三原建弘 (理研 )、 米徳大輔 、 村上敏夫 、 高橋拓也 、若島 雄大、...
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三原建弘 (理研)、米徳大輔、村上敏夫、高橋拓也、若島雄大、米持元(金沢大)郡司修一 (山形大)、當真賢二 (大阪大)GAP チーム
IKAROS 搭載ガンマ線バースト偏光検出器 (GAP) による高偏光度プロンプト放射の検出
日本物理学会 2012.9.14. 京産大14pSP-5
2012.9.8. 「冬眠」モードから覚めた IKAROS を捕捉。 1.64au9 月 8 日は何の日? ・ IKAROS チームで良かったなぁ♪と実感した日( IKAROS ブログより)
GRB の偏光 (三原関係)• GRB970228 X線残光発見、宇宙論的遠方の大爆発• 2001.11. X 線・ γ 線偏光シンポジウム ( 理研 三原 )
• 2005-2007 度 (基盤 B ) 散乱型 硬 X 線偏光検出器 GAPOM の展開– 2006.6.13. PHENEX/GAPOM 気球実験 – 気球上昇中に GRB が発生したが観測できなかった。
( 三原 物理学会 2006 秋 )
– カニ星雲の偏光上限値を得た (Gunji et al. 2007)
• 2002-2004 度 (科研費、基盤 B ) GRB 用 X 線偏光検出器GAPOM の開発– 検出器の試作、 KEK-PF で偏光 X 線照射、
気球実験の準備 ( 三原 物理学会2003 春秋 /2005 春 )
– RHESSI による GRB 021206 の偏光 (Coburn et al. 2003)
• 2008.5. IKAROS への GAP 搭載を理学委員会に提案 (PI 村上 )
IKAROSInterplanetary Kite-craft Accelerated by
Radiation Of the Sun
2010 年 5 月 21 日 HII-A で打ち上げ金星探査機あかつきの相乗り。( 800kg のダミーマスの一部として)
310kg(セイル膜70kg )
GAP反太陽面に配置
放出した無線カメラで撮影
数 rpm で回転
Yonetoku+2011
17 cm, 3700g, 5W
70 – 300 keV で偏光測定GAmma-ray burst Polarimeter
Yonetoku+2011後方、側方は鉛板で遮へい
プラシンとCsI の同時計数12 個の CsI で散乱方向を知る。
コンプトン散乱の散乱異方性を測定
幾何学的な 対称性が高い
GAP on 直後 に最初の GRB を検出
JAXA プレスリリース 2010.7
GRB 100826A は、他の衛星 (Konus, Fermi, Suzaku, Mars Odessay, Messenger ) により、図で青で囲まれた領域内と決められた。
IPN (Inter Planetary Network)ガンマ線の到達時間差を使ったGRBの位置決定方法
惑星空間にいる(距離が遠い)イカロスを使うとその距離が遠いだけより高い精度で決まる。黒い帯状に走る線がイカロスにより決められた制限帯である。両者を組むと、許される領域がとても狭い事がわかる。
-10
-15
-20
-25
-30
-35278 279 280 281 282赤経
赤緯
GAPを使って 到達時間差から求めた位置
他の衛星が求めた位置
GRB 100826A の位置決め
20110126 宇宙開発委員会への報告より
No. GRB 総エネルギー(erg/cm2)
入射角 No. GRB 総エネルギー(erg/cm2)
入射角
1 100707A a 8.8×10-5 93 16 110124A -2 100715A 19 17 110301A a 3.7×10-5 483 100719B 145 18 110406A b 4.8×10-5 1334 100722A 34 19 110423A -5 100804A 63 20 110428A a 2.3×10-5 1096 100809A - 21 110505? -7 100820A 34 22 110510? -8 100826A b 3.0×10-4 20 23 110514 -9 101014A a 2.0×10-4 54 24 110604A c 3.1×10-5 43
10 101021A 41 25 110625A b 6.1×10-5 4111 101113A 26 26 110708A d 2×10-6 6712 101123A a 1.3×10-4 74 27 110715A b 2.3×10-5 8813 101126A 62 28 110717B 2514 101219A b 3.0×10-6 52 29 110721A a 3.5×10-5 3015 101231A 63 30 110825A a 5.4×10-5 29
a : 10-1000 keV
b : 20-10000 keV
c : 20-5000 keV
d : 20-200 keVGAP が検出した GRB 10 日に 1 個程度
GRB100826A (入射角 20 度 ) 残光未発見
偏光度 ( 信頼度 )
偏光角
前半 25±15% (95.4%) 159±18 度
後半 31±21% (89.0%) 75±20 度
前半+後半同時フィット
27±11% (99.4%)
Konus Golenetskii et al.
Epeak 606 (+134/-109) keVFluence (3.0 +/- 0.3)×10-4 erg/cm2
Yonetoku+2012
トップ 1% に入る非常に明るいバースト
GRB110721A (入射角 30 度 ) 残光あり z=0.382
偏光度 0%
散乱角度 (deg)
散乱強
度 (
Coun
ts/d
egre
e)
偏光度 85%
散乱角度 (deg)
Fermi GBM, LAT Tierney et al., Kienlin et al.
T90 24.45 secEpeak 372.5 (+26.5/-23.6) keV Fluence (3.52 +/- 0.03)×10-5 erg/cm2
観測 datasimulation data
偏光度 84 (+16/-28) % 偏光角 160±11 度 信頼度 3.3σ (99.9%)
3σ
2σ1σ90%
values2
Yonetoku+2013
GRB110301A (入射角 48 度 ) 残光未発見
偏光度 0%
散乱角度 (deg)
散乱強
度 (
Coun
ts/d
egre
e)
偏光度 70%
散乱角度 (deg)
Fermi GBM Foley et al.
T90 ~ 5 secEpeak 106.8 (+1.85/-1.75) keVFluence (3.65 +/- 0.03)×10-5 erg/cm2
偏光度 70 ±22 % 偏光角 73±11 度 信頼度 3.7σ (99.98%)
3σ
2σ1σ90%
values2
解析結果のまとめ
■ GRB100826A:約 30% の偏光度。前半と後半で偏光角の変化あり
■ GRB110721A 、 GRB110301A:約 70% の偏光度。偏光角の変化なし■条件のよい5例のうち4例から偏光度の 90% 上限値で 50-80% を得ている。
・ GAP では「 GRB はすべて 50%程度 (40-60%) の偏光度を持つ」という仮説は許容。 (IBIS で P<4%) GRB041219A ・今回の2例は、測定された偏光度が高かったため有意に検出できたと言える。 本当に偏光度が高いのか、光子統計ゆらぎで「偏光度が高く」見えたのかは、分からない。
ジェットの開き角 θj 、相対論的ビーミング効果 1/Γ
1.中心エンジンから放出された大局的に向きのそろった磁場
正面
偏光
偏光
2.衝撃波で生成された磁場(個々はランダムな方向を向いているが、ハイドロダイナミックなスケール以内では方向がそろっている)
軸対称ジェットでも偏光角の時間変化は、1/Γ よりも小さなスケールのパッチが存在するとすれば良い。
50% を超える偏光度は「光球の準熱的放射モデル」では説明できず、3例をすべて説明するモデルは「シンクロトロン放射モデル」に限られる。
Yonetoku+2013
まとめ ■ GAP は 2010.6.21-2011.8.25 で合計 30例の GRB を検
出。■ これまでに 3 例の GRB からガンマ線偏光を検出した。 GRB 偏光有意度 偏光度 偏光方向の変化 100826A 2.9σ 27(±11)% 第1、第2ピークで偏光方向回転 110301A 3.7σ 70(±22)% 2 -6個のマルチピークで偏光方向同じ 110721A 3.3σ 84(+16-28)% シングルピーク、偏光方向同じ
■ 質の良い5例のうち4例から、偏光度の 90% 上限値で 50-80% を得ている。
■ 50% を超える高い偏光度を説明するには、 シンクロトロン放射モデルがもっともよい。■放射領域の磁場構造は、ゆるやかにそろった、衝撃波で生成された磁場か、中心エンジンから放出された大局的に向きのそろった磁場であると推測される。
質問
井岡さん シンクロトロンモデルしかだめ、というわけではない。 ただ、高い率で偏光度が高いイベントが多いということになると、 散乱では苦しい。
GAPはまだ例数が増えるんですか? 今日ONすると言っていました。われわれはそう願っています。
GRB100826A どうやって境目の50sを選んだんですか? ちょうど2つ目のピークが始める前で。
装置は生きているんですか? これから確かめます。 冬眠状態の時に、GAP側から太陽光が当たり、GAPプレートが 100 度になったという解析結果がある。 CsI が 100℃ になると、ぐにゃっと曲がるかも知れない。たぶん大丈夫でしょうけど。
まだ、いろいろ許されるモデルはあるようですか、それを決めるにはどのような観測をすればいいですか? 観測例数を上げることだと思います。
森さん 今回の偏光度が高かった2例は、明るい方から2つですか? いえ。そういうわけではありません。正確な順番は予稿に書いておきましたが、 トップ3ではありませんが、トップ 10 には入っています。
聴衆 約60人
IKAROS の軌道打ち上げから金星最接近2010.5.21.- 2010.12.8.
太陽ー地球固定系
金星最接近から 2012 年 3 月2010.12.8.- 2012.3.31.
2012 年 4 月から最遠点2012.4.1.- 2012.12.6.
2012.9.14現在太陽距離 : 0.73au地球距離 : 1.64au
2011.8.25 最後の GRB2012.1.-5 月冬眠モード
2011.10.18. 逆スピンに移行。 -5.3rpm2012.1.6. 太陽角低下により、冬眠モードへ。2012.9.8. (先週土曜) に冬眠後の IKAROS 発見。 -6.5rpm - 冬眠期間中に太陽熱でシンチレータがやられていないか?来週から臼田が改修にはいり、 2012.10末に MGA で運用できるかも。次の活動期 2013.4-8期は、同じくらい遠い。その次の活動期は 2014.2-6期で、再び地球に近くなるが。
金星 flyby 時の画像
GRB021206 (RHESSI) Coburn & Boggs (2003, Nature)
Confidence level > 5.7 σ(Chance Prob. = 3.5 x 10-8)
Π = 80 ± 20 %0.15 – 2.0 MeV, 入射角度 18 度
Rutledge & Fox (2004) : Π < 100 %Wigger et al. (2004) : Π = 41 (+57, -43)
It seems unlikely that a constraint will emerge from further RHESSI observations.
制限できないという結果
過去の観測装置 – RHESSI & INTEGRAL –
RHESSI INTEGRAL (SPI)
幾何学的形状が簡単で、同期イベントを処理できることが重要。
複雑な検出器形状:散乱角度の評価が難しいコンプトン散乱型の偏光計としては系統誤差の評価が難しい。
GRB041219A (INTEGRAL) Gotz et al. 2009 (INTEGRAL-IBIS)
Karemci et al. 2007 (INTEGRAL SPI)
■ McGlynn et al. 2007 (SPI: 100 – 350 keV) First peak 63 (+31, -30) 70 (+14, -11)
■ Kalemci et al. 2007 (SPI: 100 – 350 keV) First peak 100 ± 36 48.3 ± 3.8 Total 98 ± 33 45.4 ± 5.2
■ Gotz et al. 2009 (IBIS: 200 – 800 keV )GRB041219A (INTEGRAL)
角度応答に関する系統誤差の評価57Co (122keV) を用いた実験入射角度 20 度
系統誤差 (標準偏差 )
0 < θ < 40 度の範囲では入射角度に依らず 1.8 % 程度
1m
57Co (122keV)
1.8%
Geant4
継続時間と偏光度
強い偏光度を持った独立なパッチをN 個観測したときの偏光度
偏
光度
(%
)
継続時間 (sec)
1sec / pulse3sec / pulse
5sec / pulse
T90 :長い偏光度低い
T90 :短い偏光度高い
IKAROS
Interplanetary Kite-craft Accelerated by Radiation Of the Sun
2010 年5 月 21 日打ち上げ成功
0 100 300
散乱
ガン
マ線
の強
度
散乱角度200
GAmma-ray burst Polarimeter■ コンプトン散乱の散乱異方性を測定■ 幾何学的な対称性が高い
r0 : 古典電子半径E0 : 入射光子のエネルギーE : 散乱光子のエネルギー
GAP ( センサー )
17 cm, 3700g
70 – 300 keV で偏光測定
偏光度と解析に用いたコインシデンスカウント数の関係
点線で示したラインが、おおよそ実効的な 3σ 検出限界。「偏光が存在しない」と断言できるイベントはまだ見つかっていない。
GAP の偏光検出限界に相当する
27±11
どの情報が真実なのか、全くわからない
ガンマ線バーストの想像図
(1) 重い星が爆発してブラックホールが誕生すると、中心からほぼ光速のジェットが飛び出す。
(2) 「ガンマ線の偏光が検出された」ことから、 放射領域には数万ガウス程度のよく揃った 強磁場が存在していると考えられます。 背景の図において、ジェット内部の赤線は 強磁場を表現したものです。
ガンマ線バーストの想像図
(3) 「偏光方向が短時間で変化した」ことは、 ジェット内部にはガンマ線を作り出す領域が いくつか点在していて、それぞれの磁場の 向きは異なっていると考えられます。(4) 電子・陽電子が強磁場に絡みつくことで ガンマ線を作り出していると考えるのが自然です。
GRB090102 RINGO: Steele et al. 2010, Nature
160.8 秒後からの観測Π = 10 ±1%
GRB060418 RINGO: Mundel et al. 2007, Science
203 秒後からの観測で Π < 8 % (2σ upper limit)
磁場が良く揃っている場合
ランダム磁場の場合はジェットを端から見た場合に偏光する
パッチ状にローカル磁場が揃っている場合