情報経済システム論 : 第回

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情報経済システム論 : 第回. 担当教員 黒田敏史. 日本の情報通信政策. 国内主要通信事業者 NTT グループ 旧国営企業であり、 1985 年まで国内通信を公的独占 1985 年に民営化、 1999 年に再編 規制対象: NTT 東日本(地域)、 NTT 西日本(地域) 、 NTT ドコモ(携帯) 非規制: NTT コミュニケーションズ(長距離、国際)、 NTT データ、他 KDDI 2000 年に DDI (長距離)、 KDD (国際)、 IDO (携帯)が合併して設立 KDD : 1953 年に電電公社から国際通信を公的独占する公社として分離 - PowerPoint PPT Presentation

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情報経済システム論:第回

担当教員 黒田敏史

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日本の情報通信政策• 国内主要通信事業者

– NTT グループ• 旧国営企業であり、 1985 年まで国内通信を公的独占• 1985 年に民営化、 1999 年に再編• 規制対象: NTT 東日本(地域)、 NTT 西日本(地域) 、 NTT ドコモ(携

帯)• 非規制: NTT コミュニケーションズ(長距離、国際)、 NTT データ、他

– KDDI• 2000 年に DDI (長距離)、 KDD (国際)、 IDO (携帯)が合併して設立• KDD : 1953 年に電電公社から国際通信を公的独占する公社として分離• IDO : 1987 年にトヨタ・東京電力・中部電力らによって設立• IDO : 1984 年京セラ・三菱・ソニー等の出資で設立• 現在は移動通信事業( au) にて第二種指定電気通信設備指定による規制有り• 2007 年に 2.5GHz 帯で BWA サービスを提供する子会社(現) UQ コミュニ

ケーション設立

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日本の情報通信政策• 国内主要通信事業者

– ソフトバンクグループ• 2000 年に ADSL で通信市場に参入• 2003 年に日本テレコム( 1984 ~長距離)・ 2006 年に

ボーダフォン( 1991 ~のデジタルツーカーらが前身)を買収し、総合通信事業者となる

• 2010 年に PHS のウィルコムを救済合併

– その他の固定通信事業者:イーアクセス、 CATV事業者、電力系事業者(関西以西に多い)

– その他の移動体通信事業者:イーモバイル(イーアクセスの子会社)

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日本の情報通信政策• 情報通信産業の規制

– 固定通信・移動通信において政府が経済的規制を行うため、指定電気通信設備制度が存在している

– 電気通信事業法• 第一種指定電気通信設備

– 不可欠設備の保有割合が、都道府県毎に 50% 以上を単独の事業者が保有する場合に指定( NTT 東西の地域通信網)

– アンバンドル・接続約款の認可・会計分離などが義務づけられている

» ただし、浅井・根本(1998)は日本の電気通信の自然独占性を棄却している。また、日本の電気通信の自然独占性を示した研究も存在しない。

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日本の情報通信政策• 情報通信産業の規制

– 第二種指定電気通信設備• 代替性があり不可欠設備ではないが、円滑な接続のため

、相対的に強い交渉力を有する事業者(具体的には業務区域毎に 25% 以上の端末設備を有する事業者)に対して、接続約款の作成や適正なコストに基づく接続料の設定義務がある( NTT ドコモ・ KDDI の携帯電話網)

• NTT 法– NTT の組織形態と義務等を定めた法律

• NTT 持ち株会社には研究開発を行う• NTT 東西には地域通信業務を行う(その他の業務は活用業務として届出義務有り ※ 2010 年までは許可制)

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日本の情報通信政策• 民営化と競争導入の歴史

– 1985 年改革• 「電気通信事業法」制定• 「日本電信電話株式会社法(通称 NTT 法)」により民営化

– 従業員数 31万 3600人、売り上げ 5兆 1340億円の巨大企業の誕生– 民営化の背景となった技術変化

» デジタル化、光ファイバ、通信衛星、マイクロウェーブなどの技術革新、規格の違う複数のネットワークの併存を可能とするインターフェース技術の進展

– 公社モデルの理想と現実» 自主的経営の元で効率性の追求が可能→公社法による資金運用制限、基準内給与と基準外給与の流用制限による経営効率化の阻害

» 厳しい監査によって業績次第では役員の放免もあり得る→受託経営者層の不在、外部監査も機能せず

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日本の情報通信政策• 電気通信事業法の導入

– 第一種電気通信事業者• 自ら電気通信回線設備を設置する事業者

– 参入は許可制・料金は認可制– NCC ( New Common Carrier )と呼ばれる新規参入事業者(第二

電電・日本テレコム・日本高速通信他 5 社)が一種参入– 接続料金制度が無く、 NCC の利用者は NTT に地域通信網利用

料を、 NCC に長距離回線使用料を支払う必要があった(ぶつ切り料金制度)

– 第二種電気通信事業者• 電気通信回線設備を借りてサービスを提供する事業者

– 参入は登録制(自由参入)・料金は届け出制– インターネットサービスプロバイダ・付加価値通信網提供会

社・情報サービス会社・機械警備を行う警備会社などが該当– 1987 年に富士通がパソコン通信サービス「 NIFTY-Serve」を開始

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日本の情報通信政策• 端末の自由化

– NTT のレンタル機器以外の機器であっても、電気通信端末機器審査協会( JATE )の審査により、通信網に障害を与えない機器であれば製造・販売をする事が可能に

– 電電ファミリー以外の家電メーカーによる市場参入

– 最も安い NCC を自動的に選択する LCR機能の搭載、留守番電話、番号登録機能など、端末機能が飛躍的に向上

– 携帯電話の端末自由化は 1994 年

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日本の情報通信政策• 接続料金ルールの整備

– 1993 年 エンドエンド料金制度導入– 1994 年 コストベースの接続料金、1県1相互接続点( POI :

Point of Interface )制度の導入– 1999 年 長期増分費用( LRIC) ルールの採用– 2000 年  DSL 事業者の接続料金導入(実績原価方式)– 2001 年 光ファイバ接続料金導入(将来原価方式)– 2005 年  NTS ( Non-Traffic Sensitive Cost )コスト付け替え

• ユーザ料金規制– 1998 年  NTT 地域通信サービスを除き、認可制から届出制へと規

制緩和– 2000 年 競争が不十分な部分( NTT の地域通信など)が認可制か

らプライスキャップ規制に移行

• ユニバーサルサービス制度9

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日本の情報通信政策• 接続料金とは

– サービス全体としては自然独占であっても、一部を切り出した部分では競争可能である場合に、競争不可能なボトルネック部分を他事業者に利用させる場合の利用料金

– アンバンドル• サービス全体のうち、自然独占性を有する部分を切

り出して、単独サービスとして提供する事• アンバンドルの例:地域交換網と長距離電話、送

電・配電サービスと発電、ガス導管とガスコンビナート

• アンバンドルの対称となる設備を不可欠設備(エッセンシャルファシリティ)と呼ぶ事がある

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日本の情報通信政策• ボトルネック独占

– アンバンドルされた自然独占部分の料金に規制が無い場合、2重マージンの発生によってアンバンドル以前よりも価格が高くなる

– 競争のために自然独占部分を分割してしまえば、提供のための費用が高くなる(二重投資)

– 競争可能な分野での競争のメリットと、自然独占部分での規模の経済のメリットを両立させるため、アンバンドルされた要素の価格を規制する

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日本の情報通信政策• 企業分割とアンバンドル

– 米国では全米の電話をほぼ独占していたAT&T を分割し、地域通信を行う複数の会社と長距離通信を提供する会社に分割

– 構造分離• 1980年代以降、ボトルネック部分とそれ以外の

部分を企業分割し、競争を導入する事例が多数発生• 米国・欧州(一部)の電力:発電・送電・販売• 英国の鉄道:線路構築と鉄道運行

– アンバンドルと構造分離• 国営企業であれば比較的分割は行いやすいが、分割

によって組織運営の効率性が低下する場合もある12

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日本の情報通信政策• 電気通信における接続費用

– 長期増分費用方式(LRIC)• 限界費用を会計コストから観察する事ができないため、それ

を近似する概念として増分費用が登場• 現時点で最も低廉で効率的な設備と技術の利用を前提とした仮想的な地域通信網モデルを構築し、そのモデルコストから接続料金を設定

• コストモデルは過去に投資した費用と無関係であり、非効率性・技術革新が存在するならば、アンバンドル部分の費用は回収されない

– GC、ZC交換機、GC~ZC間伝送路(共用型・専用型)、PHS基地局回線、等

– 日米貿易交渉において LRIC採用を求める米国の強い圧力があったとされている

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日本の情報通信政策• 電気通信における接続費用

– 実績原価方式• 単年度方式

– 地域通信網の管理運営に実際に要した費用に基づく方式であり、投資コストの回収が可能。

– 専用線、番号案内、公衆電話、中継ダークファイバ、ドライカッパ、等

• 将来原価方式– 新規サービスであり、かつ今後相当の需要が見込まれる場合に将来

の需要とコストを予測して算定する方式。予測が実績と大幅に乖離した場合は、実際に発生する費用を回収できない場合があり得る。

– 2000 年の算定時の需用が満たされなかったため、原価が接続料を上回る状況が続いているが、 2007 年改訂時に値下げ改訂。ただし精算制度を導入。

– 加入者光ファイバ、地域IP網、等

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日本の情報通信政策• ぶつ切り料金とエンドエンド料金

15出典: NTT グループ社史( 1995- 2005 )

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日本の情報通信政策• 長距離・国際料金の推移( 1985 ~ 2007 )

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NCC 参入     接続料金設定   LRIC採用1985 年          1994 年      1999 年       2005 年

出典:辻正次「電気通信における規制緩和の経済効果-接続料金-」

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日本の情報通信政策

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• ZC 接続・ GC 接続料金の推移

0

5

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25

1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008

接続料金の推移

GC(加入者交換機)接続 ZC(中継交換機)接続

出典: NTT グループ社史( 1995- 2005 )、並びに各種資料より筆者作成

(円/3分)

LRIC第一次モデル

LRIC第二次モデル

LRIC第三次モデル

トラヒック減少による接続料の上昇 NTS付替え後

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¥0

¥2,000

¥4,000

¥6,000

¥8,000

¥10,000

¥12,000

¥14,000

¥16,000

¥18,000

¥20,000

2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年

加入者光ファイバの1芯あたりコストと接続料の推移

実績 2001年予想予測 2007年予想 旧接続料 現接続料

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日本の情報通信政策

18出典: NTT 東日本「加入者光ファイバ接続料金の認可申請について」より筆者作成

旧接続料 5,074 円 現接続料 4,713 円

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日本の情報通信政策• 1990 年台の NTT 分割論争

– 1996 年電気通信審議会の答申• NTT を長距離通信会社と 2 社の地域通信会社に再編成

– NTT の反論• 1. 接続ルールによるネットワークのオープン化が進展• 2. 分離 分割により赤字会社が発生し、強力な競争単位の創出・

とはならず、会社間の競争の進展にもつながらない• 3. 料金 サービス面での地域格差が生じる他、・ 2010 年を目途と

するアクセス網の光化計画の達成が困難になる• 4. 研究開発力の低下• 5. 国際競争においては、競争に参加する企業の数よりもその企

業の質が重要• 6. 分割により株主の権利確保が困難に• 7. 日本の危機管理上の重要な責務の実施が困難に

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日本の情報通信政策• 1999 年 NTT 法改正

– 長きに渡る NTT の分割論争の結果、完全分割は行わず、持ち株会社方式へ移行が決定

• NTT :持ち株会社、子会社の経営方針の設定、研究開発を実施

• NTT 東日本、 NTT 西日本:地域(県内)通信、業務規制有り

• NTT コミュニケーションズ:県間・国際通信• NTT ドコモ:携帯電話事業• NTT データ:銀行のシステムなど、大規模情報システ

– 電話の事業区分をベースにした構造措置20

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日本の情報通信政策• 2001 年電気通信事業法・ NTT 法改正

– 非対称規制の明文化• 指定電気通信設備制度の導入• 第一種、第二種指定電気通信設備の認定基準の明文化(固定 50% 、移動 2

5% )– 活用業務の設定

• 総務大臣の許可を得れば NTT 東西が地域通信以外の業務を営む事が許可に– 許可に関するガイドライン(平成19年7月18日改訂版)– ①地域電気通信業務等の円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがないと認められるこ

と– ②電気通信事業の公正な競争の確保に支障を及ぼすおそれがないと認められるこ

と– http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/2007/070718_2.html

• 2011 年 5月に活用業務を届け出制にする改正 NTT 法が成立

• 2003 年電気通信事業法・ NTT 法改正– 第一種・第二種区分の廃止– 接続料金を均一にするための東西間の資金援助を許可

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日本の情報通信政策• 2001 年:マイラインの導入

– 「市内通話」「県内市外通話」「県間通話」「国際通話」の 4つの区分ごとに、 LCR機能や、事業者識別番号( 00XY )をダイヤルすることなく当該事業者を利用した通話が可能となる仕組を導入

– 市内通話料金の値下げ• NTT 東西: 2001 年 1月 3 分 10 円→ 3 分 9 円、 3月 8.5 円へと 25 年ぶ

りに料金改定

• 2004 年:直集電話サービスの開始– NTT局舎内に NTT 東西のメタル線と接続する交換機を他社が設置

して、地域通信サービスを提供– 基本料金の値下げ

• NTT 東西: 2004 年に 1級局 1,450 円→ 1450 円、 2級局 1,600 円→ 1,550 円、 3級局 1,750 円→ 1,700 円へと

• 日本テレコム(現ソフトバンクテレコム):お得ライン 1,450 円• KDDI :メタルプラス 1,600 円

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日本の情報通信政策• IT革命への対応

– 2001 年「 e-Japan戦略」• NTT グループの市場支配力がインターネット普及の遅れの原因• 市場原理の活用によって情報通信革命を推進• 非対称規制の明示化、事前規制から事後規制への転換、無線周波数の公正・透明な割り当て等

– 2004 年「 IP 化等に対応した電気通信分野の競争評価手法に関する研究会」

• 対象分野の選定、 SSNIP による市場画定、競争状況の評価

– 2006 年「通信・放送の在り方に関する懇談会(通称竹中懇)」「IP化の進展に対応した競争ルールの在り方に関する懇談会(通称 IP懇)」

• 2010 年を目処に NTT のあり方について再度議論→見送り23

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日本の情報通信政策

23/04/24 情報経済システム論 24出典:総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ」より筆者作成

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日本の情報通信政策

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出典:総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ」より筆者作成

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日本の情報通信政策

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2005 年の NTT 東のフレッツ光料金改定移行、料金・速度の大きな変化は生じず

事業者名 NTT東日本 NTT東日本 NTT東日本ケイ・オプティコム

ケイ・オプティコム

ソフトバンクBB

ソフトバンクBB USEN J :COM J :COM

サービス名フレッツADSL

フレッツADSL Bフレッツ eo光 eo光

Yahoo!BB8M

Yahoo!BB50M

BROAD–GATE01

J :COMNET

J :COMNET

技術方式 ADSL ADSL FTTH FTTH FTTH ADSL ADSL FTTH CATV CATV回線速度 1.5Mbps 47Mbps 100Mbps 100Mbps 1Gbps 8Mbps 50Mbps 100MBps 30Mbps 160Mbps

2000 12 26年 月 日 4,050 6,1002001年7 16月 日 3,800 6,1002002 11年 月8日 3,100 9,000 2,830 4,8002002 12年 月1日 2,600 5,800 6,300 2,830 4,8002003年4月1日 2,600 4,500 6,300 2,830 4,2002003 9年 月1日 2,600 4,500 6,300 2,830 4,200 5,775

2004年4月28日 2,600 4,500 6,300 2,830 2,980 5,7752004年8月6日 2,600 2,940 4,500 6,300 2,830 2,980 5,7752004年9月1日 2,600 2,940 4,500 5,000 2,830 3,957 2,980 5,7752005年2月1日 2,600 2,940 4,100 5,000 2,830 3,957 2,980 5,7752007 7 1年 月 日 2,600 2,940 4,100 5,000 8,800 2,830 3,957 2,980 5,775

2007 4年 月 2,600 2,940 4,100 5,000 8,800 2,830 3,957 2,980 5,775 6,3002008 4 1年 月 日 2,600 2,940 4,100 5,000 8,800 2,830 3,957 2,980 5,775 6,300

出所:平成17年総務省情報通信白書に掲載されていた表を筆者が加筆修正

主要ブロードバンドインターネット接続サービスの料金の推移

※ NTT1 東日本のフレッツサービスはこの他にISP利用料・機器利用料等がかかる※ USE2 ソフトバンク・ N ISPのサービス料金はモデムレンタル料・ 料等合算した値※ 3 初期費用やキャンペーン割引などは考慮していない

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日本の情報通信政策

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出典:総務省「電気通信サービスに係る内外価格差調査」平成 22 年度調査結果http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02kiban03_000015.html

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日本の情報通信政策

23/04/24 情報経済システム論 28出典: ITU ICT Eye http://www.itu.int/ITU-D/ICTEYE/Default.aspx

Fixed BroadbandNumber (%)

France 21300 33.40Germany 26000 31.59J apan 34055.30 27Korea (Rep.) 17650 36.63Sweden 2963 31.59United Kingdom 19468 31.38United States 81744 26.34

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日本の情報通信政策• マイグレーションのジレンマ

– 電話線同様光ファイバにも解放義務が課されているにも関わらず、光ファイバでは回線を借りた事業者のサービスが伸びていない

– 結果として、光ファイバの普及に伴い NTT グループの市場支配力が高まっている

• 光ファイバの技術方式として、光ファイバを途中で8 分岐して加入者宅に引き込む技術が利用されており、新規参入事業者はこの 8 分岐分をまとめて借りる必要がある

• そのため、同分岐内で 8加入をとらなければアクセスチャージが割高になるため、競争が進まないのではないかと考えられている

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日本の情報通信政策• 普及率の低さの要因

– 仮説1:高い携帯インターネット利用率• 日本では携帯電話を用いたインターネット利用が広く普及しており、固定インターネット利用者が7,813万(人口の88.7%)に対し、携帯インターネット利用者数は7,287万(人口の82.7%)となっており、日本の携帯電話インターネット普及率は飛び抜けて高い

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出典: Nielsen Mobile(2008) “Critical Mass: The Worldwide State of the Mobile Web”

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日本の情報通信政策• 普及率の低さの要因

– 仮説2:低いコンピュータ利用率• 日本ではブロードバンドを利用する主な機器であ

るコンピュータの普及率が低い

23/04/24 情報経済システム論 31出典: ITU”ICT Statistics 2008”, http://www.itu.int/ITU-D/icteye/Default.aspx

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日本の情報通信政策• 普及率の低さの要因

– 仮説3:定額料金制によるライトユーザからヘビーユーザへの移転

• 総務省「ネットワークの中立性に関する懇談会」にて「1%のヘビーユーザが60%のトラヒックを発生させていると言う調査結果もあり」とヘビーユーザとライトユーザとの間の費用負担の公平性の問題の存在を指摘している

• 同報告書では「 ヘビーユーザーに対する追加課金については、受益者負担の原則に立てば基本的に当該課金は合理性を有する」としているが、料金は原則自由であり市場競争に任されているため、政府による指針を出す事はしていない

– 電気通信事業法第29条「電気通信事業者が特定の者に対して不当な差別的取扱いを行なっているとき」(同条第1項第2号)、「料金についてその額の算出方法が適正かつ明確でないため、利用者の利益を阻害しているとき」(同第3号)等は、当該電気通信事業者に対して業務の改善命令を行うことができるが、それにはあたらないとしている

• また、「ユーザ間の公平性のため」との名目による事業者間の料金設定の共謀が生じるのではないかとのおそれもあるため、委員より料金プラン改定は現状公正型が望ましいとの指摘が成されている

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日本の情報通信政策• 普及率の低さの要因

– 仮説4:言語ネットワークの狭さ

• インターネットのネットワーク効果は同一の言語を利用する人の間で働くと考えられる

• 日本人は主に日本語のサイトを利用するほか、 TOEIC の平均スコアは 457点( 26 カ国中 24位)と低い

– (トップ3はドイツ( 776点)、フィリピン( 774点)、カナダ( 745点)

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日本の情報通信政策• デジタル・ディバイド解消戦略( 2008 年 6月)

– 整備目標• ブロードバンド基盤:2010年度にブロードバンド・ゼロ地

域の解消(超高速ブロードバンドの世帯カバー率を90%以上に)

• 携帯電話:2010年度末までにエリア外人口を20万人以上解消、残り10万人の解消に資する新技術の開発・実証実験の推進

– 整備主体と役割• 民間主導原則の維持• 地方公共団体に対する支援策の拡充等

– 整備推進に関する基本的視点• 「合わせ技」プロジェクトの組成推進• インフラ整備と公共的アプリケーション整備の一体的推進• 新技術の活用等による携帯電話のエリア整備の推進• 地域特性に応じた支援策の検討• 関係機関の連携強化

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日本の情報通信政策

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出典:総務省「ブロードバンド基盤の整備」http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/broadband/index.html

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日本の情報通信政策• 利用のデバイド

– ブロードバンドが全国で供給されたとしても、 ICT を利用する能力の差により、利用の格差が生じる可能性もある

• 下図はブロードバンドの公共利用に対する支払い意志額を推計した研究の推定値

• 総支払額は八幡地域の方が大きいが、在宅勤務や遠隔教育等の個別アプリケーションには差がある

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(2006)高地他八幡地域 東京都

地上波デジタル放送 - ¥3,144 ¥2,393BS/ CS放送 ¥1,187 - -BS/ CS/ TV地上 放送 ¥2,146 - -IP電話 ¥1,598 ¥1,441 ¥1,438テレビ電話 - ¥103 ¥291遠隔教育 ¥187 ¥208 ¥552遠隔介護 - ¥689 ¥356遠隔医療 ¥571 ¥786 ¥711遠隔行政 ¥434 - -災害緊急通報 - ¥1,337 ¥1,351在宅勤務 - ¥- 191 ¥511電子政府 - ¥1,254 ¥1,017

(2006)依田・堀口

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日本の情報通信政策• 光の道構想

– 2015 年まで全ての国民が超高速ブロードバンド(光ファイバを中心と想定)を利用できる環境を整備する

• 2010 年時点では 90% の地域で利用可能( 2008 年時点で世帯カバー率は 98.3% )

• 他方利用率は 30%未満– 取り組み

• 公的支援・民間による需要創出、無線技術の活用によりインフラ整備率を 100% にする

• サービスの発展・料金の低廉化、公的機関のインフラ利用促進により、利用率を 30% から 100%へ上げる

23/04/24 情報経済システム論 37出典:総務省「グローバル時代における ICT 政策に関するタスクフォース」配付資料より抜粋

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日本の情報通信政策

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出典:総務省「グローバル時代における ICT 政策に関するタスクフォース」http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/global_ict/kyousou_seisaku.html

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日本の情報通信政策• ソフトバンクの構想

– 光ファイバとメタル線の 2つのネットワークを維持するのはコスト高

• 特に、メタル回線の保持費用は高く、毎年 7,100億円の費用がかかる

– NTT のアクセス回線部門を分離し公社化、計画的なメタル撤廃&光敷設を行えば、メタルの維持費の節約分で追加的な支出無しに 2015 年までに全世帯の光ファイバへのマイグレーションができる

• それにより、料金は現状の電話 1,700 円+光 BB5,000円から光回線による電話 1,700 円 +光 BB1, 150 円となる

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出典:ソフトバンク「光の道」への提言http://www.softbank.co.jp/hikarijp/#material

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日本の情報通信政策• NTT のマイグレーションプラン

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出典: NTT 東日本「PSTNのマイグレーションに関する概括的展望について」http://www.ntt-east.co.jp/release/1011/101102a.html

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日本の情報通信政策• ユニバーサル・アクセスは必要か

– 光ファイバ推進論者は全世帯に光ファイバが敷設されれば、様々な公共サービスを通信インフラに乗せることで地域格差の是正とコスト削減が可能と主張

– 会計監査院「平成20年度決算検査報告」の評価• 書面を用いてきた申請・届出などをインターネット等を経由した電子的な申請を可能にするためのシステムのうち、 10府省等の12電子申請等関係システムが効果が十分発現しておらず、これらシステムに対しシステムの停止、簡易なシステムへの移行など費用対効果を踏まえた措置を執るよう要求

– http://report.jbaudit.go.jp/org/h20/2008-h20-0050-0.htm• 「電気通信格差是正事業費補助金等で整備した設備が補助

の目的を達していないものなど」として4件、国庫補助金208億円が国庫補助金の利用として不当

– http://report.jbaudit.go.jp/org/h20/2008-h20-0081-0.htm23/04/24 情報経済システム論 41

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日本の情報通信政策• ユニバーサル・アクセスは必要か

– 静岡県川根本町の住民投票• 静岡県川根本町「川根本町情報通信整備事業計画」

– 情報通信整備事業詳細設計4300万円– 事業本体16.6億円– 毎年運営費7千万円– おおよそ年 2億円の経費を人口 8271人が負担する計画

• 2011 年 10月 21 日:町議会にて計画実施に関する住民投票案条例案否決

• 2012 年 1月 19 日:町長リコール 2662人(有権者の 36.7%)、議会解散請求 2769名(同 38.2%) の署名により 2月にダブルリコールに関する住民投票を実施する事が画定

• リコール運動の主張: ADSL はほぼ全世帯 (58/60) で利用可能、 4300万円だけで十分な代案が可能http://kawanehonyushinokai.eshizuoka.jp/e833181.html

• 町長は計画の白紙撤回を表明23/04/24 情報経済システム論 42

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日本の情報通信政策• アクセス事業者

– NTT ドコモ• 旧国営の NTT の移動通信部門が 1990 年に政府による移動体通信業

務の分離に関する指針によって分離• 1998 年に株式を上場するが、依然として NTT が 62% の株式を保有• 現在は W-CDMA方式の携帯電話事業を提供• 第二種指定電気通信設備指定による規制に加え、その他要因を考慮

した行為規制が存在– KDDI

• 2000 年に DDI (長距離)、 KDD (国際)、 IDO (携帯)が合併して設立

• 現在は cdma2000方式の携帯電話事業を提供• 移動通信のブランドは au• 第二種指定電気通信設備指定による規制有り

– ソフトバンク・モバイル• 2000 年に ADSL で通信市場に参入• 2003 年に日本テレコム( 1984 ~長距離)・ 2006 年にボーダフォン

( 1991 ~のデジタルツーカーらが前身)を買収し、総合通信事業者となる

• 現在は W-CDMA方式の携帯電話事業を提供43

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23/04/24 情報経済システム論

日本の情報通信政策• その他の移動通信事業者

– アクセス事業者• イーモバイル: 2007 年 3月に W-CDMA方式で携帯電話事業を開始( ADSL サービスを営むイー・アクセスの移動通信部門)

• ウィルコム: 1995 年に DDIポケットとして PHS 事業を開始、 2004 年にカーライル・グループを筆頭株主とする形で KDDIより独立、 2007 年に 2.5GHz周波数を比較審査で獲得、 2009 年 9月に事業再生 ADR を申請、 2010 年ソフトバンクの支援を受け経営再建中

• UQ コミュニケーションズ: 2007 年に 2.5GHz周波数を比較審査で獲得し、 2009 年 7月に WiMAX と呼ばれる技術でデータ通信サービスを開始

– MVNO ( Mobile Virtual Network Operator )• アクセス事業者の回線を付加価値を付けて再販する事業者の事を

MVNO と呼ぶ• 日本通信:ウィルコム・ NTT ドコモ等から回線を調達し、プリペ

イド型データ通信カードや法人向けソリューションなどを販売• ディズニー・モバイル:ソフトバンクから回線を調達し、ディズ

ニーキャラクターの意匠を用いた端末やコンテンツサービスを提供

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日本の情報通信政策

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出典: TCA「携帯電話 /IP 接続サービス /PHS/無線呼び出し契約数」より作成

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日本の情報通信政策

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出典: TCA「携帯電話 /IP 接続サービス /PHS/無線呼び出し契約数」より作成

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日本の情報通信政策

23/04/24 情報経済システム論 47

出典: TCA「携帯電話 /IP 接続サービス /PHS/無線呼び出し契約数」より作成

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日本の情報通信政策• 端末事業者

–キャリア系端末メーカー• 特定のアクセス事業者に対して納入する端末を開発・製造するメーカー

• 通信キャリアによる仕様要求に従って開発を行うが、見返りとして開発資金援助等を受ける

• シャープ、パナソニック、 NEC カシオ、富士通東芝など

– 非キャリア系端末メーカー• 特定のアクセス事業者向けではなく、どのアクセス

事業者でも利用できるような端末を開発• アップ

ル、 HTC 、 RIM 、 NOKIA 、 SAMSUNG 、 LG 等48

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• 2010 年国内携帯電話端末市場のシェア

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日本の情報通信政策

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出典: IDC Japan, http://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/20090318Apr.html総出荷台数は 3,615万台程度

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日本の情報通信政策

23/04/24 情報経済システム論 50出典: Gartner http://www.gartner.com/it/page.jsp?id=1543014

総出荷台数は 15.96億台程度

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23/04/24 情報経済システム論 51

出典: Gartner http://www.gartner.com/it/page.jsp?id=1848514

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日本の情報通信政策

23/04/24 情報経済システム論 52

出典: Gartner http://www.gartner.com/it/page.jsp?id=1848514

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日本の情報通信政策• コンテンツ事業者

– 携帯電話向けのコンテンツサービスを提供する事業者

– コンテンツの例• 音楽配信:着メロ・着うた、等• 動画配信: BeeTV ・ EZチャンネル・ Youtube ・ニコ

ニコ動画等• ゲーム:モバゲータウン・ G モード等• 電子書籍:コミック・小説・辞書等• コミュニティ: GREE ・魔法の i らんど・ドコモコミ

ュニティ等• 情報サービス:乗り換え案内・地図・天気・グルメ等• オンラインショッピング:通販・オークション等

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日本の情報通信政策

23/04/24 情報経済システム論 54出典:総務省平成 23 年度情報通信白書

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日本の情報通信政策

23/04/24 情報経済システム論 55

出典:モバイルコンテンツフォーラム  MCF発表統計データhttp://www.mcf.to/releasedata/index.html

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日本の情報通信政策• 理論との関係

– ボトルネック性• 第二種指定電気通信設備

– 代替性があり不可欠設備ではないが、円滑な接続のため、相対的に強い交渉力を有する事業者(具体的には業務区域毎に 25% 以上の端末設備を有する事業者)に対して、接続約款の作成や適正なコストに基づく接続料の設定義務がある( NTT ドコモ・ KDDI の携帯電話網)

– NTT ドコモへの非対称規制• 第二種指定電気通信設備を有し、かつ売り上げシェ

ア 25%超、その他事情を勘案し、以下の行為規制が課せられている

– 情報の目的外利用、不当な差別的取り扱い、製造・販売事業者への不当な干渉、サービス別収支会計報告・公表

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日本の情報通信政策• スイッチングコスト・ロックイン

– 携帯電話会社変更には、様々なスイッチングコストが生じる

• 電話番号の変更( 2006 年よりナンバーポータビリティが可能)

• 端末の買い換え( SIMロックが行われていない同じ通信方式の端末なら買い換え不要)

• メールアドレスの変更• コンテンツサービスの再契約• 蓄積されたコンテンツの移行・破棄• 長期契約割引の喪失• ポイントの喪失• 等

– 携帯電話事業者は端末購入等による初期費用を引き下げ、後の利用から利益を確保しようとするインセンティブを持つ

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日本の情報通信政策• 垂直的取引関係

– 携帯電話事業者は通信サービスと垂直的関係にある各財の流通をコントロールしている

• 端末– 端末メーカーは端末を直接消費者に販売するのではなく、通

信事業者に端末を納入する– OS の開発・規格の策定等も通信事業者の主導の元メーカー

が行う– 端末の開発にもキャリアから様々な要求が行われる

• 販売(端末販売・加入者契約)– メーカーから納入された端末の販売は、通信事業者が量販店

・系列の携帯電話ショップ等を通じて行う– 販売奨励金・加入者獲得奨励金などと呼ばれるインセンティブメカニズムが用いられている

• コンテンツ– コンテンツ事業者のうち、通信事業者に公式サイトと認定さ

れた事業者は、通信事業者の決済代行サービスを利用できるほか、通信事業者のポータルサイトに掲載される

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日本の情報通信政策• ネットワーク効果

– 携帯電話利用者同士に生じるネットワーク効果• 事業者間互換性のあるもの:通話・メール・赤外線通信• 事業者間互換性のないもの:デコメ・プッシュトーク・ TV 電話等

– 利用者や補完財の間に生じる間接ネットワーク効果• ユーザ・端末・コンテンツ・通信サービスそれぞれが互いに影響を及ぼ

す– ユーザが増えれば端末・コンテンツが増え、端末・コンテンツが増加すればユーザが増加する

– 通信サービスが高速化すれば、大容量コンテンツの需要が高まり、大容量コンテンツが増加すれば高速サービスの需要が高まる

– 利用可能なコンテンツが増えれば端末は需要が増え、端末が増えれば利用可能なコンテンツも増加する

– 携帯電話利用者とその他の通信サービス利用者との間に生じるネットワーク効果

• 携帯電話ユーザと固定通信ユーザも、通話・メール等で通信を行う事ができる

• 固定通信と移動通信を組み合わせた FMC ( Fixed mobile convergence) サービスが登場しつつある

– 携帯電話市場はこれらの組み合わせからなる複雑な多面的市場

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日本の情報通信政策

23/04/24 情報経済システム論 60

• 移動通信事業と周波数割り当て– 免許割り当て

• 比較審査方式により電波利用免許の取得の認可を受ける必要がある• どの周波数帯をどの技術に用いるかは、総務省が ITU や IEEE 等の

国際標準化動向を踏まえながら定める• 免許を割り当てられた事業者は、一定期間内にサービスエリアを

一定以上に展開しなければならない( 5 年で人口カバー率 50% )– 近年の割り当て

• 2005 年 1.7GHz 帯を FDD3G 携帯電話方式 2 社(イーモバイル・ソフトバンク)、 2GHz 帯を TDD3G 携帯電話方式 1 社(アイピーモバイル)に割り当て

– ソフトバンクはボーダフォン買収に伴い 1.7GHz 帯を返上、アイピーモバイル社は資金を集められず倒産、 2GHz 帯に割り当てられた免許は返上

• 2007 年 2.5GHz 帯を広帯域移動無線アクセスシステム 2 社( UQ コミュニケーション、ウィルコム)と地域免許に割り当て

• 2009 年に 1.5GHz 帯を 3 社 (10MHz*2,15MHz*1) 、 1.7GHz を 1 社に割り当てる予定(技術は LTE 、現 4 社に 1つずつの見込み)

• 2012 年に 700MHz帯、 900MHz 帯を割り当て予定

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日本の情報通信政策

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• 移動通信事業者の設備にボトルネック制が無いとされた理由( 2000 年答申)– ①電気通信設備を設置する事業者が地域単位に3以

上存在する– ②複数の移動体通信事業者が、加入者回線を含め自

ら設備を構築しており、かつその設備が各社遜色なく、全国にエリア拡大されており、加入者回線を含めたネットワークの代替性が存在している

– ③移動体間の通信は全体の5分の1以下(99年度)にとどまっており、また、固定網が各家庭や事業所への最終通信手段(ラストリゾート)となっているのに対して、移動体網は主として個人単位でのオプショナルな通信手段として普及拡大しており、単純な量的な拡がりでみられるよりも移動体のボトルネック性が弱いこと

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日本の情報通信政策

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• 第二種指定電気通信設備制度の趣旨– 移動体通信市場で市場支配力を有すると認定された事業者

は、多数の加入者を直接収容するため、他事業者は当該事業者との接続を行わなければ多数の加入者との間で通信を行えないことになるので当該事業者の設定する接続条件如何によっては市場に参入し、サービスを継続すること自体が困難となる。

– 当該事業者は、接続事業者との相対関係において強い交渉力を有することになり、交渉上の優位性によって不当な差別的取扱いや原価を上回る接続料が設定されると、接続事業者は市場から容易に排除される可能性。

– また、一方の側で多数の加入者を収容していないために接続交渉の迅速化のインセンティブが他方の側にしか働かないような状況では交渉自体がともすると遅延し市場の参入に支障を来す可能性。

– このような市場からの排除がないようにするための最低限の担保措置として、接続料を含む接続条件に関して透明性をより確保することを基本としたルールとして第二種指定電気通信設備制度の創設が必要。

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日本の情報通信政策

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• 携帯電話接続料金に関する議論– 第二種指定電気通信設備を設置する電気通信事

業者の接続料は、「能率的な経営の元における適正な原価に適正な利潤を加えたもの」とされている

– 対称となる原価• 設備費用(減価償却費・施設保全費など)

– ならない原価– 端末販売奨励金( 2008 年に除外)– 広告比などその他営業費用( 2009 年に営業費を算入することは適当でないとされた)

– ネットワーク外部性→ 2007 年に Ofcom が採用するが、 2009 年の EU 指令はこれを認めないとした

出典:「情報通信審議会 電気通信事業政策部会 接続政策委員会(第 9 回)配布資料」http://www.soumu.go.jp/main_content/000038955.pdf

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日本の情報通信政策

23/04/24 情報経済システム論 64出典: NTT ドコモ記者懇談会資料に加筆修正