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発熱性好中球減少症 高松 Key words : Febrile neutropenia, Empiric therapy, Prophylaxis 1.はじめに 好中球は,生体内に侵入した細菌などの異物を貪食・ 殺菌する。炎症巣から出される遊走因子により血管外へ 遊出し,抗体や補体を介して Fc レセプターや C3 レセ プターと結合した異物を細胞内に取り込み,細胞質内の 顆粒から放出される酵素や活性酸素により殺菌する。末 梢血中を循環している好中球は,体内に存在する好中球 の約 3%にしか過ぎない。大半の好中球は骨髄内(骨髄 プール)に貯留しており,血管壁や脾臓(辺縁プール) にも存在している。細菌感染症が起こった際は貯留プー ル内の好中球が動員され,末梢血中の好中球数は速やか に増加する。好中球の寿命は末梢血中では半日程度,組 織内では 25 日である 1) がん薬物療法を行う場合,最も問題となる dose- limiting toxicity は,骨髄抑制に伴う血球減少である。特 に好中球数が減少すると発熱する危険が高く,好中球減 少を伴うがん薬物療法を 1 サイクル以上受けた場合,固 形がんでは 1050%,血液腫瘍では 80%以上の患者で 発熱が起こると言われている 2) 。発熱の原因となる感染 巣が消化管や肺,皮膚などに明らかに認められる割合は 2030%,静脈血培養で菌血症が証明される割合は 1025%で,多くの場合発熱の原因は不明である 3) 。好 中球減少時に発熱すると急速に重症化して死に至る危険 があるが,発熱後直ちに広域スペクトラムの抗菌薬を投 与すると症状が改善し,死亡率が低下することが経験的 に知られている。そのため発熱性好中球減少症(febrile neutropenia; FN)という病名が提唱された 4) 。がん薬物 療法の効果は投与する抗がん薬の dose intensityDIに相関する。FN を来すと次サイクル治療の延期,ある いは抗がん薬減量を余儀なくされることがある。悪性リ ンパ腫では,がん薬物療法の DI が弱くなると生存率が 低下する 5, 6) 。がん薬物療法の安全性および有効性を高 めるには,FN に対して適切な治療を行うこと,さらに FN の発症を予防することが重要である。 1990 年 に ア メ リ カ 感 染 症 学 会(The Infectious Diseases Society of America, IDSA)を中心に FN のマ ネージメントに対するガイドラインが作成 7) 2010 年に 改訂された 3) 。海外のガイドラインに記載されている FN の治療薬の用法・用量は必ずしも日本の保険診療に 適合していない。そこで日本の日常診療の実態に適した FN の対処方法を明らかにすることを目的に,日本臨床 腫瘍学会ガイドライン委員会の下部組織として FN 診療 ガイドライン部会を設置し,FN 診療ガイドラインを作 成した 8) 2FN の定義 IDSA では口腔内温の測定が推奨されており,発熱と は「1 回の口腔内温 38.3℃以上または口腔内温 38℃が 1 時間以上持続する状態」と定義されている 3) 。しかし日 本の病院では口腔内温を測定することは稀で,腋窩温が 用いられている。腋窩温は口腔内温に比べて 0.30.5低いため,日本では「1 回の腋窩温 37.5℃以上(口腔内 38℃以上)」が発熱と定義された 9) 。好中球減少とは, 当初は「好中球数 1,000/ml 未満」と定義されていたが 7) 2010 年に発表された IDSA のガイドラインでは「好中 球数 500/ml 未満,あるいは 48 時間以内に 500/ml 未満 に減少すると予測される状態」に修正されている 3) JSMO のガイドラインでは,「好中球数が 500/ml 未満, または 1,000/ml 未満で 48 時間以内に 500/ml 未満に減少 すると予想される状態で,かつ腋窩温 37.5℃以上(口腔 内温 38℃以上)の発熱を生じた場合」を FN と定義し 8) −臨 液− 468 2014福岡大学病院 腫瘍・血液・感染症内科 75 回日本血液学会学術集会 その他 EL-60 ガイドライン(標準治療)

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発熱性好中球減少症

高 松 泰

Key words : Febrile neutropenia, Empiric therapy, Prophylaxis

1.はじめに

好中球は,生体内に侵入した細菌などの異物を貪食・

殺菌する。炎症巣から出される遊走因子により血管外へ

遊出し,抗体や補体を介して Fcレセプターや C3レセプターと結合した異物を細胞内に取り込み,細胞質内の

顆粒から放出される酵素や活性酸素により殺菌する。末

梢血中を循環している好中球は,体内に存在する好中球

の約 3%にしか過ぎない。大半の好中球は骨髄内(骨髄プール)に貯留しており,血管壁や脾臓(辺縁プール)

にも存在している。細菌感染症が起こった際は貯留プー

ル内の好中球が動員され,末梢血中の好中球数は速やか

に増加する。好中球の寿命は末梢血中では半日程度,組

織内では 2∼5日である1)。

がん薬物療法を行う場合,最も問題となる dose-limiting toxicityは,骨髄抑制に伴う血球減少である。特に好中球数が減少すると発熱する危険が高く,好中球減

少を伴うがん薬物療法を 1サイクル以上受けた場合,固形がんでは 10∼50%,血液腫瘍では 80%以上の患者で発熱が起こると言われている2)。発熱の原因となる感染

巣が消化管や肺,皮膚などに明らかに認められる割合は

20∼30%,静脈血培養で菌血症が証明される割合は10∼25%で,多くの場合発熱の原因は不明である3)。好

中球減少時に発熱すると急速に重症化して死に至る危険

があるが,発熱後直ちに広域スペクトラムの抗菌薬を投

与すると症状が改善し,死亡率が低下することが経験的

に知られている。そのため発熱性好中球減少症(febrileneutropenia; FN)という病名が提唱された4)。がん薬物

療法の効果は投与する抗がん薬の dose intensity(DI)に相関する。FNを来すと次サイクル治療の延期,あるいは抗がん薬減量を余儀なくされることがある。悪性リ

ンパ腫では,がん薬物療法の DIが弱くなると生存率が低下する5, 6)。がん薬物療法の安全性および有効性を高

めるには,FNに対して適切な治療を行うこと,さらにFNの発症を予防することが重要である。

1990 年にアメリカ感染症学会(The InfectiousDiseases Society of America, IDSA)を中心に FN のマネージメントに対するガイドラインが作成7),2010年に改訂された3)。海外のガイドラインに記載されている

FNの治療薬の用法・用量は必ずしも日本の保険診療に適合していない。そこで日本の日常診療の実態に適した

FNの対処方法を明らかにすることを目的に,日本臨床腫瘍学会ガイドライン委員会の下部組織として FN診療ガイドライン部会を設置し,FN診療ガイドラインを作成した8)。

2.FNの定義

IDSAでは口腔内温の測定が推奨されており,発熱とは「1回の口腔内温 38.3℃以上または口腔内温 38℃が 1時間以上持続する状態」と定義されている3)。しかし日

本の病院では口腔内温を測定することは稀で,腋窩温が

用いられている。腋窩温は口腔内温に比べて 0.3∼0.5℃低いため,日本では「1回の腋窩温 37.5℃以上(口腔内温 38℃以上)」が発熱と定義された9)。好中球減少とは,

当初は「好中球数 1,000/ml未満」と定義されていたが7),

2010 年に発表された IDSA のガイドラインでは「好中球数 500/ml 未満,あるいは 48 時間以内に 500/ml 未満に減少すると予測される状態」に修正されている3)。

JSMOのガイドラインでは,「好中球数が 500/ml未満,または 1,000/ml未満で 48時間以内に 500/ml未満に減少すると予想される状態で,かつ腋窩温 37.5℃以上(口腔内温 38℃以上)の発熱を生じた場合」を FN と定義した8)。

−臨 床 血 液−

468(2014)

福岡大学病院 腫瘍・血液・感染症内科

第 75回日本血液学会学術集会

その他

EL-60 ガイドライン(標準治療)

3.FNの初期検査

FNを起こした場合は,感染巣がないか症状の問診および診察を行う。口腔,鼻腔,肛門など体外と通じてい

る部位やカテーテル穿刺部は十分に観察する。白血球分

画および血小板数を含む全血球計算,腎機能(BUN,クレアチニン),電解質,肝機能(トランスアミナーゼ,

総ビリルビン,アルカリホスファターゼ)を含む血清生

化学検査を行う。

抗菌薬開始前に 2セット以上の静脈血培養検査を行う。中心静脈カテーテルが留置されている場合はカテー

テル内腔から 1セットと末梢静脈から採取した 1セット,中心静脈カテーテルが留置されていない場合は末梢

静脈の異なる部位から 2セット採取する。呼吸器症状・徴候を伴い感染が疑われる場合は,胸部 X線写真を撮影する。感染が疑われる症状・徴候を示す身体部位での

培養検査を行う。

4.FNのリスク分類

がん薬物療法を受ける患者が FNを起こすリスク因子として,IDSAガイドラインでは,7日以上持続する高度な好中球減少(100/ml以下),嚥下障害や高度な下痢を伴う消化管粘膜障害,腹痛・悪心・嘔吐・下痢などの

消化器症状,新たに出現した神経学的異常または精神症

状,カテーテル関連感染症,肺浸潤影の出現または慢性

肺疾患を伴う場合をあげている3)。また AmericanSociety of Clinical Oncology(ASCO)のガイドラインでは,患者の背景,基礎疾患(がんの種類),がん薬物療

法の種類に応じて FN を起こすリスクを提示している(表 1)10)。

FNが起こった場合に重症化する危険性を評価するには,Multinational Association of Supportive Care in Can-cer(MASCC)スコアが広く使用されている。スコアの合計が 21点以上の場合は低リスク,20点以下は高リスクと判断される(表 2)11)。ただし MASCC スコアだけで FNに対する外来治療が可能かどうかを判断するのは困難で,ASCOガイドラインでは,MASCCスコアが 21点以上であっても FNに対して外来治療を行うべきでない臨床的基準を提示している(表 3)10)。

5.考慮すべき原因微生物

FN患者の血液培養分離菌として,以前は緑膿菌,大腸菌などのグラム陰性菌が優位であったが,近年はコア

グラーゼ陰性ブドウ球菌,黄色ブドウ球菌,レンサ球菌

などグラム陽性菌の頻度が高い。緑膿菌による菌血症は

死亡率が高く,適切な抗菌薬治療が 24時間以内に開始されなかった場合の死亡率は 40%に達する12)。好中球

減少持続期間が長期にわたる場合は,カンジダ属,アス

ペルギルス属など真菌感染症を考慮する。

FN を起こす頻度は低いが死亡率が高い微生物として,バ チ ル ス 属 菌,Corynebacterium jeikeium,Stenotrophomonas maltophilia がある。真菌ではムーコル目,フザリウム属,トリコスポロン属,スケドスポリ

ウム属などは抗真菌薬投与下でも発症し,重症感染症を

起こす。多剤耐性菌の分離頻度は世界的に増加傾向にあ

り,日本では多剤耐性緑膿菌・カルバペネム耐性緑膿菌

の分離頻度が比較的高い13)。

6.FNに対する経験的治療(エンピリック治療)

FNを発症した場合は,グラム陰性桿菌を抗菌スペクトラムに含む b-ラクタム薬を単剤で経静脈的に投与する。推奨される薬剤は,セフェム系薬のセフェピム(1回 2 gを 12時間毎),セフタジジム(1回 1 gを 6時間毎),カルバペネム系薬のイミペネム・シラスタチン(1回 0.5 g を 6 時間毎),メロペネム(1 回 1 g を 8 時間毎),もしくは抗緑膿菌ペニシリン薬のタゾバクタム・

ピペラシリン(1 回 4. 5 g を 6 時間毎)である(図1)14∼20)。第 3世代セフェム系を分解する其質特異性拡張型 bラクタマーゼ(ESBL)やカルバペネム系を分解するメタロ bラクタマーゼを産生する多剤耐性菌が出

現しており,各施設での分離菌の抗菌薬感受性プロファ

イルを考慮して抗菌薬を選択することも重要である。セ

フピロム(1 回 2 g を 12 時間毎),セフォゾプラン(1回 1 g を 6 時間毎),ビアペネム(1 回 0.6 g を 12 時間毎),パニペネム/ベタミプロン(1回 0.5 gを 6時間毎),ドリペネム(1回 1 gを 8時間)など本邦で使用可能な抗緑膿菌作用を有する bラクタム系薬剤は,FNに対する臨床研究は十分に行われておらず,IDSAのガイドラインにも記載されていないが,前出の薬剤と同等の効果

があると推測される21∼27)。日本で経験的治療に用いら

れる静注抗菌薬の用法・用量を示す(表 4)8)。

FNに対する初期治療として,全ての症例にアミノグリコシドもしくは抗MRSA薬を併用することは推奨されない。bラクタム薬単剤と bラクタム薬+アミノグ

リコシド併用,もしくは bラクタム薬単剤と bラクタ

ム薬+抗MRSA薬(バンコマイシンまたはテイコプラニン)併用を比較したメタアナリシスでは,ともに両群

間で全死亡率に有意差は認められず,併用療法の方が腎

機能障害などの毒性が多く出現した28∼30)。アミノグリ

コシドの併用は,敗血症や肺炎を伴う重症患者,緑膿菌

感染症の場合に行う。キノロンの予防内服をしていない

症例では,静注キノロンも選択肢の一つである。血行動

態が不安定または重症敗血症,血液培養でグラム陽性菌

を認めその感受性が判明するまで,重症のカテーテル感

臨 床 血 液 54:10

469(2015)

−臨 床 血 液−

470(2016)

表 1 がん薬物療法を受ける患者で FNを起こすリスク因子(文献 10より引用)   ASCOのガイドラインで提示されているがん薬物療法を受ける患者で FNを起こすリスク因子を示す。

因子 リスクへの関与 FN発症率(95% CI)

患者の背景

高齢 年齢≧65歳は高リスクECOGの PS PS≧2は高リスク栄養状態 血清アルブミン<3.5 g/dlFNの既往 1サイクル目に FNを起こすと次サイクル以降の FN発症率は 4倍併存症 併存症を 1つ,2つ,3つ以上もつ場合,FNの発症率はそれぞれ 27%,67%,125%高くなる。

基礎疾患

癌種

急性白血病/骨髄異形成症候群 85~95軟部肉腫 27(19~34.5)非ホジキンリンパ腫/多発性骨髄腫 26(22~29)胚細胞腫瘍 23(16.6~29)ホジキンリンパ腫 15(6.6~24)卵巣癌 12(6.6~17.7)肺癌 10(9.8~10.7)結腸・直腸癌 5.5(5.1~5.8)頭頚部癌 4.6(1.0~8.2)乳癌 4.4(4.1~4.7)前立腺癌 1(0.9~1.1)

臨床病期 進行期(臨床病期≧2期)は高リスク寛解状態 非寛解期は高リスク

治療の反応 CRの場合は低リスクPRの場合は,急性白血病患者は固形癌より高リスク治療を行っても腫瘍が残存,難治性,進行性の場合は高リスク

がん薬物療法の種類

細胞傷害性抗がん薬 以下の薬剤を含むレジメン治療は高リスク

アントラサイクリン≧90 mg/m2

シスプラチン≧100 mg/m2

イホスファミド≧9 g/m2

シクロホスファミド≧1 g/m2

エトポシド≧500 mg/m2

シタラビン≧1 g/m2

治療強度を強めた治療(CHOP-14など)乳癌に対するアントラサイクリン+タキサン±シクロホスファミドまたはアントラサイクリン+ゲムシタビン療法

治療強度 予定された治療量の 85%を超える投薬が行われた場合は高リスク消化管および口腔粘膜障害の

 程度と持続時間

NCIの grade≧3の粘膜障害または最悪時に OMASスコア≧2の場合は高リスク

血球減少の程度と持続時間

  好中球減少 好中球<500/ lが 7日以上  リンパ球減少 リンパ球<700/ l  単球減少 単球<150/ l予防的 G-CSFの投与 低リスク

CI, confi dence interval ECOG, Eastern Cooperative Oncology Group PS, performance status FN, febrile neutropenia

CR, complete response PR, partial response CHOP, cyclophosphamide, doxorubicin, vincristine, and prednisone

NCI, National Cancer Institute OMAS, Oral Mucositis Assessment Scale

染が疑われる,皮膚・軟部組織感染症を伴う,MRSAやペニシリン耐性肺炎球菌を保菌している,あるいはフ

ルオロキノロンが予防投与されている患者で重症の粘膜

炎を伴う場合は,グリコペプチド系薬のバンコマイシン

(1回 0.5 gを 6時間ごと)もしくはテイコプラニン(初日は 1回 400 mgを 12時間ごと,以後 1回 400 mgを 24時間ごと)を併用する。経験的に抗 MRSA薬を併用した場合,グラム陽性菌が検出されなければ 2∼3日で中止する。

7.初期治療(経験的治療)により解熱した場合の

対応

抗菌薬の治療期間は,感染巣の有無,起因菌の種類,

患者の全身状態,抗菌薬治療に対する反応,好中球数の

回復速度などの条件により異なる。感染巣症状・徴候が

ない不明熱としての FN の場合は,好中球数が 500/ml以上に回復し 48時間以上解熱していれば抗菌薬は中止してよい。感染巣症状・徴候を伴う場合はより長期間の

治療が必要で,例えば細菌の血流感染症の場合は 7∼14日間,肺炎では 10∼21日間の治療が必要である。解熱したものの好中球減少が持続する場合は,原則と

して好中球数が 500/ml以上に回復するまで抗菌薬治療を継続する(図 2)。低リスク患者では,全身状態が安定していれば経口抗菌薬(シプロフロキサシン+アモ

キシシリン・クラブラン酸など)に変更してもよい31)。

8.FNが遷延する場合の対応

初期治療開始後 3∼4 日経っても発熱が続く場合は,

培養など微生物学的検査および CTなど画像検査を行う(図 2)。血清検査での b-Dグルカンやガラクトマンナン抗原の上昇,胸部 CTでの haloサインや air crescentサインは,侵襲性アスペルギルス症の診断に有用であ

る32∼34)。原因菌が同定された場合は,感染部位と薬剤

感受性結果に基づいて抗菌薬を変更する。口腔潰瘍や食

道炎の症状があれば単純ヘルペスやカンジダ感染が疑わ

れるため,アシクロビルや抗真菌薬(フルコナゾールな

ど)を投与する。肺炎,特に重症例では抗 MRSA薬や抗真菌薬の併用を検討する。右下腹部痛と下痢を伴う場

合は好中球減少性腸炎(neutropenic enterocolitis)を考慮する。診断には CTまたは腹部超音波検査が有用で,腸管壁の肥厚,横断面で 4 mm以上の壁肥厚が長軸方向に 3 cm以上の長さにわたって見られることが特徴的である35)。主な原因菌は好気性グラム陰性桿菌と偏性嫌

気性菌で,単剤療法を行う場合はカルバペネム系薬また

はタゾバクタム・ピペラシリン,併用療法を行う場合は

抗緑膿菌作用を持つセフェム系薬にメトロニダゾールあ

るいはアミノグリコシドを併用する。Clostridium diffi-cileによる偽膜性腸炎の鑑別も重要である。原因菌や感染巣は不明だが血行動態が不安定な場合

は,耐性グラム陰性菌,耐性グラム陽性菌,嫌気性菌に

効力をもつ抗菌薬を追加する(図 2)。初期治療がセファロスポリン系薬単剤の場合はカルバペネムに変更する。

アミノグリコシドやキノロン,抗 MRSA薬の追加も考慮する。一方,発熱は遷延するものの全身状態が良好の

場合は,必ずしも抗菌薬を変更・追加する必要はない。

9.抗真菌薬の経験的治療

好中球減少が 7日以上遷延する場合は,酵母や糸状菌による真菌感染症のリスクが高くなる。酵母ではカンジ

ダによる血流感染症,糸状菌ではアスペルギルスや接合

菌による肺感染症が代表的である。FN に対して 4∼7日間広域抗菌薬を投与したが解熱しない高リスク患者で

は,経験的抗真菌療法が推奨される。使用する薬剤は,

アムホテリシン Bリポソーム(1回 2.5 mg/kgを 24時間ごと),ミカファンギン(1回 100∼150 mgを 24時間ごと),カスポファンギン(初日は 1回 70 mgを 24時間ごと,以後 1回 50 mgを 24時間ごと),イトラコナゾール(2日間は 1回 200 mgを 12時間ごと,3日目以降は 1回 200 mgを 24時間ごと),ボリコナゾール(初日は 1 回 6 mg/kg を 12 時間ごと,以後 1 回 4 mg/kgを 12時間ごと)のいずれかを選択する36∼42)。一方,好

中球減少期間が短い低リスク患者では,深在性真菌感染

の頻度は低く,経験的抗真菌療法は推奨されない。

臨 床 血 液 54:10

471(2017)

表 2  発熱時のリスクを判定するためのMASCCスコアリングシステム(文献 11より引用)

    重篤な感染症に移行する危険因子 7個について、それぞれの因子に与えられた点数を加える。全ての因

子が当てはまる場合は 26点となる。21点以上は低リスク群、20点以下は高リスク群として対処することが推奨される。

危険因子 スコア

症状(次の中から 1つ選ぶ)   症状なし 5   軽度の症状 5   中等度の症状 3低血圧なし 5慢性閉塞性肺疾患なし 4固形腫瘍/真菌感染の既往のない血液疾患 4脱水なし 3発熱時外来 360歳未満 2

−臨 床 血 液−

472(2018)

表 3 MASCCスコアが 21点以上であっても FNに対して外来治療を行うべきでない臨床的基準(文献 10より引用)    ASCOのガイドラインで提示されているMASCCスコアが 21点以上であっても FNに対して外来治療を行うべきでな

い臨床的基準を示す。

カテゴリー 判定基準

心血管 意識消失発作/失神高血圧の急速な進行

低血圧の出現もしくは増悪

コントロールされていない心不全,不整脈,狭心症

臨床的に重大な出血

心嚢液貯留

血液 重度な血小板減少(<10,000/ l)

貧血(Hb<7 g/dlまたは Ht<21%)7日以上続くと予想される好中球減少(<100/ l)

深部静脈血栓症または肺梗塞

消化管 経口薬を内服できない

対処困難な嘔気・嘔吐

下痢の出現もしくは臨床的に重大な増悪

下血,血便(痔出血を除く),吐血

腹痛

腹水

肝臓 肝トランスアミナーゼ>正常上限値の 5倍,もしくは臨床的に重大なほど増悪した肝トランスアミナーゼ上昇ビリルビン>2.0 mg/dlもしくは臨床的に重大なビリルビン上昇

感染症 明らかな感染巣がある(肺炎症状,蜂窩織炎,腹腔内感染症,画像検査もしくは微生物学検査が陽性)

重症敗血症の所見あり

外来で投与された抗菌薬にアレルギー反応あり

72時間以内に抗菌薬を投与されている血管内留置カテーテル関連の感染症

神経 精神/意識レベルの変化または痙攣中枢神経感染症や無菌性髄膜炎もしくはその疑い

脊髄圧迫もしくはその疑い

神経障害の出現もしくは増悪

肺/縦隔 頻呼吸もしくは浅呼吸

低酸素血症,高炭酸ガス血症

気胸もしくは胸水貯留

空洞性の肺結節もしくは活動性の胸腔内病変を疑う画像所見

腎臓 腎機能障害(クレアチニンクリアランス≦30 ml/min),乏尿または臨床的に重大なほど腎機能が増悪(治療

 担当医の判断)

肉眼的血尿の出現

尿路閉塞もしくは尿路結石

臨床的に重大な脱水

臨床的に重大な電解質異常,アシドーシスまたはアルカローシス(治療介入を要する)

他の重要な併存症 臓器障害,併存症,バイタルサイン,臨床徴候や症状,検査値,画像所見に大きな異常がある

臓器障害,併存症,バイタルサイン,臨床徴候や症状,検査値,画像所見に臨床的に重大な増悪がある(治

 療担当医の判断)

妊娠中もしくは授乳中

静注薬を使った鎮痛が必要

骨折,外傷もしくは緊急放射線治療が必要

10.中心静脈カテーテルが挿入されている患者の

FN に対する治療

中心静脈カテーテルが挿入されている好中球減少患者

は,カテーテル関連感染症を起こしやすい。カテーテル

挿入部の感染,血栓性静脈炎,心内膜炎,血行動態が不

安定な敗血症を合併している,または適切な抗菌薬治療

を 72時間以上行っても改善しない場合は,カテーテル

臨 床 血 液 54:10

473(2019)

表 4 FNの経験的治療として使用される静注抗菌薬の用法・用量(文献 8より引用)    日本で経験的治療に用いられる静注抗菌薬の用法・用量を示す。

日本で FNへの適応を有する薬剤 セフェピム 1回 2 g 12時間毎 静注 メロペネム 1回 1 g 8時間毎 静注

日本では FNを適応症として有しないが十分なエビデンスの集積のある薬剤 イミペネム・シラスタチン 1回 0.5 g 6時間毎 静注 タゾバクタム・ピペラシリン 1回 4.5 g 6時間毎 静注 セフタジジム 1回 1 g 6時間毎 静注

日本では FNへの適応はなくエビデンスも集積途上であるが,日常臨床では使用されている薬剤

セフピロム 1回 2 g 12時間毎 静注 セフォゾプラン 1回 1 g 6時間毎 静注,もしくは 1回 2g 12時間毎 静注 ドリペネム 1回 1 g 8時間毎静注 ビアペネム  1回 0.6 g 12時間毎 静注,もしくは 1回 0.3 g 6~8時間毎 静注 パニペネム・ベタミプロン 1回 0.5 g 6時間毎 静注

図 1 FN患者に対する経験的治療(文献 8より引用,一部改変)FN患者に対する経験的治療のアルゴリズムを示す。

を抜去する。カテーテルを抜去しない場合は,静脈血液

培養をカテーテル内腔から 1 セットと末梢静脈から 1セット採取する。カテーテル血液培養の方が末梢血培養

より 120分以上早く陽性となった場合は,カテーテル関連感染症と診断する43)。培養で黄色ブドウ球菌,緑膿

菌,バチラス,真菌が検出された場合はカテーテルを抜

去して適切な抗菌薬投与を行う。

11.FNの予防

がん薬物療法後に G-CSFを投与すると,FNの発症率が低下し,感染症関連の死亡を含む早期死亡率が減少す

る。ASCOのガイドラインでは,急性リンパ性白血病に対する寛解導入療法や地固め療法など FN の発症率が20%を超える高リスクの抗がん薬治療を行う場合は G-CSFの予防投与を推奨している44)。急性骨髄性白血病の

場合は G-CSFにより白血病細胞の増殖が刺激される可能性があるが,実際には再発率が高くなるなど予後に対

する悪影響はないと考えられる。悪性リンパ腫に対する

CHOP療法など FNの発症率が 10∼20%のがん薬物療法では,65歳以上,進行期,FNの既往などの危険因子

をもつ患者は,G-CSFの予防投与が推奨される。FNの発症率が 10%未満の場合は,G-CSFの予防投与は推奨されず,FNによる重篤な経過が予測される患者に対してのみ G-CSFの予防投与を検討する。好中球減少が 7日以上続くと予想される場合は,キノ

ロンの予防内服が有用である。キノロンを予防投与する

とプラセボ群に比べて発熱のエピソードが減少,感染症

関連死亡率が低下し,全生存率が上昇する45)。レボフロ

キサシン(1回 500 mgを 1日 1回),もしくはシプロフロキサシン(1 回 200 mg/日を 1 日 3 回)を内服する。また,急性白血病,好中球減少を伴う骨髄異形成症候群,

口内炎を伴う自己造血幹細胞移植患者,同種造血幹細胞

移植患者など高リスク患者では,抗真菌薬の予防投与が

推奨される。フルコナゾール(1 回 200 mg を 1 日 1回),イトラコナゾール内用液(1回 200 mgを 1日 1回)の内服,もしくは造血幹細胞移植時はミカファンギン(1回 50 mgを 24時間毎)の静注を行う。好中球減少期間が 7日未満と予想される場合は,抗菌薬および抗真菌薬の予防投与は不要である。

細胞性免疫が低下した患者では,ニューモシスチス肺

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図 2 FN患者に対する経験的治療開始 3∼4日後の再評価(文献 8より引用,一部改変)FN患者に対して経験的治療を開始した 3∼4日後に再評価を行う際のアルゴリズムを示す。

炎を発症する危険がある。発症すると急速に低酸素血症

が進行し死亡率が高いため,急性リンパ性白血病患者,

同種造血幹細胞移植後および副腎皮質ステロイド(プレ

ドニゾロン換算で 30 mg 以上)投与時は,スルファメトキサゾール・トリメトプリム(ST合剤)の予防内服が推奨される。ST 合剤(400 mg/80 mg)の投与量は,1日 1錠の連日投与,1日 2錠の週 3日投与,1日 4錠の週 2日投与など様々な方法が実施されている。

著者の COI(conflicts of interest)開示:高松泰;講演料(ヤン

センファーマ株式会社)

文 献

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