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宇宙基本法が拓く宇宙開発利用:将来の展望宇宙基本法が拓く宇宙基本法が拓く宇宙開発利宇宙開発利用用:将来の展望:将来の展望

2008年11月7日於 防衛省

慶應義塾大学 青木 節子

目次目次目次

1 宇宙開発利用の世界基準

(許容される軍事利用の範囲に限定)

2 日本の現行宇宙政策

3 宇宙基本法により許容される宇宙の防衛利用の範囲

4 宇宙の防衛利用についてのその他の問題点

1 宇宙開発利用の世界基準

(許容される軍事利用の範囲に限定)

2 日本の現行宇宙政策

3 宇宙基本法により許容される宇宙の防衛利用の範囲

4 宇宙の防衛利用についてのその他の問題点

1宇宙開発利用の世界的基準1宇宙開発利用の世界的基準1宇宙開発利用の世界的基準

「条約の当事国は、核兵器及び他の種類の大量破壊兵器を運ぶ物体を地球を回る軌道に乗せないこと、これらの兵器を天体に設置しないこと並びに他のいかなる方法によってもこれらの兵器を宇宙空間に配置しないことを約束する。(「非侵略」)

月その他の天体は、もっぱら平和的目的のために、条約のすべての当事国によって利用されるものとする。天体上においては、軍事基地、軍事施設及び防備施設の設置、あらゆる型の兵器の実験並びに軍事演習の実施は、禁止する。---」(1967年 宇宙条約第IV条)

「条約の当事国は、核兵器及び他の種類の大量破壊兵器を運ぶ物体を地球を回る軌道に乗せないこと、これらの兵器を天体に設置しないこと並びに他のいかなる方法によってもこれらの兵器を宇宙空間に配置しないことを約束する。(「非侵略」)

月その他の天体は、もっぱら平和的目的のために、条約のすべての当事国によって利用されるものとする。天体上においては、軍事基地、軍事施設及び防備施設の設置、あらゆる型の兵器の実験並びに軍事演習の実施は、禁止する。---」(1967年 宇宙条約第IV条)

通常兵器 ○ICBM ○

2007年1月12日(現地時間)中国のASAT実験の国際法上の意味

20072007年1月年1月1212日(現地時間)日(現地時間)中国の中国のASATASAT実験の国際法上の意味実験の国際法上の意味

1 事実 地上865キロの軌道上 自国の気象衛星を中距離弾道ミサイル(弾頭は、運動エネルギー迎撃体=通常兵器)で破壊→「科学実験」と称する。

2 抵触可能性のある国際宇宙法規定

(1)自国の実験が他国の活動に「潜在的に有害な干渉を及ぼすおそれがあると信ずる理由があるときは」事前に「適当な国際協議」を行う義務 (宇宙条約第IX条)

(2)「実行可能な最大限度まで」自国の宇宙「活動の性質、実施状況、場所及び結果」に関する情報提供を行う義務(同条約第XI条)

1 事実 地上865キロの軌道上 自国の気象衛星を中距離弾道ミサイル(弾頭は、運動エネルギー迎撃体=通常兵器)で破壊→「科学実験」と称する。

2 抵触可能性のある国際宇宙法規定

(1)自国の実験が他国の活動に「潜在的に有害な干渉を及ぼすおそれがあると信ずる理由があるときは」事前に「適当な国際協議」を行う義務 (宇宙条約第IX条)

(2)「実行可能な最大限度まで」自国の宇宙「活動の性質、実施状況、場所及び結果」に関する情報提供を行う義務(同条約第XI条)

宇宙軍備管理への国際社会の努力宇宙軍備管理への国際社会の努力宇宙軍備管理への国際社会の努力

1985-1994年 軍縮会議(CD)の宇宙の軍備競争防止(Prevention of Arms Race in Outer Space: PAROS) アドホック委員会

1995年~ CD本会議のみでの議論

「宇宙兵器」禁止条約案、「ASAT兵器」禁止条約案

「ASAT兵器」禁止条約案

weaponization v. Militarization (立法政策)

1985-1994年 軍縮会議(CD)の宇宙の軍備競争防止(Prevention of Arms Race in Outer Space: PAROS) アドホック委員会

1995年~ CD本会議のみでの議論

「宇宙兵器」禁止条約案、「ASAT兵器」禁止条約案

「ASAT兵器」禁止条約案

weaponization v. Militarization (立法政策)

攻撃能力のある宇宙物体の配置禁止

地上の軍事力支援

2 日本の宇宙開発利用の特色22 日本の宇宙開発利用の特色日本の宇宙開発利用の特色

1969年5月9日/6月9日 国会決議→「非軍事」の宇宙利用のみが「平和利用」として許容される。

「日本の場合は、憲法というたてまえもあって、この平和という文字は、あくまでも「非軍事」というようなものに理解されるのが常識になっておるわけです。」

(提案者発言 衆院科学技術振興対策特別委員会)

1969年5月9日/6月9日 国会決議→「非軍事」の宇宙利用のみが「平和利用」として許容される。

「日本の場合は、憲法というたてまえもあって、この平和という文字は、あくまでも「非軍事」というようなものに理解されるのが常識になっておるわけです。」

(提案者発言 衆院科学技術振興対策特別委員会)

基本法以前の「宇宙の平和利用」解釈基本法以前の「宇宙基本法以前の「宇宙の平和利用」解釈の平和利用」解釈

1969年 宇宙開発事業団法審議時 国会決議採択 = 非軍事

1983年 自衛隊の通信衛星CS-2利用

1985年 海上自衛隊の米海軍軍用通信衛星利用

1985年 政府統一見解 (一般化原則)非軍事の定義

リモート・センシング、通信、測位、気象衛星利用

1998年 情報収集衛星打上げ決定 (2003打上げ)

2003年 弾道ミサイル防衛(BMD)導入決定時

1969年 宇宙開発事業団法審議時 国会決議採択 = 非軍事

1983年 自衛隊の通信衛星CS-2利用

1985年 海上自衛隊の米海軍軍用通信衛星利用

1985年 政府統一見解 (一般化原則)非軍事の定義

リモート・センシング、通信、測位、気象衛星利用

1998年 情報収集衛星打上げ決定 (2003打上げ)

2003年 弾道ミサイル防衛(BMD)導入決定時

基本法以前の宇宙利用(一般化理論)基本法以前の基本法以前の宇宙利用宇宙利用((一般化理論)一般化理論)

1985年 政府統一見解 (国会決議の解釈)

①自衛隊が衛星を直接、殺傷力、破壊力として利用することを認めない→ASAT兵器 ×

②利用が一般化しない段階における自衛隊の衛星の利用を制約する→早期警戒衛星 ×

③利用が一般化している衛星およびそれと同様の機能を有する衛星について、自衛隊による利用が認められる→情報収集衛星 ○

1985年 政府統一見解 (国会決議の解釈)

①自衛隊が衛星を直接、殺傷力、破壊力として利用することを認めない→ASAT兵器 ×

②利用が一般化しない段階における自衛隊の衛星の利用を制約する→早期警戒衛星 ×

③利用が一般化している衛星およびそれと同様の機能を有する衛星について、自衛隊による利用が認められる→情報収集衛星 ○

3 宇宙基本法により許容される宇宙防衛利用の範囲

33 宇宙基本法により許容される宇宙基本法により許容される宇宙防衛利用の範囲宇宙防衛利用の範囲

2008年5月21日、宇宙基本法が成立

同法案は2007年6月20日、議員立法として衆院に上程された。2008年5月9日に同法案を撤回して、与党と民主党の成案として衆院で討議のために提出した。(全5章35条及び附則)

提案趣旨 宇宙開発利用の重要性が世界的に急速に拡大

①宇宙利用の果たす役割を拡大するため、 「宇宙開発利用」を国家戦略として位置づけ、総合的・計画的に推進

②国民生活向上、経済社会の発展、安全保障(日本、世界)

2008年5月21日、宇宙基本法が成立

同法案は2007年6月20日、議員立法として衆院に上程された。2008年5月9日に同法案を撤回して、与党と民主党の成案として衆院で討議のために提出した。(全5章35条及び附則)

提案趣旨 宇宙開発利用の重要性が世界的に急速に拡大

①宇宙利用の果たす役割を拡大するため、 「宇宙開発利用」を国家戦略として位置づけ、総合的・計画的に推進

②国民生活向上、経済社会の発展、安全保障(日本、世界)

宇宙基本法で変わる部分宇宙基本法で変わる部分宇宙基本法で変わる部分

(1) 宇宙開発利用体制の再構築利用に重点

(2) 宇宙の軍事利用解禁

(3) 宇宙の産業化促進に国が関与

(1) 宇宙開発利用体制の再構築利用に重点

(2) 宇宙の軍事利用解禁

(3) 宇宙の産業化促進に国が関与

(1)体制再構築(1)体制再構築 現行開発体制現行開発体制

内閣官房内閣官房 内閣内閣 内閣府内閣府

文科省文科省 総務省総務省 国交省国交省 経産省経産省

SACSAC 気象庁気象庁

JAXA JAXA NICTNICT NEDONEDOUSEFUSEF

総合科学技術会議

宇宙基本法による組織改編宇宙基本法による組織改編

内閣内閣 内閣府内閣府(宇宙局)(宇宙局)

宇宙開発戦略本部宇宙開発戦略本部 本部長本部長 首相首相

副本部長:官房長官副本部長:官房長官 宇宙担当大臣宇宙担当大臣

全国務大臣がメンバー全国務大臣がメンバー 宇宙基本計画宇宙基本計画宇宙活動法宇宙活動法

宇宙開発戦略本部が実現すべき基本理念→「宇宙基本計画」で実現

宇宙開発戦略本部が実現すべき基本理念宇宙開発戦略本部が実現すべき基本理念→「宇宙基本計画」で実現→「宇宙基本計画」で実現

1 平和的利用 (第2条)

2 国民生活の向上 (第3条)

3 人間の安全保障、安全・安心社会(第3条)

4 国家安全保障(第3条)

5 産業振興(第4条)

6 人類社会の発展(第5条)

7 国際協力・宇宙外交 (第6条)

8 環境への配慮 (第7条)

1 平和的利用 (第2条)

2 国民生活の向上 (第3条)

3 人間の安全保障、安全・安心社会(第3条)

4 国家安全保障(第3条)

5 産業振興(第4条)

6 人類社会の発展(第5条)

7 国際協力・宇宙外交 (第6条)

8 環境への配慮 (第7条)

宇宙基本計画 (第24条)宇宙基本計画宇宙基本計画 (第(第2424条)条)

宇宙開発利用に関する施策の「総合的かつ計画的な推進」を図るため、基本的な方針及び政府が実施すべき施策を定める。

*具体的な目標と達成期間を明示する。

*インターネット等を利用して公表。

2009年5月頃最初の宇宙基本計画採択予定

宇宙開発利用に関する施策の「総合的かつ計画的な推進」を図るため、基本的な方針及び政府が実施すべき施策を定める。

*具体的な目標と達成期間を明示する。

*インターネット等を利用して公表。

2009年5月頃最初の宇宙基本計画採択予定

「宇宙基本計画」の内容「宇宙基本計画」「宇宙基本計画」のの内容内容

*これからの宇宙開発利用体制の整備

附則第3条 施行後1年を目途として、JAXAその他の宇宙機関の「目的、機能、業務の範囲、組織形態の在り方、当該機関を所管する行政機関等」について検討

附則第4条 行政組織の在り方についての再検討

*具体的なプロジェクト 基本理念に基づいて策定

*これからの宇宙開発利用体制の整備

附則第3条 施行後1年を目途として、JAXAその他の宇宙機関の「目的、機能、業務の範囲、組織形態の在り方、当該機関を所管する行政機関等」について検討

附則第4条 行政組織の在り方についての再検討

*具体的なプロジェクト 基本理念に基づいて策定

(2)宇宙の軍事利用解禁

{「非侵略」-憲法第9条}(2)宇宙の軍事利用解禁(2)宇宙の軍事利用解禁

{「非侵略」-憲法第9条{「非侵略」-憲法第9条}}

基本法第2条 基本的理念

「宇宙開発利用は、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約(=宇宙条約の正式名称)等の宇宙開発利用に関する条約その他の国際約束の定めるところに従い、日本国憲法の平和主義の理念にのっとり、行われるものとする。」

平和利用=非侵略利用(国際標準)-憲法第9条

基本法第2条 基本的理念

「宇宙開発利用は、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約(=宇宙条約の正式名称)等の宇宙開発利用に関する条約その他の国際約束の定めるところに従い、日本国憲法の平和主義の理念にのっとり、行われるものとする。」

平和利用=非侵略利用(国際標準)-憲法第9条

宇宙基本法 基本的施策宇宙基本法宇宙基本法 基本的施策基本的施策

第14条(国際の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障)

「国は、国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障に資する宇宙開発利用を推進するため、必要な施策を講ずるものとする。」

第14条(国際の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障)

「国は、国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障に資する宇宙開発利用を推進するため、必要な施策を講ずるものとする。」

宇宙基本法により許容される軍事利用範囲宇宙基本法により許容される軍事利用範囲宇宙基本法により許容される軍事利用範囲

*自衛隊が、受動的・防衛的な軍事衛星を開発、所有、運用することが可能となる。

(偵察衛星、軍用通信衛星、測位航法衛星、早期警戒衛星、海洋偵察衛星、電子偵察衛星、軍用気象衛星等)

*ただし、集団的自衛権の範疇外での衛星運用が条件となる。

* JAXA, 情報通信研究機構(NICT)、無人宇宙実験システム研究開発機構(USEF)、リモートセンシング技術センター(RESTEC)等、既存の宇宙開発利用関係機関も、受動的・防衛的な宇宙の研究開発利用が可能となる。(法改正の必要あり。)しかし、それが実効的か、宇宙開発利用の他の目的と照らして望ましいかは、精査必要。

*自衛隊が、受動的・防衛的な軍事衛星を開発、所有、運用することが可能となる。

(偵察衛星、軍用通信衛星、測位航法衛星、早期警戒衛星、海洋偵察衛星、電子偵察衛星、軍用気象衛星等)

*ただし、集団的自衛権の範疇外での衛星運用が条件となる。

* JAXA, 情報通信研究機構(NICT)、無人宇宙実験システム研究開発機構(USEF)、リモートセンシング技術センター(RESTEC)等、既存の宇宙開発利用関係機関も、受動的・防衛的な宇宙の研究開発利用が可能となる。(法改正の必要あり。)しかし、それが実効的か、宇宙開発利用の他の目的と照らして望ましいかは、精査必要。

日本国憲法第9条日本国憲法第9条日本国憲法第9条

1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、

これを認めない。

1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、

これを認めない。自衛のための 小限度を超え

るとき

自衛権の発動要件①急迫不正の侵害②代替性なし

③均衡性( 小限度)

宇宙利用に関する憲法9条解釈宇宙利用に関する憲法9条解釈宇宙利用に関する憲法9条解釈

1 自衛隊の行動の地理的範囲

領土、領海、領空+周辺の公海、公空

2 海外派兵

* 許されない。

3 海外派遣

* PKOの後方支援、災害援助等は「武力の行使」

ではなく可。

* 自衛隊法改正によりPKOは「本来任務」となる。

1 自衛隊の行動の地理的範囲

領土、領海、領空+周辺の公海、公空

2 海外派兵

* 許されない。

3 海外派遣

* PKOの後方支援、災害援助等は「武力の行使」

ではなく可。

* 自衛隊法改正によりPKOは「本来任務」となる。

「周辺」 一概には画定しない。

集団的自衛権 (1)集団的自衛権集団的自衛権 (1)(1)

国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」(昭和56年衆議院政府答弁)

国連憲章第51条に規定 (固有の権利)→憲法解釈上、日本はもたない。「わが国を防衛する必要最小限度を超えるものであり、憲法上許されない。(昭和56年答弁)」

他国の武力行使に協力することにおいて、その協力が「武力行使との一体性」と客観的に判断される場合は、違憲となる。

判断基準 ①距離(地理的関係)

②時間

③具体的行動 (武力行使との密接性)等を総

合的に判断)

国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」(昭和56年衆議院政府答弁)

国連憲章第51条に規定 (固有の権利)→憲法解釈上、日本はもたない。「わが国を防衛する必要最小限度を超えるものであり、憲法上許されない。(昭和56年答弁)」

他国の武力行使に協力することにおいて、その協力が「武力行使との一体性」と客観的に判断される場合は、違憲となる。

判断基準 ①距離(地理的関係)

②時間

③具体的行動 (武力行使との密接性)等を総

合的に判断)

集団的自衛権 (2)集団的自衛権集団的自衛権 (2)(2)

問題となり得る場合 (国会答弁から)

①武器弾薬を現に戦闘が行われている前線に供給、輸送すること

自衛隊法上の「武器」は、「火器、火薬類、刀剣類、その他直接人を殺傷し、または武力闘争の手段として物を破壊することを目的とする機械、器具、装置等」

②現に戦闘が行われている場所での医療部隊 --にいわば組みこまれる形で---医療活動をするような場合

問題となり得る場合 (国会答弁から)

①武器弾薬を現に戦闘が行われている前線に供給、輸送すること

自衛隊法上の「武器」は、「火器、火薬類、刀剣類、その他直接人を殺傷し、または武力闘争の手段として物を破壊することを目的とする機械、器具、装置等」

②現に戦闘が行われている場所での医療部隊 --にいわば組みこまれる形で---医療活動をするような場合

2008年6月「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」報告書提出

20082008年年66月月「安全保障の法的基盤の再構築「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」報告書に関する懇談会」報告書提出提出

4類型について、集団的自衛権の行使を提言

①公海上で行動を共にする米艦船への攻撃に対する応戦

②米国に向かう弾道ミサイルの迎撃

③国際平和活動をともにする他国部隊に対する「駆けつけ警護」

④国際平和活動に参加する他国への後方支援

4類型について、集団的自衛権の行使を提言

①公海上で行動を共にする米艦船への攻撃に対する応戦

②米国に向かう弾道ミサイルの迎撃

③国際平和活動をともにする他国部隊に対する「駆けつけ警護」

④国際平和活動に参加する他国への後方支援

ASAT兵器と自衛権ASATASAT兵器と自衛権兵器と自衛権

CDでは、ASAT兵器を、それ自体が攻撃能力をもつ「宇宙兵器」とみなし、禁止案が出された。ところで、CDの議論での最大公約数は、「宇宙兵器」を宇宙から宇宙、宇宙から地上への攻撃と考える。

*地上から宇宙へのASAT兵器の使用可能性

*攻撃兵器と防御兵器の区分の困難はCDでも認識→攻撃的/防御的の区別を断念→自衛権行使の要件に合致する場合があり得るか?

CDでは、ASAT兵器を、それ自体が攻撃能力をもつ「宇宙兵器」とみなし、禁止案が出された。ところで、CDの議論での最大公約数は、「宇宙兵器」を宇宙から宇宙、宇宙から地上への攻撃と考える。

*地上から宇宙へのASAT兵器の使用可能性

*攻撃兵器と防御兵器の区分の困難はCDでも認識→攻撃的/防御的の区別を断念→自衛権行使の要件に合致する場合があり得るか?

「宇宙兵器」禁止をめぐる概念「宇宙兵器」禁止をめぐる概念「宇宙兵器」禁止をめぐる概念

宇宙空間

宇宙空間

地上

地上から宇宙を含めるか?

「宇宙兵器」定義の試みはすべて失敗。

「宇宙兵器」定義の試みはすべて失敗。

militarization v. weaponization

militarization v. weaponization

defensive v.offensive

defensive v.offensive

passivev.

active

passivev.

active

ASAT兵器(地上から宇宙)使用が可能となる場合はあり得るか?

ASATASAT兵器(地上から宇宙)使用が可兵器(地上から宇宙)使用が可能となる場合はあり得るか?能となる場合はあり得るか?

* 敵国衛星から我が国への攻撃が「急迫不正の侵害」とみなし得る場合。敵国衛星からの攻撃を防ぐためにやむを得ない必要最小限度の措置、として当該衛星を破壊することは、法理的には、自衛の範囲に含まれ得る。しかし、仮定の事態を想定して、平生から他国の衛星を攻撃し得る兵器をもつことは、憲法の趣旨といえるか?(参考 衆議院内閣委員会(昭和34年3月19日)伊能防衛庁長官答弁)

* 参考:専守防衛を本旨とするため、ICBM、長距離戦略爆撃機等、性能上専ら他国の国土の壊滅的破滅のために用いられる兵器は、いかなる場合においても保持ですることが許されない。(昭和53年2月14日 予算委員会提出資料)→しかし、衛星破壊は国土への攻撃ではない。

* 敵国衛星から我が国への攻撃が「急迫不正の侵害」とみなし得る場合。敵国衛星からの攻撃を防ぐためにやむを得ない必要最小限度の措置、として当該衛星を破壊することは、法理的には、自衛の範囲に含まれ得る。しかし、仮定の事態を想定して、平生から他国の衛星を攻撃し得る兵器をもつことは、憲法の趣旨といえるか?(参考 衆議院内閣委員会(昭和34年3月19日)伊能防衛庁長官答弁)

* 参考:専守防衛を本旨とするため、ICBM、長距離戦略爆撃機等、性能上専ら他国の国土の壊滅的破滅のために用いられる兵器は、いかなる場合においても保持ですることが許されない。(昭和53年2月14日 予算委員会提出資料)→しかし、衛星破壊は国土への攻撃ではない。

IGS(国連未登録)が他国のASAT兵器により破壊された場合になにが可能か?

IGS(国連未登録)が他国のIGS(国連未登録)が他国のASATASAT兵器に兵器により破壊された場合になにが可能か?より破壊された場合になにが可能か?

自衛権発動の要件の1つである「武力攻撃の発生」と認めることができるであろうか?

「武力攻撃発生の定義」

例1「国際法上、公海において船舶が攻撃を受けた場合に、個別的自衛権の行使として、その攻撃を排除し得る立場にあるのは、原則として当該船舶の旗国である」(参議院予算委員会(昭

和58年3月15日)谷川防衛長官答弁)

自衛権発動の要件の1つである「武力攻撃の発生」と認めることができるであろうか?

「武力攻撃発生の定義」

例1「国際法上、公海において船舶が攻撃を受けた場合に、個別的自衛権の行使として、その攻撃を排除し得る立場にあるのは、原則として当該船舶の旗国である」(参議院予算委員会(昭

和58年3月15日)谷川防衛長官答弁)

(続き) (2)(続き)(続き) (2)(2)

例2 「我が国の領海内において行われた場合に限らず、例えば、公海上の我が国船舶等に対する攻撃が、状況によって、我が国に対する組織的、計画的な武力の行使に当たるという場合、これも排除されない」(衆議院有事法制特別委員会(平成14年5月8日)福田官房長官答弁)

問題点 衛星は国籍をもたず、登録した国が管轄権を行使する。未登録衛星も少なからずあり、また、登録国以外が実際に管轄権を行使することを宇宙物体登録条約が許容する。→船舶に対する攻撃を準用することは適切か?

例2 「我が国の領海内において行われた場合に限らず、例えば、公海上の我が国船舶等に対する攻撃が、状況によって、我が国に対する組織的、計画的な武力の行使に当たるという場合、これも排除されない」(衆議院有事法制特別委員会(平成14年5月8日)福田官房長官答弁)

問題点 衛星は国籍をもたず、登録した国が管轄権を行使する。未登録衛星も少なからずあり、また、登録国以外が実際に管轄権を行使することを宇宙物体登録条約が許容する。→船舶に対する攻撃を準用することは適切か?

宇宙の防衛利用に関するその他の問題点宇宙の防衛利用に関するその他の問題点宇宙の防衛利用に関するその他の問題点

例 自衛隊に通信回線を販売する企業が合併される可能性を考える

日本の外資規制

1 外為法第27条3項に基づく直接対内投資規制

対象取引は、上場企業の10%以上の株式取得

「国の安全を損ない、公の秩序の維持を妨げ、又は公衆の安全の保護に支障を来すことになるおそれのある」場合に規制可能。

具体的には、事前届出を要する業種を特定した上で、個別届出案件ごとに財務大臣・事業所轄大臣が審査。届出義務違反は、3年以下の懲役または100万円以下の罰金(第70条25号)

特定業種は、①武器、航空機、原子力、宇宙開発、火薬類製造等

②電気、ガス、熱供給、通信、放送 水道、鉄道、旅行運送等

例 自衛隊に通信回線を販売する企業が合併される可能性を考える

日本の外資規制

1 外為法第27条3項に基づく直接対内投資規制

対象取引は、上場企業の10%以上の株式取得

「国の安全を損ない、公の秩序の維持を妨げ、又は公衆の安全の保護に支障を来すことになるおそれのある」場合に規制可能。

具体的には、事前届出を要する業種を特定した上で、個別届出案件ごとに財務大臣・事業所轄大臣が審査。届出義務違反は、3年以下の懲役または100万円以下の罰金(第70条25号)

特定業種は、①武器、航空機、原子力、宇宙開発、火薬類製造等

②電気、ガス、熱供給、通信、放送 水道、鉄道、旅行運送等

(続き) (2)(続き)(続き) (2)(2)問題点

*届出義務違反は刑事罰のみで行政的な執行手段が不十分。

子会社が規制対象業種を営んでいても、親会社は投資の規制対象からもれていたが、持株会社に対する投資は対象とはされていなかった点は平成19年に法令改正された。

2 通信・放送に固有の外資規制

電波法5条 無線局開設についての外国性欠格事由 2項7号「電気通信業務を行うことを目的として開設する無線局」と8号(そのための陸上局)については、欠格事由の例外 ←WTO電気通信協定

免許人の地位の承継については、第5条の欠格事由の有無が審査対象。

電気通信事業法 第12条 「登録の拒否」に外国性は含まれない。地位の承継も同じ。

特定放送事業者 放送法・電波法により 外資規制20%上限→CSデジタル放送のプラットフォーム事業者は、放送事業者ではないので、外資規制の対象とはならない。

電気通信役務放送事業者には、外資規制がかからない。

問題点

*届出義務違反は刑事罰のみで行政的な執行手段が不十分。

子会社が規制対象業種を営んでいても、親会社は投資の規制対象からもれていたが、持株会社に対する投資は対象とはされていなかった点は平成19年に法令改正された。

2 通信・放送に固有の外資規制

電波法5条 無線局開設についての外国性欠格事由 2項7号「電気通信業務を行うことを目的として開設する無線局」と8号(そのための陸上局)については、欠格事由の例外 ←WTO電気通信協定

免許人の地位の承継については、第5条の欠格事由の有無が審査対象。

電気通信事業法 第12条 「登録の拒否」に外国性は含まれない。地位の承継も同じ。

特定放送事業者 放送法・電波法により 外資規制20%上限→CSデジタル放送のプラットフォーム事業者は、放送事業者ではないので、外資規制の対象とはならない。

電気通信役務放送事業者には、外資規制がかからない。

スカパーJSAT株式会社の外資規制

登録と届出(有線TV)

参入は登録無線局開設免許/認定

参入は登録

外資規制なし外資規制なしスカパーJSATには1/3上限、マルチ—には1/5上限

の外資規制あり

外資規制なし

電気通信役務利用放送法、有線テレビジョン放送法

電気通信事業法、電気通信役務利用放送法適用。

スカパーJSATには放送法、電波法適用。マルチ---には放送法適用。

電気通信事業法

電波法 電気通信役務利用放送法が適用。

オプティキャストオプティキャストスカパーJSATマルチチャンネルエンターテイメント

スカパーJSATSPBC

光チャンネルリース

電気通信役務利用放送 (光)

受託放送電気通信役務利用放送

衛星調達の問題等衛星調達の問題等衛星調達の問題等

*1990年 日米衛星調達合意 安全保障除外は存在するのか? IGS調達は先例から単なる事実か?

シリーズ化した軍事衛星は、「非研究開発衛星」というカテゴリーに入り、国際競争入札を義務づけられる余地はあるのか?

WTO政府調達協定第23条1項には安全保障除外が規定される。

*2008年10月28日、英国のSkynet 5 軍用通信衛星が打上げ成功.

PFIの賜物。日本型PFIを構築することは可能であろうか?(1999年「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(最終改正平成18年)

*1990年 日米衛星調達合意 安全保障除外は存在するのか? IGS調達は先例から単なる事実か?

シリーズ化した軍事衛星は、「非研究開発衛星」というカテゴリーに入り、国際競争入札を義務づけられる余地はあるのか?

WTO政府調達協定第23条1項には安全保障除外が規定される。

*2008年10月28日、英国のSkynet 5 軍用通信衛星が打上げ成功.

PFIの賜物。日本型PFIを構築することは可能であろうか?(1999年「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(最終改正平成18年)

結びにかえて結びにかえて結びにかえて

1 宇宙基本法により、宇宙の防衛利用が憲法の範囲内で許容された。

2 地上発射型のASAT兵器使用の可能性については、衛星からの攻撃を受ける場合に自衛権の要件の合致する場合があり得るであろう。ただし、平時のASAT兵器の開発、保有が専守防衛になじむかについての熟慮が必要であろう。

3 「民間事業者の能力を活用」(第16条)する一環としてのPFI制度や企業の安全保障上の考慮からの外資保護制度を作り上げる必要がある。

1 宇宙基本法により、宇宙の防衛利用が憲法の範囲内で許容された。

2 地上発射型のASAT兵器使用の可能性については、衛星からの攻撃を受ける場合に自衛権の要件の合致する場合があり得るであろう。ただし、平時のASAT兵器の開発、保有が専守防衛になじむかについての熟慮が必要であろう。

3 「民間事業者の能力を活用」(第16条)する一環としてのPFI制度や企業の安全保障上の考慮からの外資保護制度を作り上げる必要がある。