HERMES用サンプルチェンジャー...

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HERMES用サンプルチェンジャー マニュアル

平成 22 年 8 月 1日

大山研司

多数の試料での室温構造解析をする場合は、サンプルチェンジャーを使用すると便利です。6本の試料を連

続して測定できますので、半日から1日程度実験者による試料交換なしで実験が続けられます。実験の負担

が少ない分、現地で解析する時間がとれるでしょう。

注意事項

サンプルチェンジャーによって長時間の自動運転が可能だとしても、

装置トラブル、事故への対処のため、実験者は日中は実験室か控室に、

夜間は物性研宿舎にいるようにしてください。東海地区から長時間離

れるのは厳禁です。

測定直後の粉末試料は放射化していて非常に危険です。Vanadiumセ

ルを開けるのは、試料が十分冷えてからにしてください。あるいは、

グローブバック、マスクなどを使用して、粉末を吸い込まないように

十分注意してください。

新システムではサンプルチェンジャーの動きがかわりました。毎回原点に一度もどってから所定位置に移動

します。

1:取り付け

右写真がサンプルチェンジャーです。通常は、ターボ

ポンプ付近においてあります。一人でもてる程度の重

さです。

取り付けには、ゴニオとスペーサーを取り外す必要が

あります。下写真の赤矢印の位置から、ゴニオをのせ

たままスペーサーを外します。ねじは4本あります。

下写真の矢印のところからはずします。

ゴニオごとスペーサーをはずして持ち上げます(右上写真)。スペーサー下にセンターピンがあるので、くっ

つけたまま運ばないように注意。かなり重いので二人で。ゴニオの取手を持つと楽

ゴニオとスペーサーを外した試料テーブ(右図)。センターピンが中央にあります。

右はゴニオとスペーサーをはずしたところ。

センターピンを移動

中央にあったピンをサンプルチェンジャー用の穴に移動する。

(右写真)

サンプルチェンジャーをセンターピンにあわせて乗

せる。

取り付けの向き

右写真のような向きにする。マジックのマークにあ

わせればいいはず。4ヶ所の穴でねじをとめる。ね

じは、小さな袋にはいってサンプルチェンジャーに

ぶらさがっているはず。

測定中の位置

測定中は、右写真の位置にサンプルチェンジャーが

来ている必要があります。変な向きになっていても、

C軸角を0度にして測定をすれば、最初の測定で

自動的に移動します。

注意

サンプルチェンジャーを使用しての実験中は C軸角を0度のままにしてください。他の値になっていると、

勝手に移動してしまいます。

試料の取り付け

右のように Vanadium セルを直接取り付けます。

6本以下でも、もちろん問題ありません。それぞれ

の支持具についている筒は遮閉用の Cd 板ですの

で、つけたまま測定してください。

各支持具には番号(0~5)がふってあります。プ

ログラムはこの番号で制御しますので、試料と番号

の関係を記録しておいてください。Vanadium セ

ルは見かけでは区別しにくいので、注意してくださ

い。念のため。

高さの確認

ビーム中心は、サンプルチェンジャー円盤上面から8cm

の高さです。定規で確認してください。写真では試料がす

こし高すぎています。高さを調整したい場合は、支持具の

ねじ2本を緩めてください。

高さ調整ねじ

サンプルチェンジャー測定の手順

測定のコントロールは、すべてDell 上で走っている「HERMES System」のウィンドウ(下図)で行いま

す。

1:表の左下の編集測定ボタンで 編集 をマウスで選ぶ。

2:下の画面にな るので、表から1

行をマウスで選ぶ。1行が一つの測定に対応している。もしも一つもなかったら、Adds ボタンをおして 1

行つくる。

3:選んだ測定の内容が、ウィンドウの下半分の Item画面に表示される。これを自分用に修正する。

この表から一つ選ぶ

Applyボ

タン

試料チェンジャ設定

スキャン条件を設定。

測定時間を設定。

4:Item 画面左上「Scan Mode」は S-Scan を選択。散乱角だけを回すスキャンで、HERMES の標準測

定方法です。

5:「スキャン範囲(deg)」とは測定する散乱角(2q)範囲のこと。最低角は通常 3度ですが、2度から 7度

くらいまで測定可能です。上限は入力できません。

6:「ステップ角(deg)」は通常 0.1 度。0.05 度,0.2,0.5 度も可

7:「C軸角度(deg)」はかならず 0度にする。他の角度にすると、サンプルチェンジャーが移動してしま

います。

8:「測定モード」は MFC を選択。MFC はモニター強度

を使ってデータを規格化する測定。FT は時間を一定にするスキ

ャン。どちらでも問題はないが、原子炉出力が変動する可能性も

あるので、通常はMFC の方がよい。

9:MFC の場合、「Count」は1ステップを測定分のモニター

強度を入力する。単位は 1000cnt。測定時間とモニター強度の

関係は Dell そばの表をごらんください。

FT スキャンのときは 1点の測定時間を秒で入力。

測定時間の目安は、一番強いピークが 10000 カウントになる時間。でも時間がなければ 5000cnt

でも解析は充分可能です。

10 時間くらいの長い測定の場合は、2分割してあとで足した方が安全です。一回の測定時間は最

長でも 5,6時間におさえます。

10:「サンプル制御」は、回転型サンプルチェンジャーを使用するかどうかをえらぶ場所で、使用を選択。

11:「温度制御」はサンプルチェンジャー使用時にはつかわないので、None を選ぶ。

12:「コメント」には、試料名、サンプル番号、温度試料セルの直径を記入します。日付、時間は自動で

記録されるので、コメントにかく必要はありません。

例: ErB2C2 No.2 f7mm RT

モニター検出器

13:Item 画面右 Apply ボタンを押す。これを押さないと、せっかく入力したものがキャンセルされま

す。

14:表をみて、内容が書き変わった事を確認。特に「サンプルチェンジャー使用」または「SC」の欄が○

になっていることを確認。以上でパラメーター設定終了です。

15:表に新たな測定を加えたいときは、右側の Adds ボタンを押す。表に新たな1行が加わるので、

ここにパラメーターを入力する。削除したいときは Delete ボタン。順番を変えたいときは、その行をマウス

でドラッグ。

16:必要なRun が全部できたら、Item 画面右下の OKボタンをおす。測定画面(グラフのある画面)に

もどる。

測定の実行

15: 編集 測定 ボタン(赤枠)で、測定 を選択

16:表から実行したい測定の行を選ぶ。Shift キーか Ctrl キーで複数選択可能です。行がとんでいても大

丈夫です。

17:測定を開始するには 実行 ボタンを押す。選択された測定を表の上から下に順に実行する。測定中

の Run には、表の一番左の No の欄に◆が表示される。

18:「測定中」と表示がでる。グラフには各検出器のカウント数が棒グラフでリアルタイムで表示される。

Status は Count...

Run No(矢印)を記録しておくこと。データファイル名は imr00423.raw など。423 が Run No

20:計測が開始されるとモニターカウント値または測定時間が青い横棒グラフで表示される。青が右はし

まで延びると 1点が終了。

21:1点の測定が終わると検出器バンクが移動し次の角度に移る。Status は Move

22:測定点すべて測定しおわると「測定終了」と表示され、Status が Stop となり測定がとまる。このと

きにデータファイルが作成される。

Run No.

測定したい

Runをここ

から選ぶ。

複数可。

23:ファイルの転送が終了すると、また「測定中」の点滅がはじまる。Status に「SC Move」と表示さ

れ、自動的に試料位置がかわり次の測定がはじまる。このとき、サンプルチェンジャーは一度原点にもどり、

その後所定の位置まで回転する。

片づけ

0:データファイルを自分の PCなどに保存する。

1:被爆しないように注意をして、Vanadium セルの掃除をする。キムワイプでから拭き。アルコールは不

可。

2:取り付けと逆の手順で、サンプルチェンジャーをはずし、ゴニオをもとにもどす。

3:サンプルチェンジャーは床の上のもとの位置にもどす。ケーブルはつけたまま。

4:制御プログラムで、使用した測定を表から削除しておく。

以上:お疲れさまでした。