて
水たまりを移動する種類
・オタマジャクシを
栄養たっぷりの(餌用の) 卵を産み与える種類
植物)成長と耐陰性のrとK:熱帯林の樹木の成長戦略
Hubbel 2009
群集生態学
Bierbaum et al(1989)Evolution
K選択(高密度飼育)を
受けてきた実験個体群
r選択(低密度飼育)を
受けてきた実験個体群
r選択的 (密度) K選択的
4・1d)r-K選択説:間引き実験による確認
次世代の生存個体数(適応度)
キイロショウジョウバエ
→摂餌時間が長くなった
→蛹になる位置が高くなった
両賭け戦略 bet hedging
表現型状態間の確率的な切替え
4・2)環境変化への対策:可塑性と両賭け戦略
◆予測が困難な環境変化への対策
生活史戦略(などの形質)は、遺伝子だけでは決まらない
表現型(形態、生活史、生理特性) = 遺伝型 + 環境 + 遺伝型 × 環境
◆環境変化への対策
表現型の可塑性 phenotypic plasticity
同じ遺伝子型を持つ個体において、
環境に応じて表現型を変化させること
相変異
翅多型(形態と生活史)
イブキヒメギス
4・2b)表現型の可塑性:密度効果
→表現型の変化の仕方や基準(reaction norm)に選択がかかる (例:環境変化がシビアな地域では敏感で大きな変化)
二型化
共食型(形態と食性)
エゾサンショウウオ
防衛型(形態と行動)
枝角類
4・2b)表現型の可塑性:被食リスクの効果
→表現型の変化の仕方や基準(reaction norm)に選択がかかる (例:環境変化がシビアな地域では敏感で大きな変化)
アマガエル幼生
Control
Fish
Dragonfly
ルアー
効果
遊泳力
増強
4・2b)表現型の可塑性:人間の密度効果
人間の例
人口爆発と少子高齢化の問題
成熟国家の希望(J)
漁業圧で個体数変動が大きくなるのはなぜか?
「魚類の成長曲線と成熟サイズの関係」がカギ
漁獲努力が年変動する:×
大きい個体が選択的に漁獲される:○
小さい個体は環境変動に弱い:×
早熟化(r戦略化)する:◎
Anderson et al. (2008) Nature
カリフォルニアの漁獲データを統計モデル解析すると・・・
応用)資源の不安定化は、表現型の可塑性か進化か!?
魚の成熟の可塑性
→p73図4・5
Bridgham et al. (2009) Nature
4・2b)進化は逆戻りできるのか!?
形態の進化 可逆性について不明
生活史の進化
可逆性について不明
タンパク質の構造と機能 事例)脊椎動物のグルココルチコイド受容体のホルモン特異性の進化
結論)逆戻りを制限する歯止め機構が上位にある
機構)タンパク質の機能変異をもたらした遺伝子変異を
元に戻しても、機能を持たないタンパク質が生じてしまう
→かつての形質が有利な自然選択圧が復元されても
偶然に進化が逆流する可能性は低い(ダブルロック)
両賭け戦略 bet hedging
表現型状態間の確率的な切替え
発展)予測困難な環境変化への対策:「両賭け戦略」説
例1)通常の種子と休眠種子を一定割合で作る一年生植物 →翌年が生育にふさわしくない場合にも全滅しない
→翌年が生育にふさわしい場合にチャンスを逃さない
例2)複数年にわたり繁殖をする多年生植物 →条件が悪い年に全滅を避ける効果を持つと解釈できる
繁殖コストが小さく、
他の死亡リスクが大きい場合、
複数回繁殖が適応的である
→割合配分に選択がかかる (例:環境ストレスが頻繁な地域では休眠割合が大きい)
両賭け戦略 bet hedging
表現型状態間の確率的な切替え
4・2)環境変化への対策:可塑性と両賭け戦略
◆予測が困難な環境変化への対策
生活史戦略(などの形質)は、遺伝子だけでは決まらない
表現型(形態、生活史、生理特性) = 遺伝型 + 環境 + 遺伝型 × 環境
◆環境変化への対策
表現型の可塑性 phenotypic plasticity
同じ遺伝子型を持つ個体において、
環境に応じて表現型を変化させること
→割合配分に選択がかかる
→表現型の変化基準に選択がかかる
第4回まとめ
1)生存と繁殖のスケジュール
生命表、生存曲線、トレードオフ、等適応度線
2)繁殖の戦略
大卵少産・小卵多産、1回繁殖・多回繁殖
3)r-K選択
r-K戦略、内的自然増加率、環境収容力
4)表現型=遺伝+環境+遺伝×環境
表現型の可塑性、反応基準(ReactionNorm)