ヤマトシジミによる 木曽三川汽水域に おける生息地評価
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ヤマトシジミによる木曽三川汽水域における生息地評価
21117023金本 裕司
目次• 背景• 目的• 方法• 結果• 考察• まとめ
•背景
木曽三川汽水域の環境変化
• 木曽三川汽水域の流域環境は戦後の 産業発展や人口増加に伴い大きく変化した
地盤沈下埋立
河口堰建設
高まる環境保全事業の必要性
• 事業前後の環境変化の定量化が望まれる
成功基準が曖昧
•目的
• 流域の環境を生物の生息環境の質と面積で定量的に評価する
HSI(Habitat Suitability Index)モデルにより生息環境の質を定量化
環境変化の前後を定量的に比較
2010 年と 1975年
•方法
材料• ヤマトシジミ (Corbicula japonica)- 汽水域の代表種のひとつ- 生物資源- 環境浄化作用
近年、漁獲高の減少が懸念されている
対象地• 揖斐川、長良川、木曽川 の河口から 15 ㎞地点まで• 25m×200m メッシュ で値を算出
HSI モデル• 対象種の生息環境としての質を点数化
0 HSI≦ ≦ 1
1. 環境要因の抽出2. 各環境要因ごとに
SI(Suitability Index) モデル を構築しそれらを結合3. それぞれの SI モデルを結合 し HSI モデルを構築する
各地点に点数をつける0 SI 1≦ ≦
環境要因の抽出
• 塩分濃度淡水でも生息可能だが産卵期のみ塩分が必要
高濃度塩分下では生息できない
• 底質粒度底質が細粒化すると- 冬眠ができない- 稚貝が着底できない
• 水深水深 5m 以上では生息が確認されていない
0 1000 2000 3000 40000
0.2
0.4
0.6
0.8
1
塩化物イオン濃度 mg/L
V1
0 20 40 60 80 1000
0.2
0.4
0.6
0.8
1
シルト含有率 (%)
V2
0 2 4 60
0.20.40.60.8
1
水深 (m)V3
V1 V2 V3
HSI モデルの構築
HSI=3√V 1×V 2×V 3
0 1000 2000 3000 40000
0.2
0.4
0.6
0.8
1
塩化物イオン濃度 mg/L
V1
0 20 40 60 80 1000
0.2
0.4
0.6
0.8
1
シルト含有率 (%)V2
0 2 4 60
0.20.40.60.8
1
水深 (m)
V3
•結果
塩分濃度に対するヤマトシジミの生息適性分布
2010 1975
塩分適性値が上流側へ移動
河口堰建設により淡水化
底質粒度のヤマトシジミの生息適性分布2010 1975
長良川が粗粒化
水深のヤマトシジミの生息適性分布
2010 1975
全体的に水深適性が低下
ヤマトシジミの生息適性値分布2010 1975
底質適性の増加が塩分適性の減少によって打ち消されている
質 × 面積
SI塩分×面積 SI底質×面積 SI水深×面積 HSI×面積 (k )面積 ㎡2010 3.06 7.30 4.90 2.451975 4.44 7.30 5.81 4.36
2010/ 1975 0.69 1.0 0.840 0.5602010 0.31 4.63 2.96 0.0561975 4.60 2.31 3.89 2.45
2010/ 1975 0.067 2.0 0.76 0.0232010 4.96 9.21 8.20 4.511975 6.79 8.59 9.43 6.29
2010/ 1975 0.73 1.07 0.87 0.722010 8.33 21.1 16.1 7.021975 15.8 18.2 19.1 13.1
2010/ 1975 0.53 1.16 0.84 0.54
揖斐川
長良川
木曽川
全体
7.3
4.62
11.0
22.9
47% 減少 16% 減少
考察• 塩分遡上距離の延伸に伴い河口周辺の塩分適性は減少したが、揖斐
川、木曽川の上流側において塩分適性範囲が広がったと考えられる
• 汽水域全体にわたって水深が増加した
より上流域も含めた検討が必要
干潟再生等、水深の増加を抑制する事業が必要
まとめ• HSI モデルにより環境変化の前後を定量的
に評価できる
• 今後の課題• 環境変化を反映しているのか正しく反映しているのか • 抽出されなかった環境要因による影響
• 各要因の重み付け
実際の漁獲量などと照らし合わせて信頼性を
確認
• ご清聴ありがとうございました