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農業融資実務 農業融資実務
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目 次
農 業 の 現 状
問 1 農業金融の動向および金融機関と農業の関わり …… 26
問 2 農業の特徴 ……………………………………………… 27
問 3 認定農業者 ……………………………………………… 28
問 4 集落営農と農業法人 …………………………………… 28
問 5 食の外部化と食生活の急激な変化 …………………… 29
問 6 耕作放棄地と分散錯圃 ………………………………… 30
問 7 流通構造の変化 ………………………………………… 31
問 8 農業の生産調整と経営所得安定対策 ………………… 31
問 9 農商工連携と 6 次産業化 ……………………………… 32
問 10 バイオマスと環境保全型農業 ………………………… 33
農 地 制 度
問 11 農地制度に関する法律と農地制度の歴史的経緯 …… 34
問 12 農地制度における農地と農業振興地域制度 ………… 35
問 13 農地所有適格法人 ……………………………………… 35
問 14 農地の売買,賃貸借 …………………………………… 36
問 15 農地転用ならびに利用権設定による耕作 …………… 37
業 界 動 向
問 16 稲作の業界動向 ………………………………………… 38
問 17 稲作の業界知識,目利きのポイント等 ……………… 39
問 18 野菜の業界知識,目利きのポイント等 ……………… 40
問 19 果樹の業界知識,目利きのポイント等 ……………… 40
農 業 簿 記 ・ 農 業 補 助 金
問 20 農業簿記における特徴(概観)および収益の認識基準,計上時期,計上方法 … 41
問 21 農畜産物原価計算と育成仮勘定 ……………………… 42
問 22 補助金 ・ 交付金 ・ 価格補填金と価格補填収入 ・ 経営安定補填収入 … 42
問 23 農業補助金の種類と勘定処理 ………………………… 43
農 業 税 務
問 24 農業を営む個人に対する課税の仕組みと農業所得の計算 … 44
問 25 農業における青色申告 ………………………………… 44
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農業融資実務
問 26 法人所得課税のポイント ……………………………… 45
問 27 消費税課税のポイント ………………………………… 46
問 28 法人化および相続における留意点と税制特例 ……… 46
農 業 労 務
問 29 農業の雇用関連法制と社会保険・労働保険関連法制 … 47
問 30 農業者年金と就業規則 ………………………………… 48
問 31 要員計画,法人化,年次有給休暇と賃金設定の留意事項 … 48
農 業 経 営 把 握 ・ 分 析
問 32 資金繰り分析,損益分岐点分析と付加価値分析 …… 49
問 33 経営戦略の把握,内部・外部環境分析ツール ……… 49
融 資 審 査
問 34 農業者向け与信取引推進 ……………………………… 50
問 35 農業のリスク …………………………………………… 51
問 36 融資審査 ………………………………………………… 51
問 37 農業者向け制度資金 …………………………………… 52
問 38 農業経営における運転資金審査ポイント …………… 53
問 39 設備資金の審査のポイント …………………………… 53
問 40 金融手法 ………………………………………………… 54
経 営 改 善 提 案
問 41 農業における経営改善提案の現状把握の手法 ……… 55
ビ ジ ネ ス マ ッ チ ン グ
問 42 ビジネスマッチング …………………………………… 56
問 43 商談会活用 ……………………………………………… 56
問 44 商談会出展の手順 ……………………………………… 57
財 務 分 析
問 45 財務分析問題 1-1 ……………………………………… 59
問 46 財務分析問題 1-2 ……………………………………… 59
問 47 財務分析問題 1-3 ……………………………………… 60
問 48 財務分析問題 2-1 ……………………………………… 62
問 49 財務分析問題 2-2 ……………………………………… 62
問 50 財務分析問題 2-3 ……………………………………… 63
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農業融資実務
農 業 の 現 状
農業金融の動向および金融機関と農業の関わり
問 1 農業金融の動向ならびに金融機関と農
業の関わりに関する次の記述について,誤っ
ているものを 1つ選びなさい。
⑴ 農業金融を取り扱う主な金融機関は,JA
バンクと日本政策金融公庫である。
⑵ 国内銀行(都銀,地銀,第二地銀,信託
銀行)の農業向け融資の資金使途について
みると,経営規模の維持,拡大を目的とし
た運転資金残高が増加している。
⑶ 各金融機関が力を入れている取組みとし
て,農業ビジネスに関心がある取引先企業
と農業者とのビジネスマッチングが挙げら
れる。
⑷ 6 次産業化に取り組む農業者(合弁会社)
に対して出資を行うためのサブファンドを
設立する金融機関はほとんどない。
⑸ 農業融資の物的担保は農地が主体という
問題の解決策として,ABL(動産担保融
資)に積極的に取り組んでいる金融機関が
ある。
正解率 65%
正解 ⑷
解 説
⑴ 2016 年 3 月末の JA バンクの農業関
係資金貸付金残高は 2 兆 610 億円,日
本政策金融公庫は 1 兆 5,521 億円であ
る。一方,国内銀行(都銀,地銀,第
二地銀,信託銀行)の農業向け融資残
高は,総額 5,800 億円程度で貸付金全
体の0.1%程度にとどまる。したがって,
⑴は正しい。
⑵ 国内銀行(都銀,地銀,第二地銀,
信託銀行)の農業向け融資の資金使途
別に内訳をみると,経営規模の維持,
拡大を目的とした畜産経営体などへの
運転資金残高が増加している。したがっ
て,⑵は正しい。
⑶ JA バンクでは,系統団体・農林水産
業者および商工業者のニーズを収集し,
組織同士の恒常的な取引につなげる取
組みを実施している。各金融期間は,
顧客企業を日常的に接点がない農業者
と引き合わせ,新たなビジネスの創出,
農商工連携実現化のサポートといった
「仲人」としての役割を担っている。し
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たがって,⑶は正しい。
⑷ 2013 年 1 月に設立された「(株)農
林漁業成長産業化支援機構」とともに,
6 次産業化に取り組む農業者(合弁会
社)に対して出資を行うためのサブファ
ンドを設立する金融機関は多く見られ
る。したがって,⑷は誤りであり,こ
れが本問の正解である。
⑸ 肉用牛では,トレーサビリティ法に
よって個体管理が徹底されていること
も追い風となり,全国肉用牛事業協同
組合が牛の担保管理や担保の査定を実
施し,金融機関の ABL 組成に協力す
る仕組みが推進されている。したがっ
て,⑸は正しい。
農 業 の 特 徴
問 2 農業の特徴に関する次の記述につい
て,誤っているものを 1つ選びなさい。
⑴ 農業の特徴の 1 つとして,動植物の本能,
潜在能力に依拠する部分が多い。
⑵ 窒素(N),リン酸(P),カルシウム(Ca)
は,肥料として使用すると効果が大きくあ
らわれ,肥料の 3 要素といわれている。
⑶ 塩類障害は,ハウス栽培において土中に
硝酸イオン等の塩類が蓄積することによっ
て発生する。
⑷ 中山間地域の農業は,その立地ゆえ経営
規模や経営コスト等の点で平地の農業と格
差がある。
⑸ 戦前の立場の弱い小作農の地位を保護す
るため,農地法によって小作農の耕作権が
認められた。
正解率 37%
正解 ⑵
解 説
⑴ 農業は生物を相手にする産業であ
り,動植物の本能,潜在能力を引き出
して生産物を生み出す必要があること
から,そのコントロールは複雑である。
こうした課題に単純な機械化だけでは
対応することが難しいことも農業の特
徴である。したがって,⑴は正しい。
⑵ 植物の肥大に影響を及ぼす窒素(N),
代謝に影響を及ぼすリン酸(P),細胞
内外の水分調整等に影響を及ぼすカリ
ウム(K)を,肥料の 3 要素という。
植物における必要量が栄養素の中でも
特に多く通常は土壌中で不足がちであ
るため,肥料として使用するとその効
果が大きく現れます。したがって,⑵
は誤りであり,これが本問の正解であ
る。
⑶ 塩類障害とは,ハウス栽培において
施肥によって土中に堆積する硝酸イオ
ン等の塩類が,露地栽培のように雨水
で流れることなく,蓄積することによっ
て発生する障害で,高濃度塩は水の吸
収や生育に悪影響を及ぼす。したがっ
て,⑶は正しい。
⑷ 中山間地域は,その立地ゆえ,圃場
1 枚当たりの区画が小さかったり,不
整形だったり,傾斜がきついなど,農
地としての制約が大きく,さらに,過
疎化・高齢化等により経営規模や経営
コスト等の点で平地と格差がある。し
たがって,⑷は正しい。
⑸ 戦前の立場の弱い小作農の地位を保
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農業融資実務
護するために,農地法によって小作農
の耕作権が認められた。この規定が「農
地を貸したらなかなか取り戻せない」
という心理を土地所有者に生むことに
なり,長期間安定的に農地を借りると
いう農地流動化を進める阻害要因と
なった。したがって,⑸は正しい。
認 定 農 業 者
問 3 認定農業者に関する次の記述につい
て,正しいものを 1つ選びなさい。
⑴ 認定農業者とは,農地法の規定に基づい
て「農業経営改善計画」を作成し,その達
成が見込まれる者をいう。
⑵ 農地のない畜産・施設園芸は,認定農業
者の対象とならない。
⑶ 認定農業者の年齢構成は,60 代以上が
70%以上を占めている。
⑷ 農業経営改善計画には,5 年後の経営改
善の目標と達成に向けた取組みを具体的に
書き込む。
⑸ 農業経営改善計画は,事業を実施する予
定の都道府県に提出する。
正解率 76%
正解 ⑷
解 説
⑴ 認定農業者とは,農業経営基盤強化
促進法の規定に基づいて「農業経営改
善計画」を作成し,その内容が各市町
村の農業経営基盤強化促進基本構想に
照らして適切であるとともに達成が見
込まれる者をいう。したがって,⑴は
誤りである。
⑵ 認定農業者は,食料・農業・農村基
本計画において効率的かつ安定的な農
業経営の担い手として中心的な役割が
期待されており,農地のない畜産・施
設園芸も対象となる。したがって,⑵
は誤りである。
⑶ 認定農業者の年齢構成は,40 ~ 50
代が 42.8%を占めており,基幹的農業
従事者(65 歳以上が 61.1%)と比較し
て若い世代が主体となっている。した
がって,⑶は誤りである。
⑷ 農業経営改善計画には,5 年後の経
営改善の目標と達成に向けた取組みを
具体的に書き込む。JA は,必要に応じ
て市町村,農業委員会,普及指導セン
ター,担い手育成総合支援協議会等と
連携して計画の作成をサポートする。
したがって,⑷は正しく,これが本問
の正解である。
⑸ 農業経営改善計画は,事業を実施す
る予定の市町村に提出する。計画書は,
市町村構想に照らして適切か,達成で
きる計画か,農用地の効率的・総合的
利用に配慮したものかといった点が認
定基準になる。したがって,⑸は誤り
である。
集 落 営 農 と 農 業 法 人
問 4 集落営農と農業法人に関する次の記述
について,正しいものを 1つ選びなさい。
⑴ 集落営農とは,複数の地域の農業者が協
力して農業生産を行う営農活動のことであ
る。
⑵ 集落営農は,法人格を持たない任意組織
のみである。
⑶ 集落営農のメリットとして,人手を確保
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農業融資実務 農業融資実務
しやすいことがある。
⑷ 農業法人とは,農地所有適格法人の略称
である。
⑸ 農業法人は,売上規模が大きいほど,経
営効率が高い経営になっている。
正解率 47%
正解 ⑸
解 説
⑴ 集落営農とは,集落等地縁的にまと
まりのある一定の地域内の農業者が農
業生産を共同して行う営農活動のこと
である。したがって,⑴は誤りである。
⑵ 集落営農は,一般的に法人格を持た
ない任意組織であるが,法人格を持つ
ものもあり,必ずしも「集落営農=任
意組織」ではない。したがって,⑵は
誤りである。
⑶ もともと若い農業者が少ないため,
集落営農を組織しても,会社を定年退
職して就農する高齢者や,他の仕事を
持っている人の休日労働に依存せざる
を得ないことがある。したがって,⑶
は誤りである。
⑷ 農業法人とは,農業を営む法人の総
称である。また,農業法人は農地法上
の区分として,農用地の取得が可能と
なる「農地所有適格法人」と,それ以
外の「一般農業法人」に分かれる。し
たがって,⑷は誤りである。
⑸ 農業法人白書の売上規模別従事者
1 人当たりの売上高を見ると,売上規
模が大きいほど,経営効率が高い経営
になっている。したがって,⑸は正しく,
これが本問の正解である。
食の外部化と食生活の急激な変化
問 5 食の外部化と食生活の急激な変化に関
する次の記述について,誤っているものを
1 つ選びなさい。
⑴ 食の外部化とは,家計の食料品消費のう
ち,外食,中食等の需要が増加してきたこ
とをいう。
⑵ 外食産業が成長する過程で特徴的なこと
は,「業務用需要」という分野を作り出した
ことである。
⑶ 野菜など,土を耕して収穫できるダイコン
など重量野菜農産物の消費は減少している。
⑷ 国内の農業生産が変わらなくても,輸入が
増えるとカロリーベースの自給率が下落する。
⑸ 国産牛肉を消費すると,カロリーベース
での自給率向上に大きく寄与する。
正解率 35%
正解 ⑸
解 説
⑴ 食の外部化とは,家計の食料品消費
のうち,外食,中食等の需要が増加し
てきたことをいう。女性の社会進出,
独身世帯の増加に加え,外食産業の経
営努力もあって,外部化する傾向にあ
る。したがって,⑴は正しい。
⑵ 外食産業には,特に厨房のオペレー
ションのニーズに合わせた業務用加工
食品の供給が求められる。現在では「業
務用需要」への対応の成否が,農産物
や加工食品の販売動向に大きな影響を
及ぼしている。したがって,⑵は正しい。
⑶ 野菜など,土を耕して収穫できる農
産物の消費は減少している。ダイコン
などの重量野菜を漬物・煮物にして長
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農業融資実務
期にわたって消費するというスタイル
から,レタスなど軽量の葉菜類を生で
消費するスタイルに変化したこと,農
業者の高齢化が進み,重量野菜の栽培
が敬遠されるようになったことなどが
その要因として考えられている。した
がって,⑶は正しい。
⑷ カロリーベースの食料自給率は,国
民に供給されている食料の全熱量合計
を分母,国産で賄われた熱量を分子と
して計算した値である。この分母は輸
入を含め国民に供給されている全熱量
であるため,国内の農業生産が変わら
なくても輸入が増えると自動的にカロ
リーベースの自給率が下落することに
なる。したがって,⑷は正しい。
⑸ 畜産物や油脂を生産するための大量
の穀物や原料を輸入に頼っていること
により,畜産物については,国産であっ
ても飼料を自給している部分しかカロ
リーベースの自給率に算入されない。
そのため,国産牛肉を消費しても,カ
ロリーベースでの自給率向上への寄与
は期待薄である。したがって,⑸は誤
りであり,これが本問の正解である。
耕作放棄地と分散錯圃
問 6 耕作放棄地と分散錯圃に関する次の記
述について,誤っているものを1つ選びなさい。
⑴ この数年の間に再び耕作する考えのある
土地は,耕作放棄地に含まれない。
⑵ 耕作放棄地は,平地農業地域で 5 割以上
を占めている。
⑶ 日本の農地集積が進まない原因の 1 つに,
農地の転用期待が挙げられる。
⑷ 分散錯圃は,単位当たりの収量を下げて
しまうという問題がある。
⑸ 信頼できる農地の中間的受け皿として,
都道府県ごとに農地中間管理機構が整備さ
れている。
正解率 61%
正解 ⑵
解 説
⑴ 耕作放棄地とは以前耕地であったも
ので,過去 1 年以上作物を栽培せず,
しかもこの数年の間に再び耕作する考
えのない土地のことをいう。したがっ
て,⑴は正しい。
⑵ 耕作放棄地は中間農業地域と山間農
業地域で 5 割以上を占めている。中山
間地域の傾斜地の多さやそれに伴う経
営規模の零細性,機械化の限界などが
その原因として挙げられる。したがっ
て,⑵は誤りであり,これが本問の正
解である。
⑶ 農地保有者にとって,不動産保有に
係る租税負担は他の不動産に比べれば
軽微であり,農地は保有リスクの低い
資産といえる。その結果,農地は遠い
将来に大きな富をもたらすかもしれな
い資産として受け継がれ,農地の流動
化が阻害されることになる。したがっ
て,⑶は正しい。
⑷ 分散錯圃とは,圃場が分散している
ことを意味する。ある程度効率的に運
用できるまとまりがないと,ロスが多
くなる。日本の場合,耕地面積の区画
が小さいため,収量を向上させるため
には圃場 1 枚ごとに細かな注意を払わ
ないと単位当たりの収量が下がってし
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農業融資実務 農業融資実務
まうという問題がある。したがって,
⑷は正しい。
⑸ 2014 年度から,信頼できる農地の中
間的受け皿として,都道府県ごとに農
地中間管理機構が整備され,担い手へ
の農地利用の集積,集約化を推進する
ことになった。具体的には①農地を借
り受け,②必要な場合には大区画化等
の条件整備も行ったうえで,③担い手
に対して,その規模拡大や利用する農
地の集約化に配慮して転貸するもので
あり,地域の農地利用の最適化を図る
ことがねらいとなっている。したがっ
て,⑸は正しい。
流 通 構 造 の 変 化
問 7 流通構造の変化に関する次の記述につ
いて,正しいものを 1つ選びなさい。
⑴ 野菜流通に占める加工品の流通量は,年々
減少している。
⑵ 野菜の市場経由率は,1980 年代中頃から
横ばいで推移している。
⑶ 卸売市場における競り取引は,増加して
いる。
⑷ 市場流通の特徴的な動きとして,卸売市
場が量販店向けの物流センターとしての機
能を有することが挙げられる。
⑸ 市場外流通のうち,個別の取扱高規模が
最も大きいものは「宅配業者が産地から購
入し,消費者に販売する形態」である。
正解率 74%
正解 ⑷
解 説
⑴ 農林水産省「食料需給表」によれば,
野菜の輸入量は 20 年間で約 4 倍に増加
している。この輸入品の多くが加工品
である。この結果,1986 年の段階では
11%に過ぎなかった加工品のシェアは,
2005 年には 23%程度に達した。した
がって,⑴は誤りである。
⑵ 野菜の市場経由率は,1980 年代中頃
の 89%をピークに,2009 年には 69%
に減少した。したがって,⑵は誤りで
ある。
⑶ 卸売市場における競り取引は,減少
している。むしろ,競り売りの売買参
加者である卸売業者が量販店等からの
注文を受け,両者の合意によって価格
を決めること(相対(あいたい))のほ
うが増えている。したがって,⑶は誤
りである。
⑷ 市場流通の特徴的な動きとして,卸
売市場が量販店向けの物流センターと
しての機能を有することが挙げられる。
量販店の本部機能の一部であった物流
センターが,コスト削減のために卸売市
場に委託する動きもあり,生鮮青果に
加えて水産物や加工品までも一括配送
する卸売市場が登場した。したがって,
⑷は正しく,これが本問の正解である。
⑸ 市場外流通のうち,個別の取扱高規
模が最も大きいものは,「(JA と)戸田,
大和,高槻の 3 市にある全農集配セン
ターを経由する形態」である。したがっ
て,⑸は誤りである。
農業の生産調整と経営所得安定対策
問 8 農業の生産調整と経営所得安定対策に
関する次の記述について,正しいものを 1つ
−32−
農業融資実務
選びなさい。
⑴ 生産調整とは,米の在庫量の調整を行う
政策のことである。
⑵ 2004 年からの米需給調整は,「減反面積」
ではなく「生産目標数量」を調整する方式
に転換された。
⑶ 戸別所得補償制度は,米価の下落を防ぐ
ことを目的とする助成を柱としている。
⑷ 2012 年の自民党への政権交代により,「経
営所得安定対策」の名称が「戸別所得補償
制度」に変更された。
⑸ 米の直接支払交付金は,2014 年度産米よ
り廃止された。
正解率 62%
正解 ⑵
解 説
⑴ 生産調整とは,1971 年から本格的に
行われた米の需給調整を行う政策のこ
とである。したがって,⑴は誤りである。
⑵ 2004 年からの米需給調整は,「減反
面積」ではなく「生産目標数量」を調
整する方式に転換するとともに,一定
の交付額により産地づくり対策と米価
下落対策を柔軟に実施する産地づくり
交付金の制度が創設された。したがっ
て,⑵は正しく,これが本問の正解で
ある。
⑶ 戸別所得補償制度は,自給率向上の
ために,戦略作物等への直接助成と自
給率向上の環境整備を図るための水田
農業経営への助成を柱としている。し
たがって,⑶は誤りである。
⑷ 2012 年の自民党への政権交代によ
り,戸別所得補償制度については,名
称を「経営所得安定対策」に変更し,
2014 年までに抜本的な見直しが行われ
た。したがって,⑷は誤りである。
⑸ 米の直接支払交付金は,2014 年度産
米より 7,500 円/ 10a に削減された。
したがって,⑸は誤りである。
農商工連携と 6 次産業化
問 9 農商工連携と 6次産業化に関する次の
記述について,誤っているものを 1つ選びな
さい。
⑴ 農商工連携とは,農林漁業者と商工業者
等が通常のビジネスの枠を超えて協力し,
お互いの経営の強みを持ち寄って,売れる
新商品,新サービスの開発・生産等を行う
ことで,両者の売上や利益の増加を目指そ
うとする取組みのことである。
⑵ 農商工連携の事業目的の 1 つに,未利用
資源の活用が挙げられる。
⑶ 農商工連携の代表的な支援策に,「農商工
等連携促進法」がある。
⑷ 6 次産業化とは,農林漁業者が自ら加工,
流通・販売に乗り出すことで,2 次,3 次
産業で付加されていた農林水産物の付加価
値を自ら得て,所得向上や農山漁村の地域
資源を活かした産業振興につなげていこう
とする取組みである。
⑸ いわゆる「6 次産業化法」にいう総合化
事業計画の認定を受ける農林漁業者等は,
法人でなければならない。
正解率 88%
正解 ⑸
解 説
⑴ 中小企業基盤整備機構の「地域力連
携拠点事業の手引き 農商工連携支援」
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農業融資実務 農業融資実務
では,農商工連携を「農林漁業者と商
工業者等が通常のビジネスの枠を超え
て協力し,お互いの経営の強みを持ち
寄って,売れる新商品,新サービスの
開発・生産等を行うことで,両者の売
上や利益の増加を目指そうとする取組
み」と定義している。したがって,⑴
は正しい。
⑵ 農商工連携の取組みは,その事業目
的によって,「相互補完」「未利用資源
の活用」「形式知への転換」の 3 つに類
型化することができる。「未利用資源の
活用」とは,これまで捨てていたもの
を活用し,新たな商品に仕立てること
を目的とする取組みである。したがっ
て,⑵は正しい。
⑶ 農商工連携の代表的な支援策に,「農
商工等連携促進法」がある。同法では
農林漁業者,中小企業者が共同して作
成・申請する事業計画であって,国が
認定したものを支援対象としている。
したがって,⑶ は正しい。
⑷ 6 次産業化とは,農林漁業者が自ら
加工,流通・販売に乗り出すことで,2
次,3 次産業で付加されていた農林水
産物の付加価値を自ら得て,所得向上
や農山漁村の地域資源を活かした産業
振興につなげていこうとする取組みで
ある。したがって,⑷は正しい。
⑸ いわゆる「6 次産業化法」にいう総
合化事業計画の認定を受けることがで
きる農林漁業者等は,個人・法人,農
林漁業者の組織する団体である。した
がって,⑸は誤りであり,これが本問
の正解である。
バイオマスと環境保全型農業
問 10 バイオマスと環境保全型農業に関す
る次の記述について,誤っているものを 1つ
選びなさい。
⑴ バイオマスとは,「動植物に由来する有機
物である資源(化石資源を除く)」である。
⑵ バイオマス活用推進基本計画は,バイオ
マスに関する状況の変化を勘案し,目標の
達成状況の調査結果を踏まえ,少なくとも
5 年ごとに検討が加えられる。
⑶ バイオマス産業都市とは,全国画一的に
バイオマス産業を軸としたまち・むらづく
りを目指す地域のことをいう。
⑷ 持続可能な農林水産業の維持・発展のた
めには,生物多様性の保全は不可欠であ
る。
⑸ エコファーマーとは,都道府県知事から
「持続性の高い農業生産方式の導入に関す
る計画」の認定を受けた農業者のことをい
う。
正解率 30%
正解 ⑶
解 説
⑴ バイオマスとは,「動植物に由来する
有機物である資源(化石資源を除く)」
である。生態系において,生命と太陽
がある限り持続的に再生可能な資源で
ある。したがって,⑴は正しい。
⑵ バイオマス活用推進基本計画は,バ
イオマスに関する状況の変化を勘案し,
目標の達成状況の調査結果を踏まえ,
少なくとも 5 年ごとに検討が加えられ
る。したがって,⑵は正しい。
⑶ バイオマス産業都市とは経済性が確
−34−
農業融資実務
保された一貫システムを構築し,地域
の特色を活かしたバイオマス産業を軸
とした環境にやさしく災害に強いまち・
むらづくりを目指す地域である。した
がって,⑶は誤りであり,これが本問
の正解である。
⑷ 農林水産業は自然の循環機能を利用
するとともに,多くの生物に対して貴
重な生息・生育環境の提供,特有の生
態系の形成・維持に貢献しており,持
続可能な農林水産業の維持・発展のた
めには,生物多様性の保全は不可欠で
ある。したがって,⑷は正しい。
⑸ 「持続性の高い農業生産方式の導入の
促進に関する法律」に基づき,農業者
が最低限取り組むべき規範の普及・定
着を図ることを目的に,都道府県知事
から「持続性の高い農業生産方式の導
入に関する計画」の認定を受けた農業
者をエコファーマーと呼ぶ。したがっ
て,⑸は正しい。
農 地 制 度
農地制度に関する法律と農地制度の歴史的経緯
問 11 農地制度に関する法律と農地制度の
歴史的経緯に関する次の記述について,正し
いものを 1つ選びなさい。
⑴ 農地法は,戦後の農地改革の成果を維持
し,耕作者の経営の安定と農業生産力の増
進を図るために制定された。
⑵ 利用権設定等促進事業は,農地法のなか
で定められている。
⑶ 農業経営基盤強化促進法は,農用地区域
等について定めた法律である。
⑷ 農地法は,耕地面積の規模拡大に寄与した。
⑸ 2009 年改正農地法では,農業生産法人制
度が創設された。
正解率 47%
正解 ⑴
解 説
⑴ 農地法は,1952 年,農地改革の成果
を維持し,耕作者の経営の安定と農業
生産力の増進を図るために制定された。
同法は,農地権利移動の許可制・農地
転用の許可制・農地賃貸借契約の解約
等の制限・遊休農地対策等の諸措置を
定めており,農地等が生産性の高い経
営体によって効率的に利用されるよう
にするとともに,優良な農地の確保を
図っている。したがって,⑴は正しく,
これが本問の正解である。
⑵ 利用権設定等促進事業は,農業経営
基盤強化促進法のなかで定められてい
る。したがって,⑵は誤りである。
⑶ 農用地区域等について定めた法律は,
「農業振興地域の整備に関する法律」で
ある。したがって,⑶は誤りである。
⑷ 農地法は,小規模自作農が農地を所
有するという形態を維持させる観点か
ら作られているため,農地の売買または
貸借による流動化を妨げ,耕地面積の
拡大を阻害するという新たな課題を生
み出した。したがって,⑷は誤りである。
⑸ 2009 年改正農地法では,農地を効率
的に利用する者による権利取得を促進
するという大きな改正が行われた。農
業生産法人制度が創設されたのは 1962
−34− −35−
農業融資実務 農業融資実務
年に改正された農地法である。したがっ
て,⑸は誤りである。
農地制度における農地と農 業 振 興 地 域 制 度
問 12 農地制度における農地と農業振興地
域制度に関する次の記述について,正しいも
のを 1つ選びなさい。
⑴ 肥料用または飼料用の採草が行われる野
草地は,農地である。
⑵ ある土地が農地であるかどうかは,その
耕作者が主観的に判断する。
⑶ 農業振興地域の整備に関する法律では,
農用地区域は,おおむね 10 年以上の相当
長期にわたり農業上の利用を確保すべき土
地の区域として位置付けられる。
⑷ 農振白地の開発行為は,いっさいの制限
を受けることはない。
⑸ 市街化調整区域は,農業振興地域の指定
を抑制すべき区域とされている。
正解率 55%
正解 ⑶
解 説
⑴ 肥料用または飼料用の採草が行われ
る野草地は,肥培管理をして作物を栽
培する行為がないため,間接的には耕
作の目的に供されるものの,農地には
当たらない。したがって,⑴は誤りで
ある。
⑵ ある土地が農地であるかどうかは,
土地の事実状態に基づいて客観的に判
断する。すなわち,その土地の位置,
環境,利用の経緯,現況などを総合的
に考慮して農地であるかどうかを判断
する。したがって,⑵は誤りである。
⑶ 農業振興地域の整備に関する法律で
は,農用地区域は,おおむね 10 年以上
の相当長期にわたり農業上の利用を確
保すべき土地の区域として位置付けら
れ,農用地利用計画で農業上の用途が
指定される。したがって,⑶は正しく,
これが本問の正解である。
⑷ 農振白地は農用地区域と一体として
農業の振興を図ることが適当な区域で
あるので,この区域における開発行為
によって農用地区域の農用地等の農業
上の利用に支障を及ぼすおそれがある
ときは,その防止に必要な措置を講ず
ることが必要であり,知事の勧告等の
制度が設けられている。したがって,
⑷は誤りである。
⑸ 農業振興地域と都市計画区域の指定
に係るガイドラインにおいて,市街化
調整区域は,市街化を抑制すべき区域
とされており,積極的に農業振興地域
の指定を行うこととされている。した
がって,⑸は誤りである。
農 地 所 有 適 格 法 人
問 13 農地所有適格法人に関する次の記述
について,誤っているものを 1つ選びなさい。
⑴ 農地所有適格法人とは,農地等の権利(所
有権,賃借権等)を取得して農業経営を行
うことができる法人のことである。
⑵ 農地所有適格法人に該当するには「法人
形態要件」「事業要件」「構成員要件」「業務
執行役員要件」のすべてを満たさなければ
ならない。
⑶ 農地所有適格法人でなくなった場合は,
−36−
農業融資実務
都道府県知事は,その法人が所有する農地
等や,その法人に貸しつけられている買収
すべき農地等を公示する。
⑷ 農地所有適格法人の構成員要件は,農業
関係者が総議決権の 2 分の 1 超を有するこ
と,また,農業関係者以外の構成員が総議
決権の 2 分の 1 未満であることである。
⑸ 農地所有適格法人の業務執行役員要件の
1 つに,業務執行役員の過半を農業の常時
従事者(原則年間 150 日以上)が占めてい
ることがある。
正解率 20%
正解 ⑶
解 説
⑴ 農地所有適格法人とは,農地法で規
定された呼び名で,農地等の権利(所
有権,賃借権等)を取得して農業経営
を行うことができる法人のことである。
なお,農地所有適格法人は,行政庁の
特別の認可,認定,登録等の手続きは
不要で,農業経営体としてふさわしい
農地法上の要件をすべて備えてさえい
れば農地所有適格法人となる。したがっ
て,⑴は正しい。
⑵ 農地所有適格法人に該当するには「法
人形態要件」「事業要件」「構成員要件」
「業務執行役員要件」のすべてを満たさ
なければならない。毎年,必要な事項
を報告し,要件を欠くおそれのある際
には,農業委員会は必要な措置を講ず
べきことを勧告する。したがって,⑵
は正しい。
⑶ 農地所有適格法人でなくなった場合
は,農業委員会は,その法人が所有す
る農地等やその貸しつけられている買
収すべき農地等を公示する。したがっ
て,⑶は誤りであり,これが本問の正
解である。
⑷ 農地所有適格法人の構成員要件は,
農業関係者が総議決権の 2 分の 1 超を
有すること,また,農業関係者以外の
構成員が総議決権の 2 分の 1 未満であ
ることである。したがって,⑷は正しい。
⑸ 農地所有適格法人の業務執行役員要
件を満たすには,以下の要件をすべて
満たす必要がある。
・業務執行役員の過半を農業の常時従事
者(原則年間 150 日以上)が占めること。
・業務執行役員または重要な使用人(農
場長等)のうち 1 人以上が,その法人
の農作業に原則として年間 60 日以上従
事すること。したがって,⑸は正しい。
農 地 の 売 買 , 賃 貸 借
問 14 農地の売買,賃貸借に関する次の記述
について,誤っているものを 1つ選びなさい。
⑴ 農地の売買または賃貸借をするには,一
定の場合を除き,農業委員会の許可を受け
なければならない。
⑵ 農地の売買または賃貸借の権利を取得し
ようとする者が,取得後すべての農地につ
いて効率的に耕作すると認められない場合
は,権利の取得は許可されない。
⑶ 農地の相続による遺産分割の場合,権利
取得者は農業委員会に届出をしなくてよい。
⑷ 法人が農地の所有権を取得するには,農
地所有適格法人の要件を満たすことが必要
である。
⑸ 法人が農地の賃借権,使用貸借権を取得
する場合は,農地所有適格法人の要件を満
−36− −37−
農業融資実務 農業融資実務
たさなくても,一定の要件を満たせば許可
を受けることができる。
正解率 70%
正解 ⑶
解 説
⑴ 農地の売買または賃貸借をするには,
一定の場合を除き,農地法 3 条に基づ
いて申請をし,農業委員会の許可を受
けなければならない。許可を受けなけ
れば,売買が成立し代金を支払っても
所有権移転の効果は生じず,所有権移
転登記もできない。賃貸借の場合も,
許可を受けなければ使用収益権設定・
移転の効果は生じない。したがって,
⑴は正しい。
⑵ 農地の買受人(借主)やその世帯員
に必要な機械,労働力,技術などから
みて,買受け(借受け)後に耕作に供
すべき農地のすべてについて効率的に
耕作を行うと認められないときには許
可されない。したがって,⑵は正しい。
⑶ 農地の相続による遺産分割の場合な
ど,農地法の許可を要しない権利取得
であっても,その所在を農業委員会が
把握できるよう,権利取得者は農業委
員会に届け出ることが義務付けられて
いる。したがって,⑶は誤りであり,
これが本問の正解である。
⑷ 法人が農地の所有権を取得するには,
「農地法 3 条の許可申請と許可基準」を
満たすことに加え,農地所有適格法人
の要件を満たすことが必要である。し
たがって,⑷は正しい。
⑸ 法人が農地の賃借権,使用貸借権を
取得する場合は,2009 年の改正農地法
施行に伴い,農地所有適格法人の要件
を満たさなくとも,一定の要件を満た
させば許可を受けることができるよう
になった。これに伴い,農地所有適格
法人以外の法人の農業参入について,
参入区域の制限がなくなり,また行政
等を介さず土地所有者との相対で貸借
できるようになった。したがって,⑸
は正しい。
農地転用ならびに利用権設定による耕作
問 15 農地転用ならびに利用権設定による
耕作に関する次の記述について,正しいもの
を 1つ選びなさい。
⑴ 農地転用とは,農地を住宅や工場等の建物
など,農地以外の用地に転換することをいう。
⑵ 農地転用をする者は,直接,許可権者に
許可申請書を提出することになる。
⑶ 農用地区域内農地における農地転用は,
いっさい認められない。
⑷ 農地法において「農地の貸し手=地主」
の立場が強いため,借地返却の際に貸し手
と借り手の間で紛争が生じることがある。
⑸ 利用権設定等促進事業による賃貸の場合,
期間満了前に地主から借り手に対して契約
更新をしない旨の通知をしなければ,従前
の賃貸借と同一条件で契約を更新したもの
とみなされる。
正解率 81%
正解 ⑴
解 説
⑴ 農地転用とは,農地を住宅や工場等
の建物,資材置場,駐車場,再生可能
エネルギー設備,山林等の農地以外の
−38−
農業融資実務
用地に転換することをいい,それには
原則,都道府県知事または指定市町村
の長の許可が必要である。したがって,
⑴は正しく,これが本問の正解である。
⑵ 農地転用をする者は,農業委員会を
経由して許可権者に許可申請書を提出
することになる。なお,市街化区域内
農地の転用については,農業委員会へ
の届出制となっている。したがって,
⑵は誤りである。
⑶ 農用地区域内農地における農地転用
は原則不許可であるが,市町村が定め
る農用地利用計画において指定された
用途(農業用施設)等のために転用す
る場合は,例外許可となる。したがって,
⑶は誤りである。
⑷ 農地法は,「農地の借り手=農地の耕
作者」を守ることを前提としており,「農
地の貸し手=地主」の立場は弱く,そ
のために借地返却の際に貸し手と借り
手の間で紛争が生じることがある。し
たがって,⑷は誤りである。
⑸ 利用権設定等促進事業による賃借の
場合,期間満了後は必ずいったんは地
主に農地が返されることになっている。
したがって,⑸は誤りである。
業 界 動 向
稲 作 の 業 界 動 向
問 16 稲作の業界動向に関する次の記述に
ついて,誤っているものを 1つ選びなさい。
⑴ 米の産出額は,近年では 2 兆円を下回る
ことが多くなっている。
⑵ 2014 年における米の産出額の約 2 割を,
東日本の 3 道県(北海道,秋田県,新潟県)
で占めている。
⑶ 1995 年からミニマム・アクセス(最低輸
入量)の米輸入が開始された。
⑷ 米の輸出は,年々減少している。
⑸ 生産者価格は,消費者が購入する価格と
は異なる。
正解率 58%
正解 ⑷
解 説
⑴ 1970 年代以降,食生活の変化による
「米離れ」に対応すべく生産調整が実施
され,近年では米の産出額は 2 兆円を
下回ることが多くなっている。したがっ
て,⑴は正しい。
⑵ 米の主産地は東日本に集中してお
り,2014 年における産出額上位は新潟
県(1,296 億円),北海道(1,105 億円),
秋田県(773 億円)となっており,こ
の 3 道県で米の産出額の約 2 割を占め
ている。したがって,⑵は正しい。
⑶ ウルグアイ・ラウンド農業合意の受
入れに伴い,1995 年からミニマム・ア
クセス(最低輸入量)の米輸入が開始
されている。ミニマム・アクセス米に
ついては,国家貿易による一元輸入が
行われており,政府は主に加工用に販
売するとともに,売れ残ったものにつ
いては,国産米とともに援助用途に当
てている。したがって,⑶は正しい。
⑷ 海外での日本食ブームもあり,輸出
は年々伸びている。特に,香港,台湾,
シンガポールへの輸出が増加傾向にあ
−38− −39−
農業融資実務 農業融資実務
る。したがって,⑷は誤りであり,こ
れが本問の正解である。
⑸ 生産者価格とは,米の生産者が業者
等に売り渡す価格のことで,消費者が
購入する価格とは異なる。したがって,
⑸は正しい。
稲作の業界知識,目利きのポイント等
問 17 稲作の業界知識,目利きのポイント
等に関する次の記述について,正しいものを
1つ選びなさい。
⑴ 稲作の労働は,1 年を通して平準的に行
われている。
⑵ 民間流通米は,販売先の特定などの流通
ルートに関する制約がある。
⑶ 水田活用の直接支払交付金において,飼
料用米等について単位面積当たりの収量の
多寡に応じた数量払いが導入された。
⑷ 稲作経営では,耕作面積が 100ha 以下で
あれば,規模が増えればそれにつれてコス
トも上がる。
⑸ 稲作経営(法人経営)では,米や転作作
物の売上高のみにより算出された営業利益
が黒字になるケースが多い。
正解率 57%
正解 ⑶
解 説
⑴ 稲作は,通常 1 年 1 作で,発芽から
収穫までの期間は 120 日~ 180 日程度,
田植えと収穫調整の時期に労働が集中
することが特徴である。したがって,
⑴は誤りである。
⑵ 米の流通制度上,政府により備蓄米
として売買される「政府米」とその他
の「民間流通米」の区分に分かれている。
「民間流通米」については,従来自主流
通米にあった販売先の特定などの流通
ルートに関する制約がなくなり,米の
流通において多様な結びつきが展開さ
れるようになった。したがって,⑵は
誤りである。
⑶ 食料自給率・自給力の維持向上を
図るためには,麦,大豆,飼料用米等
の作物の生産性向上や高付加価値化を
推進することで水田を有効に活用して
いくことが重要であるとの考えから,
麦,大豆,飼料用米等,需要のある作
物の生産を振興し生産意欲の高い農業
者が自らの経営判断で作物を選択する
ことができる環境整備を進めるために,
2014 年から,水田活用の直接支払交付
金において,飼料用米等について単位面
積当たりの収量の多寡に応じた数量払
いが導入され,作付けのインセンティブ
を拡大することとされた。したがって,
⑶は正しく,これが本問の正解である。
⑷ 稲作経営では,規模が増えればそ
れにつれてコストも下がる。ただし,
100ha 以上になると必ずしもコスト削
減につながらないという意見もあるの
で注意が必要である。したがって,⑷
は誤りである。
⑸ 稲作経営(法人経営)では,米や転
作作物の売上高のみにより算出された
営業利益は赤字で,経営所得安定対策
などから得られる交付金を収入に加え
ることで経常利益が黒字を確保してい
るケースが少なくない。したがって,
⑸は誤りである。
−40−
農業融資実務
野菜の業界知識,目利きのポイント等
問 18 野菜の業界知識,目利きのポイント
等に関する次の記述について,誤っているも
のを 1つ選びなさい。
⑴ 国民 1 人当たりの野菜の供給は,長期的
には減少傾向である。
⑵ 野菜は,生産量のわずかな変動で価格が
乱高下しやすい仕組みを持っている。
⑶ 野菜の栽培方法には露地栽培と施設栽培
がある。
⑷ 指定野菜価格安定対策事業のなかで,指
定野菜の価格低落分の一定の補てんが制度
化されている。
⑸ 露地野菜と施設野菜の売上原価率は,一
般的にほぼ同じ比率である。
正解率 89%
正解 ⑸
解 説
⑴ 国民 1 人当たりの野菜の供給は,1
年 で 93kg,1 日 で 280.3g( い ず れ も
2014 年)となっており,ここ数年では
増加しているが,長期的には減少傾向
である。したがって,⑴は正しい。
⑵ 野菜は,価格形成が現物市場のみで
行われ,競りによって価格が決められ
る数量は一部であることから,生産量
のわずかな変動で価格が乱高下しやす
い仕組みを持っている。したがって,
⑵は正しい。
⑶ 野菜の栽培方法には露地栽培と施設
栽培がある。こうした栽培方法と種類・
作型を組み合わせ,生産性向上を目指
すのが野菜生産の特徴である。したがっ
て,⑶は正しい。
⑷ 指定野菜価格安定対策事業は,指定
野菜の価格が一定水準(保証基準額)
よりも低くなったときに,野菜指定産地
内の出荷団体または生産者に対し,そ
の価格低落分の 70%~ 90%を補てんす
る制度である。したがって,⑷は正しい。
⑸ 露地野菜と施設野菜の売上原価率は
大きく異なる。露地野菜は契約栽培等
により決められた収穫量を天候等の理
由により確保できなくなるケースが相
対的に高く,他から仕入れて納入して
いるケースが想定されるため,露地野
菜のほうが施設野菜より売上原価率が
高い。したがって,⑸は誤りであり,
これが本問の正解である。
果樹の業界知識,目利きのポイント等
問 19 果樹の業界知識,目利きのポイント
等に関する次の記述について,正しいものを
1つ選びなさい。
⑴ みかんやりんごなど,果樹の主要な作目
は,作付面積,出荷量ともに増加傾向である。
⑵ 果樹の輸出は,2013 年以降,毎年減少し
ている。
⑶ 生育,開花,樹形,着果促進のため,枝
の一部を切ることを「摘らい」という。
⑷ 果実の流通は,直接小売店・スーパー等
に出荷するルートが増えている。
⑸ 樹種・品種の選択や栽培技術の導入におい
て,気候温暖化の影響は考慮する必要がない。
正解率 53%
正解 ⑷
解 説
⑴ 果樹の生産者の高齢化が進み,みか
−40− −41−
農業融資実務 農業融資実務
んやりんごなどの主要な作目は,作付
面積,出荷量ともに減少傾向である。
したがって,⑴は誤りである。
⑵ 2013 年は,りんごの価格が平年並
みに推移するとともに円安効果もあ
り,台湾で大きく輸出量を伸ばし,輸
出額は 100 億円を上回る水準となった。
2014 年も続伸し,ここ 10 年で最高の
125 億円となった。したがって,⑵は
誤りである。
⑶ 生育,開花,樹形,着果促進のため,
全体の調和をはかりつつ,健全に育て
る目的で,枝の一部を切ることは「せ
ん定」という。したがって,⑶は誤り
である。
⑷ 果実の流通は,収穫後,JA または出
荷組合を通じて選果および出荷し,卸
売市場を経て小売店・スーパー等に至
るルートが一般的であるが,近年,他
の農産物と同様に,果実も市場外流通
が増加しており,直接小売店・スーパー
等に出荷するルートが増えている。し
たがって,⑷は正しく,これが本問の
正解である。
⑸ わが国の果樹農家は,中山間傾斜地
を中心に立地し,全国各地にそれぞれ
の果樹の産地が形成されている。果樹
が適応する温度帯,降水量および土壌
条件は限られており,これにより栽培
適地が決まり,そのため品種により生
産上位県もかなり異なっている。ゆえ
に,樹種・品種の選択や栽培技術の導
入においては,気候温暖化の影響も考
慮しながら取り組む必要がある。した
がって,⑸は誤りである。
農業簿記・農業補助金
農業簿記における特徴(概観)および収益の認識基準,計上時期,計上方法
問 20 農業簿記における特徴(概観)およ
び収益の認識基準,計上時期,計上方法に関
する次の記述について,誤っているものを
1つ選びなさい。
⑴ 国等の補助金には,農産物の作付けを奨
励するためのものがある。
⑵ 農事組合法人の収益の配分方法として,
出役した時間などによって当期剰余金を配
分する方法を,従事分量配当という。
⑶ 収穫基準が適用される個人農業者について
は,収穫済の農産物の期末棚卸高は,原価で
評価して必要経費(生産原価)から差し引く。
⑷ 米の委託販売での収益計上時期は,実務
上,受託者である JA から売上計算書が送
付されてきた時である。
⑸ 所得税において,搾乳牛のように反復継
続して譲渡することが事業の性質上,通常
である場合,その譲渡による所得は事業所
得として取り扱う。
正解率 38%
正解 ⑶
解 説
⑴ 国等の補助金には,農産物の作付け
を奨励するためのものがある。したがっ
て,⑴は正しい。
⑵ 農事組合法人の収益の配分方法とし
て,出役した時間などによって当期剰
余金を配分する方法を,従事分量配当
という。その他に組合員に給与を支払
−42−
農業融資実務
う方法も選択できる。したがって,⑵
は正しい。
⑶ 収穫基準が適用される個人農業者に
ついては,収穫済の農産物の期末棚卸
高は,収穫時の収穫価額,すなわち時
価で評価して総収入金額に算入する。
したがって,⑶は誤りであり,これが
本問の正解である。
⑷ 米の委託販売での収益計上時期は,
受託者である JA がその米を販売した
時とされ,実務上,受託者である JA
から売上計算書が送付されてきた時で
ある。したがって,⑷は正しい。
⑸ 所得税において,搾乳牛のように反
復継続して譲渡することが事業の性質
上,通常である場合,その譲渡による
所得は,事業所得として取り扱う。し
たがって,⑸は正しい。
農畜産物原価計算と育成仮勘定
問 21 農畜産物原価計算と育成仮勘定に関
する次の記述について,正しいものを 1つ選
びなさい。
⑴ 未収穫農産物の原価計算は,費目別計算,部
門別計算,製品別計算の順に行う必要がある。
⑵ 部門別原価計算において,特定の部門で
消費したと認識できる原価要素を,部門共
通費という。
⑶ 畑に生える幼麦など,未収穫の農産物を
毎年同程度の規模で作付けしている場合,
法人・個人を問わず,その費用は当該年分
の必要経費にできる。
⑷ りんご栽培の場合,育成中の幼木と成木
とを区別して管理することは困難なため,
年度末に育成費用の総費用を面積等の基準
で按分し育成仮勘定に計上する。
⑸ 酪農における搾乳牛の場合,妊娠が確認
されてから減価償却を開始する。
正解率 49%
正解 ⑷
解 説
⑴ 未収穫農産物については,部門原価
が期末棚卸原価になるので,製品別計
算の必要はない。したがって,⑴は誤
りである。
⑵ 部門別原価計算において,特定の部
門で消費したと認識できる原価要素を,
部門個別費という。したがって,⑵は
誤りである。
⑶ 個人農業者が,畑に生える幼麦など
未収穫の農産物を毎年同程度の規模で
作付けしている場合,その費用は当該
年分の必要経費にしてもよいこととなっ
ている。したがって,⑶は誤りである。
⑷ りんご栽培の場合,育成中の幼木と
成木とを区別して管理することは困難
なため,年度末に育成費用の総費用を
面積等の基準で按分し育成仮勘定に計
上する。したがって,⑷は正しく,こ
れが本問の正解である。
⑸ 酪農における搾乳牛の場合,搾乳が
可能となり収益を生むようになってか
ら減価償却を開始する。したがって,
⑸は誤りである。
補助金 ・ 交付金 ・ 価格補填金と価格補填収入 ・ 経営安定補填収入
問 22 補助金 ・交付金 ・価格補填金と価格
補填収入 ・経営安定補填収入に関する次の記
−42− −43−
農業融資実務 農業融資実務
述について,誤っているものを1つ選びなさい。
⑴ 配合飼料価格差補填金は,飼料費(製造
原価)から控除する。
⑵ 過年度の農畜産物の価格下落に対する補
填金を「経営安定補填収入」という。
⑶ 水田活用の直接支払交付金のうち,飼料
用米と米粉用米を対象とした戦略作物助成
は,価格補填収入に計上する。
⑷ 特定野菜等供給産地育成価格差補給制度
は,指定野菜(14 品目)が対象となる。
⑸ 肉用牛肥育経営安定特別対策補填金収入
の計上時期は,対象牛を売却した日の属す
る年分の収入金額に計上する。
正解率 16%
正解 ⑷
解 説
⑴ 配合飼料価格差補填金は,飼料費(製
造原価)から控除する。したがって,
⑴は正しい。
⑵ 過年度の農畜産物の価格下落に対す
る補填金を「経営安定補填収入」という。
したがって,⑵は正しい。
⑶ 水田活用の直接支払交付金のうち,
飼料用米と米粉用米を対象とした戦略
作物助成は,価格補填収入に計上する。
したがって,⑶は正しい。
⑷ 特定野菜等供給産地育成価格差補給
制度は,指定野菜(14 品目)に準ずる
野菜として位置づけられる特定野菜(34
品目)が対象となる。したがって,⑷は
誤りであり,これが本問の正解である。
⑸ 肉用牛肥育経営安定特別対策補填金
収入の計上時期は,肉用牛免税による
免税所得の計算において収益と費用を
対応させるため,対象牛を売却した日
の属する年分の収入金額に計上する。
したがって,⑸は正しい。
農業補助金の種類と勘定処理
問 23 農業補助金の種類と勘定処理に関す
る次の記述について,正しいものを 1つ選び
なさい。
⑴ 作付助成収入は,営業収益として計上する。
⑵ 現在,米の直接支払交付金の単価は,10a
当たり 15,000 円である。
⑶ 農業経営基盤強化準備金制度による圧縮
記帳はない。
⑷ 農業者が受給者になる中山間地域等直接
支払交付金は,営業収益になる。
⑸ 畑作物の直接支払交付金の交付対象者は,
認定農業者,集落営農,認定新規就農者で
ある。
正解率 29%
正解 ⑸
解 説
⑴ 作付助成収入は,米の生産調整の推
進などの政策により,特定の作物を栽
培することによって交付を受けること
ができるもので,農産物の販売によっ
て実現する収益ではないため,営業外
収益として計上する。したがって,⑴
は誤りである。
⑵ 2014 年度から,米の直接支払交付金
の単価は10a当たり15,000円から7,500
円に削減された。したがって,⑵は誤
りである。
⑶ 圧縮記帳には国庫補助金による圧縮
記帳のほか,農業経営基盤強化準備金
制度による圧縮記帳がある。したがっ
−44−
農業融資実務
て,⑶は誤りである。
⑷ 農業者が受給者になる中山間地域等
直接支払交付金は,営業外収益になる。
したがって,⑷は誤りである。
⑸ 2015 年度から,畑作物の直接支払交
付金の交付対象者は,認定農業者,集
落営農,認定新規就農者に変更された。
したがって,⑸は正しく,これが本問
の正解である。
農 業 税 務
農業を営む個人に対する課税の仕組みと農業所得の計算
問 24 農業を営む個人に対する課税の仕組
みと農業所得の計算に関する次の記述につい
て,誤っているものを 1つ選びなさい。
⑴ 青色申告ができる者は,不動産所得,事
業所得,山林所得のある者である。
⑵ 事業所得(農業所得)と給与所得のある
者の事業所得が赤字だった場合,その赤字
と給与所得を損益通算することはできない。
⑶ 個人の行う農業は,事業税の対象外である。
⑷ 個人の農業所得の総収入金額には,収穫基
準により,農産物の期末棚卸高も含まれる。
⑸ 事業主貸とは,個人事業主において,事
業用の資金を個人の目的で使用する際に使
用する勘定科目である。
正解率 59%
正解 ⑵
解 説
⑴ 青色申告ができる者は,不動産所得,
事業所得,山林所得のある者である。
したがって,⑴は正しい。
⑵ 事業所得(農業所得)と給与所得の
ある者の事業所得が赤字だった場合,
その赤字と給与所得を損益通算するこ
とができる。したがって,⑵は誤りで
あり,これが本問の正解である。
⑶ 個人の行う農業は,事業税の対象外
である。したがって,⑶は正しい。
⑷ 個人の農業所得の総収入金額には,
収穫基準により,農産物の期末棚卸高
も含まれる。したがって,⑷は正し
い。
⑸ 事業主貸とは,個人事業主に限って
使用され,事業用の資金を個人の目的
で使用する際に使用する勘定科目であ
る。したがって,⑸は正しい。
農業における青色申告
問 25 農業における青色申告に関する次の
記述について,正しいものを 1つ選びなさい。
⑴ 新たに事業を開始した者の青色申告承認
申請書の提出期限は,事業開始日から 2 カ
月以内である。
⑵ 現金主義による記帳を選択している場合,
青色申告特別控除として最高 65 万円を控
除することができる。
⑶ 農家民宿や農産加工などによる収入は,
農業所得として記載する。
⑷ JA の出資配当で,1 回に支払を受ける配
当金額が 10 万円以下(配当の計算期間が 1
年以上)の場合でも,確定申告が必要である。
⑸ 所得金額から差し引く所得控除の 1 つと
して,配当控除がある。
−44− −45−
農業融資実務 農業融資実務
正解率 20%
正解 ⑴
解 説
⑴ 新たに事業を開始した者の青色申告
承認申請書の提出期限は,事業開始日
から 2 カ月以内である。したがって,
⑴は正しく,これが本問の正解である。
⑵ 現金主義による記帳を選択している
場合,青色申告特別控除として最高 10
万円を控除することができる。したがっ
て,⑵は誤りである。
⑶ 農家民宿や農産加工などによる収入
は,農業に関連する事業であっても農
業所得ではない。したがって,⑶は誤
りである。
⑷ JA の出資配当など,上場株式等以外
の配当の場合,1 回に支払を受ける配
当金額が 10 万円以下(配当計算期間が
1 年以上)の少額配当は,確定申告不
要である。したがって,⑷は誤りである。
⑸ 配当控除は,算出税額から差し引く
税額控除の 1 つである。したがって,
⑸は誤りである。
法人所得課税のポイント
問 26 法人所得課税のポイントに関する次
の記述について,誤っているものを 1つ選び
なさい。
⑴ 法人税法において,農業経営を行い,組合
員に対し給与や賃金等の支払をする農事組
合法人は,「普通法人」として取り扱われる。
⑵ 農事組合法人には,同族会社に対する留
保金課税(特別税率)は適用されない。
⑶ 剰余金処分による農業経営基盤強化準備
金取崩額は,会計上の収益ではないが,税
務上は益金に算入される。
⑷ 中小法人においては,交際費等(1 人 5,000
円以下の飲食費を除く)の支出額のうち,
年 800 万までの部分を損金に算入できる。
⑸ 事業税は,道府県民税・市町村民税と同様,
法人税申告書の「法人税額計」を課税標準
として,税率を乗じて税額を計算する。
正解率 21%
正解 ⑸
解 説
⑴ 法人税法において,農業経営を行い,
組合員に対し給与や賃金等の支払をす
る農事組合法人は,「協同組合等」では
なく「普通法人」として取り扱われる。
したがって,⑴は正しい。
⑵ 農事組合法人は組合法人であり会社
法人ではないので,同族会社に対する
留保金課税(特別税率)は適用されない。
したがって,⑵は正しい。
⑶ 剰余金処分による農業経営基盤強化
準備金取崩額は,会計上の収益ではな
いが,税務上は益金に算入される。し
たがって,⑶は正しい。
⑷ 中小法人においては,交際費等(1
人 5,000 円以下の飲食費を除く)の支
出額のうち,年 800 万までの部分を損
金に算入できる。したがって,⑷は正
しい。
⑸ 事業税は,道府県民税・市町村民税
とは異なり,計算した所得金額に税率
を乗じて税額を計算する。したがって,
⑸は誤りであり,これが本問の正解で
ある。
−46−
農業融資実務
消費税課税のポイント
問 27 消費税課税のポイントに関する次の
記述について,正しいものを 1つ選びなさい。
⑴ 消費税の計算方法には一般課税と簡易課
税があるが,課税事業者の場合,簡易課
税制度の選択は,5 年間継続して適用され
る。
⑵ JA への委託販売をする場合,特例として,
その課税期間中に行ったすべての委託販売
に適用することを前提に,売上代金から委
託販売手数料を控除した金額をもって課税
売上とすることが認められる。
⑶ 直売所で販売した商品を消費者の自宅等
へ配送する場合の配送料について,商品の
対価と明確に区分して収受し,預り金とし
て計上している場合であっても,課税売上
に含めなければならない。
⑷ 簡易課税の事業区分において,乳牛・母
豚等の継続的な譲渡は,第 3 種事業に該当
する。
⑸ 人格のない社団は,組織が課税事業者に
なることはなく,各構成員に配分後,構成
員の段階で消費税を計算する。
正解率 44%
正解 ⑵
解 説
⑴ 消費税の計算方法には一般課税と簡
易課税があるが,課税事業者の場合,
簡易課税制度の選択は,2 年間継続し
て適用される。したがって,⑴は誤り
である。
⑵ JA への委託販売をする場合,特例と
して,その課税期間中に行ったすべて
の委託販売に適用することを前提に,
売上代金から委託販売手数料を控除し
た金額をもって課税売上とすることが
認められる。したがって,⑵は正しく,
これが本問の正解である。
⑶ 直売所で販売した商品を消費者の自
宅等へ配送する場合の配送料について,
商品の対価と明確に区分して収受し,
預り金として計上している場合には,
課税売上に含めなくてよいとされてい
る。したがって,⑶は誤りである。
⑷ 簡易課税の事業区分において,乳牛・
母豚等の継続的な譲渡は,第 4 種事業
に該当する。したがって,⑷は誤りで
ある。
⑸ 人格のない社団は,消費税法上,法
人とみなされるため組織が課税事業者
になる。したがって,⑸は誤りである。
法人化および相続における留 意 点 と 税 制 特 例
問 28 法人化および相続における留意点と
税制特例に関する次の記述について,誤って
いるものを 1つ選びなさい。
⑴ 所得税法上,法人に対して無償で資産を
譲渡する場合,その譲渡は時価で行われた
ものとみなす。
⑵ 相続税の基礎控除額は「3,000 万円+ 600
万円×法定相続人の数」の算式により算出
する。
⑶ 相続税の納税猶予制度の適用を受けた後,
10 年間営農をした場合(一定の市街化区
域農地に限る),納税猶予税額は免除され
る。
⑷ 相続税の納税猶予制度の適用を受けた後,
農地を転用するなどして打切り事由に該当
−46− −47−
農業融資実務 農業融資実務
した場合は,納税猶予額とその時点までの
利子税を併せて納付することになる。
⑸ 肉用牛売却所得免税制度は,青色申告者
でなくても適用がある。
正解率 47%
正解 ⑶
解 説
⑴ 所得税法上,法人に対して無償で資
産を譲渡する場合は,その譲渡は時価
で行われたものとみなす。したがって,
⑴は正しい。
⑵ 相続税の基礎控除額は「3,000 万円
+ 600 万円×法定相続人の数」の算式
により算出する。したがって,⑵は正
しい。
⑶ 相続税の納税猶予制度の適用を受け
た後,相続人が死亡した場合や,贈与
税の納税猶予の適用を受ける贈与をし
た場合,または 20 年間営農した場合
(一定の市街化区域農地に限る),納税
猶予額は免除される。したがって,⑶
は誤りであり,これが本問の正解であ
る。
⑷ 相続税の納税猶予制度の適用を受け
た後,農地を転用・譲渡・貸付・耕作
放棄などの打切り事由に該当した場合
は,納税猶予額とその時点までの利子
税を併せて納付することになる。した
がって,⑷は正しい。
⑸ 農業を営む個人または農地所有適格
法人に適用される肉用牛売却所得免税
制度は,青色申告者でなくても適用が
ある。したがって,⑸は正しい。
農 業 労 務
農業の雇用関連法制と社会保険・労働保険関連法制
問 29 農業の雇用関連法制と社会保険・労
働保険関連法制に関する次の記述について,
誤っているものを 1つ選びなさい。
⑴ 農業では,労働基準法の法定労働時間,休
憩や休日に関しては適用除外となっている。
⑵ 季節や月によって繁閑の差が大きい業種
が導入している「1 年単位の変形労働時間
制」は,農業では準用しやすいと考えられる。
⑶ 個人経営の事業で常時労働者が 10 人未満
の場合,「暫定任意適用事業」として労働保
険は当分の間任意加入となっている。
⑷ 個人経営の農業の場合,社会保険は従業
員の数にかかわらず任意加入である。
⑸ 厚生年金の加入者は,農業者年金に加入
することはできない。
正解率 24%
正解 ⑶
解 説
⑴ 農業では,労働基準法の法定労働時
間,休憩や休日に関しては適用除外と
なっている。したがって,⑴は正しい。
⑵ 季節や月によって繁閑の差が大きい
業種が導入している「1 年単位の変形
労働時間制」は,農業では準用しやす
いと考えられる。したがって,⑵は正
しい。
⑶ 個人経営の事業で常時労働者が 5 人
未満の場合,「暫定任意適用事業」とし
て労働保険は当分の間任意加入となっ
−48−
農業融資実務
ている。したがって,⑶は誤りであり,
これが本問の正解である。
⑷ 個人経営の農業の場合,社会保険は
従業員の数にかかわらず任意加入であ
る。したがって,⑷は正しい。
⑸ 厚生年金の加入者は,農業者年金に
加入することはできない。したがって,
⑸は正しい。
農業者年金と就業規則
問 30 農業者年金と就業規則に関する次の
記述について,正しいものを 1つ選びなさい。
⑴ 公的年金の被保険者の種類のうち,農業
者は第 3 号被保険者である。
⑵ 農業者年金の給付は,「農業者老齢年金」
「死亡一時金」の 2 種類である。
⑶ 農業者年金は,「確定給付型」の年金制度
である。
⑷ 就業規則において,賃金に関する事項は
「相対的必要記載事項」である。
⑸ 就業規則の「絶対的必要記載事項」の内
容は,労働基準法において労働条件通知書
等の書面で労働者に明示しなければならな
いとされている事項とほぼ同じである。
正解率 45%
正解 ⑸
解 説
⑴ 公的年金の被保険者の種類のうち,
農業者は第 1 号被保険者である。した
がって,⑴は誤りである。
⑵ 農業者年金の給付は,「農業者老齢年
金」「特例付加年金」「死亡一時金」の
3 種類である。したがって,⑵は誤り
である。
⑶ 農業者年金は,「確定拠出型」の年金
制度である。したがって,⑶は誤りで
ある。
⑷ 就業規則において,賃金に関する事
項は「絶対的必要記載事項」である。
したがって,⑷は誤りである。
⑸ 就業規則の「絶対的必要記載事項」
の内容は,労働基準法において労働条
件通知書等の書面で労働者に明示しな
ければならないとされている事項とほ
ぼ同じである。したがって,⑸は正しく,
これが本問の正解である。
要員計画,法人化,年次有給休暇と賃金設定の留意事項
問 31 要員計画,法人化,年次有給休暇と
賃金設定の留意事項に関する次の記述につい
て,誤っているものを 1つ選びなさい。
⑴ 農業労働の特殊性として,作物の成長過
程に応じて作業が異なり,その 1 つ 1 つの
作業を分業化して同時並行的に進めること
ができない点が挙げられる。
⑵ 家族従業員だけの場合であっても,法人
化すれば労働基準法の適用がある。
⑶ 6 カ月間継続勤務し,所定労働日数の
8 割以上出勤した者には,10 日の年休が与
えられる。
⑷ 使用者は,「退職間際だから」という理由
で,年休の請求を拒否することはできない。
⑸ 最低賃金額は,地域ごとに定められている。
正解率 35%
正解 ⑵
解 説
⑴ 農業労働の特殊性として,作物の成
−48− −49−
農業融資実務 農業融資実務
長過程に応じて作業が異なり,その 1
つ 1 つの作業を分業化して同時並行的
に進めることができない点が挙げられ
る。したがって,⑴は正しい。
⑵ たとえ法人化しても,家族従業員だ
けの事業所であれば,労働基準法の適
用はない。したがって,⑵は誤りであり,
これが本問の正解である。
⑶ 6 カ月間継続勤務し,所定労働日数の
8 割以上出勤した者には,10 日の年休
が与えられる。したがって,⑶は正しい。
⑷ 「退職間際だから」という理由で,使
用者は年休の請求を拒否することはで
きない。したがって,⑷は正しい。
⑸ 最低賃金額は,地域ごとに定められ
ている。したがって,⑸は正しい。
農業経営把握・分析
資金繰り分析,損益分岐点分 析 と 付 加 価 値 分 析
問 32 資金繰り分析,損益分岐点分析と付
加価値分析に関する次の記述について,誤っ
ているものを 1つ選びなさい。
⑴ 資金繰り状況を把握する資料は,資金繰
り表のみである。
⑵ 資金繰り表分析における「農業収支」の
チェックポイントは,営農類型によっては,
販売に季節性があるため,月次だけでなく
年間トータルで判断することである。
⑶ 損益分岐点分析を図示する方法として,「総
費用線と総売上線で表示する方法」と「固定
費と限界利益率線で表示する方法」がある。
⑷ 損益分岐点の算出にあたって使用する限
界利益率は,単位売上当たりの利益の割合
をいう。
⑸ 付加価値は,原則として「売上高−外部
購入費用」で算出する。
正解率 78%
正解 ⑴
解 説
⑴ 資金繰り状況を把握する資料として
は,資金繰り表,資金運用表,資金移
動表の 3 種類がある。したがって,⑴
は誤りであり,これが本問の正解であ
る。
⑵ 資金繰り表分析における「農業収支」
のチェックポイントは,営農類型によっ
ては,販売に季節性があるため,月次
だけでなく年間トータルで判断するこ
とである。したがって,⑵は正しい。
⑶ 損益分岐点分析を図示する方法とし
て,「総費用線と総売上線で表示する方
法」と「固定費と限界利益率線で表示
する方法」がある。したがって,⑶は
正しい。
⑷ 損益分岐点の算出にあたって使用す
る限界利益率は,単位売上当たりの利
益の割合をいう。したがって,⑷は正
しい。
⑸ 付加価値は,原則として「売上高−
外部購入費用」で算出する。したがって,
⑸は正しい。
経営戦略の把握,内部・外 部 環 境 分 析 ツ ー ル
問 33 経営戦略の把握,内部・外部環境分
−50−
農業融資実務
析ツールに関する次の記述について,誤って
いるものを 1つ選びなさい。
⑴ 経営戦略は「全体戦略」「事業戦略」「機
能戦略」によって構成される。
⑵ 外部環境とは,農業者自身がコントロー
ル可能な経営資源のことである。
⑶ 稲作において「5 つの力分析」をする場合,
「代替品の脅威」として,小麦等,米に代わ
る穀類が挙げられる。
⑷ SWOT 分析は,内部環境と外部環境の対
比を通して現状の分析を行うものである。
⑸ バランススコアカード分析は,企業活動
を「財務」「顧客」「業務プロセス」「組織と
人材」の 4 つの視点から弱みの因果関係を
考え,戦略マップを構築することで数値目
標の具体化を進めるツールとして使用でき
る。
正解率 78%
正解 ⑵
解 説
⑴ 経営戦略は「全体戦略」「事業戦略」「機
能戦略」によって構成される。したがっ
て,⑴は正しい。
⑵ 外部環境とは,農業者自身が直接コ
ントロールできない環境のことである。
大きなトレンドを明らかにすることや,
市場ニーズや競争環境を把握すること
で,農業者の市場における機会と脅威
の発見につながる。したがって,⑵は
誤りであり,これが本問の正解である。
⑶ 稲作において「5 つの力分析」をす
る場合,「代替品の脅威」として,小麦等,
米に代わる穀類が挙げられる。したがっ
て,⑶は正しい。
⑷ SWOT 分析は,内部環境と外部環境
の対比を通して現状の分析を行うもの
である。したがって,⑷は正しい。
⑸ バランススコアカード分析は,企業
活動を「財務」「顧客」「業務プロセス」「組
織と人材」の 4 つの視点から弱みの因
果関係を考え,戦略マップを構築する
ことで数値目標の具体化を進めるツー
ルとして使用できる。したがって,⑸
は正しい。
融 資 審 査
農業者向け与信取引推進
問 34 農業者向け与信取引推進に関する次
の記述について,誤っているものを 1つ選び
なさい。
⑴ 貸し手の行動原理の 1 つとして,資金の
無駄遣いがないように見張る(モニタリン
グ)ことが挙げられる。
⑵ 金融とは,資金調達の仲介機能を指す。
⑶ 取引に結び付けるための着眼点として,
相手方のキャッシュフロー構造に見合った
金融取引を提案することが挙げられる。
⑷ 売掛取引は,与信取引である。
⑸ 運転資金の融資には,一般的に証書貸付
を用いる。
正解率 56%
正解 ⑸
解 説
⑴ 資金の貸し手の行動原理の 1 つとし
て,資金の無駄遣いがないように見張
る(モニタリング)ことが挙げられる。
−50− −51−
農業融資実務 農業融資実務
したがって,⑴は正しい。
⑵ 金融取引とは,「余剰部門」から「不
足部門」に資金を移転させるよう資金
の流列を変換する行為であり,金融と
はそうした資金調達の仲介機能を指す。
したがって,⑵は正しい。
⑶ 取引に結び付けるための着眼点とし
て,当初把握したキャッシュフロー構
造と,リスクの所在・優先順位を組み
合わせ,どういった提案ができるか検
討することが重要である。したがって,
⑶は正しい。
⑷ 商品を先に渡して代金を後で回収す
る売掛取引は与信取引である。したがっ
て,⑷は正しい。
⑸ 融資取引には当座貸越,手形貸付,
証書貸付などの種類があり,一般的に
運転資金には当座貸越,手形貸付を,
設備資金には証書貸付を用いる。した
がって,⑸は誤りであり,これが本問
の正解である。
農 業 の リ ス ク
問 35 農業のリスクに関する次の記述につ
いて,誤っているものを 1つ選びなさい。
⑴ 生産物と投入財の予測不可能な価格変動
に伴うリスクを「価格リスク」という。
⑵ 天候,病害,虫害等によって起こる生産
の変動に起因するりスクを「収量減少リス
ク」という。
⑶ 農業を行う人の健康や行動が予測不可能
なことによるリスクを「人的リスク」という。
⑷ 事業への過度な資金の借入れリスクを「制
度上のリスク」という。
⑸ 新しい技術革新が従来の生産体系を陳腐
化させるようなリスクを「陳腐化(技術的)
リスク」という。
正解率 77%
正解 ⑷
解 説
⑴ 「価格リスク」とは,生産物と投入財
の予測不可能な価格変動に伴うリスク
である。したがって,⑴は正しい。
⑵ 「収量減少リスク」とは,天候,自然
災害,病害,虫害等によって起こる生
産の変動に起因するリスクである。し
たがって,⑵は正しい。
⑶ 「人的リスク」とは,人の健康や行動
が予測不可能なことによるリスクであ
る。したがって,⑶は正しい。
⑷ この記述は「財務リスク」のことで
ある。「制度上のリスク」とは,政府の
定める法律や規制がもたらす不確実性
を指す。したがって,⑷は誤りであり,
これが本問の正解である。
⑸ 「陳腐化(技術的)リスク」とは,新
しい技術革新が従来の生産体系を陳腐
化させるようなリスクを指す。したがっ
て,⑸は正しい。
融 資 審 査
問 36 融資審査に関する次の記述について,
正しいものを 1つ選びなさい。
⑴ 融資審査では,本人に返済意思があれば,
貸出資金の回収は可能であると考える。
⑵ 信用情報収集の重要なポイントは,「キャ
ラクター」「キャパシティ」「コスト」とい
う 3 つの「C」であるといわれている。
⑶ 融資審査では,借入申込者が借入資格を
−52−
農業融資実務
有しているかどうかの確認は必要ない。
⑷ 返済能力の判断は,現在保有している資
産の担保力のみで行う。
⑸ 融資の相手方には権利能力,行為能力が
備わっていなければならない。
正解率 76%
正解 ⑸
解 説
⑴ 本人に返済意思はあっても,返済で
きる経済力がなければ,資金の回収は
できない。したがって,⑴は誤りである。
⑵ 信用情報収集で特に重要なポイント
は,3C といわれ,キャラクター(返済
意思:人物),キャパシティ(返済能力:
収入),キャピタル(資本:財産)の 3
つである。したがって,⑵は誤りである。
⑶ 融資審査では,借入申込者が借入資
格を有しているかどうかの確認が必要
である。したがって,⑶は誤りである。
⑷ 返済能力の判断は,将来の収益力(収
入と余剰,売上と利益)と現在保有し
ている資産の担保力の 2 点から行う。
したがって,⑷は誤りである。
⑸ 貸付契約,保証契約,担保契約が有
効に成立するためには,相手方に権利
能力,行為能力が備わっていなければ
ならない。したがって,⑸は正しく,
これが本問の正解である。
農 業 者 向 け 制 度 資 金
問 37 農業者向け制度資金に関する次の記
述について,誤っているものを 1つ選びなさ
い。
⑴ 農業近代化資金は,民間資金を原資とし
ている。
⑵ 農業改良資金の貸付主体は,日本政策金
融公庫である。
⑶ JA の農業者向け資金の取扱いは,全国一
律である。
⑷ 制度資金を取り扱う機関のことを,窓口
機関という。
⑸ 日本政策金融公庫資金は,財政資金を原
資としている。
正解率 55%
正解 ⑶
解 説
⑴ 農業近代化資金の原資は,JA 等の系
統資金を中心とする民間資金であり,
国や都道府県,市町村が利子補給を行
う。したがって,⑴は正しい。
⑵ 2010 年に農業改良資金助成法が農業
改良資金融通法に改正され,貸付主体
が都道府県から日本政策金融公庫に移
管された。したがって,⑵は正しい。
⑶ JA では営農ローン(営農貸越)をは
じめ,さまざまな農業者向けの資金を
取り扱っている。ただし,資金の取扱
いは県域ごと,JA ごとに異なる。した
がって,⑶は誤りであり,これが本問
の正解である。
⑷ 制度資金を取り扱う機関のことを,
窓口機関という。したがって,⑷は正
しい。
⑸ 日本政策金融公庫資金は,財政資金
を原資としており,一般の金融機関が
融通することが困難なものに融通する
ことを目的に設立され,資金規模,貸
付対象,資金種類などはその時々の政
策要請に即して改正され,今日に至る。
−52− −53−
農業融資実務 農業融資実務
したがって,⑸は正しい。
農業経営における運転資金審査ポイント
問 38 農業経営における運転資金審査ポイ
ントに関する次の記述について,正しいもの
を 1つ選びなさい。
⑴ 借換資金には,前向きなもののみがあり,
後ろ向きなものはない。
⑵ 在庫,回収,支払の 3 つの条件の組合せ
によって生じる不足を調達するための資金
のことを,増加運転資金という。
⑶ 春夏秋冬,年間を通して増加する運転資
金を,季節資金という。
⑷ 経営規模の拡大や回収条件の変化により,
それ以前に通常必要であった資金より多く
の金額が必要になるのが経常運転資金であ
る。
⑸ 制度資金や補助金,資産売却代金など,
将来確定している入金を返済財源として,
それが入金されるまでの一時的な資金不足
を補うための資金をつなぎ資金という。
正解率 78%
正解 ⑸
解 説
⑴ 借換資金には,金利負担の軽減のた
めに他の金融機関から調達している借
入金を繰上償還し,その償還金見合い
として対応する前向きなものと,設備
資金等の返済が約定どおりにできなく
なり,当該資金の返済見合いとして対
応する後ろ向きなものがある。したがっ
て,⑴は誤りである。
⑵ 在庫,回収,支払の 3 つの条件の組
合せによって生じる不足を調達するた
めの資金は,経常運転資金である。し
たがって,⑵は誤りである。
⑶ 季節資金は,年間の特定時期に増加
する運転資金のことであり,生産,供給,
需要,商況に季節性のある業種におい
て発生する。したがって,⑶は誤りで
ある。
⑷ 経営規模の拡大や回収条件の変化に
より,それ以前に通常必要であった資
金より多くの金額が必要となるのが,
増加運転資金である。したがって,⑷
は誤りである。
⑸ つなぎ資金とは,制度資金や補助金,
資産売却代金など,将来確定している
入金を返済財源として,それが入金さ
れるまでの一時的な資金不足を補うた
めの資金である。したがって,⑸は正
しく,これが本問の正解である。
設備資金の審査のポイント
問 39 設備資金の審査のポイントに関する
次の記述について,正しいものを 1つ選びな
さい。
⑴ 設備資金には,一般的に当座貸越や手形
貸付を用いる。
⑵ 増産や販路拡大を図る設備投資の場合,
経費の節減による増益の確実性を確認す
る。
⑶ 経費の節減を目指して行う設備投資の場
合,販路の確実性を確認する。
⑷ 農業の場合,投資決定から投資効果が現
れるまでの期間が長期にわたるため,意思
決定のタイミングは非常に重要である。
⑸ 売上の拡大を目指して行う設備投資は,
一般的に経常運転資金で行う。
−54−
農業融資実務
正解率 78%
正解 ⑷
解 説
⑴ 設備資金は,当該資金によって取得
した設備を用いて行う事業活動から獲
得される利益をもって長期間にわたっ
て返済されるため,証書貸付で約定弁
済するのが原則である。したがって,
⑴は誤りである。
⑵ 増産や販路拡大を図る設備投資は,
事業を行ったことによる増収・増益が
返済財源となるため,その販路の確実
性などについて確認する必要がある。
したがって,⑵は誤りである。
⑶ 経費の節減を目指して行う設備投資
は,省資源や作業効率の向上など合理
化を図るために行うものである。この
場合は経費の節減による増益が返済財
源になるため,その実現可能性につい
て確認する必要がある。したがって,
⑶は誤りである。
⑷ 農業の場合,投資の意思決定をして
から投資効果が発生するまでの期間が
長期にわたるため,その間に景況や業
界動向が変化してしまい,思うような
投資効果が得られないことがある。よっ
て,設備投資における意思決定のタイミ
ングは非常に重要である。したがって,
⑷は正しく,これが本問の正解である。
⑸ 売上の拡大を目指して行う設備投資
も自己資金や借入金で行うが,この場
合は,一般的にその後に増加運転資金
が必要となる。したがって,⑸は誤り
である。
金 融 手 法
問 40 金融手法に関する次の記述について,
正しいものを 1つ選びなさい。
⑴ 農業においては,昔から売掛金や在庫を
担保とする金融手法は一般的である。
⑵ CDS は,債券発行体の債務履行能力や倒
産リスクといった信用リスクそのものを取
引するクレジット・デリバティブの一種で
ある。
⑶ ファイナンス・リースの解約は原則として
自由であり,違約金等の支払も発生しない。
⑷ スコアリングモデルに基づく融資は,決
算書の細かな事情を考慮して判定する傾向
がある。
⑸ 金融機関のみを対象として発行する社債
を,銀行引受公募債という。
正解率 46%
正解 ⑵
解 説
⑴ 動産登記の不備から,売掛金や在庫
など営業用資産を担保とする金融手法
は一般的ではなかったが,2004 年に
成立した動産・債権登記制度の成立,
2007 年 3 月決算からの金融庁の検査体
制の変更をはじめ,近年は動産・売掛
金担保融資の積極的な活用が推進され
ている。したがって,⑴は誤りである。
⑵ CDS とは,債券発行体の債務履行能
力や倒産リスクといった信用リスクそ
のものを取引するクレジット・デリバ
ティブの一種で,信用リスクを反映し
て価格が決定されるもので,社債の信
用リスクのみがオプション等の形式で
売買される。したがって,⑵は正しく,
−54− −55−
農業融資実務 農業融資実務
これが本問の正解である。
⑶ ファイナンス・リースの解約は原則
として禁止されており,中途解約をす
る場合,残りの期間のリース料または
それに相当する違約金を支払うよう契
約で定められている。したがって,⑶
は誤りである。
⑷ スコアリングモデルに基づく融資は,
決算書の細かな事情を考慮せず,企業
規模,経常赤字,債務超過,借入過多
などの状態を機械的に判定する傾向が
ある。したがって,⑷は誤りである。
⑸ 設問は,銀行引受私募債についての
記述となっている。財務体質がある程
度健全な企業が,それを活用して長期
資金を調達する場合に有効で,信用保
証協会保証付私募債や金融機関保証付
私募債といった保証付私募債が主流で
ある。したがって,⑸は誤りである。
経 営 改 善 提 案
農業における経営改善提案の現状把握の手法
問 41 農業における経営改善提案の現状把
握の手法に関する次の記述について,正しい
ものを 1つ選びなさい。
⑴ 現状を把握するには,あらかじめ調査せ
ずに直接面談で確認する。
⑵ 予備調査は,財務情報のみで行う。
⑶ 現地調査は,一般的に,圃場の調査,加
工場の状況,作物生産状況,事務処理状況
の項目に分けられる。
⑷ 面談では,書類等から得られる公式の情
報の確認が主眼となる。
⑸ 生産者メンバーからのヒアリングでは,
経営理念やビジョン,経営上の課題などを
確認する。
正解率 75%
正解 ⑶
解 説
⑴ 現状把握では,まず,調査の目的や
経営体のニーズ,調査対象の範囲など
を確認し,調査に関する仮説を立て,
予備調査でどのような情報を収集する
かを決める。したがって,⑴は誤りで
ある。
⑵ 予備調査は,基本情報,財務情報,
業務知識,経営管理能力チェックの準
備の 4 つの項目に分けられる。したがっ
て,⑵は誤りである。
⑶ 現地調査は,一般的に,圃場の調査,
加工場の状況,作物生産状況,事務処
理状況の 4 つの項目に分けられる。し
たがって,⑶は正しく,これが本問の
正解である。
⑷ 面談では,書類では確認できない非
公式な情報や顕在化していない問題点
を確認する。したがって,⑷は誤りで
ある。
⑸ 生産者メンバーからのヒアリングで
は,現場の作業プロセスの不明点・疑
問点のほか,現場での問題点・課題の
確認と,公式・非公式の意思決定プロ
セスなどについて確認する。したがっ
て,⑸は誤りである。
−56−
農業融資実務
ビジネスマッチング
ビ ジ ネ ス マ ッ チ ン グ
問 42 ビジネスマッチングに関する次の記
述について,正しいものを 1つ選びなさい。
⑴ ビジネスマッチングは,企業間の交流の
みを目的とした取組みである。
⑵ 紙媒体・ウェブ等による情報提供の他に,
ビジネスマッチングの方法はない。
⑶ ビジネスマッチングは,行政主催の異業
種交流のなかから生まれた。
⑷ 農業分野において,ビジネスマッチング
への期待は高い。
⑸ スーパーマーケット・トレードショーは,
JA バンクが主催する商談会である。
正解率 88%
正解 ⑷
解 説
⑴ ビジネスマッチングとは,企業間交
流のみならず,事業者の間でパートナー
を探し,共同事業や新製品開発等の連
携を図ろうとする活動のことである。
したがって,⑴は誤りである。
⑵ ビジネスマッチングの方法には,紙
媒体,ウェブ等による情報提供,商談会・
発表会等による出会いの場の提供,特
定企業の引合せを直接行うパートナー
仲介等がある。したがって,⑵は誤り
である。
⑶ ビジネスマッチングは,1980 年代後
半,民間企業の異業種交流のなかから
生まれた。したがって,⑶は誤りである。
⑷ 農業分野では,新しい農産物物流や
農商工連携の仕組みを構築する点にお
いてビジネスマッチングへの期待は高
い。したがって,⑷は正しく,これが
本問の正解である。
⑸ スーパーマーケット・トレードショー
は,一般社団法人新日本スーパーマー
ケット協会が主催する商談会である。
したがって,⑸は誤りである。
商 談 会 活 用
問 43 商談会活用に関する次の記述につい
て,誤っているものを 1つ選びなさい。
⑴ 規格外品の販売方法として,より多くの
買い手の目に触れる商談会を利用すること
は,有効な方法であると考えられる。
⑵ 農産物におけるビジネスマッチングを進
める際,「安定供給できるものか」は,重要
な着眼点の 1 つである。
⑶ 定期的に商談会に出続けることで,商談
会ブースに「試作品発表会」としての機能
を持たせることも期待できる。
⑷ 商談会においては,相手を特に見極めず,
なるべく多くの人と名刺交換する。
⑸ 単なる「出会いの場の提供」だけでは,
ビジネスマッチングは成立しない。
正解率 85%
正解 ⑷
解 説
⑴ 規格外品は,個別に営業して買い手
を探すことになるが,卸売市場のよう
に多くの買い手に会うことは難しいた
め,商談会を利用することは有効な方
法であると考えられる。したがって,
⑴は正しい。
−56− −57−
農業融資実務 農業融資実務
⑵ 農産物におけるビジネスマッチング
を進める際の着眼点は,「製品規格がま
とまっているか」「安定供給できるもの
か」「広域流通に適さないものか」の 3
点である。したがって,⑵は正しい。
⑶ 定期的に商談会に出続けることで,
商談会ブースに「試作品発表会」とし
ての機能を持たせることも期待できる。
したがって,⑶は正しい。
⑷ 名刺交換で注意すべきは,相手を見
極めることである。冷やかしの客に時
間を取られないようにし,試食で感触
のよい相手には優位性を訴えかけ名刺
交換に持ち込む。したがって,⑷は誤
りであり,これが本問の正解である。
⑸ 単なる「出会いの場の提供」だけで
はなく,サポートする方々の取引成立
に向けたフォローアップが必要である。
したがって,⑸は正しい。
商 談 会 出 展 の 手 順
問 44 商談会出展の手順に関する次の記述
について,誤っているものを 1つ選びなさい。
⑴ 「セールストーク」のポイントとしては,
製品の特徴を誰にでもわかりやすい言葉で
説明することがある。
⑵ 商流・代金決済の問題を事前に定めてお
くことは,具体的な話を円滑に進めるため
に有効である。
⑶ 価格設定の下限は「買い手が感じる価値」
であり,上限は「コスト(限界単価)」である。
⑷ 商品提案書は,バイヤー向けに取引条件
を説明するために用意しておく資料のこと
である。
⑸ 出荷量,出荷希望量,出荷始期~終期,
希望小売価格は,最低限説明できるように
しておくことが必要である。
正解率 80%
正解 ⑶
解 説
⑴ 「セールストーク」のポイントとして,
製品の特徴を誰にでもわかりやすい言
葉で説明することがある。したがって,
⑴は正しい。
⑵ 商流・代金決済の問題を事前に定め
ておくことは,具体的な話を円滑に進
めるために有効である。したがって,
⑵は正しい。
⑶ 価格設定の上限は「買い手が感じる
価値」であり,下限は「コスト(限界
単価)」である。したがって,⑶は誤り
であり,これが本問の正解である。
⑷ 商品提案書は,バイヤー向けに取引
条件を説明するために用意しておく資
料のことである。したがって,⑷は正
しい。
⑸ 出荷量,出荷希望量,出荷始期~終期,
希望小売価格は,最低限説明できるよ
うにしておくことが必要である。した
がって,⑸は正しい。
−58−
農業融資実務
財 務 分 析
農業を営む A 社の下記資料を基に,〔問 45〕~〔問 47〕に答えなさい。
−58− −59−
農業融資実務 農業融資実務
財 務 分 析 問 題 1 - 1
問 45 A社の営業外収益(雑収入)の内訳を正しい計上科目に組替えた以下の表の空欄①~③に
入る組合せとして,正しいものを 1つ選びなさい。
営業外収益の内訳 正規の計上科目
作付助成収入 ①
価格補填収入 ②
経営安定補填収入 ③
⑴ ① 売上高 ② 営業外収益 ③ 特別利益
⑵ ① 営業外収益 ② 売上高 ③ 売上高
⑶ ① 売上高 ② 営業外収益 ③ 特別利益
⑷ ① 営業外収益 ② 営業外収益 ③ 売上高
⑸ ① 営業外収益 ② 売上高 ③ 特別利益
正解率 63%
正解 ⑸
解 説
① 作付助成収入とは,作物の作付面積に応じて交付される交付金による収入である。
毎期経常的に交付を受けることができるものであるが,農産物の販売によって実現す
る収益ではないため,営業外収益の区分に計上する。
② 価格補填収入は,農畜産物の販売数量に基づき交付されるもので,農畜産物の販売
によって実現するものであるため,営業収益(売上高)の区分に計上する。
③ 経営安定補填収入は,過年度の農畜産物の価格下落に対する補填金であり,臨時利
益の性格を持つことから,特別利益の区分に計上する。
財 務 分 析 問 題 1 - 2
問 46 A社の固定長期適合率(%)として,正しいものを 1つ選びなさい。なお,計算結果は表
示単位の小数点以下第 2位を四捨五入すること。
⑴ 48.6%
⑵ 64.2%
⑶ 78.5%
⑷ 112.8%
⑸ 127.8%
−60−
農業融資実務
正解率 23%
正解 ⑴
解 説
固定長期適合率:固定資産÷(固定負債+自己資本)× 100
⇒ 14,519 千円÷(18,500 千円+ 11,358 千円)× 100 ≒ 48.6%
財 務 分 析 問 題 1 - 3
問 47 A社の経常運転資金として,正しいものを 1つ選びなさい。
⑴ 1,067 千円
⑵ 1,924 千円
⑶ 3,174 千円
⑷ 5,174 千円
⑸ 5,630 千円
正解率 63%
正解 ⑷
解 説
経常運転資金:売上債権+棚卸資産−買入債務
⇒ 2,380 千円+ 3,250 千円− 456 千円= 5,174 千円
−60− −61−
農業融資実務 農業融資実務
農業を営む B 社の下記資料を基に,〔問 48〕~〔問 50〕に答えなさい。
−62−
農業融資実務
財 務 分 析 問 題 2 - 1
問 48 資料の空欄①~③に入る数値の組合せとして,正しいものを 1つ選びなさい。
⑴ ① 10,000 千円 ② 3,000 千円 ③ 3,100 円
⑵ ① 25,000 千円 ② 5,000 千円 ③ 3,100 円
⑶ ① 15,000 千円 ② 2,000 千円 ③ 3,100 円
⑷ ① 10,000 千円 ② 2,000 千円 ③ 1,450 円
⑸ ① 15,000 千円 ② 3,000 千円 ③ 1,450 円
正解率 64%
正解 ⑷
解 説
①作目 B の労務費 :50,000 千円×(4,000h ÷ 20,000h)= 10,000 千円
②作目 C の動力光熱費 :10,000 千円×(3.6ha ÷ 18.0ha)= 2,000 千円
③作目 B の時間単価 : 5,800 千円÷ 4,000h = 1,450 円
財 務 分 析 問 題 2 - 2
問 49 B社の損益分岐点売上高として,正しいものを 1つ選びなさい。なお,計算結果は表示単
位の小数点以下第 1位を四捨五入すること。
⑴ 185,234 千円
⑵ 188,462 千円
⑶ 191,667 千円
⑷ 192,208 千円
⑸ 218,056 千円
正解率 56%
正解 ⑶
解 説
損益分岐点売上高:固定費÷(1 −(変動費÷売上高))
⇒ 138,000 千円÷(1 −(56,000 千円÷ 200,000 千円))≒ 191,667 千円
固定費:労務費+支払地代+減価償却費+その他+販売費・一般管理費
→50,000千円+20,000千円+15,000千円+2,000千円+51,000千円=138,000千円
変動費:材料費+動力光熱費+修繕費
→40,000千円+10,000千円+6,000千円=56,000千円
−62− −63−
農業融資実務 農業融資実務
財 務 分 析 問 題 2 - 3
問 50 B社の安全余裕率として,正しいものを 1つ選びなさい。なお,計算結果は表示単位の小
数点以下第 3位を四捨五入すること。
⑴ 3.90%
⑵ 4.17%
⑶ 6.38%
⑷ 7.38%
⑸ 9.03%
正解率 38%
正解 ⑵
解 説
安全余裕率:(実際の売上高−損益分岐点売上高)÷実際の売上高× 100
⇒(200,000 千円− 191,667 千円)÷ 200,000 千円× 100 ≒ 4.17%
正解番号
3
4
4
3
5
1
4
4
3
2
問題番号
問41
問42
問43
問44
問45
問46
問47
問48
問49
問50
正解番号
2
1
2
5
4
5
3
5
4
2
問題番号
問31
問32
問33
問34
問35
問36
問37
問38
問39
問40
正解番号
4
4
5
2
1
5
2
3
3
5
問題番号
問21
問22
問23
問24
問25
問26
問27
問28
問29
問30
正解番号
1
3
3
3
1
4
3
5
4
3
問題番号
問11
問12
問13
問14
問15
問16
問17
問18
問19
問20
正解番号
4
2
4
5
5
2
4
2
5
3
問題番号
問1
問2
問3
問4
問5
問6
問7
問8
問9
問10
−64−
農業融資実務