間質性肺炎...剥離性間質性肺炎(DIP) 7. リンパ球性間質性肺炎(LIP)...

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間質性肺炎

2011/4/27 呼吸器内科 石本修

びまん性肺疾患

間質性肺炎

両肺びまん性に陰影を認める疾患

非常に多くの疾患が含まれる

主に肺胞隔壁を病変の場とする疾患Interstitial Pneumonia (IP)

肺の間質

肺の間質とは、肺胞上皮、毛細血管基底膜の間のスペース

びまん性肺疾患の鑑別診断特発性間質性肺炎(IIPs)

特発性肺線維症(IPF)

急性間質性肺炎(AIP)

非特異性間質性肺炎(NSIP)

特発性器質化肺炎(COP)

リンパ球性間質性肺炎(LIP)

剥離性間質性肺炎(DIP)

呼吸細気管支/間質性肺炎(RB-ILD)

その他の原因不明疾患

慢性好酸球性肺炎(CEP)

急性好酸球性肺炎(AEP)

リンパ脈管筋腫症(LAM)

肺胞たんぱく症 alveolar proteinosis

Hermansky-Pudlak症候群

Langerhans細胞肉芽腫症

ヘモジデローシス

肺胞微石症

肉芽腫性疾患

サルコイドーシス

職業性肺疾患

珪肺症

石綿肺

慢性ベリリウム症

シデローシス

アルミニウム肺

超合金肺(GIP)

膠原病および関連疾患関節リウマチ(RA)皮膚筋炎/多発性筋炎(PM/DM)全身性エリトマトーデス(SLE)強皮症(全身性硬化症)(PSS)混合性結合組織病(MCTD)Sjogren症候群Behcet病Wegener肉芽腫症(WG)結節性多発動脈炎(PN)顕微鏡的多発動脈炎(microscopic PN)Churg-Strauss症候群

薬剤誘起性肺疾患抗生物質・抗菌薬ニトロフラントイン抗不整脈薬(アミオダロン)消炎薬金製剤ペニシラミンインターフェロン小柴胡湯抗腫瘍薬ゲフィチニブ(イレッサ)レフルノミド(アラバ)メトトレキサートパラコート放射線

環境誘発性疾患過敏性肺炎

腫瘍性肺疾患細気管支肺胞上皮癌(BAC) 癌性リンパ管症癌血行性肺転移悪性リンパ腫リンパ腫様肉芽腫症(LG)Kaposi肉腫

感染性肺疾患細菌性肺炎ウイルス性肺疾患カリニ肺炎クラミジア肺炎マイコプラズマ肺炎粟粒結核真菌性肺炎

気道系が関与する肺疾患びまん性汎細気管支炎(DPB)immotile cilia症候群嚢胞性線維症cystic fibrosis

その他のびまん性肺疾患高地肺水腫HIV合併びまん性肺病変HTLV-1感染合併肺病変

びまん性肺疾患

間質性肺炎(IP)

1.原因の明らかな間質性肺炎

2.特発性間質性肺炎

(idiopathic pulmonary pneumonias: IIPs)

原因の明らかな間質性肺炎1. 薬剤 漢方薬(小柴胡湯、柴苓湯、柴朴湯、黄連解毒湯、乙字湯)

消炎鎮痛薬(アセトアミノフェン、スリンダク、ロキソプロフェン、ジクロフェナック)

抗菌薬(ほとんどの種類のものに報告あり)

抗癌薬(ゲムシタビン、イリノテカン、パクリタキセル、ゲフィチニブ)

リウマチ治療薬

2. 粉塵吸入 羽毛、隣人の鳩、公園・神社・駅の野鳥、野鳩の群棲含む

アスベスト、その他職業的粉塵曝露

3. 膠原病 関節リウマチ(RA)、多発性筋炎/皮膚筋炎(PM/DM)、全身性強皮

症(PSS)など

特発性間質性肺炎(IIPs)

1. 特発性肺線維症(IPF)

2. 非特異性間質性肺炎(NSIP)

3. 特発性器質化肺炎(COP)

4. 急性間質性肺炎(AIP)

5. 呼吸細気管支炎に伴う間質性肺疾患(RB-ILD)

6. 剥離性間質性肺炎(DIP)

7. リンパ球性間質性肺炎(LIP)

診断には外科的肺生検が必要だが、外科的肺生検ができる患者は多くはない。

特発性肺線維症(IPF)

1. 病理組織学的にはUIP(usual interstitial pneumonia 通常型間質性肺炎)パターン

2. IIPsの中で最も頻度が高い

3. 慢性かつ進行性の経過

4. 有効な治療法が確立されていない

5. 高度の線維化が進行して、蜂巣肺を形成

6. ときに急性増悪(ぞうあく)、肺がん合併

7. 予後不良

診断確定後の平均生存期間は2.5~5年

特発性肺線維症(IPF)

1. 病理組織学的にはUIP(usual interstitial pneumonia 通常型間質性肺炎)パターン

2. IIPsの中で最も頻度が高い

3. 慢性かつ進行性の経過

4. 有効な治療法が確立されていない

5. 高度の線維化が進行して、蜂巣肺を形成

6. ときに急性増悪(ぞうあく)、肺がん合併

7. 予後不良

診断確定後の平均生存期間は2.5~5年

正常肺小葉構造

臓側胸膜

小葉間隔壁

小葉内線維

細気管支

肺静脈とリンパ管

肺動脈

肺小葉構造(気道)

正常の細気管支はCTで描出されない

肺胞管

細気管支

呼吸細気管支

終末細気管支肺胞

細気管支

小葉間隔壁細気管支

小葉間隔壁

臓側胸膜

正常肺のCT読影における目安

気管支(空気)は黒

血管(血液)は白

肺実質は灰色

小葉は正常肺では識別できない

伴走する気管支と肺動脈はほぼ同じ太さ

気管支肺動脈束

気管支

肺静脈

肺動脈

正常肺のCT

小葉からみた所見の分布様式小葉中心性 汎小葉性

小葉辺縁性気管支血管束沿い

小葉辺縁性病変

癌性リンパ管症、心不全、間質性肺炎など

癌性リンパ管症

IPFの剖検肺

小葉に一致した胸膜面に顆粒状隆起

3-8mm大の蜂巣肺

細気管支の拡張

IPFのCT所見

正常肺

蜂巣肺

すりガラス状影

典型的な蜂巣肺

胸膜下に重層する壁厚の嚢胞集簇様々な時相の病変が一つの空間に共存している

明確な境界

IPFのCT所見

小葉辺縁に線維化病巣が分布線維化病巣は小葉辺縁に強い

間質性肺炎の基本像

正常肺:肺野の濃度は空気とほぼ同じ

肺胞隔壁が肥厚、部分的な浸出液貯留し、空気の比率が減ると、肺野濃度が上昇する

肺胞隔壁の線維化によって牽引性気管支拡張、蜂巣肺が形成される

IPFの急性増悪

1. 急性増悪は我が国で提唱された疾患概念。

2. IPFの経過中、①1か月以内の経過で呼吸困難の増強、②すりガラス陰影が新たに出現、③PaO2の低下、のすべてがみられた場合を「急性増悪」と定義する。

3. 基本的には原因不明だが、手術や気管支鏡で急性増悪をきたすことがある。

4. 死亡率は70-80%

IPFの急性増悪

安定期 急性増悪期

急性増悪期には、安定期のIPFの画像に加え、多発性のすりガラス状影、牽引性気管支拡張所見がみられるようになる。

IPFの治療について1. Evidenceに乏しく、標準的治療は確立されていない。

2. ピルフェニドン(ピレスパ®)は2008年10月IPFを適応疾患として製造販売が承認された。

• 抗線維化作用のほか、抗炎症作用や抗酸化作用など多様な薬理作用を示す。

• 第3相試験においてプラセボより肺活量の低下を有意に抑制した。

• 軽症例においてより効果が期待できる。

• 副作用として光線過敏症が約50%にみられる。

3. ステロイドと免疫抑制剤の併用

• ただし、免疫抑制剤は保険適用外

4. 肺移植 (60歳以下など厳しい条件あり)

IPF急性増悪の治療について

1. ステロイドパルス療法が行われている。

• ソルメドロール® 1g 3日間

• プレドニン ®

2. 免疫抑制剤併用

• エンドキサン®

• シクロスポリン(ネオーラル®)

• アザチオプリン

3. 好中球エラスターゼ阻害剤(エラスポール®)

• 好中球エラスターゼ(蛋白分解酵素)は好中球活性化にともない放出され、肺組織傷害や血管透過性亢進を惹起する。

ご清聴ありがとうございました