日程:2013年2月2日 土 3日 - erupdate.jp · ント総合病院、デンバー総合病院)で救急医学研修。昭和58年福県立病院救急外来専従医。平成
救急外来に来る 心臓血管外科関連疾患...2014/10/23 · 1....
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心臓血管外科 榊原 裕
救急外来に来る
心臓血管外科関連疾患
uAP,AMI
Acute MR (乳頭筋・腱索断裂など)
AAD (Stanford A ,B)
PE(Pulmonary Embolism)
大動脈瘤破裂・切迫破裂
急性動脈閉塞(多くは下肢、SMA)
状態としてのCPA
uAP,AMI
Acute MR (乳頭筋・腱索断裂など)
AAD (Stanford B,A )
PE(Pulmonary Embolism)
大動脈瘤破裂・切迫破裂
急性動脈閉塞(多くは下肢、SMA)
状態としてのCPA
ステントグラフト治療
4Fr.シースの使い方
PCPSの適応
1. 急性大動脈解離(Stanford B型)
に対するステントグラフト治療
2. CPAからPCPSへ
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4Fr. シースの使い方
PCPSの適応
動脈解離とは
• 血管は輪状の3層構造をしているが、これが内側から裂けてしまった状態
亀裂
血栓
真腔
偽腔
真腔
血栓閉塞型
偽腔開存型
この亀裂のことをTear、
エントリーという。
動脈解離が起こす問題
1. 壁が薄くなるため破裂の危険性が高くなる
2. 偽腔が真腔や動脈分枝圧迫して、閉塞、狭窄を生じる
→ 灌流障害
壁が薄く、拡大、破裂の危険性
偽腔が真腔を圧迫して、狭窄、閉塞
偽腔
真腔
偽腔
特に、冠動脈、弓部3分枝
腹部主要分枝(腹腔動脈、上腸管膜動脈、腎動脈)
真腔
上行大動脈、弓部大動脈→心タンポナーデ
偽腔 偽腔
真腔
急性大動脈解離
• Stanford A
上行大動脈・弓部を含む
急性期に生命の危険性高い
↓
緊急手術
• Stanford B
上行大動脈・弓部を含まない
急性期にはA程危険性高くない ↓
降圧療法、ステント
7
血栓閉塞を期待し外来でfollow、
後に手術、ステントの適応となる時も多い
動脈解離が起こす問題
冠動脈 → 心筋梗塞
大動脈弁 → AR
心嚢内に破裂
→ 心タンポナーデ
腹部動脈、SMA
→ 腸管虚血
腹部大動脈、下肢動脈
→ 下肢虚血
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◎
◎
◎
◎
◎
◎
頸部動脈→ 脳虚血
意識レベル↓
腎動脈→腎機能低下
Stanford A型 Stanford B型
Class Ⅰ
1. 合併症のない偽腔開存型/ULP型/偽腔閉塞型B型解離に対する内科治療 (Level C)
2. 解離に直接関係のある重症合併症*を持ち,手術によりそれが軽快するか,または,その進行が抑
えられると考えられる大動脈解離に対する大動脈外科治療 (Level C)
* 偽腔の破裂,再解離,心タンポナーデ,意識消失や麻痺を伴う脳循環障害,心不全を伴う大動脈
弁閉鎖不全,心筋梗塞,腎不全,腸管循環障害,四肢血栓塞栓症等
3. 大動脈緊急手術適応のない偽腔開存型B型解離における下肢血流障害に対する外科的あるいは
血管内治療による血行再建術(Level C)
Class Ⅱa
1. 血圧コントロール,疼痛:薬物治療に抵抗性の大動脈解離に対する大動脈外科治療 (Level C)
2. 血圧コントロールに対する薬物治療に抵抗性の大動脈解離に対する内科治療 (Level C)
3. 緊急手術適応のない急性大動脈解離に伴う腸管灌流異常に対する外科的あるいは血管内治療に
よる血行再建術 (Level C)
Class Ⅱb
1. 重篤な脳障害を有する症例に対する大動脈外科治療 (Level C)
Class Ⅲ
1. 合併症のないB型解離に対する大動脈外科治療 (Level C)
2. 大動脈緊急手術適応がある場合の,臓器灌流障害に対する血行再建術 (Level C)
Stanford B型大動脈解離に対する急性期治療 (2011年 ガイドライン)
急性大動脈解離
(Stanford B)
安静と降圧療法 治療
Folow up CT (入院中、外来)
偽腔拡大 ope
高齢者の場合は早めの離床を考慮
急性期手術が適応される場合
1. 解離腔拡大,切迫破裂が懸念される場合
2. 腹部臓器や下肢への血流が阻害された場合
(malperfusion)
B型解離 慢性期
primary
entry
re-entry
re-entry
手術(open surgery)
Intimal flapを切り込み
double barrelに吻合
→真空、偽腔の両方に流す
大動脈瘤の治療 人工血管置換術
上行Ao 弓部 下行Ao 胸腹部
アプローチ、補助手段
正中切開、体外循環、 軽度低体温、短時間の循環停止・選択的脳灌流
正中切開(まれに左側開胸)、 体外循環、超低体温、循環停止、選択的脳灌流 視野が深くなり手術時間の延長
広範囲側開胸、一時的に短時間の体外循環
広範囲開胸・開腹、体外循環、(超低体温)
手術時間も長く、輸血の必要性も高い、侵襲は大きい
★
★
皮膚切開は大きい
下行大動脈置換 胸腹部大動脈置換
胸腹部大動脈瘤Opeの創部
ステントグラフト治療
(Endovascular aneurysm Repair)
◆ ステントグラフトで大動脈瘤をカバーし、瘤内への血流を遮断する。
◆ Exclusionされた瘤部が血栓閉塞することにより、瘤
拡大や破裂を防ぐ。時間が経てば瘤の縮小が期待できる。
ステントグラフト治療の原理
ステントグラフト
グラフト(人工血管)
材質 :ポリエステル、PTFE、ポリウレタン
など
ステント
材質 :ステンレス、ナイチノール
ステントグラフトとは、ステントとグラフト
を組み合わせて作成されたもので
“デリバリーシース”と呼ばれるデリバリーシステムに格納されている。
解剖学的適合基準
◆ 十分なlanding zone
近位、遠位 > 15~20mm
◆ 極端な屈曲は不可
(最近はデバイスの進化が著しい)
◆ 十分なaccess 可能な血管
femoral/iliac a. > max 24Fr.(9.1) mm
石灰化、血栓などがない
親水性コーティング
実際にはぎりぎりかちょっと細くても大丈夫
TAAの治療 ステントグラフト
上行Ao 弓部 下行Ao 胸腹部
ステント(TEVAR)
対象外
弓部分枝の処理が必要である。 Debranching+TEVAR(1枝以外は開胸手術なしで可能) 開窓型ステント、枝付きステント、Chimuney法
大動脈の蛇行、屈曲が少なく、TEVARの成功率は高い。
腹部分枝の処理が必要である。 Debranching+TEVAR 開窓型ステント、枝付きステント、Chimuney法
Stent Graft(企業製) ステント(TEVAR)
Debranchingなどの操作が必要な
ければ、皮膚切開は片側の鼡径部
2-3cmのみ
手術時間も短く、
侵襲は圧倒的に低い
ステントグラフトの合併症
1.Endoleak:瘤内血流の残存。
(破裂リスクが残る)
2.Migration:ステントグラフトの移動、ずれ。
3.血管損傷:動脈損傷、解離
4.血栓性塞栓:脳、腎、腸管、下肢
5.腎機能障害:造影剤、腎動脈閉塞
6.虚血性疾患:虚血性腸炎
7.感染:グラフト、創部
8.金属アレルギー
9.対麻痺(open surgeryよりは低い、1/2以下)
type I :ステントグラフトと血管壁の間を通じた瘤内への血液の漏出
type II は肋間動脈や気管支動脈から瘤内への逆行性血流によるもの
type III はステントグラフト接合部を通じた瘤内への血液漏出
type IV はグラフト自身から瘤内への血液の滲み出しによるもの
Endoleak
Coiling
Type Ia
Type Ib
以前より胸部下行大動脈瘤(横隔膜直上)にて外来
followとしていた。
ここ1年で瘤の拡大傾向を認め、最大短径60mmまで拡
大したため、TEVARの方針となった。
【症例 1 87歳 女性】
【術 前】
【TEVAR術後、退院時】
手術時間:1h 43 min、 無輸血、type Ib endoleakあり
【TEVAR術後、6ヶ月】
【TEVAR術後、1.5年】
動脈瘤の縮小が認められる
TEVAR術後
6ヶ月 TEVAR術後
1.5年
B型解離に対する
ステントグラフト治療
re-entry
吹き上げ
以前から高血圧を指摘されていたが、放置。
突然の胸背部痛、呼吸困難、さらに右下肢
の不全麻痺にて救外受診。
AAD(A型)と診断され、同日上行置換施行。
術後経過は良好で、術後22日目に退院。
【症例 2 43歳 男性】
【術前】
【術後 9日目】
【術後 16日目】
【術後 3ヶ月】
【術後 1年】
【術後 1.5年】
【術後 2.5年】
胸部大動脈:reverse remodeling完了
高血圧で治療中、突然の胸背部痛を認め、
救外受診。CTにてB型解離と診断。破裂、
maiperfusionの所見なく保存的に治療。
退院後の外来follow中に偽腔拡大し、最大
径40mmを超えるようになり、発症2年後に
TEVAR施行。
【症例 3 56歳 男性】
【B型解離発症2日目】
【B型解離発症 1年】
【B型解離発症 2年】
【B型解離発症 2年】
偽腔拡大
39mm → 44mm 発症1年 発症2年
【TEVAR後】
【TEVAR後 6ヶ月】
reverse remodeling 傾向あり
H19年発症のB型解離。H22年に紹介され、
その後、外来 follow。H24年偽腔拡大、最大
径 60mmとなったため、TEVARの適応とした。
【症例 4 77歳 男性】
【術前】
【TEVAR後 7日目】
【TEVAR後 1年】
下行大動脈 偽腔内に血流出現
【TEVAR後 1.5年】
偽腔内の血流変化なし
ステントグラフトの延長を行いたいが、対麻痺が心配
H16年発症のB型解離。その後、外来 follow。
H20年偽腔拡大、最大径 58mmとなったため、
下行置換施行。(末梢は真・偽両腔に吻合)
外来follow中に吻合部末梢の偽腔拡大
57mmとなり、TEVARの方針となる。
【症例 5 47歳 男性】
【術前】
【術後】
【術後】
【術後 4.5年】
吻合部末梢の偽腔拡大 → TEVARへ
【TEVAR後】
【TEVAR後 1年】
SMA内に大きなre-entry 偽腔拡大 70mm
【TEVAR後 1年】
debranching + TEVARへ
手術シェーマ
re-entry
Large lumbar artery
このlumbar a.の中枢で遮断 → SEP(体性感覚誘発電位)が低下
いつでも容易に追加TEVARが可能な状態
胸部の偽腔拡大は半血栓化で70mmで変化なし
TEVAR後の対麻痺の
可能性がある。(外来follow中)
【TEVAR後 1.5年】
B型解離に対するTEVAR
TEVARの遠隔成績は不明であるが、圧倒的な低侵襲
により、従来ope適応でない重症患者にも適応できる。
弓部下行大動脈以下は基本的にはTEVARを第一選択
で良いと思われる。
B型解離に対するTEVAR 最新の知見
発症1年以内、血管径40mm以下の状態でprimary entryを
閉鎖するとreverse remodelingが生じることが多い。
発症数年後の慢性期、血管径50mm以上の状態で
primary entryを閉鎖すると
1/3 偽腔血栓閉塞+縮小傾向
1/3 偽腔半血栓閉塞+縮小(-)
1/3 偽腔半血栓閉塞+拡大 さらなる
治療が必要
B型解離に対する治療
まとめ
Folow up CT (入院中、外来)
偽腔拡大 (発症1年、最大径40mm)を目安に
→ 75歳以下なら積極的にTEVAR
ope 1. 解離腔拡大,切迫破裂が懸念される場合
2. Malperfusionを呈する場合
3. 安静と降圧療法
1. 急性大動脈解離(Stanford B型)
に対するステントグラフト治療
2. CPAからPCPSへ
4Fr. シースの使い方
PCPSの適応
4Fr.シース
10cm
4Fr.シース挿入例
4Fr.シースの応用
<FV>
<FA>
1. 通常のcentral lineとして使用できる
2. double、triple central lineと交換できる
3. 透析用ナイアガラ・カテと交換できる
4. PCPS 脱血管を挿入できる
1. 通常のA lineとして使用できる
2. IABPを挿入できる
3. PCPS 送血管を挿入できる
これらの次の操作が容易になる。
PCPS
経皮的V-A Bypass
(人工心肺による補助循環)
定義
原則的に大腿動静脈からのアプローチで右房に挿入したカニューレ
から遠心ポンプにより脱血し、膜型人工肺で酸素化した血液を大腿動脈
より挿入したカニューレにより逆行性に全身に還流する閉鎖回路
(リザーバーを有さない)による補助循環である
(PCPS研究会)
Percutaneous Cardiopulmonary Support
最後の心肺脳蘇生手段
PCPSの適応
1)緊急心肺蘇生(心停止状態で心肺蘇生無効例)
a、心停止状態
b、心原性ショック状態
2)循環補助使用
c、重症心不全に対する補助手段
心筋梗塞、心筋炎、心筋症、開心術後Los
d、一時的な体外循環
Supported PTCA、大血管手術時の補助手段
3)肺補助使用
e、重症呼吸不全
f 、肺塞栓症
g、呼吸器外科への応用
PCPSの適応
1)緊急心肺蘇生(心停止状態で心肺蘇生無効例)
a、心停止状態
b、心原性ショック状態
2)循環補助使用
c、重症心不全に対する補助手段
心筋梗塞、心筋炎、心筋症、開心術後Los
d、一時的な体外循環
Supported PTCA、大血管手術時の補助手段
3)肺補助使用
e、重症呼吸不全
f 、肺塞栓症
g、呼吸器外科への応用
PCPSの適応
基本的にはわからないが、
それでも助かる見込みのある人、助かるかもしれない人
CPRを継続しながら搬送された患者のうち、生存退院できる患者 %
脳血流が停止してから、脳死状態になるまでの時間はおおよそ 分
男の平均寿命、女の平均寿命は 才
PCPSの適応
基本的にはわからないが、
それでも助かる見込みのある人、助かるかもしれない人
CPRを継続しながら搬送された患者のうち、生存退院できる患者 1%未満
脳血流が停止してから、脳死状態になるまでの時間はおおよそ 5 分
男の平均寿命、女の平均寿命は 80.2 才
86.6 才
18時ごろ、ホテルのサウナから出て、浴室内のベンチに座っていた
時に意識消失、転倒。救急要請、bystanderなし。
18:21 (15分) 救急隊到着、心肺停止状態、直ちに心マ、挿管
18:27 当院へ搬送依頼、救急車の中で、1回VFとなるが、その後
心停止状態
【症例 70歳 男性】
? 来院時 JCS 300、両側瞳孔散大 6.5mm
対光反射なし
DC 施行、アドレナリン 1A投与/3分x5回
心マ継続し、心室波形(+)、拍動(+)
しかし、間もなく心停止
18時ごろ、ホテルのサウナから出て、浴室内のベンチに座っていた
時に意識消失、転倒。救急要請、bystanderなし。
18:21 (15分) 救急隊到着、心肺停止状態、直ちに心マ、挿管
18:27 当院へ搬送依頼、救急車の中で、1回VFとなるが、その後
心停止状態
【症例 70歳 男性】
? 来院時 JCS 300、両側瞳孔散大 6.5mm
対光反射なし
DC 施行、アドレナリン 1A投与/3分x5回
心マ継続し、心室波形(+)、拍動(+)
しかし、間もなく心停止
PCPS装着、PCI施行
PCPSの開始
開始するにも、行わないとするにもその決断には勇気が必要
自分の信念をもって、後悔のないように、精一杯努力する。