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12/10/23 1 #03 文化と認識(2) ステレオタイプ・偏見 異文化間コミュニケーション 2012年度後期) Oct 23 rd , 2012 12/10/23 1930年代のアメリカでの調査(学生対象) 黒人は迷信的・怠惰 ユダヤ人は抜け目がない・打算的 アイルランド人はケンカばやい・おこりっぽい 中国人は迷信的・ずるい アメリカ人は勤勉・知性的 12/10/23

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#03 文化と認識(2)

ステレオタイプ・偏見

異文化間コミュニケーション (2012年度後期)

Oct 23rd, 2012

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• 1930年代のアメリカでの調査(学生対象)

• 黒人は迷信的・怠惰 • ユダヤ人は抜け目がない・打算的 • アイルランド人はケンカばやい・おこりっぽい • 中国人は迷信的・ずるい • アメリカ人は勤勉・知性的

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アメリカ人の持つ ステレオタイプ

•  「貪欲なユダヤ人」 •  「卑劣な中国人」 •  「馬鹿なアイルランド人」 •  「怠惰な黒人」      『ニューヨーク・タイムズ』

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エスニックジョークに見る ステレオタイプ

•  様々な民族の人が乗った豪華客船が沈没しそうになる。それぞれの乗客を海に飛び込ませるには、どのように声をかけるか?

•  イタリア人: •  フランス人: •  イギリス人: •  ドイツ人:  •  アメリカ人: •  中国人:   •  日本人:   •  韓国人:  

「海で美女が泳いでます」 「決して海には飛び込まないで下さい」 「こういうときにこそ紳士は海に飛び込むものです」 「規則ですので飛び込んでください」 「今飛び込めば貴方はヒーローになれるでしょう」 「おいしい食材が泳いでますよ」 「みなさん飛び込んでますよ」 「日本人はもう飛び込みましたよ」

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コミュニケーションに関する ステレオタイプ

• 日本人:   物静かで、はっきり物を言わない • アメリカ人: 友好的で、ストレートである • 中国人:   押しが強く、礼儀がない

等々

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ステレオタイプと偏見 • 異文化間コミュニケーションにおける最大級の障害の一つ

• いずれも、グループメンバーシップ(帰属)を基盤とした「個々人に対する評価」である

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Hall and Hall (1990) 「ある文化の特徴」 (1)  礼儀正しい振る舞いを重んじる価値観 (2)  強調志向 (3)  見た目の重要性を重んじる (4)  組織の一員として行動させようとする強い圧力 (5)  政治において、真実を述べたり正しい行為をする事をおさえ、指導者(上司)を指示する事を優先する

(6)  仕事の上で高く評価されるのは個性よりも協調性である (7)  社会的に認知され、人気を得る事が強い動機付けとなる

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1.ステレオタイプ • ステレオタイプの原因(古典的)

個人のパーソナリティ

社会的影響

個人の認知傾向

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特異なパーソナリティを持つ人間がステレオタイプや偏見を持つ:

「権威主義的パーソナリティ」

・「自分の所属する集団や権威に対して盲目的に同調・服従する   一方、他集団や弱者に対して敵意を持ち服従を求める」 ・この特性とユダヤ人や黒人に対する偏見の度合いの関連性の研究 ・権威主義的パーソナリティの強い人、人から愛された事がない人、  自分に自身がないような弱い人ほど偏見が強い。

個人のパーソナリティ

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社会的影響

パーソナリティ? 第二次世界対戦時のユダヤ人、アメリカでの日系人に対して等、短期間での特定の人種に対する偏見の急激な形成

社会的影響: 偏見は、現実に対する不満や葛藤から生じる 内集団びいき: また、自分の属する集団の価値や評価は自分に反映されるので内集団を肯定的に知覚する

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認知心理学的知見(人間に共通) 「カテゴリー化」と「解釈」に伴う現象

・別カテゴリーの構成員は実際より異なって 見える ・外集団均質性効果:同じカテゴリーの構成員  は類似して見える

個人の認知傾向

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異文化情報知覚における エラー

• 三つのプロセスの複合的エラーが生じる • 情報選択のエラー • 文化によるカテゴリー化の違い • 解釈の違い(スキーマの違い)

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おさらい:スキーマ

• 定義: • 情報を処理し整理するための認知構造(眼鏡)

• 機能: • 情報のピースに意味を与える • 足りない(もしくは提示されていない)情報を埋める • 不必要な情報を排除する

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おさらい:スキーマ

• 効果: • 我々の知覚/理解に影響を与える •  スキーマなしでは物事の理解ができない •  スキーマが異なれば異なった解釈がなされる

• 我々の「期待」に影響を与える

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スキーマの下位分類 • プロトタイプ: • あるカテゴリーの最も典型な例に関する知識

• ステレオタイプ: • ある特定のグループに属する人達の最も可能性のある行動や性質に関する期待

• スクリプト: • 参与者に期待される特定の出来事連鎖パターン/行動連鎖パターン • 行動連鎖パターン指針

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ステレオタイプ • ジャーナリストWalter Lippmanが1922年に使用した用語

“picture in our heads”(人種帰属に基づく他人の評価)

• 『われわれはたいていの場合、見てから定義しないで、定義してから見る。外界の、大きくて、 盛んで、騒がしい混沌状態の中から、すでにわれわれの文化がわれわれのために定義してくれて いるものを拾い上げる。そしてこうして拾い上げたものを、われわれの文化によってステレオタ イプ化されたかたちのままで知覚しがちである。』

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ステレオタイプ • 心理学:「錯視」と同様、「他人の知覚」に関しての脳の誤判断であると言える(Nesbdtt, 1980)

• 情報の性質が曖昧な場合、脳はある特定の(誤)結論を導きだす傾向にある(前回の、錯視の例を参照)

• 見えるのは「見えるはずと期待されるもの」であり、「期待に添わない」ものは見えない

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象 12

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ステレオタイプ • 我々の持つ他人の「こころの中の写像」(mental picture)

• 個々人に対する否定的/肯定的判断

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ステレオタイプ • 具体例: • アメリカン・エアラインの接客マニュアル •  ラテンアメリカ人の乗客は、 •  離陸前にアルコールを飲み始める •  飛行機が時刻通りに離陸すると期待していない •  自分が遅れそうな場合、飛行機を遅らすために爆弾予告をすることがある

• 白人(Caucasian)男性に関する印象 •  陽気で優しい

• 職業に対する肯定的ステレオタイプ •  医者 = 知的で優秀である

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ステレオタイプ • 具体例: “Asian-American” •  1960年代にUCLAの歴史家が命名 • 全てのアジア起源の人達に適応 • 東アジア~東南アジア~フィリピン/インドネシア等を含む30の国と地域

• およそ1000万人 • モデルマイノリティ(model minority) •  勤勉、忍耐、寡黙で禁欲的、強い家族の絆、高い教育志向などを背景に、「成功」した人達

•  メディアでも、よく働き、知的で、丁寧で、強い価値観を持ち、学校やビジネスで成功し、科学や工学の分野で活躍、というイメージで表現される

•  芸術や創造性の必要な分野には向かない

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<1>  表面的で観察可能な性質(人種、性別、外見、目立つ結果、他)によってあるグループの人間をカテゴリー化する

<2>  カテゴリーの典型例が、全ての構成員に当てはまると見なす <3>  ある特定の個人とコミュニケーションを行う際、このグループの性質がその個人にも当てはまるものと期待する

ステレオタイプ化のプロセス 12

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ステレオタイプの実態 (我々が認識すべきこと)

• 否定的/肯定的

• 不正確である可能性

• 個々の構成員には当てはまらない可能性

• ステレオタイプは人間の認知傾向であり、それ自体は自然な反応である。しかし、このステレオタイプに基づいて他人の行動を予測したり期待するのは危険である。

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ステレオタイプの実態 (さらに我々が認識すべきこと)

• 同文化 vs. 異文化ステレオタイプ

• 同文化グループの内輪メンバーに対しては肯定的ステレオタイプ

• 異文化(部外者)メンバーに対しては否定的ステレオタイプ

• 自己達成的予言(Self-fulfilling Prophecies)を引き起こす可能性(ピグマリオン効果)

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2.偏見

偏見と差別、嫌悪 ・ナチス・ドイツのユダヤ人迫害 ・ヨーロッパにおけるユダヤ人やスラブ人への偏見 ・黒人問題 ・ヒスパニック問題 ・日本における韓国・朝鮮人問題 ・中国における日本人問題 ・コソボ問題 ・アフリカの部族間の大量虐殺 ・チェチェン ・チベット ・カンボジア

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偏見の定義

• 『ステレオタイプ』が肯定/中立/否定的であるのに対し、偏見は、特定のグループに属する人々に対する否定的な態度(negative attitude)

• 特定のグループ(人種、宗教、性的志向、その他)に対する、合理性を欠く嫌悪、嫌疑、憎悪

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偏見の特徴 • 否定的な態度 • 合理性を欠く判断 • 権威/独裁主義的(authoritarian)な傾向のある人に多い • 過剰一般化 • 両極端な概念で物事を判断 • 保守的 • 道徳的 • 新しい情報や対立する情報に対して抵抗

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ステレオタイプと偏見

• ステレオタイプ: 認知的情報処理傾向 • 偏見: 心理学的、社会学的 • ステレオタイプが偏見につながる可能性 • 偏見形成の要因 •  社会化:教育、メディアを通して獲得される •  社会的利益: •  社会的結束の強化 •  仲間の圧力 •  内集団/外集団

•  経済的利益 •  心理的利益 •  優越感

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