011 019 高効率モータ...synchronous motor are measured to estimate the no load iron loss. In...

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研究レポート 高効率モータの損失測定および磁界解析に関する研究 高効率モータの損失測定および磁界解析に関する研究 Research on loss measurement and magnetic field analysis of high efficiency motor In this paper, we introduce research efforts aimed at improving the accuracy of iron loss estimation methods in both magnetic measurements and magnetic field analyses. First, the effects of annealing, welding and wire cutting of a stator-shaped specimen on its magnetic properties are qualitatively evaluated. Next, no load loss and mechanical loss of an interior permanent magnet synchronous motor are measured to estimate the no load iron loss. In order to make a material database for magnetic properties, magnetization and iron loss properties of non-oriented electrical steel sheets used in the test motor are measured under compressive stress by means of a single sheet tester. Then, the stress analysis of the shrink-fitting of the frame to the stator core is performed. Finally, based on the distribution of the circumferential stress, the no-load induced EMF and no-load iron loss are evaluated by a finite-element method considering stress-dependent magnetic properties. 本多 飛龍 Hiryu Honda 永德 航一 Koichi Eitoku 小峯 孝之 Takayuki Komine 藤原 耕二 Koji Fujiwara 髙橋 康人 Yasuhito Takahashi 1.まえがき 2015年度より開始された三相誘導電動機のトップランナー 化により,IE3の誘導機とPMモータとの効率差が小さくなっ てきている。モータをより高効率化するためには,電流密度を 下げ,銅損を低減することが有用な手段ではあるが,モータが大 形化しコスト増大につながってしまう。現状よりもモータを 小形化しながら効率を向上させるためには,鉄損を低減する ようにモータ形状を最適化することが必要であり,そのために は鉄損算定精度の向上が必須である。真の鉄損値を得るため には,モータ損失の測定技術の高精度化とモータ内部で起きてい る現象をより厳密に再現した解析技術とが必要であり,図1示すように測定と解析は常にセットで考える必要がある。 本稿では,出力15 kWで効率クラスIE4相当のモータとし て設計されたモータを対象として,鉄損算定向上に向けた以 下の取り組みを紹介する。 ・リング試料による打ち抜きと溶接の影響確認 ・モータ損失測定(無負荷損失,機械損,無負荷鉄損) ・磁気特性測定と材料データベースの作成 ・フレーム焼き嵌めによる影響を考慮した磁界解析モデル 作成 ・磁界解析による無負荷誘導起電力と無負荷鉄損の検討 図1 モータ損失評価における測定と解析 Fig.1 Measurement and analysis for loss evaluation of motors 2.検討対象モータ 表1に,検討対象モータの仕様を示す。本モータは,当社 標準モータをもとに新たに設計したIPMモータで,最高回転 速度3600 min -1 まで運転可能としている。 図2に検討対象モータのステータコア形状を示す。コア外 径φ190 mmの部分のみフレームと接触する構造としてい る。外周が真円ではない理由は,プレス打ち抜き時に185 mm 幅のロール材を使用して歩留りを向上しているためである。 表1 モータ仕様 Table1 Specifications of test motor 項  目 仕  様 定格出力 15 kW 極数 6 スロット数 36 ステータ外径 φ190 mm ステータ内径 φ110 mm コア長 175 mm ロータ構造 IPM構造 図2 ステータコア形状 Fig.2 Shape of stator core 11 東洋電機技報 第140号 2019年

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    高効率モータの損失測定および磁界解析に関する研究Research on loss measurement and magnetic field analysis of high efficiency motor

     In this paper, we introduce research efforts aimed at improving the accuracy of iron loss estimation methods in both magnetic measurements and magnetic field analyses. First, the effects of annealing, welding and wire cutting of a stator-shaped specimen on its magnetic properties are qualitatively evaluated. Next, no load loss and mechanical loss of an interior permanent magnet synchronous motor are measured to estimate the no load iron loss. In order to make a material database for magnetic properties, magnetization and iron loss properties of non-oriented electrical steel sheets used in the test motor are measured under compressive stress by means of a single sheet tester. Then, the stress analysis of the shrink-fitting of the frame to the stator core is performed. Finally, based on the distribution of the circumferential stress, the no-load induced EMF and no-load iron loss are evaluated by a finite-element method considering stress-dependent magnetic properties.

    本多 飛龍Hiryu Honda

    永德 航一Koichi Eitoku

    小峯 孝之Takayuki Komine

    藤原 耕二Koji Fujiwara

    髙橋 康人Yasuhito Takahashi

    1.まえがき

    2015年度より開始された三相誘導電動機のトップランナー化により,IE3の誘導機とPMモータとの効率差が小さくなってきている。モータをより高効率化するためには,電流密度を下げ,銅損を低減することが有用な手段ではあるが,モータが大形化しコスト増大につながってしまう。現状よりもモータを小形化しながら効率を向上させるためには,鉄損を低減するようにモータ形状を最適化することが必要であり,そのためには鉄損算定精度の向上が必須である。真の鉄損値を得るためには,モータ損失の測定技術の高精度化とモータ内部で起きている現象をより厳密に再現した解析技術とが必要であり,図1に示すように測定と解析は常にセットで考える必要がある。

    本稿では,出力15 kWで効率クラスIE4相当のモータとして設計されたモータを対象として,鉄損算定向上に向けた以下の取り組みを紹介する。

    ・リング試料による打ち抜きと溶接の影響確認・モータ損失測定(無負荷損失,機械損,無負荷鉄損)・磁気特性測定と材料データベースの作成・ フレーム焼き嵌めによる影響を考慮した磁界解析モデル

    作成・磁界解析による無負荷誘導起電力と無負荷鉄損の検討

    ■ 図1 モータ損失評価における測定と解析Fig.1 Measurement and analysis for loss evaluation of motors

    研究レポート 高効率モータの損失測定および磁界解析に関する研究

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    東洋電機技報 第140号 2019年

    高効率モータの損失測定および磁界解析に関する研究Research on loss measurement and magnetic field analysis of high efficiency motor

    小峯 孝之 永德 航一 本多 飛龍 藤原 耕二 髙橋 康人

    1. まえがき

    2015年度より開始された三相誘導電動機のトップランナー

    化により,IE3の誘導機と PM モータとの効率差が小さく

    なってきている。PM モータをより高効率化するためには,

    電流密度を下げ,銅損を低減することが有用な手段ではある

    が,モータが大型化しコスト増大につながってしまう。現状

    よりもモータを小型化しながら効率を向上させるためには,

    鉄損が低減するようにモータ形状を最適化することが必要で

    あり,そのためには鉄損算定精度の向上が必須である。真の

    鉄損値を得るためには,モータ損失の測定技術の高精度化と

    モータ内部で起きている現象をより厳密に再現した解析技術

    が必要であり,図1に示すように測定と解析は常にセット

    で考える必要がある。

    本論文では,出力15 kW で効率クラス IE4相当のモータと

    して設計されたモータを対象として,鉄損算定向上に向けた

    以下の取り組みを紹介する。

    ・リング試料による打ち抜きと溶接の影響確認

    ・モータ損失測定(無負荷損失,機械損,無負荷鉄損)

    ・磁気特性測定と材料データベースの作成

    ・フレーム焼き嵌めによる応力解析と磁界解析モデル作成

    ・磁界解析による無負荷誘導起電力と無負荷鉄損の検討

    ■図1 モータ損失評価における測定と解析

    Fig.1 Measurement and analysis for loss evaluation of motors

    2. 検討対象モータ

    表1に,検討対象モータの仕様を示す。本モータは,当

    社標準モータをもとに新たに設計した IPM モータで,最高

    回転速度3600 min-1まで運転可能としている。

    図2に検討対象モータのステータコア形状を示す。コア

    外径φ190 mm の部分のみフレームと接触する構造としてい

    る。外周が真円ではない理由は,プレス打ち抜き時に

    185mm 幅のロール材を使用して歩留りを向上しているため

    である。

    ■表1 モータ仕様

    Table1 Specifications of test motor 項 目 仕 様

    定格出力

    極数

    スロット数

    ステータ外径 φ

    ステータ内径 φ

    コア長

    ロータ構造 構造

    ■図2 ステータコア形状

    Fig.2 Shape of stator core and

    In this paper, we introduce research efforts aimed at improving the accuracy of iron loss estimation methods in both magnetic

    measurements and magnetic field analyses. First, the effects of annealing, welding and wire cutting of a stator-shaped specimen on

    its magnetic properties are qualitatively evaluated. Next, no load loss and mechanical loss of an interior permanent magnet

    synchronous motor are measured to estimate the no load iron loss. In order to make a material database for magnetic properties,

    magnetization and iron loss properties of non-oriented electrical steel sheets used in the test motor are measured under

    compressive stress by means of a single sheet tester. Then, the stress analysis of the shrink-fitting of the frame to the stator core is

    performed. Finally, based on the distribution of the circumferential stress, the no-load induced EMF and no-load iron loss are

    evaluated by a finite-element method considering stress-dependent magnetic properties.

    2.検討対象モータ

    表1に,検討対象モータの仕様を示す。本モータは,当社標準モータをもとに新たに設計したIPMモータで,最高回転速度3600 min-1まで運転可能としている。

    図2に検討対象モータのステータコア形状を示す。コア外径φ190 mmの部分のみフレームと接触する構造としている。外周が真円ではない理由は,プレス打ち抜き時に185 mm幅のロール材を使用して歩留りを向上しているためである。

    ■ 表1 モータ仕様Table1 Specifications of test motor

    項  目 仕  様

    定格出力 15 kW

    極数 6

    スロット数 36

    ステータ外径 φ190 mm

    ステータ内径 φ110 mm

    コア長 175 mm

    ロータ構造 IPM構造

    ■ 図2 ステータコア形状Fig.2 Shape of stator core

    研究レポート 高効率モータの損失測定および磁界解析に関する研究

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    東洋電機技報 第140号 2019年

    高効率モータの損失測定および磁界解析に関する研究Research on loss measurement and magnetic field analysis of high efficiency motor

    小峯 孝之 永德 航一 本多 飛龍 藤原 耕二 髙橋 康人

    1. まえがき

    2015年度より開始された三相誘導電動機のトップランナー

    化により,IE3の誘導機と PM モータとの効率差が小さく

    なってきている。PM モータをより高効率化するためには,

    電流密度を下げ,銅損を低減することが有用な手段ではある

    が,モータが大型化しコスト増大につながってしまう。現状

    よりもモータを小型化しながら効率を向上させるためには,

    鉄損が低減するようにモータ形状を最適化することが必要で

    あり,そのためには鉄損算定精度の向上が必須である。真の

    鉄損値を得るためには,モータ損失の測定技術の高精度化と

    モータ内部で起きている現象をより厳密に再現した解析技術

    が必要であり,図1に示すように測定と解析は常にセット

    で考える必要がある。

    本論文では,出力15 kW で効率クラス IE4相当のモータと

    して設計されたモータを対象として,鉄損算定向上に向けた

    以下の取り組みを紹介する。

    ・リング試料による打ち抜きと溶接の影響確認

    ・モータ損失測定(無負荷損失,機械損,無負荷鉄損)

    ・磁気特性測定と材料データベースの作成

    ・フレーム焼き嵌めによる応力解析と磁界解析モデル作成

    ・磁界解析による無負荷誘導起電力と無負荷鉄損の検討

    ■図1 モータ損失評価における測定と解析

    Fig.1 Measurement and analysis for loss evaluation of motors

    2. 検討対象モータ

    表1に,検討対象モータの仕様を示す。本モータは,当

    社標準モータをもとに新たに設計した IPM モータで,最高

    回転速度3600 min-1まで運転可能としている。

    図2に検討対象モータのステータコア形状を示す。コア

    外径φ190 mm の部分のみフレームと接触する構造としてい

    る。外周が真円ではない理由は,プレス打ち抜き時に

    185mm 幅のロール材を使用して歩留りを向上しているため

    である。

    ■表1 モータ仕様

    Table1 Specifications of test motor 項 目 仕 様

    定格出力

    極数

    スロット数

    ステータ外径 φ

    ステータ内径 φ

    コア長

    ロータ構造 構造

    ■図2 ステータコア形状

    Fig.2 Shape of stator core and

    In this paper, we introduce research efforts aimed at improving the accuracy of iron loss estimation methods in both magnetic

    measurements and magnetic field analyses. First, the effects of annealing, welding and wire cutting of a stator-shaped specimen on

    its magnetic properties are qualitatively evaluated. Next, no load loss and mechanical loss of an interior permanent magnet

    synchronous motor are measured to estimate the no load iron loss. In order to make a material database for magnetic properties,

    magnetization and iron loss properties of non-oriented electrical steel sheets used in the test motor are measured under

    compressive stress by means of a single sheet tester. Then, the stress analysis of the shrink-fitting of the frame to the stator core is

    performed. Finally, based on the distribution of the circumferential stress, the no-load induced EMF and no-load iron loss are

    evaluated by a finite-element method considering stress-dependent magnetic properties.

    11東洋電機技報 第140号 2019年

  • 研究レポート� 高効率モータの損失測定および磁界解析に関する研究

    3.リング試料による打ち抜きと溶接の影響確認

    図2のステータコア(コア長7 mm)に励磁用1次巻線180ターン,検出用2次巻線180ターン(1スロットあたり5ターン×36スロット)を巻いてリング試料を作製した。図3にリング試料の巻線の様子を示す。

    焼鈍・溶接・ワイヤーカットの影響を評価するために製法の異なるリング試料を作製し,磁気特性を比較した。表2に,リング試料仕様と測定結果を示す。

    ■ 図3 リング試料の巻線の様子Fig.3 Winding of a ring specimen

    ■ 表2 リング試料仕様と測定結果Table2 Specifications of ring specimens and measurement

    results

    項 目 仕  様/測定結果

    モデル名 [A] [B] [C] [D]

    コア製作方法 プレス打ち抜き ワイヤーカット

    コア材質 50A310

    焼鈍 焼鈍無し 焼鈍有り 焼鈍無し

    溶接(積層方法)

    溶接有り(TIG溶接)

    溶接無し(接着)

    溶接有り(TIG溶接)

    W10/50[W/kg] 1.21 1.18 0.88 1.13

    W15/50[W/kg] 2.52 2.45 2.07 2.36

    磁束密度B25[T] 1.405 1.428 1.439 1.435

    各モデルで打ち抜きと溶接の影響を相対的に確認するために,鉄損を比較した結果を表3に示す。[B] / [A] →焼鈍の効果を確認[A] / [D] →打ち抜き劣化を確認[B] / [D] →ワイヤーカットを基準に焼鈍の効果を確認[B] / [C] →溶接による劣化を確認

    ■ 表3 鉄損比較Table3 Comparison in Iron losses between ring specimens

    項 目 [B] / [A] [A] / [D] [B] / [D] [B] / [C]

    W10/50比率 0.975 1.07 1.04 1.34

    W15/50比率 0.972 1.07 1.04 1.18

    表3より溶接の有無の比較である[B] / [C]の比率が1.34となり,溶接による磁気特性の劣化が確認できる。プレス打ち抜きとワイヤーカットの比較である[A] / [D]の比率が1.07であることから,打ち抜きによっても磁気特性は劣化することがわかる。また,焼鈍有無の比較である[B] / [A]の比率は約0.97であり,焼鈍による磁気特性改善効果が確認できる。

    ここで溶接による磁気特性の劣化について考察する。図4にリング試料を励磁した状態の磁束密度分布を示す。同図の点線丸で囲んだバックヨーク幅がほかに比べて薄く磁気飽和する形状であったため,溶接の影響を過大評価している可能性があると考えられる。

    ■ 図4 リング試料の磁束密度分布Fig.4 Distribution of magnetic flux density in the ring

    specimen

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    -

    東洋電機技報 第140号 2019年

    3. リング試料による打ち抜きと溶接の影響確認

    図2のステータコア(コア長7 mm)に励磁用1次巻線180

    ターン,検出用2次巻線180ターン(1スロットあたり5ターン

    ×36スロット)を巻いてリング試料を作製した。図3にリン

    グ試料の巻線の様子を示す。

    焼鈍・溶接・ワイヤーカットの影響を評価するためにサ

    ンプルモデルを作製し,磁気特性を比較した。表2に,モ

    デル仕様と測定結果を示す。

    ■図3 リング試料の巻線の様子

    Fig.3 Winding of a ring specimen

    ■表2 モデル仕様と測定結果

    Table2 Specifications of ring specimens and measurement results

    項 目 仕 様

    モデル名

    コア製作方法 プレス打ち抜き ワイヤーカット

    コア材質

    焼鈍 焼鈍無し 焼鈍有り 焼鈍無し

    溶接

    積層方法

    溶接有り

    溶接

    溶接無し

    接着

    溶接有り

    溶接

    磁束密度

    各モデルで打ち抜きと溶接の影響を相対的に確認するため

    に,鉄損を比較した結果を表3に示す。

    B A →焼鈍の効果を確認

    A D →打ち抜き劣化を確認

    B D →ワイヤーカットを基準に焼鈍の効果を確認

    B C →溶接による劣化を確認

    ■表3 鉄損比較

    Table3 Comparison in Iron losses between ring specimens

    項 目

    比率

    比率

    表3より溶接の有無の比較である B C の比率が1.34

    となり,溶接による磁気特性の劣化が確認できる。プレス打

    ち抜きとワイヤーカットの比較である A D の比率が

    1.07であることから,打ち抜きによっても磁気特性は劣化す

    ることがわかる。また,焼鈍有無の比較である B A の

    比率は約0.97であり,焼鈍による磁気特性改善効果が確認で

    きる。

    ここで図4にリング試料を励磁した状態の磁束密度分布

    を示す。同図の点線丸で囲んだバックヨーク幅がほかに比べ

    て薄く磁気飽和する形状であったため,溶接の影響を過大評

    価している可能性があると考えられる。

    ■図4 リング試料の磁束密度分布

    Fig.4 Distribution of magnetic flux density in the ring specimen

    4. モータ損失測定

    4.1 検討対象モデル

    モータとして組んだ状態で無負荷損失を比較し,製造工程

    における磁気特性劣化の影響の有無を検討する。表4にモ

    デル仕様を示す。製法の異なる3つのモデルで検討する。Aa

    (焼鈍無し,溶接有り)が標準的なステータコア製法である。

    Ba(焼鈍有り,溶接有り)は焼鈍の効果を確認するための

    モデル,Ca(焼鈍有り,溶接無し)は焼鈍の効果と溶接の

    影響を確認するためのモデルである。なお,モデル名末尾の

    a は,同一のロータを使用していることを示している。

    ■表4 モデル仕様

    Table4 Specifications of motor models 項 目 仕 様

    モデル名

    コア製作方法 プレス打ち抜き

    コア材質

    ステータコア焼鈍 焼鈍無し 焼鈍有り

    ステータコア溶接

    積層方法

    溶接有り

    溶接

    溶接無し

    接着

    溶接部分の幅が他に比べ

    て薄く磁気飽和する。

    磁束密度

    4.モータ損失測定

    4.1 検討対象モデル

    モータとして組んだ状態で無負荷損失を比較し,製造工程における磁気特性劣化の影響の有無を検討する。表4にモデル仕様を示す。製法の異なる3つのモデルで検討する。Aa(焼鈍無し,溶接有り)が標準的なステータコア製法である。Ba

    (焼鈍有り,溶接有り)は焼鈍の効果を確認するためのモデル,Ca(焼鈍有り,溶接無し)は焼鈍の効果と溶接の影響を確認するためのモデルである。なお,モデル名末尾のaは,同一のロータを使用していることを示している。

    ■ 表4 モデル仕様Table4 Specifications of motor models

    項 目 仕  様

    モデル名 Aa Ba Ca

    コア製作方法 プレス打ち抜き

    コア材質 50A310

    ステータコア焼鈍 焼鈍無し 焼鈍有り

    ステータコア溶接(積層方法)

    溶接有り(TIG溶接)

    溶接無し(接着)

    1212 東洋電機技報 第140号 2019年

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    4.2 無負荷損失測定

    端子を開放した供試モータを負荷モータと連結し, 回転速度3600 min-1一定で軸受け付近の温度が温度飽和するまでウォームアップしてから各回転速度のトルク値T [Nm]を測定し,(1)式により無負荷損失Pout [kW]を算定した。ωmは回転角周波数 [rad/sec]である。回転方向は,供試モータの出力軸側から見て反時計回りを正回転としている。

    Pout=T×ωm �����������������(1)表5に無負荷損失の測定結果を示す。

    ■ 表5 無負荷損失の測定結果Table5 Measurement results of no-load losses

    項 目 無負荷損失[W]

    モデル名 Aa Ba Ca

    600 min-1 38 36 35

    1200 min-1 95 92 86

    1800 min-1 171 164 154

    2400 min-1 261 251 237

    3000 min-1 375 356 345

    3600 min-1 505 480 459

    各モデルでモータ特性を相対的に確認するために,無負荷損失を比較した結果を表6に示す。本稿ではワイヤーカットによるモデルを検討していないため,打ち抜きの影響は焼鈍の効果のみの確認となる。

    Ba / Aa →焼鈍の効果を確認Ca / Aa →焼鈍の効果と溶接による劣化を確認Ba / Ca →溶接による劣化を確認 

    ■ 表6 無負荷損失の比較Table6 Comparison in no-load losses between motor models

    項 目 Ba / Aa Ca / Aa Ba / Ca

    600 min-1 0.947 0.921 1.03

    1200 min-1 0.968 0.905 1.07

    1800 min-1 0.959 0.901 1.06

    2400 min-1 0.962 0.908 1.06

    3000 min-1 0.949 0.920 1.03

    3600 min-1 0.950 0.909 1.05

    平均値 0.956 0.911 1.05

    表6より,各回転速度でバラつきがあるので,平均値で比較する。焼鈍の有無の比較であるBa / Aaの比率は0.956であり,実機ステータコアにおいても焼鈍による磁気特性改善効果が確認できる。また,溶接の有無の比較であるBa / Caは1.05となり,溶接により鉄損が増加していることがわかる。標準的な製造方法と接着コアを焼鈍した場合の比較Ca / Aaの比率は0.911であり,損失が最も低減する。

    4.3 機械損測定

    機械損を測定するためには,磁力をもたないロータで試験する必要があり,磁石の代わりとして薄い鉄板を磁石スロット内に挿入したロータを製作し,無負荷損失測定と同様の測定手順で機械損を測定した。図5に機械損の速度特性,表7に機械損の測定結果を示す。トルク測定値は0.096 Nm ~0.303 Nmとなり,定格出力15 kWのモータに対しては非常に小さいトルクとなっている。表8に測定に使用したトルク計と指示計の仕様(メーカ代表値)を示す。なお,計測時の温度影響はないとしている。システム総合精度は0.056 %R.O.であり,トルク計測の不確かさは0.0011 Nmとなる。損失に換算すると600 min-1で±0.07 W,3600 min-1では±0.42 Wとなり機械損測定の計測精度は問題ないと考えている。表8には無負荷損測定時のトルク計と指示計の仕様も参考として記載する。

    ■ 図5 機械損特性Fig.5 Characteristics of mechanical losses

    小峯 孝之

    ■図5 機械損特性

    ■図6 無負荷鉄損特性

    ■図7 磁化特性

    ■図8 鉄損特性

    ■図9 応力印加状態での磁化特性

    ■図10 応力印加状態での鉄損特性

    トルク

    機械損

    回転速度

    機械損 トルク測定値無

    負荷

    鉄損

    回転速度

    圧延方向 圧延方向と直角飽和点 平均

    磁束

    密度

    鉄損

    鉄損

    磁束密度

    ■ 表7 機械損の結果Table7 Measurement results of mechanical losses

    項 目 トルク[Nm] 機械損[W]

    600 min-1 0.096 6

    1200 min-1 0.111 14

    1800 min-1 0.120 23

    2400 min-1 0.130 33

    3000 min-1 0.216 68

    3600 min-1 0.303 114

    ■ 表8 トルク計と指示計の仕様Table8 Specifications of torque sensor and Indicator

    項 目 機械損 無負荷損

    トルク計型式 UTMⅡ-2Nm UTMⅡ-5Nm

    測定レンジ 2Nm 5Nm

    トルク計の計測精度 0.052 %R.O. 0.052 %R.O.

    指示計の非直線性 0.02 %F.S. 0.02 %F.S.

    システム総合精度 0.056 %R.O. 0.056 %R.O.

    トルク計測の不確かさ 0.0011 Nm 0.0028 Nm

    13東洋電機技報 第140号 2019年

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    4.4 無負荷鉄損の算定

    無負荷鉄損は,表5の無負荷損失から表7の機械損を引くことで求められる。表9に無負荷鉄損の算定結果を示す。図6に無負荷鉄損特性を示す。モデルCa(焼鈍有り,溶接無し)の無負荷鉄損が最も小さい結果となった。

    ■ 表9 無負荷鉄損の算定結果Table9 Calculation result of no-load iron losses

    項 目 無負荷鉄損[W]

    モデル名 Aa Ba Ca

    600 min-1 32 30 29

    1200 min-1 81 78 72

    1800 min-1 148 141 131

    2400 min-1 228 218 204

    3000 min-1 307 288 277

    3600 min-1 391 366 345

    ■ 図6 無負荷鉄損特性Fig.6 Characteristics of no-load iron losses

    小峯 孝之

    ■図5 機械損特性

    ■図6 無負荷鉄損特性

    ■図7 磁化特性

    ■図8 鉄損特性

    ■図9 応力印加状態での磁化特性

    ■図10 応力印加状態での鉄損特性

    トルク

    機械損

    回転速度

    機械損 トルク測定値

    無負

    荷鉄損

    回転速度

    圧延方向 圧延方向と直角飽和点 平均

    磁束

    密度

    鉄損

    鉄損

    磁束密度

    5.磁気特性測定と材料データベースの作成

    5.1 磁気特性の測定とデータ処理

    実機と同一グレードの電磁鋼板から作製した試験片を用いて,磁化特性,鉄損特性の測定[1]を行い,材料データベースを作成する。図7に磁化特性を示す。圧延方向(RD)と圧延直角方向(TD)を測定し,RDとTDの平均を求める。飽和点に至るまでの磁化曲線は,飽和磁化Msを用いて飽和磁束密度Bsと飽和磁界Hsを算出し,外挿を行う。また,飽和領域の磁化曲線は,真空の透磁率を用いて直線近似する。

    図8に鉄損特性を示す。磁化特性と同様にRDとTDの鉄損を測定し,RDとTDの平均をデータベースの値とする。また各周波数に対して,磁束密度は最大2 Tまたは測定可能な範囲までとしている。

    小峯 孝之

    ■図5 機械損特性

    ■図6 無負荷鉄損特性

    ■図7 磁化特性

    ■図8 鉄損特性

    ■図9 応力印加状態での磁化特性

    ■図10 応力印加状態での鉄損特性

    トルク

    機械損

    回転速度

    機械損 トルク測定値

    無負

    荷鉄損

    回転速度

    圧延方向 圧延方向と直角飽和点 平均

    磁束

    密度

    鉄損

    鉄損

    磁束密度

    ■ 図7 磁化特性Fig.7 Magnetization property

    小峯 孝之

    ■図5 機械損特性

    ■図6 無負荷鉄損特性

    ■図7 磁化特性

    ■図8 鉄損特性

    ■図9 応力印加状態での磁化特性

    ■図10 応力印加状態での鉄損特性

    トルク

    機械損

    回転速度

    機械損 トルク測定値

    無負

    荷鉄損

    回転速度

    圧延方向 圧延方向と直角飽和点 平均

    磁束

    密度

    鉄損

    鉄損

    磁束密度

    ■ 図8 鉄損特性Fig.8 Iron loss property

    5.2 応力印加状態での磁気特性測定(単板試験器)

    電磁鋼板の応力印加時の磁気特性測定[2]を行い,材料データベースの拡充を行う。図9に,圧縮応力印加状態での磁気特性を示す。圧縮応力を印加することにより,磁気特性が劣化していることがわかる。

    小峯 孝之

    ■図5 機械損特性

    ■図6 無負荷鉄損特性

    ■図7 磁化特性

    ■図8 鉄損特性

    ■図9 応力印加状態での磁化特性

    ■図10 応力印加状態での鉄損特性

    トルク

    機械損

    回転速度

    機械損 トルク測定値

    無負

    荷鉄損

    回転速度

    圧延方向 圧延方向と直角飽和点 平均

    磁束

    密度

    鉄損

    鉄損

    磁束密度

    ■ 図9 応力印加状態での磁化特性Fig.9 Magnetization property under compressive stress

    1414 東洋電機技報 第140号 2019年

  • 研究レポート� 高効率モータの損失測定および磁界解析に関する研究 研究レポート� 高効率モータの損失測定および磁界解析に関する研究

    図10および図11に,50 Hzおよび100 Hz時の圧縮応力印加状態での鉄損特性を示す。同一の磁束密度において鉄損が増加しており,鉄損特性が変化していることがわかる。

    図12および図13に,50 Hzおよび100 Hz時の応力-鉄損特性を示す。圧縮応力は最大-50 MPa,引張応力は最大50 MPaまで測定している。圧縮応力印加時には増加傾向にあり,引張応力印加時には減少傾向であることがわかる。

    ■ 図10 応力印加状態での鉄損特性(50Hz)Fig.10 Iron loss property under compressive stress at 50 Hz

    小峯 孝之

    ■図5 機械損特性

    ■図6 無負荷鉄損特性

    ■図7 磁化特性

    ■図8 鉄損特性

    ■図9 応力印加状態での磁化特性

    ■図10 応力印加状態での鉄損特性

    トルク

    機械損

    回転速度

    機械損 トルク測定値

    無負

    荷鉄損

    回転速度

    圧延方向 圧延方向と直角飽和点 平均

    磁束

    密度

    鉄損

    鉄損

    磁束密度

    ■ 図11 応力印加状態での鉄損特性(100Hz)Fig.11 Iron loss property under compressive stress at 100 Hz

    ■図11 応力印加状態での鉄損特性

    ■図12 鉄損-応力特性( )

    ■図13 鉄損-応力特性( )

    ■図14 応力による鉄損の増加率( )

    ■図15 応力による鉄損の増加率( )

    ■図19 無負荷誘導起電力波形(実測値)

    ■図20 無負荷誘導起電力波形(実測値と解析値)

    鉄損

    磁束密度

    鉄損

    応力

    鉄損

    応力

    増加率

    応力

    増加率

    応力

    無負荷誘導起電力

    時間

    無負荷誘導起電力

    電気角 °

    解析 実測

    ■ 図12 鉄損-応力特性(50Hz)Fig.12 Iron loss-stress characteristics at 50 Hz

    ■図11 応力印加状態での鉄損特性

    ■図12 鉄損-応力特性( )

    ■図13 鉄損-応力特性( )

    ■図14 応力による鉄損の増加率( )

    ■図15 応力による鉄損の増加率( )

    ■図19 無負荷誘導起電力波形(実測値)

    ■図20 無負荷誘導起電力波形(実測値と解析値)

    鉄損

    磁束密度

    鉄損

    応力

    鉄損

    応力

    増加率

    応力

    増加率

    応力

    無負荷誘導起電力

    時間

    無負荷誘導起電力

    電気角 °

    解析 実測

    ■ 図13 鉄損-応力特性(100Hz)Fig.13 Iron loss-stress characteristics at 100 Hz

    ■図11 応力印加状態での鉄損特性

    ■図12 鉄損-応力特性( )

    ■図13 鉄損-応力特性( )

    ■図14 応力による鉄損の増加率( )

    ■図15 応力による鉄損の増加率( )

    ■図19 無負荷誘導起電力波形(実測値)

    ■図20 無負荷誘導起電力波形(実測値と解析値)

    鉄損

    磁束密度

    鉄損

    応力

    鉄損

    応力

    増加率

    応力

    増加率

    応力

    無負荷誘導起電力

    時間

    無負荷誘導起電力

    電気角 °

    解析 実測

    図14および図15に,50 Hzおよび100 Hz時における応力0 MPaの鉄損値を基準とした応力印加状態での鉄損増加率を示す。圧縮応力での鉄損増加率に着目すると,圧縮応力が増加するにつれて鉄損増加率が大きくなっていることがわかる。また,磁束密度によっても鉄損増加率は変化する。

    ■ 図14 応力による鉄損の増加率(50Hz)Fig.14 Increase rate of iron loss at 50 Hz

    ■図11 応力印加状態での鉄損特性

    ■図12 鉄損-応力特性( )

    ■図13 鉄損-応力特性( )

    ■図14 応力による鉄損の増加率( )

    ■図15 応力による鉄損の増加率( )

    ■図19 無負荷誘導起電力波形(実測値)

    ■図20 無負荷誘導起電力波形(実測値と解析値)

    鉄損

    磁束密度

    鉄損

    応力

    鉄損

    応力

    増加率

    応力

    増加率

    応力

    無負荷誘導起電力

    時間

    無負荷誘導起電力

    電気角 °

    解析 実測

    ■ 図15 応力による鉄損の増加率(100Hz)Fig.15 Increase rate of iron loss at 100 Hz

    ■図11 応力印加状態での鉄損特性

    ■図12 鉄損-応力特性( )

    ■図13 鉄損-応力特性( )

    ■図14 応力による鉄損の増加率( )

    ■図15 応力による鉄損の増加率( )

    ■図19 無負荷誘導起電力波形(実測値)

    ■図20 無負荷誘導起電力波形(実測値と解析値)

    鉄損

    磁束密度

    鉄損

    応力

    鉄損

    応力

    増加率

    応力

    増加率

    応力

    無負荷誘導起電力

    時間

    無負荷誘導起電力

    電気角 °

    解析 実測

    15東洋電機技報 第140号 2019年

  • 研究レポート� 高効率モータの損失測定および磁界解析に関する研究

    6.磁界解析による機器特性評価

    6.1 磁界解析モデル

    図16に磁界解析モデルを示す。ステータの1スロットスキューを,5段分割でモデル化した。磁石厚みは3.45mm,残留磁束密度Brは1.245T(at 20℃)とした。

    ステータコアの解析モデルは,フレーム焼き嵌めによる影響を考慮する。図17にフレームの焼き嵌め応力解析結果を示す。応力値は,円周方向の値を採用した。図18に,図17の応力分布に基づいて作成した磁界解析モデルを示す。

    ■ 図16 磁界解析モデルFig.16 Motor model for magnetic field analysis

    研究レポート 高効率モータの損失測定および磁界解析に関する研究

    -

    東洋電機技報 第140号 2019年

    6. 磁界解析による機器特性評価

    6.1 磁界解析モデル

    図16に磁界解析モデルを示す。ステータの1スロット

    スキューを,5段分割でモデル化した。磁石厚みは3.45mm,

    残留磁束密度 Br は1.245T(at 20℃)とした。

    ステータコアの解析モデルは,フレーム焼き嵌めによる

    影響を考慮する。図17にフレームの焼き嵌め応力解析結

    果を示す。応力値は,円周方向の値を採用した。図18に,

    図17の応力分布に基づいて作成した磁界解析モデルを示

    す。

    ■図16 磁界解析モデル

    Fig.16 Motor model for magnetic field analysis

    ■図17 応力解析結果

    Fig.17 Numerical result of stress analysis

    ■図18 応力分布に基づいて作成した磁界解析モデル

    Fig.18 Distribution of compressive stress for magnetic field analysis

    ここで,磁界解析に用いる磁石温度および残留磁束密度

    Br の決め方について説明する。

    ①モータ本体の温度が室温と同等の状態で測定した場合

    室温(TR℃)と磁石温度(TM℃)は等しいとする。温

    度係数が-0.1%/℃と仮定して,基準となる Br の温度を

    20℃とすると,任意の磁石温度(TM℃)の Br は式(2)

    により求められる。

    Br(at TM℃)=((-0.1×(TM-20)+100)×Br(at 20℃))/100 ・・・・・・・・・(2)

    例)室温(=磁石温度)が23℃の場合

    Br(at 23℃)=((-0.1×(23-20)+100)×1.245)/100=1.241

    ②モータ本体の温度が飽和状態になった場合

    室温(TR℃)状態の無負荷誘導起電力の値(VR)に対

    して,温度飽和した状態の無負荷誘導起電力の値(VS)

    から磁石温度(TS℃)を推定する。無負荷誘導起電力の温

    度に対する増減率は磁石の Br の温度係数-0.1%/℃と等し

    いと仮定し,前述の(2)式の Br を無負荷誘導起電力に置

    き換えた(3)式を整理することで(4)式が得られる。

    VS= ((-0.1×(TS-TR)+100)×VR)/100 ・・・・・・・・・(3)

    TS=TR-10×{(100×VS)/VR-100} ・・・・・・・・・(4)

    温度飽和状態の磁石温度(TS℃)の Br は(2)式により

    求める。

    6.2 無負荷誘導起電力

    無負荷誘導起電力を実測と解析で比較検討する。測定時の

    条件は,モータ本体の温度が室温と同等の状態で測定する。

    よって解析で用いる磁石温度は,室温と等しいとして算定す

    る。なお実測に使用した供試モータは,表4の焼鈍有り・

    溶接無しの Ca を使用した。

    表10に無負荷誘導起電力の実測値を示す。各線間電圧

    をメモリーハイコーダで取り込み,各線間電圧(実効値)の

    平均値を算出した。図19に無負荷誘導起電力波形(実測

    値)を示す。表11に無負荷誘導起電力の解析値と実測値

    の比較を示す。解析値が実測値よりも大きくなっており,解

    析で考慮できていない部分があると考えられる。図20に

    無負荷誘導起電力波形の解析結果と実測結果を示す。電圧波

    形は相似形ではあるが,ピーク部分が異なっていることがわ

    かる。

    ■表10 無負荷誘導起電力の実測値

    Table10 Measured and analyzed values of no-load induced EMF

    項 目室温

    間 間 間 平均

    :0MPa :-5MPa :-10MPa

    :-15MPa :-20MPa :-25MPa

    ■ 図17 応力解析結果Fig.17 Numerical result of stress analysis

    研究レポート 高効率モータの損失測定および磁界解析に関する研究

    -

    東洋電機技報 第140号 2019年

    6. 磁界解析による機器特性評価

    6.1 磁界解析モデル

    図16に磁界解析モデルを示す。ステータの1スロット

    スキューを,5段分割でモデル化した。磁石厚みは3.45mm,

    残留磁束密度 Br は1.245T(at 20℃)とした。

    ステータコアの解析モデルは,フレーム焼き嵌めによる

    影響を考慮する。図17にフレームの焼き嵌め応力解析結

    果を示す。応力値は,円周方向の値を採用した。図18に,

    図17の応力分布に基づいて作成した磁界解析モデルを示

    す。

    ■図16 磁界解析モデル

    Fig.16 Motor model for magnetic field analysis

    ■図17 応力解析結果

    Fig.17 Numerical result of stress analysis

    ■図18 応力分布に基づいて作成した磁界解析モデル

    Fig.18 Distribution of compressive stress for magnetic field analysis

    ここで,磁界解析に用いる磁石温度および残留磁束密度

    Br の決め方について説明する。

    ①モータ本体の温度が室温と同等の状態で測定した場合

    室温(TR℃)と磁石温度(TM℃)は等しいとする。温

    度係数が-0.1%/℃と仮定して,基準となる Br の温度を

    20℃とすると,任意の磁石温度(TM℃)の Br は式(2)

    により求められる。

    Br(at TM℃)=((-0.1×(TM-20)+100)×Br(at 20℃))/100 ・・・・・・・・・(2)

    例)室温(=磁石温度)が23℃の場合

    Br(at 23℃)=((-0.1×(23-20)+100)×1.245)/100=1.241

    ②モータ本体の温度が飽和状態になった場合

    室温(TR℃)状態の無負荷誘導起電力の値(VR)に対

    して,温度飽和した状態の無負荷誘導起電力の値(VS)

    から磁石温度(TS℃)を推定する。無負荷誘導起電力の温

    度に対する増減率は磁石の Br の温度係数-0.1%/℃と等し

    いと仮定し,前述の(2)式の Br を無負荷誘導起電力に置

    き換えた(3)式を整理することで(4)式が得られる。

    VS= ((-0.1×(TS-TR)+100)×VR)/100 ・・・・・・・・・(3)

    TS=TR-10×{(100×VS)/VR-100} ・・・・・・・・・(4)

    温度飽和状態の磁石温度(TS℃)の Br は(2)式により

    求める。

    6.2 無負荷誘導起電力

    無負荷誘導起電力を実測と解析で比較検討する。測定時の

    条件は,モータ本体の温度が室温と同等の状態で測定する。

    よって解析で用いる磁石温度は,室温と等しいとして算定す

    る。なお実測に使用した供試モータは,表4の焼鈍有り・

    溶接無しの Ca を使用した。

    表10に無負荷誘導起電力の実測値を示す。各線間電圧

    をメモリーハイコーダで取り込み,各線間電圧(実効値)の

    平均値を算出した。図19に無負荷誘導起電力波形(実測

    値)を示す。表11に無負荷誘導起電力の解析値と実測値

    の比較を示す。解析値が実測値よりも大きくなっており,解

    析で考慮できていない部分があると考えられる。図20に

    無負荷誘導起電力波形の解析結果と実測結果を示す。電圧波

    形は相似形ではあるが,ピーク部分が異なっていることがわ

    かる。

    ■表10 無負荷誘導起電力の実測値

    Table10 Measured and analyzed values of no-load induced EMF

    項 目室温

    間 間 間 平均

    :0MPa :-5MPa :-10MPa

    :-15MPa :-20MPa :-25MPa

    ■ 図18 応力分布に基づいて作成した磁界解析モデルFig.18 Distribution of compressive stress for magnetic field

    analysis

    研究レポート 高効率モータの損失測定および磁界解析に関する研究

    -

    東洋電機技報 第140号 2019年

    6. 磁界解析による機器特性評価

    6.1 磁界解析モデル

    図16に磁界解析モデルを示す。ステータの1スロット

    スキューを,5段分割でモデル化した。磁石厚みは3.45mm,

    残留磁束密度 Br は1.245T(at 20℃)とした。

    ステータコアの解析モデルは,フレーム焼き嵌めによる

    影響を考慮する。図17にフレームの焼き嵌め応力解析結

    果を示す。応力値は,円周方向の値を採用した。図18に,

    図17の応力分布に基づいて作成した磁界解析モデルを示

    す。

    ■図16 磁界解析モデル

    Fig.16 Motor model for magnetic field analysis

    ■図17 応力解析結果

    Fig.17 Numerical result of stress analysis

    ■図18 応力分布に基づいて作成した磁界解析モデル

    Fig.18 Distribution of compressive stress for magnetic field analysis

    ここで,磁界解析に用いる磁石温度および残留磁束密度

    Br の決め方について説明する。

    ①モータ本体の温度が室温と同等の状態で測定した場合

    室温(TR℃)と磁石温度(TM℃)は等しいとする。温

    度係数が-0.1%/℃と仮定して,基準となる Br の温度を

    20℃とすると,任意の磁石温度(TM℃)の Br は式(2)

    により求められる。

    Br(at TM℃)=((-0.1×(TM-20)+100)×Br(at 20℃))/100 ・・・・・・・・・(2)

    例)室温(=磁石温度)が23℃の場合

    Br(at 23℃)=((-0.1×(23-20)+100)×1.245)/100=1.241

    ②モータ本体の温度が飽和状態になった場合

    室温(TR℃)状態の無負荷誘導起電力の値(VR)に対

    して,温度飽和した状態の無負荷誘導起電力の値(VS)

    から磁石温度(TS℃)を推定する。無負荷誘導起電力の温

    度に対する増減率は磁石の Br の温度係数-0.1%/℃と等し

    いと仮定し,前述の(2)式の Br を無負荷誘導起電力に置

    き換えた(3)式を整理することで(4)式が得られる。

    VS= ((-0.1×(TS-TR)+100)×VR)/100 ・・・・・・・・・(3)

    TS=TR-10×{(100×VS)/VR-100} ・・・・・・・・・(4)

    温度飽和状態の磁石温度(TS℃)の Br は(2)式により

    求める。

    6.2 無負荷誘導起電力

    無負荷誘導起電力を実測と解析で比較検討する。測定時の

    条件は,モータ本体の温度が室温と同等の状態で測定する。

    よって解析で用いる磁石温度は,室温と等しいとして算定す

    る。なお実測に使用した供試モータは,表4の焼鈍有り・

    溶接無しの Ca を使用した。

    表10に無負荷誘導起電力の実測値を示す。各線間電圧

    をメモリーハイコーダで取り込み,各線間電圧(実効値)の

    平均値を算出した。図19に無負荷誘導起電力波形(実測

    値)を示す。表11に無負荷誘導起電力の解析値と実測値

    の比較を示す。解析値が実測値よりも大きくなっており,解

    析で考慮できていない部分があると考えられる。図20に

    無負荷誘導起電力波形の解析結果と実測結果を示す。電圧波

    形は相似形ではあるが,ピーク部分が異なっていることがわ

    かる。

    ■表10 無負荷誘導起電力の実測値

    Table10 Measured and analyzed values of no-load induced EMF

    項 目室温

    間 間 間 平均

    :0MPa :-5MPa :-10MPa

    :-15MPa :-20MPa :-25MPa

    ここで,磁界解析に用いる磁石温度および残留磁束密度Brの決め方について説明する。

    ①モータ本体の温度が室温と同等の状態で測定した場合室温(TR℃)と磁石温度(TM℃)は等しいとする。温度係

    数が-0.1%/Kと仮定して,基準となるBrの温度を20℃とすると,任意の磁石温度(TM℃)のBrは(2)式により求められる。 Br(at TM℃)=((-0.1×(TM-20)+100)×Br(at 20℃))/100 �(2)例)室温(=磁石温度)が23℃の場合 Br(at 23℃)=((-0.1×(23-20)+100)×1.245)/100 = 1.241②モータ本体の温度が飽和状態になった場合

    室温(TR℃)状態の無負荷誘導起電力の値(VR)に対して,温度飽和した状態の無負荷誘導起電力の値(VS)から磁石温度(TS℃)を推定する。無負荷誘導起電力の温度に対する増減率は磁石のBrの温度係数-0.1%/Kと等しいと仮定し,前述の(2)式のBrを無負荷誘導起電力に置き換えた(3)式を整理することで(4)式が得られる。

    VS =((-0.1×(TS-TR)+100)×VR)/100 �����(3)TS=TR-10×{(100×VS)/VR-100} ���������(4)温度飽和状態の磁石温度(TS℃)のBrは(2)式により求め

    る。

    6.2 無負荷誘導起電力

    無負荷誘導起電力を実測と解析で比較検討する。測定時の条件は,モータ本体の温度が室温と同等の状態で測定する。よって解析で用いる磁石温度は,室温と等しいとして算定する。なお実測に使用した供試モータは,表4の焼鈍有り・溶接無しのCaを使用した。

    表10に無負荷誘導起電力の実測値を示す。各線間電圧をメモリーハイコーダで取り込み,各線間電圧(実効値)の平均値を算出した。図19に無負荷誘導起電力波形(実測値)を示す。表11に無負荷誘導起電力の解析値と実測値の比較を示す。解析値が実測値よりも大きくなっており,解析で考慮できていない部分があると考えられる。図20に無負荷誘導起電力波形の解析結果と実測結果を示す。電圧波形は相似形ではあるが,ピーク部分が異なっていることがわかる。

    ■ 表10 無負荷誘導起電力の実測値Table10 Measured and analyzed values of no-load induced

    EMF

    項 目 室温[℃]U-V間

    RMS[V]V-W間

    RMS[V]W-U間

    RMS[V]平均

    [V]

    1800 min-1 23 145.9 146.6 147.4 146.6

    1616 東洋電機技報 第140号 2019年

  • 研究レポート� 高効率モータの損失測定および磁界解析に関する研究 研究レポート� 高効率モータの損失測定および磁界解析に関する研究

    ■ 図19 無負荷誘導起電力波形(実測値)Fig.19 Measured waveform of no-load induced EMF

    ■図11 応力印加状態での鉄損特性

    ■図12 鉄損-応力特性( )

    ■図13 鉄損-応力特性( )

    ■図14 応力による鉄損の増加率( )

    ■図15 応力による鉄損の増加率( )

    ■図19 無負荷誘導起電力波形(実測値)

    ■図20 無負荷誘導起電力波形(実測値と解析値)

    鉄損

    磁束密度

    鉄損

    応力

    鉄損

    応力

    増加率

    応力

    増加率

    応力

    無負荷誘導起電力

    時間

    無負荷誘導起電力

    電気角 °

    解析 実測■ 表11 無負荷誘導起電力の実測値と解析値Table11 Measured value and analysis value of no-load

    induced EMF

    項 目 磁石温度[℃]Br

    [T]解析値[V]

    実測値[V]

    解析/実測*100[%]

    1800 min-1 23(室温) 1.241 155.1 146.6 105.8

    ■ 図20 無負荷誘導起電力波形(実測値と解析値)Fig.20 No-load induced EMF waveform (Analysis value and

    analysis value)

    ■図11 応力印加状態での鉄損特性

    ■図12 鉄損-応力特性( )

    ■図13 鉄損-応力特性( )

    ■図14 応力による鉄損の増加率( )

    ■図15 応力による鉄損の増加率( )

    ■図19 無負荷誘導起電力波形(実測値)

    ■図20 無負荷誘導起電力波形(実測値と解析値)

    鉄損

    磁束密度

    鉄損

    応力

    鉄損

    応力

    増加率

    応力

    増加率

    応力

    無負荷誘導起電力

    時間

    無負荷誘導起電力

    電気角 °

    解析 実測

    6.3 無負荷鉄損

    無負荷鉄損を実測と解析で比較検討する。鉄損解析は,後処理鉄損計算として板厚方向の1次元有限要素解析を行い,渦電流損は後処理磁界解析結果から直接算出(異常損は補正係数で考慮),ヒステリシス損は磁束密度の時系列波形の極値がマイナーループの分岐点だとし,すべてのマイナーループが対称ループと相似形と仮定して算出している。

    表12に無負荷鉄損の実測値と解析値を示す。表13に無負荷損失測定時の無負荷誘導起電力の電圧値と磁石温度(室温と飽和状態)を示す。なお,実測に使用した供試モータは,表4の焼鈍有り・溶接無しのCaを使用した。

    表12の回転速度1800 min-1,磁石温度が室温の無負荷鉄損解析値は,実測値よりも5.6 %低い値となるが,磁石温度が

    飽和状態での解析値は,実測値よりも11 %高い値となっている。一方で,回転速度が3600 min-1の場合,磁石温度によらず実測値よりも解析値のほうが大きな値となっている。

    打ち抜きの劣化を考慮していない磁界解析と比較して,実測のほうが鉄損値は大きくなるべきだが,現状,解析値のほうが大きくなっている。これは,無負荷誘導起電力が実測値よりも解析値のほうが大きくなっていることが原因の一つであると考えられる。モータ内部の磁束密度分布が解析と実測で異なっており,鉄損が過大評価されているためと推測される。参考として,回転速度1800 min-1および3600 min-1で磁石温度が室温状態(Br = 1.25T)における渦電流損密度分布,ヒステリシス損密度分布,鉄損密度分布を図21 ~図26に示す。

    ■ 表12 無負荷鉄損の実測値と解析値Table12 Measured value and analysis value of no-load iron

    loss

    項 目 磁石温度[℃]Br

    [T]解析値[W]

    実測値[W]

    解析/実測*100[%]

    1800 min-1 16(室温) 1.250 143.8 152.4 94.4

    3600 min-1 16(室温) 1.250 439.4 395.8 111.0

    1800 min-1 46(推定) 1.213 135.8 131.4 103.3

    3600 min-1 46(推定) 1.213 413.3 344.8 119.9

    ■ 表13 測定時の磁石温度と無負荷誘導起電力Table13 Magnet temperature and no-load induced EMF at

    measurement

    項 目 運転時の状態 磁石温度[℃] 電圧値[V]

    3600 min-1 室温 16(室温) 299

    3600 min-1 温度飽和 46(推定) 290

    7.むすび

    無負荷誘導起電力は,実測値に対して解析値のほうが大きな値となり,その差異の原因として永久磁石の磁気特性のバラつきなどが考えられる。今後は,永久磁石の残留磁化の測定や今回の磁界解析モデルでは考慮できなかった電磁鋼板の打ち抜きによる磁気特性劣化の影響について検討する予定である。また鉄損低減可能なモータ形状最適化についても検討していく予定である。

    今後も,モータの高効率化に対する要求はますます厳しくなることが予想されており,モータの測定・解析技術も進歩していくと考えられる。モータ内部で起きている物理現象が磁界解析で定性的・定量的に把握でき,損失の正確な要因分析も可能になれば,さらなる損失低減・高効率化の方策を明確化できる。当社は,今後もお客さまのご要望に応えられるように,モータの技術開発を進めていく所存である。

    17東洋電機技報 第140号 2019年

  • 研究レポート� 高効率モータの損失測定および磁界解析に関する研究

    参考文献

    [1] 藤原耕二,中野正典,石原好之:「電力用磁性材料の標準磁気特性試験法」,日本応用磁気学会誌,2004年,vol.28,no.5,pp.661-669

    [2] 栗田直樹,髙橋康人,藤原耕二,石原好之:「無方向性電磁鋼板の磁気特性の応力依存性評価とIPMモータの磁界解析への適用」,電気学会静止器・回転機合同研究会資料,2011年,SA-11-25/RM-11-25,pp.61-66

    ■ 図25 ヒステリシス損密度分布(Br=1.25 T,3600 min-1)Fig.25 Distribution of hysteresis loss density at 3600 min-1

    研究レポート 高効率モータの損失測定および磁界解析に関する研究

    -

    東洋電機技報 第140号 2019年

    ■図21 渦電流損密度分布 ,

    Fig.21 Distribution of eddy-current loss density at 1800 min-1

    ■図22 ヒステリシス損密度分布 ,

    Fig.22 Distribution of hysteresis loss density at 1800 min-1

    ■図23 鉄損密度分布 ,

    Fig.23 Distribution of iron loss density at 1800 min-1

    参考文献

    [ ] 藤原耕二,中野正典,石原好之:「電力用磁性材料の

    標準磁気特性試験法」,日本応用磁気学会誌,2004年,

    vol.28,no.5,pp.661-669

    [ ] 栗田直樹,髙橋康人,藤原耕二,石原好之:「無方向

    性電磁鋼板の磁気特性の応力依存性評価と IPM モー

    タの磁界解析への適用」,電気学会静止器・回転機合

    同研究会資料,2011年,SA-11-25/RM-11-25,pp.61-66

    ■図24 渦電流損密度分布 ,

    Fig.24 Distribution of eddy-current loss density at 3600 min-1

    ■図25 ヒステリシス損密度分布 ,

    Fig.25 Distribution of hysteresis loss density at 3600 min-1

    ■図26 鉄損密度分布 ,

    Fig.26 Distribution of iron loss density at 3600 min-1

    0

    1.6

    3.2

    4.8

    6.48.0

    [W/kg]

    0

    3

    6

    9

    1215

    [W/kg]

    0

    2

    4

    6

    810

    [W/kg]

    0

    6

    12

    18

    24

    30[W/kg]

    0

    3

    6

    9

    1215

    [W/kg]

    0

    9

    18

    27

    36

    45[W/kg]

    ■ 図22 ヒステリシス損密度分布(Br=1.25 T,1800 min-1)Fig.22 Distribution of hysteresis loss density at 1800 min-1

    研究レポート 高効率モータの損失測定および磁界解析に関する研究

    -

    東洋電機技報 第140号 2019年

    ■図21 渦電流損密度分布 ,

    Fig.21 Distribution of eddy-current loss density at 1800 min-1

    ■図22 ヒステリシス損密度分布 ,

    Fig.22 Distribution of hysteresis loss density at 1800 min-1

    ■図23 鉄損密度分布 ,

    Fig.23 Distribution of iron loss density at 1800 min-1

    参考文献

    [ ] 藤原耕二,中野正典,石原好之:「電力用磁性材料の

    標準磁気特性試験法」,日本応用磁気学会誌,2004年,

    vol.28,no.5,pp.661-669

    [ ] 栗田直樹,髙橋康人,藤原耕二,石原好之:「無方向

    性電磁鋼板の磁気特性の応力依存性評価と IPM モー

    タの磁界解析への適用」,電気学会静止器・回転機合

    同研究会資料,2011年,SA-11-25/RM-11-25,pp.61-66

    ■図24 渦電流損密度分布 ,

    Fig.24 Distribution of eddy-current loss density at 3600 min-1

    ■図25 ヒステリシス損密度分布 ,

    Fig.25 Distribution of hysteresis loss density at 3600 min-1

    ■図26 鉄損密度分布 ,

    Fig.26 Distribution of iron loss density at 3600 min-1

    0

    1.6

    3.2

    4.8

    6.48.0

    [W/kg]

    0

    3

    6

    9

    1215

    [W/kg]

    0

    2

    4

    6

    810

    [W/kg]

    0

    6

    12

    18

    24

    30[W/kg]

    0

    3

    6

    9

    1215

    [W/kg]

    0

    9

    18

    27

    36

    45[W/kg]

    ■ 図26 鉄損密度分布(Br=1.25 T,3600 min-1)Fig.26 Distribution of iron loss density at 3600 min-1

    研究レポート 高効率モータの損失測定および磁界解析に関する研究

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    ■図21 渦電流損密度分布 ,

    Fig.21 Distribution of eddy-current loss density at 1800 min-1

    ■図22 ヒステリシス損密度分布 ,

    Fig.22 Distribution of hysteresis loss density at 1800 min-1

    ■図23 鉄損密度分布 ,

    Fig.23 Distribution of iron loss density at 1800 min-1

    参考文献

    [ ] 藤原耕二,中野正典,石原好之:「電力用磁性材料の

    標準磁気特性試験法」,日本応用磁気学会誌,2004年,

    vol.28,no.5,pp.661-669

    [ ] 栗田直樹,髙橋康人,藤原耕二,石原好之:「無方向

    性電磁鋼板の磁気特性の応力依存性評価と IPM モー

    タの磁界解析への適用」,電気学会静止器・回転機合

    同研究会資料,2011年,SA-11-25/RM-11-25,pp.61-66

    ■図24 渦電流損密度分布 ,

    Fig.24 Distribution of eddy-current loss density at 3600 min-1

    ■図25 ヒステリシス損密度分布 ,

    Fig.25 Distribution of hysteresis loss density at 3600 min-1

    ■図26 鉄損密度分布 ,

    Fig.26 Distribution of iron loss density at 3600 min-1

    0

    1.6

    3.2

    4.8

    6.48.0

    [W/kg]

    0

    3

    6

    9

    1215

    [W/kg]

    0

    2

    4

    6

    810

    [W/kg]

    0

    6

    12

    18

    24

    30[W/kg]

    0

    3

    6

    9

    1215

    [W/kg]

    0

    9

    18

    27

    36

    45[W/kg]

    ■ 図23 鉄損密度分布(Br=1.25 T,1800 min-1)Fig.23 Distribution of iron loss density at 1800 min-1

    研究レポート 高効率モータの損失測定および磁界解析に関する研究

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    ■図21 渦電流損密度分布 ,

    Fig.21 Distribution of eddy-current loss density at 1800 min-1

    ■図22 ヒステリシス損密度分布 ,

    Fig.22 Distribution of hysteresis loss density at 1800 min-1

    ■図23 鉄損密度分布 ,

    Fig.23 Distribution of iron loss density at 1800 min-1

    参考文献

    [ ] 藤原耕二,中野正典,石原好之:「電力用磁性材料の

    標準磁気特性試験法」,日本応用磁気学会誌,2004年,

    vol.28,no.5,pp.661-669

    [ ] 栗田直樹,髙橋康人,藤原耕二,石原好之:「無方向

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    タの磁界解析への適用」,電気学会静止器・回転機合

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    ■図24 渦電流損密度分布 ,

    Fig.24 Distribution of eddy-current loss density at 3600 min-1

    ■図25 ヒステリシス損密度分布 ,

    Fig.25 Distribution of hysteresis loss density at 3600 min-1

    ■図26 鉄損密度分布 ,

    Fig.26 Distribution of iron loss density at 3600 min-1

    0

    1.6

    3.2

    4.8

    6.48.0

    [W/kg]

    0

    3

    6

    9

    1215

    [W/kg]

    0

    2

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    810

    [W/kg]

    0

    6

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    18

    24

    30[W/kg]

    0

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    6

    9

    1215

    [W/kg]

    0

    9

    18

    27

    36

    45[W/kg]

    ■ 図21 渦電流損密度分布(Br=1.25 T,1800 min-1)Fig.21 Distribution of eddy-current loss density at 1800 min-1

    研究レポート 高効率モータの損失測定および磁界解析に関する研究

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    ■図21 渦電流損密度分布 ,

    Fig.21 Distribution of eddy-current loss density at 1800 min-1

    ■図22 ヒステリシス損密度分布 ,

    Fig.22 Distribution of hysteresis loss density at 1800 min-1

    ■図23 鉄損密度分布 ,

    Fig.23 Distribution of iron loss density at 1800 min-1

    参考文献

    [ ] 藤原耕二,中野正典,石原好之:「電力用磁性材料の

    標準磁気特性試験法」,日本応用磁気学会誌,2004年,

    vol.28,no.5,pp.661-669

    [ ] 栗田直樹,髙橋康人,藤原耕二,石原好之:「無方向

    性電磁鋼板の磁気特性の応力依存性評価と IPM モー

    タの磁界解析への適用」,電気学会静止器・回転機合

    同研究会資料,2011年,SA-11-25/RM-11-25,pp.61-66

    ■図24 渦電流損密度分布 ,

    Fig.24 Distribution of eddy-current loss density at 3600 min-1

    ■図25 ヒステリシス損密度分布 ,

    Fig.25 Distribution of hysteresis loss density at 3600 min-1

    ■図26 鉄損密度分布 ,

    Fig.26 Distribution of iron loss density at 3600 min-1

    0

    1.6

    3.2

    4.8

    6.48.0

    [W/kg]

    0

    3

    6

    9

    1215

    [W/kg]

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    810

    [W/kg]

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    30[W/kg]

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    [W/kg]

    0

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    18

    27

    36

    45[W/kg]

    ■ 図24 渦電流損密度分布(Br=1.25 T,3600 min-1)Fig.24 Distribution of eddy-current loss density at 3600 min-1

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    ■図21 渦電流損密度分布 ,

    Fig.21 Distribution of eddy-current loss density at 1800 min-1

    ■図22 ヒステリシス損密度分布 ,

    Fig.22 Distribution of hysteresis loss density at 1800 min-1

    ■図23 鉄損密度分布 ,

    Fig.23 Distribution of iron loss density at 1800 min-1

    参考文献

    [ ] 藤原耕二,中野正典,石原好之:「電力用磁性材料の

    標準磁気特性試験法」,日本応用磁気学会誌,2004年,

    vol.28,no.5,pp.661-669

    [ ] 栗田直樹,髙橋康人,藤原耕二,石原好之:「無方向

    性電磁鋼板の磁気特性の応力依存性評価と IPM モー

    タの磁界解析への適用」,電気学会静止器・回転機合

    同研究会資料,2011年,SA-11-25/RM-11-25,pp.61-66

    ■図24 渦電流損密度分布 ,

    Fig.24 Distribution of eddy-current loss density at 3600 min-1

    ■図25 ヒステリシス損密度分布 ,

    Fig.25 Distribution of hysteresis loss density at 3600 min-1

    ■図26 鉄損密度分布 ,

    Fig.26 Distribution of iron loss density at 3600 min-1

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    [W/kg]

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    [W/kg]

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    1818 東洋電機技報 第140号 2019年

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    執筆者略歴

    小峯 孝之 永德 航一

    2008年入社。現在,産業事業部産業工場開発部回転機開発課に所属し主に産業用モータの開発設計に従事。電気学会会員。

    2013年入社。現在,産業事業部産業工場開発部回転機開発課に所属し主に産業用モータの開発設計に従事。

    本多 飛龍

    2015年入社。現在,産業事業部産業工場開発部回転機開発課に所属し主に産業用モータの開発設計に従事。電気学会会員。

    藤原 耕二 髙橋 康人

    1984年3月岡山大学大学院工学研究科電気工学専攻修士課程修了。同年4月同大学大学院研究生。1985年4月三井造船株式会社入社。1986年7月岡山大学工学部助手,1994年7月同助教授。2006年10月同志社大学工学部教授(2008年4月理工学部に改組再編),現在に至る。博士(工学)。主として,有限要素法による非線形および渦電流を考慮した三次元磁界解析法,ならびに磁性材料の標準磁気特性測定法に関する研究に従事。電気学会会員。

    2008年3月早稲田大学大学院理工学研究科博士後期課程修了。2006年4月早稲田大学理工学術院助手,2008年4月京都大学大学院情報学研究科特定助教,2010年4月同志社大学理工学部助教,2015年4月同准教授,現在に至る.博士(工学)。主として,電磁界の高速大規模数値計算技術,磁性材料の磁気特性モデリング,太陽光発電システムに関する研究に従事。電気学会会員,IEEE会員他。

    19東洋電機技報 第140号 2019年