素粒子研究の技術を駆使した高性能・高精度次世代 PET

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タイムプロジェクションチェンバー( TPC )とは?. - PowerPoint PPT Presentation

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素粒子研究の技術を駆使した高性能・高精度次世代 PET

ー TXePET ( 液体キセノン検出器)ー

TXePET は、液体キセノンのタイムプロジェクションチェンバー( TPC )を 0.511MeV のガンマ線

検出器とする腫瘍の全身スキャン用の陽電子放出断層装置( PET )です。市販されている PET の検出器

はほとんどが BGO などの結晶で構成されています。

 

 患者さんの体の腫瘍細胞に集められた PET 試薬より放出される陽電子が近くの電子とともに対消滅し

て、2つのガンマ線が生成されます。この2つのガンマ線はそれぞれ正反対方向の一直線上に放出されま

す。ガンマ線は円筒状に配置された検出器の中で光電効果やコンプトン散乱などの反応を起こし、シンチ

レーション光の発光などで検出されます。 

PET は、この2つのガンマ線の作る直線を測定し、ガンマ線の発生点すなわち腫瘍細胞の場所を画像

化するものです。これらの分布は体軸方向にスライスされ断層画像となります。より鮮明な画像を得るこ

とが腫瘍の場所を特定する上でひじょうに重要です。そのためにはガンマ線反応位置の高い精度が求めら

れています。

 従来の PET では、 結晶検出器の位置分解能は単位結晶の大きさで決まります。典型的な結晶の大きさ

は、 4mm x 4mm x 20mm (深さ)で、ガンマ線反応確率すなわち検出効率を上げるために直線方向

に長くなっています。したがって、深さ方向(ガンマ線の進行方向)の位置( DOI, Depth Of

Interaction )の精度が垂直方向のものに比べて数倍ほど大きくなっています。これは視差を生じ画像の

鮮明さの限界となっています。

 より鮮明な画像を実現する次世代の PET の第一の課題はこの 深さ方向の検出位置精度の向

上です。 TXePET は液体キセノンの TPC により3次元的に精度のよい位置測定を実現でき、

したがって、視差のない鮮明な画像が得られます。

TXeTPC は電離電子のドリフトが体軸方向の TPC 、多数の光電子増倍管、そして、不感時間のない

読み出しエレクトロニクスから構成されています。反応の同定は光電子増倍管の同時計数シグナルによ

る TPC データ上のタイムスタンプによって行われます。

円筒状容器の中央に円盤状の高電圧陰極を設け、円筒両端面はゼロ電位の陽極とし、軸方向に一様な電場が形成されています。陽極は細分化されたパッド構造をなしており、到達電子の2次元位置が測定されます。 容器には -100℃ の液体キセノンが満たされ、ガンマ線が入射すると、その反応場所でシンチレーション光の発光とともに電離電子群が形成されます。電子群は電場に沿って陽極に到達し電荷として測定されます。パッド上の電荷分布より陽極端面でガンマ線反応位置(2次元、 rφ )が決定されます。容器軸方向( z )の位置は、電子群が陽極に到達するまでに要した時間により決定されます。 位置精度は 3 次元とも1mm 以下です。シンチレーション光は円筒側面に配置された光電子増倍管で測定されます。これによりガンマ線の反応時刻が決定されます。

タイムプロジェクションチェンバー( TPC )とは?

高電圧陰極

陽極(0V)

陽極(0V)

電場

電離電子群

光電子増倍管

z

TXePET (全身用)イメージ図

広視野で視差のない高画質、高感度な PET

特徴:シンチレーション光による高速な同時計数と電離電子群による 3 次元高位置分解能検出器

液体キセノンの特徴:温度 = -100℃ 、純度 = ppb レベル、密度 = 3.06g/cc 、輻射長=2.8cmTXePET での深さ: 9cm (ガンマ線の検出効率 93% )シンチレーション光: 175nm 、 22,000 光子数 /511keV ( NaI相当)           短い発光時間 2ns, 30ns

高エネルギー加速器研究機構( KEKDTP プロジェクト研究)、放射線医学総合研究所、佐賀大学、東京大学、横浜国立大学の共同研究

代表者:田内利明、所属:高エネルギー加速器研究機構、素粒子原子核研究所問合せ先:〒 305-0810 茨城県つくば市大穂 1-1、高エネルギー加速器研究機構TEL: 029-864-5374, FAX: 029-864-2580 、電子メール: [email protected]ホームページ: http://rd.kek.jp/lab_02_4.html