失敗しない 「評価者教育」の進め方1 Ⅰ.評価者の課題...

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失敗しない 「評価者教育」の進め方 人材開発部編 http://www.skg.co.jp

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失敗しない

「評価者教育」の進め方

人材開発部編

http://www.skg.co.jp

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― 目 次 ―

Ⅰ.評価者の課題 ························································· 1

Ⅱ.三大スキル(目標設定/評価/面談)の伝達ポイント ······················ 3

Ⅲ.研修における留意点···················································· 6

Ⅳ.研修実施における教育効果を高める7つのインストラクションステップ ······ 7

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ⅠⅠ..評評価価者者のの課課題題

評価者たる上司の役割の重要性が叫ばれています。様々な調査結果からは、評価される

側の人事評価への納得度を決定する最大の要因が「評価者」であることが読み取れます。

つまり、評価制度の内容云々よりも、現場で運用する評価者の意識・スキルに高いレベル

が必要になるということです。

現在の管理者には多くの負担がのしかかっています。自らも担当者としての役割を求め

られる「プレイングマネージャー」が大半であり、業務報告や内部監査などの社内管理業

務に時間をとられる管理者も多くの会社で散見されます。そんな中で、評価者としてのス

キルを向上させるには、どのようにすればよいのでしょうか。

評価者において取り上げる課題としては、おおむね以下の4点に分類できます。

図表1)評価者の課題と強化対策

課 題 学習のねらい 代表的な教育コンテンツ

1.評価者の意識(マイン

ド)が低い

人事評価の本来の狙いや、評価

者としての正しい役割認識を促

す。初回の研修(新任評価者へ

の研修)には不可欠。

・人事評価5つの原則

・評価者の役割認識度チェック

・「悪い評価」と「良い評価」とは・・・?

2.目標設定力が弱い 上位方針(経営方針)と、部下

の個人目標とを効果的につなぐ

力を高める。MBO導入時には

不可欠。

・目標3要素への分解

・目標項目の設定方法(目標の見つけ

方)

・達成基準の明記方法

・目標設定しずらいケースへの対応

・間接部門の目標設定例

3.評価のバラつきが大き

評価する際のクセ(心理的エラ

ー)を正し、客観的な評価基準・

手順による評価方法を学ぶ。

・評価傾向(評価エラー)の防止

・目標の進捗管理/評価事実の見極め

・評価基準すり合わせ(ケーススタデ

ィ)

・評価基準すり合わせ(実例討議)

4.面談を通じた部下の動

付けができない

面談前の準備から、面談時の進

行までの流れをつかみ、動機付

けに繋がるよう面談の質を高め

る。

・「面談シミュレーション」の作成

・コミュニケーショントレーニング「チャンクダウン」

・面談のロールプレイング

・傾聴のスキル「アクティブ・リスニ

ング」

・面談進行における留意点

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課題1:「評価者の意識(マインド)が低い」

多くの評価者が評価自体を「やらされ仕事」「人事部から強制される作業」というレベ

ルでしか捉えていない実態があります。まずは人事評価が、「マネジメントそのものを効

果的に機能させるための有効なツールである」と認識させることで、前向きな取り組み意

識を喚起することが大切です。

課題2:「目標設定力が弱い」

MBOによる評価を実施している企業においては必須課題です。適切なレベルの目標を

設定することはもちろんながら、その後の進捗を定期的に確認し、サポートすることが、

評価という枠組みだけでなく個人・組織の成果創出において不可欠です。

課題3:「評価のバラつきが大きい」

人事担当者が抱える課題として最もよく聞かれるものです。ただし、「バラつきを正す」

ことだけに主眼が置かれると、単に評価を“丸める”圧力だけが働き、本来評価される人が

評価されないなどの弊害も生じます。まず教育で取り上げるべきは、正しい評価プロセス

として「客観的な事実把握と評価基準への当てはめ」という基本動作の徹底です。

課題4:「面談を通じた部下の動機付けができない」

研修を実施する場合、効果が最も期待できる課題です。評価結果云々よりも、評価者と

のコミュニケーションのあり方が部下のモチベーションに強い影響を与えます。“ぶっつ

け本番”でなく“予行練習”をしておくことで、精神的にゆとりを持って面談に臨むことがで

き、結果として質の高い面談が可能となります。

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ⅡⅡ..三三大大ススキキルル((目目標標設設定定//評評価価//面面談談))のの伝伝達達ポポイインントト

評価者に身につけて欲しいスキルは、①目標設定 ②評価 ③面談 の3つです。それ

ぞれのポイントを整理してみます。

≪目標設定スキルの伝達ポイント≫

図表2)目標設定スキルの伝達ポイント

無難な目標では、部下の仕事に“揺らぎ”を加えることはできず、成長につながりません。

もちろん、自ら高い目標設定ができる人であれば良いのですが、実際にはそうではあり

ません。まずは上司から高い要求水準を示し、部下の視点を引き上げます。

このように上司からボールは投げたうえで、いざ自分自身は「どうしたいのか?どう

なりたいのか?」を考えさせ、コミュニケ―ションを通じて達成したいゴールイメージ

を具体化していきます。目標設定では「ゴールは数値化しなければならない」とよく言

われますが、必ずしもそうではありません。数値はゴールを明確にする一つの目安では

ありますが、数値化に適さない目標まで数値化することで、逆に行動が制限されるケー

スもあります。

1.上司から高い要求水準を示す

2.自分で考えさせる

3.ゴールイメージの具体化

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≪評価スキルの伝達ポイント≫

図表3)評価スキルの伝達ポイント

そもそも、生身の人間が行う評価に100%の完全は追求できません。しかし、評価

者として陥りがちな自らの傾向や癖(ハロー効果、寛大化傾向、中心化傾向 等)を一

つでも認識しておけば、一定の抑止力は働きます。

また、評価においては「事実に即した評価」が原則であり説得力も発揮します。その

ためには「まめに記録すること」が必要ですが、そうはいっても事細かく書き出すのも

時間の無駄です。おすすめは、重要なコミュニケーション(報告・指示指導)に限って

日付やその内容をメモしておくことです。それがあれば、その後の進捗のトレース(後

追い)が評価時点で可能になります。

以上のように、評価においては客観的な情報収集や基準への当てはめがベースです。

しかし、評価段階では「上司として伝えたいメッセージ・想い」が必ず出てきます。時

には評価に主観を込めることも、部下との絆を深めるきっかけになります。

≪面談スキルの伝達ポイント≫

図表4)面談スキルの伝達ポイント

1.自分のクセを知る

2.重要な評価事実を記録する

3.客観と主観を使い分ける

1.話す内容を重点化する

2.質問で掘り下げる

3.本人にまとめさせる

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評価面談において、すべての評価項目や目標について話し出すと、時間がいくらあっ

ても足りません。結果、いまひとつ焦点が絞り切れず、曖昧な話に終始してしまいがち

です。

話の焦点を絞るためには、それなりの準備が必要です。図表5のような「シミュレー

ションシート」を用い、「何を伝え、何を聞くべきか?」を面談前にメモしておきます。

このように事前準備で伝えたいことがまとまると、どうしても上司から一方的に話し

てしまいがちです。そこで、面談の中では「質問」を多用することを強く意識します。

質問に答えさせる(本人の口から語らせる)ことが「自己説得」につながり、伝えたい

メッセージや課題認識に対する納得度が増すのです。

図表5)フィードバック面談 シミュレーションシート

フィードバック面談 シミュレーションシート※面談前に、「A.伝達(質問)する内容」「B.予想される相手の認識・反応」の欄を記入してください。※「C.面談での確認(決定)事項」は、面談中(もしくは面談直後)に記入のうえ、総務部に提出してください。

ステップ ポイント・観点 A.伝達(質問)する内容 B.予想される相手の認識・反応 C.面談での確認(決定)事項

導入 ・アイスブレーキング・面談目的の伝達

①本人評価の問いかけ

・半年(1年)を振り返った評価・現在感じている問題意識

②職務能力発揮レベルの伝達

・レベル伝達の目的・主旨

③評価・承認する点 ・努力・成長が認められる点・組織貢献が認められる点

④成長に向けた課題・期待事項の提示

・成長に向け、改善を要する点・能力発揮を期待(要望)する点

⑤取り組み課題の共有化

・考えられる課題・考えられる障害・課題達成への具体策・上司からの支援策

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ⅢⅢ..研研修修ににおおけけるる留留意意点点

図表6は、4.5 時間による研修タイムテーブル例です。タイムテーブル設定においては、

以下の3点に留意します。

(図表6.評価者研修タイムテーブル例)

1.受講者の集中力(持続力)を見越した講義時間

1時間の話を集中して聴き続けられる人はまずいません。レクチャー(講義)のコ

マは、できれば10分、長くても20分以内に収めます。

2.「読む・書く・話す・考える」といった動作の組み合わせ

一方的に聴くのでなく、自らが主体となる動的なアクションを組み合わせます。

3.受講者の消化能力を見越した時間設定

同じ内容を実施しても、受講者の経験値や処理スピードにより、研修内容の消化に

必要な時間は全く異なります。

また、時間設定の工夫に加え、以下のような「教育効果を高めるための仕掛け」を組

テーマ 時間 実施内容 実施形式 使用フォーム

オリエンテーション 5分 • 本研修の実施目的 【人事よりアナウンス】

フェーズ1

人事評価制度と評価者の役割

35分

10分• 評価制度改正のポイント

–旧制度の限界・問題点【講義】

20分 • 評価者の役割実践度チェック 【個人ワーク】【チーム討議】• 「役割実践度チェックリ

スト」

5分 • 評価傾向のチェック 【個人ワーク】

フェーズ2

業績目標設定の進め方20分 • 目標設定具体化の方法 【講義】

• 目標設定シート記入サ

ンプル

【休憩】 10分

フェーズ3

評価の実施方法55分

10分• 業績評価の実施方法

–業績評価3つの観点

–個別目標の評価から総合評価への展開方法

【講義】

35分• 業績評価の仮実施

–客観的評価事実の想起

–評価根拠の説明プロセス

【チーム討議】• 想定部下の人事評価表

• 想定部下の目標シート

10分• 能力評価の実施方法

–コメントの記載方法【講義】【個人ワーク】

フェーズ4

面談の実施トレーニング135分

10分• 面談の実施プロセス及び留意点

–目標設定面談/中間レビュー/評価面談/

フィードバック面談の目的と進め方

【講義】

15分 • 評価面談シミュレーションの作成 【個人ワーク】• 面談シミュレーション

シート

10分 【休憩】

90分 • 演習「評価面談のロールプレイング」 【チーム演習】• ロールプレイング評価

シート

10分 • ロールプレイングの振り返り 【チーム討議】【講義】

振り返り・まとめ 10分5分 • クロージング 【講義】

5分 • アンケート記入 【個人ワーク】 • 受講アンケート

テーマ 時間 実施内容 実施形式 使用フォーム

オリエンテーション 5分 • 本研修の実施目的 【人事よりアナウンス】

フェーズ1

人事評価制度と評価者の役割

35分

10分• 評価制度改正のポイント

–旧制度の限界・問題点【講義】

20分 • 評価者の役割実践度チェック 【個人ワーク】【チーム討議】• 「役割実践度チェックリ

スト」

5分 • 評価傾向のチェック 【個人ワーク】

フェーズ2

業績目標設定の進め方20分 • 目標設定具体化の方法 【講義】

• 目標設定シート記入サ

ンプル

【休憩】 10分

フェーズ3

評価の実施方法55分

10分• 業績評価の実施方法

–業績評価3つの観点

–個別目標の評価から総合評価への展開方法

【講義】

35分• 業績評価の仮実施

–客観的評価事実の想起

–評価根拠の説明プロセス

【チーム討議】• 想定部下の人事評価表

• 想定部下の目標シート

10分• 能力評価の実施方法

–コメントの記載方法【講義】【個人ワーク】

フェーズ4

面談の実施トレーニング135分

10分• 面談の実施プロセス及び留意点

–目標設定面談/中間レビュー/評価面談/

フィードバック面談の目的と進め方

【講義】

15分 • 評価面談シミュレーションの作成 【個人ワーク】• 面談シミュレーション

シート

10分 【休憩】

90分 • 演習「評価面談のロールプレイング」 【チーム演習】• ロールプレイング評価

シート

10分 • ロールプレイングの振り返り 【チーム討議】【講義】

振り返り・まとめ 10分5分 • クロージング 【講義】

5分 • アンケート記入 【個人ワーク】 • 受講アンケート

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み込みます。

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ⅣⅣ..研研修修実実施施ににおおけけるる教教育育効効果果をを高高めめるる77つつののイインンスストトララククシショョンン

スステテッッププ

(1)受講者の注意を喚起する

機械的に召集をかけるだけでは、「体だけが研修会場に向かい、気持ちがついてきてい

ない」状態で参加されることになります。そこで、研修内容を想起させる事前課題を提

示しておき、意識のスイッチを入れてもらいます。例えば「特定の部下(1名)を想定

した仮評価」を事前課題として課し、その内容を研修内でも活用します。

また、研修の冒頭で注意喚起するには、「人事評価運用における成功の鍵」「評価にお

ける不満の原因」といった、各種機関・メディアが公表しているデータを示すのも一計

です。大抵のデータには、「評価者に対する満足/不満足が評価への納得度に影響を与え

る」という見解が示されているからです。

(2)学習目的を知らせる

「今、何のためにこの研修を実施するのか?」を、説得力を持って説明します。制度

改定直後や、評価・評価面談の直前期に実施する場合は切迫感もあり、目的も明確です。

また、そういう手続き的な目的だけでなく、例えば「部下指導力強化の必要性」など、

社内外の環境・経営課題ともリンクしたメッセージが必要です。

(3)受講者への関連性・メリットを示す

研修内容が受講者自身の中にスッと入るには、研修内で使われる事例などが現場の業

務内容に近く、イメージしやすいことが重要です。例えば、「ケーススタディ」としてそ

の会社の業務・社員に起こりがちなストーリーを作成し、その内容に沿った評価の演習

を行います。研修で提示する目標設定などのシート記入例も、その会社や職種・部門の

業務特性を踏まえて作成しておきます。

(4)学習の起点となる情報を与える

評価者としての役割遂行を訴えるには、その前提となる経営指針が必要です。ある会

社では、BSC(バランス・スコア・カード)による部門目標管理を導入しており、B

SCに個人目標を連動させ実効性を高めることが求められていました。数値目標の落と

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し込みは比較的容易ですが、定性的な目標や間接業務に従事する社員の目標は想起しに

くいため、まずは管理者自身がBSCの背景を理解し、説得力を持って部下の目標設定

を導けるだけのツール・プロセスを、研修の中で提示していきました。

(5)学習内容を使った演習を行う

まずは簡単な例題(ケース)を解き、チーム内で討議したうえで解答を示します。

次に、より自らの課題に沿ったケースとして、事前課題でも取り組んだ「特定部下へ

の評価」を取り上げ、実際にその部下に「評価面談」を行うと想定したシミュレーショ

ンを作成したり、チーム内の他のメンバーに部下役をやってもらい、面談のロールプレ

イング演習を行ったりします。

(6)フィードバックを与える

演習の成否を評価・指摘し、改善点をフィードバックします。「評価面談のロールプレ

イング演習」では、他のチームメンバーがオブザーバーとなり、上司役を務めたメンバ

ーに「面談で良かった点/改善を要する点」を率直に指摘します。(図表7)

図表7.面談ロールプレイング評価シート

記入者名: 記入日:        年      月      日

設定部下

④部下に期待するレベルや今後に向けた課題を示し、すり合わせていたか?

⑤相手の話に積極的に耳を傾け、安心感を与え話しやすい雰囲気を作っていたか?

良かった点 改善した方がよい点

面談ロールプレイング 評価シート

演技者(上司)

気づいた点

面談におけるチェックポイント   (⇒ ○、△、×)

①客観的な判断材料(事実ベース)をもとに話せていたか?

②評価結果に到る判断根拠を明確に示していたか?

③質問を効果的に使い、事実関係や部下本人の認識・意見を引き出していたか?

その他 感想・学んだ点 など

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(7)実践と復習の機会を与える

研修の冒頭で示した「学習目的」(現場での実践内容)に対し、「想定した内容が、適

切なやり方でなされたか?」をモニタリングすることは可能です。ある会社では、評価

者と被評価者の双方からアンケート調査を行い、評価や面談の実施状況とその満足度に

ついて双方の認識を突き合わせ、問題が見受けられる評価者や部署への指導を行ってい

ます。(図表8)

また、人事サイドで面談の中身にまで踏み込んでモニタリングする場合は、面談の記

録ができるフォームを作っておき、それを面談実施後に二次評価者と人事に提出しても

らうルールにしている会社もあります。それにより、毎年の指導記録が蓄積され、個人

の育成の継続性を担保することができます。

「被評価者」回答アンケート 「評価者」回答アンケート

Ⅰ.前年度人事評価についてお聞きいたします。 Ⅰ.前年度人事評価についてお聞きいたします。

1

面談時間は評価者と意思疎通を図るのに十分でしたか?

1

面談時間は被評価者と意思疎通を図るのに十分でしたか?

1.実施しなかった 1.実施しなかった

2.十分ではなかった 2.十分ではなかった

3.あまり十分ではなかった 3.あまり十分ではなかった

4.十分であった 4.十分であった

5.分からない 5.分からない

2

評価者から、評価結果の背景・理由について十分な説明がありましたか?

2

被評価者に対して、評価結果の背景・理由について十分な説明はしましたか?

1.説明はなかった 1.説明はしなかった

2.簡単な説明しかなかった 2.あまり説明はしなかった

3.ある程度説明があった 3.ある程度説明はした

4.十分説明があった 4.十分説明はした

5.分からない 5.分からない

3

個人業績評価及び能力評価結果(二次評価)は、納得いくものでしたか?

3

個人業績評価及び能力評価結果(二次評価)は、納得してもらえましたか?

1.納得いかなかった 1.納得してもらえなかった

2.あまり納得できなかった 2.あまり納得してもらえなかった

3.ある程度納得できた 3.ある程度納得してもらった

4.納得した 4.納得してもらった

5.分からない 5.分からない

4

評価者は、評価結果を踏まえ、あなたの良かった点を認め、改善すべき点を明確にし、あなたの能力向上につながる指導をしてくれましたか?

4

被評価者に対し、評価結果を踏まえ、良かった点を認め、改善すべき点を明確にし、被評価者の能力向上につながる指導をしましたか?

1.全く指導をしてくれなかった 1.全く指導をしなかった

2.十分な指導をしてくれなかった 2.十分な指導をしなかった

3.ある程度の指導をしてくれた 3.ある程度の指導をした

4.十分な指導をしてくれた 4.十分な指導をした

5.分からない 5.分からない

「被評価者」回答アンケート 「評価者」回答アンケート

Ⅰ.前年度人事評価についてお聞きいたします。 Ⅰ.前年度人事評価についてお聞きいたします。

1

面談時間は評価者と意思疎通を図るのに十分でしたか?

1

面談時間は被評価者と意思疎通を図るのに十分でしたか?

1.実施しなかった 1.実施しなかった

2.十分ではなかった 2.十分ではなかった

3.あまり十分ではなかった 3.あまり十分ではなかった

4.十分であった 4.十分であった

5.分からない 5.分からない

2

評価者から、評価結果の背景・理由について十分な説明がありましたか?

2

被評価者に対して、評価結果の背景・理由について十分な説明はしましたか?

1.説明はなかった 1.説明はしなかった

2.簡単な説明しかなかった 2.あまり説明はしなかった

3.ある程度説明があった 3.ある程度説明はした

4.十分説明があった 4.十分説明はした

5.分からない 5.分からない

3

個人業績評価及び能力評価結果(二次評価)は、納得いくものでしたか?

3

個人業績評価及び能力評価結果(二次評価)は、納得してもらえましたか?

1.納得いかなかった 1.納得してもらえなかった

2.あまり納得できなかった 2.あまり納得してもらえなかった

3.ある程度納得できた 3.ある程度納得してもらった

4.納得した 4.納得してもらった

5.分からない 5.分からない

4

評価者は、評価結果を踏まえ、あなたの良かった点を認め、改善すべき点を明確にし、あなたの能力向上につながる指導をしてくれましたか?

4

被評価者に対し、評価結果を踏まえ、良かった点を認め、改善すべき点を明確にし、被評価者の能力向上につながる指導をしましたか?

1.全く指導をしてくれなかった 1.全く指導をしなかった

2.十分な指導をしてくれなかった 2.十分な指導をしなかった

3.ある程度の指導をしてくれた 3.ある程度の指導をした

4.十分な指導をしてくれた 4.十分な指導をした

5.分からない 5.分からない

図表8.評価者/被評価者アンケート(抜粋)

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当然ながら、人事評価は、部下のキャリアに大きな影響を及ぼすものです。この重要な

仕事を、軽く捉えていては「適切な人事評価」にはほど遠い作業でしかなくなります。

評価は、単なる「査定」ではなく、部下を「教育」し、部下の将来に好影響を与える場

面でもあります。評価者である上司は、このことを充分に認識したうえで、評価に臨むこ

とが不可欠です。

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失敗しない「評価者教育」の進め方

製作 2012年 8月 第1版発行

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■会社概要

株式会社新経営サービス

京都を拠点として、現在約70名のスタッフが活動。中堅・中小企業から東証一部上場企業にい

たるまで、1,500社を超える企業の支援を行っている。

経営サービスの領域も広く、経営診断、個別経営改善業務はもとより、経営者・管理者・一般職

層の各々を対象にした教育・研修、人事システムの設計導入、財務管理、会計システム指導、事

業承継、M&Aサポートなど、多岐に亘る。

〒600-8102

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