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アナリストレポート・プラットフォーム 1 いちご (2337・東証 1 部) ㈱アイフィスジャパン 堀部 吉胤 2000 年設立の不動産再生流動化のパイオニアにして代表的企業。20 億円前後の中規模オフィス、商業ビルのバリューアップを得意としな がらアセットタイプ・クラスの多様化を推進。20/2 期末の自己勘定に よる保有不動産残高は 2,444 億円。メガソーラーなどクリーンエネル ギー事業にも展開。現状、賃料収入 を中心とするストック収益と物件売 却益を中心とするフロー収益の比率 は約半々。いちごオフィスリート、 いちごホテルリート、いちごグリー ンインフラのシングルスポンサー。 21/2 期会社業績予想はコロナ禍による不動産売買市場の不透明感な どからレンジでの開示(下表では紙面の都合上、中央値を記載)。期初 想定の最悪シナリオは回避されたため 1Q(3-5 月)決算発表時に下限 値が上方修正された。上限値は据置き。修正後の純利益予想の下限値 は 35 億円(期初20 億円)、上限値は80 億円。レジデンスのファンド へのバルクセールが順調に進展。既に修正後の下限値も目途が付いた とみられ上限値に向け物件売却の積み上げを図る。コロナ禍を受け 20/2期に販売用不動産評価損など80.6億円の特損を計上した反動から 最終減益幅は抑えられる見込み。累進的配当政策を堅持し 7 円配継続。 コロナの影響はアセットタイプ別ではホテルが最も深刻で、次いで 商業施設が厳しい。一方、レジデンスは稼働率、賃料の安定性が高く、 世界的な金融緩和も受け投資家の需要は旺盛。引続き高値での取引が 続いており、当面レジデンスを中心に売却・取得を進めていく方針。 ストック収益で固定費は余裕で賄えるため、2 年程度で不動産売買市場 は概ね回復するとの想定のもと、ホテルや商業施設は売り急ぎをする ことなく、コロナ収束による市況回復を待つ方針。 東京都千代田区 長谷川 拓磨 2000/03 26,886 百万円 (2020/05/31 現在) 2002/11/08 http://www.ichigo.gr.jp 不動産業 当面の物件売却・取得はレジデンスが中心に 売上高 百万円 前期比 営業利益 百万円 前期比 経常利益 百万円 前期比 当期純利益 百万円 前期比 EPS 2020/2 87,360 4.6 27,721 5.5 24,395 5.7 8,201 -46.7 16.89 2021/2 会社予想(中央値) (2020 年 7 月発表) na na 10,150 -63.4 7,700 -68.4 5,750 -29.9 11.93 アナリスト予想 62,400 -28.6 11,550 -58.3 7,900 -67.6 6,500 -20.7 13.49 2022/2 アナリスト予想 69,200 10.9 14,050 21.6 10,100 27.8 9,000 38.5 18.68 ベーシックレポート 2020年9月30日 主要指標 2020/09/28 現在 313 円 年初来高値 479 円 (20/01/20) 年初来安値 206 円 (20/03/23) 発行済株式数 505,371,918 株 100 株 158,181 百万円 7.0 円 予想 EPS (アナリスト) 13.49 円 実績 PBR 1.52 倍 不動産再生流動化の代表的企業 レジデンスの売却は順調に進展 当面ホテルなどの売却は控え、市況回復を待つ方針

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アナリストレポート・プラットフォーム 1

いちご (2337・東証 1部)

㈱ ア イ フ ィ ス ジ ャ パ ン

堀部 吉胤

2000 年設立の不動産再生流動化のパイオニアにして代表的企業。20

億円前後の中規模オフィス、商業ビルのバリューアップを得意としな

がらアセットタイプ・クラスの多様化を推進。20/2 期末の自己勘定に

よる保有不動産残高は 2,444 億円。メガソーラーなどクリーンエネル

ギー事業にも展開。現状、賃料収入

を中心とするストック収益と物件売

却益を中心とするフロー収益の比率

は約半々。いちごオフィスリート、

いちごホテルリート、いちごグリー

ンインフラのシングルスポンサー。

21/2 期会社業績予想はコロナ禍による不動産売買市場の不透明感な

どからレンジでの開示(下表では紙面の都合上、中央値を記載)。期初

想定の最悪シナリオは回避されたため 1Q(3-5 月)決算発表時に下限

値が上方修正された。上限値は据置き。修正後の純利益予想の下限値

は 35 億円(期初 20 億円)、上限値は 80 億円。レジデンスのファンド

へのバルクセールが順調に進展。既に修正後の下限値も目途が付いた

とみられ上限値に向け物件売却の積み上げを図る。コロナ禍を受け

20/2期に販売用不動産評価損など80.6億円の特損を計上した反動から

最終減益幅は抑えられる見込み。累進的配当政策を堅持し 7円配継続。

コロナの影響はアセットタイプ別ではホテルが最も深刻で、次いで

商業施設が厳しい。一方、レジデンスは稼働率、賃料の安定性が高く、

世界的な金融緩和も受け投資家の需要は旺盛。引続き高値での取引が

続いており、当面レジデンスを中心に売却・取得を進めていく方針。

ストック収益で固定費は余裕で賄えるため、2年程度で不動産売買市場

は概ね回復するとの想定のもと、ホテルや商業施設は売り急ぎをする

ことなく、コロナ収束による市況回復を待つ方針。

会 社 概 要

所 在 地 東京都千代田区

代 表 者 長谷川 拓磨

設 立 年 月 2000/03

資 本 金 26,886 百万円

(2020/05/31 現在)

上 場 日 2002/11/08

U R L

http://www.ichigo.gr.jp

業 種 不動産業

当 面 の 物 件 売 却 ・ 取 得 は レ ジ デ ン ス が 中 心 に

業 績 動 向 売上高

百万円

前期比

営業利益

百万円

前期比

経常利益

百万円

前期比

当期純利益

百万円

前期比

EPS

2 0 2 0 / 2 実 績 87,360 4.6 27,721 5.5 24,395 5.7 8,201 -46.7 16.89

2 0 2 1 / 2

会社予想(中央値) (2020 年 7 月発表) na na 10,150 -63.4 7,700 -68.4 5,750 -29.9 11.93

アナリスト予想 62,400 -28.6 11,550 -58.3 7,900 -67.6 6,500 -20.7 13.49

2 0 2 2 / 2 アナリスト予想 69,200 10.9 14,050 21.6 10,100 27.8 9,000 38.5 18.68

ベ ー シ ッ ク レ ポ ー ト

2020年 9月 30日

主要指標 2020/09/28 現在

株 価 313 円

年 初 来 高 値 479 円

(20/01/20)

年 初 来 安 値 206 円

(20/03/23)

発行済株式数 505,371,918 株

売 買 単 位 100 株

時 価 総 額 158,181 百万円

予 想 配 当 ( 会 社 )

7.0 円

予 想 E P S ( ア ナ リ ス ト )

13.49 円

実 績 P B R 1.52 倍

不動産再生流動化の代表的企業

ブタイトル①(ゴシック・12ポイント・中央揃え)

レジデンスの売却は順調に進展

当面ホテルなどの売却は控え、市況回復を待つ方針

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えんけつ

⚫ 会社概要

旧社名アセット・マネジャーズ・ホールディングス。不動産再生流動化のパ

イオニアであり代表的企業。米サブプライムローン問題に端を発する金融危

機を受け、2008年にいちごアセットトラスト(現 いちごトラスト)が第三

者割当増資の引受けなどにより経営参画。2010年 9 月にいちごグループホ

ールディングスに商号変更。2016年 9月に現社名に商号変更。

不動産私募ファンドの運営からスタートしたが、現在の収益の中心は、自

己勘定投資による不動産再生流動化。中小型のオフィスビル、商業ビルのバ

リューアップを得意としながら、レジデンス、ホテル、ロジスティクス、セ

ルフストレージなどアセットタイプの多様化も進めてきた。シングルスポン

サーを務めるいちごオフィスリート投資法人(8975)、いちごホテルリート

投資法人(3463)を軸にノンアセットビジネスを行っている。

不動産事業と類似性の高いメガソーラーなどクリーンエネルギー事業に

も展開。2016年 12月にいちごグリーンインフラ投資法人(9282)を東証イ

ンフラファンド市場に上場させた。

2015年 11月に JASDAQから東証 1部に市場変更。2016年から「JPX日経

インデックス 400」の組み入れ銘柄(累計採用回数 4回)。

⚫ 経営者

2008年 10月以降、代表執行役会長のスコット キャロン氏と代表執行役

社長の岩﨑 謙治氏(2020 年 7月逝去)の 2トップ体制をとっていた。2015

年 5 月に岩﨑謙治氏はスコット キャロン氏と同じく代表執行役会長となり、

執行役副社長だった長谷川 拓磨氏が代表執行役社長に就任した。

スコット キャロン氏は、IBM社員の父親とともに来日し幼少期を日本で

過ごし、永住権も持つ日本通。1986年プリンストン大学卒業。1993年スタ

ンフォード大学大学院政治学博士課程修了後、日本開発銀行(現 日本政策

投資銀行)設備投資研究所に入所し、IPO 制度の金融市場への影響を研究。

その後、バンカース・トラスト日本法人の株式トレーディング部門を経て、

ピーシーエー・アセット・マネジメントの代表取締役、モルガンスタンレー証

券の株式統括本部長などを歴任。2006年にいちごアセットマネジメント(6

頁の注参照)を設立し、現在も同社の代表者を兼任。

故・岩﨑 謙治氏は、(株)フジタで都市開発事業に従事した後、2001年

に当社の前身である(株)ピーアイテクノロジーに入社し、不動産ファンド

事業の立上げや営業全般の統括を行ってきた。クリーンエネルギー事業への

参入も主導するなど当社の成長に貢献した。

長谷川 拓磨氏も(株)フジタ出身。フジタでは開発事業に従事していた。

2002年に当社(当時はアセット・マネジャーズ)に入社した。

会 社 概 要

⚫ 会社概要

会 社 概 要

経 営 者

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⚫ 設立経緯

実質的な創業者である古川令治氏は、旧日本長期信用銀行(以下、長銀)

出身。長銀では海外企業の M&Aやホテル、ゴルフ場の買収など不動産を切り

口にしたマーチャントバンキング業務を手掛けてきた。1998年の長銀破綻

に伴い、1999年に世界中で不動産ソリューション事業を展開する米コーリ

ヤーズグループの日本法人の非常勤取締役に就任。2000年 4月にコーリヤ

ーズグループが日本撤退を決定したことに伴い、古川氏が MBOによりこれを

買取り、アセット・マネジャーズを設立した。現在では、古川氏と当社との

関係はなくなっている。

⚫ 経営理念

~日本を世界一豊かに。その未来へ心を尽くす一期一会の「いちご」~

社名の「いちご」はこの経営理念からわかるように千利休の高弟だった山

上宗二の説いた茶道の心得‘一期一会’に由来。一期一会のもつ「人との出

会いを大切に」という精神を理念とし、各ステークホルダーと強固な信頼関

係を築くことを目指している。2016年 9月 1日に社名をいちごグループホ

ールディングスからいちごに変更したのは、シンプルな社名にすることで、

国内外における「いちご」のブランド訴求力を高める狙いがある。

⚫ 近年のコーポレートアクション

・2017年 4月 24日~28日:4,627千株の自社株買いを実施(自己株式を

除く発行済株式総数の 0.92%に相当)。取得価格総額約 15 億円、平均

取得株価 324円。

・2017年 10月 13日~11月 1日:3,809千株の自社株買いを実施(自己

株式を除く発行済株式総数の 0.76%に相当)。取得価格約 15億円、平

均取得株価 394円。

・2018年 10月 19日~12月 4日:7,869千株の自社株買いを実施(自己

株式を除く発行済株式総数の 1.6%に相当)。取得価格約 30億円、平

均取得株価 381円。

・2019年 7月 12日~11月 1日:7,081千株の自社株買いを実施(自己

株式を除く発行済株式総数の 1.4%に相当)。取得価格約 30億円、平

均取得株価 424円。

設 立 経 緯

会 社 概 要

⚫ 会社概要

経 営 理 念

コーポレートアクション

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⚫ 沿革

2000年 3月 不動産ファンド等の運営を行う(株)ピーアイテクノ

ロジー設立

4月 資産流動化、M&A ビジネス等を行う旧アセット・マネジ

ャーズ(株)設立

2001年 8月 旧アセットマネジャーズ(株)が西武百貨店池袋店流

動化のアレンジメントを実施

9月 (株)ピーアイテクノロジーと旧アセット・マネジャー

ズ(株)が合併。合併会社の商号はアセット・マネジャ

ーズ(株)

2002年 11月 大阪証券取引所ナスダック・ジャパンに上場

2003年 1月 新日本紡績(現 マーチャント・バンカーズ:3121)を

TOB により完全子会社化(10/2 期に資本関係を解消)

2005年 5月 イーアセット投資法人(現 日本リテールファンド投資

法人)を設立し、J-REIT事業に参入(9月に東証上場)

2006年 12月 CITIC International Assets Management Ltdに出資

2007年 11月 イーアセット投資法人の運用会社の全株式を売却し、

J-REIT 事業から撤退

2008年 3月 持株会社体制に移行し、アセット・マネジャーズ・ホー

ルディングスに商号変更

8月 いちごアセットトラスト(現 いちごトラスト)に対し

て第三者割当増資を実施

10月 スコット キャロン氏が会長に、岩﨑氏が社長に就任

2009年 2月 債権者集会における 130億円の CBの条件変更、棚卸資

産の低価法の早期適用により財務基盤を大幅に強化

2010年 2月 CB転換によりいちごアセットトラストが支配株主に

3月 タカラビルメン(株)の全株式を取得し完全子会社化

9月 いちごグループホールディングス(株)に商号変更

2011年 1月 ジャパン・オフィス投資法人(現 いちごオフィス投資

法人)の運用会社を完全子会社化し、REIT 事業に再参

1月 中小規模不動産、底地等を対象とした不動産ソリュー

ションを提供するいちご地所(株)を設立

7月 CITIC International Assets Management Ltd の株式を

一部売却(持分法適用関連会社から外れる)

8月 FCレジデンシャル投資法人の運用会社の全株式を取得

沿 革

会 社 概 要

⚫ 会社概要

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2011年 11月 FC レジデンシャル投資法人といちご不動産投資法人が

合併(運用会社も合併)

2012年 2月 日米ビルサービス(株)及び日米警備保障(株)の全

株式を取得し、完全子会社化

7月 クロスボーダーM&A 支援等の新規事業を行ういちごグ

ローバルキャピタル(株)を設立

11月 いちご ECO エナジ(ー株)を設立すると同時にソーラーウェイ(株)

の全株式を取得し、メガソーラー事業に参入。

2013年 6月 タカラビルメン(株)が、日米ビルサービス(株)及

び日米警備保障(株)を吸収合併

9月 いちご ECO エナジー(株)がソーラーウェイ(株)を

吸収合併

12月 いちごグループとして初となる PO を実施し、164 億円

を調達(いちごリートも同日に POを実施)

2014年 4月 九州での不動産事業において地域密着を目的に 100%

子会社のいちご不動産サービス福岡(株)を設立

2015年 9月 いちご不動産投資法人がオフィス特化型リートに移行

し、商号をいちごオフィスリート投資法人に変更

11月 東証 1部に市場変更

11月 いちごホテルリート投資法人上場

2016年 5月 日本エスコンと業務提携

9月 いちご(株)に商号変更

12月 いちごグリーンインフラ投資法人上場

2017年 3月 不動産オーナーサービス事業を推進するいちごオーナ

ーズ(株)を設立

3月 タカラビルメンの全株式をシナネンホールディングス

に譲渡

7月 (株)セントロを M&Aにより連結子会社化

10月 心築事業の成長に向けいちご土地心築(株)を設立

11月 フィル・カンパニーと資本業務提携

2019年 1月 日本プロサッカーリーグと J リーグトップパートナー

契約を締結

4月 いちごアニメーション(株)を設立

6月 100%子会社博多ホテルズが九州・山口地区の 3ホテル

でホテル運営事業開始

(出所)有価証券報告書、会社リリース

会 社 概 要

⚫ 会社概要

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アナリストレポート・プラットフォーム 6

⚫ 大株主(2020年 2月 29日現在)

(出所)有価証券報告書

(注)上記とは別に自己株式が 23,637,400株ある。

筆頭株主のいちごトラスト PTEは、日本株運用に特化したファンドで、

いちごアセットマネジメント・インターナショナルが運用している。出

資者は大学や財団の基金などで投資期間は原則長期。いちごトラストが

大株主になっている投資先としては、当社、いちごオフィスリート投資

法人(8975)、いちごホテルリート投資法人(3463)、いちごグリーンイ

ンフラ投資法人(9282)のほかに、ニッキ(6042)、千代田インテグレ

(6915)、チヨダ(8185)、長谷工コーポレーション(1808)、日本製紙

(3863)、富士通(6702)、荏原(6361)、双日(2768)、マックハウス(7603)、

鳥羽洋行(7472)、オープンハウス(3288)などがあり、特に今年に入

って経営再建中のジャパンディスプレイ(6740)の増資引受で注目を集

めた(下線を付している各社については筆頭株主)。当社代表執行役会

長のスコット キャロン氏はいちごアセットマネジメント・インターナ

ショナルの代表者を兼任しているが、業務執行は行っていない。

投資先の中で当社は中核的存在であり、保有目的は安定株主として長

期保有とされている。ただし、2015年 11月 30日に 2,300万株(発行

済株式株数の 4.59%)を市場外で売却するなど徐々に売却し、所有比

率は 15/2期末の 64.46%から 2017年 2月には 50%を若干下回り、支配

株主に該当しなくなった。これにより同族企業の留保金課税の対象から

外れた。

株主 所有株式数

(株)

所有比率

(%)

1 いちごトラスト PTE 237,743,200 49.35

2 MACQUARIE BANK LIMITED DBU AC 22,653,000 4.70

3 モルガン・スタンレーMUFG証券 13,909,865 2.89

4 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 13,219,000 2.74

5 ノーザン・トラスト(AVFC)リ・イェール大学 11,265,000 2.34

6 SMBC 日興証券 8,526,200 1.77

7 日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口) 8,459,300 1.76

8 モルガンスタンレー・スミスバーニー クライアンツ FP 8,124,800 1.69

9 BNYM・BNYGCM クライアント M・LSCBRD 7,501,372 1.56

10 JP モルガン・バンク・ルクセンブルグ 1300000 7,009,244 1.46

計 338,410,981 70.25

大 株 主

会 社 概 要

⚫ 会社概要

h-kawaguchi
テキストボックス
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⚫ 株主還元方針

2016 年 4 月に発表された 3 ヶ年の中期経営計画において導入された累進

的配当政策や DOE(株主資本配当率)3%以上の目標は、2019 年 4 月に発表

された長期 VISION「いちご 2030」(20/2期~30/2期までの 11年間)でも継

承された。累進的配当政策は、各期の DPS の下限を前期の DPS とし、原則、

減配しないというもの。不動産会社では当社のほかに日本エスコン(8892)

が 2016年 11月に導入したが、新型コロナ問題を受け内部留保の一層の充実

を図る必要があるとして 2020年 7月に取り下げた。

当社においては 21/2 期の配当予想は期初時点では未定とされたが、これ

は累進的配当政策を撤回したわけではなく、新型コロナの影響の程度が全く

見えない状況だったことや、配当と自社株買いのどちらを投資家がより選好

するか投資家との対話で見定めたいとの考えからのものだった。配当維持を

望む投資家が多かったこともあり、1Q決算発表時に累進的配当政策に則り 7

円配継続とされた。なお、21/2 期の会社業績予想はレンジで開示されてお

り、EPS 予想は 7.26 円~16.60 円(1Q 決算発表時に下限値が上方修正され

ており期初予想は 4.15円~16.60円)。

配当性向ではなく DOE を取り入れているのは、配当性向を基準にすると不

動産売却の多寡などにより DPSがぶれるが、DOEを基準にすると DPSの安定

性が確保されるため。

18/2期~20/2期まで 3期連続で各期約 30億円の自社株買いも実施してい

る(3頁のコーポレートアクション参照)。長期 VISION「いちご 2030」にお

いて、株主還元方針に機動的な自社株買いが新たに明示された。

また、当社は 2019 年度シーズンより J リーグのトップパートナーに就任

したことから、Jリーグの全クラブの全試合を対象とする抽選による試合チ

ケットの優待制度を導入した(新型コロナ感染拡大で現在は休止中で、代わ

りに Jリーグ選手サイン入りグッズプレゼントを抽選式で実施)。

⚫ バンクフォーメーション

コーポレートローンに関する主要取引行は、三井住友銀行、みずほ銀行、

新生銀行、関西みらい銀行、西日本シティ銀行、三井住友信託銀行、など。

会 社 概 要

⚫ 会社概要

株 主 還 元 方 針

バンクフォーメーション

コロナ禍でも累進

的配当政策を堅持

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⚫ 事業の内容

不動産私募ファンドの運用、不動産再生流動化・開発流動化から国内外の

企業投資(事業再生投資やバイアウト投資など)に展開していたが、米サブ

プライムローン問題に端を発する金融危機や、それに対応した資本異動を受

け、本業の不動産業と関連の薄い企業投資からは撤退し、回収を進めてきた。

事業再生案件で現在でも保有を続けているのは、宮崎県の商業施設を保有・

運営する宮交シティと、地方卸売市場(通称 松戸南部市場)を運営するい

ちごマルシェで、両社とも完全子会社。

不動産関連事業では、リーマンショック後は財務面の制約から自己勘定投

資を抑制し、フィービジネスの私募ファンド運用事業に注力していたが、財

務内容の改善、デットの資金調達環境の回復を受け、2013年から自己勘定

投資を本格再開し、現在では、当社で心築事業と称する再生流動化が中核事

業となっている。現在、開発流動化はほぼ行っていない。

いちごオフィスリート、いちごホテルリート、いちごグリーンインフラの

シングルスポンサーとして、物件の売却先、時には仕入れ先としてバリュー

チェーンを構築しており、フィー収入も得ている。私募ファンド事業はフィ

ー料率競争により収益性が低下したため、私募ファンドの新規組成は中断状

態だったが、ノンアセットフィービジネス強化のため物件売却先の私募ファ

ンドから AMを受託するなどして 18/2期から徐々に再開している。

コード 8975 3463 9282銘柄名 いちごオフィスリート いちごホテルリート いちごグリーンインフラ上場日 2005/10/12 2015/11/30 2016/12/1決算月 4月、10月 1月、7月 6月(12月に中間決算)タイプ オフィス特化型 ホテル特化型 インフラファンド物件数(件) 85 23(総客室数3,759) 15(パネル出力29.43MW)資産規模(億円) 2,023 519 114

資産運用会社

(出所)各社資料(注)物件数、資産規模は2020年8月末時点。資産規模は取得価格ベース

スポンサーを務める上場REIT、インフラファンドの概要

いちご投資顧問

⚫ 部門別事業内容

14/2期から開示精度向上のため、それまでの不動産等投資・運用事業、不

動産・施設管理事業の 2セグメントからアセットマネジメント、不動産賃貸、

不動産再生、クリーンエネルギー、その他の 5セグメントに細分化した。

15/2期からは不動産賃貸を不動産再生に併合し 4セグメントとなった。

これは、物件の長期保有を目的とする不動産賃貸は資産回転率が低く ROE

の維持・向上の妨げとなるため、短期回転型の不動産再生にリソースを集中

させたいとの考えによる措置だった。

事 業 概 要

⚫ 会社概要

事 業 の 内 容

部 門 別 事 業 内 容

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16/2期末から「不動産再生」の名称を「心築」に変更。新名称から事業

内容を想像しにくいが、一つ一つの不動産に対して心をこめた丁寧なバリュ

ーアップを施すことで不動産の経済耐用年数の長期化、質の向上を図り、「新

築」と変わらない不動産価値を創造するという意味が込められているようだ。

19/2期から重要性の乏しくなったその他事業を廃止し、3セグメント制と

なった。

➢ アセットマネジメント

ノンアセットのフィービジネス。いちごオフィスリート、いちごホテルリ

ート、いちごグリーンインフラ、私募ファンドの運営に伴うアニュアルフィ

ー、アクイジションフィー、ディスポジションフィー、インセンティブフィ

ーなどの各種フィー収入のほか、いちごグリーンインフラのオペレーター報

酬、仲介手数料、いちごマルシェの PMフィーなどから構成される。アニュ

アルフィーは資産規模の大きいいちごオフィスリートが中心。2017年のタ

カラビルメンの売却により BMフィーはなくなった。

➢ 心築(旧称:不動産再生)

遵法性の瑕疵、老朽化、低稼働などにより資産価値が劣化し低収益になっ

ている収益不動産(オフィス、商業施設、レジデンス、ホテルなど)を取得

し、バリューアップ工事を施すことなどにより、資産価値を回復、向上させ

た後、売却する当社のコアコンピタンスといえる事業。いちごオフィスリー

ト、いちごホテルリートに対するウエアハウジング機能も担っている。

保有期間中の賃料収入、売却時のキャピタルゲインが収益の中心で、スト

ック収益とフロー収益の二重構造となっている。ファンドへのエクイティ出

資からの分配金(インカム配当及び売却配当)は現状、僅少になっている。

20/2期末時点の保有資産は 177物件、簿価ベースで 2,444億円(取得価

格ベースで 2,423億円)。想定 NOI利回り(簿価ベース)は 6.2%(前期末

から変わらず)。

首都圏や主要都市の駅前商業ビル、中規模オフィスのバリューアップを得

意としているが、レジデンス、ホテル、複合施設、底地、物流施設、セルフ

ストレージなどへアセットタイプの多様化を推進してきた。

アセットクラスでは 10~50億円未満の中規模が 20/2期末で 46%を占め

る。2016年 10月に「トレードピアお台場」(旧日商岩井本社ビル)を 300

億円近くで取得した一方、いちごオーナーズの顧客向けに 10億円以下のレ

ジデンスを扱うなど大型、小規模へアセットクラスも多様化させている。な

お、いちごオーナーズは主に個人富裕層向けに不動産オーナーサービス事業

を展開するため 2017年 3月に設立された 100%子会社。

事 業 概 要

⚫ 会社概要

心築

アセットマネジメン

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2641 34 28 27 26

8

16 2527 25 23

29

20 1918 22 29

19

12 12 17 131611

6 5 5 9

0%

20%

40%

60%

80%

100%

15/2 16/2 17/2 18/2 19/2 20/2

保有資産のアセットタイプ別ポートフォリオの推移

オフィス ホテル 商業施設 レジデンス複合施設 ロジスティクス 底地 その他

(出所)会社資料

(注)取得価格ベース

➢ クリーンエネルギー

2012年 7月導入の再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)を受けて

開始したメガソーラー事業が主軸。子会社のいちご ECOエナジーで展開。

2016年 12月に東証インフラファンド市場にいちごグリーンインフラ投資法

人を上場させ、1年程度のトラックレコードがあるメガソーラー13発電所

(パネル出力 25.8MW)を拠出した(1MW=1,000KW)。その後、2発電所(3.59MW)

を追加拠出。

20/2期末時点で当社保有のメガソーラーは 31発電所(109.8MW)が売電

開始済み。開発確定分を合わせると 48発電所、151.0MWとなる。買取価格

別内訳は MWベースで、40 円(税抜)19%、36円(税抜)44%、32円(税

抜)10%、24円(税抜)8%、21円(税抜)7%、18 円(税抜)10%、14

円 2%となっている。

1MW前後~3MWの中規模発電所が中心の中、群馬県昭和村の発電所が

43.34MWと関東圏最大級で突出して大きく、買取価格も 36円(税抜)と高

い。EPC(設計・調達・施工を行う業者)は日立製作所で 2017年 9月に売電を

開始。

20年間の固定価格での買取りにより安定した売電収入が得られる安定事

業であるが、いちごグリーンインフラ等に売却した場合は、一気に売却益が

出る。なお、いちごグリーンインフラの運用ガイドラインでは、投資対象は、

1MW以上で 1年以上の売電実績を積んだものとなっている。いちごグリーン

インフラに売却後も、期中運用フィー、オペレーター報酬(運用資産残高の

0.4%(年率))が得られるが、これらはアセットマネジメント事業に計上さ

れている。

事 業 概 要

⚫ 会社概要

クリーンエネルギー

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アナリストレポート・プラットフォーム 11

メガソーラーは買取価格低下や系統連系問題からこれ以上開発を拡大す

ることが困難になっている。このため風力発電への展開を図っており、現在

のパイプラインは 4案件(想定発電規模 25.9MW)ですべて発電が可能の見

込み。売電開始第 1号は山形県米沢の案件(7.39MW)で 2020年 12月の売電

開始を予定。これらも将来、いちごグリーンインフラへの拠出対象となる。

このほか、小規模バイオマス発電への展開も模索しており、複数のパイプ

ラインがあるという。

➢ その他(19/2期から廃止)

過去の海外投資事業に関連する営業投資有価証券の売却、配当、その他金

融関連収入などを 18/2期までその他事業として計上していたが、18/2期で

海外投資事業の整理が終了し、継続している事業の金額的、質的重要性が僅

少となったため 19/2期から当該セグメントを廃止した。残ったわずかな事

業はアセットマネジメントと心築に振り分けられた。

⚫ 売上総利益の構成比(20/2期)

物件の売却価格が売上計上される事業やフィービジネスが混在している

ため、業績の動向を捉えるには売上高よりも売上総利益が適している。

アセットマネジメント9%

心築85%

クリーンエネルギー6%

(出所)会社資料

売 上 総 利 益 構 成

事 業 概 要

⚫ 会社概要

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⚫ 収益構造

アセットマネジメント事業のフィー収入は、運用資産残高に対する安定的

なベース運用フィー、物件取得時のアクイジションフィー、物件売却時のデ

ィスポジションフィー、運用成果から得られるインセンティブフィー、仲介

手数料などで構成される。

自己勘定投資(セグメントは心築、クリーンエネルギー)に関しては、賃

料収入、売却に伴うキャピタルゲイン、ファンド出資持分からのインカム配

当・売却配当(現在は僅少)、売電収入が収入となる。

賃料収入、AMフィー、売電収入などのストック収益(粗利+減価償却費)

が 20/2期で 184.5億円(うち減価償却費 25.0億円)あり、固定費(固定販

管費+支払利息)78.7億円に対するカバー率は 234%。キャピタルゲインに

依存しなくても黒字を確保できる安定した収益構造を確立している。20/2

期のストック収益とフロー収益(心築やクリーンエネルギーの物件売却益が

中心)の比率はほぼ半々。

心築(不動産再生)は基本的に回転を重視とし、仕入れから売却まで概ね

2~4年であり(近年の取得競争激化を受け、バリューアップに時間をより

要する難易度の高い物件の仕入れを増やしていることから EXITまでの期間

はやや長期化傾向にあった)、大半を販売用不動産としていた。しかし、キ

ャッシュフロー重視の経営方針のもと、減価償却の税効果によりキャッシュ

を創出し成長投資に活用することを狙って 19/2期末に 229億円を販売用不

動産から固定資産に振替えた。振替対象となったのは、ライフスタイルホテ

ル「THE KNOT TOKYO Shinjuku」のように稀少性の高い物件だった。さらに

新型コロナ感染拡大をきっかけに大規模な見直しを行い、20/2期末に 1,049

億円の販売用不動産を固定資産に振替えた。当社保有資産の中では最大の

「トレードピアお台場」も固定資産に振替えられた。振替の理由は、19/2

期末と同様に減価償却の税効果によりキャッシュを創出するため。従って、

将来、コロナが終息した場合でも、固定資産から販売用不動産に大幅に戻す

ようなことはないという。

振替の結果、20/2期末時点で心築資産 2,444億円(簿価)の 68%に相当

する 1,671億円が固定資産となった。短期回転型のいちごオーナーズ向け約

360億円などを除いたベースの固定資産比率は 84.4%。販売用不動産として

残した主なものは、中短期で売却を検討している 309 億円(オフィス、商業

ビル、ロジスティクスなど 11物件)、もともと半年~1年程度の短期回転型

のいちごオーナーズ向け資産約 360億円などとなった。

収 益 構 造

事 業 概 要

⚫ 会社概要

20/2 期末までに

心築資産の大半を

固定資産に振替

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⚫ ビジネスモデル

当社が得意とする中小型ビルのバリューアップ(セグメントは心築)によ

る収益獲得のイメージは以下の通り。

NOI利回り 5.5%の収益不動産を 20億円で取得した場合を想定

前提として、①借入条件:LTV75%(借入 15 億円、自己資金 5 億円)、調

達金利 1.5%、②保有期間:3 年、③バリューアップ:自己資金で 0.5 億円

を追加投資し、NOIは 15%改善、バリューアップにかかる期間 1年、④売却

時のマーケットのキャップレートは取得時から変化なし、とする。

【取得時の年間収益】

NOI 1.1億円(20億円×5.5%)-支払利息 0.225 億円(15億円×1.5%)

=0.875億円

この場合、投資利回りは 17.5%(0.875億円÷5 億円×100)となる。

【バリューアップ後の年間収益】

NOI 1.265億円(1.1億円×1.15)-支払利息 0.225 億円=1.04億円

この場合、投資利回りは 18.9%(1.04億円÷(5億円+0.5億円)×100)。

【売却時のキャピタルゲイン】

売却価格 23億円(20億円×1.15又は 1.265億円÷5.5%)-(20億円+

0.5億円)=2.5億円

仮にキャップレートが 50bp 低下するとキャピタルゲインは、売却価格

25.3億円(1.265億円÷5%)-(20億円+0.5億円)=4.8億円となる。

逆にキャップレートが 50bp 上昇してもキャピタルゲインは、売却価格

21.083 億円(1.265 億円÷6%)-(20 億円+0.5 億円)=0.583 億円を確

保できる。

【トータル収益】

インカムゲイン 2.955 億円(0.875 億円×1年+1.04 億円×2年)+キャ

ピタルゲイン 2.5億円=5.455億円

従って投資額5.5億円に対するエクイティ・マルティプルは約2倍となる。

当社のバリューアップの手法は、①物件や立地の特性に適したテナントへ

の入替による賃料引上げ、②貸付可能面積の拡張(内階段を外階段にするな

ど)、③建物美観、水回りなどの快適性の向上、④遵法性に瑕疵があること

の多い中小型物件の遵法性治癒、⑤耐震強化、⑥これらに伴いファイナンス

が付きやすくなることや信託受益権化が可能になることによる流動性向上

(売却価格の上昇につながる)、など。大手ゼネコン出身の 1 級建築士が数

名いることもあり、バリューアップのノウハウ蓄積の点で優位性がある。

ビ ジ ネ ス モ デ ル

事 業 概 要

⚫ 会社概要

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アナリストレポート・プラットフォーム 14

20/2 期末の自己資本は 1,004 億円、総資産は 3,337 億円であり、自己資

本比率は 30.1%(前期末比 0.8pt減)。当社にリスクが帰属しない連結ファ

ンドに係る資産、負債を控除するなどしたリスクベースの総資産は 2,546

億円となり、これをもとに計算したリスクベース自己資本比率は 39.4%(同

5.3pt 減)。2013 年からの自己勘定での積極的な物件取得などにより、リス

クベース自己資本比率は低下傾向にあったが、回収本格化などにより 16/2

期で底打ちしている(下図参照)。

鑑定評価をもとにした保有不動産の含み益が 20/2 期末で 562 億円(前期

末比 53 億円増)あり、この含み益を税引後で自己資本に加味したネットリ

スクベース自己資本比率は 44.9%と高水準。当社の含み益はキャップレー

トの低下だけでなく、バリューアップによりもたらされている面が大きいた

め、売却の進展によっても含み益率(含み益÷簿価)は安定的に推移してき

た(次頁上図参照)。

20/2期末時点のデットの借入期間は加重平均で 10.0 年。通常の心築物件

の借入期間は 7~8 年と通常のバリューアップ期間よりも長めに余裕をもっ

て調達している。いちごオーナーズの顧客向けの物件は回転期間が半年~1

年と短期のため 1 年で調達している。メガソーラーの借入期間は 20 年の買

取期間に合わせ 15~20 年。全体のデュレーションは 2020 年 5 月末で 7.6

年、3年以内に返済期日を迎える借入は 15.8%に過ぎず、リーマンショック

時のようなリファイナンスリスクはほとんどない。金融機関とも引続き良好

な関係を維持しており、借入条件の悪化は特にみられないという。

0

10

20

30

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0200400600800

1,0001,2001,4001,6001,8002,0002,2002,400

09/2 10/2 11/2 12/2 13/2 14/2 15/2 16/2 17/2 18/2 19/2 20/2

リスクベース

負債(左軸)

自己資本

(左軸)

リスクベース

自己資本比

率(右軸)

自己資本比

率(右軸)

リスクベース自己資本比率の推移(億円) (%)

(出所)会社資料をもとに作成

(注)リスクベース負債は当社にリスクが帰属しない連結ファンドに係る

負債を控除したもの

財 務 分 析

⚫ 会社概要

20/2期末のネット

リスクベース自己

資本比率は 45%

と財務内容は堅固

コロナ禍でもリーマ

ンショック時のよう

なリファイナンス懸

念はない

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14/2 14/5 14/8 14/11 15/2 15/5 15/8 15/11 16/2 16/5 16/8 16/11 17/2 17/5 17/8 17/11 18/2 18/5 18/8 18/11 19/2 19/5 19/8 19/11 20/2 20/5

保有資産残高(不動産投資)の四半期推移

含み益(左軸) 簿価(左軸) 含み益率(右軸)

(出所)会社資料をもとにIFIS作成(注)含み益率(%)=含み益/簿価×100

19/8以降は短期回転型のいちごオーナーズ向けなどを除いている(除いた額は20/5で365億円(簿価)

(億円) (%)

4

6

8

10

12

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

14/2 14/5 14/8 14/11 15/2 15/5 15/8 15/11 16/2 16/5 16/8 16/11 17/2 17/5 17/8 17/11 18/2 18/5 18/8 18/11 19/2 19/5 19/8 19/11 20/2 20/5

コーポレート借入金の金利、借入期間の四半期推移

加重平均金利(左軸) 加重平均借入期間(右軸)

(%) (年)

(出所)会社資料

財 務 分 析

⚫ 会社概要

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アナリストレポート・プラットフォーム 16

財閥系総合不動産会社など賃貸事業を主力とする不動産会社は総じて

ROEが低い。これは装置産業のため総資産回転率が低いことや、賃貸事業の

ビジネスリスクが低いこととトレードオフの関係にあるため、と考えられる。

そうした中、当社は近年、急激に ROEを高めてきた。これは、高いプロフ

ィットマージンからもたらされてきた。資産回転率は積極的な資産取得を行

ってきたため必ずしも高くなかったが、17/2 期は系列 2REIT の PO、いちご

グリーンインフラの IPO に伴い大規模な物件拠出があったため大幅に向上

した。18/2 期は非常に好採算の大型物件の売却があり、物件売却を抑制し

たため再び低下した。物件取得競争の激化を受け、バリューアップに時間を

要する難度の高い物件取得が増加し、総資産回転率に低下圧力がかかってい

るが、短期回転型のいちごオーナーズ向け物件の取得・売却の拡大により、

相殺しようとしている。

プロフィットマージンの高さは、09/2 期に棚卸資産にかかる低価法を早

期適用し 481億円の純損失となり、税務上の繰越欠損金により税負担が軽微

で推移してきたことが一因になっていたが、利益の急拡大が続いたため繰越

欠損金を 17/2 期上期で使い切り、税負担率は 17/2 期に 26.4%(前期比

19.5pt増)と正常化に近付き、18/2期から 30%に正常化した。

税負担率上昇によるプロフィットマージンの低下圧力に対し、16/2 期ま

で物件取得先行だった心築事業が 17/2 期から本格回収期に入ったことや、

不動産売買市場の活況を受け、売却粗利益率が非常に好調なことなどで跳ね

返している。結果、良好なデットの調達環境でも財務レバレッジを高めるこ

となく、ROE15%以上を 16/2期から 19/2期まで継続してきた。

20/2 期は新型コロナ感染拡大を受けホテルや商業施設などで販売用不動

産評価損 74.8 億円をはじめ特損 80.6億円を計上したため、ROE は 8.2%に

急低下した。21/2期もコロナ禍を受けた物件売却益の減少などでさらに ROE

は低下見込み(IFIS予想は 6.3%)。

現状、ホテルや商業施設などは売却そのものが困難であり、また、これま

でのように鑑定評価上の含み益を大幅に上回る実現益をあげることは当面、

難しくなるとみられる。

コロナが収束し不動産売買市場が概ね正常化するには 2 年程度を要する

と当社ではみている。資金繰りに問題はないため安値で売り急ぐことはしな

い方針。コロナ収束まで、本格的な業績回復、高い ROE はお預けとなろう。

なお、心築資産の大半を固定資産に振替えたため、これらを売却した際には

売却額が売上高に反映されず、総資産回転率の低下要因となるが、プロフィ

ットマージンが上昇する。当然、ROEには中立。

バリューアップに時

間がかかる案件が

増加も短期回転型

のいちごオーナーズ

向けの拡大で資産

回転率を維持

財 務 分 析

⚫ 会社概要

ROE15%以上を掲

げるが、コロナの収

束までは、我慢の

時となろう

ナ禍でもリーマンシ

ョック時のようなリ

ファイナンスリスク

はない

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アナリストレポート・プラットフォーム 17

ROEの推移単位 10/2 11/2 12/2 13/2 14/2 15/2 16/2 17/2 18/2 19/2 20/2

ROE(期中平均自己資本ベース) % 12.4 2.7 6.9 6.0 11.8 13.0 21.0 20.2 16.5 16.3 8.2ROE(期末自己資本ベース) % ①×②×③ 8.8 2.4 6.8 5.8 9.3 12.1 19.2 18.5 15.7 15.6 8.2

総資産回転率 回 ① 0.21 0.13 0.23 0.20 0.31 0.25 0.20 0.40 0.20 0.26 0.26プロフィットマージン % ② 8.6 4.9 9.3 10.0 12.9 15.8 26.0 13.6 24.2 18.4 9.4財務レバレッジ 倍 ③ 4.9 3.9 3.2 2.8 2.4 3.1 3.7 3.4 3.3 3.2 3.3

(出所)決算短信をもとに作成(注) ①=売上高÷総資産、②=当期純利益÷売上高×100、③総資産÷自己資本(総資産はリスクベースではなく会計上の数値)

財 務 分 析

⚫ 会社概要

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アナリストレポート・プラットフォーム 18

⚫ 20/2期業績解説

20/2期業績を振り返っておくと、売上高 873億円(前期比 4.6%増)、営

業利益 277億円(同 5.5%増)、経常利益 243億円(同 5.7%増)、純利益 82.0

億円(同 46.7%減)。IT・人材投資、広告宣伝費といった先行投資負担や、

19/2期末に販売用不動産から固定資産へ 229億円振替えたことによる減価

償却費増により、もともと期初会社予想では最終 2.4%減益と業績は踊り場

になる見込みだった。

期初時点では不動産売買市場に陰りが出てくるとの想定だったが、2019

年 3月に米 FRBが 2019年内の利上げを見送る方針を示したことなどから米

長期金利が低下傾向となるなどし、不動産売買市場は再点火した格好となり、

物件売却価格は強含みで推移。売上高ベースで 606 億円を売却し(レジデン

ス 264億円、ホテル 180億円など)、売却粗利は 171 億円。売却粗利益率は

28.3%(19/2期は 25.5%)と高水準だった。売却粗利は売却物件の鑑定評

価ベースの含み益 61億円の 2.8倍と引続き含み益を大幅に上回る実現益と

なった(過去 5期累計では 2.5倍)。

期初の想定通り、系列 REITの POはなかったが、いちごオフィスリートに

博多のオフィス、いちごホテルリートには熊本のホテルをそれぞれ 1物件売

却した。

心築資産の減価償却費は 13.9億円と固定資産への振替により前の期から

8.0億円増加したが、これを吸収し、営業利益、経常利益は期初会社予想を

それぞれ 12.2億円、15.9 億円上回って着地。営業利益、経常利益は過去最

高益を更新した。

しかし、期末に新型コロナウィルス問題が顕在化し、4月の本決算発表時

までに感染拡大が本格化したことを受け、将来リスク軽減のため、期末に販

売用不動産評価損 74.8億円や減損損失 3.1億円など 80.6億円の特損を計上。

このため純利益は期初会社予想を 67.9億円下回り、前期比大幅減益となっ

た。

販売用不動産評価損の対象になったのは、コロナの感染拡大の影響が直撃

したホテルと商業施設を中心に 25物件で、対象簿価は約 440億円。エリア

では大阪、京都、福岡が多いという。一昨年、昨年と不動産売買市場が過熱

する中で比較的高く取得し、含み益率が 5~6%程度と小さい物件が対象と

なった。

最終大幅減益となったが、累進的配当政策にもとづき年間配当金(期末の

み)は期初予想通り 7円(19/2期も 7円)が維持された。

業 績

⚫ 会社概要

20/2 期の不動産

売買市場は期初想

定よりも強かった

新型コロナ問題を

受け期末に棚卸資

産評価損 74.8 億

円などを特損計上

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アナリストレポート・プラットフォーム 19

物件取得は 58物件、簿価ベースで 630億円(前期比 122億円増)と取得

競争激化により低調だった 18/2期、19/2期からは増加した。アセットタイ

プ別では、レジデンスが 313億円、ホテルが 124億円など。期中の物件取得

競争は引続き厳しく、短期回転型のいちごオーナーズ向けが 285億円(大半

がレジデンス)と全体の 45%を占めた。コロナ問題以前から、金融機関の

不動産融資姿勢の二極化が強まり、小規模ディベロッパーからの取得は比較

的しやすくなっていた。

⚫ 21/2期 1Q(3-5月)業績解説

21/2期 1Q業績は、売上高 227億円(前年同期比 13.5%減)、営業利益 36.5

億円(同 57.2%減)、経常利益 33.0億円(同 56.6%減)、純利益 21.6億円

(同 54.6%減)。

大幅減益だが、20/2期は不動産売買市場の悪化の可能性を踏まえ物件売

却を前倒しで行い売却が 1Q偏重だった反動という面がある。

物件売却は計画に対しては順調に進捗したことから、純利益は期初の会社

予想 20~80億円(レンジでの開示)の下限値を既にクリアした。

今 1Qの物件売却は 16 物件、167億円、売却粗利は 22.0億円(前年同期

比 61.2%減)。売却粗利益率は 13.1%と前期通期の 28.3%からは大幅低下

だが、売却のほとんど全て(99%)が短期回転型のいちごオーナーズの物件

売却だったことによる。前年同期には、いちごオーナーズの売却はほとんど

なかった。いちごオーナーズは個人富裕層に人気の都心築浅レジデンスが中

心だが、この 1Qではレジデンス 134億円のほかに、オフィス 7.0億円、商

業ビル 25.4億円を売却した。オフィスや商業ビルは、コロナ前に決まって

いた案件のようだ。いちごオーナーズの売却物件の簿価ベースの売却利益率

は 15%と目途とする 10%に対しては引続き良好だった。

基本的にいちごオーナーズは個人富裕層を対象とするが、1Qの売却のう

ち、レジデンス 11物件、約 133億円は、当社と継続的な取引がある海外投

資家が出資する国内ファンドへのバルクセールだった。なお、近年、売却先

のファンドから AMを受託する取組みを行っているが、本件は AMを受託して

いない。個人富裕層はスルガ銀行の不正融資問題やコロナ禍などで様子見に

なっている面があるのに対し、賃料、稼働率の安定性の高いレジデンスに対

するファンドなどの取得意欲は引続き強い。

当社が重視しているストック収益(減価償却費を含む)の固定費カバー率

は 207%。充分に安定的な水準だが、新型コロナによるホテルや商業施設の

賃貸収益悪化などにより 20/2期通期の 234%からは低下した。

業 績

⚫ 会社概要

レジデンスのバルク

セールで期初会社

予想の純利益の下

限値を 1Qでクリア

短期回転型のレジ

デンスを積極的に

取得

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アナリストレポート・プラットフォーム 20

セグメント別の業績は、主力の心築事業が売上高 209億円(前年同期比

15.0%減)、営業利益 27.4 億円(同 64.0%減)。売却粗利については先述の

通り。本来安定的な賃貸の粗利益は 18.5億円(同 39.6%減)と大幅減。前

期末に販売用不動産から固定資産に大規模な振替えを行ったことによる減

価償却費の増加が 3.4億円あるが、これを考慮しても 28.5%減。コロナに

よるホテルの賃料減が減少の主因。子会社の博多ホテルズが 1Q時点で 8ホ

テルのオペレーションを行っており、これらはコロナの影響が直撃した。こ

れら以外は外部オペレーションで、固定賃料と歩合賃料が概ね半々となって

おり、歩合賃料部分が消失した。固定賃料部分についてもオペレーターから

減賃要請が来ているようであり、協議を進めている。商業施設は支払猶予が

あったものの、賃料減免などはほとんどなく、ホテルに比べれば損益上の影

響は限定的だった。オフィス、レジデンス、ロジスティクスは安定的だった。

アセットマネジメント事業は、売上高 5.0 億円(前年同期比 20.0%減)、

営業利益 3.3億円(同 35.7%減)。本来安定的なベース運用フィーが 4.1億

円(同 1.0億円減)と大幅減になったことが大幅減収減益の主因。これは、

いちごホテルリートで今年 2月から運用報酬体系を変更し完全成果報酬制

度に移行したことによるもの。この減少は期初の想定の範囲内だった。

クリーンエネルギー事業は、売上高 12.8億円(前年同期比 26.3%増)、

営業利益 5.9億円(同 57.4%増)。前期 2Q以降に発電を開始した 7発電所

(28.42MW)が寄与した。

1Qの物件取得は 13物件、103億円(簿価)だった。うち、いちごオーナ

ーズの取得が 32.5億円と全体の 31%を占めた。さらに都内のレジデンス約

150億円の取得が高確度としている。

レジデンス以外では、ホテル 2物件、47.6億円、商業ビル 1物件、8.6

億円などを取得した。ホテルのうち 1件(30億円超)は、札幌のライフス

タイルホテル「THE KNOT」。土地を借りて当社でホテルを建設するスキーム

で建物が竣工したことによるもの。もう 1件のホテル(10億円未満)は千

代田区神田の築 11年のホテルでコロナ前から取得が決まっていた。

物流施設、レジデンスを除くと不動産売買市場は停滞しており、当面は売

却・取得ともレジデンスが中心となろう。

ホテルの事業環境は非常に厳しく、キャップレートも上昇に転じているが、

オーナーに対する金融機関の融資支援が手厚く、投げ売りが出てきているよ

うな状況にはなっていない。

業 績

⚫ 会社概要

コロナ禍を受けホテ

ルの賃貸収益が急

激に悪化

引続きレジデンスを

最優先に物件を取

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アナリストレポート・プラットフォーム 21

四半期業績の推移 (単位)百万円

21/2

1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q売上高 16,108 9,975 32,198 25,258 26,290 19,895 31,968 9,207 22,730

アセットマネジメント 550 653 570 667 626 537 945 939 501心築 14,546 8,207 30,755 23,942 24,643 18,275 30,076 7,521 20,940クリーンエネルギー 1,012 1,115 872 649 1,020 1,082 945 748 1,288

売上原価 8,653 4,975 19,702 18,081 15,994 11,566 20,262 5,028 17,440売上総利益 7,454 4,999 12,495 7,176 10,295 8,329 11,705 4,179 5,289販管費 1,461 1,410 1,524 1,451 1,758 1,747 1,792 1,489 1,638営業利益 5,992 3,589 10,971 5,726 8,537 6,581 9,913 2,689 3,650

アセットマネジメント 454 558 558 624 519 388 788 830 334ストック 398 460 432 553 411 351 451 490 301フロー 56 97 126 72 108 36 336 341 32

心築 5,105 2,515 10,141 4,908 7,644 5,727 8,859 1,739 2,748ストック 2,310 2,001 2,924 2,838 2,512 2,520 2,457 1,959 1,206フロー 2,794 514 7,217 2,070 5,132 3,207 6,401 ▲ 220 1,541

クリーンエネルギー 421 547 284 111 377 456 297 141 594ストック 421 547 284 111 377 456 297 141 594フロー 0 0 0 0 0 0 0 0 0

調整額 11 ▲ 32 ▲ 12 82 ▲ 5 9 ▲ 32 ▲ 21 ▲ 26営業外収益 57 138 64 ▲ 4 53 7 300 ▲ 12 314営業外費用 833 651 1,066 909 982 1,007 738 947 660経常利益 5,217 3,076 9,970 4,812 7,607 5,582 9,475 1,730 3,303特別利益 2 0 0 0 215 0 0 0 0特別損失 0 0 0 0 27 0 0 8,038 115税金等調整前純利益 5,220 3,076 9,970 4,813 7,796 5,581 9,475 ▲ 6,308 3,188法人税等 1,651 989 3,059 1,633 2,094 1,737 2,943 631 1,023非支配株主に帰属する純利益 21 24 336 ▲ 10 932 0 2 2 1純利益 3,547 2,061 6,574 3,190 4,768 3,843 6,528 ▲ 6,940 2,164(出所)決算短信をもとにIFIS作成

20/219/2

3.0

3.5

4.0

4.5

5.0

5.5

6.0

6.5

7.0

7.5

アセットタイプ別キャップレートの推移

Aクラスオフィス(丸の内・大手町) ワンルームマンション(城南) 都市型高級商業店舗(銀座)郊外型SC(東京) マルチテナント型物流施設(江東) 宿泊特化型ホテル(東京)宿泊特化型ホテル(大阪) 宿泊特化型ホテル(福岡)

(出所)一般財団法人日本不動産研究所「不動産投資家調査」

(注)期待利回りベース

(%)

業 績

⚫ 会社概要

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アナリストレポート・プラットフォーム 22

⚫ 21/2期業績予想

21/2 期会社業績予想は、コロナの影響が不透明であることから、期初か

らレンジでの開示となっている。1Q 決算発表時にレンジの下限値のみ上方

修正された。コロナの影響が明らかになってきた中、フロー収益、ストック

収益とも最悪のシナリオは回避できそうになったことによる。

修正後の会社予想は、営業利益 74~129 億円(前期比 73.3%減~53.5%

減)、経常利益 50~104億円(同 79.5%減~57.4%減)、純利益 35~80億円

(同 57.3%減~2.5%減)。期初予想からの下限値の増額幅は、営業利益 12

億円、経常利益 16億円、純利益 15億円。

修正後でもレンジの幅は大きい。フロー収益(粗利+固定資産売却益)で

約 69 億円、ストック収益(粗利)で約 4 億円のレンジをみている。今期業

績は不動産売買市場の回復のタイミング、その程度次第といえよう。

以上のような会社業績予想となっているが、心築資産の大半を固定資産に

振替えたため、固定資産のまま売却すると特別損益での計上となり、経常利

益までには反映しないため、今後は純利益の動向を第一にみていく必要があ

る。もともと当社は純利益(EPS)重視であり、そのこともあり売上高の予

想を 19/2期予想から非開示としている。

8月 14日にいちごオーナーズで保有している東京 23区に所在するレジデ

ンス 18 物件を約 172 億円で海外機関投資家が出資する国内のファンドにバ

ルクセールすると発表。物件引渡は 10月 30日の予定であり、3Q(9-11月)

での計上となる。海外機関投資家は 1Qに行った 11物件のバルクセール先と

同一のもよう。

このバルクセールの売却粗利益率を控えめにみて 10%とすると売却粗利

は 17.2 億円。1Q の売却粗利 22.0 億円と合わせると 39.2 億円となる。1Q

決算発表時の上方修正後の今期のフロー収益(主に心築事業における不動産

売却益)の下限予想は 38.6 億円であり、売却が判明している案件で既にこ

の下限予想はクリアしたと推測される。フロー収益の上限予想は 107.7億円

(固定資産売却益を含む)。固定資産を含めて売却案件を積み上げ、どこま

で上限予想に近付けられるかが今期業績の鍵となる。

ただし、いちごオーナーズ向けの物件は、1Q 末で約 260 億円(一部オフ

ィスを含む)であり、上記のバルクセール 172億円の簿価が 150億円前後と

すると残りは 100億円程度であり、今期中に売却可能なレジデンスはかなり

少なくなった筈である(2Q に仕入れたレジデンスを今期中に売却できる可

能性はあるだろう)。

1Q 決算発表時に

レンジ業績予想の

下限値が上方修正

された

業 績

⚫ 会社概要

8 月にも海外投資

家向けにレジデン

スのバルクセール

が決定

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アナリストレポート・プラットフォーム 23

ホテルについては売買市場がフリーズしており、当社でも売却は想定して

いない。2 年ほどでコロナは収束に向かうとの見立てを当社ではしており、

売り急ぎ、安売りはしない方針。

オフィスの売買市場は足元でも停滞したままだが、期末までには多少動き

が出てくるとみて、固定資産からの売却による売却益を 15億円と予想した。

販売用不動産でもレジデンスその他で、ある程度の積み上げを見込んで予想

を行った(25頁参照)。物流施設はそもそも保有が少なく、バリューアップ

も完了していないようで、当面売却はないとみる。

賃貸損益に関しては、ホテルの事業環境は、4~5月の最悪期は脱し、Go To

トラベルの寄与も期待できるとはいえホテルの歩合賃料の発生にはほど遠

く、固定賃料も一定の減免を余儀なくされるとみる。1Q に続き賃貸損益は

厳しい状況が続こう。

以上を踏まえ、IFIS の純利益予想は 65 億円とした。会社上限予想の 80

億円には届かないが、レンジ予想の中央値 57.5億円は上回る予想となる。

0

50

100

150

200

250

300

350

0

50

100

150

200

250

300

350

15/2 16/2 17/2 18/2 19/2 20/2 21/2上限CE

21/2下限CE

ストック収益、フロー収益の推移

ストック収益(左軸) フロー収益(左軸) 固定費カバー率(右軸)(億円)(%)

(出所)会社資料

(注)ストック収益(減価償却費を含む)、フロー収益(21/2期上限予想には固定資産売却益を含む)

固定費カバー率=ストック収益/(固定販管費+支払利息)×100

CEは会社予想

業 績

⚫ 会社概要

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アナリストレポート・プラットフォーム 24

⚫ 22/2期業績予想

22/2 期業績も今後のコロナの感染拡大状況、不動産売買市場の回復状況

次第の面が強いが、不動産売買市場はオフィスや駅前商業ビルなどが徐々に

回復に向かうと想定した。レジデンスの売却環境は引続き好調に推移すると

みられ、どれだけ仕入れが進むかが鍵となろう。

オフィス、商業ビルなど固定資産からの売却が増えると考え、特別利益を

35億円見込んだ。

懸案のホテルの賃貸損益に関しては、変動賃料の発生は難しいだろうが、

固定賃料部分は減免の反動で回復が期待できよう。博多ホテルズによる自社

オペレーションは足元で 10 ホテルまで増えているようで、これらは稼働状

況がダイレクトに効いてくるため損益の改善が見込めよう。

クリーンエネルギー事業では、2020年 12月稼働予定の風力発電の第 1号

案件(米沢市、7.4MW)が本格的に収益寄与してくる。メガソーラーについ

ては期末の新規稼働が多いが、通期稼働効果で順調に拡大しよう。

以上のことから 22/2期業績は本格回復とまではいかないが、21/2期から

は大幅に改善するとみる。

コロナ禍においては、物流施設とレジデンスが勝ち組、ホテル、商業施設

が負け組となっているが、オフィスの評価は分かれるところ。メディアでは

オフィス賃貸に対する悲観的な報道が目立つが、足元までのところでは当社

に限らず不動産各社とも余りコロナの影響は出ていない。

中長期的にはテレワークの拡大・定着や景気悪化によるオフィス需要の減

退が懸念される一方、ソーシャルディスタンスの必要性から一人当たり床面

積の増加が期待される。また、大企業によるサテライトオフィス設置の動き

や、景気悪化でダウングレードのテナント移転が増えれば、築古・中規模オ

フィスを主力とする当社にはプラスに働く面もあろう。当社のオフィス賃料

水準はマーケット賃料に比べかなり割安となっており、競争力は相応にある

とみられる。

コロナ対策として、非接触型エントランスや換気対策などは行っていくが、

大きな投資額にはならず、コスト増は限定的な見込み。

業 績

⚫ 会社概要

22/2 期業績の本

格回復は困難でも

21/2 期比では大

幅増益となろう

月にも海外投資家

向けにレジデンス

のバルクセールが

決定

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アナリストレポート・プラットフォーム 25

連結損益計算書 (単位)百万円

22/2旧基準 新基準 CE E E

売上高 49,699 109,253 57,846 57,846 83,540 87,360 na 62,400 69,200

アセットマネジメント 5,067 4,747 2,433 2,433 2,440 3,048 na 1,800 2,100「心築」(不動産再生) 42,944 92,138 51,864 51,864 77,450 80,516 na 56,000 62,000

不動産賃貸収入 12,459 14,645 16,134 16,134 18,757 19,915 na 16,000 17,000不動産売却高 30,485 77,493 35,731 35,731 58,693 60,601 na 40,000 45,000

クリーンエネルギー 1,628 12,352 3,426 3,426 3,648 3,796 na 4,600 5,100その他 58 14 122 122 - - - - -

売上原価 29,835 82,446 31,920 30,860 51,413 52,851 na 44,250 48,200売上総利益 19,863 26,806 25,925 26,986 32,126 34,509 na 18,150 21,000

アセットマネジメント 3,281 2,910 2,427 2,427 2,437 3,046 na 1,800 2,100「心築」(不動産再生) 15,877 20,229 22,159 23,170 27,761 29,521 na 13,700 16,000

不動産賃貸損益 8,054 9,670 10,111 11,073 12,868 11,940 na 7,700 8,500不動産譲渡損益 7,829 10,559 12,047 12,097 14,893 17,158 na 6,000 7,500その他 ▲ 6 0 0 0 0 423 na 0 0

クリーンエネルギー 683 3,772 1,353 1,405 1,929 1,940 na 2,650 2,900売電収入など 683 957 886 938 1,929 1,940 na 2,650 2,900発電所譲渡益 0 2,808 467 467 0 0 na 0 0

その他 21 ▲ 105 ▲ 15 ▲ 15 - - - - -販管費 4,446 5,025 5,067 5,067 5,847 6,787 na 6,600 6,950営業利益 15,417 21,781 20,858 21,919 26,279 27,721 7,400~12,900 11,550 14,050

アセットマネジメント 2,879 2,326 2,043 2,043 2,195 2,526 約1,100 1,300 1,700ストック(アニュアルフィー) na 1,612 1,662 1,662 1,846 1,731 na 1,300 1,500フロー(サクセスフィーなど) na 714 380 380 349 795 na 100 200

「心築」(不動産再生) 12,629 16,213 17,993 19,002 22,669 23,971 4,500~10,000 8,500 10,400ストック(賃貸損益) na 7,657 7,900 8,788 10,315 9,484 na 5,300 6,100フロー(不動産売却損益) na 8,555 10,092 10,213 12,354 14,487 na 3,200 4,300

クリーンエネルギー 323 3,301 847 899 1,364 1,272 約1,800 1,800 2,000ストック(売電損益) 323 843 555 599 1,364 1,272 na 1,800 2,000フロー(発電所売却損益) 0 2,457 292 299 0 0 na 0 0

その他 ▲ 32 ▲ 165 ▲ 50 - - - - - -調整額 ▲ 382 104 25 ▲ 25 50 ▲ 49 na ▲ 50 ▲ 50

営業外収益 215 118 161 161 147 150 na 150 150営業外費用 1,743 2,144 1,835 2,895 3,350 3,476 na 3,800 4,100

支払利息(融資関連費用を含まず) 1,277 1,303 1,266 2,249 2,328 2,293 na 2,400 2,600経常利益 13,889 19,755 19,185 19,185 23,076 24,395 5,000~10,400 7,900 10,100特別利益 223 2,466 1,263 1,263 2 215 na 2,000 3,500特別損失 89 1,590 339 339 0 8,065 na 500 500税金等調整前当期純利益 14,022 20,630 20,109 20,109 23,079 16,545 na 9,400 13,100法人税等 960 5,436 5,923 5,923 7,333 7,406 na 2,850 4,000非支配株主に帰属する純利益 136 299 167 167 373 938 na 50 100純利益 12,925 14,894 14,018 14,018 15,373 8,201 3,500~8,000 6,500 9,000(出所)決算短信、会社資料をもとにIFIS作成(注)CEは会社予想、EはIFIS予想 19/2期より①その他セグメントを廃止(アセットマネジメント、心築に配分)、②ノンリコースローン等に係る支払利息等の会計処理を変更   18/2期の新基準は19/2期からの会計処理変更を遡及修正したもの

20/219/221/2

16/2 17/218/2

業 績

⚫ 会社概要

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アナリストレポート・プラットフォーム 26

2018/2 2019/2 2020/2 2021/2 予

(アナリスト)

株 価 推 移

株価(年間高値) 円 484 551 479 -

株価(年間安値) 円 302 283 310 -

月間平均出来高 百株 585,177 367,760 295,352 -

業 績 推 移

売 上 高 百万円 57,846 83,540 87,360 62,400

営 業 利 益 百万円 20,858 26,279 27,721 11,550

経 常 利 益 百万円 19,185 23,076 24,395 7,900

当 期 純 利 益 百万円 14,018 15,373 8,201 6,500

E P S 円 28.12 31.14 16.89 13.49

R O E % 16.5 16.3 8.2 6.3

貸 借 対 照 表

主 要 項 目

流 動 資 産 合 計 百万円 231,681 217,590 117,608 -

固 定 資 産 合 計 百万円 64,831 101,752 216,118 -

資 産 合 計 百万円 296,512 319,343 333,726 -

流 動 負 債 合 計 百万円 16,316 21,905 24,280 -

固 定 負 債 合 計 百万円 187,470 194,579 207,838 -

負 債 合 計 百万円 203,787 216,484 232,119 -

株 主 資 本 合 計 百万円 89,165 98,769 100,674 -

純 資 産 合 計 百万円 92,725 102,859 101,607 -

キャッシュフ

ロ ー 計 算 書

主 要 項 目

営業活動による CF 百万円 10,603 21,762 11,892 -

投資活動による CF 百万円 -5,645 -15,602 -10,263 -

財務活動による CF 百万円 -6,124 4,346 9,537 -

現金及び現金同等

物 の 期 末 残 高 百万円 39,365 45,029 40,826 -

(注)20/2 期からの会計処理変更を 19/2 期に遡及適用(19/2 期末の総資産が従来の処理に比べ 256 百万円減など影響は軽微)

(出所)㈱QUICK

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上記チャート図に過誤等がある場合でも㈱QUICK 社及び東京証券取引所は一切責任を負いません。

上記チャート図の複製、改変、第三者への再配布を一切行ってはいけません。

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アナリストレポート・プラットフォーム 27

⚫ 事業に関するリスク

➢ 新型コロナ感染拡大の長期化。人の移動が制限されるとホテルへの影響が

最も深刻。次いで商業ビルが影響を受けやすい。これらのアセットタイプ

を中心に追加の棚卸資産評価損や減損が発生する可能性。

➢ 新型コロナの長期化、米中貿易摩擦、円高、2019年 10月の消費増税など

により国内景気が低迷すると、中小型オフィスや商業ビルの稼働率や賃料

が低下する恐れ。雇用環境が著しく悪化するとレジデンスでも賃料下落、

滞納の増加の恐れがある。

➢ 新型コロナを契機にテレワークが本格的に定着すると長期的にオフィス

需要が減退する恐れ。

➢ 長期金利上昇。長期金利上昇に伴いキャップレートが上昇した場合、保有

不動産の価格が下落しキャピタルロス、評価損が発生する恐れ。また、長

期金利上昇は資金調達コストの上昇につながる。

➢ 金融機関の不動産融資姿勢が厳格化されると不動産の流動性の低下、不動

産価格の下落を招く可能性が高い。

➢ 不動産取得競争が非常に激しい中、無理な取得を行うと高値掴みになる恐

れがある。

➢ 大地震などの自然災害や火災等により、保有する賃貸不動産が損壊する恐

れ。

➢ 系列 REITの投資口価格の低迷が続き、POができないと AUM拡大や、物件

拠出、物件仲介などに伴う収益獲得の阻害要因となる。

➢ メガソーラー事業は 20年間の固定価格買取のため、キャッシュフローの

安定性が高い半面、急激なインフレには弱い。

➢ 長雨、台風などの天候不順が多いとメガソーラー事業において、発電量が

低下する。

➢ 少子高齢化、労働者人口の減少による長期的なオフィス需要、住宅需要の

減退。

リ ス ク 分 析

⚫ 会社概要

事 業 に

関 す る リ ス ク

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アナリストレポート・プラットフォーム 28

デ ィ ス ク レ ー マ ー

⚫ 会社概要

<指標の説明について>

本レポートに記載の指標に関する説明は、東京証券取引所ウェブサイトに掲載されております。

参照 URL ⇒ https://www.jpx.co.jp/listing/ir-clips/analyst-report/index.html

1.本レポートは、株式会社東京証券取引所(以下「東証」といいます。)が実施する「アナリストレポー

ト・プラットフォーム」を利用して作成されたものであり、東証が作成したものではありません。

2.本レポートは、本レポートの対象となる企業が、その作成費用を支払うことを約束することにより作

成されたものであり、その作成費用は、当該企業が東証に支払った金額すべてが、東証から株式会社ア

イフィスジャパン(以下「レポート作成会社」といいます。)に支払われています。

3.本レポートは、東証によるレビューや承認を受けておりません(ただし、東証が文面上から明らかに

誤りがある場合や適当でない場合にレポート作成会社に対して指摘を行うことを妨げるものではありま

せん)。

4.レポート作成会社及び担当アナリストには、この資料に記載された企業との間に本レポートに表示さ

れる重大な利益相反以外の重大な利益相反の関係はありません。

5.本レポートは、投資判断の参考となる情報の提供を唯一の目的として作成されたもので、有価証券の

取引及びその他の取引の勧誘又は誘引を目的とするものではありません。有価証券の取引には、相場変

動その他の要因により、損失が生じるおそれがあります。また、本レポートの対象となる企業は、投資

の知識・経験、財産の状況及び投資目的が異なるすべての投資者の方々に、投資対象として、一律に適

合するとは限りません。銘柄の選択、投資判断の最終決定は、投資者ご自身の判断でなされるようにお

願いいたします。

6.本レポート作成にあたり、レポート作成会社は本レポートの対象となる企業との面会等を通じて、当

該企業より情報提供を受けておりますが、本レポートに含まれる仮説や結論は当該企業によるものでは

なく、レポート作成会社の分析及び評価によるものです。また、本レポートの内容はすべて作成時点の

ものであり、今後予告なく変更されることがあります。

7.本レポートは、レポート作成会社が信頼できると判断した情報に基づき記載されていますが、東証及

びレポート作成会社は、本レポートの記載内容が真実かつ正確であり、そのうちに重要な事項の記載が

欠けていないことやこの資料に記載された企業の発行する有価証券の価値を保証又は承認するものでは

ありません。本レポート及び本レポートに含まれる情報は、いかなる目的で使用される場合におきまし

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