形式言語とオートマトン

形式言語とオートマトン

第 4 回鳥取大学工学研究科

情報エレクトロニクス専攻田中美栄子

1


本日の予定

・空動作を許すオートマトン

・ DFA と NFA の同等性

の２点について学ぶ

１


本日の予定１

空動作を許すオートマトン

1


空動作とは？

空動作（ ε-move ）とは入力記号を読まずに状態遷移できる( つまりいつでも遷移してよい）

Pε ε

ε

S SQ

R

P=)ε,S(δ Q=)ε,S(δ R=)ε,S(δ

1


空動作を許す、とは？0

p

1

ε

ε

入力無しでも二つの状態 q,r のどちらかに行ける

q

r

1


空動作を許す場合も動作関数を拡張して五字組で表す

動作関数 QQ 2}){(:

FqQM ,,,, 0

Q 状態の有限集合

入力記号の有限集合

0q 初期状態 Qq 0F 受理状態の有限集合 QF

注意

),()0,(},{)1,(

,),()1,(},{)0,(

,)1,()0,(},,{),(

rrrr

qqqq

pprqp

QQ 2}){(:

1


FqQM ,,,, 0},,{ rqpQ

}1,0{

pq 0},{ rqF

0

qp

1

r

空動作を許す場合の五字組

1


空動作を許す場合の動作例

$0 0 0

r

q

p

1

・入力 00 に対するＭの動作

ε

ε

1


空動作の動作例

0

r

q

p

1


入力記号を読まずに状態遷移

２通り存在する

εε

場合１

場合２

$0 0

1



0

r

q

p

1


εε

場合１$0 0

受理できる

1



0

r

q

p

1


εε

$0 0

これ以上遷移できない

→受理できない

場合２

1



0

r

q

p

1


ε

ε

$0 0

入力語を読み終えたとき受理状態に到達する遷移が可能なので

入力語 00 は受理される。

1



0

r

q

p

1


ε

ε$1 1 0

入力語を読み終えたとき受理状態に到達する遷移が不可能なので

入力語 110 は拒否される。

1


空動作のまとめ


空動作とは，入力記号を読まなくてもできる状態遷移

ε

εS

Q

R

}R,Q{),S(

状態遷移は様々な場合が存在する

２


本日の予定２

DFA と NFA の同等性

2


非決定性有限オートマトン (NFA)→ 決定性有限オートマトン

(DFA)NFA （非決定性 FSA ）

a

aasr

b

t

DFA （決定性 FSA ）

b

b

b

a a{r,s}{r} {p,q,r}

a

a b

{r} {r,s} {r}

{r,s} {r,s,t} {r}

{r,s,t} {r,s,t} {r}

a b

r r, s r

s t --

t -- --

nδ

2


非決定性有限オートマトン (NFA)→ 決定性有限オートマトン

(DFA)NFA （非決定性 FSA ）DFA （決定性 FSA ）

0

qp

1

r{∅}

0

1

1

0

0

1

0,1

{q}

{r}

{p,q,r}

２ DFA と NFA の同等性


教科書 P.47　【例 2.6 】を読みましょう。実際に図 2.9 を図 2.13 に変換してみよう。

※ アルゴリズム 2.1 をじっくり読めば理解できます。



1. の状態の集合に応じての状態をつくるa

aasr

b

t 𝑴 𝒅= {{𝒓 , 𝒔 ,𝒕 } , {𝒓 , 𝒔 }, {𝒔 ,𝒕 } , {𝒕 ,𝒓 } , {𝒓 } , {𝒔 }, {𝒕 } ,∅ }

2. において入力を読まずに遷移できる状態を　初期状態とする

3. の受理状態を含む状態をの受理状態とする

4. 教科書を読んでもわかりにくい・・・

a b

{r} {r,s} {r}

{r,s} {r,s,t} {r}

{r,s,t} {r,s,t} {r}



t

a

aasr

b

t

要は入力によって何処に遷移するかを見るだけ !!r に a が入力された場合 r 又は s に遷移する

⇒ {r,s} という名前を持つ状態に遷移

すると考える

a b

{r} {r,s} {r}

{r,s} {r,s,t} {r}

{r,s,t} {r,s,t} {r}

t

a

aasr

b



要は入力によって何処に遷移するかを見るだけ !!r に a が入力された場合 r 又は s に遷移する

t

t

a

aasr

b

t

⇒ {r,s} という名前を持つ状態に遷移

すると考える



a b

{r} {r,s} {r}

{r,s} {r,s,t} {r}

{r,s,t} {r,s,t} {r}

要は入力によって何処に遷移するかを見るだけ !!{r,s} に a が入力された場合 r 又は s 又は t に

遷移する

t

a

aasr

b

t

⇒ {r,s,t} という名前の状態に遷移すると考える

t

a

aasr

b

t

初期状態から到達できる状態だけで良い

2


NFA→DFA遷移先がない場合も複数ある場合もあるa

aasr

b

t

遷移先が一意に決定

b

b

b

a a{r,s}{r} {p,q,r}

a

a b

{r} {r,s} {r}

{r,s} {r,s,t} {r}

{r,s,t} {r,s,t} {r}

a b

r r, s r

s t --

t -- --

nδ

２ NFA を同等な DFA に書き換えるアルゴリズム


教科書 P.50　【例 2.7 】を読みましょう。実際に図 2.11 を図 2.14 に変換してみよう。

※ アルゴリズム 2.2 をじっくり読めば理解できます。

0

qp

1

r

２空動作のある場合


1. 初期状態の構成

{p,q,r}

入力を読まなくても q, r に遷移可能　　　　初期状態　

0

qp

1

r



1. 初期状態の構成

{p,q,r}

DFA の初期状態は{p.q.r} 　となる

NFA の初期状態 p から入力なしで　 q 　または　 r 　に遷移できる

0

qp

1

r



1. 初期状態の構成NFA の初期状態 p から入力なしで　 q 　または　 r 　に遷移できる

DFA の初期状態は{p.q.r} 　となる

{p,q,r}

0

qp

1

r

２


2. アルゴリズム 2.1 と同様に状態遷移をつくる

空動作のある場合

{p,q,r}

0

qp

1

r

２


2. アルゴリズム 2.1 と同様に状態遷移をつくる

∅

0

1

1

0

0

1

0,1

{q}

{r}

{p,q,r}


0

qp

1

r

２


3. 受理状態を含む部分集合に対応する状態を　　　受理状態とする

∅

0

1

1

0

0

1

0,1

{q}

{r}

{p,q,r}


0 1

{p,q,r} {q} {r}

{q} {q} Φ

{r} Φ [r]

Φ Φ Φ

ε 0 1

p q,r

q r

p -- q --

r -- -- r

2


NFA→DFA遷移先が不確定遷移先が一意に決

定

nδ

0

qp

1

r∅

0

1

1

0

0

1

0,1

{q}

{r}

{p,q,r}

dδ

２ DFA と NFA の同等性まとめ


　・決定性有限オートマトン (DFA)

　　　　　　　　　同等（同じ仕事をする）

　・非決定性有限オートマトン (NFA)　・空動作を許す非決定性有限オートマトン（ NFA)

　アルゴリズム 2.1 や 2.2 を使って書き換えられる

3


頭の整理のために

小テストを行いましょう。

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